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  • 特開-成形用樹脂組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061373
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】成形用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20220411BHJP
   A47G 19/00 20060101ALI20220411BHJP
   A47G 21/02 20060101ALI20220411BHJP
   A47G 21/04 20060101ALI20220411BHJP
   A47G 21/10 20060101ALI20220411BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C08L101/00
A47G19/00 A
A47G21/02 Z
A47G21/04 Z
A47G21/10 B
C08K3/26
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169342
(22)【出願日】2020-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】520204364
【氏名又は名称】株式会社アクティス
(71)【出願人】
【識別番号】592227575
【氏名又は名称】ヤマト化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 好広
(72)【発明者】
【氏名】荒川 博史
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 篤郎
(72)【発明者】
【氏名】窪田 雅紀
【テーマコード(参考)】
3B001
3B115
4J002
【Fターム(参考)】
3B001AA01
3B001AA11
3B001CC36
3B001DA10
3B115AA28
3B115BA02
3B115BA06
3B115BA12
3B115DA00
4J002AA021
4J002CC181
4J002CC191
4J002DE236
4J002FD016
4J002GC00
4J002GG00
(57)【要約】
【課題】環境への負荷が低減され、かつ製品コスト、製造コストを抑え、安全で繰り返し使用できる、より環境負荷の少ないバイオマス主成分の成形品を提供すること。
【解決手段】生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物。
【請求項2】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形する成形方法。
【請求項3】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形し、得られた成形物の表面にコーティング層を設ける成形方法。
【請求項4】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形物の表面にコーティング層を設けてなる成形物。
【請求項5】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する食器の、食材と接触する面にコーティング層を有する食器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物、及びその成形用樹脂組成物を用いた成形方法、及びその成形方法により得られた成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動が問題視され、その中に於いて樹脂の環境問題が取り上げられ、石油資源由来原材料に代えて環境負荷の少ない生物由来資源を活用する観点からバイオマス製品の開発が注目されている。
その例として貝加工工場や割卵工場等で出る貝殻や卵殻を粉末状にした、炭酸カルシウムフィラーが活用されている。
この貝加工工場や割卵工場等で出る貝殻や卵殻は、生物由来の物質であるため、仮に産業廃棄物として焼却処理や廃棄処理されても、環境負荷はカーボンニュートラルであり、環境への影響は少ない。
しかし、その多くは石油資源由来原材料樹脂材を多量に使用し、それに少量の生物由来原料を混合することが検討され、かつ比較的環境負荷の少ない製品でありながら、その多くは使い捨て(ワンウエイ)製品とされることが多い。その結果として廃棄物全体としては依然として環境負荷が大きい物質といえる。
さらに、基本的に樹脂製の食器は軽量であるため、仮に無機充填剤を含有させたとしても、成形品の機械的物性を考慮して、無機充填剤の含有量は少量に留まっていた。
【0003】
特許文献1に記載のように、メラミン系樹脂とロックウール、ガラス繊維、合成繊維、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、石膏、ガラス粉等の有機又は無機充填剤、顔料や可塑剤等を含有する食器用成形材料は公知であるが、メラミン系樹脂100重量部に対してこの有機又は無機充填剤を0~20重量部含有するに留まる。
この場合、メラミン系樹脂の使用量が多いので環境負荷が高く、かつ食器等の手に持って使用する成形品としたときに、適度な重みがないため、高級感に欠ける可能性がある。
特許文献2に記載のように、メラミン系樹脂にポリイソシアネートを配合し、さらに炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムを含有する食器用成形材料は公知であるが、実際には、この成形材料中の炭酸カルシウムの含有量は未だ少ない。このため、上記特許文献1に記載の成形材料と同様に、環境負荷が高く、かつ食器等の手に持って使用する成形品としたときに、適度な重みがないため、高級感に欠ける可能性がある。
特許文献3に記載のように、メラミンフェノールホルムアルデヒド樹脂100部と炭酸カルシウム等の無機質充填剤20~150重量部を含む成形用樹脂組成物であり、その成形用樹脂組成物による象牙製品様の印鑑、櫛、ブローチや麻雀牌は公知である。しかし、炭酸カルシウム等として生物由来のものを採用することや、食器等の食品用の成形品までは記載されておらず、さらに産業廃棄物として扱われている生物由来の炭酸カルシウムの有効な再利用は考慮されていない。
さらに、樹脂含有組成物を食器等に使用する場合には、食品衛生及び容器の安全性の観点から使用できる材料が制約され、その制約された材料の組合わせのなかで、最適化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-213615号公報
【特許文献2】特開平11-209452号公報
【特許文献3】特開昭53-8651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決する課題は、環境への負荷が低減され、かつ製品コスト、製造コストを抑え、安全で繰り返し使用できる、より環境負荷の少ないバイオマス主成分の成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、生物由来の炭酸カルシウム粉末を含有する特定の成形用樹脂組成物とすることにより、上記課題を解決し、得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物。
2.生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形する成形方法。
3.生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形し、得られた成形物の表面にコーティング層を設ける成形方法。
4.生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形物の表面にコーティング層を設けてなる成形物。
5.生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する食器の、食材と接触する面にコーティング層を有する食器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の成形用樹脂組成物、成形用樹脂組成物を用いた成形方法及びその方法により得た成形物は、食品衛生法に適合させることができ、表面の耐汚染性に優れる。さらに、生物由来の炭酸カルシウム粉末を、特に繰り返し使用可能な成形物用に採用することによって、環境への負荷をさらに低減できるという効果を発揮できる。
さらに、成形物の比重を高くすることができるので、食器等として手に持って使用する際の重みが適切であり、使用者がより高級感を感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一般的な熱硬化性樹脂成形品のコーティング成形品を製造する成形工程を示す図である。
図2】一般的な熱硬化性樹脂成形品の絵付けとコーティング成形による成形品を製造する成形工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の成形用樹脂組成物、成形用樹脂組成物を用いた成形方法及びその方法により得た成形物について、以下に順に説明する。
[成形用樹脂組成物]
本発明における成形用樹脂組成物は、生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を基本とする。
成形用樹脂組成物により成形される製品は、皿やお椀等の食器、箸、スプーン及びフォーク等のカトラリー、トレー、まな板、お玉、フライ返し、しゃもじ、スパチュラ等の調理用具、容器、蓋、弁当箱等の食品用であることが好ましい。
【0010】
(生物由来の炭酸カルシウム粉末)
本発明における生物由来の炭酸カルシウム粉末は、貝殻や卵殻に由来するものである。合成炭酸カルシウム粉末は生物由来ではなく、さらに石灰石に由来する炭酸カルシウムはもともと有孔虫やサンゴ等に由来するが、本発明ではこれも生物由来とはしない。
生物由来の炭酸カルシウム粉末は公知の方法により、食品加工等において廃棄物とされる貝殻や卵殻から、洗浄、卵殻膜等の不要な物質の除去、乾燥(場合により加熱又は焼成)及び粉砕の各工程を経て製造される。生物由来の炭酸カルシウム粉末は、炭酸カルシウムの他に少量の炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を含有する。
貝殻や卵殻を廃棄物として焼却したり、産業廃棄物等として他の処理を行うことよりも、本発明において、生物由来の炭酸カルシウム粉末を活用することにより、環境負荷を低減させることができる。
中でも特に卵殻由来の炭酸カルシウム粉末を採用することが好ましい。卵殻は気孔を有しているため、その気孔にバインダー樹脂成形材料の樹脂分が入り込み易く、さらに粒子径に対して比表面積が大きく、バインダー樹脂との絡みが強固になり易い。
その結果として、卵殻由来の炭酸カルシウム粉末を含有する成形用樹脂組成物により成形した成形品は、そうではない炭酸カルシウム粉末を含有する場合よりも、剛性、折り曲げ強度等の機械的物性に優れる傾向にある。
【0011】
生物由来の炭酸カルシウム粉末は、比表面積が2000~5000cm/cmであることが好ましく、中でも2500cm/cm以上がより好ましく、3000cm/cm以上がさらに好ましい。また、4600cm/cm以下がより好ましく、4400cm/cm以下がさらに好ましい。
2000~5000cm/cmとすることにより、炭酸カルシウム粉末とそれより少量の熱硬化性樹脂成形材料をより均一になじませることができる傾向にある。
【0012】
さらに、メジアン径が20.0~50.0μmであるものが好ましく、さらに25.0μm以上がより好ましい。また40μm以下がより好ましい。メジアン径が20.0~50.0μmであると、生物由来の炭酸カルシウム粉末が有する気孔を壊さずに、かつ、より均一に分散させる可能性がある。
また、生物由来の炭酸カルシウム粉末としては焼成したものよりも未焼成のものが好ましい。未焼成のもののほうが、若干でも有機化合物成分を含むために、熱硬化性樹脂成形材料及び熱可塑性樹脂成形材料のいずれに対しても密着性に優れる可能性がある。
但し、表面をワックス、被膜形成用樹脂、脂肪酸やロジン酸で処理しても良いが、しなくても良い。
【0013】
そして、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、成形用樹脂組成物中に主成分として含有される。そのため、成形用樹脂組成物中50.0~65.0重量%の含有量で含有させることが好ましく、中でも50.5重量%以上がより好ましく、51.0重量%以上がさらに好ましい。また60.0重量%以下がより好ましく、53.0重量%以下がさらに好ましい。
卵殻由来の炭酸カルシウム粉末は表面に気孔を有するため、この気孔中に成形用樹脂が浸透できるので、上記のように成形用樹脂組成物中50.0~70.0重量%と高含有量で配合しても、樹脂と炭酸カルシウム粉末を十分に密着させることができ、結果的に成形体が十分な強度を有することができる。さらに、このような高配合量で生物由来の炭酸カルシウム粉末を含有することにより、お椀や皿等の食器として使用する場合には、より重みを有する食器にすることができるため、食事の際に手で持つと重さを感じることができ、より重厚感や高級感を感じる食器にすることができる。
【0014】
(熱硬化性樹脂成形材料)
本発明にて使用できる熱硬化性樹脂成形材料としては周知のものを使用できる。中でも、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、グアナミン系樹脂、フェノール樹脂を使用することが好ましいが、さらにメラミン系樹脂がより好ましい。
・メラミン系樹脂
メラミン系樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとを反応せしめて得られるメラミン樹脂;メラミン、ホルムアルデヒドおよびこれらと共縮合可能なメラミン共縮合用成分を反応せしめて得られるメラミン共縮合樹脂;該メラミン樹脂および/または該メラミン共縮合樹脂に対して、これら以外の熱硬化性よりなるブレンド用樹脂成分をブレンドしたメラミン系ブレンド樹脂を挙げることができる。
【0015】
上記メラミン共縮合用成分としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などの尿素類;ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン、フェニルアセトグアナミン、CTUグアナミンなどのグアナミン類;およびグアニジン、ジシアンジアミド、パラトルエンスルホンアミドなどのその他のアミノ化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ビスフェノールAなどのフェノール類;キシレン、サッカロースなどのその他のメラミン共縮合用化合物などを挙げることができ、これらの成分を併用できる。
【0016】
前記ブレンド樹脂成分としては、例えば、尿素系樹脂、グアナミン系樹脂、フェノール系樹脂(ノボラック型、レゾール型)、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂;塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などの熱可塑性樹脂などを挙げることができる。
【0017】
前記のメラミン共縮合樹脂においては、得られる成形品の表面硬度、耐光性、耐候性、耐熱性、耐汚染性などの観点から、メラミンに対する前記メラミン共縮合成分の比率は、モル比で約0.7以下で且つ重量比で約1.0以下であることが好ましく、また、メラミン系ブレンド用樹脂におけるメラミン樹脂および/またはメラミン共縮合樹脂に対するブレンド用樹脂成分の重量比は、同様の観点から約1.0以下であることが好ましい。
【0018】
前記のメラミン樹脂またはメラミン共縮合樹脂は、メラミン単独またはメラミンと前記メラミン共縮合用成分の合計量1モルに対して、ホルムアルデヒドを1.0~3.0モル反応させるのが好ましく、1.4~2.5モル反応させるのが特に好ましい。
【0019】
本発明に用いられるメラミン系樹脂成形用樹脂組成物は、前記のメラミン系樹脂とともに通常パルプを含有する。
上記パルプとは、通常、紙、化学繊維、セルロース性樹脂などの原料になる、セルロース原料から導かれたα-セルロースを主成分とする鎖状高分子をいい、一般に工業的には木材、リンタを処理したセルロース原料から製造した繊維が用いられる。
【0020】
前記パルプの配合量は、メラミン系樹脂100重量部に対して20~50重量部、特に20~45重量部であることが好ましい。該配合量が50重量部以下であれば、得られる組成物の流動特性および最小賦型圧特性などの成形適性が優れているので好ましく、一方、20重量部以上であれば、得られる成形品の曲げ強さや耐クラック性などの機械強度が低下することがないので好ましい。
【0021】
また、本発明の熱硬化性樹脂成形材料は、該組成物の性能を阻害しない範囲において、所望する目的に応じて、他の適宜な添加剤を含有することができる。ただし、澱粉や生分解性樹脂を含有させてもよく、させなくても良い。
このような添加剤の例としては、例えば、ロックウール、ガラス繊維、合成繊維、タルク、クレー、シリカなどの如き有機または無機充填剤(生物由来ではない炭酸カルシウムは除く);例えば、無水フタル酸、p-トルエンスルホン酸、蓚酸ジメチル、蓚酸ジベンジル、フタル酸ジメチル、ベンゾイルパーオキサイド、p-トルエンスルホン酸トリエタノールアミン塩、2-アミノエチルスルホン酸、塩酸ジメチルアルリンスルホン酸、蓚酸メラミン、塩化アンモン、燐酸アンモニウム、燐酸トリメチル、アセトアミド、オキザミドなどの硬化触媒類;例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ベンガラ、紺青、硫酸バリウム、鉄黒、群青、カーボンブラック、リトポン、チタンイエロー、コバルトブルー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、レーキレッド、アニリンブラック、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの無機または有機顔料類;例えば、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ブチルステアレート、ステアリルステアレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリン酸アミド、ε-カプロラクタム、オレイン酸アミド、リノール酸アミド、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンステアレート、グリセリン、ポリエチレングリコールモノオレートなどの滑剤または可塑剤を例示することができる。
但し、水酸化カルシウム粉末やワックス、タルク、クレー、シリカなどの如き有機または無機充填剤を含有しない。
【0022】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料は、例えば、次に述べる所謂ウエット法で好適に調製することができる。
例えば、メラミン粉末1モル、または該メラミンおよび前記メラミン共縮合用成分の合計1モルに対して、例えば、濃度36%のホルムアルデヒド水溶液および/またはパラホルムアルデヒドのような形で、ホルムアルデヒド約1~2.5モル程度の反応モル割合で、水性溶媒中、pH約7~9程度で反応させてメラミン樹脂の水溶液、例えば、樹脂濃度約40~60重量%程度のメラミン系樹脂水溶液を製造し、これにパルプを該メラミン系樹脂100重量部に対して25~50重量部となるように加えて混練し、例えば70~100℃程度の温度で乾燥して、例えば、径が約3~0.5cm程度のポップコーン状予備乾燥物とし、これを必要に応じて、他の有機または無機充填剤、硬化触媒類、無機または有機顔料および滑剤または可塑剤などの各種の配合物、さらに必要に応じて前記ブレンド樹脂成分とともに粉砕処理して、粉末状の熱硬化性樹脂成形材料を得ることができる。
また、本発明による効果を阻害しない範囲で、生物由来ではない炭酸カルシウム粉末を配合することができる。
【0023】
上記ポップコーン形成の際の混練手段としては、ニーダー、コニーダーなどが利用でき、また乾燥手段としては、熱風乾燥、ハンドドライヤー乾燥、流動乾燥などを例示することができる。
【0024】
前記粉砕処理は、例えば、衝撃式ハンマーミル、ボールミル、振動ミル、タワーミルの如き手段で行なうことができる。望むならば、例えば、衝撃式ハンマーミルで予備粉砕処理したのち、さらにボールミル、振動ミル、タワーミルの如き手段で微粉砕処理して行なうこともできる。
【0025】
また、粉末状熱硬化性樹脂成形材料の製造法としては、前記方法で製造したメラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂の水溶液を適宜公知の方法で乾燥し、必要に応じて粉砕して粉末状メラミン系樹脂とし、これに、粉末パルプおよび必要に応じて使用する前記ブレンド樹脂成分及び各種配合物を、例えば、ボールミル、V型混合機、スーパーミキサー、ナウターミキサー、タンブラー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサーなどの慣用の混合機を用いて均質に混合する所謂ドライ法を挙げることができる。
【0026】
さらに、前記ウエット法と該ドライ法とを折衷した方法も採用することができ、これらの方法としては、例えば、ウエット法によるポップコーン状予備乾燥品、粉末または固形メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂、粉末パルプおよび必要に応じて使用する前記各種配合物、さらに必要に応じて前記ブレンド樹脂成分を前記の粉砕手段により粉砕混合する方法、これらの成分をそれぞれ予め破砕などの手段により粉末としたのち、上記の混合機を用いて混合する方法などを例示できる。
【0027】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂成形材料は、以上のようにして得られた粉末状樹脂組成物を公知の方法により粒状化することもできる。このような方法としては、例えば、該組成物を一旦押出機、加熱ロール機などで加熱混練し、得られる予備成形物を再粉砕する方法、および、例えば、該組成物を加熱することなく圧縮して、シート状、タブレット状などの予備成形物とし、これを再粉砕する方法などを挙げることができる。
【0028】
(圧縮成形)
樹脂の成形方法には、一般に圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などがあるが、中でも本発明の成形用樹脂組成物は圧縮成形により成形して食器とすることができる。
圧縮成形法は熱と圧力を加え成形する方法で、成形用樹脂組成物を加熱した金型(160~175℃)の中に入れ、圧縮成形機によって加圧(150~200kgf/cm)して形を作る。これを一次工程或いは一次成形という。
得られた成形物表面に任意に絵付けをする場合には、この工程の後に絵柄を印刷し樹脂(メラミン樹脂)を含浸させた紙(フォイル)を、成形品の所定の位置に置き、金型で加圧、加熱して二度目の圧縮成形を行う。これを二次工程或いは二次成形という。
このような圧縮成形により、可塑化工程、射出工程、流動・賦形工程および硬化・固化工程を経て成形品となる。
【0029】
可塑化工程では、成形用樹脂組成物が加熱手段により可塑化される。この加熱手段は、圧縮成形およびトランスファー成形では金型からの伝熱または金型外からの予備加熱である。可塑化された成形用樹脂組成物は、金型の型締でさらに伝熱されることにより金型内に流動し、賦形され硬化し、三次元構造となり不溶不融化されて完全に固化した成形品となる。
本発明の成形用樹脂組成物は、炭酸カルシウム粉末の中でも、生物由来、特に気孔を有する卵殻由来の炭酸カルシウムを選択することにより、可塑化工程における成形用樹脂組成物は流動性が高い。そのため、金型内にて流動しやすく、予定された形状の成形品にすることができる。なお、炭酸カルシウムの中でも、合成や鉱物から得たものは、可塑化工程における成形用樹脂組成物は流動性が低下する。そのため、目的とする成形品の形状や大きさによっては、合成や鉱物から得た炭酸カルシウムを採用すると十分に成形することができない。
【0030】
(コーティング層)
本発明では、上記により得た成形物の表面全体あるいは一部表面を、さらにメラミン系樹脂等によってコーティングする。成形物が食器、調理用具等の食品と接触するものであるときには、その表面のうち、特に食材と接触する面にコーティング層を設けることが好ましい。
コーティング層を形成する目的は、成形物の用途が食器等の食品と接触する用途である場合、食品が含有する酸性の物質と触れる可能性があり、その場合、成形物に含有される生物由来の炭酸カルシウム粉末が酸性物質と反応して分解し、成形物が表面から劣化することを防止することにある。また、食品衛生上の観点でも、耐汚染性や耐染色性を向上させて、汚染や染色を防止するためにコーティング層を設けることが好ましい。但し、成形物を乾燥したお菓子等の水分量が少ない食品を入れる用途に使用する場合等、耐汚染性や耐染色性をそれほど求めない場合には、必ずしもコーティング層を設けなくても良い。
このコーティングに用いるメラミン系樹脂としては、特に限定されるものではなく、前記のメラミン系樹脂水溶液を適宜公知の方法で乾燥して得た粉末状のメラミン系樹脂、該メラミン系樹脂水溶液を適宜濃縮または希釈したもの、または該粉末状のメラミン系樹脂を適宜な有機溶媒に溶解したメラミン系樹脂有機溶媒溶液などを用いることができる。またメラミン樹脂を採用することが食品安全の点で好ましく、かつ成形物が含有する樹脂と同様の樹脂であるために、成形物表面との密着性に優れる。
なお、食器等のように、表面と裏面、又は内面と外面を有する成形物については、表面又は裏面のみ、端部を含む表面と裏面の全面、内面又は外面のみ、端部をふくむ内面と外面の全面にコーティング層を設けることができる。
【0031】
粉末状メラミン系樹脂を用いる場合には、前記成形品成形工程で、硬化が完了する前に一旦金型を開いて該成形品の表面に該粉末状メラミン系樹脂を供給し、速やかに金型を閉じて成形品及びメラミン系樹脂コーティング層の硬化を完了させる方法が好適に採用できる。
【0032】
メラミン系樹脂の水溶液または有機溶媒溶液を用いる場合には、前記のメラミン系成形用樹脂組成物を成形して得られた成形品に、メラミン系樹脂溶液を適宜公知の方法、例えば、ハケ塗り、スプレーコーティングなどの方法により塗工し、公知の方法により乾燥・硬化させて該成形品の表面の所望の部分にメラミン系樹脂のコーティング層を設ける。
コーティング層は長期の使用によっても、損傷や剥離、摩耗により、下地である成形体表面が露出しにくい程度の厚みを有することが必要である。そのため、10~500μm程度の厚さが好ましく、80~200μmの厚さがより好ましい。
また、上記の粉末状メラミン系樹脂を用いる場合と近似した方法、すなわち成形工程で同様に金型を開き、該粉末状メラミン系樹脂を成形品表面に供給する代わりに、メラミン系樹脂溶液を刷毛塗り又はスプレーコーティング等の公知の方法により該成形品表面に塗工し、以下同様に金型を閉じて成形品及びメラミン系樹脂コーティング層の硬化を完了させる方法も採用できる。
【0033】
コーティング用のメラミン系樹脂としては、得られる成形品の表面光沢及び耐汚染性の良さ等の理由から、粉末状のメラミン系樹脂を用いるのが好ましく、前記メラミン樹脂またはメラミン共縮合成分としてベンゾグアナミンなどを用いたメラミン共縮合樹脂などの使用が好ましい。
このように、本発明におけるコーティング層として、粉末状のメラミン系樹脂を用いる場合には、成形操作の容易さ、得られる成形品の外観の良さなどの観点から、成形品の成形には圧縮成形法を採用するのが好ましい。またこの場合、メラミン系樹脂成形用樹脂組成物は、成形サイクルの短縮化、成形の容易さ、得られる成形品外観の良さなどの観点から、圧縮成形に先立って、成形材料を高周波予熱機などを用いて予熱するのが好ましい。
【0034】
また、メラミン系樹脂等を使用したコーティング層形成用の組成物には、求める外観、強度等の点において、必要に応じて前記の硬化触媒類、無機または有機顔料、体質顔料類、滑剤などを含有させることができる。また、炭酸カルシウム、その他の体質顔料等の含有割合を調整することにより、コーティング層の外観の光沢を求める程度のものにできる。
【0035】
このようなコーティング処理を行うことにより、食品衛生法による、合成樹脂製の器具または容器包装の規格基準(平成18年3月31日 厚生省告示第201号や平成28年厚生労働省告示245号)に適合させることができ食事用具に供することができる。コーティング処理しない場合、溶出試験の蒸発残留物規格の4%酢酸で不適合となる可能性があるため、特に食品と接触する側にはこのコーティング処理が必要である。
なお、一般的な圧縮成形では成形品の片面だけコーティング処理できるが、成形品の着色等を改善するためには、例えば国際公開2007/015565号(熱硬化性樹脂成形品の製造方法及び装置)や、特開2009-178861号公報(両面加飾熱硬化性樹脂成形品の製造方法及び装置)に記載の方法により、製品の表面と裏面に処理することが好ましい。
【0036】
上記の成形とコーティング層の形成の工程を、図1及び2に示す。
図1の工程(A)及び(B)では、上金型(1)と下金型(2)を用いて、下金型上に食器本体用の熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂(3)を載置し、上金型を閉じ、特定の圧力、温度、時間で一次圧縮成形して予備成形物(4)を得る。
次いで工程(C)では、一次圧縮成形後に上金型(1)を開いた状態で、予備成形物(4)の表面に対して、被覆材料(5)を載置する。次いで、工程(D)では、上金型(1)を閉じ、特定の圧力、温度、時間で二次圧縮成形して予備成形物(4)上に被覆層(6)を成形する。
最後に工程(E)では、表面被覆された成形品(7)を取り出す。
【0037】
図2は絵柄付きの被覆コーティングされた成形品の成形工程である。
工程(A)及び(B)の後、工程(F)では、文字、絵柄、模様等の印刷を施した紙に例えばメラミン系樹脂を含浸した化粧紙、即ちフォイル(8)を、予備成形物(4)に載置し、工程(G)では上金型(1)を閉じ、特定の圧力、温度、時間で二次圧縮成形して予備成形物(4)上に成形品の内面フォイル(9)を成形し、工程(H)では、予備成形物(4)にフォイル(8)が予備成形された成形品の内面フォイル(9)に、透明な被覆材料(5)を載置し、工程(I)では、上金型(1)を閉じ、特定の圧力、温度、時間で三次圧縮成形して成形品の内面フォイル(9)が成形された予備成形物(4)上に被覆層(6)を成形して、工程(J)では、内面フォイルと内面被覆層を設けた成形品(11)を得る。
なお、これらの成形時の温度や各工程の時間は使用する樹脂や成形品の形状・大きさにより、周知の範囲の条件で調整できる。
【実施例0038】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0039】
本発明の成形用樹脂組成物は、生物由来の炭酸カルシウム粉末が主成分で、かつ繰り返し使用可能な成形物にすることができる。そして、食事用具などで一般的に使用され、なお食品衛生法に適合する熱硬化性樹脂として知られているメラミン系樹脂をバインダーにできる。その結果、食器等として手に持って使用する際の重みが適切であり、使用者がより高級感を感じることができる。
表1に卵殻由来の炭酸カルシウム粉末(含有比率51質量%)に、メラミン樹脂成形材料(49質量%)を混合した卵殻粉末主成分成形品と、炭酸カルシウムを含有しない食器用の一般的なメラミン樹脂成形品の比較を示す。なお、卵殻粉末主成分成形品は、卵殻由来の炭酸カルシウム粉末を多量に含有するため、一般的なメラミン樹脂成形品よりも光沢が少ない傾向がある。
この結果によれば、卵殻粉末主成分成形品は、吸収率、加熱後の変色度合い、成形後の収縮率や加熱全収縮率が低いという性質を有していた。このため、収縮し難く、食器等として十分な性質、またはより優れた性質を有する。
【0040】
表1に記載の各試験項目の試験条件
円板伸び:JIS K 6911の5.3(流れ)の5.3.2[成形材料(円板式流れ)]
真比重(成型品):JIS K 6911の5.28(比重)の5.28.1(成形材料)
【0041】
耐候性:(フェードメーター):JIS K 7102 試験片(成形品)をフェードメーター試験機(FAL-5(スガ試験機))で8時間カーボンアーク照射(ブラックパネル温度63℃)し、試験前後のテストピースの色調(L,a,b)から色差ΔEを求めた。
【0042】
曲げ強さ:JIS K 6911の5.17(曲げ強さ)の5.17.2(成形材料)
衝撃強さ:JIS K 6911の5.20(シャルピー衝撃強さ)の5.20.2
吸水率:JIS K 6911の5.26(吸水率)の5.26.2(成形材料)
【0043】
加熱変色:JIS K 6911の5.23(耐熱性)の5.23.1(成形材料)130℃の恒温槽の中の温度計近くにテストピースを吊るし、2時間経過後取り出して、試験前後のテストピースの色調(L,a,b)から色差ΔEを求めた。
【0044】
耐酸汚染性(光沢):JIS K 6911の5.32(耐薬品性)の5.32.1(成形材料)に沿って、0.8重量%の硫酸水溶液で10分間テストピースを煮沸試験した。その試験前後のテストピースの色調(L,a,b)から色差ΔEを求めた。色調は光沢計VG7000(日本電色工業)により測定した。
【0045】
ローダミン汚染性:耐酸汚染試験後、JIS K 6911の5.32(耐薬品性)に沿って、ローダミンBの0.1重量%水溶液にテストピースを浸漬し10分間煮沸した。浸漬前後の色調(L,a,b)から色差ΔEを求めた。
【0046】
成形収縮率:JIS K 6911の5.7(成形収縮率)条件:23℃±2℃、相対湿度50±5%、24±1時間後に寸法測定し、金型寸法に対する成形品寸法の減少率を求めた。
【0047】
加熱収縮率: 成形後、110℃の恒温槽の中の温度計近くにテストピースを吊るし、1時間経過後取り出して寸法測定し、金型寸法に対する成形品寸法の減少率を求めた。
加熱全収縮率: 成形後、110℃の恒温槽の中の温度計近くにテストピースを吊るし、168時間(7日間)経過後取り出して寸法測定し、金型寸法に対する成形品寸法の減少率を求めた。
【0048】
耐乾湿クラック試験:100℃で16時間煮沸と、110℃×1時間乾燥を1サイクルとし、5つの成形品(10cm角皿)に対してこの環境下にて5サイクルの試験を行った。その後、発生したクラックを目視にて検査し、それぞれの成形品について下記の基準で点数を付けた。その5つの成形品の合計点(1~25点)で評価した。
5点:クラックなし
4点:クラック1個
3点:クラック10個以内
2点:クラック15個以内
1点:クラック20個以内
0点:上記以上の数のクラック
【0049】
下記表1に示す結果によれば、本発明の成形用樹脂組成物による成形物は、通常の成形加工方法により成形され、十分な重さがあるので例えば食器として使用する際に十分な高級感を有し、耐候性が高く、曲げ強さと衝撃強さに十分に優れ、吸水率が低く、加熱変色しづらい。またローダミン汚染性は高く、加熱収縮率、加熱全収縮率は低く、耐乾湿クラック試験ではメラミン樹脂と同程度であった。
【表1】
【0050】
さらに、本発明者は繰り返し使用を想定して、コーティング層の有効性を確認するため、ローダミンB染色による汚染性評価を官能試験による評価を行った。その結果を表2に示す。
評価試験方法はローダミンB染料を0.1重量%含有する水溶液中で、コーティング層を有するテストピース1と、コーティング層を有しないテストピース2を10分間煮沸した。その後、取出して水洗いして、着色度合いを目視にて確認し評価した。
この結果によれば、コーティング層が無い場合には、着色されやすいこと、つまり、比較的汚染性に劣ることがわかる。コーティング層を有する場合には、着色されにくく、比較的汚染性に優れることがわかる。
【0051】
(試験片の評価)
ローダミンB染料を0.1重量%含有する水溶液中で、コーティング層を有しないテストピース1と、コーティング層を有するテストピース2を、それぞれ10分間煮沸した。その後、取出して水洗いして、着色度合いを目視で確認し評価した。
○:変化なし(実使用に支障なし)
△:僅かな変化
×:顕著な変化(実使用に支障あり)
-:進行なし(中止)
テストピース2は、○であり、試験前と比較して僅かに着色するが、使用に支障なかった。これに対してテストピース1はかなり着色した。
【0052】
【表2】
【0053】
樹脂含有組成物を食器等に使用する場合には、バインダーとしてメラミン系樹脂成形材料を使用しており、食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)試験により、コーティング処理した食器及び容器の安全性を確認した。
表3に、食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)試験でコーティング処理なしの成形物の試験結果を示す。4%酢酸の蒸発残留物溶出試験で不適合であった他は、適合した。
表4に、コーティング処理した成形物の試験結果で食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の各試験項目について適合することを示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【符号の説明】
【0056】
1 凸金型
2 凹金型
3 熱硬化性樹脂
4 予備成形物
5 被覆材料
6 被覆層
7 成形品
8 フォイル
9 成形品の内面フォイル
10 成形品の内面フォイルと内面被覆層
11 内面フォイルと内面被覆層を設けた成形品
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2020-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、水酸化カルシウム粉末を添加せず、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物(但し、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、2.5mol/L以上の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬され、含有していた生物由来のタンパク質を加水分解されたものであることを除く。)
【請求項2】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、水酸化カルシウム粉末を添加せず、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形する成形方法(但し、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、2.5mol/L以上の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬され、含有していた生物由来のタンパク質を加水分解されたものであることを除く。)
【請求項3】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、水酸化カルシウム粉末を添加せず、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形用樹脂組成物を圧縮成形し、得られた成形物の表面にコーティング層を設ける成形方法(但し、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、2.5mol/L以上の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬され、含有していた生物由来のタンパク質を加水分解されたものであることを除く。)
【請求項4】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、水酸化カルシウム粉末を添加せず、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する成形物の表面にコーティング層を設けてなる成形物(但し、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、2.5mol/L以上の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬され、含有していた生物由来のタンパク質を加水分解されたものであることを除く。)
【請求項5】
生物由来の炭酸カルシウム粉末を主成分とし、水酸化カルシウム粉末を含有せず、熱硬化性樹脂成形材料をバインダーとして含有する食器の、食材と接触する面にコーティング層を有する食器(但し、生物由来の炭酸カルシウム粉末は、2.5mol/L以上の水酸化アルカリ水溶液中に浸漬され、含有していた生物由来のタンパク質を加水分解されたものであることを除く。)