(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061378
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】スクリーン
(51)【国際特許分類】
A47G 5/00 20060101AFI20220411BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220411BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A47G5/00 G
E04B2/74 561H
A47B96/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169357
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】和久 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】坂口 拓也
(57)【要約】
【課題】部品の組み替えにより枠体の全体形状を容易に変更することができるスクリーンを提供する。
【解決手段】本スクリーン1は、棒状の柱部材2と複数の開口部3a、4aを有する継手3、4とを着脱可能に組み合わせた枠体5と、枠体の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を枠体に係止して張設された可撓性を有する張設部材6と、を備える。そして、張設部材の係止を解いたときに、枠体を分解して異なる形状の枠体を再構成できて、同一の張設部材の四隅を再構成した枠体に係止することによって柱部材と継手の係合を保持することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柱部材と複数の開口部を有する継手とを着脱可能に組み合わせた枠体と、
前記枠体の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を前記枠体に係止して張設された可撓性を有する張設部材と、を備え、
前記張設部材の係止を解いたときに、前記枠体を分解して異なる形状の前記枠体を再構成できて、同一の前記張設部材の四隅を再構成した前記枠体に係止することによって前記柱部材と前記継手の係合を保持することができるスクリーン。
【請求項2】
前記継手は、エルボ継手及びチーズ継手を含む請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記柱部材は、前記継手の前記開口部内にテーパ係合されている請求項1又は2に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記張設部材は、樹脂シートにより構成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項5】
前記枠体には、該枠体の下部と前記スクリーンの設置面との間に空間を形成するための脚部が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに関し、さらに詳しくは、オフィス、学校、商業施設等において机や床等の設置面上に立て置かれて空間を仕切るスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリーンとして、机や床等の設置面上に立て置かれて空間を仕切るものが一般に知られている(例えば、特許文献1及び2等を参照)。近年、感染症(例えば、新型コロナウィルス肺炎のCOVID-19)が大流行しており、咳やくしゃみ等による飛沫を防止するためにスクリーンが利用されることも多い。
【0003】
特許文献1には、パイプを組み合わせて構築されたフレーム構造体と、このフレーム構造体の一部又は全部を覆うようにしてパイプ間に着脱可能に張設された可撓変形可能な面材と、を備えるスクリーンの発明が開示されている。面材は係止部材によって、フレーム構造体に係止される。
特許文献2には、パイプと継ぎ手からなる枠に防弾繊維重層体をかけてなり、パイプがスライド伸縮する防弾盾が記載されている。
【0004】
ここで、スクリーンでは、設置される場所の広さや空間の仕切形態等を変更する場合、これに対応できるように枠体の全体形状が変更可能であることが望まれる。
しかしながら、特許文献1では、
図32に、着脱可能に張設される面材を具備するコの字型のスクリーンが開示されているが、この発明で縦横パイプは剛結されていることが段落〔0087〕に記載され、丸パイプを自由に曲げて曲面を形成することが段落〔0088〕に記載されていることから、フレーム構造体の形状を変えることができない。
さらに、特許文献2では、
図2に、ロ字状の枠が開示されているが、枠の形状を変えるために少なくとも2カ所のパイプを略同時にスライド伸縮させる必要があり、枠が比較的大きな場合、その伸縮の調整作業が煩雑となる。さらに、大小のパイプを螺締係止具で位置決めしているので、構造が複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-84031号公報
【特許文献2】特開平7-243797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、部品の組み替えにより枠体の全体形状を容易に変更することができるスクリーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スクリーンであって、棒状の柱部材と複数の開口部を有する継手とを着脱可能に組み合わせた枠体と、前記枠体の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を前記枠体に係止して張設された可撓性を有する張設部材と、を備え、前記張設部材の係止を解いたときに、前記枠体を分解して異なる形状の前記枠体を再構成できて、同一の前記張設部材の四隅を再構成した前記枠体に係止することによって前記柱部材と前記継手の係合を保持することができることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記継手は、エルボ継手及びチーズ継手を含むことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記柱部材は、前記継手の前記開口部内にテーパ係合されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記張設部材は、樹脂シートにより構成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記枠体には、該枠体の下部と前記スクリーンの設置面との間に空間を形成するための脚部が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスクリーンによると、棒状の柱部材と複数の開口部を有する継手とを着脱可能に組み合わせた枠体と、枠体の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を枠体に係止して張設された可撓性を有する張設部材と、を備える。そして、張設部材の係止を解いたときに、枠体を分解して異なる形状の枠体を再構成できて、同一の張設部材の四隅を再構成した枠体に係止することによって柱部材と継手の係合を保持することができる。これにより、柱部材と継手を接着剤で接着する必要がなく、部品を組み替えることで枠体の全体形状を容易に変更することができる。
また、前記継手が、エルボ継手及びチーズ継手を含む場合は、エルボ継手とチーズ継手を併用することで、枠体の強度を高め得るとともに、様々な形状の枠体を再構成することができる。
また、前記柱部材が、前記継手の前記開口部内にテーパ係合されている場合は、柱部材と継手が強固に係合されるため、枠体の分解及び再構成を容易に実施できるとともに、安定的な枠体に対して張設部材を容易に係止できる。
また、前記張設部材が、樹脂シートにより構成されている場合は、適切な可撓性と引張強さを有する張設部材を容易に採用できる。
さらに、前記枠体に、該枠体の下部と前記スクリーンの設置面との間に空間を形成するための脚部が設けられている場合は、空間を利用して物品の受け渡し等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【
図2】実施例に係る枠体(第1柱構造体)を説明するための説明図であり、(a)は組み立て状態を示し、(b)は分解状態を示す。
【
図3】枠体(第2柱構造体)を説明するための説明図であり、(a)は組み立て状態を示し、(b)は分解状態を示す。
【
図4】枠体(継手)を説明するための説明図であり、(a)はエルボ継手の断面図を示し、(b)はチーズ継手の断面図を示す。
【
図6】張設部材の係止形態を説明するための説明図である。
【
図7】枠体の変更形状を説明するための説明図であり、(a)は略U字型(幅広)の枠体を示し、(b)は略U字型(幅狭)の枠体を示す。
【
図8】枠体の変更形状を説明するための説明図であり、(a)は略Z字型の枠体を示し、(b)は略L字型の枠体を示す。
【
図10】更なる他の形態に係るスクリーンの斜視図である。
【
図11】更なる他の形態に係るスクリーンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
本実施形態に係るスクリーン(1)は、例えば、
図1~
図3等に示すように、棒状の柱部材(2)と複数の開口部(3a、4a)を有する継手(3、4、29)とを着脱可能に組み合わせた枠体(5)と、枠体(5)の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を枠体(5)に係止して張設された可撓性を有する張設部材(6)と、を備える。そして、例えば、
図7及び
図8に示すように、張設部材(6)の係止を解いたときに、枠体(5)を分解して異なる形状の枠体(5)を再構成できて、同一の張設部材(6)の四隅を再構成した枠体(5)に係止することによって柱部材(2)と継手(3、4、29)の係合を保持することができる。
【0012】
柱部材(2)の形状、材質、使用本数等は特に問わない。柱部材(2)は、例えば、中実棒状であってもよいが、強度と軽量化の観点から、中空棒状(即ちパイプ状)であること、特に円筒形であることが好ましい。さらに、柱部材(2)は、例えば、曲折した又は湾曲した棒状であってもよいが、組立性の観点から、直線棒状であることが好ましい。さらに、柱部材(2)の軸端部は、例えば、継手(3、4、29)の開口部(3a、4a)内に遊びを介して係合されていてもよいが、強度の観点から、継手(3、4、29)の開口部(3a、4a)内にテーパ係合されていたり、圧入係合されていたりすることが好ましい。
【0013】
柱部材(2)は、例えば、金属製(表面に樹脂コーティングされた金属製も含む。)であってもよいが、強度と軽量化の観点から、合成樹脂製であることが好ましい。合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)(ナイロン等)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、安価で入手し易いことから、柱部材(2)が硬質ポリ塩化ビニル管(特に、JISK6742:2016に規定された水道用硬質ポリ塩化ビニル管(VP、HIVP等))により構成されていることが好ましい。
【0014】
継手(3、4、29)の種類、材質、使用個数等は特に問わない。継手としては、例えば、開口部(3a)が2個で曲がり(例えば、90度、45度の曲がり等)を有するエルボ継手(3)、開口部(4a)が3個で略T字状に形成されたチーズ継手(4)、開口部が4個で略十字状に形成されたクロス継手、互いに略直交する方向を向く3個の開口部を有するコーナー継手(29)等が挙げられる。これらの継手のうち、強度の観点から、エルボ継手(3)とチーズ継手(4)を併用することが好ましい。また、継手(3、4、29)の開口部(3a、4a)の形状は円形が好ましく、開口内面は奥に行くほど狭くなるテーパ形状(7)であることが好ましい(例えば、
図4等参照)。
【0015】
継手(3、4、29)は、例えば、金属製であってもよいが、強度と軽量化の観点から、合成樹脂製であることが好ましい。合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)(ナイロン等)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、安価で入手し易いことから、継手(3、4、29)が硬質ポリ塩化ビニル管継手(特に、JISK6743:2016およびAS21(塩化ビニル・継手協会)に規定された水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手(TS、HITS等))により構成されていることが好ましい。
【0016】
枠体(5)の形状、大きさ等は特に問わない。枠体(5)の変更可能な形状としては、例えば、
図7及び
図8等に示すように、幅広な前面部(18)を有する平面視略U字型(S1)、幅狭な前面部(18)を有する平面視略U字型(S2)、平面視略Z字型(S3)、平面視略L字型(S4)、平面視直線型(S5)(例えば、
図10等参照)等のうちの2種以上の組み合わせが挙げられる。さらに、枠体(5)を構成する前面部(18)及び側面部(19)の枠形状は、例えば、3角又は5角以上の多角形であってもよいが、組立性の観点から、4角形であることが好ましい。
【0017】
ここで、例えば、
図7等に示すように、エルボ継手(3)とチーズ継手(4)を併用してなる第1柱構造体(11)を用い、第1柱構造体(11)を前面部(18)に配置することで幅広の前面部(18)を有する枠体(5)と、第1柱構造体(11)を側面部(19)に配置することで幅狭な前面部(18)を有する枠体(5)と、の間で形状を変更することができる。第1柱構造体(11)は、例えば、
図2等に示すように、柱部材(2)とチーズ継手(4)の分岐部(14)を連結し、チーズ継手(4)のストレート部(15)とエルボ継手(3)を連結して構成されていることができる。
【0018】
枠体(5)には、例えば、
図9及び
図10等に示すように、枠体(5)の下部とスクリーンの設置面(24)との間に空間(25)を形成するための脚部(27、28)が設けられていることができる。この脚部(27、28)は、例えば、上下方向に直線状に延びて設けられていたり、略クロス状に設けられていてもよいが、平面視直線型(S5)の枠体(5)を設置面(24)上に立て置くために、逆T字状に設けられていることが好ましい。
【0019】
張設部材(6)の材質、厚さ等は特に問わない。張設部材(6)は、複数の板材を連結した可撓性を有する連結体や通気性のある布帛や不織布であってもよいが、強度と軽量化の観点から、樹脂シートにより構成されていることが好ましい。樹脂シートは、適切な可撓性と引張強さを有するものであれば特に問わず、例えば、ポリエチレンテレフタレートシート(PETシート)、二軸延伸されたポリプロピレンシート(OPPシート)、軟質ポリ塩化ビニルシート(PVCシート)、ポリエチレンシート(PEシート)等が挙げられる。さらに、樹脂シートは、JISK7127・1999に規定された引張強さが5MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上で、厚さが5μm以上5mm以下、好ましくは50μm~1mmであることが好ましい。さらに、樹脂シートは、不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
また、防音、断熱、抗菌、抗ウィルス、抗アレルゲン、害虫忌避、易書込み消去、易貼付け再剥離等、通常、スクリーンに付帯され得る各種機能を有していてもよく、また、そのために表面を改質したり、薬剤を練りこんだり、多層材料としたり、別の材料を重ねてもよい。
【0020】
張設部材(6)の大きさ、形状等は、枠体(5)に応じて適宜選択される。張設部材(6)は、意匠性の観点から、枠体(5)の外周を覆うとともに、枠体(5)の外周より外方にはみ出さない大きさであることが好ましい(例えば、
図1等参照)。さらに、張設部材(6)は、組立性の観点から、矩形帯状であることが好ましい。
【0021】
張設部材(6)の枠体(5)への係止形態は特に問わない。例えば、張設部材(6)に設けた係止部(例えば、穴、フック等)と枠体(5)側に設けた被係止部(例えば、フック、穴等)とを係止することで張設部材(6)を枠体(5)に係止してもよいが、枠体(5)側に被係止部を設ける必要がないことから、例えば、
図6等に示すように、張設部材(6)に形成された係止穴(21)に紐状部材(例えば、結束バンド(22))を通して縛り付けることで張設部材(6)を枠体(5)に係止することが好ましい。
張設部材(6)を前記枠体(5)の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を前記枠体(5)に係止して張設することにより、枠体(5)は形態を保持できるが、この他に上記四隅の間の柱部材(2)や、四隅以外の継手等、任意の部分に係止部を追加して設けてもよく、スクリーンの強度を高めることができる。
【0022】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例0023】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0024】
本実施例に係るスクリーン1は、
図1~
図3に示すように、棒状の柱部材2と複数の開口部3a、4aを有する継手3、4とを着脱可能に組み合わせた枠体5と、枠体5の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を枠体5に係止して張設された可撓性を有する張設部材6と、を備えている。
【0025】
柱部材2は、直線棒状の円筒形(即ち丸パイプ状)に形成されている。この柱部材2の軸端部は、継手3、4の開口部3a、4a内にテーパ係合されている(
図4参照)。さらに、柱部材2は、JISK6742:2016に規定された水道用硬質ポリ塩化ビニル管(VP、HIVP等)により構成されている。
【0026】
なお、本実施例では、柱部材2として、2本の長パイプ(例えば、長さが893mm)と、4本の短パイプ(例えば、長さが540mm)と、4本の中間パイプ(例えば、長さが640mm)と、を備えるものとする。さらに、各パイプの外径は18mmとされている。
【0027】
継手3、4として、
図4に示すように、開口部3aが2個で90度の曲がりを有するエルボ継手3と、開口部4aが3個で略T字状に形成されたチーズ継手4と、を併用している。これら各継手3、4の開口部3a、4aは円形に形成されている。また、開口内面は奥に行くほど狭くなるテーパ形状7に形成されている。さらに、継手3、4は、JISK6743:2016およびAS21(塩化ビニル・継手協会)に規定された水道用硬質ポリ塩化ビニル管継手(TS、HITS等)により構成されている。
【0028】
なお、本実施例では、8本のエルボ継手3と、4本のチーズ継手4と、を備えるものとする。さらに、各継手3、4の開口部3a、4aの内径は18mmとされている。
【0029】
枠体5は、
図1~
図3に示すように、エルボ継手3とチーズ継手4を併用してなる第1柱構造体11と、エルボ継手3を用いてなる第2柱構造体12と、を備えている。この第1柱構造体11は、柱部材2(中間パイプ)の軸端部をチーズ継手4の分岐部14の開口部4aに係合し、チーズ継手4のストレート部15の開口部4とエルボ継手3の開口部3aとを連結材17(パイプ)を介して連結して構成されている。さらに、第2柱構造体12は、柱部材2(中間パイプ)の軸端部をエルボ継手3の開口部3aに係合して構成されている。さらに、枠体5は、前面部18と該前面部18に連なる側面部19とを備えている。
【0030】
なお、
図2(a)及び
図3(a)において、エルボ継手3とチーズ継手4の間に隙間を介在した連結状態が示されているが、エルボ継手3とチーズ継手4の間に隙間をなくした連結状態としてもよい。
また、枠体5の構成部材の一部をあらかじめ接着しておくことによって、再構成できる形状の自由度は減るが、枠体5の強度をより高めることができる。例えば、
図2(b)及び
図3(b)において柱部材2、および/または連結材17を、それぞれの篏合する継手とあらかじめ接着して
図2(a)及び
図3(a)の一体部材としておくことができ、その場合でも
図7の(a),(b)と
図8(a)等に代表される数種類の形状を再構成することができる。
【0031】
張設部材6は、透明樹脂シート(具体的に、0.2mm厚のPETシート)により構成されている。この張設部材6は、枠体5の外周を覆うとともに、枠体5の外周より外方にはみ出さない矩形状(具体的に、高さ690mm×横幅2275mm)に形成されている(
図1参照)。さらに、
図5及び
図6に示すように、張設部材6の四隅部には、複数(図中2個)の係止穴21が形成されている。また、張設部材6の短尺方向に沿う側縁の中間部には係止穴21が形成されている。これら各係止穴21に結束バンド22を通して縛り付けることで張設部材6が枠体5に係止されている。
なお、係止穴21には、補強用のハトメが設けられていてもよい。また、係止穴21の破損に備えたり、部材の寸法誤差を補正するために、直近に予備の係止穴21が設けられていてもよい。
【0032】
本スクリーン1においては、張設部材6の係止を解いたときに、枠体5を分解して異なる形状の枠体5を再構成できて、同一の張設部材6の少なくとも四隅(即ち、張設部材6の四隅と必要に応じて四隅以外の部位)を再構成した枠体5に係止することによって柱部材2と継手3、4の係合を保持することができる。
【0033】
具体的に、枠体5は、平面視略U字型S1(
図1及び
図7(a)参照)、平面視略U字型S2(
図7(b)参照)、平面視略Z字型S3(
図8(a)参照)及び平面視略L字型S4(
図8(b)参照)の間で形状変更することができる。
なお、U字型S1、S2及びZ字型S3の枠体5では、同じ個数の柱部材2及び継手3、4を用いて構成されている。
【0034】
U字型S1の枠体5(高さ700mm×横幅1100mm×奥行600mm)は、第1柱構造体11を前面部18に配置することで幅広の前面部18を有している。このU字型S1の枠体5は、例えば、比較的幅広な机等の設置面上に好適に立て置かれる。また、U字型S2の枠体5(高さ700mm×横幅950mm×奥行675mm)は、第1柱構造体11を側面部19に配置することで幅狭の前面部18を有している。このU字型S1の枠体5は、例えば、比較的幅狭な机等の設置面上に好適に立て置かれる。このように第1柱構造体11を前面部18又は側面部19に配置することで、前面部18の幅と側面部19の奥行が変更される。
【0035】
Z字型S3の枠体5は、例えば、前後方向に隣接する複数の机等の設置面上に好適に立て置かれる。このZ字型S3の枠体5においても、U字型S1、S2の枠体5と略同様にして、第1柱構造体11を前面部18又は側面部19に配置することで前面部18の幅と側面部19の奥行が変更される。また、Z字型S3の枠体5では、前面部18と一方の側面部19との連絡部(すなわち、張設部材6が配置される側に曲がる部分)において張設部材6を枠体5に係止する必要がある。さらに、L字型S4の枠体5は、例えば、左右方向に比較的長い机等の設置面上に好適に立て置かれる。
【0036】
次に、上記構成のスクリーン1の作用効果について説明する。スクリーン1は、オフィスの机等の設置面上に立て置かれて使用される。このスクリーン1の設置される場所の広さや空間の仕切形態等を変更する場合、張設部材6の係止を解いて、枠体5を分解して異なる形状の枠体5を再構成する。その後、同一の張設部材6の少なくとも四隅を再構成した枠体5に係止する。このとき、張設部材6の張力によって柱部材2と継手3、4の係合が保持されて両者の分離が規制される。
【0037】
本実施例のスクリーン1によると、棒状の柱部材2と複数の開口部3a、4aを有する継手3、4とを着脱可能に組み合わせた枠体5と、枠体5の外周を覆うようにして、少なくとも四隅を枠体5に係止して張設された可撓性を有する張設部材6と、を備える。そして、張設部材6の係止を解いたときに、枠体5を分解して異なる形状の枠体5を再構成できて、同一の張設部材6の四隅を再構成した枠体5に係止することによって柱部材2と継手3、4の係合を保持することができる。これにより、柱部材2と継手3、4を接着剤で接着する必要がなく、部品2~4を組み替えることで枠体5の全体形状を容易に変更することができる。
【0038】
また、本実施例では、エルボ継手3及びチーズ継手4を併用しているので、枠体5の強度を高め得るとともに、様々な形状の枠体5(即ち、U字型S1,S2、Z字型S3、L字型S4の枠体5)を再構成することができる。
特に、本実施例では、エルボ継手3及びチーズ継手4を併用してなる第1柱構造体11を用いているので、第1柱構造体11を前面部18又は側面部19に配置することで、前面部18の幅と側面部19の奥行を容易に変更することができる。
【0039】
また、本実施例では、柱部材2は、継手3、4の開口部3a、4a内にテーパ係合されている。これにより、柱部材2と継手3、4が強固に接続されるため、枠体5の分解及び再構成を容易に実施できるとともに、安定的な枠体5に対して張設部材6を容易に係止できる。
【0040】
さらに、本実施例では、張設部材6は、樹脂シートにより構成されている。これにより、適切な可撓性と引張強さを有する張設部材6を容易に採用できる。
特に、本実施例では、張設部材6は、透明樹脂シートにより構成されているので、スクリーン1で仕切られた空間の一方から他方を透視可能であるとともに、張設部材6を枠体5に容易に係止できる。
【0041】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、枠体5の下部が設置面24上に直接的に立て置かれる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、
図9及び
図10に示すように、枠体5の下部と設置面24との間に空間25を形成するための複数(図中4個)の脚部27、28を枠体5に設けるようにしてもよい。これにより、空間25を利用して物品の受け渡し等を行うことができる。
【0042】
図9に示す脚部27は、上下方向に直線状に延びて設けられている。この脚部27は、チーズ継手4とキャップ30とを連結材17で連結して構成されている。この脚部27によれば、上述のU字型S1,S2、Z字型S3及びL字型S4の枠体5を設置面24上に立て置いたときに空間25を形成することができる。
【0043】
図10に示す脚部28は、逆T字状に設けられている。この脚部28は、上側のチーズ継手4と下側のチーズ継手4とを連結材17で連結し、下側のチーズ継手4とキャップ30とを連結材17で連結して構成されている。この脚部28によれば、U字型S1,S2、Z字型S3及びL字型S4の枠体5に加えて平面視直線型S5の枠体5を設置面14上立て置いたときに空間25を形成することができる。この直線側S5の枠体5は、例えば、左右方向に比較的長い机等の設置面上に好適に立て置かれる。
【0044】
なお、脚部27、28としてチーズ継手4を利用したものを例示したが、これに限定されず、例えば、クロス継手を利用したものを採用してもよい。
【0045】
また、上記実施例における張設部材6に切り欠きや穴を形成することで、その切り欠きや穴を利用して物品等の受け渡しを行うようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例では、エルボ継手3とチーズ継手4を併用した枠体5を例示したが、これに限定されず、例えば、エルボ継手3、チーズ継手4、クロス継手及びコーナー継手のうちの2種以上の組み合わせを用いた枠体5を採用してもよい。例えば、
図11に示すように、エルボ継手3とコーナー継手29を用いた枠体5を採用してもよい。
【0047】
また、上記実施例では、2個の第1柱構造体11を前面部18又は側面部19に配置して枠体5を組み立てる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第1柱構造体11を前面部18及び側面部19のそれぞれに配置して枠体5を組み立てるようにしてもよい。
【0048】
さらに、上記実施例では、柱部材2と継手3、4をテーパ係合(又は圧入係合)させる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、柱部材2の軸端部を継手の開口部に挿入した状態でネジ止めにより両者2、3,4を固定させる形態を採用してもよい。
本発明は、オフィス、学校、商業施設等において机や床等の設置面上に立て置かれて空間を仕切るスクリーンとして広く利用される。特に飛沫防止用のスクリーンとして好適に利用される。
1;スクリーン、2;柱部材、3;エルボ継手、3a;開口部、4;チーズ継手、4a;開口部、5;枠体、6;張設部材、24;設置面、25;空間、27,28;脚部。