(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061491
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法、およびその利用
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6813 20180101AFI20220411BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20220411BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20220411BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220411BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 200
C12M1/34 Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021163583
(22)【出願日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020169189
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 重治
(72)【発明者】
【氏名】木戸口 正典
(72)【発明者】
【氏名】小山 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】野口 恵美子
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029FA04
4B029FA10
4B029FA12
4B029GB02
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR55
4B063QS32
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
【課題】慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ、および慢性副鼻腔炎の患者の分類用装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、特定の複数の遺伝子からなる遺伝子群に含まれる少なくとも3つの遺伝子の発現を指標とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体から採取した試料中の、下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法:
上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【請求項2】
更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、請求項1に記載のデータの取得方法。
【請求項3】
更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、請求項1または2に記載のデータの取得方法。
【請求項4】
上記検出工程で得られた上記遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を更に含む、請求項1~3の何れか1項に記載のデータの取得方法。
【請求項5】
上記遺伝子の発現データは、下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の発現データを含む、請求項4に記載のデータの取得方法:
上記遺伝子群は、IL32、PLA2G2A、IGHE、IL6、CCL4からなる遺伝子群。
【請求項6】
上記被験体は、慢性副鼻腔炎の治療薬を投与した被験体である、請求項1~5の何れか1項に記載のデータの取得方法。
【請求項7】
被験体から採取した試料中に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法。
【請求項8】
上記遺伝子の発現データは、下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の発現データを含む、請求項7に記載のデータの取得方法:
上記遺伝子群は、IL32、PLA2G2A、IGHE、IL6、CCL4からなる遺伝子群。
【請求項9】
上記被験体は、慢性副鼻腔炎の治療薬を投与した被験体である、請求項7または8に記載のデータの取得方法。
【請求項10】
下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット:
上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【請求項11】
更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、請求項10または11に記載のキット。
【請求項13】
下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ:
上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【請求項14】
更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、請求項13に記載のアレイ。
【請求項15】
更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、請求項13または14に記載のアレイ。
【請求項16】
請求項13~15の何れか1項に記載の慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイと、
上記プローブに由来するシグナルを検出するスキャナーと、を備えている、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータ取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法、およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性副鼻腔炎は、副鼻腔である上顎洞、篩骨洞、前頭洞、および蝶形骨洞のうちの1つ以上において、ウイルスまたは菌などの感染によって慢性的な炎症を起こし、そこに粘液および/または膿が溜まる疾患である。
【0003】
慢性副鼻腔炎の重症度は、例えば鼻茸の有無、または好酸球性副鼻腔炎診断基準(JESREC score)等による臨床像(フェノタイプ)に基づいて分類され、重症度に応じて治療方法が選択される(例えば、非特許文献1~5参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Tokunaga T. et al.,“Novel scoring system and algorithm for classifying chronic rhinosinusitis: the JESREC Study” Allergy, 2015, 70(8), 995-1003
【非特許文献2】藤枝 重, 坂下 雅, 徳永 貴, 岡野 光, 春名 威, 吉川 衛, et al. 好酸球性副鼻腔炎: 診断ガイドライン (JESREC Study). Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho 2015; 118:728-35.
【非特許文献3】Tomassen P. et al.,“Inflammatory endotypes of chronic rhinosinusitis based on cluster analysis of biomarkers” J. Allergy Clin Immunol., 2016, 137(5), 1449-1456.
【非特許文献4】Liao B. et al.,“Multidimensional endotypes of chronic rhinosinusitis and their association with treatment” Allergy, 2018, 73(7), 1459-1469.
【非特許文献5】Bachert C, Zhang N, Hellings PW, Bousquet J. Endotype-driven care pathways in patients with chronic rhinosinusitis. J Allergy Clin Immunol 2018; 141:1543-51.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の慢性副鼻腔炎の重症度の分類は、臨床経過と必ずしも一致せず、症例毎に、術後経過および/または抗モノクローナル抗体薬への応答性にバラツキがあるという問題点がある。このため、慢性副鼻腔炎を分類するための新たな技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ、および慢性副鼻腔炎の患者の分類用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、慢性副鼻腔炎を患っている患者間で発現量に差異がある遺伝子、換言すれば、慢性副鼻腔炎を患っている患者同士を好適に区別し得る遺伝子を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の構成を含む。
【0009】
<1>被験体から採取した試料中の、下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法:上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0010】
<2>更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>に記載のデータの取得方法。
【0011】
<3>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>または<2>に記載のデータの取得方法。
【0012】
<4>上記検出工程で得られた上記遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を更に含む、<1>~<3>の何れかに記載のデータの取得方法。
【0013】
<5>上記遺伝子の発現データは、下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の発現データを含む、<4>に記載のデータの取得方法:上記遺伝子群は、IL32、PLA2G2A、IGHE、IL6、CCL4からなる遺伝子群。
【0014】
<6>上記被験体は、慢性副鼻腔炎の治療薬を投与した被験体である、<1>~<5>の何れかに記載のデータの取得方法。
【0015】
<7>被験体から採取した試料中に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法。
【0016】
<8>上記遺伝子の発現データは、下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の発現データを含む、<7>に記載のデータの取得方法:上記遺伝子群は、IL32、PLA2G2A、IGHE、IL6、CCL4からなる遺伝子群。
【0017】
<9>上記被験体は、慢性副鼻腔炎の治療薬を投与した被験体である、<7>または<8>に記載のデータの取得方法。
【0018】
<10>下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット:上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0019】
<11>更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、<10>に記載のキット。
【0020】
<12>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、<10>または<11>に記載のキット。
【0021】
<13>下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ:上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0022】
<14>更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、<13>に記載のアレイ。
【0023】
<15>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、<13>または<14>に記載のアレイ。
【0024】
<16>上記<13>~<15>の何れかに記載の慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイと、上記プローブに由来するシグナルを検出するスキャナーと、を備えている、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータ取得装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ、および慢性副鼻腔炎の患者の分類用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】鼻茸組織中の遺伝子の発現結果に基づいて作成した、クラスターの分類を示すグラフである。
【
図2】各クラスターにおいて発現している主要な遺伝子と、症状の重症度を示した図である。
【
図3】本発明の実施例に係る、各クラスターの鼻茸組織中の遺伝子の発現量を表したグラフである。
【
図4】鼻茸組織中の遺伝子の発現結果に基づいて作成した、クラスターの分類を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施例に係る、各クラスターの患者の条件、症状、および予後について示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。
【0028】
本明細書において「慢性副鼻腔炎」とは、副鼻腔である上顎洞、篩骨洞、前頭洞、および蝶形骨洞のうちの1つ以上において、慢性的(例えば、12週間以上)な炎症が生じる疾患を意図する。より具体的に、「慢性副鼻腔炎」とは、副鼻腔である上顎洞、篩骨洞、前頭洞、および蝶形骨洞のうちの1つ以上において、慢性的(例えば、12週間以上)な炎症が生じる疾患であって、かつ、鼻茸が形成される疾患を意図する。慢性副鼻腔炎の具体例としては、好酸球性副鼻腔炎、非好酸球副鼻腔炎(例えば、アスピリン喘息に伴う鼻茸、後鼻孔ポリープおよび嚢胞性線維症など)などを挙げることができる。
【0029】
〔1.データの取得方法〕
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法は、被験体から採取した試料中の、下記の遺伝子群(第1の遺伝子群とも呼ぶ)に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む:上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0030】
上記遺伝子は、慢性副膜鼻腔炎の患者の中で比較(例えば、好酸球性副鼻腔炎の患者と、非好酸球副鼻腔炎の患者とを比較)したときに、発現量に非常に大きな差異があった遺伝子である。
【0031】
上記構成であれば、慢性副鼻腔炎の重症化などに関連する遺伝子の発現量を測定することが可能になる。これによって、慢性副鼻腔炎を、新規な基準に基づいて詳細に分類および診断することができる。したがって、当該方法であれば、慢性副鼻腔炎の適切な治療方法を選択することができる。
【0032】
従来、慢性副鼻腔炎は、フェノタイプを基に分類され、その病態に応じた診断および治療方針の検討が行われていた。現在提唱されている分類方法として、鼻ポリープ有無などの臨床病態、好酸球値の検出、または合併症の程度等に基づいた、重症度スコアによる分類が行われてきた。だが実臨床においては、選択される治療方法は必ずしも適切ではなかった。一方で、現時点では特異的な遺伝子に基づいた慢性副鼻腔炎の分類はなされていなかった。そのため、本発明によって、表現型に左右されない遺伝子に対応した慢性副鼻腔炎のエンドタイプ分類が可能であることは驚くべきことである。
【0033】
本発明者らは、表現型で分類した慢性副鼻腔炎患者群間での遺伝子発現を比較したところ、患者の症状に応じて、発現量に優位な差が認められた遺伝子(例えば、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18等)が存在することを発見した。これらの遺伝子の発現量に基づいて、好酸球性副鼻腔炎患者と、非好酸球性副鼻腔炎患者とを区別することができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、患者を上記第1の遺伝子群の遺伝子の発現量に基づいて分類する場合、患者が分類されるクラスターの数は特に限定されない。患者が分類されるクラスターは、例えば、2種類以上、3種類以上、4種類以上、5種類以上、9種類以上、10種類以上であってもよい。分類されるクラスターの数の上限は特に限定されないが、現実的には20種類以下であってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態において、被験体はヒトである。本発明の一実施形態において、被験体は、非ヒト哺乳動物である。非ヒト哺乳動物の例としては、偶蹄類(ウシ、イノシシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、奇蹄類(ウマなど)、齧歯類(マウス、ラット、ハムスター、リスなど)、ウサギ目(ウサギなど)、食肉類(イヌ、ネコ、フェレットなど)などが挙げられる。上述した非ヒト哺乳動物には、家畜またはコンパニオンアニマル(愛玩動物)に加えて、野生動物も包含される。
【0036】
本明細書において、「試料」とは、被験体から採取される「試料」全般を意図する。当該「試料」には、(i)生体試料(例えば、鼻茸、鼻粘膜組織、鼻汁、鼻粘膜擦過物、鼻洗浄液、鼻腔ぬぐい液、血液)、および、生体試料を固定化液(例えば、ホルマリン)によって固定することによって作製された病理標本、(ii)上記(i)に記載のものを所望の溶液に可溶化させた可溶化物、も包含される。
【0037】
本発明の一実施形態において、上記第1の遺伝子群から選択される遺伝子(換言すれば、検出工程にて発現が検出される遺伝子)は、少なくとも3つ以上である。第1の遺伝子群から選択される遺伝子は、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、または、33であってもよい。選択される遺伝子が多ければ多い程、慢性副鼻腔炎を、より詳細に分類および診断することができる。
【0038】
上記第1の遺伝子群から選択される遺伝子の組み合わせは、特に限定されず、所望の組み合わせであってもよい。
【0039】
慢性副鼻腔炎の分類の精度を向上させる観点から、検出工程で検出される少なくとも3つ以上の遺伝子(第1の遺伝子群から選択される遺伝子)は、CLC、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHM、IL32、IL33、LCP1、ITLN1、PTGDR2、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が含まれていることが好ましく、S100A8、IL32、IL33からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が含まれていることがより好ましい。
【0040】
上記方法において、検出される遺伝子の種類の総数は、上記第1の遺伝子群の少なくとも3つを含む、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、200以上、300以上、400以上、500以上、600以上、700以上、または800以上であってもよい。慢性副鼻腔炎の分類の精度を向上させる観点から、検出される遺伝子の総数は、多ければ多い程好ましい。検出される遺伝子の種類の総数の上限値は、特に限定されないが、2000以下、1500以下、1000以下、900以下、または、800以下であってもよい。当該構成であれば、慢性副鼻腔炎の分類の精度を向上させることができるのみならず、検出作業を簡便にすることができる。
【0041】
上記遺伝子の発現を検出する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、当該遺伝子のmRNAまたはタンパク質を検出してもよい。mRNAを検出する方法としては、例えば、分子バーコード法、PCR法、RNA-seq法、ノザンブロット法、マイクロアレイ法等が挙げられる。またタンパク質を検出する方法としては、例えば、分子バーコード法、ウエスタンブロット法、ELISA等が挙げられる。これらの中でも、多くの対象を簡便に測定できる観点から、nCounter(登録商標)等を用いた分子バーコード法が好ましい。なお、これらの方法は、公知の工程を経て行われ得る。
【0042】
上記データの取得方法は、更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群(第2の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する工程を含んでいてもよい。
【0043】
上記遺伝子は、慢性副膜鼻腔炎の患者の中で比較(例えば、好酸球性副鼻腔炎の患者と、非好酸球副鼻腔炎の患者とを比較)したときに、発現量に大きな差異があった遺伝子である。
【0044】
上記構成であれば、慢性副鼻腔炎への関与が大きいと考えられる遺伝子をさらに検出することができる。したがって、慢性副鼻腔炎を、より高い精度にて詳細に分類および診断することができる。
【0045】
上記第2の遺伝子群から選択される遺伝子(換言すれば、検出工程にて発現が検出される遺伝子)は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、または、21であってもよい。選択される遺伝子が多ければ多い程、慢性副鼻腔炎を、より詳細に分類および診断することができる。
【0046】
上記第2の遺伝子群から選択される遺伝子の組み合わせは、特に限定されず、所望の組み合わせを選択することができる。
【0047】
慢性副鼻腔炎の分類の精度を向上させる観点から、検出工程で検出される遺伝子(第2の遺伝子群から選択される遺伝子)は、CCL13、CCL24、CCL26、およびMARCOからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子であることが好ましく、CCL13、CCL24、およびMARCOからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子であることがより好ましい。
【0048】
更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群(第3の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子発現を検出する工程を含んでいてもよい。
【0049】
上記遺伝子は、慢性副膜鼻腔炎の患者の中で比較(例えば、好酸球性副鼻腔炎の患者と、非好酸球副鼻腔炎の患者とを比較)したときに、発現量に差異があった遺伝子である。
【0050】
上記構成であれば、慢性副鼻腔炎へ関与すると考えられる遺伝子をさらに検出することができる。したがって、慢性副鼻腔炎を、より高い精度にて詳細に分類および診断することができる。
【0051】
上記第3の遺伝子群から選択される遺伝子(換言すれば、検出工程にて発現が検出される遺伝子)は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、110以上、120以上、または、123であってもよい。選択される遺伝子が多ければ多い程、慢性副鼻腔炎を、より詳細に分類および診断することができる。
【0052】
上記第3の遺伝子群から選択される遺伝子の組み合わせは特に限定されず、所望の組み合わせを選択することができる。
【0053】
慢性副鼻腔炎の分類の精度を向上させる観点から、検出工程で検出される遺伝子(第3の遺伝子群から選択される遺伝子)は、C1QB、STAT6、IL6ST、STAT3、IL13RA1、C3、およびC4A/Bからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子であることが好ましく、STAT6、IL13RA1、C3、およびC4A/Bからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子であることがより好ましい。
【0054】
上記データの検出方法は、上記検出工程で得られた上記遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を更に含むことが好ましい。上記統計処理工程を含むことにより、得られたデータに基づいて被験体をより正確に分類することができる。
【0055】
上記データの検出方法が上記統計処理工程を含む場合、上記遺伝子の発現データは、下記の遺伝子群(第4の遺伝子群とも呼ぶ)に含まれる遺伝子の発現データを含むことが好ましい:上記遺伝子群は、IL32、PLA2G2A、IGHE、IL6、CCL4からなる遺伝子群。
【0056】
上記遺伝子は、慢性副鼻腔炎が重症であったにも関わらず、治療後の慢性副鼻腔炎の再発率が低かった患者において、発現量に非常に大きな差異があった遺伝子である。
【0057】
上記構成であれば、慢性副鼻腔炎の重症化、再発などに関連する遺伝子の発現量に基づいて、患者を分類するためのデータを取得することができる。従来、慢性副鼻腔炎が重症である患者は症状の再発率も高いと考えられていた。しかしながら、上述した通り上記第4の遺伝子群の発現量の差異が大きい患者は再発率が低く、予後良好である。したがって、上記遺伝子の発現データが上記第4の遺伝子群の発現データを含むことにより、慢性副鼻腔炎の患者の予後をより正確に予測することができる。
【0058】
上記被験体は、慢性副鼻腔炎の治療薬を投与した被験体であることが好ましい。上記構成であれば、治療薬を投与したことによって被験体の分類が変化したかどうかを判定することができる。
【0059】
本発明の別の実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法は、被験体から採取した試料中の、被験体から採取した試料中に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現データに対して、ウォード法による統計処理を行う統計処理工程を含む。なお、本発明の別の実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法の好ましい態様については、上述した本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法の記載を適宜援用することができるため、記載を省略する。
【0060】
〔2.キット〕
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用キットは、下記の遺伝子群(第1の遺伝子群とも呼ぶ)に含まれる遺伝子の少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える:GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0061】
〔1.データの取得方法〕において既に記載した事項については、以下では説明を省略する。
【0062】
本明細書において「キット」とは、任意の用途に用いられる、任意の試薬などの組み合わせを意味する。この用途は、医学用途であってもよいし、実験用途であってもよい。当該用途は、具体的に、診断用途であってもよい。
【0063】
上記キットは、例えば、遺伝子に由来するmRNAを検出するための物品を備えているものであってもよいし、遺伝子に由来するタンパク質を検出するための物品を備えているものであってもよいし、遺伝子に由来するmRNAおよびタンパク質を検出するための物品を備えているものであってもよい。
【0064】
上記遺伝子に由来するmRNAを検出するための物品としては、例えば、上記遺伝子のmRNAにハイブリダイズするプローブ(例えば、mRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド)、PCR法にて上記遺伝子の発現を検出するためのプライマー、mRNAの遺伝子配列を(例えば、RNA-seqによって)網羅的に解読するためのライブラリ作成試薬が挙げられる。
【0065】
上記遺伝子に由来するタンパク質を検出するための物品としては、例えば、上記タンパク質に特異的に結合する抗体等が挙げられる。
【0066】
上記物品は、例えば、(i)自ら検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発するものであってもよいし、(ii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合するものであってもよいし、(iii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合したmRNAまたはタンパク質と結合するものであってもよい。
【0067】
一実施形態において、キットは、診断に用いられる試薬および/または補助的な物質を備えていてもよい。一実施形態において、キットは、試薬および/または補助的な物質を格納する、1つ以上の格納容器(ボックス、ボトル、ディッシュなど)を備えていてもよい。
【0068】
更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群(第2の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備えていてもよい。
【0069】
更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群(第3の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備えていてもよい。
【0070】
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用キットは、上述した本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法を実施するために用いられ得る。それ故に、本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用キットに備えられる物品の数(例えば、第1の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するための物品の数、第2の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するための物品の数、第3の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するための物品の数、および/または、分類用キットに備えられる物品の総数)は、〔1.データの取得方法〕の欄にて説明した数と同じに設定することができる。
【0071】
〔3.アレイ〕
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイは、下記の遺伝子群(第1の遺伝子群とも呼ぶ)に含まれる少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える:GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0072】
上記アレイの種類は特に限定されず、使用可能なアレイとしては例えば、マイクロアレイ等が挙げられる。
【0073】
上記アレイは、遺伝子の発現を当該遺伝子に由来するmRNAにて検出するものであってもよいし、遺伝子の発現を当該遺伝子に由来するタンパク質にて検出するものであってもよい。遺伝子の発現を当該遺伝子に由来するmRNAにて検出する場合、上記プローブとしては、上記遺伝子のmRNAにハイブリダイズするプローブ(例えば、遺伝子のmRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド)、PCR法にて上記遺伝子の発現を検出するためのプライマー等が挙げられる。遺伝子の発現を当該遺伝子に由来するタンパク質にて検出する場合、上記プローブとしては、上記タンパク質に特異的に結合する抗体等が挙げられる。
【0074】
上記プローブは、例えば、(i)自ら検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発するものであってもよいし、(ii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合するものであってもよいし、(iii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合したmRNAまたはタンパク質と結合するものであってもよい。
【0075】
アレイは、ウェルを備えていてもよい。ウェルのサイズおよび間隔は、プローブの種類によって適宜、設定され得る。アレイがウェルを備えている場合、各プローブは、各プローブに対応する別々のウェルの中に固定化されていることが好ましい。
【0076】
上記アレイは更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群(第2の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備えていてもよい。
【0077】
上記アレイは更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群(第3の遺伝子群とも呼ぶ)から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備えていてもよい。
【0078】
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイは、上述した本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法を実施するために用いられ得る。それ故に、本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイに備えられるプローブの数(例えば、第1の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するためのプローブの数、第2の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するためのプローブの数、第3の遺伝子群に属する遺伝子の発現を検出するためのプローブの数、および/または、分類用キットに備えられるプローブの総数)は、〔1.データの取得方法〕の欄にて説明した数と同じに設定することができる。
【0079】
〔4.装置〕
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類するためのデータ取得装置は、本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイと、上記プローブに由来するシグナルを検出するスキャナーと、を備えている。
【0080】
上記プローブは、例えば、(i)自ら検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発するものであってもよいし、(ii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合するものであってもよいし、(iii)検出可能なシグナル(例えば、蛍光)を発する他の構成と結合したmRNAまたはタンパク質と結合するものであってもよい。
【0081】
上記スキャナーは、上述したシグナルを検出できるものであればよく、適宜、公知のスキャナーを用いればよい。
【0082】
本発明の一実施形態に係る慢性副鼻腔炎の患者の分類するためのデータ取得装置は、スキャナーによって検出したシグナルを、デジタル分子バーコード技術に基づいて解析する解析部を備えていてもよい。当該解析部としては、適宜、公知の解析部を用いればよい。
【0083】
上記構成部は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備え得る。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0084】
〔5.その他〕
本発明の一実施形態は、以下のように構成することも可能である。
【0085】
<1>被験体における、下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を診断する方法:
上記遺伝子群は、GPR97、AREG、CLC、CSF3、FGF2、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、VEGFA、ITLN1、IL32、PLA2G2A、HLA-DRB3、CCL18、CXCL13、およびS100A8からなる遺伝子群。
【0086】
<2>更に、CCL26、CST1、CXCL10、ALOX15、IGHE、IL6、CCL4、CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13E、CD44、TGFB1、XBP1、IL32、CXCL9、CCL13、CCL24、MARCO、CXCL1、およびS100A9からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>に記載の慢性副鼻腔炎の患者を診断する方法。
【0087】
<3>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、TGFBI、POSTN、B2M、PIGR、LTF、CD74、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、CFH、AHR、CTSS、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>または<2>に記載の慢性副鼻腔炎の患者を診断する方法。
【0088】
また、本発明の別の実施形態は、以下のように構成されてもよい。
【0089】
<1>被験体から採取した試料中の、下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法:
上記遺伝子群は、LAGLS3、JAK3、LTB4R、CD53、CLC、および、TRAF6からなる遺伝子群。
【0090】
<2>更に、CD164、CD9、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、PDCD2、C1R、C1S、NFATC3、STAT5B、CCL13、CCL18、CCL24、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、および、SMAD3からなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>に記載のデータの取得方法。
【0091】
<3>更に、GPR97、ALOX15、AREG、CSF3、CST1、FGF2、IGHE、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、POSTN、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、および、VEGFAからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>または<2>に記載のデータの取得方法。
【0092】
<4>更に、BATF3、CARD9、CCL23、CCL26、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、ITLN1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、および、TGFBIからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>~<3>の何れかに記載のデータの取得方法。
【0093】
<5>更に、B2M、PIGR、LTF、IL32、CD74、XBP1、HLA-DRB3、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD44、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、S100A9、1L6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、S100A8、CFH、AHR、CTSS、CXCL1、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>~<4>の何れかに記載のデータの取得方法。
【0094】
また、本発明の更に別の実施形態は、以下のように構成されてもよい。
【0095】
<1>被験体から採取した試料中の、下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータの取得方法:
上記遺伝子群は、GPR97、ALOX15、AREG、CLC、CSF3、CST1、FGF2、IGHE、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、POSTN、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、および、VEGFAからなる遺伝子群。
【0096】
<2>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CCL13、CCL18、CCL24、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCL26、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、ITLN1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、および、TGFBIからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>に記載のデータの取得方法。
【0097】
<3>更に、B2M、PIGR、LTF、IL32、CD74、XBP1、HLA-DRB3、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD44、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、S100A9、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、S100A8、CFH、AHR、CTSS、CXCL1、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出する検出工程を含む、<1>または<2>に記載のデータの取得方法。
【0098】
<4>下記の遺伝子群に含まれる遺伝子の少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用キット:
上記遺伝子群は、GPR97、ALOX15、AREG、CLC、CSF3、CST1、FGF2、IGHE、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、POSTN、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、および、VEGFAからなる遺伝子群。
【0099】
<5>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CCL13、CCL18、CCL24、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCL26、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、ITLN1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、および、TGFBIからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を備える、<4>に記載のキット。
【0100】
<6>更に、B2M、PIGR、LTF、IL32、CD74、XBP1、HLA-DRB3、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD44、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、S100A9、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、S100A8、CFH、AHR、CTSS、CXCL1、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するための物品を含む、<4>または<5>に記載のキット。
【0101】
<7>下記の遺伝子群に含まれる少なくとも3つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイ:
上記遺伝子群は、GPR97、ALOX15、AREG、CLC、CSF3、CST1、FGF2、IGHE、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IL25、IL33、IL5RA、LCP1、MPO、PLAT、POSTN、PTGDR2、RNASE3、SERPINB3、SERPINE1、SIGLEC8、TNFRSF25、TNFRSF6B、TRPV3、TSLP、および、VEGFAからなる遺伝子群。
【0102】
<8>更に、CD164、CD9、LGALS3、PTK2、TRAF4、CSF1R、IL21R、JAK3、TLR9、TNFRSF1B、CRADD、GP1BB、IRF3、LTB4R、PDCD2、C1R、C1S、CD53、NFATC3、STAT5B、CCL13、CCL18、CCL24、CD209、CUL9、MAP4K4、MX1、SMAD3、TRAF6、BATF3、CARD9、CCL23、CCL26、CCND3、CD1A、CD274、CD36、CFI、CISH、CLEC4A、CTSC、CTSG、DPP4、IL13、IL18R1、ITLN1、KIT、MBP、NOS2、PRKCD、PTAFR、SOCS1、および、TGFBIからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、<7>に記載のアレイ。
【0103】
<9>更に、B2M、PIGR、LTF、IL32、CD74、XBP1、HLA-DRB3、CD59、HLA-B、HLA-DRA、HLA-C、CD81、APP、CD44、CD99、HLA-A、MCL1、SERPING1、HLA-DPB1、CTNNB1、IFITM1、CD24、S100A9、IL6ST、STAT3、ITGB1、FN1、CXCR4、NFKBIA、HLA-DPA1、TAPBP、FCGRT、S100A8、CFH、AHR、CTSS、CXCL1、SOCS3、MIF、CD46、PECAM1、ILF3、CXCL12、PTPRC_all、EGR1、LITAF、PDGFRB、CXCL2、STAT2、MUC1、TNFSF10、CEBPB、TMEM173、HLA-DQA1、ARHGDIB、PSMB7、BCL6、PSMD7、STAT6、BCAP31、C14orf166、IFNGR1、TGFBR2、CD79A、GPI、TCF4、PSMB8、NOTCH2、SKI、C1QB、IFI16、C1QBP、CSF2RB、IFNAR2、IL13RA1、HLA-DMA、PML、ITGA6、JAK1、C3、CD14、および、C4A/Bからなる遺伝子群から選択される少なくとも1つ以上の遺伝子の発現を検出するためのプローブを備える、<7>または<8>に記載のアレイ。
【0104】
<10>
<7>~<9>の何れか1項に記載の慢性副鼻腔炎の患者の分類用アレイと、
上記プローブに由来するシグナルを検出するスキャナーと、を備えている、慢性副鼻腔炎の患者を分類するためのデータ取得装置。
【実施例0105】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以下で示す実施例は一例であり、本発明を以下の実施例に限定する意図はない。
【0106】
〔実施例1〕
<試験方法>
福井大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科、広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、筑波大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、松脇クリニック品川において、内視鏡下鼻副鼻腔手術を行った慢性副鼻腔炎患者300名より鼻茸(鼻腔ポリープ)を採取した。採取した鼻茸の組織内において発現している遺伝子と、その発現量を調査した。
【0107】
病理学的診断を行うために、採取した鼻茸をホルマリンで6~48時間程度固定し、パラフィンで包埋することによって、ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixedparaffin-embedded;FFPE)検体を作製した。作製したFFPE検体を、ミクロトームを用いて薄切し、RNeasy FFPE Kit(Qiagen製)を用いて、プロトコルに沿ってRNAを抽出した。抽出したRNAはQubit Fluorometer(Thermo Fisher Scientific製)およびTapeStation 2100(Agilent technology製)にて品質チェックを行い、得られたRNA濃度、RNA分解度において一定値をクリアしたサンプルを後述するnCounter測定ならびに解析に使用した。
【0108】
nCounter(登録商標)Human Immunology V2 Panelと、Panel plus(Nanostrings製)とを用いて、既存の579個の遺伝子のmRNAにハイブリダイズするプローブと、本発明者が独自に選択した30個の遺伝子のmRNAにハイブリダイズするプローブとが固定化されたアレイを作製した。
【0109】
今回用いたアレイに包含される遺伝子は下記のとおりである。
ABCB1、ABL1、ADA、AHR、AICDA、AIRE、ALOX15、APP、AREG、ARG1、ARG2、ARHGDIB、ATG10、ATG12、ATG16L1、ATG5、ATG7、ATM、B2M、B3GAT1、BATF、BATF3、BAX、BCAP31、BCL10、BCL2、BCL2L11、BCL3、BCL6、BID、BLNK、BST1、BST2、BTK、BTLA、C14orf166、C1QA、C1QB、C1QBP、C1R、C1S、C2、C3、C4A/B、C4BPA、C5、C6、C7、C8A、C8B、C8G、C9、CAMP、CARD9、CASP1、CASP10、CASP2、CASP3、CASP8、CCBP2、CCL11、CCL13、CCL15、CCL16、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL22、CCL23、CCL24、CCL26、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CCND3、CCR1、CCR10、CCR2、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCRL1、CCRL2、CD14、CD160、CD163、CD164、CD19、CD1A、CD1D、CD2、CD209、CD22、CD24、CD244、CD247、CD27、CD274、CD276、CD28、CD34、CD36、CD3D、CD3E、CD3EAP、CD4、CD40、CD40LG、CD44、CD45R0、CD45RA、CD45RB、CD46、CD48、CD5、CD53、CD55、CD58、CD59、CD6、CD7、CD70、CD74、CD79A、CD79B、CD80、CD81、CD82、CD83、CD86、CD8A、CD8B、CD9、CD96、CD97、CD99、CDH5、CDKN1A、CEACAM1、CEACAM6、CEACAM8、CEBPB、CFB、CFD、CFH、CFI、CFP、CHUK、CIITA、CISH、CLC、CLEC4A、CLEC4E、CLEC5A、CLEC6A、CLEC7A、CLU、CMKLR1、CR1、CR2、CRADD、CSF1、CSF1R、CSF2、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CST1、CTLA4-TM、CTLA4_all、CTNNB1、CTSC、CTSG、CTSS、CUL9、CX3CL1、CX3CR1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL2、CXCL9、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CYBB、DEFB1、DEFB103A、DEFB103B、DEFB4A、DPP4、DUSP4、EBI3、EDNRB、EGR1、EGR2、ENTPD1、EOMES、ETS1、FADD、FAS、FCAR、FCER1A、FCER1G、FCGR1A/B、FCGR2A、FCGR2A/C、FCGR2B、FCGR3A/B、FCGRT、FGF2、FKBP5、FN1、FOXP3、FYN、GATA3、GBP1、GBP5、GFI1、GNLY、GP1BB、GPI、GPR183、GPR97、GZMA、GZMB、GZMK、HAMP、HAVCR2、HFE、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-DMA、HLA-DMB、HLA-DOB、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DRB3、HRAS、ICAM1、ICAM2、ICAM3、ICAM4、ICAM5、ICOS、ICOSLG、IDO1、IFI16、IFI35、IFIH1、IFIT2、IFITM1、IFNA1/13、IFNA2、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNG、IFNGR1、IGF2R、IGHE、IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IGHM、IKBKAP、IKBKB、IKBKE、IKBKG、IKZF1、IKZF2、IKZF3、IL10、IL10RA、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL13、IL13RA1、IL15、IL16、IL17A、IL17B、IL17F、IL18、IL18R1、IL18RAP、IL19、IL1A、IL1B、IL1R1、IL1R2、IL1RAP、IL1RL1、IL1RL2、IL1RN、IL2、IL20、IL21、IL21R、IL22、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28A/B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL32、IL33、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL8、IL9、ILF3、IRAK1、IRAK2、IRAK3、IRAK4、IRF1、IRF3、IRF4、IRF5、IRF7、IRF8、IRGM、ITGA2B、ITGA4、ITGA5、ITGA6、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB1、ITGB2、ITLN1、ITLN2、JAK1、JAK2、JAK3、KCNJ2、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR_Activating_Subgroup_1、KIR_Activating_Subgroup_2、KIR_Inhibiting_Subgroup_1、KIR_Inhibiting_Subgroup_2、KIT、KLRAP1、KLRB1、KLRC1、KLRC2、KLRC3、KLRC4、KLRD1、KLRF1、KLRF2、KLRG1、KLRG2、KLRK1、LAG3、LAIR1、LAMP3、LCK、LCP1、LCP2、LEF1、LGALS3、LIF、LILRA1、LILRA2、LILRA3、LILRA4、LILRA5、LILRA6、LILRB1、LILRB2、LILRB3、LILRB4、LILRB5、LITAF、LTA、LTB4R、LTB4R2、LTBR、LTF、LY96、MAF、MALT1、MAP4K1、MAP4K2、MAP4K4、MAPK1、MAPK11、MAPK14、MAPKAPK2、MARCO、MASP1、MASP2、MBL2、MBP、MCL1、MIF、MME、MPO、MR1、MRC1、MS4A1、MSR1、MUC1、MX1、MYD88、NCAM1、NCF4、NCR1、NFATC1、NFATC2、NFATC3、NFIL3、NFKB1、NFKB2、NFKBIA、NFKBIZ、NLRP3、NOD1、NOD2、NOS2、NOTCH1、NOTCH2、NT5E、PAX5、PDCD1、PDCD1LG2、PDCD2、PDGFB、PDGFRB、PECAM1、PIGR、PLA2G2A、PLA2G2E、PLAT、PLAU、PLAUR、PML、POSTN、POU2F2、PPARG、PPBP、PRDM1、PRF1、PRKCD、PSMB10、PSMB5、PSMB7、PSMB8、PSMB9、PSMC2、PSMD7、PTAFR、PTGDR2、PTGER4、PTGS2、PTK2、PTPN2、PTPN22、PTPN6、PTPRC_all、PYCARD、RAF1、RAG1、RAG2、RARRES3、RELA、RELB、RNASE3、RORC、RUNX1、S100A8、S100A9、S1PR1、SELE、SELL、SELPLG、SERPINB3、SERPINE1、SERPING1、SH2D1A、SIGIRR、SIGLEC8、SKI、SLAMF1、SLAMF6、SLAMF7、SLC2A1、SMAD3、SMAD5、SOCS1、SOCS3、SPP1、SRC、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、SYK、TAGAP、TAL1、TAP1、TAP2、TAPBP、TBK1、TBX21、TCF4、TCF7、TFRC、TGFB1、TGFBI、TGFBR1、TGFBR2、THY1、TICAM1、TIGIT、TIRAP、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM173、TNF、TNFAIP3、TNFAIP6、TNFRSF10C、TNFRSF11A、TNFRSF13B、TNFRSF13C、TNFRSF14、TNFRSF17、TNFRSF1B、TNFRSF25、TNFRSF4、TNFRSF6B、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13B、TNFSF15、TNFSF4、TNFSF8、TOLLIP、TP53、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRPV3、TSLP、TYK2、UBE2L3、VCAM1、VEGFA、VTN、XBP1、XCL1、XCR1、ZAP70、ZBTB16、ZEB1、sCTLA4。
【0110】
プロトコルに沿って、上記アレイに固定化されたプローブに、抽出したRNAをハイブリダイズさせた。その後、nCounter(登録商標)MAX Analysis System(Nanostrings製)を用いて鼻茸組織中の遺伝子発現量を測定した。測定したデータはnSolverTMData Analysis(Nanostrings製)を用いて、慢性副鼻腔炎の表現型(好酸球性副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎)と、遺伝子発現との関連性を解析した。
【0111】
<試験結果>
解析は遺伝子の発現に基づいて主成分分析(PCA)の手法を用いて行った。
図1に、解析結果を示す。
図1の縦軸はPC1(クラスター分類に最も貢献した要素)を、横軸はPC2(PC1に次いでクラスター分類に貢献した要素)を意味する。PCはそれぞれ、解析結果に寄与(貢献)している部分の大きいPCから順番に、PC1、PC2、PC3・・・と機械学習的に振り分けされる。つまり、PC1とPC2とで構成される平面図が、各クラスターを説明するための情報量が最も多いと言える。それぞれのPCは、複雑な項目の組み合わせで形成されている。
図1は、各患者における609個の遺伝子の発現量に基づいて、高次元で構成される遺伝子の組み合わせにより生じた患者間の差異を認識しやすいように2次元に圧縮し、各患者を平面上にプロットした図面である。得られた結果より、本試験の患者は、5つのクラスターに分類可能であることが分かった。
【0112】
図2に、各クラスターにおいて高発現している主要な遺伝子を記載する。なお、
図2中、non-ECRSは非好酸球性副鼻腔炎を、ECRSは好酸球性副鼻腔炎を意味する。また、右端の「CTscore Tissue Eo」は、各クラスターの患者における症状の程度について、臨床評価項目として汎用されているLund-MackayCTスコアと、組織中の好酸球スコアとの相対的な数値量を示す図形である。当該数値量は、クラスター1が最も低く、クラスター5が最も高かった。
【0113】
図3は、測定された遺伝子の発現量のうち、第1の遺伝子群の遺伝子に関するものをプロットしたグラフである。
図3の縦軸は、各遺伝子の発現量をlog2対数で表した数値である。
図3の横軸は、遺伝子の種類を意味する。なお、
図3中、1つの遺伝子に関するデータが、縦軸に対して略平行な一直線上に並んでいる。
図3において、遺伝子のプロット順は、右上から左下に、IGHG3、IGHG1、IGHG2、IGHG4、ALOX15、IGHM、POSTN、PLAT、IL33、SERPINB3、SERPINE1、VEGFA、LCP1、CST1、TNFRSF25、TNFRSF6B、FGF2、IL5RA、IGHE、AREG、CLC、TSLP、GPR97、IL25、RANSE3、PTGDR2、SIGLEC8、TRPV3、MPO、CSF3である。
図3において、縦方向の距離が離れているほど、クラスター間で発現量に差異があった遺伝子である。
【0114】
図3から、好酸球性副鼻腔炎の患者から採取した鼻茸組織における、第1の遺伝子群の遺伝子の発現量について、各クラスター間において明確な差異があることが明らかになった。
【0115】
上記の結果より、慢性副鼻腔炎の種類を遺伝子の発現量に基づいた解析によって、より正確に分類できることが示された。
【0116】
上記解析結果を基に、それぞれの遺伝子発現量の差異に応じて慢性副鼻腔炎の患者を複数のクラスターに分類した。以下に、分類した5つのクラスターと副鼻腔炎の分類との、遺伝子発現量の関連性について記載する。
【0117】
クラスター1
分類:非好酸球性副鼻腔炎
臨床的特徴:好酸球浸潤が少ない、合併症はまれ、予後良好
新規遺伝子の発現量の特徴:PLAT、IL33、SERPINBがいずれも高発現である。それ以外の遺伝子は比較的低発現である。
既知遺伝子の発現量の特徴:IgE,IL-4、IL-5、IL-13、TSLP、IL17、IL-22、IFN-γはいずれも低発現である。
【0118】
クラスター2
分類:好酸球性副鼻腔炎(予後良好型)
臨床的特徴:好酸球浸潤が多い、合併症は中等度、予後良好
既知遺伝子の発現量の特徴:IgE、IL-5、IL-8、MPO、TSLPがいずれも高発現である。
新規遺伝子発現量の特徴:PLAT、IL33、LCP1、VEGFA、CSF3、TSLP、MPOが高発現である。一方でIGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4は低発現である。
【0119】
クラスター3
分類:好酸球性副鼻腔炎(炎症過多型)
臨床的特徴:患者は比較的女性が多い、好酸球浸潤が多い、合併症が多い、予後不良
既知遺伝子の発現量の特徴:IL-5、IL-4、IL-13、TSLP、IFN-γがいずれも高発現である。ただし、ALOX15は低発現である。
新規遺伝子発現量の特徴:IGHG1、IGHG2、IGHG3、IGHG4、IL-24、RANSE3、MPOがいずれも高発現である。一方で、TSLP等は低発現である。
【0120】
クラスター4
分類:好酸球性副鼻腔炎(古典型)
臨床的特徴:好酸球浸潤が多い、合併症が多い、予後不良
既知遺伝子の発現量の特徴:IL-5、POSTN、ALOX15が高発現である。ただし、IL-4、IL-13は低発現である。
新規遺伝子発現量の特徴:IGHG1、LCP1、CLC、SIGLEC8がいずれも高発現である。一方で、PLAT、TRPV3、CSF3は低発現である。
【0121】
クラスター5
分類:好酸球性副鼻腔炎(with Type3炎症型)
臨床的特徴:患者は高齢男性が多い、好酸球浸潤が多い、合併症は中等度、予後不良
既知遺伝子の発現量の特徴:IgE、TGFβ、IL-5、IL-4/IL-13が高発現であることに加え、IL-17/IL-22が高発現である。
新規遺伝子発現量の特徴:IGHG2、GPR97、TNFRSF25、RANSE3がいずれも高発現である。一方で、IL33、SERPINB3、LCP1、FGF2、TRPV3、CSF3は低発現である。
【0122】
上記より、クラスターごとに患者の特徴(例えば、性別、または年齢)が分かれることを確認できた。また、これらのクラスターの分類結果と当該患者の臨床的特徴とについて照らし合わせたところ、分類と臨床的特徴が一致しており、相違ないことが分かった。また、一部ではこれまでに明確な分類がされなかった領域についても分類ができることが示された。
【0123】
上記のクラスター分類に基づいて、慢性副鼻腔炎の分類に応じた抗モノクローナル抗体薬を投与することで、治療を行うことができる。
【0124】
〔実施例2〕
<試験方法>
福井大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科、広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、筑波大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、松脇クリニック品川において、内視鏡下鼻副鼻腔手術を行った慢性副鼻腔炎患者434名より鼻茸(鼻腔ポリープ)を採取した。採取した鼻茸のうち、253例について組織内において発現している遺伝子と、その発現量を調査した。
【0125】
採取した鼻茸から、実施例1と同様にしてFFPE検体を作製し、RNAを抽出した。抽出したRNAはQubit Fluorometer(Thermo Fisher Scientific製)およびTapeStation 4200(Agilent technology製)にて品質チェックを行い、RNA濃度、RNA分解度において一定値をクリアしたサンプルを後述するnCounter測定ならびに解析に使用した。
【0126】
各サンプルをnCounter用に調製するために、Reagent packハイブリダイゼーションを行った。nCounter(登録商標)Human Immunology V2 Panel(594遺伝子)と、本発明者が独自に選択した30個の遺伝子を用いて、mRNAのデジタルカウントによる発現測定を行った。なお、594遺伝子のうち15遺伝子は、どの検体においても変化がないとされるhousekeeping遺伝子と呼ばれる遺伝子である。得られた測定値について、nSolverソフトウェア(nanostrings社製)によってデータを形成し、外部に出力した。さらに、出力したデータについて、統計ソフトウェア「R」を用いて解析を行った。
【0127】
<試験結果>
解析は遺伝子の発現に基づいて、ウォード法の手法を用いて行った。
図4に解析結果を示す。
図4の縦軸は、tsne1(クラスター分類に最も貢献した要素)を、横軸はtsne2(tsne1に次いでクラスター分類に貢献した要素)を意味する。
図4は、624遺伝子について、高次元で構成される遺伝子の組み合わせにより生じた患者間の差異を認識しやすいように2次元に圧縮し、各患者を平面上にプロットした図面である。得られた解析結果より、本試験の患者は9つのクラスターに分類可能であることが分かった。
【0128】
図5に、各クラスターにおける患者の条件、症状、再発率を記載する。また、分類した9つのクラスターと副鼻腔炎の分類との、遺伝子発現量の関連性について以下に記載する。
【0129】
クラスター1
臨床的特徴:Non-ECRS(非好酸球性副鼻腔炎)が患者の半数を占めており、予後不良。患者は女性が多い。
遺伝子の発現量の特徴:CXCL10が高発現である。一方、ITLN1、CCL26、CST1、ALOX15は低発現である。
【0130】
クラスター2
臨床的特徴:Severe-ECRS(重症好酸球性副鼻腔炎)が患者の多くを占めるが予後良好。合併症は喘息(特にアスピリン喘息)が多く、患者の血中および組織中の好酸球数が多い。患者は男性が多い。
遺伝子の発現量の特徴:IL32、IGHE、IL6、CCL4が高発現である。一方、PLA2G2Aは低発現である。
【0131】
クラスター3
臨床的特徴:ECRS(好酸球性副鼻腔炎)の患者とNon-ECRSの患者の人数比は約7:3であるが、再発率は比較的低く、予後良好である。患者の性差はほとんどない。
遺伝子の発現量の特徴:CR2、IL9、CLEC6A、TNFSF13Eが高発現である。一方、PLA2G2Aは低発現である。
【0132】
クラスター4
臨床的特徴:合併症の喘息を発症した患者が見られなかったクラスター。患者は女性が多い。Mild-ECRS(軽症好酸球性副鼻腔炎)の患者の割合が高い。
遺伝子の発現量の特徴:HLA-DRB3、CD44、TGFB1、XBP1が高発現である。一方、CCL18は低発現である。
【0133】
クラスター5
臨床的特徴:予後不良であり、Severe-ECRSおよびMild-ECRSの患者が多い。合併症の喘息を発症した患者が多い。また、患者の血中および組織中において、好酸球数が多い。
遺伝子の発現量の特徴:CST1が高発現である。一方、PLA2G2A、CKCL13、IL32、CXCL9は低発現である。
【0134】
クラスター6
臨床的特徴:Non-ECRSの患者が半数を占める。患者の組織中・血中の好酸球数が低い。
遺伝子の発現量の特徴:CCL18、CCL13、CCL24、CCL26、MARCOが低発現である。
【0135】
クラスター7
臨床的特徴:Lund-Mackay Score(副鼻腔CTスコア)が高い、合併症が多い、早期から予後不良の傾向にある。
遺伝子の発現量の特徴:CXCL13、S100A8、CR2、IL9、CLEC6Aが低発現である。
【0136】
クラスター8
臨床的特徴:患者は男性が多く、年齢が低い傾向にある。Severe-ECRSおよびModerate-ECRS(中等好酸球性副鼻腔炎)の患者が多い。
遺伝子の発現量の特徴:PLA2G2A、CCL26、IHGH2、IGHE、CR2が低発現である。
【0137】
クラスター9
臨床的特徴:予後は比較的良好、Non-ECRSの患者が半数を占める。
遺伝子の発現量の特徴:CXCL10が高発現である。一方、ITLN1、CCL26、CST1、ALOX15は低発現である。
【0138】
上記より、クラスターごとに臨床的特徴が分かれることを確認できた。また、これらのクラスターの分類結果と当該患者の臨床的特徴とについて照らし合わせたところ、分類と臨床的特徴が一致しており、相違ないことが分かった。また、一部ではこれまでに明確な分類がされなかった領域についても分類ができることが示された。
【0139】
具体的には、これらのクラスターのうち、クラスター2、5、7は合併症が多く、重症の患者が多かった。一方で、クラスター2はクラスター5および7と比べて、症状が再発した患者が有意に少なかった。したがって、特定の遺伝子発現パターンを示す患者は、重症であったとしても再発する可能性が少ないことが分かった。