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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061416
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】パルセータユニット及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 17/10 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
D06F17/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169412
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】福井 秋陸
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AA12
3B168AA15
3B168AA32
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE07
3B168BA72
3B168BA83
3B168BA86
3B168CE04
3B168CE11
3B168CE12
3B168JM03
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造で洗濯機の回転軸にパルセータを着脱でき、装着状態におけるがたつきを抑え、汎用性のあるパルセータユニット、及び、これを含む洗濯機を提供する。
【解決手段】パルセータユニット21は、パルセータ5と、回転軸13に連結され、パルセータ5が着脱可能に装着されるアタッチメント20とを含む。パルセータ5は、パルセータ本体22と、パルセータ本体22に連結された摘み23とを含む。パルセータ本体22には、第1嵌合溝22Rを有してアタッチメント20が差し込まれる差込穴22Pが設けられる。アタッチメント20の外周面部20Cには、第1嵌合溝22Rに嵌る凸部20D及び凸部26Aと、周方向Sに延びる第2嵌合溝20Eと、第2嵌合溝20Eから上側Z1へ延びる出入口20Fとが設けられる。摘み23には、出入口20Fに進入して第2嵌合溝20Eに嵌る爪部23Lが設けられる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機において洗濯物を収容する洗濯槽内に配置されて縦に延びる回転軸に連結され、前記回転軸と一体回転するパルセータユニットであって、
前記回転軸と同軸上に配置される円形状のパルセータ本体と、前記パルセータ本体に対して前記パルセータ本体の周方向に相対移動可能に連結された摘みとを含むパルセータと、
前記回転軸に対して一体回転可能に連結され、前記パルセータが着脱可能に装着されるアタッチメントと、を含み、
前記パルセータ本体の中心部には、縦に延びる第1嵌合溝を有して前記アタッチメントが下側から差し込まれる差込穴が設けられ、
前記アタッチメントの外周面部において前記差込穴に差し込まれる部分には、前記第1嵌合溝に嵌る第1嵌合部が設けられ、
前記アタッチメントの外周面部において前記差込穴から上側へはみ出す部分には、前記周方向に延びる第2嵌合溝と、前記第2嵌合溝から上側へ延びて前記アタッチメントの上面部から露出された出入口とが設けられ、
前記摘みの上面部には、前記アタッチメントに対する前記パルセータの着脱のために操作される操作部が設けられ、
前記摘みの下面部には、前記出入口に進入して前記第2嵌合溝に嵌る第2嵌合部が設けられる、パルセータユニット。
【請求項2】
前記パルセータには、前記第2嵌合溝に嵌った前記第2嵌合部の前記出入口側への移動を規制する規制部が設けられる、請求項1に記載のパルセータユニット。
【請求項3】
前記パルセータ本体の上面部には、第1マークが設けられ、
前記摘みの上面部には、前記出入口に進入した前記第2嵌合部が前記第2嵌合溝に嵌ったことに応じて前記周方向において前記第1マークと一致する第2マークが設けられる、請求項1又は2に記載のパルセータユニット。
【請求項4】
前記アタッチメントにおいて前記差込穴から下側へはみ出す部分には、前記パルセータ本体において前記差込穴を縁取る周縁部を下側から支持する支持部が設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパルセータユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のパルセータユニットを含む、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に装着されるパルセータユニット、及び、このパルセータユニットを含む洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機は、外槽と、外槽内に設けられた内槽と、内槽の内底部に設けられた駆動軸と、駆動軸に着脱可能に連結された撹拌翼とを含む。撹拌翼は、いわゆるパルセータであって、駆動軸とともに回転駆動される。駆動軸の外周面では、上端部にスプライン溝が形成され、スプライン溝よりも下側に環状の係合溝が形成される。撹拌翼は、円盤状の翼部と、翼部の中心に設けられたボス部と、ボス部内に設けられたブッシュと、ボス部の下端に連結された筒状部と、筒状部内に配置された内筒体と、内筒体を径方向に貫通したテーパ孔に嵌め込まれた球体とを含む。ブッシュの内周面には、スプライン溝が形成される。筒状部の内周面には、環状の突部が設けられる。撹拌翼は、筒状部の内周面において突部よりも上側に形成された凹溝に装着された環状のストッパ部材をさらに含む。
【0003】
撹拌翼が駆動軸に連結された状態では、ストッパ部材が内筒体の段部に下側から接触した状態にある。また、駆動軸及びブッシュのスプライン溝同士が嵌合した状態にあり、球体が筒状部の突部によって駆動軸の係合溝に押し込まれて係合した状態にあるので、撹拌翼は、駆動軸の軸方向である上下方向の移動が規制された状態で、駆動軸と一体回転可能である。
【0004】
使用者は、撹拌翼の下面及び内槽の底部を掃除するために撹拌翼を駆動軸から取り外したい場合には、撹拌翼を把持して持ち上げる。すると、筒状部が、係合溝に係合した球体を保持した内筒体に対して上昇し、ストッパ部材が弾性変形しながら内筒体の段部を上側へ乗り越え、筒状部の突部が球体から上側へずれる。これにより、球体が係合溝から離脱する。使用者が撹拌翼をさらに持ち上げると、ブッシュのスプライン溝が駆動軸のスプライン溝から外れるので、撹拌翼が駆動軸から取り外される。
【0005】
使用者は、掃除を終えた撹拌翼を駆動軸に取り付けたい場合には、ブッシュのスプライン溝を駆動軸のスプライン溝に嵌合させて、球体を係合溝と同じ高さ位置に配置されるまで撹拌翼を下降させてから、撹拌翼を下方に押圧する。すると、筒状部が、球体を保持した内筒体に対して下降するので、ストッパ部材が弾性変形しながら内筒体の段部を下側へ乗り越え、筒状部の突部が球体と同じ高さ位置まで下降して球体を係合溝に押し込む。これにより、駆動軸への撹拌翼の取付が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-271373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の洗濯機では、いわゆるワンタッチジョイント構造によって撹拌翼が駆動軸に対して着脱可能である。ワンタッチジョイント構造は、部品点数が多く複雑なので、糸屑や砂利などの異物が噛み込むと撹拌翼の着脱が渋くなるおそれがある。また、ワンタッチジョイント構造では、球体と係合溝とが点接触することによって駆動軸の軸方向における撹拌翼の移動が規制されるのだが、点接触では球体と係合溝との接触領域が小さいので、球体と係合溝との間にがたつきが生じることによって撹拌部材の回転時に撹拌部材の外周部が上下方向に振れるおそれがある。一方、パルセータを回転軸に着脱可能にする構造は、特定機種の洗濯機だけでなく、複数機種の洗濯機でも採用できるような汎用性が求められる。
【0008】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、シンプルな構造で洗濯機の回転軸にパルセータを着脱でき、装着状態におけるがたつきを抑え、汎用性のあるパルセータユニット、及び、これを含む洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、洗濯機において洗濯物を収容する洗濯槽内に配置されて縦に延びる回転軸に連結され、前記回転軸と一体回転するパルセータユニットであって、前記回転軸と同軸上に配置される円形状のパルセータ本体と、前記パルセータ本体に対して前記パルセータ本体の周方向に相対移動可能に連結された摘みとを含むパルセータと、前記回転軸に対して一体回転可能に連結され、前記パルセータが着脱可能に装着されるアタッチメントと、を含み、前記パルセータ本体の中心部には、縦に延びる第1嵌合溝を有して前記アタッチメントが下側から差し込まれる差込穴が設けられ、前記アタッチメントの外周面部において前記差込穴に差し込まれる部分には、前記第1嵌合溝に嵌る第1嵌合部が設けられ、前記アタッチメントの外周面部において前記差込穴から上側へはみ出す部分には、前記周方向に延びる第2嵌合溝と、前記第2嵌合溝から上側へ延びて前記アタッチメントの上面部から露出された出入口とが設けられ、前記摘みの上面部には、前記アタッチメントに対する前記パルセータの着脱のために操作される操作部が設けられ、前記摘みの下面部には、前記出入口に進入して前記第2嵌合溝に嵌る第2嵌合部が設けられる、パルセータユニットである。
【0010】
また、本発明は、前記パルセータには、前記第2嵌合溝に嵌った前記第2嵌合部の前記出入口側への移動を規制する規制部が設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記パルセータ本体の上面部には、第1マークが設けられ、前記摘みの上面部には、前記出入口に進入した前記第2嵌合部が前記第2嵌合溝に嵌ったことに応じて前記周方向において前記第1マークと一致する第2マークが設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記アタッチメントにおいて前記差込穴から下側へはみ出す部分には、前記パルセータ本体において前記差込穴を縁取る周縁部を下側から支持する支持部が設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記パルセータユニットを含む、洗濯機である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パルセータユニットは、パルセータとアタッチメントとを含み、パルセータは、アタッチメントを介して洗濯機の回転軸に着脱可能に連結される。そのため、複数機種の洗濯機のそれぞれにおいて、回転軸にアタッチメントを連結し、アタッチメントを介してパルセータを回転軸に装着すれば、パルセータユニットは、複数機種の洗濯機に対応できるので、パルセータの汎用性を獲得することができる。
アタッチメントが回転軸に連結された状態において、使用者がパルセータを下降させることによってパルセータ本体の中心部の差込穴にアタッチメントを下側から差し込むと、アタッチメントの外周面部の第1嵌合部が差込穴の第1嵌合溝に嵌る。これにより、パルセータが、回転軸側のアタッチメントに対して一体回転可能に連結され、パルセータの摘みの下面部の第2嵌合部が、アタッチメントの外周面部の出入口に上側から進入する。そして、使用者が、摘みの上面部の操作部を掴んでパルセータ本体の周方向に動かすと、先ほど出入口に進入した第2嵌合部がアタッチメントの第2嵌合溝に嵌るので、パルセータがアタッチメントに対して上下方向に位置決めされる。これにより、回転軸に対するパルセータの装着が完了する。第2嵌合溝に嵌った第2嵌合部は、第2嵌合溝における溝底及び上下の側壁のそれぞれに接触するので、装着状態におけるパルセータのがたつきを抑えることができる。
そして、使用者が操作部を掴んで装着時と逆向きに動かすと、第2嵌合溝内の第2嵌合部が出入口に到達して出入口から上側へ外れ、アタッチメントがパルセータ本体の差込穴から外れるので、回転軸からのパルセータの離脱が完了する。
以上のように、パルセータユニットは、パルセータ本体、摘み及びアタッチメントという少ない部品によるシンプルな構造で洗濯機の回転軸にパルセータを着脱できる。
【0015】
また、本発明によれば、パルセータに設けられた規制部が、第2嵌合溝に嵌った第2嵌合部の出入口側への移動を規制するので、パルセータがアタッチメントから不意に離脱することを防止できる。
【0016】
また、本発明によれば、摘みの上面部に設けられた第2マークが、出入口に進入した第2嵌合部が第2嵌合溝に嵌ったことに応じてパルセータ本体の周方向においてパルセータ本体の上面部の第1マークと一致する。この状態を見た使用者は、パルセータが回転軸に装着されたことを容易に把握できる。
【0017】
また、本発明によれば、アタッチメントにおいて差込穴から下側へはみ出す部分に設けられた支持部が、パルセータ本体において差込穴を縁取る周縁部を下側から支持するので、装着状態におけるパルセータのがたつきを一層抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
図2】パルセータユニットの分解斜視図である。
図3】パルセータユニットに含まれるパルセータの分解斜視図である。
図4】パルセータを構成するパルセータ本体及び摘みを互いに分離した状態で示した平面図である。
図5】パルセータの分解斜視図である。
図6】パルセータユニットに含まれるアタッチメントの周辺構成についての分解斜視図である。
図7】アタッチメントの平面図である。
図8】パルセータがアタッチメントに対して着脱される途中の状態を示す斜視図である。
図9】パルセータがアタッチメントに対して着脱される途中の状態における要部の断面部である。
図10】パルセータがアタッチメントに対して着脱される途中の状態における要部の断面部である。
図11】パルセータがアタッチメントに装着された状態における要部の断面部である。
図12】パルセータがアタッチメントに装着された状態を示す平面図である。
図13】第1変形例に係るパルセータの分解斜視図である。
図14】第1変形例に係るパルセータの平面図である。
図15】第2変形例に係るパルセータの分解斜視図である。
図16】第2変形例に係るパルセータの分解斜視図である。
図17】第2変形例に係るパルセータの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。図1において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を左側X1といい、図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0020】
洗濯機1には、縦型洗濯機や、二槽式洗濯機や、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する縦型洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3内に収容された洗濯槽4と、洗濯槽4内に収容されたパルセータ5と、洗濯槽4やパルセータ5を回転させるトルク(駆動力)を発生する電動のモータ6と、モータ6が発生したトルクの伝達先を切り替える伝達機構7とを含む。
【0021】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉8が設けられる。上面2Aにおいて、例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、タッチパネルなどで構成された表示操作部9が設けられる。
【0022】
外槽3は、上端に開口3Aが形成された有底円筒状に形成される。開口3Aは、筐体2の開口2Bの真下に配置される。外槽3内には、水が溜められる。外槽3には、排水路10が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路10から機外に排出される。排水路10の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁11が設けられる。
【0023】
洗濯槽4は、上下方向Zつまり縦に延びる中心軸Jを有し、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4の上端には、開口4Aが形成される。開口4Aは、外槽3の開口3Aと筐体2の開口2Bとに下側Z2から連通した状態にある。洗濯機1の使用者は、扉8を開いて開口2B、開口3A及び開口4Aを開放し、洗濯槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
【0024】
洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で収容され、縦に配置される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、中心軸Jまわりに回転可能である。洗濯槽4には、図示しない貫通穴が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通穴を介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。洗濯槽4の底壁には、中心軸Jに沿って下側Z2へ延び出て外槽3の底壁を貫通した管状の支持軸12が設けられる。
【0025】
パルセータ5は、中心軸Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4の底壁上に配置される。洗濯機1は、中心軸Jに沿って上下方向Zに延びる回転軸13をさらに含む。回転軸13の上端部13Aは、洗濯槽4内に配置されて、パルセータ5の中心部に連結される。回転軸13は、支持軸12の中空部分に挿通されて、回転軸13の下端部は、外槽3の底壁よりも下側Z2に位置する。
【0026】
モータ6は、上側Z1へ突出して中心軸Jを中心として回転する出力軸14を有し、洗濯槽4の下側Z2に配置される。伝達機構7は、支持軸12及び回転軸13のそれぞれの下端部と、出力軸14の上端部との間に介在される電動のクラッチである。伝達機構7は、モータ6が出力軸14から出力するトルクを、支持軸12及び回転軸13の一方又は両方に対して選択的に伝達する。トルクが支持軸12に伝達されると洗濯槽4が回転し、トルクが回転軸13に伝達されるとパルセータ5が回転する。
【0027】
外槽3及び洗濯槽4への給水に関連して、洗濯機1は、蛇口(図示せず)からの水道水を洗濯槽4内に供給するための給水路15をさらに含む。給水路15の一端(図示せず)は、筐体2の外に引き出されて、蛇口に接続される。給水路15の他端は、筐体2内に配置されて、給水口15Aとして洗濯槽4の開口4Aに上側Z1から臨む。給水路15には、開閉可能な給水弁16が設けられる。
【0028】
洗濯機1は、マイコンなどによって構成された制御部17をさらに含む。制御部17には、モータ6、伝達機構7、表示操作部9、排水弁11及び給水弁16のそれぞれが電気的に接続される。制御部17は、モータ6、伝達機構7、排水弁11及び給水弁16の動作を制御することによって洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯槽4内の洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。
【0029】
洗い工程では、制御部17は、まず、排水弁11を閉じた状態で給水弁16を所定時間開くことによって洗濯槽4内に給水する(図1の破線矢印を参照)。給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者が扉8を開いて洗剤を開口4Aから洗濯槽4内に投入してもよい。
【0030】
洗濯槽4内の水位が所定水位まで上昇すると、制御部17は、給水を停止した後にモータ6及び伝達機構7を制御することによって、パルセータ5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。最後に、制御部17は、排水弁11を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0031】
すすぎ工程では、制御部17は、まず、排水弁11を閉じた状態で給水弁16を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。給水を終えた制御部17は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、パルセータ5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。すすぎ工程では、給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者が扉8を開いて柔軟剤を開口4Aから洗濯槽4内に投入してもよい。柔軟剤は、洗濯物Qに染み渡る。最後に、制御部17は、洗濯槽4を排水する。
【0032】
脱水工程では、制御部17は、排水弁11を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。
【0033】
次に、パルセータ5に関して詳しく説明する。パルセータ5は、アタッチメント20を介して洗濯機1の回転軸13に着脱可能に連結される。つまり、アタッチメント20には、パルセータ5が着脱可能に装着される。パルセータ5及びアタッチメント20は、パルセータユニット21を構成する。洗濯機1は、パルセータユニット21を含む。
【0034】
図2は、パルセータユニット21の分解斜視図である。パルセータユニット21のほとんどは、樹脂製である。パルセータユニット21に含まれるパルセータ5は、回転軸13つまり中心軸Jと同軸上に配置される円形状のパルセータ本体22と、パルセータ本体22に連結された摘み23とを含む。
【0035】
図3は、パルセータ5の分解斜視図である。パルセータ本体22は、厳密には円環状であり、その周方向Sは、中心軸Jまわりの周方向と一致する。パルセータ本体22の径方向Rは、中心軸Jを基準とする。以下では、径方向Rにおいて中心軸Jから離れる方向を径方向外側R1といい、径方向Rにおいて中心軸Jに近付く方向を径方向内側R2という。
【0036】
パルセータ本体22の上面部22Aにおいて径方向Rにおける中心部には、上側Z1へ突出しつつ周方向Sに延びる円筒部22Bが設けられる。上面部22Aには、上側Z1へ隆起した複数の隆起部22Cが、周方向Sに等間隔で並んで設けられる。それぞれの隆起部22Cは、円筒部22Bの外周面から径方向外側R1へ延び、パルセータ本体22の外周縁に接続される。それぞれの隆起部22Cの頂上部22Dは、径方向Rに沿って直線状に延びる(図4も参照)。上面部22Aにおいて隣り合う隆起部22Cの間の領域22Eには、パルセータ本体22を上下方向Zに貫通した複数の貫通穴22Fが形成される。貫通穴22Fは、隆起部22Cにも形成されてもよい。
【0037】
円筒部22Bの内周面22Gでは、下半分が一定の直径を有する円筒状に形成されるものの、上半分が上側Z1へ向かうにつれて拡径するテーパ状に形成される。内周面22Gの上半分には、複数の係合溝22Hが周方向Sに等間隔で並んで形成される。本実施形態では、3つの係合溝22Hが設けられ、それぞれの係合溝22Hは、周方向Sに細長く延びる。円筒部22Bの上端面の周上1箇所には、上側Z1へ突出した突起状の第1マーク22Iが設けられる。
【0038】
図4は、パルセータ本体22及び摘み23を互いに分離した状態で示した平面図である。パルセータ本体22の上面部22Aには、円筒部22Bによって囲まれた円筒状の凹部22Jが形成される。凹部22Jの底部22Kは、円板状に形成され、パルセータ本体22の中心部を構成する。底部22Kの外周部には、複数の係合部22Lが周方向に並んで設けられる。本実施形態では、3つの係合部22Lが、周方向Sにおいて係合溝22Hと交互に並ぶように設けられ、それぞれの係合部22Lは、周方向Sに細長く延びる帯状である。それぞれの係合部22Lの上面部において周方向Sの中央には、上側Z1へ突出した爪部22Mが設けられる。底部22Kには、それぞれの爪部22Mを径方向Rから挟んで平行に延びる複数のスリット22Nが形成される。それぞれのスリット22Nは、底部22Kを上下方向Zに貫通した状態にある。これにより、それぞれの係合部22Lは、上下方向Zに弾性変形可能である。
【0039】
凹部22Jの底部22Kにおいて、それぞれの係合部22Lよりも径方向内側R2の中心部22Oは、係合部22Lが形成された外周部よりも上下方向Zに肉厚であり、下側Z2へ突出する(図5参照)。底部22Kの中心部22Oには、中心部22Oを上下方向Zに貫通した差込穴22Pが形成される。差込穴22Pは、略星形状であり、厳密には、円形状の丸穴22Qと、丸穴22Qから径方向外側R1へ突出して縦に延びる複数の第1嵌合溝22Rとを一体的に有する。本実施形態では、3つの第1嵌合溝22Rが設けられ、周方向Sに等間隔で並ぶ。それぞれの第1嵌合溝22Rは、平面視において、径方向外側R1へ向かうにつれて細くなる略三角形状である。
【0040】
図5は、下側Z2から見たパルセータ5の分解斜視図である。底部22Kの中心部22Oは、金属製で円筒状のインサート部24を内蔵する。インサート部24の内周面24Aは、差込穴22Pと一致した略星形状であり、上下方向Zにおける差込穴22Pの途中部から露出されて、差込穴22Pの一部を構成する。中心部22Oの下端面には、差込穴22Pを取り囲みつつ下側Z2へ突出した円環状の位置決め部22Sが設けられる。位置決め部22Sは、パルセータ本体22において差込穴22Pを縁取る周縁部の一例である。中心部22Oにおいて差込穴22Pを縁取る内周面においてインサート部24の内周面24Aよりも下側Z2の部分は、下側Z2へ向かうにつれて拡径するテーパ状のガイド部22Tである。ガイド部22Tには、ガイド部22Tの傾斜に沿って上下方向Zに延びる複数の溝22Uが周方向Sに並んで設けられる。
【0041】
パルセータ本体22の下面部22Vでは、中心部22O及び差込穴22Pと、前述した複数の貫通穴22Fとが露出される。下面部22Vにおいて上面部22A側の各隆起部22Cと周方向Sで一致する領域には、隆起部22Cに応じて上側Z1へ窪んだ窪み22Wが形成される。下面部22Vには、下側Z2へ突出する複数のリブ22Xが設けられる。これらのリブ22Xは、中心部22Oを取り囲んで周方向Sに延びる環状リブと、中心部22Oから放射状に延びる直線リブとを含む。
【0042】
摘み23は、円盤状であり、パルセータ本体22の上面部22Aの凹部22Jにぴったり収容される(図2参照)。摘み23は、円板部23Aと、円板部23Aの外周縁から立ち上がった円環状の周壁部23Bと、周壁部23Bの上端から径方向外側R1へ張り出した円環状のフランジ部23Cとを一体的に有する。円板部23Aの上面部と、周壁部23Bの内周面と、フランジ部23Cの上面部とは、摘み23の上面部23D(図3参照)を構成する。上面部23Dにおいて周壁部23Bによって取り囲まれた部分は、下側Z2へ窪む円筒状の凹部23Eである(図3参照)。円板部23Aの上面部には、円板部23Aの中心から放射状に延びる3本のリブによって構成されたY字状の操作部23Fが設けられる。操作部23Fは、後述するように、アタッチメント20に対するパルセータ5の着脱のために使用者によって操作される。操作部23Fは、凹部23Eの外へはみ出さないように配置される。フランジ部23Cの上面部の周上1箇所には、上側Z1へ突出した突起状の第2マーク23Gが設けられる(図4参照)。第2マーク23Gは、操作部23Fを構成する3本のリブのいずれかと周方向Sで同じ位置にある。
【0043】
円板部23Aの下面部と、周壁部23Bの外周面と、フランジ部23Cの下面部とは、摘み23の下面部23Hを構成する。円板部23Aの下面部と周壁部23Bの外周面との境界には、テーパ状の面取り部23Iが設けられる。面取り部23Iを、円板部23Aの下面部の外周部の一部とみなしてもよい。円板部23Aの下面部において平面視で操作部23Fと重なる位置には、操作部23Fに応じて上側Z1へ窪んだY字状の溝23Jが形成される。
【0044】
円板部23Aの下面部において溝23Jを避けた領域には、下側Z2へ突出する複数のボス23Kが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。本実施形態では、3つのボス23Kが設けられる。それぞれのボス23Kの下端部には、径方向内側R2へ突出した爪部23Lが設けられる。円板部23Aの下面部の外周部において溝23Jを避けた領域には、下側Z2へ突出する複数のボス23Mが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。本実施形態では、3つのボス23Mが設けられる。周壁部23Bの外周面には、径方向外側R1へ突出した爪部23Nが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。本実施形態では、3つの爪部23Nが設けられる。それぞれの爪部23Nは、フランジ部23Cの外周縁よりも径方向内側R2に位置する。
【0045】
パルセータ本体22の上面部22Aの凹部22Jに収容された摘み23の爪部23Nが凹部22Jの係合溝22H(図3参照)に一つずつ係合することによって、摘み23は、凹部22Jから抜けないようにパルセータ本体22に連結される。また、摘み23の下面部23Hのボス23Kが、凹部22J内において、凹部22Jの底部22Kにおける差込穴22P(図3参照)の真上に配置される。また、摘み23の下面部23Hのボス23Mが、底部22Kに設けられた係合部22L(図3参照)と径方向Rで同じ位置に配置される。この状態における摘み23は、パルセータ本体22に対して周方向Sに相対移動可能である。
【0046】
図6は、アタッチメント20の周辺構成についての分解斜視図であり、アタッチメント20の他に、回転軸13の上端部13Aと、アタッチメント20を回転軸13に固定するための固定部材25とを図示する。回転軸13の上端部13Aに外周面には、上下方向Zに延びて周方向Sに等間隔で並ぶ複数のリブによって構成された歯車形状のセレーション13Bと、セレーション13Bの下隣において径方向外側R1へ張り出した円環状のフランジ部13Cとが設けられる。フランジ部13Cは、回転軸13の上端部13Aに取り付けられるワッシャであってもよい。上端部13Aには、その上端面から下側Z2へ延びる穴13Dが形成される。固定部材25の一例は、下側Z2へ向かうにつれて細くなる円錐状の頭部25Aと、頭部25Aの下端から下側Z2へ延びる円柱状の軸部25Bとを一体的に有するピンやボルトである。
【0047】
アタッチメント20は、上下方向Zに延びる略円筒状である。アタッチメント20は、その本体をなす円筒部20Aと、円筒部20Aの下端から径方向外側R1へ張り出した円環状の支持部20Bとを一体的に有する。円筒部20Aの外周面は、アタッチメント20の外周面部20Cのほとんどを構成する。円筒部20Aの外周面には、上下方向Zに延びる複数の凸部20Dが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。本実施形態では、3つの凸部20Dが設けられ、それぞれの凸部20Dの平面形状は、径方向外側R1へ向かうにつれて細くなる略三角形状に形成される。このような凸部20Dが設けられた円筒部20Aは、平面視において、パルセータ本体22の差込穴22Pと一致した略星形状である(図7参照)。
【0048】
円筒部20Aの外周面において凸部20Dよりも上側Z1の領域には、周方向Sに延びる複数の第2嵌合溝20Eが、周方向Sに等間隔で並んで設けられる。本実施形態では、3つの第2嵌合溝20Eが設けられる。周方向Sにおける一方は、平面視における時計回りの方向S1であり、周方向Sにおける他方は、平面視における反時計回りの方向S2である。円筒部20Aの外周面には、それぞれの第2嵌合溝20Eにおいて反時計回りの方向S2における端部から上側Z1へ延びて円筒部20Aの上端面から上側Z1に露出される出入口20Fが設けられる。出入口20Fは、上側Z1へ向かうにつれて周方向Sに広がるように形成される。円筒部20Aの上端面は、アタッチメント20の上面部20Gを構成する。
【0049】
円筒部20Aには、その内部空間を構成する下穴20H及び上穴20Iが形成される。下穴20Hは、回転軸13のセレーション13Bと一致する歯車形状のセレーション穴であり、円筒部20Aの下端面から下側Z2に露出される(図9参照)。上穴20Iは、下穴20Hに上側Z1から連通した状態にある。上穴20Iの上領域は、固定部材25の頭部25Aと一致する円錐状に形成され、上穴20Iの下領域は、一定の直径で下側Z2へ延びる円柱状に形成される(図9参照)。上穴20Iは、円筒部20Aの上端面から上側Z1に露出される。
【0050】
円筒部20Aは、金属製で略円筒状のインサート部26を内蔵する。インサート部26の外周面には、円筒部20Aの凸部20Dと同数の凸部26Aが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。凸部26Aは、凸部20Dと同じ平面形状を有するものの、上下方向Zにおいて凸部20Dよりも小さく、上下方向Zにおける凸部20Dの途中の切欠き20Jから露出される。凸部26Aを凸部20Dの一部とみなしてもよい。インサート部26の内周部26B(図9参照)は、下穴20Hと一致した歯車形状であり、上下方向Zにおける下穴20Hの途中部から露出され、下穴20Hの一部を構成する。
【0051】
アタッチメント20では、円筒部20Aの下穴20Hには、回転軸13のセレーション13Bが下側Z2から挿通され、セレーション13Bと下穴20Hとはセレーション嵌合した状態にある(図9参照)。そして、円筒部20Aの上穴20Iには、固定部材25の軸部25Bが上側Z1から差し込まれ、アタッチメント20は、固定部材25の頭部25Aと回転軸13のフランジ部13Cとの間で上下方向Zから挟まれた状態にある(図9参照)。以上により、アタッチメント20は、回転軸13に対して、上下方向Zに位置決めされて一体回転可能に連結された状態にある。
【0052】
次に、回転軸13に連結された状態におけるアタッチメント20に対するパルセータ5の着脱について説明する。パルセータ5をアタッチメント20に装着したい使用者は、パルセータ本体22の円筒部22Bや摘み23の操作部23F(図2参照)を片手で掴んでパルセータ5を筐体2の開口2B、外槽3の開口3A及び洗濯槽4の開口4A(図1参照)に通して、洗濯槽4内に収容する。
【0053】
次に、使用者は、引き続き円筒部22Bや操作部23Fを掴んだ状態でパルセータ5を洗濯槽4内で下降させる。すると、図8及び図9に示すように、アタッチメント20が、パルセータ本体22の差込穴22Pに下側Z2から対向する。使用者がパルセータ5をさらに下降させると、アタッチメント20が、差込穴22Pに対して下側Z2から差し込まれる。その際、差込穴22Pの下端部におけるテーパ状のガイド部22Tが、アタッチメント20を差込穴22Pにガイドする。なお、同様の効果を得るために、アタッチメント20の円筒部20Aの外周面の上端部が面取りされてもよい(図6参照)。
【0054】
そして、図10に示すように、アタッチメント20の支持部20Bがパルセータ本体22の位置決め部22Sに下側Z2から接触すると、パルセータ5の下降が停止する。このとき、アタッチメント20の外周面部20Cでは、円筒部20Aにおいて第2嵌合溝20Eよりも下側Z2の部分、詳しくは凸部20Dが設けられた部分が、差込穴22Pに差し込まれた状態にある。また、アタッチメント20の各凸部20D及びインサート部26の各凸部26Aが、第1嵌合部の一例として、差込穴22Pにおいて周方向Sで同じ位置にある第1嵌合溝22Rに嵌った状態にあるので、パルセータ5が、回転軸13側のアタッチメント20に対して一体回転可能に連結された状態にある。さらに、アタッチメント20の外周面部20Cにおいて差込穴22Pから上側Z1へはみ出した部分には、第2嵌合溝20E及び出入口20Fが位置し、摘み23の各爪部23Lが、周方向Sで同じ位置にある出入口20Fに上側Z1から進入して第2嵌合溝20Eの反時計回りの方向S2における端部に到達した状態にある。
【0055】
また、摘み23の第2マーク23Gが、パルセータ本体22の円筒部22Bの第1マーク22Iに対して反時計回りの方向S2へ少しずれた状態にある。また、摘み23の各ボス23Mの下端部が、パルセータ本体22において周方向Sで同じ位置にある係合部22Lにおいて爪部22Mよりも反時計回りの方向S2の部分22Y(図3も参照)に上側Z1から接触した状態にある。
【0056】
次に、使用者が摘み23の操作部23Fを掴んで時計回りの方向S1に捩じると、図11に示すように、摘み23がパルセータ本体22に対して時計回りの方向S1に相対移動するので、摘み23側の各爪部23Lがアタッチメント20の第2嵌合溝20E内で移動し、第2嵌合溝20Eの時計回りの方向S2における端部に到達する。これにより、各爪部23Lは、第2嵌合部の一例として、第2嵌合溝20Eに嵌るので、パルセータ5がアタッチメント20に対して上下方向Zに位置決めされる。
【0057】
また、摘み23の移動によって各爪部23Lが第2嵌合溝20Eに嵌ったことに応じて、摘み23の第2マーク23Gが、パルセータ本体22の円筒部22Bの第1マーク22Iと周方向Sにおいて一致する(図12も参照)。さらに、摘み23の各ボス23Mの下端部が、パルセータ本体22において周方向Sで同じ位置にある係合部22Lの爪部22Mを時計回りの方向S1へ乗り越える。この状態における爪部22M及びボス23Mは、パルセータ5に設けられた規制部の一例として、アタッチメント20の第2嵌合溝20Eに嵌った爪部23Lの出入口20F側への移動、つまり反時計回り方向S1への摘み23の移動を規制する。これにより、パルセータ5がアタッチメント20から不意に離脱することを防止できる。
【0058】
以上により、アタッチメント20へのパルセータ5の装着、つまり、アタッチメント20を介した回転軸13に対するパルセータ5の装着が完了する。そのため、アタッチメント20及びパルセータ5を含むパルセータユニット21が、回転軸13に連結されることによって回転軸13と一体回転可能になる。パルセータユニット21では、パルセータ本体22側のインサート部24及びアタッチメント20側のインサート部26という金属部品同士が接触した状態にあるので、回転する回転軸13からのトルクは、これらの金属部品を介して、パルセータ5に伝達される。
【0059】
使用者は、摘み23の第2マーク23Gとパルセータ本体22の第1マーク22Iとが周方向Sにおいて一致した状態を見ることによって、パルセータ5が回転軸13に装着されたことを容易に把握できる。また、使用者は、前述したように摘み23の各ボス23Mの下端部がパルセータ本体22の係合部22Lの爪部22Mを乗り越える際にクリック感が得られるので、これによっても、パルセータ5が回転軸13に装着されたことを容易に把握できる。
【0060】
パルセータ5がアタッチメント20に装着された状態では、アタッチメント20側の第2嵌合溝20Eに嵌ったパルセータ5側の爪部23Lが、第2嵌合溝20Eにおける溝底20K及び上下の側壁20L(図10参照)という合計3箇所に弾性接触するので、装着状態におけるパルセータ5の上下方向Zのがたつきを抑えることができる。そのため、回転時のパルセータ5の外周部が上下方向Zに振れることを抑制できる。さらに、アタッチメント20においてパルセータ本体22の差込穴22Pから下側Z2へはみ出した支持部20Bが、パルセータ本体22の位置決め部22Sを下側Z2から支持した状態にあるので、装着状態におけるパルセータ5のがたつきを一層抑えることができる。
【0061】
使用者は、パルセータ5をアタッチメント20から取り外したい場合には、装着時の逆の手順を踏めばよい。具体的には、まず、使用者は、片手で摘み23の操作部23Fを掴んで装着時と逆向き、つまり反時計回りの方向S2に捩じると、図10に示すように、摘み23がパルセータ本体22に対して反時計回りの方向S2に相対移動するので、摘み23側の各爪部23Lが第2嵌合溝20E内で移動し、第2嵌合溝20Eの反時計回りの方向S2における端部、つまり出入口20Fの下端部に到達する。また、摘み23の移動に応じて、摘み23の第2マーク23Gが、パルセータ本体22の円筒部22Bの第1マーク22Iと周方向Sで一致しなくなり、摘み23の各ボス23Mの下端部が、パルセータ本体22において周方向Sで同じ位置にある係合部22Lの爪部22Mを反時計回りの方向S2へ乗り越える。
【0062】
次に、使用者は、パルセータ本体22の円筒部22Bや摘み23の操作部23Fを掴んでパルセータ5を上昇させる。すると、図9に示すように、各爪部23Lが出入口20Fから上側Z1へ外れ、アタッチメント20が差込穴22Pから外れる。これにより、アタッチメント20からのパルセータ5の取り外し、つまり回転軸13からのパルセータ5の離脱が完了する。その後、使用者は、引き続きパルセータ5を上昇させて、洗濯槽4の開口4A、外槽3の開口3A及び筐体2の開口2B(図1参照)に通して、筐体2の外に取り出す。
【0063】
使用者は、取り出したパルセータ5の全体、特に下面部や、普段は洗濯槽4内でパルセータ5の下側Z2に隠れる底部4B(図1参照)などを容易に掃除することができる。特に、従来の洗濯機では、専用の洗浄コースを実行させることによってパルセータ及び洗濯槽をつけおき洗いすることができたが、10時間位かかる割には洗い残しがあるので、パルセータを綺麗に掃除することが困難であるし、パルセータ及び洗濯槽から汚れが落ちたかどうかを目視で確認することができない。このような従来と比べて、洗濯機1では、使用者は、取り出したパルセータ5に洗剤をかけ、浮き出た汚れをブラッシングによって除去することにより、パルセータ5をお手軽かつ20分程度の短時間で隅々まで掃除することができるし、パルセータ5などが綺麗になったことを目視で確認できる。
【0064】
以上のように、パルセータ本体22、摘み23及びアタッチメント20という少ない部品によるシンプルな構造のパルセータユニット21によって、洗濯機1の回転軸13にパルセータ5を着脱させることができる。そのため、パルセータユニット21では、ワンタッチジョイント構造を用いてパルセータが着脱できるような構成と比べて、異物の噛み込みを原因とする着脱不良を防止でき、コスト低減や組立性の向上を図れる。仮にパルセータユニット21内に異物が侵入しても、パルセータ5を取り外して、パルセータ5及びアタッチメント20のそれぞれを掃除することによって容易にメンテナンスすることができる。
【0065】
回転軸13からのトルクをパルセータ5に伝達するための構成は、パルセータ本体22側のインサート部24及びアタッチメント20側のインサート部26に集約されるので、パルセータユニット21をシンプルに構成できる。また、パルセータ5は、アタッチメント20を介して洗濯機1の回転軸13に着脱可能に連結される。そのため、例えば複数機種の洗濯機のそれぞれにおいて、回転軸にアタッチメント20を連結し、アタッチメント20を介してパルセータ5を当該回転軸に装着すれば、従来の洗濯機を含む複数機種の洗濯機でも、構造変更なくパルセータユニット21を共通適用できるので、パルセータ5の汎用性を獲得することができる。なお、アタッチメント20は、複数機種の洗濯機のそれぞれに適合するように複数種類設けられてもよい。
【0066】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、パルセータ5の摘み23には、第1変形例及び第2変形例が挙げられる。以下で参照する図13図17では、前述した構成と同じ構成については、同じ符号を付すことによって詳細な説明を省略する。前述した実施形態では、摘み23の上面部23Dにおける凹部23Eが、Y字状の操作部23Fによって、周方向Sに並ぶ3つの領域23P(図12参照)に区画される。この場合には、異物や洗濯物Lがいずれかの領域23Pに詰まって操作部23Fを反時計回りの方向S2に押すことによって摘み23の爪部23Lがアタッチメント20の第2嵌合溝20Eから外れ、これによって、パルセータ5がアタッチメント20から外れてしまうことが懸念される。
【0068】
そこで、図13及び図14に示す第1変形例のように、操作部23Fは、摘み23の上面部23Dにおける凹部23Eに詰まった異物などから周方向Sの力の受けないように、上面部23Dの中央部から上側Z1へ突出した円筒状に形成されてもよい。第1変形例の操作部23Fの外周面には、周方向Sに等間隔で並ぶ複数のリブ23Qが滑り止めとして設けられるので、使用者は、操作部23Fを掴んで正確に操作することができる。
【0069】
操作部23Fは、図15図17に示す第2変形例のように、摘み23とは別の部品として設けられてもよい。第2変形例の操作部23Fは、上側Z1へ膨出するドーム部23Rと、ドーム部23Rの下面部から下側Z2へ突出する円筒部23Sとを一体的に有する。ドーム部23Rの外径は、摘み23のフランジ部23Cの外径とほぼ同じである。ドーム部23Rの上面部には、使用者の指先を受け入れる複数の凹部23Tが周方向Sに等間隔で並んで設けられ、前述した第2マーク23Gも設けられる。ドーム部23Rの外周部には、下側Z2へ突出する複数の爪部23Uが周方向Sに等間隔で並んで設けられる。ドーム部23Rの下面部において円筒部23Sによって囲まれた領域には、下側Z2へ突出する複数のボス23Vが周方向Sに等間隔で並んで設けられる(図16参照)。
【0070】
第2変形例の操作部23Fでは、円筒部23Sが、摘み23の上面部23Dにおける凹部23Eに上側Z1から嵌る。操作部23Fでは、それぞれの爪部23Uが、摘み23の23Cに設けられた溝23Wに1つずつ嵌り、それぞれのボス23Vの下端部が、上面部23Dに設けられた穴23Xに1つずつ嵌る。これにより、第2変形例の操作部23Fは、摘み23に相対移動不能に連結され、凹部23Eを上側Z1から覆う。そのため、凹部23Eに異物などが詰まることを防止できる。なお、上面部23Dには、凹部23Eから水を落下させるための水抜き穴23Yが、穴23Xとは別に設けられる。
【符号の説明】
【0071】
1 洗濯機
4 洗濯槽
5 パルセータ
13 回転軸
20 アタッチメント
20B 支持部
20C 外周面部
20D 凸部
20E 第2嵌合溝
20F 出入口
20G 上面部
21 パルセータユニット
22 パルセータ本体
22A 上面部
22I 第1マーク
22M 爪部
22O 中心部
22P 差込穴
22R 第1嵌合穴
22S 位置決め部
23 摘み
23D 上面部
23F 操作部
23G 第2マーク
23H 下面部
23L 爪部
23M ボス
26A 凸部
Q 洗濯物
S 周方向
Z 上下方向
Z1 上側
Z2 下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17