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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061496
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】家具用昇降支柱
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/04 20060101AFI20220411BHJP
   A47B 9/02 20060101ALI20220411BHJP
   F16M 11/28 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A47B9/04
A47B9/02
F16M11/28 A
F16M11/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164152
(22)【出願日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】20200316.6
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521244938
【氏名又は名称】ウーエスエム ウー.シェーラー ゼーネ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シェーラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディーネス
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン ロス
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053ND01
3B053ND02
3B053NE04
3B053NE05
3B053NE06
3B053NE07
3B053NE08
(57)【要約】
【課題】構造が単純で重量補償を有する昇降支柱を作製すること。
【解決手段】本願は、家具、特にテーブル用の昇降支柱に関する。昇降支柱は、第1の要素と第2の要素とを備える。第2の要素は、少なくとも何らかの方法で第1の要素内に導入される。第1の要素は、第1の要素の長手方向軸線に沿って延在し、少なくとも何らかの方法で第2の要素内に突出するスピンドルを有する。第2の要素は、その中に回転可能に取り付けられ、スピンドルの筋状螺旋の中又は上を走る少なくとも1つの転動体を有するロータを有する。スピンドルに対するロータの回転は、第1の要素に対する第2の要素の直線運動を引き起こす。第2の要素はまた、第1の状態では、スピンドルに対するロータの回転を阻止し、第2の状態では、スピンドルに対するロータの回転を解放する拘束デバイスを有する。少なくとも1つの脚ばねがロータと第2の要素に固定されている固定要素との間にクランプされているため、この脚ばねはロータにプレストレス力を加える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具、特にテーブル用の昇降支柱であって、第1の要素と、前記第1の要素内に少なくとも部分的に導入される第2の要素とを有し、前記第1の要素はスピンドルを有し、前記スピンドルは前記第1の要素の長手方向軸線に沿って延び、且つ少なくとも何らかの形で前記第2の要素内に突出し、前記第2の要素はロータを有し、前記ロータは前記第2の要素に回転可能に取り付けられ、且つ前記スピンドルの筋状螺旋内又筋状螺旋上を走行する少なくとも1つの転動体を有し、前記スピンドルに対する前記ロータの回転が、前記第1の要素に対する前記第2の要素の直線運動を生じさせ、前記第2の要素は拘束デバイスを有し、前記拘束デバイスは、第1の状態において前記スピンドルに対する前記ロータの回転を阻止し、また第2の状態において前記スピンドルに対する前記ロータの回転を可能にし、
少なくとも1つの脚ばねが、前記ロータと前記第2の要素に固定された固定要素との間にクランプされ、前記脚ばねは前記ロータにプレストレス力を与えることを特徴とする、昇降支柱。
【請求項2】
前記少なくとも1つの転動体は、ボール、円筒ころ、円錐ころ、又はバレルころの形態で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の昇降支柱。
【請求項3】
前記少なくとも1つの脚ばねのプレストレス力を設定する目的で、前記固定要素は、前記脚ばねの長手方向軸線の周りに円弧の形で可動であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の昇降支柱。
【請求項4】
前記固定要素はウォームホイール上に配置され、前記ウォームホイールは、前記第2の要素に回転的に固定して接続されたウォームによって回転され得ることを特徴とする、請求項3に記載の昇降支柱。
【請求項5】
前記第1の要素及び前記第2の要素は丸い断面を有し、前記第2の要素は前記第1の要素よりも小さい直径を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項6】
前記第2の要素は、少なくとも1つのリニアガイドによって前記第1の要素内で直線的に移動可能にガイドされることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項7】
前記第2の要素は少なくとも1つの転がり軸受を有し、前記転がり軸受の外輪が、前記少なくとも1つのリニアガイドを形成するために、前記第1の要素の溝に導入されることを特徴とする、請求項6に記載の昇降支柱。
【請求項8】
前記ロータは中空シャフトに接続され、前記中空シャフトは、前記第2の要素内で、前記第2の要素に対して同軸に、前記第2の要素の第2の端部まで延び、前記第2の端部は前記第1の要素内に導入されず、前記中空シャフトは、前記第2の要素の前記第2の端部の領域に歯状構成を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項9】
前記スピンドルの前記筋状螺旋が可変ピッチを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項10】
前記少なくとも1つの転動体は、転がり軸受の形態で構成された円筒ころ、円錐ころ、又はバレルころであり、前記転がり軸受の外輪は、円筒ころ、円錐ころ、又はバレルころを形成し、且つ前記スピンドルの前記筋状螺旋内又は前記筋状螺旋上を走行することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項11】
複数の脚ばね、特に2つの脚ばねが、前記ロータと固定要素との間で平行な状態でクランプされていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の昇降支柱。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの昇降支柱と、前記昇降支柱の前記第2の要素が固定された家具要素、特に天板とを有する家具、特にテーブル。
【請求項13】
前記家具要素にシャフトが取り付けられ、前記シャフトは、少なくとも1つの昇降支柱の前記中空シャフトの前記歯状構成に係合するかさ歯車を有することを特徴とする、請求項12又は請求項8に記載の家具。
【請求項14】
前記シャフトはホルダによって前記家具要素に取り付けられ、前記ホルダは、前記シャフトに作用する二重巻きばねブレーキを有することを特徴とする、請求項13に記載の家具。
【請求項15】
クランクシャフトが前記家具要素に取り付けられ、前記クランクシャフトは前記ウォームを駆動可能であることを特徴とする、請求項13又は14及び請求項4に記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具、特にテーブル用の昇降支柱(リフティングコラム)に関するものであり、この昇降支柱は、家具の重量を補償する。本発明はまた、家具の重量を補償する少なくとも1つの昇降支柱を有する家具、特にテーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、家具、特にテーブル用の様々な昇降支柱及び/又は高さ調整可能な脚を開示している。昇降支柱及び/又は脚の長さは、モータ又は手動で調整することができる。特に手動調整の場合、昇降支柱及び/又は高さ調整可能な脚が、家具の重量、特に天板の重量を補償することを可能にする手段を有していると有利である。
【0003】
米国特許第7,658,359号は、例えば、テーブルの高さを調整するためのデバイスを開示している。テーブル脚は、第1の外側柱要素及び第2の内側柱要素と、重量補償デバイスと、阻止デバイスと、内側柱要素上に配置され且つ外側柱要素内の軌道と相互作用するローラとを有している。重量補償デバイスは、とりわけ、ばね、可変ばね力を補償するためのウォームホイール、及びウォームホイールと相互作用し且つ外側柱要素の内側に固定されるケーブルを有する。ケーブル取り付けに作用する圧縮ばねの予応力(prestressing)は、ノブで作動可能なスプールを使用して設定され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,658,359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、冒頭で述べた技術分野に属し、構造が単純で重量補償を有する昇降支柱を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に規定された構成によって達成される。本発明によれば、昇降支柱は、第1の要素と第2の要素とを備えている。第2の要素は、少なくとも部分的に第1の要素内に導入される。第1の要素は、第1の要素の長手方向軸線に沿って延在し、少なくとも部分的に第2の要素内に突出するスピンドルを含む。第2の要素は、上記第2の要素内に回転可能に取り付けられ、スピンドルの筋状螺旋の中又は上を走る少なくとも1つの転動体を含むロータを含む。スピンドルに対するロータの回転は、第1の要素に対する第2の要素の直線運動を生じさせる。第2の要素は、第1の状態でスピンドルに対するロータの回転を阻止し、第2の状態でスピンドルに対するロータの回転を解放する(すなわち可能にする)拘束デバイスを更に含む。ロータと第2の要素に固定されている固定要素との間に少なくとも1つの脚ばねが締め付けられ(クランプされ)ており、上記脚ばねは、ロータにプレストレス力(prestressing force)を加える。
【0007】
少なくとも1つの脚ばねのプレストレス力は、昇降支柱に接続された家具の重量を少なくとも部分的に補償することができる。更に、少なくとも1つの脚ばねを使用することで、昇降支柱の構造が簡素化される。また、本発明による昇降支柱の構造は、メンテナンスが非常に少ない。
【0008】
本出願における昇降支柱は、一方では、下にある表面、特に床に配置することができ、他方では、家具に接続することができるデバイスであり、家具の高さを設定する目的で、デバイスの長さを変更することが可能であると理解される。
【0009】
本発明による昇降支柱は、特にテーブルに使用される。この場合、昇降支柱は天板に接続されることが好ましい。テーブルは、好ましくは、本発明による1つ、2つ、又は4つの昇降支柱を有している。
【0010】
第1及び第2の要素は、中空体の形態で構成され、2つの要素は、断面が同じ形状である。第2の要素が第1の要素に導入されるために、第2の要素は断面的に僅かに小さい寸法を有する。第1及び第2の要素の断面の寸法は、好ましくは、第2の要素が第1の要素に導入されると、要素間に数ミリメートルの間隙、特に1cm未満の間隙が存在するように選択される。第2の要素は、第1の要素に同心状に導入される。即ち、第1の要素の長手方向軸線は、第2の要素の長手方向軸線と一致する。
【0011】
第1及び第2の要素は、好ましくは、断面が円形、長方形又は多角形である。第1の要素及び第2の要素は、好ましくは、金属又は金属合金、特にステンレス鋼又はアルミニウムから製造される。2つの要素は、好ましくは細長い構成であり、即ち、その長さは、その断面よりもかなり大きい。第1の要素及び第2の要素は、好ましくは、それぞれ、少なくとも35cm、特に少なくとも45cmの長さを有する。断面における2つの要素の最大寸法は、好ましくは3cm、更に好ましくは5cmである。
【0012】
第1の要素は、その第1の端部に、好ましくは閉じた表面積を有し、それによって、第1の要素は、下にある表面、特に床に配置することができる。第1の要素は、第1の端部の反対側に位置する第2の端部で開いているので、第2の要素の第1の端部を第1の要素のこの第2の端部に導入することができる。第2の要素の第2の端部において、この第2の端部は第1の端部の反対側に位置し、第2の要素は、好ましくは、第2の要素を家具に固定するための手段を有する。これらの手段は、好ましくは、ねじ若しくはボルト用の穴又はスロットの形で構成される。
【0013】
昇降支柱の長さ調整は、第2の要素が第1の要素内に移動される、及び/又は第1の要素から移動されることによって達成され得る。この長さ調整により、昇降支柱に接続されている家具の高さを設定することができる。従って、昇降支柱の長さ設定に応じて、第2の要素はその長さの長い部分又は短い部分に亘って第1の要素内に導入される。
【0014】
スピンドルは、好ましくは、第1の要素の中央に配置され、第1の要素の第1の端部から第2の端部まで延在する。従って、スピンドルは第1の要素の長手方向軸線に沿って延在する。スピンドルは、第1の要素の全長に沿って、即ち、その第1の端部から第2の端部まで延在し得る。しかしながら、スピンドルは、好ましくは、第1の要素の長さの一部に亘ってのみ延在する。
【0015】
スピンドルは、好ましくは、高螺旋ねじを有する。以下の用途における「高螺旋ねじ」という用語は、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも20mmのピッチ(螺旋高さ)を有するねじを意味すると理解される。スピンドルは、好ましくは1つの筋状螺旋を有する。但し、別の方法として、スピンドルに複数の筋状螺旋、特に2つの筋状螺旋を持たせることもできる。
【0016】
ロータは、転がり軸受を介して回転できるように第2の要素に取り付けられることが好ましく、従って、ロータは、第2の要素に対して回転することができる。ロータは、第2の要素の長手方向軸線を中心に回転できるように配向されている。ロータの少なくとも1つの転動体は、好ましくは、スピンドルのピッチ角に対応する角度で配置されている。ロータは、好ましくは2つ以上の転動体を有し、特に3つの転動体を有し、これらはそれぞれ、ロータの円周方向に対して互いに120°の角度で配置されている。
【0017】
ロータの回転は、少なくとも1つの転動体がスピンドルの筋状螺旋の中又は上を走行するため、ロータがスピンドルに対して直線的に変位することを意味する。ロータは第2の要素に回転可能に取り付けられているので、スピンドルに対するロータの変位はまた、第1の要素に対する第2の要素の直線変位を生じさせる。
【0018】
拘束デバイスがロータの回転を阻止すると、昇降支柱の意図しない長さ調整を防ぐことができる。昇降支柱が家具に固定されている場合、拘束デバイスは第1の状態のままであり、家具の高さを調整する場合にのみ第2の状態に移行する。第1の状態と第2の状態との間(及びその逆)の切り替えのために、拘束デバイスは、好ましくは、人が作動させることができる作動要素、特にレバー又はボタンを有する。
【0019】
本発明による昇降支柱の長さ調整は、好ましくは手動で行われる。これは、人が第1の要素から第2の要素を引き出すか、第1の要素に第2の要素を押し込むことによって長さを調整することを意味する。家具が昇降支柱に接続されている場合、家具を上向きに引っ張る、又は下向きに押し込む動作により、昇降支柱の長さが調整され、最終的には家具の高さが調整される。第1の状態では、拘束デバイスは、ロータの回転を阻止し、従って、昇降支柱の長さ調整及び昇降支柱に接続された家具の高さ調整も阻止する。
【0020】
しかしながら、代替として、ロータは、電気的又は電気機械的駆動によって回転させることができ、これにより、昇降支柱の自動長さ調整及び昇降支柱に接続された家具の自動高さ調整を達成することができる。
【0021】
固定要素は、好ましくは、第2の要素に固定されており、即ち、固定要素は、第2の要素の長手方向軸線の周りを回転することができない。少なくとも1つの脚ばねの第1の脚は、固定要素に接続されるか、又は固定要素に対して突き当たるが、第2の脚は、回転固定されてロータに接続される。
【0022】
脚ばねには2つの脚があり、その間にばねの複数の巻線が配置されている。少なくとも1つの脚ばねは、好ましくは、脚ばねの長手方向軸線が第2の要素の長手方向軸線と一致するように、第2の要素内に配置される。
【0023】
脚ばねのプレストレス力により、ロータにトルクが加えられる。このトルクは、ロータの回転が拘束デバイスによって解放されている場合、ロータを一方向に回転させる。ここでの脚ばねは、プレストレス力がロータにトルクを加え、その結果、第2の要素が第1の要素から移動する、即ち、昇降支柱の長さが増加するように配置されている。ここでの第2の要素は、対応する方向に向けられた力を受ける。昇降支柱が意図した通りに使用される場合、第1の要素は、下にある表面、特に床に立っており、第1の要素及び第2の要素の長手方向軸線は、下にある表面に垂直に配置されている。従って、第1の要素及び第2の要素の長手方向軸線は、重力の方向に本質的に平行に配向されている。従って、第2の要素に作用する力は、本質的に垂直に上向きに向けられる。よって、この力は、昇降支柱に接続されている家具の重量を打ち消す。これにより、家具の重量を少なくとも部分的に補償することが可能になり、特に昇降支柱の長さを長くし、家具の高さを高くすることが容易になる。従って、脚ばねのプレストレス力を適切に設定することで、昇降支柱に接続されている家具の重量を完全に補償することもできる。この場合、拘束デバイスが第2の状態であっても、第2の要素に作用する重量と力が互いに打ち消し合うため、外部からの力の作用がない家具は高さが調整されない。
【0024】
少なくとも1つの転動体は、好ましくは、ボール、円筒ころ、円錐ころ又はバレルころの形態で構成される。
【0025】
少なくとも1つの転動体がボールの形又は円筒ころの形で構成されている場合、少なくとも1つの転動体は、筋状螺旋内を走るか、又は筋状螺旋に係合する。少なくとも1つの転動体が円錐ころ又はバレルころの形態で構成されている場合、少なくとも1つの転動体は、好ましくは、スピンドルの筋状螺旋上を走行する。
【0026】
固定要素は、少なくとも1つの脚ばねのプレストレス力を設定する目的で、好ましくは、脚ばねの長手方向軸線の周りの円弧の形で移動することができる。
【0027】
固定要素の円運動により、ばね力に対応する脚ばねのプレストレス力を設定することができる。ここでの固定要素は、固定要素の回転を阻止することができる手段を有する。これにより、設定されたプレストレス力を維持することができる。この手段は、特に、人が操作することができるレバー又はハンドルを有する。更に、第2の要素は、好ましくは、固定要素を、脚ばねの長手方向軸線の周りに円の形で移動させることができる設定手段を有する。
【0028】
固定要素は、好ましくは、第2の要素に回転固定されて接続されたウォームによって回転させることができるウォームホイール上に配置される。
【0029】
これにより、脚ばねの長手方向軸線の周りに円の形で移動することができる固定要素の特に単純な実施例が達成される。更に、ウォームギアに固有のセルフロック動作により、脚ばねの長手方向軸線の周りの固定要素の円運動を阻止する目的で追加の手段を省くことができる。
【0030】
第1の要素及び第2の要素は、好ましくは、円形の断面を有し、第2の要素は、第1の要素よりも小さい直径を有する。
【0031】
第2の要素は、好ましくは、少なくとも1つのリニアガイドによって、第1の要素内で直線的に移動可能にガイドされる。リニアガイドは、第2の要素が第1の要素内で回転するのを阻止し得る。第2の要素は、好ましくは、第1の要素内で、2つ以上のリニアガイドによって、特に2つ、3つ、又は4つのリニアガイドによってガイドされる。リニアガイドは、例えば、溝の中を走るピンの形で、又はローラガイドの形で構成することができる。
【0032】
第2の要素は、好ましくは、少なくとも1つの転がり軸受を有し、転がり軸受の外輪は、少なくとも1つのリニアガイドを形成するために、第1の要素の溝に導入される。これにより、抵抗が非常に低く、簡単な方法で省スペースのリニアガイドを提供できる。
【0033】
使用される転がり軸受は、好ましくはボール軸受である。但し、別の方法として、円筒ころ軸受又は針状軸受を使用することもできる。第2の要素は、好ましくは、複数の円周方向に分布した転がり軸受を有し、これらは、第1の要素の対応する数の溝に導入される。
【0034】
好ましい実施例では、第1の要素は3つの転がり軸受を有し、これらはそれぞれ、第2の要素の長手方向軸線の周りに互いに対して120°の角度で配置される。
【0035】
更に好ましい実施例では、3つの転がり軸受のうちの2つは、互いに対して90°の角度で配置され、これらの2つの転がり軸受はそれぞれ、第2の要素の長手方向軸線の周りの第3の転がり軸受に対して135°の角度で配置されている。この実施例の場合、第1の要素は、好ましくは、第1の要素の長手方向軸線の周りに互いに対して45°の角度でそれぞれ配置される8つの溝を有する。これにより、第2の要素を8つの異なる角度位置で第1の要素内に導入できる。
【0036】
ロータは、好ましくは、第2の要素内で、第2の要素に対して同軸に第2の要素の第2の端部まで延在する中空シャフトに接続され、この第2の端部は、第1の要素に導入されておらず、中空シャフトは、第2の要素の第2の端部の領域に歯状構成を有する。
【0037】
第1の状態では、拘束デバイスは、好ましくは、第2の要素に固定されたラック、又は第2の要素に回転固定されて接続された歯車を介して歯状構成に係合する。このことは、回転シャフト、従って回転シャフトに接続されたロータも回転できないことを意味する。ラック又は歯車が歯状構成から持ち上げられ、押され、又は旋回されて離れることにより、第2の状態で、中空シャフト及びロータの回転を解放することが可能である。
【0038】
更に、歯状構成は、複数の昇降支柱の長さ調整を同期させるために使用することができ、後者は、各場合に歯車又はかさ歯車を使用し、それぞれの場合に、それぞれの昇降支柱の歯状構成で係合する少なくとも1つのシャフトによって接続される。
【0039】
スピンドルの筋状螺旋(thread helix)は、好ましくは可変ピッチ(variable pitch)を有する。これにより、第2の要素が第1の要素に導入される深さに依存して異なる脚ばね力を補償することが可能になる。
【0040】
第1の要素に対する第2の要素の動きは、スピンドルの周りでロータを回転させる。これは、第1の要素に対する第2の要素の位置に応じて、螺旋ばねに多かれ少なかれ応力がかかり、これは、ロータが受けるばね力の変動、又はそれによって引き起こされるトルクの変動を生じさせることを意味する。この事実にもかかわらず、筋状螺旋のピッチの対応する変化を使用することにより、脚ばねによってロータ、従って第2の要素に加えられる力を一定にすることができる。脚ばねにかかる応力が小さいために加えられるばね力が小さい領域では、筋状螺旋のピッチは、脚ばねにかかる応力のレベルが高く、従ってばね力が大きい領域よりも小さくなる。
【0041】
少なくとも1つの転動体は、好ましくは、転がり軸受の形態で構成される円筒ころ、円錐ころ、又はバレルころであり、この場合、外輪は円筒ころ、円錐ころ、又はバレルころを形成し、スピンドルの筋状螺旋の中又は上を走る。この配置により、転がり抵抗が非常に低い、少なくとも1つの転動体の簡単でメンテナンスの少ない構成を実現することが可能になる。
【0042】
従って、この実施例の場合、転がり軸受の外輪は、スピンドルの筋状螺旋の中又は上を走る転動体を形成する。従って、転がり軸受の形で設計された転動体は、その内輪を介してロータに接続され得る。外輪は転動体の形状に対応した形状になっている。
【0043】
使用される転がり軸受は、好ましくはボール軸受である。但し、別の方法として、円筒ころ軸受又は針状軸受を使用することもできる。転がり軸受の外輪は、好ましくは、その周りを走り、筋状螺旋のプロファイルを補完する凸面を有する。これにより、少なくとも1つの転動体がスピンドルの筋状螺旋に特に優れた効果を発揮するように係合する。
【0044】
複数の脚ばね、特に2つの脚ばねは、好ましくは、ロータと固定要素との間に平行な状態で締め付け維持される。これは、この複数の脚ばねの全てが、一方の脚がロータに固定されているのに対し、他方の脚は固定要素に突き当たるか、又は固定要素に接続されていることを意味する。
【0045】
この配置により、ロータが脚ばねによって受けるプレストレス力を高めることができる。
【0046】
本発明はまた、上記の少なくとも1つの昇降支柱を有し、また、少なくとも1つの昇降支柱に固定された少なくとも1つの家具要素を有する家具に関する。家具は好ましくはテーブルであり、その場合、少なくとも1つの昇降支柱が固定される家具要素は天板である。
【0047】
家具は、好ましくは、2つ以上の昇降支柱を有し、特に2つ又は4つの昇降支柱を有する。例えば、家具は、長方形の天板に固定された2つの昇降支柱を備えた高さ調整可能な机であってもよい。
【0048】
シャフトは、好ましくは、家具要素に取り付けられ、シャフトは、少なくとも1つの昇降支柱の中空シャフトの歯形成に係合するかさ歯車を有する。
【0049】
このシャフトは、家具要素に固定された複数の昇降支柱のロータの回転を同期させることができる。シャフトは、好ましくは両端にかさ歯車を有し、従って、シャフトは、家具要素に固定された2つの昇降支柱のロータの回転を同期させることができる。3つ以上の昇降支柱が家具要素に固定されている場合、それに応じて、2つのかさ歯車を備えた複数のシャフトも使用される。
【0050】
シャフトは、好ましくは、ホルダによって家具要素に取り付けられ、ホルダは、シャフトに作用する二重巻きばねブレーキを有する。ここでの二重巻きばねブレーキは、中空シャフトの回転、従って中空シャフトに接続されたロータの回転を阻止し且つ解放できるため、拘束デバイスとして機能する。ホルダは、好ましくは、シャフトが二重巻きばねブレーキによって受けられるブレーキ作用を解放することができる作動要素、例えばレバーを有する。
【0051】
クランクシャフトは、好ましくは家具要素に取り付けられ、クランクシャフトはウォームを駆動することができる。これは、クランクシャフトの回転によって達成できるので、少なくとも1つの家具要素の高さ調整を単純化する。
【0052】
本発明の更に有利な実施例及び構成の組み合わせは、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲全体から収集することができる。
【0053】
以下、例示的な実施例を説明する目的で使用される図面である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明による昇降支柱の一実施例の断面図を示す。
図2図1による昇降支柱の透視図を示す。
図3】第2の要素の第2の端部の詳細固有の図を示す。
図4a】ボールの形態で設計された転動体を有する、本発明による昇降支柱の第2の実施例の詳細固有の図を示す。
図4b】ボールの形態で設計された転動体を有する、本発明による昇降支柱の第2の実施例の詳細固有の図を示す。
図5a】円錐ころの形で設計された転動体を有する、本発明による昇降支柱の第3の実施例の詳細固有の図を示す。
図5b】円錐ころの形で設計された転動体を有する、本発明による昇降支柱の第3の実施例の詳細固有の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図では、原則として、同様の部品に同様の参照記号が付されている。
【0056】
図1は、本発明による昇降支柱1の一実施例の断面図を示している。昇降支柱1は、内部空間を取り囲む第1の壁6を取り囲む第1の要素2を備えている。第2の囲い壁7を有する第2の要素3は、少なくとも部分的に第1の要素2に、即ち第1の要素2の内部空間に導入される。第2の要素3の第1の端部は、第1の要素2内に配置され、第2の要素3の第2の端部は、第1の端部の反対側に配置され、第1の要素から突出する。
【0057】
示される実施例の場合、2つの要素2、3は、円形の断面を有し、第2の要素3の直径は、第1の要素2の直径よりも小さい。第2の要素3は、第1の要素2において直線的に変位させることができる。このことは、第2の要素3が、第1の要素の長手方向軸線Aに沿って第1の要素内で直線的に移動できることを意味する。第2の要素3は、第1の要素3と同じ長手方向軸線Aを有する。
【0058】
第2の要素3は、リニアガイドを介して第1の要素2に変位可能に取り付けられている。内部空間に向けられた第1の壁2のその側で、リニアガイドは、第2の要素3の第1の端部に配置された転がり軸受18.1、18.2のそれぞれの外輪が走る溝19.1、19.2を有している。示される実施例の場合、第1の要素は、8つの溝19.1、19.2を有し、図1はそのうちの2つだけを示し、これらは、長手方向軸線Aを中心に互いに45°だけ互いにオフセットされた状態で第1の壁6に分布している。第2の要素3にも3つの転がり軸受18.1、18.2があり、図1はそのうちの2つだけを示している。第1の転がり軸受18.1及び第2の転がり軸受18.2は、長手方向軸線Aを中心に互いに対して135°の角度で配置されている。一方、第3の転がり軸受(ここには表示されていない)は、各場合に、第1の転がり軸受18.1及び第2の転がり軸受18.2に対して90°の角度で配置されている。
【0059】
第1の要素2はまた、その第1の端部に閉じた表面積24を有する。第1の要素2は、この閉じた表面積24によって床に配置することができる。この閉じた表面積24において、第1の要素2内の中央にスピンドル4が固定されている。スピンドル4は、第1の要素2の長手方向軸線Aに沿って延在しているが、第1の要素の第2の端部までは完全には延在していない。これは、スピンドル4が第1の要素2の内部空間から突出していないことを意味する。スピンドル4は、可変ピッチの筋状螺旋5を有する。筋状螺旋5のピッチは、スピンドル4の第1の端部からその第2の端部まで減少する。
【0060】
第2の要素3の第1の端部の領域にロータ8が配置されている。ロータ8は、第2の要素3上に回転可能に取り付けられ、これにより、ロータは、第2の要素3に対して変位することはできないが、長手方向軸線Aを中心に自由に回転することができる。ロータ8は、その上に円筒ころの形態で設計され、スピンドル4の筋状螺旋5に係合する3つの転動体9.1(図1は1つだけを示す)を配置している。転動体9.1は、ロータ8に対してある角度で取り付けられ、従って、転動体は、筋状螺旋5において本質的に遊びのないように係合することができる。転動体9.1が筋状螺旋5に係合する結果として、ロータ8の回転により、第2の要素3が第1の要素2に対して直線的に移動する。
【0061】
第2の端部の領域において、第2の要素3は、2つの固定要素15.1、15.2を有する。固定要素15.1、15.2とロータ8との間に2つの脚ばね14.1、14.2が締め付けられている。脚ばね14.1、14.2は、回転的に固定されてロータ8とそれぞれの固定要素15.1、15.2とに固定されている。脚ばね14.1、14.2により、ロータ8にプレストレス力が加えられる。このプレストレス力により、ロータ8にトルクが与えられる。脚ばね14.1、14.2は、トルクが第2の要素3を第1の要素2から移動させる方向にロータ8を回転させるように、ここでプレストレスされている。従って、昇降支柱1が床に立っている場合、プレストレス力により、昇降支柱1の長さが増加する。従って、プレストレス力は、昇降支柱1に固定された家具の重量を補うことができる。つまり、プレストレス力は、昇降支柱1に接続された家具の重量に本質的に対応するように選択される。これにより、人は大きな力を加えることなく、比較的簡単に家具の高さを設定できる。
【0062】
脚ばね14.1、14.2が、ロータ8の回転によって多かれ少なかれそれらの静止位置から回転されるので、スピンドル4に沿ったロータ8の位置に応じて、ロータ8が脚ばね14.1、14.2によって受けるプレストレス力は異なる。第2の要素3がロータ8によって受けるプレストレス力が、スピンドル4の長さに沿ったロータ8の任意の位置で本質的に一定に保たれるために、スピンドル4は、前述の可変筋状螺旋ピッチを有する。
【0063】
ウォームホイール16は、第2の要素3の第2の端部の領域に配置されている。そして、ウォームホイール16は、当該ウォームホイール16に接続された固定要素15.1、15.2を有する。ウォームホイール16は、ウォーム15(図3を参照)が回転することによって回転され得る。この回転により、固定要素15.1、15.2が同時に回転するため、脚ばね14.1、14.2のプレストレス力を変化させることができる。
【0064】
ロータ8は、脚ばね14.1、14.2の巻線内において第2の要素3の第2の端部の方向に延在する中空シャフト12に接続されている。中空シャフト12は、第2の要素3の第2の端部の領域に歯状構成13を有する。この歯状構成13にかさ歯車11が係合している。かさ歯車11と歯状構成13とは共に、第1の状態でスピンドル4に対するロータ8の回転を阻止し、第2の状態でこの回転を解放する拘束デバイス10を形成している。第1の状態では、かさ歯車11の回転が阻止され、第2の状態では、かさ歯車11の回転が解放される。このことは、提供される適切な機構によって達成され得る。例えば、かさ歯車11は、二重巻きばねブレーキが相互作用するシャフト(図示せず)に接続され得る。
【0065】
第2の要素3の第2の端部に固定要素21が配置されており、この固定要素を使用して、昇降支柱1を家具、特に天板に固定することができる。更に、第1の要素2の第2の端部の領域にフランジが配置されている。
【0066】
図2は、図1による昇降支柱の透視図を示しており、第1の壁6及び第2の壁7は、例示的な理由で省略されている。この図は、第1の要素2の溝19.1、19.2と共にリニアガイドを形成する3つの転がり軸受18.1、18.2、18.3の配置を明確に示している。また、ロータ8の転動体9.1、9.2の傾斜した配置が明示されており、上記転動体は、円筒ころの形態で設計され、スピンドル4の筋状螺旋5に係合している。
【0067】
図1の断面図とは対照的に、図2の透視図は、ウォームホイール16をより効果的に示している。ウォーム17は、ホルダ22によって第2の要素3に対して回転固定されて保持されている。
【0068】
図3は、第2の要素3の第2の端部の詳細固有の斜視図を示している。この図3は、ウォームホイール16と係合しているウォーム17を明確に示している。ウォームホイール17は、六角形ソケットドライブ25を有する。この六角形ソケットドライブ25を介して、六角形キー経由でウォーム17を回転させることができる。
【0069】
かさ歯車11は、カバー23内に回転可能に取り付けられ、中空シャフト12の歯状構成13と係合している。かさ歯車11は、中央ボア26を有し、それによって、かさ歯車17をシャフト(図示せず)と係合させることができる。
【0070】
図4a及び図4bは、転動体9.1~9.3がボールの形態で設計されている本発明による昇降支柱1の第2の実施例の詳細固有の図を示している。図4aは、ボールの形で設計されたそれぞれの転動体9.1~9.3が走っている3つの筋状螺旋5.1~5.3を備えたスピンドル4の斜視図を示している。3つの転動体9.1~9.3は、各場合に、互いに対して120°の角度で配置されており、これは、図4bの断面図で良好に効果的に示されていることが分かる。スピンドル4の筋状螺旋5.1~5.3は断面が丸いので、ボール状に設計された転動体9.1~9.3は、可能な限り少ない遊びでその中を走ることができる。
【0071】
図5a及び図5bは、転動体9.1~9.3が円錐ころの形で設計されている、本発明による昇降支柱1の第3の実施例の詳細固有の図を示している。図5aは、転動体9.1~9.3を備えたスピンドル4の斜視図を示し、一方、図5bは断面図を示す。これらの転動体9.1~9.3は、スピンドル4の筋状螺旋5.1~5.3で動作し、これらの筋状螺旋は、スピンドル4の表面上の領域の形をしている。円錐ころの形で設計された各転動体9.1~9.3は、ピン27.1~27.3を有し、ピン27.1~27.3を介して転動体9.1~9.3がロータ8に接続されている。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
【外国語明細書】