(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061451
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法、ならびに該製造方法によって製造された化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20220411BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220411BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20220411BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220411BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/19
A61K8/44
A61K8/81
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065610
(22)【出願日】2021-04-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0128558
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521148278
【氏名又は名称】エルエンピー コスメティク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】パク ダジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガン ジフン
(72)【発明者】
【氏名】イ チョンヒ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB332
4C083AB342
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD041
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB51
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保湿力とシワの減少に優れた化粧料組成物及びその製造方法の提供。
【解決手段】本発明は、ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップと、親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップと、アクリル系ポリマーを投入するステップと、親水性第2アミノ酸を投入して、前記アクリル系ポリマーを中和してクロスリンクを形成し、アクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップと、親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップと、両親媒性溶媒および疎水性アミノ酸を含む第2組成物を製造するステップと、前記第1組成物と前記第2組成物とを混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップとを含む、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法、ならびに、該製造方法によって製造された化粧料組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップと;
親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップと;
アクリル系ポリマーを投入するステップと;
親水性第2アミノ酸を投入して、前記アクリル系ポリマーを中和してクロスリンクを形成し、アクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップと;
親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップと;
両親媒性溶媒および疎水性アミノ酸を含む第2組成物を製造するステップと;
前記第1組成物と前記第2組成物とを混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップ;と
を含む、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記親水性第2アミノ酸は塩基性アミノ酸であり、前記親水性第3アミノ酸は酸性アミノ酸である、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記アクリル系ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)と、アクリレート/C12-22アルキルメタクリレート共重合体(Acrylates/C12-22 Alkyl Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/べへネス-25メタクリレート共重合体(Acrylates/Beheneth-25 Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/セテス-20メタクリレート共重合体(Acrylates/Ceteth-20 Methacrylate Copolymer)と、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンNa共重合体(hydroxyethyl acrylate/sodium acryloyldimethyl taurate copolymer)と、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体(Ammonium Acryloyldimethyltaurate/VP Copolymer)と、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項4】
前記マイクロ波は、500Wから1500Wまでの出力で照射される、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項5】
前記第1組成物および前記第2組成物は、1:0.15~1:0.35の重量比を有する、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項6】
前記両親媒性溶媒は、グリセリン(Glycerin)と、ジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)と、メチルプロパンジオール(Methyl Propanediol)と、プロピレングリコール(Propylene Glycol)と、ブチレングリコール(Butylene Glycol)と、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたミセル複合体を含む化粧料組成物であって、
前記ミセルがミネラル-親水性アミノ酸結合体のヘッド部およびアクリル系ポリマーのテール部を含み、
前記ミセルの内部には、疎水性アミノ酸が含まれ、ミセル複合体を形成する、化粧料組成物。
【請求項8】
前記疎水性アミノ酸は、グリシンと、ロイシンと、メチオニンと、バリンと、アラニンと、イソロイシンと、トリプトファンと、フェニルアラニンと、プロリンと、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項7に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法、ならびに該製造方法によって製造された化粧料組成物(A method of producing a cosmetic composition comprising a micelle complex formed by using natural moisturizing factor and a cosmetic composition formed by the method)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物で活性を示す有効成分としてビタミン類およびそれらの誘導体、アミノ酸、植物抽出物、香料、酵素、微生物抽出物、ミネラル、などを例として挙げることができ、温度、pH、光、空気のような外部因子に露出されると、安定性が下がり、これにより、皮膚の吸収率が低下し、化粧品のシワの改善、美白、保湿、紫外線遮蔽などの機能的効果が低下する。
【0003】
人体の皮膚は、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor、NMF)と呼ばれる保湿因子を自ら作成することができる。天然保湿因子は、水に溶ける水溶性低分子であって、アミノ酸が40%程度を占める。皮膚に存在する天然保湿因子は、周囲の水分を吸収して、表皮と角質層に水分バリアを形成するように助ける物質である。アミノ酸以外の物質としては、汗や皮脂に存在する成分として、代表的には、ミネラル成分が挙げられる。天然保湿因子は、ほとんどの皮膚の内側に存在し、皮膚の外側の保湿を汗と皮脂が担当する。汗と皮脂に存在するミネラル成分は、角質に水分を供給することができる。天然保湿因子は皮膚の弾力、保湿およびシワ防止に重要な役割を果たす物質であり、天然保湿因子が不足すると、皮膚が乾燥し、ひどい場合は、アトピーや極乾燥に皮膚の性質が変更されてしまう恐れもあり、老化が進むにつれて天然保湿因子の皮膚内の含有量が減少し、皮膚の乾燥やシワを誘発する。
【0004】
化粧品の開発においては、外部因子から上述した有効成分を保護して安定性を向上させる技術と共に有効成分の溶解度や分散効率を向上させる技術、有効成分を望む部位に効率的に伝える技術、および有効成分の皮膚吸収を促進する技術などの開発が求められ、究極的には有効成分が望まれる部位にて本来の機能を十分に発揮するようにする安定した伝達体の開発が求められる。
【0005】
界面活性剤は、油/水の界面と固体/液体の界面のような界面に独特に吸着されるものと知られ、保存において、凝集に対して安定的に残留する液体媒質(例えば、水)の内の粒子の分散物を生成するための安定化剤として使用される。界面にて単分子層としてのこのような吸着特性のために、高分子電解質の形の界面活性剤が固体粒子のような基質にて界面活性剤の層を生成させるために使用された。また、界面活性剤は、単一の凝集物で多数の界面活性剤分子を含有する構造にして凝集することができる。これらの凝集物は、ミセル(micelle)と呼ばれる。このような凝集物は、通常、球の形状を有するが、様々な形状や構造を有することができる。このような凝集物を構成する分子の数は非常に多く、多くの場合、約数百個の分子を数える。ミセルは、比較的に単純な界面活性剤の構造で構成されることがあるが、高分子量のブロック共重合体の界面活性剤で構成されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第2016-0133069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法及びこれによって製造された化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップと、親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップと、アクリル系ポリマーを投入するステップと、親水性第2アミノ酸を投入して、前記アクリル系ポリマーを中和してクロスリンクを形成し、アクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップと、親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップと、両親媒性溶媒および疎水性アミノ酸を含む第2組成物を製造するステップと、前記第1組成物と前記第2組成物とを混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップと、を含む、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記製造方法によって製造された天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物であって、前記ミセルがミネラル-親水性アミノ酸結合体のヘッド部およびアクリル系ポリマーのテール部を含み、前記ミセルの内部には、疎水性アミノ酸が含まれ、ミセル複合体を形成する、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料の製造方法は、マイクロ波を利用することよって製造の初期に電気伝導率を大きくして、機能性物質であるミネラルの溶解度を大幅に向上させることができ、また、ミセル複合体を容易に形成して、疎水性アミノ酸を担持しながらも、高い分散度を確保し、層の分離安定性を確保することができる。
【0011】
また、前記の製造方法によって製造された天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物は、保湿力とシワの減少に優れた効果を達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1による化粧料組成物を使用した被験者の使用前後の目元のシワの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の様々な実施例が添付された図面を参照して記載される。本発明は、特定の実施例に限られない。本発明の実施例の様々な変更(Modification)、均等物(Equivalent)および/または代替物(Alternative)を含むものと理解されるべきである。図面の説明に関して、類似の構成要素に対しては類似の参照符号が使用されることもある。
【0014】
本文書において、「有する」、「有することができる」、「含む」、または「含むことができる」などの表現は、当該特徴(例えば、数値、機能、動作、または部品などの構成要素)の存在を示し、追加的な特徴の存在を排除しない。
【0015】
本文書において、「AまたはB」、「Aおよび/またはBのうち少なくとも一つ」、または「Aおよび/またはBのいずれか、またはそれ以上」などの表現は、提示された項目の可能なすべての組み合わせを含むことができる。例えば、「AまたはB」、「AおよびBのうち少なくとも一つ」、または「AまたはBのうちの少なくとも一つ」は、(1)少なくとも一つのAを含む場合、(2)少なくとも一つのBを含む場合、(3)少なくとも一つのAと少なくとも一つのBを含む場合をすべて示すものである。
【0016】
本文書において使用された表現、例えば、「~するように構成された(または設定された)(Configured to)」は、状況に応じて、「~に適した(Suitable for)」、「~する能力を有する(Having the capacity to)」、「~するように設計された(Designed to)」、「~するように改造された(Adapted to)」、「~するように造られた(Made to)」、または「~をすることができる(Capable of)」と言い換えて使用することができる。用語「~するように構成(または設定)された」は、「特別に設計されて(Specifically designed to)」いるもののみを意味するものではない。
【0017】
本文書において使用された用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、他の実施例の範囲を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈に沿って明らかに単数を示す意味ではない限り複数の表現を含むことができる。技術的または科学的な用語を含めて。この文書にて使用される用語は、本文書に記載された技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持つことができる。本文書にて使用される用語のうち、一般的な辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上持つ意味と同一又は類似な意味で解釈されるべきであり、この文書にて明らかに定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。場合によっては、本文書で定義された用語であっても、本文書の他の実施例を排除するように解釈されてはならない。
【0018】
本書に開示された実施例は、開示された技術内容の説明と理解のために提示されたものであって、本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本文書の範囲は、本発明の技術的思想に基づいたすべての変更や、多様な実施例を含むものと解釈されるべきである。
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び請求の範囲にて使用される用語や単語は、通常的意味または辞典的意味に限定して解釈されてはならず、発明者はその自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができる、という原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈されるべきである。
【0020】
本明細書に記載された実施例の構成は、本発明の最も好ましい実施例の一部に過ぎないため、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではない。したがって、本件の出願時点において、それらを代替することができる多様な均等物と変形例がありうることを理解しなければならない。
【0021】
この明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と記載する場合、別途の反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができる意味を有する。
【0022】
以下では、本発明について具体的に説明する。
【0023】
天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法
本発明は、ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップと、親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップと、アクリル系ポリマーを投入するステップと、親水性第2アミノ酸を投入して、前記アクリル系ポリマーを中和してクロスリンクを形成し、アクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップと、親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップと、両親媒性溶媒および疎水性アミノ酸を含む第2組成物を製造するステップと、前記第1組成物と前記第2組成物とを混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0024】
前記ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップは、ミネラル成分を精製水に均等に分散させるステップである。該ステップを通じて精製水に分散されたミネラル原子の電子にスピンを形成することができ、これによってミネラル原子の運動性を増加させ、それぞれのミネラル原子の間のギャップを拡張することができる。
【0025】
前記ミネラル成分は、塩の形のナトリウム(Na)と、カルシウム(Ca)と、リン(P)と、マグネシウム(Mg)と、カリウム(K)と、硫黄(S)と、ゲルマニウム(Ge)と、亜鉛(Zn)と、セレン(Se)と、これらのいずれかの組み合わせからなる群から選択されるものである。
【0026】
高濃度のミネラル成分を含有している物質であれば、本明細書の記載に制限されることなく、これに含まれることができる。高濃度のミネラル成分やミネラル成分を含有する物質は、一つまたは複数のミネラル成分の組み合わせを含むことができる。例えば、前記のミネラル成分は、カルシウム(Ca)やナトリウム(Na)などの純粋な原子であってもよいし、MgCl2・6H2Oのような水化物であってもよい。または、前記ミネラル成分は、塩の形、例えば、NaCl、MgCl2、CaCl2などを含むこともでき、また、イオンの形、例えば、Na+、Mg2+、Ca2+を含むこともできる。
【0027】
前記精製水は、当業界にて一般的に使用される精製水、超純水(ultrapure water)を利用することができ、好ましくは超純水を利用する。一般精製水は医薬品、化粧品などに一般的に使用される水であって、純度を示す溶存固形分が1.0~0.5ppm、精製水の製造において微粒子と微生物の除去のために使用するフィルタの気孔サイズが0.2~0.45μm、pHが弱酸から弱アルカリまで様々である。前記超純水は、溶存固形分が約0.03ppmで純度が非常に高く、超純水の製造において使用されるフィルタの気孔サイズが0.001μmであり、これを利用して微生物が99.99%除去されたものである。特に、超純水は、金属イオンが除去されるため、組成物の自動酸化反応を防止することができ、また金属イオンによるポリマー凝集現象を防止することができるため、刺激を抑えながらも製剤が均等に塗布されるようにする。
【0028】
本発明者らは例の研究の結果、マイクロ波の照射が水溶液の中のミネラルイオンが電荷を運ぶため、50℃~80℃でミネラル成分を精製水に溶解しマイクロ波を3~10分、好ましくは4~6分照射すると、分子の運動が最も活発になって電気伝導率が大きくなって、分子の間隔が拡大されることを発見した。そこでマイクロ波の周波数は、1,500~3,000MHzである。前記マイクロ波の出力は、500~1500Wが望ましい。マイクロ波の出力が前記範囲内であることが、ミネラル成分の分散性と組成物の電気伝導率の確保の観点から望ましい。
【0029】
組成物に適正の範囲の電気伝導率を備えた方が、この後の工程でミネラル成分と親水性第1アミノ酸との容易な結合に好ましい。具体的には、ミネラル成分の溶解とマイクロ波を照射した後、40℃で測定した環境で700~900μS/cmであることが、ミネラル成分の分子運動が最も活発であって、凝集せずに分子間隔を効果的に拡張することができる。
【0030】
前記親水性第1アミノ酸を投入し、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップは、後述するミセル形成において、アクリル系ポリマーと結合するための親水性ヘッド部化合物を形成するステップである。
【0031】
前記親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップにおいては、30~50℃に冷却した後、親水性の第1アミノ酸を投入することが好ましい。ここで組成物の電気伝導率は、40℃基準850~1100μS/cmであることが、アミノ酸と親水性第1アミノ酸の合成を最も効率的に進めることができる。
【0032】
ここで、前記親水性第1アミノ酸は、セリンとトレオニンのいずれかを含む。
【0033】
前記アクリル系ポリマーを投入するステップは、両親媒性アクリル系ポリマーの親水性残基に、以前のステップで形成されたミネラル-アミノ酸反応物を結合させ、親水性ヘッド部と疎水性テール部を有するアクリル系ポリマーをベース材料として投入するものである。
【0034】
前記両親媒性アクリル系ポリマーは、親水性残基と疎水性残基の共重合体であり、例えば、親水性ポリマーの相補的反応部位に反応性末端を有する疎水性残基がグラフト重合(graft polymerization)されたものであってもよい。前記アクリル系ポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸由来の両親媒性ポリマーを使用する。例えば、ポリアクリル酸ナトリウムと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)と、アクリレート/C12-22アルキルメタクリレート共重合体(Acrylates/C12-22 Alkyl Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/べへネス-25メタクリレート共重合体(Acrylates/Beheneth-25 Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/セテス-20メタクリレート共重合体(Acrylates/Ceteth-20 Methacrylate Copolymer)と、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンNa共重合体(hydroxyethyl acrylate/sodium acryloyldimethyl taurate copolymer)と、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体(Ammonium Acryloyldimethyltaurate/VP Copolymer)と、からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0035】
本発明の一実施例によれば、前記アクリル系ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムとアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)を含むことができる。これらはアクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)を基準にした重量比で1:20~1:40で化粧料組成物に含まれることができる。前記の範囲未満であれば、ミセル形成の後、疎水性アミノ酸を内部に容易に担持することができないため、シワのケアの効果が下がり、前記の範囲を超える場合は、適正なpH(弱酸性)の確保が難しく、保湿力が下がりつつ、剤形が不透明になる現象と低温での沈殿の問題とともに、高温では薄い帯の形で分離されるなど、剤形の安定性の側面から好ましくない。
【0036】
また、組成物の温度が40℃であった場合、アクリル系ポリマーが溶解されたとき、電気伝導率が600~850μS/cmであることが剤形の透明度の確保の観点から好ましく、pHは、4~7であることが望ましい。
【0037】
親水性第2アミノ酸を投入して前記アクリル系ポリマーを中和し、クロスリンクを形成してアクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップは、からんでいるアクリル系ポリマーの構造を乳化し、ポリマーが直鎖状になるように誘導する。アクリル系ポリマーは、精製水によって水和(hydration)された後、親水性の第2アミノ酸によって中和(neutralization)され直鎖状に変形される。
【0038】
前記親水性第2アミノ酸は、塩基性アミノ酸であって、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0039】
親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップは、適正pHの確保及び溶液の安定化のためのバッファーを提供するステップである。前記親水性第3アミノ酸は酸性アミノ酸である。具体的には、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0040】
上述した過程を経て形成された第1組成物は、40℃で電気伝導率が700~850μS/cmであって、pHが4.5~6.0で弱酸性であった。このようなpHと電気伝導度を確保することにより、本発明の一実施形態に係る化粧料組成物に適用する際に、皮膚に適した弱酸性の剤形を提供することができる。
【0041】
前記両親媒性溶媒と疎水性アミノ酸とを含む第2組成物を製造するステップは、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物のための2液型ステップである。このステップは、別途の容器に両親媒性溶媒と疎水性アミノ酸を溶解して、ミセル複合体の形成の際に、疎水性アミノ酸がミセルの内部に容易に含まれるようにするための段階である。前記第2組成物は、必要に応じて精製水をさらに含んでいてもよい。
【0042】
前記両親媒性溶媒は、グリセリン(Glycerin)と、ジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)と、メチルプロパンジオール(Methyl Propanediol)と、プロピレングリコール(Propylene Glycol)と、ブチレングリコール(Butylene Glycol)と、からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0043】
前記疎水性アミノ酸は、グリシンと、ロイシンと、メチオニンと、バリンと、アラニンと、イソロイシンと、トリプトファンと、フェニルアラニンと、プロリンと、からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0044】
第1組成物及び第2組成物を混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップは、2液型反応である。前記ステップは、好ましくは、前記第1組成物と第2組成物を重量比1:0.15~1:0.35の割合で2液型に製造するステップである。
【0045】
前記の範囲未満であれは、油中水(W/O、Water In Oil)型でありながらアクリル系ポリマーが投入されるため、具体的にはW/P型(Water in Polymer)の剤型で水分(精製水)をバインディングしている構造を有するために、疎水性の部分(Polymer)が不足して、ミセルが不十分に形成されるか、または形成されないこともあり得る。前記の範囲を超える場合には、層が分離してしまう現象が生じる可能性があり、最終的な化粧料組成物の透明度が劣ってしまう恐れがある。
【0046】
本発明のミセル複合体を含む化粧料組成物の構成成分のそれぞれの含有量は、以下の通りである。含有量の基準に関しては、第1組成物及び第2組成物のそれぞれを基準とする。それぞれの構成成分は、下記の含有量の範囲内で溶媒に投入されて溶解される。
【0047】
第1組成物において、精製水100重量部を基準にして、ミネラル成分が0.01~0.05重量部、親水性第1アミノ酸が0.005~0.015重量部、アクリル系ポリマーが0.01~0.15重量部、親水性第2アミノ酸が0.001~0.010重量部、及び親水性第3アミノ酸が0.005~0.015重量部含まれることができる。
【0048】
ミネラル成分は、前記含有量の範囲未満である場合、ミセル複合体の親水性ヘッド部が容易に形成されないため、好ましくない。前記含有量の範囲を超える場合、ミネラル成分によるポリマーのクロスリンクを低下させ、時間の経過につれて剤形の粘度の低下や透明性に影響を与える恐れがある。また、所定の値以上の含有量のミネラル成分は、浸透現象によって水分を皮膚の内部に供給するより外部へ流出させるため、乾燥感を極大化させる恐れがある。
【0049】
親水性第1アミノ酸は、前記含有量の範囲未満である場合、ミセル複合体の親水性ヘッド部が容易に形成されないため好ましくない。前記含有量の範囲を超える場合、親水性ヘッド部の大きさが過度に大きくなってしまい、水分バインディング力は増加するが、表面張力、すなわち親水性アミノ酸の界面の張力が大きくなって、親水性アミノ酸同士に凝集する傾向が現れ、剤形の安定性の側面から好ましくない。
【0050】
アクリル系ポリマーは、前記含有量の範囲未満である場合、粘度と含有量が低いためミセル複合体を形成することができない。また疎水性アミノ酸をミセルの内部に担持し難い側面から好ましくない。前記含有量の範囲を超える場合、剤形がぬるぬるになってしまい、吸水性が悪く、透明度に影響を与えることもある。
【0051】
親水性第2アミノ酸は、前記含有量の範囲未満である場合、アクリル系ポリオールの中和作用が不十分に生じて、クロスリンクを形成することができず分散力が低下し、ミセル複合体の形成に悪影響を与える恐れがある。前記含有量の範囲を超える場合、pH上昇の影響によって、皮膚のバリアを弱化させ、水分の損失をもたらすとともに皮膚の乾燥を悪化させ、皮膚に刺激を与える観点から望ましくない。
【0052】
親水性第3アミノ酸は、前記含有量の範囲未満である場合、化粧料組成物の剤形の安定性を確保するのに影響を及ぼす。また、pHを弱酸性に調整させ難くなり、本願発明の固有の効果である保湿力の向上やシワの改善の効果が低下してしまう側面から好ましくない。前記含有量の範囲を超える場合、pHが低くなり、安定度や剤形的側面から好ましくない。
【0053】
第2組成物において、両親媒性溶媒100重量部を基準にして、疎水性アミノ酸が0.01~0.10重量部、精製水が20~50重量部含まれることができる。
【0054】
疎水性アミノ酸は、前記含有量の範囲未満である場合、ミセル複合体の内部に担持される疎水性アミノ酸の総量が減少し、本願発明の固有の効果である保湿力、シワの改善の効果が低下してしまう側面から好ましくない。前記含有量の範囲を超える場合、ポリマーがサスペンディングすることができる範囲を超えると、層の分離が生じる可能性があるので、剤形の安定性の側面から好ましくない。
【0055】
天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物
上述したような天然保湿因子を用いて形成されたミセルは、ミネラル-親水性アミノ酸結合体を含むヘッド部と、アクリル系ポリマーを含むテール部を含む。前記ミセル内部には疎水性アミノ酸が含まれている。ミセル複合体は、前記ミセルと該ミセルの内部に含まれている疎水性アミノ酸を含むものであり、精製水を溶媒とする化粧料組成物に前記ミセル複合体が適宜に分散される。
【0056】
特に、前記疎水性アミノ酸は、グリシンと、ロイシンと、メチオニンと、バリンと、アラニンと、イソロイシンと、トリプトファンと、フェニルアラニンと、プロリンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0057】
前記ミセル複合体は、組成物100重量%のうち0.01~0.05重量%含まれることができる。前記ミセル複合体が前記の範囲で化粧料組成物に含まれることによって、皮膚に適用する際、ミセル内部の疎水性アミノ酸が角質層の角質細胞内の細胞間脂質を支え、皮膚の水分と結合する。これによって皮膚の水分を保持し、水分の蒸発を防止する役割を効果的に果たすことができる。かつ、層の分離に関する安定性と剤形の透明度を確保することができる。
【0058】
前記ミセル複合体が含まれている化粧料組成物は、本発明の上述した効果であるシワの緩和と皮膚の保湿力の確保の観点から、組成物の温度が40℃である場合、電気伝導率が750~850μS/cmであって、pHが5.0~6.0であることが望ましい
本発明の一実施形態に係る化粧料組成物は、油中水(W/O)型である。具体的にはアクリル系ポリマーを用いることにより、オイル(Oil)成分は、ポリマー(Polymer)を含むことができる。したがって、本発明者らは、これをW/P(Water In Polymer)型と示す。これを満足する剤形であれば制限なく利用することができる。例えば、基礎化粧料の剤形、スキン、ローション、アイクリーム、スーディングジェル、軟膏、マスクパック用製剤、ボディウォッシュ用製剤、ピーリングゲル(peeling gel)、水中油型のメイクアップベース、油中水型メイクアップベース、ファンデーション、スキンカバー、口紅、リップグロス、フェイスパウダー(face powder)、ツーウェイケーキパウダー(2-way cake powder)、アイシャドー(eye shadow)、チークカラーアイブロウペンシル(chic color eyebrow pencil)類からなる色調化粧料製剤、日焼け止め、BBクリーム、および頭皮用製剤のうちから選択されるいずれか一つであってもよい。
【0059】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者において明らかである。
【0060】
製造例
製造例1
第1組成物として、75℃の精製水0.5gにNaCl0.025gと、MgCl20.00025gと、CaCl20.0002gとを混合した後、CEM社アメリカ製マイクロ波機器を用いてマイクロ波を2,400~2,500MHz、1000Wで15分間照射した(S1)。前記組成物を40℃に冷却した後、精製水0.5gと、セリン0.005gと、トレオニン0.0015gとを投入して、ミネラル成分と反応させた(S2)。その後、精製水74gと、ポリアクリル酸ナトリウム0.045gと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)0.0017gとを混合した後、容器に投入した(S3)。精製水0.5gと、アルギニン0.0013gと、ヒスチジン0.005gとを混合した後、容器に投入した(S4)。精製水5gと、グルタミン酸0.006gと、アスパラギン酸0.003gとを混合した後、容器に投入した(S5)。
【0061】
第2組成物として、別途の容器に、グリセリン14gと、アラニン0.0015gと、プロリン0.0014gと、グリシン0.009gと、精製水5gとを混合した(S6)。
【0062】
その後、前記第1組成物及び前記第2組成物を混合して最終的な組成物を製造した(S7)。
【0063】
製造例2
75℃の精製水0.5gにNaCl0.025gと、MgCl20.00025gと、CaCl20.0002gとを混合した後、CEM社アメリカ製マイクロ波機器を用いてマイクロ波を2,400~2,500MHz、1000Wの出力で15分間照射した(S1*)。前記組成物を40℃に冷却した後、精製水0.5gと、セリン0.005gと、トレオニン0.0015gとを投入して、ミネラル成分と反応させた(S2*)。その後、精製水74gと、ポリアクリル酸ナトリウム0.045gと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)0.0017gとを混合した後、容器に投入した(S3*)。精製水0.5gと、アルギニン0.0013gと、ヒスチジン0.005gとを混合した後、容器に投入した(S4*)。精製水5gと、グルタミン酸0.006gと、アスパラギン酸0.003gとを混合した後、容器に投入した(S5*)。グリセリン14gと、アラニン0.0015gと、プロリン0.0014gと、グリシン0.009gと、精製水5gとを混合した後、容器に投入して、最終的な組成物を製造した(S6*)。
【0064】
製造例3
第1組成物として、75℃の精製水0.5gにNaCl0.025gと、MgCl20.00025gと、CaCl20.0002gとを混合した後、CEM社アメリカ製マイクロ波機器を用いてマイクロ波を2,400~2,500MHz、1000Wの出力で15分間照射した(S1**)。前記組成物を40℃に冷却した後、精製水0.5gと、セリン0.005gと、トレオニン0.0015gとを投入して、ミネラル成分と反応させた(S2**)。その後、精製水74gと、ヒドロキシエチルセルロース(Hydroxy-ethylcellulose)0.056gとを混合した後、容器に投入した(S3**)。精製水0.5gと、アルギニン0.0013gと、ヒスチジン0.005gとを混合した後、容器に投入した(S4**)。精製水5gと、グルタミン酸0.006gと、アスパラギン酸0.003gとを混合した後、容器に投入した(S5**)。
【0065】
第2組成物として、別途の容器に、グリセリン14gと、アラニン0.0015gと、プロリン0.0014gと、グリシン0.009gと、精製水5gとを混合した(S6**)。
【0066】
その後、前記第1組成物及び第2組成物を混合して、最終的な組成物を製造した(S7**)。
【0067】
製造例4
第1組成物として、75℃の精製水0.5gにNaCl0.025gと、MgCl20.00025gと、CaCl20.0002gとを混合した(S1***)。前記組成物を40℃に冷却した後、精製水0.5gと、セリン0.005gと、トレオニン0.0015gとを投入して、ミネラル成分と反応させた(S2***)。その後、精製水74gと、ポリアクリル酸ナトリウム0.045gと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)0.0017gとを混合した後、容器に投入した(S3***)。精製水0.5gと、アルギニン0.0013gと、ヒスチジン0.005gとを混合した後、容器に投入した(S4***)。精製水5gと、グルタミン酸0.006gと、アスパラギン酸0.003gとを混合した後、容器に投入した(S5***)。
【0068】
第2組成物として、別途の容器に、グリセリン14gと、アラニン0.0015gと、プロリン0.0014gと、グリシン0.009gと、精製水5gとを混合した(S6***)。
【0069】
その後、前記第1組成物及び第2組成物を混合して、最終的な組成物を製造した(S7***)。
【0070】
実施例と比較例
実施例1
製造例1の工程によって製造された化粧料組成物を実施例1にした。
【0071】
実施例2~7
製造例1の工程と同様に製造する。ただし、構成成分の含有量を下記のように調整して製造した化粧料組成物を実施例2~7にした。
【0072】
【0073】
比較例1
製造例2の工程によって製造された化粧料組成物を比較例1にした。
【0074】
比較例2
製造例3の工程によって製造された化粧料組成物を比較例2にした。
【0075】
比較例3
製造例4の工程によって製造された化粧料組成物を比較例3にした。
【0076】
実験例1:各ステップごとの温度とpH確認
製造例1~製造例4の各製造ステップでの温度、pH、電気伝導率を下表のように測定した。電気伝導率の場合METTER TOLEDO社Cond probe InLab 720製品を用いた。(「-」の表記は、測定していないことを示す。)
【0077】
【0078】
実験例2:皮膚水分の増加
発明者らは、皮膚が良くない20~40歳の女性50人を選定し、前記実施例及び比較例によって製造された化粧料組成物を、毎日2回1ヶ月間、顔や首などに塗布するようにした。塗布の開始に前もって恒温、恒湿条件(24℃、湿度40%)を満たした環境で水分測定器(Corneometer、CM820 courage Khazaka electronic GmbH、Germany)を用いて皮膚の乾燥度を測定して基本値とみなした。それぞれ1週目、2週目、4週目の経過後の皮膚の保湿量を測定して客観的な効果を評価した。その結果を[表3]に示した。
【0079】
【0080】
実験例3:製造後の経時安定性を観察(層分離安定性を観察)
前記実施例及び比較例によって製造された組成物を、常温条件で12ヶ月以上の間、45℃の高温条件で1ヶ月以上の間、-4℃の低温条件で1ヶ月以上の間、それぞれの環境に露出し、経時安定性を観察した。その結果を[表4]に示した。
【0081】
【0082】
○:良好(外観変化なし、透明)、△:変化あり(外観が不透明)、×:不良(層の分離が発生)
【0083】
実験例4:シワ改善の測定
常温、湿度40~60%の恒温・恒湿条件にて、健康な25~55歳の女性20人(平均年齢:40.30歳)を選定し、毎実験日ごとに、被験者が実施例の化粧料組成物を使用するその直前に、目元のしわと皮膚粘弾性測定(Cutometer MPA 580(C + K、Germany))を行った。その結果を[表5]に示した。
【0084】
皮膚粘弾性値=皮膚の変化パターン領域(Uv)/皮膚回復パターン領域(Ue)
皮膚粘弾性値が低いほど弾性が優れたものである。
【0085】
被験者1人を選定し、シワ測定撮影装置(aram ASM-300)を用いて、本発明の実施例1に係る化粧料組成物の使用前と使用後(4週間後の時点)の目元のシワを撮影した。その結果を
図1に示した。使用後のシワの面積が減少したことからシワが有意義に改善されたことがわかる。
【0086】
【手続補正書】
【提出日】2021-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラル成分を精製水に投入し、マイクロ波を照射して溶解するステップと;
親水性第1アミノ酸を投入して、ミネラル-親水性アミノ酸反応物を製造するステップと;
アクリル系ポリマーを投入するステップと;
親水性第2アミノ酸を投入して、前記アクリル系ポリマーを中和してクロスリンクを形成し、アクリル系ポリマーとミネラル-アミノ酸反応物を結合するステップと;
親水性第3アミノ酸を投入して、第1組成物を製造するステップと;
両親媒性溶媒および疎水性アミノ酸を含む第2組成物を製造するステップと;
前記第1組成物と前記第2組成物とを混合して、ミセル複合体を含む組成物を製造するステップ;と
を含み、
前記親水性第1アミノ酸は、セリンとトレオニンのいずれかを含み、
前記アクリル系ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムと、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer)と、アクリレート/C12-22アルキルメタクリレート共重合体(Acrylates/C12-22 Alkyl Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/べへネス-25メタクリレート共重合体(Acrylates/Beheneth-25 Methacrylate Copolymer)と、アクリレート/セテス-20メタクリレート共重合体(Acrylates/Ceteth-20 Methacrylate Copolymer)と、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンNa共重合体(hydroxyethyl acrylate/sodium acryloyldimethyl taurate copolymer)と、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体(Ammonium Acryloyldimethyltaurate/VP Copolymer)と、からなる群から選択される1種以上を含み、
前記親水性第2アミノ酸は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンからなる群から選択される1種以上を含み、
前記親水性第3アミノ酸は、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選択される1種以上を含む、天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記マイクロ波は、500Wから1500Wまでの出力で照射される、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記第1組成物および前記第2組成物は、1:0.15~1:0.35の重量比を有する、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項4】
前記両親媒性溶媒は、グリセリン(Glycerin)と、ジプロピレングリコール(Dipropylene Glycol)と、メチルプロパンジオール(Methyl Propanediol)と、プロピレングリコール(Propylene Glycol)と、ブチレングリコール(Butylene Glycol)と、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の天然保湿因子を利用して形成されたミセル複合体を含む化粧料組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ミセルがミネラル-親水性アミノ酸結合体のヘッド部およびアクリル系ポリマーのテール部を含み、
前記ミセルの内部には、疎水性アミノ酸が含まれ、ミセル複合体を形成する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化粧料組成物の製造方法。
【請求項6】
前記疎水性アミノ酸は、グリシンと、ロイシンと、メチオニンと、バリンと、アラニンと、イソロイシンと、トリプトファンと、フェニルアラニンと、プロリンと、からなる群から選択される1種以上を含む、請求項5に記載の化粧料組成物の製造方法。