(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061297
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 3/54 20060101AFI20220411BHJP
F16H 3/72 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
F16H3/54
F16H3/72 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169217
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】二羽 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】茂木 太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】沖田 総
【テーマコード(参考)】
3J528
【Fターム(参考)】
3J528EA25
3J528EB62
3J528EB96
3J528FA46
3J528FB05
3J528FC13
3J528FC23
3J528GA02
(57)【要約】
【課題】オイルポンプを配置する際に、装置全体としての大型化を抑制できる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動力源と、駆動力源の出力により駆動する入力軸と、サンギヤと、サンギヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、サンギヤとリングギヤに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持するキャリヤとを有する遊星歯車機構と、入力軸の回転によって油圧を発生させるオイルポンプとを備えた動力伝達装置において、入力軸と、遊星歯車機構と、オイルポンプとが同一軸線上に配置されるとともに遊星歯車機構を挟んで入力軸とオイルポンプとが配置され、キャリヤの一端に入力軸が連結され、キャリヤの他端に前記オイルポンプが連結されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力源と、
前記駆動力源の出力により駆動する入力軸と、
サンギヤと、前記サンギヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持するキャリヤとを有する遊星歯車機構と、
前記入力軸の回転によって油圧を発生させるオイルポンプとを備えた動力伝達装置において、
前記入力軸と、前記遊星歯車機構と、前記オイルポンプとが同一軸線上に配置されるとともに前記遊星歯車機構を挟んで前記入力軸と前記オイルポンプとが配置され、
前記キャリヤの一端に前記入力軸が連結され、前記キャリヤの他端に前記オイルポンプが連結されている
ことを特徴とする動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルポンプを搭載した動力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の前方からの衝突のうち、車両とその車両に衝突する衝突物との車幅方向の重なりが小さい微小ラップ衝突(あるいは微小オフセット衝突とも称される)に対する衝突性能を向上させるように構成された動力伝達装置が記載されている。具体的には、特許文献1に記載された動力伝達装置は、遊星歯車機構により構成された動力分割機構などを有するトランスアクスルユニットと、そのトランスアクスルユニットを収容し、かつ車幅方向外側に開口部を有する本体ケースと、本体ケースに連結され、かつ本体ケースの開口部を塞ぐサイドケース(エンジンとは反対側のリアカバー)とを備え、さらにサイドケースに車幅方向外側に突出した荷重受け部が形成されている。また、荷重受け部は、車幅方向に延びたオイルポンプの回転軸と同一軸線上に配置され、かつ前記オイルポンプの回転軸によって支持されている。なお、オイルポンプの回転軸の一端には、エンジンのクランク軸に連結された入力軸が連結され、他端には、オイルポンプギヤが連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された動力伝達装置は、上述のように、オイルポンプがリアカバー側に配置されている。すなわち軸線方向で動力分割機構を挟んでエンジンと反対側に配置されている。一方、オイルポンプは、クランク軸に連結された入力軸の回転によって駆動するから、特許文献1の構成のように、リアカバー側にオイルポンプを配置すると、入力軸に連結された軸(すなわちオイルポンプの回転軸)をリアカバー側に延ばすことになり、ひいてはコストが増大する、あるいは、動力伝達装置全体が大型化するなどの不都合が生じるおそれがある。
【0005】
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、オイルポンプを配置する際に、装置全体としての大型化を抑制できる動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源と、前記駆動力源の出力により駆動する入力軸と、サンギヤと、前記サンギヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、前記サンギヤと前記リングギヤに噛み合っているピニオンギヤを自転かつ公転可能に保持するキャリヤとを有する遊星歯車機構と、前記入力軸の回転によって油圧を発生させるオイルポンプとを備えた動力伝達装置において、前記入力軸と、前記遊星歯車機構と、前記オイルポンプとが同一軸線上に配置されるとともに前記遊星歯車機構を挟んで前記入力軸と前記オイルポンプとが配置され、前記キャリヤの一端に前記入力軸が連結され、前記キャリヤの他端に前記オイルポンプが連結されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の動力伝達装置によれば、エンジンなどの駆動力源の回転によって駆動されるオイルポンプが設けられている。そのオイルポンプは、入力軸および遊星歯車機構と同一軸線上に配置され、かつ遊星歯車機構を挟んでそれらオイルポンプと入力軸とが配置されている。また、遊星歯車機構のキャリヤの一端に入力軸が連結され、キャリヤの他端にオイルポンプが連結されている。そのため、例えば前掲の特許文献1の構成のように動力分割機構(遊星歯車機構)のサンギヤ、および、第1モータ2の内径側に回転軸を延ばしてオイルポンプ20を設ける構成に比べて、オイルポンプを駆動するための回転軸(オイルポンプのロータ軸)の軸長を短くすることができる。言い換えれば、エンジンの出力軸ならびにそれに連結された入力軸の回転を伝達するための回転軸を設ける、あるいは、その回転軸の軸長を延ばすことを必要としない。またオイルポンプを遊星歯車機構に隣接して配置することができる。したがって、前掲の特許文献1の構成に比べて、コストが増大することを抑制でき、また軸線方向における構成がコンパクトになるため、動力伝達装置全体として大型化することを抑制できる。
【0008】
また、この発明によれば、入力軸が上述のようにキャリヤに連結されているから、その入力軸が、遊星歯車機構の内径側(サンギヤの内径側)に位置することがない。そのため、サンギヤの内径側に配置される回転軸(例えばモータのロータ軸)の径を小さくすることができる。また、それに伴って、その回転軸の外周側に配置されるオイルポンプが大型化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の動力伝達装置を適用するハイブリッド車両のドライブトレーンの一例を示す図である。
【
図2】
図1の車両におけるトランスアクスルの一部を示す断面図であって、特にオイルポンプの搭載位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
【0011】
この発明の実施形態で対象にする動力伝達装置は、少なくともモータを含む動力源が出力する動力を伝達する動力伝達装置であり、例えば、モータを駆動力源とする電気自動車、あるいは、モータおよびエンジンを駆動力源とするハイブリッド車などの車両に搭載される。例えば、FF方式や、RR方式の車両のように、駆動力源と駆動軸とを近接して配置する構成の車両、あるいは、動力分割機構によってエンジンおよびモータが出力する動力を分割・合成する方式のハイブリッド車などに搭載される場合には、一般に、トランスアクスルと称されることもある。
【0012】
図1に、この発明の実施形態における動力伝達装置を搭載したハイブリッド車両Veの一例を示してある。
図1に示すハイブリッド車両(以下、車両)Veは、駆動力源として、エンジン(ENG)1、ならびに、第1モータ(MG1)2および第2モータ(MG2)3を備えている。この車両Veは、エンジン1が出力する動力を動力分割機構4によって、第1モータ2側と駆動軸5側とに分割して伝達するように構成されている。また、第1モータ2で発生した電力を第2モータ3に供給し、第2モータ3が出力する駆動力を駆動軸5および駆動輪6に付加することができるように構成されている。
【0013】
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。
【0014】
第1モータ(MG1)2および第2モータ(MG2)3は、いずれも、駆動電力が供給されることによりトルクを出力するモータとしての機能と、トルクが与えられることにより発電電力を発生する発電機としての機能との両方を兼ね備えた、いわゆるモータ・ジェネレータである。それら第1モータ2および第2モータ3としては、例えば、永久磁石式同期モータあるいは誘導モータなどの交流モータが用いられる。なお、上記の第1モータ2および第2モータ3は、図示しないインバータなどを介してバッテリやキャパシタなどの蓄電装置に電気的に接続されており、その蓄電装置から電力が給電され、または発電した電力を蓄電装置に充電することもできるように構成されている。
【0015】
動力分割機構4は、エンジン1および第1モータ2と駆動輪6との間でトルクを伝達する伝動機構であり、サンギヤ7、リングギヤ8、および、キャリヤ9を有する遊星歯車機構によって構成されている。
図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられている。遊星歯車機構のサンギヤ7に対して同心円上に、内歯歯車のリングギヤ8が配置されている。これらサンギヤ7とリングギヤ8とに噛み合っているピニオンギヤ10がキャリヤ9によって自転および公転が可能なように保持されている。
【0016】
動力分割機構4は、エンジン1および第1モータ2と同一の軸線上に配置されている。動力分割機構4のキャリヤ9にエンジン1の出力軸1aに連結された入力軸11が連結されている。また、サンギヤ7に第1モータ2のロータ2aに一体となって回転するロータ軸2bが連結されている。なお、上記のようなキャリヤ9(あるいは入力軸11)と出力軸1aとを直接連結する構成に替えて、それらの間にダンパ機構やトルクコンバータ(それぞれ図示せず)などの機構を設けてもよい。
【0017】
遊星歯車機構のリングギヤ8の外周部分に、出力ギヤに相当する外歯歯車の第1ドライブギヤ12がリングギヤ8と一体に形成されている。また、動力分割機構4および第1モータ2の回転軸線と平行に、カウンタシャフト13が配置されている。このカウンタシャフト13の一方(
図1での右側)の端部に、上記の第1ドライブギヤ12と噛み合うカウンタドリブンギヤ14が一体となって回転するように取り付けられている。このカウンタドリブンギヤ14は、第1ドライブギヤ12よりも大径に形成されており、第1ドライブギヤ12から伝達されたトルクを増幅させるように構成されている。一方、カウンタシャフト13の他方(
図1での左側)の端部には、カウンタドライブギヤ15がカウンタシャフト13に一体となって回転するように取り付けられている。カウンタドライブギヤ15は、終減速機であるデファレンシャルギヤユニット16のデフリングギヤ17と噛み合っている。したがって、動力分割機構4のリングギヤ8は、上記の第1ドライブギヤ12、カウンタシャフト13、カウンタドリブンギヤ14、カウンタドライブギヤ15、および、デフリングギヤ17からなる出力ギヤ(出力ギヤ列)18を介して、駆動軸5および駆動輪6に動力伝達可能に連結されている。
【0018】
また、上記の動力分割機構4から駆動軸5および駆動輪6に伝達されるトルクに、第2モータ3が出力するトルクを付加することができるように構成されている。具体的には、第2モータ3のロータ3aに一体となって回転するロータ軸3bが、上記のカウンタシャフト13と平行に配置されている。そのロータ軸3bの先端に、上記のカウンタドリブンギヤ14と噛み合う第2ドライブギヤ19が一体となって回転するように取り付けられている。したがって、動力分割機構4のリングギヤ8には、上記のようなデフリングギヤ17および第2ドライブギヤ19を介して、第2モータ3が動力伝達可能に連結されている。
【0019】
また、動力分割機構4のキャリヤ9には、動力分割機構4を挟んで入力軸11と反対側に、オイルポンプ20のロータ軸20aが連結されている。このオイルポンプ20は、動力分割機構4の潤滑および冷却のため、あるいは第1モータ2や第2モータ3の銅損や鉄損により生じる熱を冷却するために設けられ、オイルの供給用のポンプとして、従来、車両のエンジンや変速機に用いられている一般的な構成のオイルポンプである。このオイルポンプ20は、エンジン1が出力するトルクによって駆動されて油圧を発生するように構成されている。具体的には、オイルポンプ20のロータ軸20aがエンジン1の出力軸1aおよび入力軸11と共に回転し、言い換えればキャリヤ9を介してエンジン1の出力軸、ならびに、入力軸11の回転をオイルポンプ20に伝達するように構成されている。したがって、エンジン1が燃焼運転されてトルクを出力する際には、オイルポンプ20も駆動されて油圧を発生する。
【0020】
なお、上述の各モータ2,3、動力分割機構4、出力ギヤ18、オイルポンプ20などの各部材は、トランスアクスルケース21に収容されている。
【0021】
図2は、上述の動力分割機構4などの各部材が設けられたトランスアクスルの一部を示す断面図であって、特に、オイルポンプ20の近傍の構成(ならびに配置)について説明するための図であって、この発明の実施形態では、従来(例えば前掲の特許文献1)に比べてオイルポンプ20のロータ軸20aの軸長を短縮するように構成されている。先ず、エンジン1と同一軸線上に、エンジン1側(
図2右側)から順に、動力分割機構4、オイルポンプ20、第1モータ2が設けられている。より具体的には、入力軸11に動力分割機構4におけるキャリヤ9の一端(一方のキャリヤプレート)が連結され、その動力分割機構4(あるいはキャリヤ9)を挟んで反対側にオイルポンプ20のロータ軸20aがキャリヤ9の他端(他方のキャリヤプレート)に連結されている。そして、オイルポンプ20を挟んで、動力分割機構4と第1モータ2とが配置されている。
【0022】
上述のトランスアクスルケース21は、それぞれ別個に形成された、ケーシング22、ハウジング23、および、センターサポート24を有している。そして、ケーシング22の外部とハウジング23とを一体に締結する(図示せず)ことにより、トランスアクスルケース21が構成されている。なお、ケーシング22は、各モータ2,3、および、オイルポンプ20を収容し、ハウジング23は、動力分割機構4や出力ギヤ18を収容している。センターサポート24は、トランスアクスルケース21の内部を、ケーシング22側とハウジング23側とに仕切る内部隔壁を形成している。センターサポート24は、ケーシング22の内部、または、ハウジング23の内部のいずれか一方に取り付けられる。
図2に示す例では、センターサポート24は、ケーシング22の内部に取り付けられている。
【0023】
また、上記のセンターサポート24は、オイルポンプ20(あるいはオイルポンプ20のロータ)を支持するように構成され、オイルポンプ20から吐出したオイルをセンターサポート24の油路25に連通し、かつオイルクーラ(図示せず)でオイルを冷却するように構成されている。また、動力分割機構4を潤滑させるためにキャリヤ9の方向にも油路26が連通している。
【0024】
また、ハウジング23の外壁部27にボス部28が形成され、そのボス部28に入力軸11を支持するラジアル軸受29が組み込まれている。ラジアル軸受29は、
図2に示す例では、玉軸受けが用いられている。
【0025】
さらに、センターサポート24のケーシング22側の面にボス部30が形成されている。ボス部30の内周部分は中空になっており、サンギヤ7に連結するように延びた第1モータ2のロータ軸2bが配置されている。そして、そのロータ軸2bを支持するように、ボス部30の内周側(言い換えればロータ軸2bの外周側)にラジアル軸受31が組み込まれている。ラジアル軸受31は、
図2に示す例では、玉軸受が用いられている。
【0026】
また、オイルポンプ20のロータ軸20aの外周側には、所定の回転部材(例えばカウンタドライブギヤ15)を支持するラジアル軸受32が設けられている。このラジアル軸受32は、軸線方向で、動力分割機構4とオイルポンプ20との間に設けられ、言い換えれば、ラジアル軸受32を挟んで、同一軸線上に動力分割機構4とオイルポンプ20とが配置されている。なお、オイルポンプ20とラジアル軸受32とは、オイルポンプ20の方がやや内周側に配置され、すなわちオイルポンプ20とラジアル軸受32とは半径方向でオーバーラップしている。
【0027】
また、第1モータ2の内周側には、所定の回転軸(例えばロータ軸2b)や回転体にオイルを供給するためのノズル33が固定して設けられ、さらに、その所定の回転体とノズル33との間には、隙間34が形成されている。これは、所定の回転軸とノズル33との摩耗を防ぐためのものである。
【0028】
なお、
図2に示す符号35は、動力分割機構4の回転軸線の方向の位置決めをするためのスラスト軸受35である。
【0029】
つぎに、この発明の実施形態における作用について説明する。上述のように、この発明の実施形態では、オイルポンプ20が動力分割機構4と第1モータ2との間に設けられている。また、オイルポンプ20のロータ軸20aは、動力分割機構4におけるキャリヤ9に連結されている。また、エンジン1の出力軸1aに連結された入力軸11もキャリヤ9に連結されている。したがって、例えば動力分割機構4のサンギヤ7および第1モータ2の内径側にロータ軸(回転軸)を延ばしてオイルポンプ20を設ける従来例(例えば前掲の特許文献1の例)に比べて、オイルポンプ20のロータ軸20aの軸長を短くすることができる。言い換えれば、出力軸1aならびに入力軸11の回転を伝達するための回転軸を設けること、あるいは、その回転軸を延ばすことを必要としない。また、オイルポンプ20を動力分割機構4に隣接して配置することができる。したがって、前掲の特許文献1に記載された構成に比べて、コストが増大することを抑制でき、また特に軸線方向における構成がコンパクトになるため、動力伝達装置全体として大型化することを抑制できる。
【0030】
また、この発明の実施形態では、入力軸11が上述のようにキャリヤ9に連結されているから、その入力軸11が、動力分割機構4の内径側(サンギヤ7の内径側)に位置することがない。そのため、第1モータ2のロータ軸2bの径を小さくすることができる。また、それに伴って、ロータ軸2bの外周側に配置されるオイルポンプ20が大型化することを抑制できる。
【0031】
さらに、上述のように、オイルポンプ20のロータ軸20aの軸長が従来より短くなることにより、各潤滑油の供給部位へのオイルの供給をより確実に行うことができ、例えばオイルの温度が極低温時など粘性が高い場合であっても、供給部位へオイルを供給することができる。
【0032】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述したように、この発明の実施形態では、少なくとも入力軸11とオイルポンプ20とが、ぞれぞれ動力分割機構4のキャリヤ9に連結される。したがって、
図2に説明した各構成部材の位置関係は、搭載性を考慮した上で適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 エンジン(ENG)
1a 出力軸
4 動力分割機構(遊星歯車機構)
7 サンギヤ
8 リングギヤ
9 キャリヤ
10 ピニオンギヤ
11 入力軸
20 オイルポンプ
20a ロータ軸