(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061358
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A61C17/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169318
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】特許業務法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 克敏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 友紀
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202AB15
3B202BC08
3B202BD01
3B202BE10
3B202CA03
3B202DB07
(57)【要約】
【課題】高い清掃力を得ながら小型化が可能な電動歯ブラシを提供すること。
【解決手段】電動歯ブラシ1は、把持筐体部31と、交換ブラシ6を着脱可能な第一装着部413と、振動発生手段とを有し、把持筐体部31の前方側に接続される振動筐体部41と、を備える。また、振動筐体部41は、把持筐体部31よりも撓み易い断面構造を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持筐体部と、
交換ブラシを着脱可能な第一装着部と、振動発生手段とを有し、前記把持筐体部の前方側に接続される振動筐体部と、
を備え、
前記振動筐体部は、前記把持筐体部よりも撓み易い断面構造を有する、
ことを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記振動筐体部の外径は、前記把持筐体部の外径よりも小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記振動筐体部及び前記把持筐体部は、前記交換ブラシのブラシ体の起毛方向の外径が、他の方向の外径よりも小さく形成されることを特徴とする請求項2に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記把持筐体部及び前記振動筐体部は、中空状に形成され、
前記振動筐体部は、前記把持筐体部よりも薄肉に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記振動筐体部は、前記交換ブラシのブラシ体の起毛方向の肉厚が、他の方向の肉厚よりも小さく形成されることを特徴とする請求項4に記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
前記振動筐体部は、前記把持筐体部から前方へ延設される小径部を含み、
前記振動発生手段は、前記把持筐体部及び前記小径部の内壁に接して保持される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
前記交換ブラシは、前記第一装着部を係合可能な第一被装着部と、前記第一装着部と異なる形状の第二装着部を係合可能な第二被装着部と、を含む被装着部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
前記第一装着部及び前記第二装着部は、棒状に形成され、
前記第一被装着部と前記第二被装着部とは、内径及び深さの一方又は両方を異ならせて同軸に形成された開口部である、
ことを特徴とする請求項7に記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
前記第一装着部及び前記第二装着部は、各々第一係合部及び第二係合部を有し、
前記第一被装着部は、前記第一係合部と係合して前記第一装着部を装着状態で固定する第一被係合部を有し、
前記第二被装着部は、前記第一被係合部と異なる位置において、前記第二係合部と係合して前記第二装着部を装着状態で固定する第二被係合部を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
前記第一装着部は、前記第二装着部よりも外径が小さく長尺に形成され、
前記第一被装着部は、前記第二被装着部よりも内径が小さく長尺に形成される、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動発生手段を本体部に備えた電動歯ブラシが提案されている。例えば、特許文献1には、金属製筒状の外装ケースを用いてネジ部を形成しないように構成し、ハンドル部を細くスリムに構成することで、操作性及び意匠性を向上できるものとした電動歯ブラシが開示されている。振動発生手段であるモータは、上記外装ケース内における内装部材の内部に組み込まれている。モータは、加速度センサが手動によるブラッシング操作を検出した際に通電されて動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振動発生手段から発生した振動は、電動歯ブラシの持ち手側にも伝達される場合が有り、振動エネルギーが交換ブラシの先端側に伝達されないと、振動による十分な清掃力が得られない場合がある。
【0005】
本発明は、高い清掃力を得ながら小型化が可能な電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動歯ブラシは、把持筐体部と、交換ブラシを着脱可能な第一装着部と、振動発生手段とを有し、前記把持筐体部の前方側に接続される振動筐体部と、を備え、前記振動筐体部は、前記把持筐体部よりも撓み易い断面構造を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い清掃力を得ながら小型化が可能な電動歯ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るモータを収容したモータ保持部の斜視図であり、(a)は平面斜視図であり、(b)は底面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る交換ブラシの斜視図であり、(a)は被装着部をやや平面側から見た斜視図であり、(b)は被装着部をやや底面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る交換ブラシを示し、(a)は後方から見た背面図であり、(b)は
図5(a)の交換ブラシにおける被装着部のVb-Vb断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの断面図であり、(a)は
図1の電動歯ブラシのVIa-VIa断面図であり、(b)は
図6(a)の電動歯ブラシのVIb-VIb断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの断面の拡大図であり、(a)は
図6(a)のVIa-VIa断面図におけるモータ周辺の拡大図であり、(b)は
図6(b)のVIb-VIb断面図におけるモータ周辺の拡大図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電動歯ブラシの断面図であり、(a)は
図7(a)の電動歯ブラシのVIIIa-VIIIa断面図であり、(b)は
図7(a)の電動歯ブラシのVIIIb-VIIIb断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るブラシ体を手動歯ブラシの本体部に装着した状態の斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る
図9に示した手動歯ブラシの交換ブラシ及び本体部の接続部周辺を拡大したX-X断面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る他の構成例の電動歯ブラシについて
図7(a)の断面図に相当するモータ周辺の拡大図であり、(a)はモータ保持部を省略した変形例1を示し、(b)は把持部を化粧部材で覆った変形例2示す。
【
図12】本発明の実施形態に係る他の構成例の電動歯ブラシについて
図7(a)の断面図に相当するモータ周辺の拡大図であり、把持部及び振動柄部を化粧部材で覆った変形例3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図12を参照して説明する。
図1に示す電動歯ブラシ1は、把持部3及び振動柄部4を含む本体部2と、交換ブラシ6とを備える。以下、電動歯ブラシ1の説明において、本体部2側を後、交換ブラシ6側を前とし、ブラシ体611の先端側を上、その反対側を下として説明する。また、電動歯ブラシ1の後方から見た左側を左、その反対側を右とする。
【0010】
本体部2(把持部3,振動柄部4)及び交換ブラシ6の外周面は、交換ブラシ6におけるブラシ体611の起毛方向である上面3a,4a,6a及び下面3b,4b,6bを平坦状の側面として、前後に長尺の柱状に形成される。把持部3は、
図2、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、前後を開口させて筒状とした中空状の把持筐体部31と、把持筐体部31内に収容される内装部材32とを有する。把持筐体部31は、樹脂や金属等の硬質部材により形成される。把持筐体部31の後端部には、エンドキャップ33が装着される。エンドキャップ33は、把持筐体部31の上面3a及び下面3bと略連続した平坦状の上面及び下面を有する。エンドキャップ33には、端子孔331が設けられる。
【0011】
図2のP部拡大図に示すように、把持筐体部31の前端部には、外径が把持筐体部31よりも縮幅された筒状の小径部311が設けられる。小径部311の内部は円形孔として形成される。また、小径部311は、左右の外側面が湾曲面状に形成され、上下の外側面は上面3a及び下面3bと略平行な平坦状に形成される。従って、小径部311は、上下方向の外径幅が、他の方向(例えば、左右方向)の外径幅よりも小さく構成される。把持筐体部31の上面3aには、円板状の操作部313が設けられる。
【0012】
内装部材32は、把持筐体部31の前後に亘って長尺に形成される。内装部材32は、把持筐体部31の内周面に倣って湾曲させた筒状部321と、筒状部321の下端側から前方に延設された支持部322とを有する。支持部322の前端からは片持ち板バネ状の係合部323が突出している。係合部323は、把持筐体部31の前端側において内面から突出した内側段部と係合して、内装部材32の後方への移動を規制することができる(
図7(a)参照)。
【0013】
筒状部321の内部及び支持部322の上部には、電源ユニット5が配置される。電源ユニット5は、把持筐体部31の前後に亘って設けられる。電源ユニット5は、内装部材32に支持固定された長矩形状の回路基板51を有する。回路基板51上には、二次電池である電源52及びプッシュボタン式のスイッチ素子53が設けられる。スイッチ素子53は、把持筐体部31に設けられた操作部313を、上面3a側から押し込み操作することで間接的にオン又はオフに切り替えられ、モータ54の駆動を制御することができる。
【0014】
回路基板51は、後端側においてフレキシブル板511の一方と電気的に接続される。フレキシブル板511の他方には、正極及び負極の端子512が設けられる。端子512は、内装部材32が把持筐体部31内に装着されると、エンドキャップ33の端子孔331に挿通される。
【0015】
本実施形態の電動歯ブラシ1は、充電方式の電動歯ブラシとして構成される。電動歯ブラシ1は、エンドキャップ33から露出する端子512を介して電源52へ充電電流を供給することができる。端子512は、図示しない充電器の端子と接続して、家庭用コンセントや携帯用電源等から電力供給を受けることができる。
【0016】
振動柄部4は、振動筐体部41と、振動筐体部41の外周周りに装着される弾性部材42と、振動筐体部41内に収容されるモータ保持部43とを有する。
【0017】
振動筐体部41は、樹脂や金属等の硬質部材により中空状に形成される。振動筐体部41は、前端側に底部411を有し(
図2のQ方向から見た斜視図参照)、後端側に開口部412を有する。また、
図7(a)等にも示すように、底部411には円柱棒状の第一装着部413が固定される。第一装着部413は、後述の第二装着部7よりも外径が小さく長尺に形成される。第一装着部413は、底部411の中央側に設けられた開口部411aから前方側へ向けて突出するように配置されており、振動筐体部41よりも硬質の金属製の部材により構成することができる。また、第一装着部413は、振動筐体部41内に配置される基端側に、拡径部413aを有する。拡径部413aは、開口部411aよりも大径に形成されて、第一装着部413の外部への抜けが防止される。
【0018】
振動筐体部41から外出する第一装着部413の先端部413bには、上面側の一部に平坦部413cが形成される。また、第一装着部413は、平坦部413cと、開口部411aとの間に、外径が縮小して外周周りに凹溝状に形成された第一係合部413dを有する。第一係合部413dは、
図7(a)等に示すように断面視U字状に形成される。
【0019】
弾性部材42は、前端側及び後端側が開口した筒状に形成される。弾性部材42は、ゴム、エラストマ等により形成される。従って、弾性部材42は、把持筐体部31及び振動筐体部41よりも軟質に形成される。
【0020】
図3(a)及び
図3(b)は、それぞれモータ54を収容したモータ保持部43の平面斜視図及び底面斜視図である。モータ保持部43は、前端側及び後端側を開口させた筒状に形成される。モータ保持部43の内部空間の断面形状は、モータ54の本体部541の外形に倣った略同形状で形成される(
図8(b)も参照)。モータ54は、
図7(a)等に示すように、モータ54における本体部541の外周周りを弾性部材543で覆った状態で、モータ保持部43内に収容される。モータ54は、モータ保持部43の内壁に接して内嵌め嵌合されて固定される。
【0021】
また、モータ保持部43にモータ54を装着する際には、モータ54はモータ保持部43の前端側の開口部から挿入することができる。モータ54の後方への移動は
図3(b)に示す規制突起431により規制される。モータ54には、本体部541の後方から引き出された配線541aが回路基板51と電気的に接続されて、電源52からの電力が供給される。
【0022】
また、モータ保持部43の外周面には、前後に延設されたリブ部432が複数設けられる。モータ保持部43は、振動筐体部41内に対して、後方の開口部412側から侵入させて配置することができる。モータ保持部43は、リブ部432と当接する振動筐体部41の内壁から挟圧されて、電動歯ブラシ1の軸線周り方向の回動が規制される(
図8(b)も参照)。モータ保持部43の外周面には規制突起433が設けられる。
【0023】
交換ブラシ6は、前後に長尺に形成され、前端側にブラシヘッド61を有する。ブラシヘッド61には、上方に起毛するブラシ体611が設けられる。また、交換ブラシ6の後端面部分には、前述した振動柄部4の第一装着部413を挿入可能な被装着部62が形成される。交換ブラシ6は、第一装着部413及び被装着部62により、本体部2に対して着脱可能に装着することができる。
【0024】
ここで、
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)及び
図5(b)を参照して、被装着部62の構成について説明する。被装着部62は、本体部2の第一装着部413を装着可能な第一被装着部63と、後述する手動歯ブラシ1A用の本体部2A(
図9及び
図10参照)の第二装着部7を装着可能な第二被装着部64とを有する。第一被装着部63と第二被装着部64とは、内径及び深さの一方又は両方を異ならせて軸方向を略同じにして形成された有底の開口部として設けられる。被装着部62は、全体としてブラシヘッド61側の前方側を有底とし、後方側を開口して形成される。
【0025】
図5(b)の断面図に示すように、第一被装着部63は、上方空間部631及び係合孔632を有する。また、第二被装着部64は、上方空間部631及び係合孔632の下方に、係合孔641を有する。係合孔632は、係合孔641の底部641aよりも前方側に設けられる。また、係合孔632の下端側の開口縁は底部631aよりも後方側に設けられる。係合孔632は、上方空間部631の下方側であって、係合孔641の上方側に設けられる。換言すれば、係合孔632は、上方空間部631と係合孔641との間に設けられる。第一被装着部63の係合孔632は、第二被装着部64の係合孔641よりも内径が小さく長尺に形成される。
【0026】
第一被装着部63の上方空間部631は、
図5(a)に示すように、半円状の断面形状を有して前後に亘って配置される空間である。係合孔632は、電動歯ブラシ1の中心軸線と略同軸の位置に設けられる。係合孔632は、
図2に示した第一装着部413の先端部413b側の断面形状と略同断面に形成される。係合孔632には、第一装着部413の先端部413bを挿抜させることができる。係合孔632の上側の内壁は、平坦状に形成されており、第一装着部413の平坦部413cと略面当接して、係合孔632に挿入された先端部413bの回転が防止される。また、係合孔632の開口縁の上方に位置する底部631a側からは、板バネ状の弾発部633が後方に向けて延設される。弾発部633は、
図5(a)の後方から見て、係合孔632の軸線周りに円弧状に湾曲している。また、弾発部633の先端側(後端側)の下面には、半球状に突出した第一被係合部633aが設けられる。
【0027】
第二被装着部64の係合孔641は、略円形の断面形状を有して前後に延設される。係合孔641の上部は、上方空間部631と連通されて開口している。係合孔641の内面には、前後に亘って延設される凹溝642と、係合孔641の内部から交換ブラシ6の下面6b側に貫通した矩形状の貫通孔である第二被係合部643と、が設けられる。また、
図5(b)に示すように、係合孔641の底部641aは、上方空間部631の底部631aよりも後方側に位置している。
【0028】
次に、電動歯ブラシ1の振動柄部4周辺の内部構成について説明する。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、モータ54を収容したモータ保持部43は、振動筐体部41の内部空間である収容部414に収容される。モータ保持部43は、前方側の一部が収容部414に配置され、後方側の一部が収容部414から外出して小径部311内に配置される。従って、モータ54は、モータ保持部43を介して振動筐体部41及び小径部311の内壁に接して内嵌め嵌合されて固定される。また、電動歯ブラシ1におけるモータ保持部43の前後位置は、規制突起433が振動筐体部41の後端及び小径部311の前端と当接して、位置決めされる。モータ54の偏心錘542は、収容部414の前方側に配置される。なお、
図7(a)等に示す偏心錘542は、錘の回転軌道の領域を円柱形状で模式的に示したものであり、静止状態の錘は本体部541側から突出する回転軸に対して偏心した位置に配置される。
【0029】
振動筐体部41及び小径部311は、弾性部材42の収容部421内に収容される。弾性部材42は、振動筐体部41と共に前端位置を揃えて配置される。小径部311は、弾性部材42とモータ保持部43との間に配置される。また、把持筐体部31は、小径部311の基端側の段部311aと弾性部材42の後端部とが当接して、前後方向について位置決めされる。
【0030】
把持筐体部31及び振動筐体部41は、小径部311の前端311bと、振動筐体部41の後端41aとの間の空間に塗工された接着剤Gにより接着固定されて一体化される。また、小径部311及び振動筐体部41の内側に位置するモータ保持部43及び外側に位置する弾性部材42も、小径部311及び振動筐体部41と接着剤Gにより接着固定される。
【0031】
交換ブラシ6は、第一装着部413が第一被装着部63の係合孔632に挿入されて、本体部2に対して装着される。交換ブラシ6を装着させる場合、第一装着部413を係合孔632に挿入していくと、弾発部633の第一被係合部633aが平坦部413cに対して膨出した膨出部413eに乗り上げて、弾発部633が弾性変形して撓む。第一装着部413を更に係合孔632の奥に移動させると、第一被係合部633aは第一係合部413dに係合して弾発部633の弾性変形が元に戻り、第一装着部413が第一被装着部63に装着状態で固定される。
【0032】
なお、第一装着部413を所定以上の力で第一被装着部63から離間する方向へ引き抜くと、弾発部633は弾発力に抗して上方へ撓み、第一被係合部633aと第一係合部413dとの係合が解除される。このため、交換ブラシ6は、本体部2から所定の操作で容易に取り外すことができる。
【0033】
ここで、電動歯ブラシ1の横断面構造について説明する。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、電動歯ブラシ1の振動筐体部41は、交換ブラシ6のブラシ体611の起毛方向(上下方向Y)の外径が、他の方向(例えば、左右方向X)の外径よりも小さく形成される。振動筐体部41の外径は、把持筐体部31の外径よりも小さく(細く)形成される。
【0034】
また、把持筐体部31及び振動筐体部41は中空状に形成されており、振動筐体部41は把持筐体部31よりも一部又は全体が薄肉に形成される。
図8(b)の振動筐体部41は、交換ブラシ6のブラシ体611の起毛方向(上下方向Y)の肉厚が、他の方向(例えば、左右方向X)の肉厚よりも小さく形成される。なお、小径部311も、
図8(b)の振動筐体部41と同様の断面構造を有する(
図2のP方向から見た拡大図も参照)。
【0035】
電動歯ブラシ1の動作について、ユーザは操作部313を押下することでモータ54の振動開始及び振動停止を切り替えることができる。モータ54の振動が開始されると、モータ54の本体部541及びこれを固定しているモータ保持部43は、モータ54の偏心錘542による遠心力により、モータ保持部43を介して振動筐体部41の軸線に対し径方向外側に付勢される。振動筐体部41が受ける遠心力の向きは、上下方向Y成分(
図8(b)参照)及び左右方向X成分を含む。前述の通り、振動筐体部41は、ブラシ体611の上下方向Yに撓み易い断面構造を有しているため、交換ブラシ6の先端部に設けられたブラシヘッド61は、ブラシ体611の起毛方向(上下方向Y)に主に振動することができる。従って、ブラシ体611の先端を歯の隙間等に進入させやすく、清掃能力を高めることができる。なお、小径部311も把持筐体部31に対して撓み易く形成されて、振動筐体部41と一体的に振動することができる。
【0036】
以上のように、振動筐体部41及び小径部311は、把持筐体部31よりも撓み易い断面構造により形成される。なお、振動筐体部41の断面構造は、本実施形態に示した構成とは異なる他の形状としてもよく、例えば、振動筐体部41は把持筐体部31の断面構造よりも断面二次モーメントを小さくしたり、上下方向Yにおける断面二次モーメントを他の方向(例えば、左右方向X)よりも小さくした構成とすることができる。
【0037】
また、第一装着部413は、硬質の部材により後述の手動歯ブラシ1Aに用いられる本体部2Aの第二装着部7(
図9参照)よりもブラシヘッド61側へ比較的長く形成される。そのため、振動発生手段であるモータ54側から発生した振動を交換ブラシ6のブラシヘッド61側へ確実に伝達することができる。
【0038】
また、電動歯ブラシ1は、振動筐体部41及び小径部311の外周周りに弾性部材42を設けたため、交換ブラシ6及び振動柄部4側が本体部2に対して相対的に振動して変位しても、振動筐体部41の周囲における防塵性或いは防水効果を確保することができる。また、モータ54の回転周波数は、交換ブラシ6のブラシヘッド61側の振幅が大きくなるように(例えば、交換ブラシ6が装着された状態の振動筐体部41の共振周波数と略一致するように)設定することができる。
【0039】
次に、
図5、
図9及び
図10を参照して、交換ブラシ6を、振動発生手段を含まない本体部2Aに装着して手動歯ブラシ1Aを構成する例について説明する。本体部2Aは、樹脂製により単体部品として構成することができる。本体部2Aの外形状及び大きさは、
図1等に示した本体部2と略同様である。
図9の本体部2Aの拡大図に示すように、本体部2Aの前端には、平坦部2A1と、この平坦部2A1から前方に延設された円柱棒状の第二装着部7とが設けられる。第二装着部7の前端側の下面には、下方に突出する第二係合部71が設けられる。
【0040】
図10は、手動歯ブラシ1Aにおける交換ブラシ6及び本体部2Aの接続部周辺を拡大したX-X断面図である。交換ブラシ6は、第二装着部7が第二被装着部64の係合孔641に挿入されて、本体部2Aに対して装着される。第二係合部71を含む第二装着部7の上下幅は、係合孔641の底部から第一被係合部633a迄の上下幅よりもやや大きく形成される。
【0041】
交換ブラシ6を装着させる場合、第二装着部7の第二係合部71を凹溝642に合わせて挿入して、前方に位置する内部の壁面(底部641a)と第二装着部7の先端面とが当接した状態で、交換ブラシ6を回転させることで、第二係合部71が凹溝642と第二被係合部643の間の山642a(
図5(a)及び
図5(b)に示す凹溝642の縁部)を乗り越え、第二被係合部643に移動することで係合固定される。交換ブラシ6を本体部2Aから取り外すときも同様に、交換ブラシ6を反対方向に回転させることで、第二係合部71が第二被係合部643と凹溝642との間の山642aを乗り越え、凹溝642に移動することで、交換ブラシ6を引き抜くことができるようになる。第一装着部413に比べて、第二装着部7が短いため、一般的には固定強度が得られないが、挿入用の凹溝642と固定用の第二係合部71とを備えたことで、固定強度を得ることができる。これにより使用時に交換ブラシ6が外れないように本体部2Aに対して強固に固定できる。
【0042】
なお、本体部2Aの第二装着部7は、第一装着部413よりも外径が大きく短尺に形成される。従って、第二装着部7を樹脂等の第一装着部413よりも軟質材料で形成しても、高い強度を確保することができる。
【0043】
前述した特許文献1の電動歯ブラシに用いられる交換ブラシは、本体部側に設けられた棒状の装着部に対して装着される。しかしながら、装着部の形状や長さは本体部の種類により異なる場合があり、ユーザが任意の本体部と組み合わせて、多様な電動歯ブラシ又は手動歯ブラシを構成することが難しい場合がある。
【0044】
本実施形態の交換ブラシ6は、第一装着部413を係合可能な第一被装着部63と、第一装着部413と異なる形状の第二装着部7を係合可能な第二被装着部64と、を含む被装着部62を有する構成とした。そのため、交換ブラシ6を共通にして様々な本体部に装着可能とし、選択性の高い手動歯ブラシ又は電動歯ブラシを構成することができる。
【0045】
例えば、様々な形態の交換ブラシ6と、本体部2をそれぞれ複数種類用いて、任意に組み合わせることで電動歯ブラシ又は手動歯ブラシとしての全体構成を任意に選択することができる。交換ブラシ6は、ブラシヘッド61又はブラシ体611の機能や外観を変更した複数種を用いることができる。また、本体部2,2Aも、機能、外観、質感等を変更した複数種を用いることができる(後述の本体部2B~2Dも参照)。さらに、手動歯ブラシ又は電動歯ブラシの構成の一部を消耗品である共通の交換ブラシ6とすることで、製造や流通のコストを低減することができる。
【0046】
(変形例1)
次に、本実施形態の変形例1について説明する。
図11(a)は、
図7(a)の断面図に相当する、変形例1に係る電動歯ブラシ1Bの振動柄部4B周辺の拡大図である。なお、電動歯ブラシ1Bの説明において、電動歯ブラシ1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0047】
電動歯ブラシ1Bは、電動歯ブラシ1におけるモータ54よりも、小型の偏心錘542Bを有するモータ54Bを備える。偏心錘542Bは、本体部541と同程度の外径又は本体部541よりも小径に形成される。また、振動筐体部41Bは、電動歯ブラシ1における振動筐体部41よりも、肉厚が厚く、収容部414Aの内径が小さく形成される。振動筐体部41Bの外径は、振動筐体部41と略同じである。
【0048】
変形例1の電動歯ブラシ1Bでは、
図7(a)等に示したモータ保持部43が省略される。モータ54Bは、本体部541の外周に巻回された弾性部材543が振動筐体部41B及び小径部311Bと内側から当接する。従って、モータ54Bは、振動筐体部41B及び小径部311Bに対して接着剤Gにより接着固定される。電動歯ブラシ1Bでは、主に振動筐体部41Bによりモータ54Bを保持しているため、電動歯ブラシ1よりも簡易な構成で振動柄部4Bを構成することができる。
【0049】
また、変形例1においても、把持筐体部31に前方部には、段部311aが設けられて、小径部311B及び振動筐体部41Bの外径は、把持筐体部31の外径よりも小さく(細く)形成される。従って、振動筐体部41B及び小径部311Bは把持筐体部31よりも容易に撓むことができ、電動歯ブラシ1Bは高い清掃力を得ながら小型化することができる。
【0050】
(変形例2)
次に、本実施形態の変形例2について説明する。
図11(b)は、
図4(a)の断面図に相当する、変形例2に係る電動歯ブラシ1Cの振動柄部4C周辺の拡大図である。なお、電動歯ブラシ1Cの説明において、電動歯ブラシ1,1Bと同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0051】
電動歯ブラシ1Cの把持筐体部31Cは、
図6(a)等に示した把持筐体部31よりも、外径が小さく、内装部材32等が収容される内部空間の内径は略同径で形成される。把持筐体部31Cは、前方側に配置される弾性部材42よりも外径が小さく形成される(
図11(b)のR部拡大図も参照)。把持筐体部31Cの外側面には、化粧部材21が配置される。化粧部材21は、後端側に底部を有して前端側を開口させた、筒状に形成される。従って、把持筐体部31は、化粧部材21により外周周りが覆われている。化粧部材21は、例えば、把持筐体部31Cよりも軟質の異なる材質としたり、弾性部材42と異なる材質で構成することができる。また、化粧部材21の外周面には凹凸や模様を施してもよい。
【0052】
把持筐体部31Cの後端側に配置されるエンドキャップ33Cは、把持筐体部31Cと共に化粧部材21内に収容される。端子512は、端子孔331と同じ位置で開口した開口部(詳細は不図示)により化粧部材21の後端側から露出している。なお、化粧部材21を筒状に形成し、エンドキャップ33Cの外周及び後端部には化粧部材21を配置しない構成としてもよい。
【0053】
このように、電動歯ブラシ1Cは、化粧部材21を設けることで外観や質感等の設計自由度を向上させることができる。また、電動歯ブラシ1Cは、小径部311及び振動筐体部41の外径が、把持筐体部31Cの外径よりも小さく(細く)形成される。また、小径部311及び振動筐体部41は、把持筐体部31Cよりも薄肉に形成される。従って、振動筐体部41及び小径部311は把持筐体部31Cよりも容易に撓むことができ、電動歯ブラシ1Cは高い清掃力を得ながら小型化することができる。
【0054】
(変形例3)
次に、本実施形態の変形例3について説明する。
図12は、
図4(a)の断面図に相当する、変形例3に係る電動歯ブラシ1Dの振動柄部4D周辺の拡大図である。なお、電動歯ブラシ1Dの説明において、電動歯ブラシ1,1B,1Cと同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0055】
電動歯ブラシ1Dの把持筐体部31Dは、
図6(a)等に示した把持筐体部31よりも外径が小さく、内装部材32等が収容される内部空間の内径は略同外径で形成される。弾性部材42Dの前端部はフランジ状に大径となるように形成されている。また、弾性部材42Dは後方側の大部分に小径部422を有する。変形例3では、この小径部422と把持筐体部31Dとは、略同外径に形成される(
図12のS部拡大図も参照)。
【0056】
小径部422及び把持筐体部31Dの外周側には、化粧部材22が配置される。化粧部材22は、変形例2の化粧部材21と同様に、後端側に底部を有して前端側を開口させた、筒状に形成される。従って、把持筐体部31Dは、化粧部材22により外周周りが覆われている。化粧部材22は、例えば、把持筐体部31Dよりも軟質の異なる材質としたり、又は弾性部材42Dと異なる材質で構成することができる。また、化粧部材22の外周面に凹凸や模様を施してもよい。
【0057】
従って、電動歯ブラシ1Dは、化粧部材22を設けることで、振動柄部4D側においても外観や質感の意匠の設計自由度を向上させることができる。電動歯ブラシ1Dは、小径部311及び振動筐体部41の外径が、把持筐体部31Dの外径よりも小さく(細く)形成される。また、小径部311及び振動筐体部41は、把持筐体部31Dよりも薄肉に形成される。従って、振動筐体部41及び小径部311は把持筐体部31Dよりも容易に撓むことができ、電動歯ブラシ1Dは高い清掃力を得ながら小型化することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態で説明した電動歯ブラシ1,1B~1Dは、振動発生手段を交換ブラシ6と、本体部2,2B~2Dとの間に配置して、振動柄部4,4B,4D側を把持部3,3C,3D側に比べて撓み易い構成としたため、ブラシ体611側に振動が伝わりやすく清掃力を高めた小型の電動歯ブラシ1,1B~1Dとすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されることは無く、種々変更を加えて実施することができる。例えば、電動歯ブラシ1,1B~1Dは、把持筐体部31,31C,31Dと、振動筐体部41,41Bとを接着剤Gにより一体化する構成としたが、把持筐体部31,31C,31Dと振動筐体部41,41Bは単一部品により一体化した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1B~1D 電動歯ブラシ 1A 手動歯ブラシ
2,2A~2D 本体部 2A1 平坦部
3,3C,3D 把持部 3a 上面
3b 下面 4,4B~4D 振動柄部
4a 上面 4b 下面
5 電源ユニット 6 交換ブラシ
6a 上面 6b 下面
7 第二装着部 21 化粧部材
22 化粧部材 31,31C,31D 把持筐体部
32 内装部材 33,33C エンドキャップ
41 振動筐体部 41B 振動筐体部
41a 後端 42,42D 弾性部材
43 モータ保持部 51 回路基板
52 電源 53 スイッチ素子
54,54B モータ 61 ブラシヘッド
62 被装着部 63 第一被装着部
64 第二被装着部 71 第二係合部
311,311B 小径部 311a 段部
311b 前端 313 操作部
321 筒状部 322 支持部
323 係合部 331 端子孔
411 底部 411a 開口部
412 開口部 413 第一装着部
413a 拡径部 413b 先端部
413c 平坦部 413d 第一係合部
413e 膨出部 414,414A 収容部
421 収容部 422 小径部
431 規制突起 432 リブ部
433 規制突起 511 フレキシブル板
512 端子 541 本体部
541a 配線 542,542B 偏心錘
543 弾性部材 611 ブラシ体
631 上方空間部 631a 底部
632 係合孔 633 弾発部
633a 第一被係合部 641 係合孔
641a 底部 642 凹溝
642a 山 643 第二被係合部
G 接着剤 X 左右方向
Y 上下方向