IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 摂津技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図1
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図2
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図3
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図4
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図5
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図6
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図7
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図8
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図9
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図10
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図11
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図12
  • 特開-回転刃およびその製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061524
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】回転刃およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B29B9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169485
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】300010523
【氏名又は名称】摂津技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】今西 芳行
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201BA02
4F201BL12
4F201BL36
4F201BL37
4F201BL38
4F201BL39
(57)【要約】
【課題】比較的低コストで高精度な回転刃を提供する。
【解決手段】ペレット材料のストランド101を固定刃102とのあいだでせん断してペレット103にする回転刃100であって、
軸心Cを有する円筒状本体1の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃2が周方向において一定間隔で設けられ、
上記各切断刃2の刃先線2Aは、上記軸心Cに対して第1の傾斜角度αをもって配置され、
上記円筒状本体1は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもった互いに平行な分割面3を介し、上記軸心Cの方向において複数の斜切部材に分割されている。
複数に分割された斜切部材ごとに切刃を形成でき、比較的低コストで高精度な回転刃100を提供でき、大型化に対応できる。上記回転刃が軸心を中心として回転したときに上記各継ぎ目の回転軌跡が重ならないようにすれば、ペレット品質への悪影響を最小限に抑えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃であって、
軸心を有する円筒状本体の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃が周方向において一定間隔で設けられ、
上記各切断刃の刃先線は、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置され、
上記円筒状本体は、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を介し、上記軸心の方向において複数の斜切部材に分割されている
ことを特徴とする回転刃。
【請求項2】
上記各切断刃は、それぞれの刃先線に沿うように配置される刃先チップが取り付けられている
請求項1記載の回転刃。
【請求項3】
上記複数の斜切部材は、第1の端部に配置される第1斜切部材、第2の端部に配置される第2斜切部材、上記第1斜切部材と第2斜切部材のあいだに配置される1以上の中間斜切部材の少なくとも3種類を備えて構成されている
請求項1または2記載の回転刃。
【請求項4】
上記中間斜切部材が複数であり、
上記複数の中間斜切部材は、上記軸心方向の寸法が互いに等しくなるよう設定されている
請求項3記載の回転刃。
【請求項5】
上記中間斜切部材は、上記軸心を中心として回転したときに、対向する2つの分割面の回転軌跡が互いに重ならないように構成されている
請求項3または4記載の回転刃。
【請求項6】
ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃の製造方法であって、
円筒状素材に対し、外周において軸心方向に延びる加工用マークと上記軸心方向に貫通する軸穴を形成する工程と、
上記円筒状素材を、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を形成して上記軸心の方向において複数の斜切素材に分割する工程と、
上記各斜切素材の軸穴にキー溝を形成する工程と、
上記各斜切素材の外周面に、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置される複数の切断刃を、周方向において一定間隔で設けて斜切部材を形成する工程と、
上記各斜切部材を上記軸心方向に並べて組み付けることにより、上記軸心を有する円筒状本体の外周面において、上記各切断刃の刃先線が上記軸心に対して上記第1の傾斜角度をもって配置されるようにする工程とを備えた
ことを特徴とする回転刃の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂等のペレットを製造するペレット製造機としては、たとえば下記の特許文献1に示すように、固定刃と回転刃のあいだでストランドを切断するものが知られている。
特許文献1には、ヘリカル刃が設けられた回転刃が開示されている。上記特許文献1の回転刃は、ヘリカル刃が回転刃の全長にわたって設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5336548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヘリカル刃はらせん状に設けられているため、切刃自体をらせん状に形成する必要があり、その加工や製造が困難でコストが高く、精度を上げるのも困難である。また、回転刃への切刃の取付けは、一般にろう付けによって行われることから、らせん状の台にらせん状の切刃をろう付けしなければならない。らせん状の切刃は極めて高価でコスト高となり、取付も困難で精度を上げるのが難しくなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、比較的低コストで高精度な回転刃およびその製造方法を提供することを目的としてなされたものある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の回転刃は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃であって、
軸心を有する円筒状本体の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃が周方向において一定間隔で設けられ、
上記各切断刃の刃先線は、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置され、
上記円筒状本体は、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を介し、上記軸心の方向において複数の斜切部材に分割されている。
【0007】
請求項2記載の回転刃は、請求項1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記各切断刃は、それぞれの刃先線に沿うように配置される刃先チップが取り付けられている。
【0008】
請求項3記載の回転刃は、請求項1または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記複数の斜切部材は、第1の端部に配置される第1斜切部材、第2の端部に配置される第2斜切部材、上記第1斜切部材と第2斜切部材のあいだに配置される1以上の中間斜切部材の少なくとも3種類を備えて構成されている。
【0009】
請求項4記載の回転刃は、請求項3記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記中間斜切部材が複数であり、
上記複数の中間斜切部材は、上記軸心方向の寸法が互いに等しくなるよう設定されている。
【0010】
請求項5記載の回転刃は、請求項3または4記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記中間斜切部材は、上記軸心を中心として回転したときに、対向する2つの分割面の回転軌跡が互いに重ならないように構成されている。
【0011】
請求項6記載の回転刃の製造方法は、上記目的を達成するため、つぎの構成を採用した。
ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃の製造方法であって、
円筒状素材に対し、外周において軸心方向に延びる加工用マークと上記軸心方向に貫通する軸穴を形成する工程と、
上記円筒状素材を、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を形成して上記軸心の方向において複数の斜切素材に分割する工程と、
上記各斜切素材の軸穴にキー溝を形成する工程と、
上記各斜切素材の外周面に、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置される複数の切断刃を、周方向において一定間隔で設けて斜切部材を形成する工程と、
上記各斜切部材を上記軸心方向に並べて組み付けることにより、上記軸心を有する円筒状本体の外周面において、上記各切断刃の刃先線が上記軸心に対して上記第1の傾斜角度をもって配置されるようにする工程とを備えた。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の回転刃は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃である。上記回転刃は、軸心を有する円筒状本体の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃が周方向において一定間隔で設けられている。上記各切断刃の刃先線は、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置されている。そして、上記円筒状本体は、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を介し、上記軸心の方向において複数の斜切部材に分割されている。
このため、複数に分割された斜切部材ごとに切刃を形成することができるため、比較的低コストで高精度な回転刃を提供することができる。
【0013】
請求項2記載の回転刃は、上記各切断刃は、それぞれの刃先線に沿うように配置される刃先チップが取り付けられている。
このため、複数に分割された斜切部材ごとに刃先チップを取り付けて切刃を形成することができ、比較的低コストで高精度な回転刃を提供することができる。
【0014】
請求項3記載の回転刃は、上記複数の斜切部材は、第1の端部に配置される第1斜切部材、第2の端部に配置される第2斜切部材、上記第1斜切部材と第2斜切部材のあいだに配置される1以上の中間斜切部材の少なくとも3種類を備えて構成されている。
このため、中間斜切部材の数を増減させることにより、容易に回転刃の全長を変更し、多様な仕様に対応することができる。
【0015】
請求項4記載の回転刃は、上記中間斜切部材が複数であり、上記複数の中間斜切部材が上記軸心方向の寸法が互いに等しくなるよう設定されている。
このため、中間斜切部材の数を増減させることにより、容易に回転刃の全長を変更し、多様な仕様に対応することができる。
【0016】
請求項5記載の回転刃は、上記中間斜切部材が、上記軸心を中心として回転したときに、対向する2つの分割面の回転軌跡が互いに重ならないように構成されている。
上記回転刃の周方向には、各斜切部材同士の継ぎ目が多数並んでいる。上記継ぎ目は切れ味が低下しやすく、周方向に多数の継ぎ目があると、上記回転刃が軸心を中心として回転したときに、おなじ場所に切断不良が生じやすく、ペレットの品質に悪影響するおそれがある。本発明では、上記回転刃が軸心を中心として回転したときに、上記各継ぎ目の回転軌跡が重ならないため、ペレットの品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0017】
請求項6記載の回転刃の製造方法は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランドを固定刃と回転刃でせん断してペレットにするための上記回転刃の製造方法である。まず、円筒状素材に対し、外周において軸心方向に延びる加工用マークと上記軸心方向に貫通する軸穴を形成する。ついで、上記円筒状素材を、上記軸心に対して第2の傾斜角度をもった互いに平行な分割面を形成して上記軸心の方向において複数の斜切素材に分割する。つぎに、上記各斜切素材の軸穴にキー溝を形成する。さらに、上記各斜切素材の外周面に、上記軸心に対して第1の傾斜角度をもって配置される複数の切断刃を、周方向において一定間隔で設けて斜切部材を形成する。そののち、上記各斜切部材を上記軸心方向に並べて組み付けることにより、上記軸心を有する円筒状本体の外周面において、上記各切断刃の刃先線が上記軸心に対して上記第1の傾斜角度をもって配置されるようにする。
このようにして得られた回転刃は、複数に分割された斜切部材ごとに切刃を形成することができるため、比較的低コストで高精度な回転刃を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の回転刃の一実施形態を説明する図である。
図2】第1斜切部材を説明する図である。
図3】第2斜切部材を説明する図である。
図4】中間斜切部材を説明する図である。
図5】切断刃を説明する図である。
図6】本発明の回転刃の製造方法の一実施形態であり、円筒状素材を説明する図である。
図7】上記円筒状素材に加工用マークと軸穴を形成する工程を説明する図である。
図8】上記円筒状素材を複数の斜切素材に分割する工程を説明する図である。
図9】上記分割する工程によって得られた斜切素材であり、(A)は第1斜切素材、(B)は第2斜切素材、(C)は中間斜切素材である。
図10】上記各斜切素材に切断刃を設けて斜切部材とする工程を説明する図である。
図11】刃先チップの取付座を形成する工程を説明する図である。
図12】刃先チップの取付けと研磨の工程を説明する図である。
図13】本実施形態の回転刃の使用状態の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0020】
図1図5は、本発明の回転刃の一実施形態を示す図である。また、図13は、上記回転刃の使用状態の一例を説明する図である。
【0021】
図13に示すように、本実施形態の回転刃100は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランド101を固定刃102と回転刃100でせん断してペレット103にするせん断装置に用いられる回転刃100である。
【0022】
〔全体構造〕
図1は、上記回転刃100の全体構造を示す図である。(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【0023】
上記回転刃100は、軸心Cを有する円筒状本体1の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃2が周方向において一定間隔で設けられている。したがって、上記切断刃2は、円筒状本体1の外周面において、長手方向の全長にわたって設けられ、かつ、周方向の全周にわたって一定のピッチで配置されている。
【0024】
上記各切断刃2の刃先線2Aは、上記軸心Cに対して第1の傾斜角度αをもって配置されている。上記第1の傾斜角度αは、たとえば、2°~15°程度に設定することができる。上記刃先線2Aはさらに、長手方向においてらせん状に形成するのが好ましい。
【0025】
上記円筒状本体1は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもった互いに平行な分割面3を介し、上記軸心Cの方向において複数の斜切部材に分割されている。上記第2の傾斜角度βは、たとえば45°~85°程度に設定することができる。
【0026】
この例では、上記複数の斜切部材は、第1の端部に配置される第1斜切部材10、第2の端部に配置される第2斜切部材20、上記第1斜切部材10と第2斜切部材20のあいだに配置される1以上の中間斜切部材30の少なくとも3種類を備えて構成される。
【0027】
さらにこの例では、上記中間斜切部材30が複数(図示した例では5つ)である。また、上記複数の中間斜切部材30は、上記軸心C方向の寸法が互いに等しくなるよう設定されている。図示した例では、上記第1斜切部材10が第1の端部に配置され、上記第2斜切部材20が第2の端部に配置され、上記第1斜切部材10と第2斜切部材20のあいだに5つの中間斜切部材30が配置される。
【0028】
上記第1斜切部材10、上記第2斜切部材20、上記中間斜切部材30にはそれぞれ、上記軸心Cと同軸で上記軸心Cの方向に貫通する軸穴4が形成されている。上記第1斜切部材10、上記第2斜切部材20、上記中間斜切部材30の上記各軸穴4は、同一径であり、当該回転刃100を軸支するためのシャフト5が挿通されている。
【0029】
上記シャフト5が挿通されて並んだ上記第1斜切部材10、上記第2斜切部材20、上記中間斜切部材30によって上記円筒状本体1が構成される。上記シャフト5の両端寄りの部分には締付フランジ6が取り付けられ、上記円筒状本体1の上記第1の端部と第2の端部の両端部を締め付けるようになっている。上記締付フランジ6は、たとえば、図示しないボルト等によって締め付けるようにしたり、上記シャフト5にねじ加工をしてねじ込み式で締め付けるようにしたりすることができる。
【0030】
〔第1斜切部材10〕
図2は、上記第1斜切部材10を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【0031】
上記第1斜切部材10は、第1の端部に配置される。この例では、正面から見て左側の端部である。上記第1斜切部材10は、外周面に上述した切断刃2が設けられ、軸心Cと同軸状に上述した軸穴4が設けられている。第1の端部側(図示の左側)の側面は、上記軸心Cに対して垂直な第1の端面1Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第2の分割面3Bである。
【0032】
〔第2斜切部材20〕
図3は、上記第2斜切部材20を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【0033】
上記第2斜切部材20は、上記第1の端部の反対側に位置する第2の端部に配置される。この例では、正面から見て右側の端部である。上記第2斜切部材20は、外周面に上述した切断刃2が設けられ、軸心Cと同軸状に上述した軸穴4が設けられている。第1の端部側(図示の左側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第1の分割面3Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して垂直な第2の端面1Bである。
【0034】
〔中間斜切部材30〕
図4は、上記中間斜切部材30を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【0035】
上記中間斜切部材30は、上記第1斜切部材10と第2斜切部材20のあいだに5つ並ぶように配置される。上記中間斜切部材30は、外周面に上述した切断刃2が設けられ、軸心Cと同軸状に上述した軸穴4が設けられている。第1の端部側(図示の左側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第1の分割面3Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第2の分割面3Bである。
【0036】
〔切断刃2〕
図5は、上記切断刃2の詳細を説明する図である。図では中間斜切部材30を示して説明したが、第1斜切部材10、第2斜切部材20でも同様である。
上記各切断刃2は、それぞれの刃先線2Aに沿うように配置される刃先チップ40が取り付けられている。上記切断刃2には、上記刃先チップ40を取り付けるための取付座41が切欠き加工されていて、上記取付座41に対して上記刃先チップ40が、たとえばロウ付けなどにより取り付けられる。
【0037】
上記刃先チップ40の材質としては、たとえば超硬合金,サーメット,高速度工具鋼などを用いることができる。
【0038】
〔分割面3〕
図1の全体構造では、第1の端部に第1斜切部材10が配置され、第2の端部に第2斜切部材20が配置され、上記第1斜切部材10と第2斜切部材20のあいだに5つの中間斜切部材30が配置されている。このとき、上述した分割面3は、第1の端部側の第1の分割面3Aと第2の端部側の第2の分割面3Aとが対面し、第1の分割面3Aと第2の分割面3Bが密着することにより構成される。
【0039】
上記中間斜切部材30においては、上記軸心Cを中心として回転したときに、対向する2つの第1の分割面3Aと第2の分割面3Bの回転軌跡が、互いに重ならないように構成されている。このような構成になるよう、上記円筒状部材1の直径、第2の傾斜角度β、上記中間斜切部材30の軸心C方向の寸法が、それぞれ設定される。
【0040】
〔製造方法〕
図6図13は、本発明の回転刃100の製造方法の一実施形態を示す図である。
本実施形態は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランド101を固定刃102と回転刃100でせん断してペレット103にするための上記回転刃101の製造方法である。
【0041】
図6は、円筒状素材51を示す図である。(A)は正面図、(B)は左側面図である。
上記円筒状素材51は、この例では円柱状のものである。上記円筒状素材51の材質としては、各種の機械構造用炭素鋼、機械構造用合金鋼、不錆鋼などを用いることができる。たとえば、合金工具鋼、各種ステンレス鋼などである。
【0042】
図7は、上記円筒状素材に加工用マークと軸穴を形成する工程を説明する図である。(A)は正面図、(B)は左側面図である。
上記円筒状素材51の外周面と両端面を荒切削加工による寸法だしで、軸心Cを有するものとする。上記荒切削加工後の円筒状素材51に対し、外周において上記軸心C方向に延びる加工用マーク55と、上記軸心C方向に貫通する軸穴4を形成する。上記加工用マーク55は、図示した例では、外周面において上記軸心C方向に延びる溝である。上記加工用マーク55は、上記円筒状素材51の全長にわたって設けられる。また、上記加工用マーク55と反対側に位置する外周面には、上記溝加工および後加工を容易にするため、あらかじめ平面部56を形成するのが好ましい。
【0043】
図8は、上記円筒状素材51を複数の斜切素材に分割する工程を説明する図である。(A)は正面図、(B)は左側面図である。
上記円筒状素材55は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもった互いに平行な分割面3を形成して上記軸心Cの方向において複数の斜切素材に分割する。この分割する工程は、たとえばノコ盤等を用いて行うことができる。
【0044】
図9は、上記分割する工程によって得られた斜切素材である。(A-1)(A-2)は第1斜切素材11、(B-1)(B-2)は第2斜切素材21、(C-1)(C-2)は中間斜切素材31である。
【0045】
つぎに、上記各斜切素材の軸穴4にキー溝58を形成する。上記キー溝58は、上記シャフト5に設けた図示しないキー溝と合致させた空間に、図示しないキーを嵌合させてシャフト5の回転動力を各斜切素材に伝達する。
【0046】
〔第1斜切素材11〕
図9において、(A-1)は上記第1斜切素材11の正面図、(A-2)は左側面図である。
【0047】
上記第1斜切素材11は、後述する加工により、上述した第1斜切部材10になるものである。上記第1斜切素材11の軸穴4の内面に、キー溝58を形成する。上記キー溝58は、上記軸心Cに沿って延びるように形成される。加工の際には、上述した加工用マーク55によって上記キー溝58の位置を決定する。この例では、上記キー溝58が、上記軸心Cおよび加工用マーク55と同一線上に配置されるよう、位置が決定されている。
【0048】
上記第1斜切素材11は、第1の端部側(図示の左側)の側面が、上記軸心Cに対して垂直な第1の端面1Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第2の分割面3Bである。
【0049】
〔第2斜切素材21〕
図9において、(B-1)は上記第2斜切素材21の正面図、(B-2)は左側面図である。
【0050】
上記第2斜切素材21は、後述する加工により、上述した第2斜切部材20になるものである。上記第2斜切素材21の軸穴4の内面に、上記第1斜切素材11と同様に、キー溝58を形成する。
【0051】
上記第2斜切素材21は、第1の端部側(図示の左側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第1の分割面3Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して垂直な第2の端面1Bである。
【0052】
〔中間斜切素材31〕
図9において、(C-1)は上記中間斜切素材31の正面図、(C-2)は左側面図である。
【0053】
上記中間斜切素材31は、後述する加工により、上述した中間斜切部材30になるものである。上記中間斜切素材21の軸穴4の内面に、上記第1斜切素材11や第2斜切素材21と同様に、キー溝58を形成する。
【0054】
上記中間斜切素材31は、第1の端部側(図示の左側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第1の分割面3Aである。第2の端部側(図示の右側)の側面は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもって傾斜した第2の分割面3Bである。
【0055】
図10は、上記各斜切素材に切断刃2を設けて斜切部材とする工程を説明する図である。(A-1)(A-2)は第1斜切部材10、(B-1)(B-2)は第2斜切部材20、(C-1)(C-2)は中間斜切部材30である。
【0056】
この工程では、上記各斜切素材の外周面に、上記軸心Cに対して第1の傾斜角度αをもって配置される複数の切断刃2を、周方向において一定間隔で設けて斜切部材を形成する。
【0057】
図10において、(A-1)は上記第1斜切部材10の正面図、(A-2)は右側面図である。この工程では、上記第1斜切素材11の外周面に、上述した切断刃2を形成して図示の第1斜切部材10とする。
【0058】
図10において、(B-1)は上記第2斜切部材20の正面図、(B-2)は右側面図である。この工程では、上記第2斜切素材21の外周面に、上述した切断刃2を形成して図示の第2斜切部材20とする。
【0059】
図10において、(C-1)は上記中間斜切部材30の正面図、(C-2)は右側面図である。この工程では、上記中間斜切素材31の外周面に、上述した切断刃2を形成し、図示の中間斜切部材30とする。
【0060】
図11は、刃先チップ40の取付座41を形成する工程を説明する図である。図では中間斜切部材30を示して説明したが、第1斜切部材10、第2斜切部材20でも同様である。
上記取付座41は、各切断刃2の回転方向(図の矢印)の前面部分に切欠き加工を行うことにより形成する。
【0061】
図12は、刃先チップ40の取付けと研磨の工程を説明する図である。(A)は取付け工程、(B)は研磨工程である。図では中間斜切部材30を示して説明したが、第1斜切部材10、第2斜切部材20でも同様である。
図12(A)に示すように、上記各切断刃2の取付座41に対し、それぞれ刃先チップ40を取付ける。この取付けは、たとえばロウ付けによって行うことができる。
図12(B)に示すように、取り付けた刃先チップ40の両面を、第1の分割面3Aおよび第2の分割面3Bと面一になるよう研磨する。同様に、第1斜切部材10の場合は、第1の端面1Aおよび第2の分割面3Bと面一になるよう、刃先チップ40を研磨する。第2斜切部材20の場合は、第2の端面1Bおよび第1の分割面3Aと面一になるよう、刃先チップ40を研磨する。
【0062】
そののち、上記刃先チップ40を、たとえば図5に示す形状に研磨仕上げすることができる。
【0063】
そして、上記各斜切部材を上記軸心C方向に並べて組み付ける工程を行う。これにより、上記軸心Cを有する円筒状本体1の外周面において、上記各切断刃2の刃先線2Aが上記軸心Cに対して上記第1の傾斜角度αをもって配置されるようにする(図1参照)。
【0064】
上記実施形態は、つぎの作用効果を奏する。
【0065】
本実施形態の回転刃100は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランド101を固定刃102と回転刃100でせん断してペレット103にするための上記回転刃100である。上記回転刃100は、軸心Cを有する円筒状本体1の外周面に、長手方向に存在する複数の切断刃2が周方向において一定間隔で設けられている。上記各切断刃2の刃先線2Aは、上記軸心Cに対して第1の傾斜角度αをもって配置されている。そして、上記円筒状本体1は、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもった互いに平行な分割面3を介し、上記軸心Cの方向において複数の斜切部材に分割されている。
このため、複数に分割された斜切部材ごとに切刃を形成することができるため、比較的低コストで高精度な回転刃100を提供することができる。
【0066】
本実施形態の回転刃100は、上記各切断刃2は、それぞれの刃先線2Aに沿うように配置される刃先チップ40が取り付けられている。
このため、複数に分割された斜切部材ごとに刃先チップ40を取り付けて切刃を形成することができ、比較的低コストで高精度な回転刃100を提供することができる。
【0067】
本実施形態の回転刃100は、上記複数の斜切部材は、第1の端部に配置される第1斜切部材10、第2の端部に配置される第2斜切部材20、上記第1斜切部材10と第2斜切部材20のあいだに配置される1以上の中間斜切部材30の少なくとも3種類を備えて構成されている。
このため、中間斜切部材30の数を増減させることにより、容易に回転刃100の全長を変更し、多様な仕様に対応することができる。
【0068】
本実施形態の回転刃100は、上記中間斜切部材30が複数であり、上記複数の中間斜切部材30が上記軸心C方向の寸法が互いに等しくなるよう設定されている。
このため、中間斜切部材30の数を増減させることにより、容易に回転刃100の全長を変更し、多様な仕様に対応することができる。
【0069】
本実施形態の回転刃100は、上記中間斜切部材30が、上記軸心Cを中心として回転したときに、対向する第1の分割面3Aと第2の分割面3Bの回転軌跡が、互いに重ならないように構成されている。
上記回転刃100の周方向には、各斜切部材同士の継ぎ目が多数並んでいる。上記継ぎ目は切れ味が低下しやすく、周方向に多数の継ぎ目があると、上記回転刃100が軸心Cを中心として回転したときに、おなじ場所に切断不良が生じやすく、ペレットの品質に悪影響するおそれがある。本発明では、上記回転刃100が軸心Cを中心として回転したときに、上記各継ぎ目の回転軌跡が重ならないため、ペレットの品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0070】
本実施形態の回転刃の製造方法は、ペレット材料が長尺状に成形されたストランド101を固定刃102と回転刃100でせん断してペレット103にするための上記回転刃100の製造方法である。まず、円筒状素材51に対し、外周において軸心C方向に延びる加工用マーク55と上記軸心C方向に貫通する軸穴4を形成する。ついで、上記円筒状素材51を、上記軸心Cに対して第2の傾斜角度βをもった互いに平行な分割面3を形成して上記軸心Cの方向において複数の斜切素材に分割する。つぎに、上記各斜切素材の軸穴4にキー溝58を形成する。さらに、上記各斜切素材の外周面に、上記軸心Cに対して第1の傾斜角度αをもって配置される複数の切断刃2を、周方向において一定間隔で設けて斜切部材を形成する。そののち、上記各斜切部材を上記軸心C方向に並べて組み付けることにより、上記軸心Cを有する円筒状本体1の外周面において、上記各切断刃2の刃先線2Aが上記軸心Cに対して上記第1の傾斜角度αをもって配置されるようにする。
このようにして得られた回転刃100は、複数に分割された斜切部材ごとに切刃を形成することができるため、比較的低コストで高精度な回転刃を提供することができる。
【0071】
〔変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明した。しかし本発明は、図示した実施形態に限定する趣旨ではない。本発明は各種の態様に変形して実施することができる。つまり本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
たとえば、上記実施形態では、切断刃2に刃先チップ40を使用したが、刃先チップ40を使用しない切断刃2(いわゆる総刃)とすることも可能である。
また、中間斜切部材30の軸心C方向の寸法は、等しくないものも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0072】
C:軸心
1:円筒状本体
1A:第1の端面
1B:第2の端面
2:切断刃
2A:刃先線
3:分割面
3A:第1の分割面
3B:第2の分割面
4:軸穴
5:シャフト
6:締付フランジ
10:第1斜切部材
11:第1斜切素材
20:第2斜切部材
21:第2斜切素材
30:中間斜切部材
31:中間斜切素材
40:刃先チップ
41:取付座
51:円筒状素材
55:加工用マーク
56:平面部
58:キー溝
100:回転刃
101:ストランド
102:固定刃
103:ペレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13