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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061514
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】フェイスシールド装置
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/22 20060101AFI20220412BHJP
   A42B 3/28 20060101ALI20220412BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A42B3/22
A42B3/28
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169462
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】511087372
【氏名又は名称】アルトリスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144509
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋三
(72)【発明者】
【氏名】天野 光明
(72)【発明者】
【氏名】橋田 浩一
【テーマコード(参考)】
2E185
3B107
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA18
2E185CA03
2E185CB09
3B107AA02
3B107BA02
3B107BA08
3B107DA01
3B107DA04
3B107DA07
3B107DA17
3B107EA04
(57)【要約】
【課題】装着したままの状態での飲食を可能として細菌やウィルスの感染リスクを低下させるとともに、装着状態での身体的負担が少なく、長時間の装着を可能とするフェイスシールド装置を提供する。
【解決手段】フェイスシールド装置Zが、透明の樹脂材でドーム状に一体形成され、人50の頭部51に装着された状態では少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うように構成されたフェイスシールド1と、フェイスシールド1を、人50の胸部53の上部と肩部52と首後部54で支持するサポート材と、フェイスシールド1の内部空間2を換気する換気装置5とを備える。また、フェイスシールド1の前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の樹脂材でドーム状に一体形成され、人の頭部に装着された状態では少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うように構成されたフェイスシールドと、
上記フェイスシールドを、人の胸の上部と肩部と首の後部で支持するサポート材と、
上記フェイスシールドの内部空間を換気する換気装置と、
を備えたことを特徴とするフェイスシールド装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記フェイスシールドが、可撓性かつ透明の樹脂シートにより袋状に形成され、その内部に吹き込まれるエアによってドーム状形体を保持する構成であることを特徴とするフェイスシールド装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記フェイスシールドは、人の頭部への装着状態において、その前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成されていることを特徴とするフェイスシールド装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3において、
上記換気装置が、上記フェイスシールドに取り付けられた送風機であることを特徴とするフェイスシールド装置。
【請求項5】
請求項1,2又は3において、
上記換気装置が、送風機と、管状に形成され且つ多数のエア噴出孔を設けた送風路とを備えて構成されるとともに、上記送風路が、人の胸の上部と肩部と首の後部に跨って配置されて上記フェイスシールドを支持するサポート材として利用されることを特徴とするフェイスシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、唾液に含まれる細菌やウィルスの飛沫感染や空気感染を防ぐために使用されるフェイスシールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、細菌やウィルスの感染症の世界的な拡大に伴って、その感染形態が問題となっている。その中でも特に、唾液に含まれる細菌やウィルスの飛沫感染や空気感染が注目され、係る飛沫感染や空気感染を防止するための手段の開発が急務とされており、これを受けて、有効な感染防止手段として、例えば、特許文献1に示すような「フェイスシールド」が提案されている。
【0003】
また、係るフェイスシールドによる感染防止効果をさらに高めるためには、該フェイスシールド内を換気することが有効と考えられ、係る換気手段として転用可能な技術として、特許文献2に示される「ヘルメット内の換気装置」が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3227109号公報
【特許文献2】特許第6020921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に示されるフェイスシールドでは、感染防止に関しては有効と考えられるものの、該フェイスシールドが比較的小さく、これを頭部に装着した状態では、該フェイスシールドの前面内側と人の口唇部との距離が近いことから、フェイスシールドを装着した状態で飲食することが困難である。したがって、飲食に際しては、フェイスシールドを外し、その状態で飲食せざるを得ないが、この飲食時には当然に口が開かれており、他者からの感染リスク、あるいは他者への感染リスクが共に高いことから、例え飲食以外の時にはフェイスシールドドを装着しているとしても、活動時間全体で見た場合、感染防止効果は低下することになる。
【0006】
一方、特許文献2に示される換気装置をフェイスシールドに付設して、該フェイスシールド内を換気することで、感染防止効果が高められることは理解されるが、該換気装置が、人の頭部に装着されたフェイスシールドに取り付けられることから、該フェイスシールドの重量及び換気装置の重量が、首によって支持されることから、該フェイスシールドを長時間使用すれば、首が疲れるため長時間の装着は困難である。
【0007】
そこで本願発明は、装着したままの状態での飲食を可能として感染リスクを低下させるとともに、装着状態での身体的負担が少なく、長時間の装着を可能とするフェイスシールド装置を提供することを主たる目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0009】
本願の第1の発明に係るフェイスシールド装置は、透明の樹脂材でドーム状に一体形成され、人の頭部に装着された状態では少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うように構成されたフェイスシールドと、上記フェイスシールドを、人の胸の上部と肩部と首の後部で支持するサポート材と、上記フェイスシールドの内部空間を換気する換気装置とを備えたことを特徴としている。
【0010】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係るフェイスシールド装置において、上記フェイスシールドを、可撓性かつ透明の樹脂シートにより袋状に形成され、その内部に吹き込まれるエアによってドーム状形体を保持する構成としたことを特徴としている。
【0011】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係るフェイスシールド装置において、上記フェイスシールドを、人の頭部へ装着した状態において、その前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成したことを特徴としている。
【0012】
本願の第4の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係るフェイスシールド装置において、上記換気装置を、上記フェイスシールドに取り付けられた送風機で構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第5の発明では、上記第1、第2又は第3の発明に係るフェイスシールド装置において、上記換気装置を、送風機と、管状に形成され且つ多数のエア噴出孔を設けた送風路とを備えて構成するとともに、上記送風路を、人の胸の上部と肩部と首の後部に跨って配置されて上記フェイスシールドを支持するサポート材として利用するように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では次のような効果が得られる。
(a)本願の第1の発明
本願の第1の発明に係るフェイスシールド装置によれば、
(a-1)フェイスシールドが、透明の樹脂材で、少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うようにドーム状に一体形成されていることから、該フェイスシールドを装着した場合、接続線部などの構造物が使用者の視界に入ることが無く、フェイスシールドを装着した状態での行動の安全性が確保される、
(a-2)上記フェイスシールドを、サポート材によって人の胸の上部と肩部と首の後部で支持することから、該フェイスシールドを含むフェイスシールド装置全体の重さは、上記サポート材を介して胸の上部と肩部と首の後部の三部位において分散支持され、例えば、首部分において該フェイスシールド装置全体の重さを負担する場合に比して、首部分の疲れが大幅に軽減され、その結果、上記フェイスシールドを備えたフェイスシールド装置の長時間の装着が可能となる、
(a-3)フェイスシールドの内部空間を換気する換気装置を備えているので、該フェイスシールド装置を長時間装着しても蒸し暑くならず、装着状態下における快適性が担保される、
等の効果が得られる。
【0015】
(b)本願の第2の発明
本願の第2の発明に係るフェイスシールド装置によれば、上記(a)に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記フェイスシールドを、可撓性かつ透明の樹脂シートにより袋状に形成し、その内部に吹き込まれるエアによってドーム状形体を保持するように構成したので、該フェイスシールドを板材によって形成する場合に比して、該フェイスシールドをより軽量化できる。そのため、フェイスシールド装置の重さによる該装置の装着者の疲労を軽減できるとともに、装着者の行動の自由度を高めることができる。
また、フェイスシールドは可撓性の樹脂シートにより形成されているため、フェイスシールド装置の不使用時には、フェイスシールドを折り畳んで小さくすることによって携帯性に優れたものとすることができる。
【0016】
(c)本願の第3の発明
本願の第3の発明に係るフェイスシールド装置によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記フェイスシールド装置を人の頭部側へ装着した状態において、その前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成したので、該フェイスシールド装置を装着したまま飲食する場合でも、コップとか、箸とか、スプーン等の食器がフェイスシールドにほとんどぶつかることがなく容易に飲食できる。そのため、飲食する毎にフェイスシールド装置を外す手間が省けるとともに、フェイスシールド装置を外した状態の時間が無い分だけ、該フェイスシールド装置の装着時間が長くなり、結果的にフェイスシールド装置の装着による細菌やウィルスの感染防止効果が向上する。
【0017】
(d)本願の第4の発明
本願の第4の発明に係るフェイスシールド装置によれば、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記換気装置を、上記フェイスシールドに取り付けられた送風機で構成したので、換気装置の構造が簡単となり、換気装置を備えたフェイスシールド装置の低コスト化が可能となる。
【0018】
(e)本願の第5の発明
本願の第5の発明に係るフェイスシールド装置によれば、上記(a)、(b)又は(c)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記換気装置を、送風機と、管状に形成され且つ多数のエア噴出孔を設けた送風路とを備えて構成するとともに、上記送風路を、人の胸の上部と肩部と首の後部に跨って配置されて上記フェイスシールドを支持するサポート材として利用するようにしたので、換気装置とサポート材の兼用化によって、フェイスシールド装置の軽量化と小型化を図ることができる。そのため、フェイルシールド装置の重さによる装着者の疲労を軽減できるとともに、フェイスシールド装置の不使用時の携帯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の第1の実施形態に係るフェイスシールド装置の側面図である。
図2】本願発明の第1の実施形態に係るフェイスシールド装置の正面図である。
図3】本願発明の第1の実施形態に係るフェイスシールド装置の平面図である。
図4】本願発明の第2の実施形態に係るフェイスシールド装置の側面図である。
図5】本願発明の第2の実施形態に係るフェイスシールド装置の正面図である。
図6】本願発明の第2の実施形態に係るフェイスシールド装置の平面図である。
図7】本願発明の第3の実施形態に係るフェイスシールド装置の側面図である。
図8】本願発明の第3の実施形態に係るフェイスシールド装置の正面図である。
図9】本願発明の第3の実施形態に係るフェイスシールド装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明に係るフェイスシールド装置を、いくつかの実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0021】
A:第1の実施形態
図1ないし図3には、本願発明の第1の実施形態に係るフェイスシールド装置Z1を示している。このフェイスシールド装置Z1は、人50の頭部51に装着されるフェイスシールド1と、送風用のファンユニット5を備えて構成される。
【0022】
「フェイスシールド1」
フェイスシールド1は、注入エアによってドーム形に展開し且つ形状保持を行うエアドーム構造をもつもので、2枚の可撓性かつ透明の樹脂シート(塩化ビニールシート)を重ね合わせたものを成形素材とし、この成形素材を、展開状態においてその下面が開放されたドーム形状となるように形成し、該2枚の樹脂シート間の隙間部分をエア注入室3としている。このエア注入室3にエアが注入されることで、該エア注入室3が膨張して展開され、上記フェイスシールド1のドーム形状が保持されたものである。なお、このフェイスシールド1の上記エア注入室3へのエア供給は、次述するファンユニット5によって行われる。
【0023】
また、フェイスシールド1の頂部近傍には、上記エア注入室3を外気に連通させるための第1のエア吹出口4Aと、該フェイスシールド1の内部空間2を外気に連通させるための第2のエア吹出口4Bが設けられている。
【0024】
フェイスシールド1は、人50の頭部51に装着した状態において、その顔面の前面と、両側面と、上面及び後面(即ち、頭部51の全面)を覆う所謂フルフェイスタイプのシールドであり、この頭部51への装着状態においては、該フェイスシールド1の前面内側と人50の顔面の口唇部との距離Lが18~30cmとなるように前後方向寸法が設定されている。
【0025】
さらに、上記フェイスシールド1の下端開口部のうち、後半部には次述のファンユニット5のユニット本体7が接続されている。
【0026】
「ファンユニット5」
ファンユニット5は、特許請求の範囲中の換気装置に該当するもので、可撓性のある樹脂材によって略C形環状に成形された管体で構成されるユニット本体7と、該ユニット本体7の両端部にそれぞれ付設された一対のファン6を備えて構成される。なお、このユニット本体7は、両側部の上面側に多数のエア噴出孔8を形成している。
【0027】
また、上記ユニット本体7の後半部には、上記フェイスシールド1の下端縁部が接続され、該フェイスシールド1と一体化されている。そして、上記ユニット本体7側の上記エア噴出孔8のいくつかが、上記フェイスシールド1のエア注入室3に連通されており、該エア噴出孔8を通して上記エア注入室3にエアが注入されるようになっている。なお、上記ユニット本体7に設けた多数のエア噴出孔8のうち、上記フェイスシールド1のエア注入室3へのエア注入に供せられるもの以外のエア噴出孔8は、上記フェイスシールド1の内部空間2に臨んでおり、該内部空間2へのエア供給口として機能する。
【0028】
ファンユニット5は、上記ファン6が設けられた両端部近傍を、図2に白抜き矢印で示すように、左右方向にそれぞれ操作力を掛けることで、これを弾性変形させて押し開くことができるとともに、上記操作力を解除することで当初の自由状態(図1図3の各図に示す状態)に復帰する。
【0029】
ファンユニット5は、図1図3にそれぞれ示すように、上記ユニット本体7の両端部7c、7cを押し開いて、人50の首後部54側から掛止される。そして、このユニット本体7の人50側への掛止状態においては、その後部7aは人50の首後部54に、その両側部7b、7bはそれぞれ人50の肩部52に、さらに上記ファン6の近傍の両端部7c、7c部分は人50の胸部53の上部に、それぞれ支持される。即ち、上記ファンユニット5のユニット本体7は、上記フェイスシールド1を人50側に支持させる特許請求の範囲中の「サポート材」に相当する。
【0030】
「フェイスシールド装置Z1の作動説明」
フェイスシールド装置Z1は、上記ファンユニット5を運転して、該ファンユニット5から供給されるエアを上記フェイスシールド1のエア注入室3に注入して該フェイスシールド1を展開し且つ形状を保持した状態で使用される。なお、このフェイスシールド1のエア注入室3に注入されるエアはここに封入されるのではなく、上記エア吹出口4Aを通して順次外部へ排出される。この注入エアの排出によって、上記フェイスシールド1の形状が保持されると同時に、上記ファン6の過負荷状態が回避される。
【0031】
フェイスシールド1を展開且つ形状保持した状態で、上記ファンユニット5のユニット本体7をその開口側から押し開き、これを人50の首後部54側から通して該人50に掛止することで、上記フェイスシールド1が頭部51側に装着される。
【0032】
このフェイスシールド装置Z1の装着状態においては、以下のような作用効果が得られる。
【0033】
(1)フェイスシールド装置Z1が、透明の樹脂材で、少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うようにドーム状に一体形成されていることから、該フェイスシールド装置Z1を装着した場合、接続線部などの構造物が使用者の視界に入ることが無く、フェイスシールド装置Z1を装着した状態での行動の安全性が確保される。
【0034】
(2)フェイスシールド1を、サポート材として機能する上記ユニット本体7によって人50の胸53の上部と肩部54と首後部54で支持することから、該フェイスシールド1を含むフェイスシールド装置Z1の重さは、上記ユニット本体7を介して胸53の上部と肩部52と首後部54において分散支持され、例えば、首部分において該フェイスシールド1の重さの全てを負担する場合に比して、首部分の疲れが大幅に軽減され、その結果、上記フェイスシールド装置Z1の長時間の装着が可能となる。
【0035】
(3)フェイスシールド装置Z1を人50の頭部51側へ装着した状態において、その前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成したので、該フェイスシールド装置Z1を装着したまま飲食する場合でも、コップ31とか、箸とか、スプーン等の食器がフェイスシールド1にほとんどぶつかることがなく、容易に飲食できる。そのため、飲食する毎にフェイスシールド装置Z1を外す手間が省けるとともに、フェイスシールド装置Z1を外した状態の時間が無い分だけ、フェイスシールド装置Z1の装着時間が長くなり、結果的にフェイスシールド装置Z1の装着による細菌やウィルスの感染防止効果が向上する。
【0036】
(4)フェイスシールド1の内部空間2を上記ファンユニット5のユニット本体7から噴出されるエアによって換気するようにしているので、該フェイスシールド装置Z1を長時間装着しても蒸し暑くならず、快適性が確保される。
【0037】
(5)フェイスシールド1を、可撓性かつ透明の樹脂シートにより袋状に形成し、その内部に吹き込まれるエアによってドーム状形体を保持するように構成したので、該フェイスシールド1を板材によって形成する場合に比して、該フェイスシールド1をより軽量化できる。そのため、フェイスシールド装置Z1の重さによる人50の疲労を軽減できるとともに、人50の行動の自由度を高めることができる。
また、フェイスシールド1は、可撓性の樹脂シートにより形成されているため、フェイスシールド装置21の不使用時には、フェイスシールド1を折り畳んで小さくすることによって携帯性に優れたものとすることができる。
【0038】
B:第2の実施形態
図4ないし図6には、本願発明の第2の実施形態に係るフェイスシールド装置Z2を示している。このフェイスシールド装置Z2は、人50の頭部51に装着されるフェイスシールド11と、該フェイスシールド11を支持するサポート材14と、該フェイスシールド11の内部空間12内の換気を行う送風機15を備えて構成される。
【0039】
フェイスシールド11は、透明の樹脂材(PET、塩化ビニール、ポリカーボネット等)を下面側が開口したドーム形状に成形して構成されるものであって、前後方向略中央よりやや後方側の内面には、逆U字状に屈曲成形されたフレーム13が、その屈曲部分13bを上記フェイスシールド11の内面に沿わせるとともに、その下端部13aを上記フェイスシールド11の下端から下方へ適宜延出させた状態で、取り付けられている。また、特許請求の範囲中の「換気装置」を構成する送風機15が、該フェイスシールド11の内部空間12に臨んで取り付けられている。この送風機15はバッテリー16からの給電によって運転されるが、その送風方向は、換気態様に応じて異なる。即ち、上記内部空間12内に空気を送風機15によって外部から吸入する場合には吸気用送風機15が用いられる一方、フェイスシールド11の下端開口側から内部空間12内に外部から空気を吸入して送風機15から上方へ排気する場合には排気用送風機15が用いられる。
【0040】
フェイスシールド11は、人50の頭部51に装着した状態において、その顔面の前面と、両側面と、上面及び後面(即ち、頭部51の全面)を覆う所謂フルフェイスタイプのシールドであり、この頭部51への装着状態においては、該フェイスシールド11の前面内側と人50の顔面の口唇部との距離Lが18~30cmとなるように前後方向寸法が設定されている。
【0041】
「サポート材14」
上記サポート材14は、可撓性のある樹脂材で構成された丸棒体を略C形環状に屈曲成形して構成される。そして、このサポート材14は、その両端部14c、14cを持って、図5に白抜き矢印で示すように操作力を加えることで押し開かれ、またこの操作力を解除することで図5に示す当初形状に復帰される。
【0042】
上記サポート材14の両側部14b、14bには、上記フェイスシールド11側の上記フレーム13の下端部13aが固定されており、これによって上記フェイスシールド11と上記サポート材14が一体化され、フェイスシールド装置Z2が構成される。
【0043】
上記サポート材14は、上記両端部14c、14cの押し開き状態において、人50の首後部54を通して前方へ移動させることで、人50側に掛止される。そして、この人50への掛止状態においては、上記サポート材14は、その後部14aが人50の首後部54に、両側部14b、14bは人50の肩部52に、また開口側の両端部14c、14c部分は人50の胸部53の上部において、それぞれ支持されることで、その安定性が確保されている。
【0044】
「フェイスシールド装置Z2の作動説明」
上記フェイスシールド装置Z2は、上記フェイスシールド11の内部空間12内に頭部51を進入させながら、上記サポート材14を人50の首後部54側から掛止し、これを人50の首後部54と肩部52及び胸部53の上部の三部位にそれぞれ支持させることで、人50の頭部51側に装着される。
【0045】
このフェイスシールド装置Z2の装置状態においては、以下のような作用効果が得られる。
【0046】
(1)上記フェイスシールド11が、透明の樹脂材で、少なくとも顔面の前面と側面及び上面を覆うようにドーム状に一体形成されていることから、該フェイスシールド11を装着した場合、接続線部などの構造物が使用者の視界に入ることが無く、フェイスシールド装置Z2を装着した状態での行動の安全性が確保される。
【0047】
(2)上記フェイスシールド装置Z2を、人50の胸部53の上部と肩部54と首後部54の三部位で支持することから、該フェイスシールド装置Z2の重さは、上記三部位において分散支持され、例えば、首部分において該フェイスシールド装置Z2の重さの全てを負担する場合に比して、首部分の疲れが大幅に軽減され、その結果、上記フェイスシールド装置Z2の長時間の装着が可能となる。
【0048】
(3)上記フェイスシールド装置Z2を人50の頭部51側へ装着した状態において、その前面内側と人の口唇部分との間に18~30cmの距離が確保されるように構成したので、該フェイスシールド装置Z2を装着したまま飲食する場合でも、コップ31とか、箸とか、スプーン等の食器がフェイスシールド1にほとんどぶつかることがなく、容易に飲食できる。そのため、飲食する毎にフェイスシールド装置Z2を外す手間が省けるとともに、フェイスシールド装置Z2を外した状態の時間が無い分だけ、該フェイスシールド装置Z2の装着時間が長くなり、結果的にフェイスシールド装置Z2の装着による細菌やウィルスの感染防止効果が向上する。
【0049】
(4) 上記フェイスシールド11の内部空間12を、上記送風機15による吸気あるいは排気によって換気するようにしているので、該フェイスシールド装置Z2を長時間装着しても蒸し暑くならず、快適性が確保される。
【0050】
C:第3の実施形態
図7ないし図9には、本願発明の第3の実施形態に係るフェイスシールド装置Z3を示している。このフェイスシールド装置Z3は、上記第2の実施形態におけるフェイスシールド装置Z2の変形例として位置づけられるものであって、その基本構成は第2の実施形態におけるフェイスシールド装置Z2と同様であって、これと異なる点は、フェイスシールド21の構造である。
【0051】
即ち、この実施形態のフェイスシールド装置Z3においては、上記フェイスシールド21を、人50の顔面の前面と両側面と上面を覆う半ドーム形状としており、後端部分は外気に開放されている。
【0052】
このような、半ドーム形状の上記フェイスシールド21を備えたフェイスシールド装置Z3によれば、その装着状態においては、飛沫感染とか空気感染の防止上重要な部分、即ち、顔面の前面と両側面と上面が、フェイスシールド21によって覆われていることで高い感染防止効果が期待できるとともに、フェイスシールド21の後部が開口していることから該開口を通しての換気作用によって内部空間22内の蒸し暑さが軽減され、感染防止と快適性の両立が図られる。
【0053】
また、上記フェイスシールド21がコンパクトになることで、フェイスシールド装置Z3の取り扱いが容易となる。さらに、上記フェイスシールド21の後部が開口していることから、該フェイスシールド21の装着が容易となり、特にフェイスシールド装置Z3の脱着回数が多いような環境での使用においては高い利便性が得られる。
【0054】
なお、本実施形態の図7図8の各構成要素のうち、上記第2実施形態の図4図6の各構成要素と同じものには、図4図6に付したと同じ符号を付した上で、上記説明以外の構成、及び作用効果については、上記第2実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明に係るフェイスシールド装置は、主として、接客を伴う事業分野において好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0056】
1 ・・フェイスシールド
2 ・・内部空間
3 ・・エア注入室
4A,4B ・・エア吹出口
5 ・・ファンユニット(換気装置及びサポート材)
6 ・・ファン
7 ・・ユニット本体
8 ・・エア噴出孔
11 ・・フェイスシールド
12 ・・内部空間
13 ・・フレーム
14 ・・サポート材
15 ・・送風機(換気装置)
16 ・・バッテリー
21 ・・フェイスシールド
22 ・・内部空間
Z1~Z3 ・・フェイスシールド装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9