(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061535
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20220412BHJP
B65H 29/38 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
G07D11/12
B65H29/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169497
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 拓郎
【テーマコード(参考)】
3E040
3E141
3F106
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040BA09
3E040CA04
3E040CA05
3E040FC03
3E040FC04
3E040FC11
3E040FL01
3E141AA01
3E141BA09
3E141CA04
3E141CA05
3E141FC03
3E141FC04
3E141FC11
3E141FL01
3F106CA05
3F106CA13
3F106CA15
3F106CA22
3F106CA28
3F106LA08
3F106LB04
(57)【要約】
【課題】媒体処理装置に、外部カセットを取り付けやすくする。
【解決手段】媒体処理装置(紙幣処理装置1)は、外部カセット36と、外部カセットが脱着可能にマウントされるマウンター91と、を備える。マウンターは、外部カセットをマウントできるマウント状態と、前記外部カセットをマウントできない非マウント状態とに切り替わるよう構成され、マウンターは、マウント状態及び非マウント状態の両方において、媒体処理装置の外に露出している。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収納する外部カセットと、
媒体処理装置の外面に取り付けられ、前記外部カセットが脱着可能にマウントされるマウンターと、を備え、
前記マウンターは、前記外部カセットをマウントできるマウント状態と、前記外部カセットをマウントできない非マウント状態とに切り替わるよう構成され、
前記マウンターは、前記マウント状態及び前記非マウント状態の両方において、前記媒体処理装置の外に露出している
媒体処理装置。
【請求項2】
前記マウンターは、操作者が、操作箇所に対して、引く、押す、回転させるの内の、少なくとも一の操作を行うことによって、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わるよう構成されている
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体処理装置の内部には、複数の内部カセットが並び方向に直線状に並んで配置され、
前記マウンターは、前記並び方向に往復移動することによって、前記マウント状態と前記非マウント状態とに切り替わる
請求項1又は2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記内部カセットは、前記媒体処理装置の内部に配置された第2マウンターに、脱着可能にマウントされ、
前記外部カセットは、前記第2マウンターにマウント可能に構成されている
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記マウンターは、水平方向に延びる軸線を中心に揺動することによって、前記マウント状態と前記非マウント状態とに切り替わる
請求項1~4のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記マウンターは、前記外部カセットがマウントされる空間を形成するスライダーを有し、
前記マウンターは、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わる際に前記スライダーがスライドすることによって、前記マウント状態における前記空間の体積が、前記非マウント状態における前記空間の体積よりも大きくなるように構成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記スライダーは、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わる際に、その上端部のスライド量と、その下端部のスライド量とが実質的に等しくなるように構成されている
請求項6に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記マウンターは、前記スライダーに接続される本体部を有し、
前記本体部は、水平方向に延びる軸線を中心に揺動すると共に、前記本体部に対してスライド可能に前記スライダーを支持するように、前記媒体処理装置に対して支持されている
請求項6又は7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記マウンターは、前記本体部と前記スライダーとを連結し、前記本体部の動きを前記スライダーへ伝える連結機構をさらに有し、
前記連結機構は、前記本体部が、前記媒体処理装置から離れる方向に移動すると、前記スライダーを前記媒体処理装置から離れる方向へスライドさせるよう構成されている
請求項8に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記本体部は、前記外部カセットの第1側部を支持し、前記スライダーは、前記外部カセットにおける前記第1側部とは反対側の第2側部を支持し、
前記連結機構は、前記スライダーに連結され、水平方向に延びる第1軸線を中心に揺動することによって、前記スライダーをスライドさせるアームを有し、
前記本体部は、前記第1軸線に平行な第2軸線を中心に揺動するよう構成されている
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記マウンターは、前記非マウント状態から切り替わった前記マウント状態において前記外部カセットがマウントされた後、前記本体部が移動することによって、前記マウント状態から、前記外部カセットが前記媒体処理装置に接続されるセット状態へと移行するよう構成されている
請求項8~10のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
前記マウンターは、前記外部カセットがマウントされている状態においてオンになる第1検知部と、前記マウンターがセット状態である場合においてオンになる第2検知部とを有し、
前記媒体処理装置は、前記第1検知部及び前記第2検知部が共にオンである場合に、前記外部カセットを用いた処理を実行する
請求項11に記載の媒体処理装置。
【請求項13】
前記マウンターは、前記外部カセットの少なくとも一部を覆うカバーを有している
請求項1~12のいずれか1項に記載の媒体処理装置。
【請求項14】
前記カバーは、前記マウンターにマウントされた前記外部カセットの下部を覆い、
前記カバーの上端は、前記外部カセットの上端よりも低い
請求項13に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現金処理装置が記載されている。現金処理装置は、処理部と金庫部とを備えている。金庫部内には、収納ユニットが配設されている。収納ユニットは現金を収納する。
【0003】
金庫部は扉を有している。扉の外側には、取付ユニットとカバーとが設けられている。取付ユニットは、外部カセットを取り付けるためのユニットである。取付ユニットに取り付けられた外部カセットは、搬送ユニットを介して、処理部内に設けられた搬送路に接続される。カバーは、扉及び取付ユニットを覆う。カバーは、現金処理装置の美観を高めると共に、セキュリティを高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の現金処理装置において、取付ユニットは折りたたまれてカバーの内側に設けられている。外部カセットを現金処理装置に取り付けようとすると、操作者は先ず、カバーを開け、折りたたまれた取付ユニットを展開し、外部カセットを取付ユニットに取り付けた後、外部カセットを、搬送ユニットに接続する操作を行わなければならない。操作者の作業が繁雑である。
【0006】
ここに開示する技術は、媒体処理装置に、外部カセットを取り付けやすくする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、媒体処理装置に係る。この媒体処理装置は、
媒体を収納する外部カセットと、
媒体処理装置の外面に取り付けられ、前記外部カセットが脱着可能にマウントされるマウンターと、を備え、
前記マウンターは、前記外部カセットをマウントできるマウント状態と、前記外部カセットをマウントできない非マウント状態とに切り替わるよう構成され、
前記マウンターは、前記マウント状態及び前記非マウント状態の両方において、前記媒体処理装置の外に露出している。
【0008】
操作者は、媒体処理装置の外に露出しているマウンターを非マウント状態からマウント状態へ切り替えれば、外部カセットをマウンターにマウントできる。外部カセットの取り付け操作は、簡略である。
【0009】
前記マウンターは、操作者が、操作箇所に対して、引く、押す、回転させるの内の、少なくとも一の操作を行うことによって、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わるよう構成されている、としてもよい。
【0010】
操作者は、操作箇所の操作をしやすい。
【0011】
前記媒体処理装置の内部には、複数の内部カセットが並び方向に直線状に並んで配置され、
前記マウンターは、前記並び方向に往復移動することによって、前記マウント状態と前記非マウント状態とに切り替わる、としてもよい。
【0012】
前記内部カセットは、前記媒体処理装置の内部に配置された第2マウンターに、脱着可能にマウントされ、
前記外部カセットは、前記第2マウンターにマウント可能に構成されている、としてもよい。
【0013】
外部カセットは、内部カセットとして流用できる。
【0014】
前記マウンターは、水平方向に延びる軸線を中心に揺動することによって、前記マウント状態と前記非マウント状態とに切り替わる、としてもよい。
【0015】
前記マウンターは、前記外部カセットがマウントされる空間を形成するスライダーを有し、
前記マウンターは、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わる際に前記スライダーがスライドすることによって、前記マウント状態における前記空間の体積が、前記非マウント状態における前記空間の体積よりも大きくなるように構成されている、としてもよい。
【0016】
マウンターは、外部カセットの非取付状態時には、取付状態時よりも小型にできる。外部カセットの非取付状態において、媒体処理装置はコンパクトである。
【0017】
前記スライダーは、前記非マウント状態から前記マウント状態へ切り替わる際に、その上端部のスライド量と、その下端部のスライド量とが実質的に等しくなるように構成されている、としてもよい。
【0018】
前記マウンターは、前記スライダーに接続される本体部を有し、
前記本体部は、水平方向に延びる軸線を中心に揺動すると共に、前記本体部に対してスライド可能に前記スライダーを支持するように、前記媒体処理装置に対して支持されている、としてもよい。
【0019】
マウンターは、外部カセットをマウント可能なスペースが形成されるように、大きく変形する。
【0020】
前記マウンターは、前記本体部と前記スライダーとを連結し、前記本体部の動きを前記スライダーへ伝える連結機構をさらに有し、
前記連結機構は、前記本体部が、前記媒体処理装置から離れる方向に移動すると、前記スライダーを前記媒体処理装置から離れる方向へスライドさせるよう構成されている、としてもよい。
【0021】
本体部とスライダーとが連動するため、外部カセットをマウントする操作が簡略である。
【0022】
前記本体部は、前記外部カセットの第1側部を支持し、前記スライダーは、前記外部カセットにおける前記第1側部とは反対側の第2側部を支持し、
前記連結機構は、前記スライダーに連結され、水平方向に延びる第1軸線を中心に揺動することによって、前記スライダーをスライドさせるアームを有し、
前記本体部は、前記第1軸線に平行な第2軸線を中心に揺動するよう構成されている、としてもよい。
【0023】
前記マウンターは、前記非マウント状態から切り替わった前記マウント状態において前記外部カセットがマウントされた後、前記本体部が移動することによって、前記マウント状態から、前記外部カセットが前記媒体処理装置に接続されるセット状態へと移行するよう構成されている、としてもよい。
【0024】
操作者は、外部カセットを、スムースな操作によって、媒体処理装置に接続できる。
【0025】
前記マウンターは、前記外部カセットがマウントされている状態においてオンになる第1検知部と、前記マウンターがセット状態である場合においてオンになる第2検知部とを有し、
前記媒体処理装置は、前記第1検知部及び前記第2検知部が共にオンである場合に、前記外部カセットを用いた処理を実行する、としてもよい。
【0026】
媒体処理装置の誤作動が抑制される。また、外部カセットがマウントされないと、媒体処理装置は処理を行わないため、安全性が高い。
【0027】
前記マウンターは、前記外部カセットの少なくとも一部を覆うカバーを有している、としてもよい。
【0028】
カバーは、マウンターにマウントした外部カセットを保護できる。
【0029】
前記カバーは、前記マウンターにマウントされた前記外部カセットの下部を覆い、
前記カバーの上端は、前記外部カセットの上端よりも低い、としてもよい。
【0030】
マウンターにマウントした外部カセットの一部は、外部に露出する。外部カセットの取り付けを忘れること、及び、取り外しを忘れること、が抑制される。
【発明の効果】
【0031】
前記の媒体処理装置は、外部カセットを取り付けやすい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、紙幣処理装置の外観を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、紙幣処理装置の内部構造を例示する図である。
【
図3】
図3は、紙幣処理装置の構成を例示するブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、外部カセットを使用した補充処理時における、紙幣の搬送経路を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、外部カセットを使用した回収処理時における、紙幣の搬送経路を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する過程の途中を示す
図1対応図である。
【
図6B】
図6Bは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する過程の途中を示す
図1対応図である。
【
図6C】
図6Cは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する過程の途中を示す
図1対応図である。
【
図6D】
図6Dは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する過程の途中を示す
図1対応図である。
【
図7】
図7は、装着ユニットを回動させた退避状態を示す
図1対応図である。
【
図9】
図9は、装着ユニットに内蔵されているリンク機構を例示する図である。
【
図10A】
図10Aは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する際のリンク機構の動きを示す遷移図である。
【
図10B】
図10Bは、装着ユニットが格納状態と展開状態との間で変化する際のリンク機構の動きを示す遷移図である。
【
図11】
図11は、マウンターを変形させるリンク機構の変形例である。
【
図12】
図12は、マウンターを変形させるリンク機構の別の変形例である。
【
図13】
図13は、シャッターの開閉機構を例示する図である。
【
図15】
図15は、第1搬送ユニットと第2搬送ユニットとの接続構造を示す図である
【
図16】
図16は、外部カセットの駆動に関するインターロックを例示する図である。
【
図17】
図17は、装着ユニットと扉との干渉構造を例示する斜視図である。
【
図18】
図18は、扉のハンドルと第1干渉部との関係を説明する図である。
【
図20】
図20は、第1干渉部及び第2干渉部による、ユニットと扉との干渉状態を説明する図である。
【
図21】
図21は、一時保留部の配設位置に関する紙幣処理装置の変形例を示す図である。
【
図22】
図22は、装着ユニットを備えない紙幣処理装置の変形例を示す図である。
【
図23】
図23は、装着ユニットを備えない紙幣処理装置の外観を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、媒体処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する媒体処理装置は例示である。
図1は、媒体処理装置の一例である紙幣処理装置1の外観を示している。紙幣処理装置1は、媒体としての紙幣の処理を行う。より詳細に、紙幣処理装置1は、バラ紙幣を処理する。紙幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関に設置される。紙幣処理装置1は、例えば銀行のテラーカウンターに設置される。紙幣処理装置1は、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する。
【0034】
紙幣処理装置1は、概略的には、前後方向に細長い形状を有している。紙幣処理装置1の前は、後述する入金口211及び出金口221が形成されている部位を指す。紙幣処理装置1の後は、入金口211及び出金口221が形成されている部位とは逆の部位を指す。
【0035】
紙幣処理装置1は、二人のテラーが共用で使用できる。図示は省略するが、二人のテラーは、紙幣処理装置1を挟んだ左右の両側に位置する。尚、紙幣処理装置1の左右方向は、前後方向に直交する方向である。左及び右は、紙幣処理装置1の前面に正対した向きを基準とする。
【0036】
紙幣処理装置1は、金融機関に設置する以外に、例えば小売店舗のバックオフィス等に設置することができる。
【0037】
(紙幣処理装置の全体構成)
図2は、紙幣処理装置1の内部の構造を示している。
図3は、紙幣処理装置1の構成を示すブロック図である。紙幣処理装置1は、上部の処理部11と、下部の金庫部13とを有している。
【0038】
処理部11は、上部筐体111によって構成されている。上部筐体111の中には、入金部21、出金部22、第1搬送ユニット23、一時保留部24、識別部25、及び、上側搬送部41が配設されている。上側搬送部41は、搬送部4の一部である。
【0039】
金庫部13は、金庫筐体131によって構成されている。金庫筐体131の中には、複数の収納装置31~35、下側搬送部42及び第2下側搬送部43が配設されている。下側搬送部42及び第2下側搬送部43は、搬送部4の一部である。金庫筐体131は、収納装置31~35を、所定以上のセキュリティレベルで防護する。金庫筐体131のセキュリティレベルは上部筐体111よりも高い。金庫部13は、内部収納部である収納装置31~35が、その内部に配置された第2ユニットの一例である。
図2では、収納装置31~35がカセットの例を示している。
【0040】
金庫筐体131は、その前部に扉1310を有している(
図7参照)。図示は省略するが、扉1310が開くと、操作者は、収納装置31~35、下側搬送部42及び第2下側搬送部43を、金庫筐体131から前方へ引き出すことができる。扉1310には、電子錠1320が設けられている。操作者は、電子錠1320を解錠することにより、扉1310を開けることができる。
【0041】
紙幣処理装置1は、外部カセット36を使用可能に構成されている。紙幣処理装置1は、装着ユニット9を備えている。外部カセット36は、装着ユニット9に脱着可能に装着される。装着ユニット9は、第3ユニットの一例である。装着ユニット9の構造は、後で詳述する。
【0042】
入金部21は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣が投入される部分である。入金部21は、入金口211を有している。入金口211は、上部筐体111の前部において、上向きに開口している。操作者は、入金口211を通じて、入金部21に、紙幣を手で投入する。入金部21は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持できる。入金部21は、紙幣を一枚ずつ紙幣処理装置1内に取り込む機構を有している。
【0043】
出金部22は、例えば出金処理の際に、収納装置から繰り出された紙幣が搬送される部分である。出金部22は、複数枚の紙幣を、重ねた状態で保持できる。出金部22は、出金口221を有している。出金口221は、入金口211よりも前の位置において、上向きに開口している。操作者は、出金部22に集積されている紙幣を、出金口221を通じて手で取り出すことができる。尚、出金口221に、開閉するシャッターを設けてもよい。
【0044】
第1搬送ユニット23は、紙幣の搬送を行う。第1搬送ユニット23は、上部筐体111内の前部に配設されている。第1搬送ユニット23には、装着ユニット9が接続される。処理部11は、接続口231を有している。接続口231は、上部筐体111の前部において前向きに開口している。接続口231には、第1搬送ユニット23の第1係合部232が配設されている。第1搬送ユニット23は、シャッター70を有している。シャッター70は接続口231を開閉する。
図1は、シャッター70が開いている状態を示している。シャッター70が開くと、後述する装着ユニット9の第2係合部923(
図7及び
図15参照)が、接続口231を介して、第1係合部232に係合できる。第1搬送ユニット23と装着ユニット9とが互いに接続される。
【0045】
図2に太い実線で示すように、第1搬送ユニット23は、搬送路を有している。搬送路は、装着ユニット9と、後述する第4搬送路414とをつなぐ。後述するように、装着ユニット9から搬送されてきた紙幣は、第1搬送ユニット23の搬送路に沿って、第4搬送路414へ向かって搬送される。また、第4搬送路414から搬送されてきた紙幣は、第1搬送ユニット23の搬送路に沿って、装着ユニット9へ向かって搬送される。
【0046】
一時保留部24は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣を一時的に収納できる。一時保留部24はまた、例えば補充処理又は回収処理の際に、正常紙幣と判断されなかった紙幣を、一時的に収納できる。一時保留部24は、収納した紙幣を繰り出すことができる。一時保留部24は、上部筐体111の中における、前方位置に配設されている。一時保留部24は、第1搬送ユニット23の下に配設されている。一時保留部24は、テープ式の収納ユニットである。一時保留部24は、紙幣を、テープと共にドラムに巻き付けることによって、紙幣を収納する。テープ式の収納ユニットは、紙幣の収納時及び紙幣の繰出時において、紙幣の順番が入れ替わらないという利点を有している。また、テープ式の収納ユニットは、様々なサイズの紙幣を、混合状態で収納することができる、という利点も有している。一時保留部24は、テープ式の収納ユニットの、公知の構成を採用できる。
【0047】
識別部25は、後述する第1搬送路411に配設されている。識別部25は、第1搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、少なくとも、真偽、金種及び正損を識別できる。識別部25はまた、紙幣の記番号を取得できる。
【0048】
処理部11は、紙幣を搬送路に沿って搬送する搬送部4と、搬送部4によって搬送される識別を識別する識別部25とが配置され、搬送路への接続口231が外面に設けられた第1ユニットの一例である。
【0049】
紙幣処理装置1は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、及び、第5収納装置35を有している。第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、及び、第5収納装置35は、金庫筐体131の中において、前後方向である並び方向に、直線状に並んでいる。
【0050】
金庫筐体131には、装着部1311~1315が設けられている。第1装着部1311、第2装着部1312、第3装着部1313、第4装着部1314、及び、第5装着部1315はそれぞれ、金庫筐体131の内部において、装置の後から前に向かって順に設けられている。各収納装置31~35は、同じ外形寸法を有している。各収納装置31~35は、装着部1311~1315のそれぞれに、脱着可能に装着できる。
【0051】
第1~第3、及び第5収納装置31~33、35は、同じ構成を有している。これらの収納装置31~33、35はそれぞれ、詳細な図示は省略するが、スタック式の収納装置である。スタック式の収納装置は、紙幣を重ねて収納する。第1~第3、及び第5収納装置31~33、35はそれぞれ、一つの収納部を有している。第1~第3、及び第5収納装置31~33、35はそれぞれ、その上端に出入口を有している。出入口には、後述する搬送路又分岐路が接続される。第1~第3及び第5収納装置31~33、35はまた、図示は省略するが、搬送機構を有している。搬送機構は、出入口を通じて収納装置の外から中へ紙幣を投入して、収納部内に紙幣を収納する。搬送機構はまた、収納部に収納している紙幣を、出入口を通じて収納装置の中から外へ投出する。
【0052】
第4収納装置34は、上側収納部51と下側収納部52との二つの収納部を有している。上側収納部51は、上側に設けられている。下側収納部52は、上側収納部51の下に設けられている。上側収納部51と下側収納部52とは互いに独立している。第4収納装置34の上端面と側面とのそれぞれには、出入口が設けられている。上端面の出入口は、上側収納部51用の出入口である。側面の出入口は、下側収納部52用の出入口である。第4収納装置34は、上側収納部51用の第1搬送機構と、下側収納部52用の第2搬送機構とを有している。第4収納装置34は、上側収納部51に紙幣を収納しかつ、上側収納部51から紙幣を繰り出すと共に、下側収納部52に紙幣を収納しかつ、下側収納部52から紙幣を繰り出すことができる。
【0053】
第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び、第4収納装置34はそれぞれ、異なる金種の紙幣を収納できる。第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び、第4収納装置34はそれぞれ、出金対象の紙幣を収納してもよい。第5収納装置35は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び、第4収納装置34に収納しない紙幣を収納する。第5収納装置35は、出金対象の紙幣を収納しないとしてもよい。第5収納装置35はまた、紙幣処理装置1から回収する紙幣を収納してもよい。
【0054】
搬送部4は、紙幣処理装置1内で、紙幣と紙幣との間に間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ搬送する。搬送部4は搬送路を有している。搬送路は、図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部4は、例えば紙幣の長辺の縁を前にして、紙幣を搬送する。搬送部4は、紙幣の短辺の縁を前にして、紙幣を搬送してもよい。
【0055】
搬送部4は、上側搬送部41と、下側搬送部42と、第2下側搬送部43と、を有している。上側搬送部41は、前述したように、上部筐体111内に配設されている。下側搬送部42及び第2下側搬送部43は、金庫筐体131内に配設されている。尚、金庫筐体131を形成する上壁には、三つの搬送路が、上下方向に貫通して形成されている。三つの搬送路はそれぞれ、上側搬送部41と下側搬送部42とを接続する。
【0056】
上側搬送部41は、第1搬送路411、第2搬送路412、第3搬送路413、第4搬送路414、第5搬送路415、第6搬送路416、第7搬送路417、及び、第8搬送路418を有している。
【0057】
第1搬送路411は、ループ状に構成されている。より詳細に、第1搬送路411は、前後方向に伸びる上側路4111と、上側路4111に略並列な下側路4112と、前側において上側路4111と下側路4112とをつなぐ前湾曲部4113と、後側において上側路4111と下側路4112とをつなぐ後湾曲部4114と、を有している。識別部25は、上側路4111に配設されている。
【0058】
紙幣は、第1搬送路411に沿って、
図2における時計回り方向(つまり、正方向)及び反時計回り方向(つまり、逆方向)のそれぞれに搬送される。紙幣は、第1搬送路411に沿って循環搬送される。
【0059】
第2搬送路412は、入金部21と第1搬送路411の上側路4111とを互いにつなぐ。紙幣は、第2搬送路412に沿って、入金部21から第1搬送路411へ向かって搬送される。
【0060】
第3搬送路413は、出金部22と第1搬送路411の前湾曲部4113とを互いにつなぐ。紙幣は、第3搬送路413に沿って、第1搬送路411から出金部22へ向かって搬送される。第3搬送路413と前湾曲部4113との接続箇所には、図示は省略するが、紙幣の搬送先を変える分岐部が設けられている。
【0061】
第4搬送路414は、第1搬送ユニット23と第3搬送路413の途中箇所とを互いにつなぐ。紙幣は、第4搬送路414に沿って、第3搬送路413から第1搬送ユニット23へ向かって、又は、第1搬送ユニット23から第3搬送路413へ向かって搬送される。第4搬送路414と第3搬送路413との接続箇所には、図示は省略するが、分岐部が設けられている。
【0062】
第5搬送路415は、一時保留部24と第1搬送路411の前湾曲部4113とを互いにつなぐ。紙幣は、第5搬送路415に沿って、第1搬送路411から一時保留部24へ向かって、又は、一時保留部24から第1搬送路411へ向かって搬送される。第5搬送路415と前湾曲部4113との接続箇所には、図示を省略する分岐部が設けられている。
【0063】
第6搬送路416は、下側搬送部42と第1搬送路411の前湾曲部4113とを互いにつなぐ。紙幣は、第6搬送路416に沿って、第1搬送路411から下側搬送部42へ向かって、又は、下側搬送部42から第1搬送路411へ向かって搬送される。第6搬送路416と前湾曲部4113との接続箇所には、図示を省略する分岐部が設けられている。
【0064】
第7搬送路417も、第6搬送路416と同様に、下側搬送部42と第1搬送路411の前湾曲部4113とを互いにつなぐ。紙幣は、第7搬送路417に沿って、第1搬送路411から下側搬送部42へ向かって、又は、下側搬送部42から第1搬送路411へ向かって搬送される。第7搬送路417と前湾曲部4113との接続箇所には、図示を省略する分岐部が設けられている。
【0065】
第8搬送路418は、下側搬送部42と第1搬送路411の下側路4112とを互いにつなぐ。紙幣は、第8搬送路418に沿って、第1搬送路411から下側搬送部42へ向かって、又は、下側搬送部42から第1搬送路411へ向かって搬送される。第8搬送路418と下側路4112との接続箇所には、図示を省略する分岐部が設けられている。
【0066】
下側搬送部42は、第1~第5収納装置31~35の上方に配設されている。下側搬送部42は、前後方向に広がっている。下側搬送部42は、第9搬送路421、第10搬送路422及び第11搬送路423を有している。下側搬送部42は、第9搬送路421、第10搬送路422及び第11搬送路423を含んでユニット化されている。
【0067】
第9搬送路421は、第5収納装置35と、第6搬送路416とを互いにつなぐ。紙幣は、第9搬送路421に沿って、第6搬送路416から第5収納装置35へ向かって、又は、第5収納装置35から第6搬送路416へ向かって搬送される。
【0068】
第10搬送路422は、第2下側搬送部43と、第7搬送路417とを互いにつなぐ。紙幣は、第10搬送路422に沿って、第7搬送路417から第2下側搬送部43へ向かって、又は、第2下側搬送部43から第7搬送路417へ向かって搬送される。
【0069】
第11搬送路423は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、及び、第4収納装置34の上側収納部51それぞれと、第8搬送路418とを互いにつなぐ。紙幣は、第11搬送路423に沿って、第8搬送路418から各収納装置31~34へ向かって、又は、各収納装置31~34から第8搬送路418へ向かって搬送される。より詳細に、第11搬送路423は、前後方向に伸びている。第11搬送路423の端は、第1収納装置31に接続されている。第11搬送路423は、三つの分岐路424、425、426を含んでいる。分岐路424は、第2収納装置32に接続されている。分岐路425は、第3収納装置33に接続されている。分岐路426は、第4収納装置34の上側収納部51に接続されている。尚、各分岐路424、425、426の分岐箇所には、図示を省略するが、分岐部が配設されている。
【0070】
第2下側搬送部43は、第4収納装置34と第5収納装置35との間に配設されている。第2下側搬送部43は、上下方向に伸びている。第2下側搬送部43は、第12搬送路431を有している。第12搬送路431は、上下方向に伸びている。第12搬送路431は、分岐路432及び分岐路433を含んでいる。分岐路432及び分岐路433の分岐箇所には、図示を省略するが、分岐部が配設されている。分岐路433は、第4収納装置34の下側収納部52に接続されている。紙幣は、第12搬送路431及び分岐路433に沿って、第10搬送路422から第4収納装置34の下側収納部52へ向かって、又は、第4収納装置34の下側収納部52から第10搬送路422へ向かって搬送される。
【0071】
尚、
図2の紙幣処理装置1における収納装置の構成は一例である。金庫筐体131内に収容する収納装置の数、及び、配置、並びに、各収納装置の構造は、
図2の構成に限定されない。例えば、第4収納装置34は、前記の第1~第3、第5収納装置31~33、35のように、一つの収納部を有する収納装置としてもよい。また、第5収納装置35は、前記の第4収納装置34のように、二つの収納部を有する収納装置としてもよい。二つの収納部の内の下側の収納部には、分岐路432が接続されればよい。
【0072】
第1~第12搬送路411~418、421~426、431~433における各所には、図示は省略するが、紙幣の通過を検知する通過センサ、及び、紙幣の端を検知するタイミングセンサが配設されている。後述するコントローラー15は、通過センサ及びタイミングセンサの検知信号に基づき、搬送部4を通じて各分岐部を制御する。このことにより、紙幣は、所定の搬送先へ搬送される。
【0073】
前述したように、外部カセット36は、装着ユニット9を介して、紙幣処理装置1に接続される。装着ユニット9は、
図2には概略的に示すが、マウンター91と第2搬送ユニット92とを備えている。
【0074】
外部カセット36は、
図6Cに示すように、出入口361を有している。出入口361は、外部カセット36の上端に形成されている。紙幣は、出入口361を通って、外部カセット36の外から中へ入り、また、外部カセット36の中から外へ出る。外部カセット36はまた、携行ハンドル362を有している。携行ハンドル362は、外部カセット36の上端部に、取り付けられている。外部カセット36は、詳細な図示は省略するが、スタック式の収納カセットである。外部カセット36は、その内部に搬送機構を有している。搬送機構は、収納装置の外から中へ紙幣を投入して、収納部内に紙幣を収納する。搬送機構はまた、収納部に収納している紙幣を、収納装置の中から外へ投出する。
【0075】
外部カセット36は、第1~第3、及び第5収納装置31~33、35と、実質的に、同じ構造である。外部カセット36はまた、第1~第5収納装置31~35と同じ外形寸法を有している。外部カセット36は、金庫筐体131内の各装着部1311~1315に、脱着可能に装着できる。外部カセット36は、第1~第3、及び第5収納装置31~33、35に流用できる。
【0076】
外部カセット36は、マウンター91にマウントされる。マウンター91は、外部カセット36を保持する。マウンター91の構成の詳細は、後述する。
【0077】
第2搬送ユニット92は、第1搬送ユニット23の接続口231に接続される。第2搬送ユニット92は、
図2に太い実線で示すように、搬送路を有している。この搬送路は、第1搬送ユニット23の搬送路と外部カセット36とをつなぐ。第2搬送ユニット92は、外部カセット36から繰り出された紙幣を、第1搬送ユニット23へ搬送する。第2搬送ユニット92は、また第1搬送ユニット23から送られてきた紙幣を、外部カセット36へ搬送する。
【0078】
紙幣処理装置1は、
図3に示すように、コントローラー15を備えている。コントローラー15は、CPU(Central Processing Unit)により構成できる。コントローラー15には、入金部21、出金部22、第1搬送ユニット23、一時保留部24、識別部25、搬送部4、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、第5収納装置35、及び、装着ユニット9が、それぞれ信号の授受可能に接続されている。
【0079】
紙幣処理装置1は、操作者が操作をする操作部26、各種のデータ等を記憶する記憶部27、及び、端末機29との間で通信を行うための通信部28を有している。操作部26、記憶部27、及び通信部28も、コントローラー15に信号の授受可能に接続されている。端末機29は、紙幣処理装置1を利用して行う各種の処理の実行のために、操作者(例えばテラー)が操作をする。なお、端末機29は、例えば、紙幣処理装置1の外部に設置され、当該紙幣処理装置1に接続されたPC(personal computer)とすることができる。
【0080】
コントローラー15は、操作者が操作部26を操作したときや、操作者が端末機29を操作したときに、各種の処理が実行されるよう、入金部21、出金部22、第1搬送ユニット23、一時保留部24、識別部25、搬送部4、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、第5収納装置35、及び、装着ユニット9を制御する。以下、紙幣処理装置1が各種の処理を実行する際の動作について説明する。
【0081】
(入金処理)
紙幣処理装置1は、入金処理時に、紙幣を収納装置の中に収納する。操作者は、入金対象の紙幣を、入金部21に投入する。入金部21は、紙幣を一枚一枚、装置内に取り込む。搬送部4は、紙幣を識別部25へ搬送する。識別部25は、紙幣を識別する。搬送部4は、識別部25の識別結果に従って、紙幣を、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、又は、第5収納装置35へ搬送する。収納装置31~35は、紙幣を収納する。尚、搬送部4は、識別部25がリジェクトと識別した紙幣を、例えば出金部22へ搬送する。
【0082】
入金部21に投入された紙幣が全て、紙幣処理装置1内に取り込まれると、例えば端末機29が、入金金額を表示する。操作者が、端末機29を操作することによって、又は、操作部26を操作することによって入金処理が確定すれば、入金処理は終了する。コントローラー15は、収納装置31~35に収納した紙幣に関するデータを、記憶部27に記憶させる。
【0083】
尚、入金処理時に、一時保留部24を利用する場合、搬送部4は、識別部25を通過した紙幣を、一時保留部24へ搬送する。一時保留部24は、紙幣を収納する。入金部21に投入された紙幣が全て紙幣処理装置1内に取り込まれた後、例えば端末機29が入金金額を表示する。操作者は、端末機29を操作することによって、又は、操作部26を操作することによって、入金処理の確定と入金処理のキャンセルとを選択できる。操作者が入金処理を確定した場合、搬送部4は、一時保留部24が繰り出した紙幣を、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、又は、第5収納装置35へ搬送する。収納装置31~35は、紙幣を収納する。操作者が入金処理をキャンセルした場合、搬送部4は、一時保留部24が繰り出した紙幣を、出金部22へ搬送する。入金対象の紙幣が返却される。
【0084】
(出金処理)
紙幣処理装置1は、出金処理時に、紙幣を紙幣処理装置1の外へ投出する。例えば、第1~第4収納装置31~34は、出金対象の紙幣を繰り出す。搬送部4は、紙幣を、識別部25へ搬送する。識別部25は、紙幣の識別を行う。搬送部4は、識別後の紙幣を、出金部22へ搬送する。出金部22は、出金対象の紙幣を保持する。搬送部4は、識別部25がリジェクト紙幣であると識別をした紙幣を、例えば一時保留部24へ搬送する。一時保留部24は、リジェクト紙幣を収納する。出金対象の紙幣が全て、出金部22に出金されれば、出金処理は終了する。コントローラー15は、収納装置31~35から繰り出した紙幣に関するデータを、記憶部27から消去する。尚、一時保留部24は、リジェクト紙幣を繰り出すと共に、搬送部4は、リジェクト紙幣を元の収納装置へ搬送する。
【0085】
(補充処理)
紙幣処理装置1は、補充処理時に、紙幣を収納装置の中に収納する。補充処理は、紙幣処理装置1が、媒体を外から中へ受け入れる受入処理の一例である。紙幣処理装置1は、外部カセット36を利用して、補充処理を実行できる。外部カセット36を利用することによって、操作者は、補充対象の紙幣を手で扱う必要がない。セキュリティが向上する。補充処理は、紙幣処理装置1が設置されている金融機関とは別の機関、例えば警備会社の担当者によって行われる。以下でいう紙幣処理装置1の操作者は、警備会社の担当者である。
【0086】
図4Aは、補充処理時の紙幣の搬送経路を矢印で示している。操作者は、外部カセット36を、装着ユニット9に装着する。外部カセット36は、補充対象の紙幣を収納している。外部カセット36及び装着ユニット9は、外部カセット36に収納されている紙幣を、一枚一枚、装置内に送り込む。搬送部4は、紙幣を識別部25へ搬送する。識別部25は、紙幣を識別する。搬送部4は、識別部25の識別結果に従って、紙幣を、出金対象の紙幣を収納する収納装置、例えば第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、又は、第4収納装置34へ搬送する。収納装置31~34は、紙幣を収納する(
図4Aの実線の矢印参照)。搬送部4は、識別部25がリジェクトと識別した紙幣を、例えば一時保留部24へ搬送する。一時保留部24は、リジェクト紙幣を収納する(
図4Aの破線の矢印参照)。
【0087】
補充対象の紙幣が全て、紙幣処理装置1内に送り込まれると、補充処理は終了する。コントローラー15は、収納装置31~35に収納した紙幣に関するデータを、記憶部27に記憶させる。
【0088】
尚、一時保留部24は、収納しているリジェクト紙幣を繰り出し、搬送部4は、例えば前記と同じ経路に沿って逆方向に、リジェクト紙幣を外部カセット36へ搬送する。
【0089】
尚、識別部25は、リジェクト紙幣を再度識別してもよい。識別部25が再度識別をした結果、正常と判断された紙幣を、搬送部4は、その識別結果に応じて、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、又は、第4収納装置34、へ搬送してもよい。再度識別をした結果、リジェクトと判断された紙幣を、搬送部4は、外部カセット36へ搬送してもよい。尚、一時保留部24から識別部25へ至るリジェクト紙幣の搬送経路は、
図4Aに矢印で示す経路に限定されない。
【0090】
外部カセット36にリジェクト紙幣が収納されれば、警備会社の担当者は、リジェクト紙幣に触れることなく、リジェクト紙幣を持ち帰ることができる。
【0091】
(補充処理に関する変形例)
補充処理時に、リジェクト紙幣は、一時保留部24以外の箇所に搬送されてもよい。
【0092】
第1の変形例として、搬送部4は、リジェクト紙幣を、例えば出金部22へ搬送してもよい。操作者は、出金部22に払い出されたリジェクト紙幣を手で取り出して、管理する。また、紙幣処理装置1が、出金部22に代わる別の集積部を備えている場合、搬送部4は、リジェクト紙幣を、当該集積部へ搬送してもよい。
【0093】
第2の変形例として、出金部22に、紙幣を装置内に取り込むリトラクト機能が設けられている場合、出金部22は、リジェクト紙幣の再識別のために、出金部22に払い出されたリジェクト紙幣を装置内に取り込んでもよい。リジェクト紙幣の中には、例えば斜行や、重送といった搬送異常に起因してリジェクト紙幣と判断された紙幣が含まれる。出金部22は、テープ式の収納部とは違って、払い出された紙幣を重ねた状態で保持する。このため、出金部22から装置内に取り込まれた紙幣は、搬送異常が解消する場合がある。出金部22を利用すると、補充処理時に発生するリジェクト紙幣の数が減ることが期待できる。
【0094】
第3の変形例として、搬送部4は、リジェクト紙幣を、例えば出金対象の紙幣を収納しない収納装置、例えば第5収納装置35へ搬送してもよい。また、空の収納装置があれば、搬送部4は、その空の収納装置へリジェクト紙幣を搬送してもよい。操作者は、リジェクト紙幣を手で取り扱う必要がない。
【0095】
第4の変形例として、図示は省略するが、紙幣処理装置1が、小型カセット(BIN)を脱着可能に取り付けできる構造であれば、搬送部4は、リジェクト紙幣を当該小型カセットへ搬送してもよい。尚、紙幣処理装置1は、補充処理時に、リジェクト紙幣が小型カセットに収納された場合にのみ、例えばロックの解除によって小型カセットを取り外し可能にしてもよい。操作者が小型カセットの取り外しを忘れないように、紙幣処理装置1は、アラートを出してもよい。紙幣処理装置1にはまた、小型カセットの取付箇所にシャッターを設けてもよい。シャッターは、小型カセットの脱着時のみ開き、それ以外は閉じればよい。小型カセットを利用すると、操作者は、リジェクト紙幣を、手で直接触れずに持ち帰ることができる。セキュリティが高まる。
【0096】
また、識別部25がリジェクトであると判断した要因に応じて、搬送部4は、リジェクト紙幣の搬送先を変えてもよい。例えば搬送異常に起因してリジェクト紙幣と判断された紙幣を、搬送部4は、リトラクト機能を有する出金部22へ搬送し、それ以外の要因(例えば金種異常)によりリジェクト紙幣と判断された紙幣を、一時保留部24へ搬送してもよい。前述したように、搬送異常に起因するリジェクト紙幣は、出金部22から装置内に取り込むことによって、搬送異常が解消する可能性がある。搬送異常以外の要因に起因するリジェクト紙幣は、出金部22から装置内に取り込んでも、リジェクト要因が解消する可能性が低いため、一時保留部24へ収納する。
【0097】
また、リジェクト紙幣の搬送先の候補として、予め、「一時保留部」「出金部」「(いずれかの)収納装置」を設定して記憶部27が記憶しておき、搬送部4は、複数の候補の中から選択された搬送先へリジェクト紙幣を搬送してもよい。搬送先の選択は、紙幣処理装置1を設置する際に、初期設定として行ってもよい。また、補充処理を実行する度に、操作者が搬送先の選択を行ってもよい。
【0098】
(回収処理)
紙幣処理装置1は、外部カセット36を利用して、回収処理を実行できる。紙幣処理装置1は、回収処理時に、回収対象の紙幣を外部カセットの中に収納する。外部カセット36を利用することによって、操作者は、回収対象の紙幣を手で扱う必要がない。セキュリティが向上する。回収処理は、例えば警備会社の担当者によって行われる。以下でいう紙幣処理装置1の操作者は、警備会社の担当者である。
【0099】
図4Bは、回収処理時の紙幣の搬送経路を矢印で示している。操作者は、外部カセット36を、装着ユニット9に装着する。回収対象の紙幣を収納している収納装置、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、又は、第5収納装置35は、紙幣を繰り出す。搬送部4は、紙幣を識別部25へ搬送する(
図4Bの実線の矢印参照)。識別部25は、紙幣を識別する。搬送部4は、識別部25が正常と判断した紙幣を、第1搬送ユニット23及び第2搬送ユニット92を介して、外部カセット36へ搬送する。外部カセット36は、紙幣を収納する(
図4Bの実線の矢印参照)。搬送部4は、識別部25がリジェクトと識別した紙幣を、一時保留部24へ搬送する。一時保留部24は、リジェクト紙幣を収納する(
図4Bの破線の矢印参照)。
【0100】
回収対象の紙幣が全て、外部カセット36に収納されると、回収処理は終了する。コントローラー15は、紙幣処理装置1から払い出した紙幣に関するデータを、記憶部27から消去する。
【0101】
尚、一時保留部24は、収納しているリジェクト紙幣を繰り出し、搬送部4は、例えば前記と同じ経路に沿って逆方向に、リジェクト紙幣を収納装置31~35へ搬送する。
【0102】
外部カセット36に回収対象の紙幣が収納されれば、警備会社の担当者は、外部カセット36を、紙幣処理装置1から取り外して持ち帰る。
【0103】
(紙幣処理装置の搬送路の構成)
図5に示すように、識別部25と一時保留部24とは、第1特定搬送路401を介して接続されている。第1特定搬送路401は、第1搬送路411の上側路4111の一部、後湾曲部4114、下側路4112、及び、前湾曲部4113の一部と、を含んで構成されている。補充処理時に、識別部25を、前から後の方向に通過した紙幣は、第1特定搬送路401を介して一時保留部24へ搬送される。
【0104】
外部カセット36は、ループ状の第1搬送路411における上側路4111の一部を含んだ、第2特定搬送路402、及び、第3特定搬送路403を介して、識別部25に接続されている。第2特定搬送路402は、上部筐体111内における第1搬送ユニット23と第4搬送路414と第3搬送路413の一部とを含んで構成されている。第3特定搬送路403は、ループ状の第1搬送路411における前湾曲部4113の一部、及び、上側路4111の一部を含んで構成されている。第2特定搬送路402は、第3特定搬送路403に接続されている。第2特定搬送路402は、第3特定搬送路403を介して識別部25に接続される。補充処理時に、外部カセット36から繰り出された紙幣は、第2特定搬送路402と、第3特定搬送路403とを介して識別部25へ搬送される。
【0105】
外部カセット36は、第1特定搬送路401を介さずに識別部25に接続されている。このため、外部カセット36から識別部25へ搬送される紙幣と、識別部25から一時保留部24へ搬送される紙幣とは、衝突しない。補充処理時には、外部カセット36から繰り出された紙幣は、第2特定搬送路402を通って識別部25へ搬送されかつ、リジェクト紙幣は、識別部25から第1特定搬送路401を通って一時保留部24へ搬送される。上側搬送部41は、識別部25によって識別された紙幣を第1特定搬送路401に沿って一時保留部24へ向かって搬送するタイミングで、外部カセット36から識別部25へ未識別の紙幣を第2特定搬送路402に沿って搬送できる。補充処理時における紙幣の搬送がスムースである。外部カセット36は、紙幣を滞ることなく繰り出すことができ、上側搬送部41は、識別部25が識別をした紙幣を、滞ることなく、一時保留部24へ搬送することができる。
【0106】
また、補充処理時に、上側搬送部41は、外部カセット36から繰り出された紙幣を、第2特定搬送路402を通じて、識別部25へ搬送し、上側搬送部41は、識別部25によって正常と判断された紙幣を、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、又は、第4収納装置34へ搬送する。つまり、上側搬送部41は、識別部25によって識別された紙幣を、識別部25により識別された紙幣の判断結果に基づいて、第1特定搬送路401を通じて、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、第4収納装置34、又は、一時保留部24へ選択的に搬送する。
【0107】
回収処理時に、上側搬送部41は、第1収納装置31、第2収納装置32、第3収納装置33、又は、第4収納装置34から繰り出された紙幣を、第1特定搬送路401を通じて、識別部25へ搬送すると共に、識別部25によって正常と判断された紙幣を、第3特定搬送路403及び第2特定搬送路402を通じて、外部カセット36へ搬送する。
【0108】
回収処理時に、上側搬送部41は、識別部25によって異常と判断された紙幣を、第3特定搬送路403を通じて、一時保留部24へ搬送する。上側搬送部41は、識別部25によって識別された紙幣を、識別部25により識別された紙幣の判断結果に基づいて、第2特定搬送路402及び第3特定搬送路403を通じて、外部カセット36又は一時保留部24へ選択的に搬送する。
【0109】
第1特定搬送路401は、識別部25の後部に接続されている。第3特定搬送路403は、識別部25の前部に接続されている。第1特定搬送路401と第3特定搬送路403とは、識別部25を通過して、紙幣が循環されるループを形成している。第1特定搬送路401と、第3特定搬送路403とは、実質的に水平方向に延びている。上部筐体111内にループ状の搬送路がコンパクトに配置されている。上側搬送部41は、ループを形成する第1特定搬送路401及び第3特定搬送路403を使って、外部カセット36と一時保留部24との間で紙幣をスムースに搬送できる。
【0110】
一時保留部24は、前後方向において、上部筐体111の外に配置された外部カセット36に対し、上部筐体111内において識別部25よりも近い位置に配置されている。つまり、一時保留部24は、上部筐体111内における前部に配置されている。第2特定搬送路402は、一時保留部24を迂回するように、一時保留部24の上側に配置されている。第2特定搬送路402は、一時保留部24を迂回して識別部25に接続されている。このレイアウトによって、第2特定搬送路402を、第1特定搬送路401に接続することなく、識別部25に接続することが可能になる。
【0111】
尚、一時保留部24は、例えば
図21に例示するように、上部筐体111の外に配置された外部カセット36に対し、上部筐体111内において識別部25よりも離れた位置に配置してもよい。つまり、一時保留部24は、上部筐体111内における後部に配置されてもよい。一時保留部24は、後湾曲部4114に対し、搬送路を介して接続してもよい。この構成の紙幣処理装置101も、
図2に示す構成の紙幣処理装置1と同様に、外部カセット36を利用した補充処理及び回収処理のそれぞれにおいて、紙幣をスムースに搬送できる。
【0112】
(装着ユニットの構成)
装着ユニット9は、
図1に示すように、金庫筐体131の前側に設けられている。装着ユニット9は、金庫筐体131の扉1310を覆う。
図8に示すように、装着ユニット9は、上部筐体111の前面よりも、ΔYだけ前方に突出している。また、装着ユニット9の高さは、金庫筐体131の高さHを超えない。
【0113】
装着ユニット9は、マウンター91と、第2搬送ユニット92と、支持部93とを有している。マウンター91は、装着ユニット9における下部に位置し、第2搬送ユニット92は、マウンター91の上に位置している。支持部93は、マウンター91及び第2搬送ユニット92を間に挟んだ左右の両側に配置されている。支持部93は、マウンター91及び第2搬送ユニット92を、移動可能に支持している。マウンター91及び第2搬送ユニット92が移動することによって、装着ユニット9は、格納状態と、展開状態とに変化する。
図1は、格納状態の装着ユニット9を示している。格納状態の装着ユニット9には、外部カセット36を取り付けることができない。
図1は、装着ユニット9の不使用状態に相当する。
図6Bは、展開状態の装着ユニット9を示している。
【0114】
マウンター91は、第1面911を有している。第1面911は、マウンター91の前面を構成する。第2搬送ユニット92は、第2面921を有している。第2面921は、第2搬送ユニット92の前面を構成する。装着ユニット9の不使用状態において、第1面911と第2面921とは、実質的に段差無く、上下方向に連続している(
図10Aの部分拡大図も参照)。第1面911と第2面921とは、不使用状態の装着ユニット9の前面を構成する。装着ユニット9の不使用状態において、連続する第1面911及び第2面921は、紙幣処理装置1の美観を向上させる。支持部93は、装着ユニット9の右側面及び左側面を構成する。
【0115】
第2搬送ユニット92は、前述したように、移動可能に構成されている。マウンター91は、第2搬送ユニット92の移動に連動して変形するように構成されている。第2面921には、第1ハンドル922が設けられている。第1ハンドル922は、第2搬送ユニット92を移動させる場合に、操作者が操作をするハンドルである。第1ハンドル922は、第2面921における上下方向の中央位置よりも下寄りの位置において、第2面921から凹陥している。操作者は、第1ハンドル922に指をかけて第2搬送ユニット92を上方に上げる。操作者はまた、第1ハンドル922に指をかけて第2搬送ユニット92を下方に下ろす。
【0116】
第2搬送ユニット92を移動させると共に、マウンター91が変形すると、装着ユニット9は、展開状態に変化する。展開状態の装着ユニット9には、外部カセット36を取り付けることができる。展開状態の装着ユニット9は、装着ユニット9の使用状態に相当する。
【0117】
装着ユニット9は、リンク機構8を備えている(
図9参照)。リンク機構8は、支持部93に内蔵されている。リンク機構8は、マウンター91及び第2搬送ユニット92を移動及び変形させる。リンク機構8の構成は、後で詳述する。
【0118】
図6A、
図6B、
図6C及び
図6Dは、マウンター91及び第2搬送ユニット92が移動(及び/又は変形)する様子を示している。第2搬送ユニット92は、金庫部13の前側の位置から、前方の斜め上方へ移動した後(
図6A)、後方の斜め上方へ移動する(
図6B)。第2搬送ユニット92は、処理部11の前側に位置する。この状態において、第2搬送ユニット92は、上部筐体111に固定されると共に、第2搬送ユニット92は、第1搬送ユニット23の接続口231に接続される。
【0119】
一方、マウンター91は、第2搬送ユニット92の移動が開始すると、下端部を支点として前方へ回動を開始する(
図6A)。マウンター91は、支持部93に対し相対的に、前方へ傾く。言い換えると、マウンター91は、金庫部13に対し相対的に、前方へ傾く。マウンター91は、前後方向に揺動することによって、外部カセット36がマウント可能なマウント状態と、外部カセット36がマウントできない非マウント状態とに切り替わる。
【0120】
マウンター91は、
図6Bに示すように、カバー部912と本体部913とを有している。カバー部912は、第1面911を構成する。本体部913は、カバー部912の後ろに配設される。カバー部912と本体部913とは、その間に外部カセット36が装着される空間914を形成する。本体部913は、外部カセット36の後側部を支持し、カバー部912は、外部カセット36の前側部を支持する。
【0121】
第2搬送ユニット92がさらに移動をすれば、カバー部912が、本体部913に対し相対的に、前方へスライドする(
図6B)。カバー部912は、金庫筐体131から離れる方向へ移動する。こうして、マウンター91は、外部カセット36が装着できる形状に変形する。つまり、
図6Bに例示するように、外部カセット36が挿入可能な挿入口915が、前方の斜め上方に向かって大きく開口する。カバー部912と本体部913との間に形成される空間914の体積は、外部カセット36の非マウント状態における体積よりも、外部カセット36のマウント状態における体積の方が大きくなる(
図10A及び
図10Bも参照)。
【0122】
第2搬送ユニット92が第1搬送ユニット23の接続口231に接続されかつ、マウンター91が外部カセット36の装着可能な形状へ変形すれば、操作者は、外部カセット36をマウンター91に装着する。
図6Cに示すように、操作者は、縦長形状の外部カセット36を、挿入口915を通じて空間914に挿入する。詳細な図示は省略するが、外部カセット36の下端部がマウンター91の底部に当たるまで、外部カセット36は挿入される。
【0123】
外部カセット36をマウンター91に挿入した後、操作者は、外部カセット36を、第2搬送ユニット92の下側でかつ、左右の支持部93の間のスペースに押し込むように、マウンター91及び外部カセット36を、後方へ回動させる。前方に傾いていたマウンター91及び外部カセット36が直立する(
図6D)。外部カセット36は、第2搬送ユニット92が移動する前に配置されていたスペースに配置される。言い換えると、外部カセット36は、第2搬送ユニット92が移動することによって形成された空きスペースに配置される。
【0124】
この状態で、外部カセット36の上端面に設けられた出入口361が、第2搬送ユニット92に接続される。外部カセット36は、第2搬送ユニット92を介して、紙幣処理装置1の第1搬送ユニット23に、紙幣の搬送可能に接続される。マウンター91は、外部カセット36がマウントされたマウント状態(
図6C)から、外部カセット36が、紙幣の搬送が可能となるように、紙幣処理装置1に接続されるセット状態(
図6D)へと移行する。尚、装着ユニット9が使用状態にある場合に、マウンター91の第1面911と、第2搬送ユニット92の第2面921とは、連続しない。
【0125】
第1面911は、外部カセット36の下部を覆うカバーを構成する。第1面911は、外部カセット36を保護する。第1面911の上端は、外部カセット36の上端よりも低い。マウンター91にマウントした外部カセット36の一部は、外部に露出する。操作者は、外部カセット36を視認することができるため、外部カセット36の取り付けを忘れること、及び、取り外しを忘れることが抑制される。
【0126】
紙幣処理装置1は、装着ユニット9が第2搬送ユニット92を含んでいる。第2搬送ユニット92は、紙幣処理装置1に対して一体的になるように固定されている。外部カセット36を紙幣処理装置1に接続する際に、操作者は、紙幣処理装置1とは別体の搬送ユニットを、紙幣処理装置1に対して取り付けたり、取り外したりする操作を省略できる。外部カセット36の使い勝手が向上する。また、第2搬送ユニット92が上下方向に移動するため、操作者は、第2搬送ユニット92を移動させやすい。
【0127】
また、操作者が第2搬送ユニット92の第1ハンドル922に指をかけて第2搬送ユニット92を持ち上げる操作、つまり引く操作を行うと、マウンター91は、外部カセット36がマウントできる形状に、自動的に変形する。操作者の操作が簡略である。尚、操作者が、操作箇所を、引く、押す、回転させる、の内の少なくとも一の操作を行うことによって、マウンター91は、非マウント状態からマウント状態へ切り替わるように構成されてもよい。
【0128】
マウンター91は、具体的には、紙幣処理装置1の第1~第5収納装置31~35の並び方向、つまり前後方向に往復移動することで、マウント状態と非マウント状態とに切り替わる。
【0129】
マウンター91は、外部カセット36をマウントできない非マウント状態(
図1参照)と、外部カセット36をマウントできるマウント状態(
図6B参照)との両方において、紙幣処理装置1の外部に露出している。この紙幣処理装置1において、外部カセットを使用するために、例えば扉の内側に設けた取付ユニットを展開させるといった煩雑な操作は不要である。操作者による外部カセット36の取り付け操作は、簡略である。
【0130】
外部カセット36は、第2搬送ユニット92が移動する前に配置されていたスペースに配置される。第2搬送ユニット92は、外部カセット36の使用時には、上部筐体111の前側に隣接して位置し、外部カセット36の不使用時には、金庫筐体131の前側に隣接して位置している。また、外部カセット36の不使用時に、マウンター91は金庫筐体131に近い位置に位置している。紙幣処理装置1は、装着ユニット9を展開することによって外部カセット36を使用する場合も、装着ユニット9を格納することによって外部カセット36を使用しない場合も、コンパクトである。
【0131】
(装着ユニットの回動構成)
装着ユニット9は、金庫筐体131の扉1310を覆う位置に配置されている。装着ユニット9は、扉1310のカバーを兼用する。紙幣処理装置1のセキュリティが高まる。
【0132】
装着ユニット9は、扉1310を覆う位置(
図1参照)から、扉1310が露出する位置(
図7参照)まで移動するよう、金庫筐体131に支持されている。より詳細に、装着ユニット9は、
図8に示すように、支持部93の左側面における後端部が、三つの第1ヒンジ1316を介して、金庫筐体131に取り付けられている。これにより、装着ユニット9は、上下方向に延びる第1軸Z1(
図7参照)を中心に回動する。装着ユニット9は、前述した格納状態、展開状態、及び、扉1310を露出させる退避状態に変化する。
【0133】
装着ユニット9を退避状態にすれば、装着ユニット9の裏面が露出する。操作者は、
図7に一点鎖線で示すように、第2搬送ユニット92の搬送路を開放できる。紙幣の搬送中に、第2搬送ユニット92において紙幣の詰まりが生じた場合に、操作者は、第2搬送ユニット92の搬送路を開放することによって、詰まりを解消できる。
【0134】
図1に示すように、支持部93の右側面には、第2ハンドル931が設けられている。第2ハンドル931は、装着ユニット9を回動させる場合に、操作者が操作をするハンドルである。第2ハンドル931は、支持部93の右側面における上部位置において、その右側面から凹陥している。操作者は、第2ハンドル931に指をかけて装着ユニット9を前方へ動かせば、装着ユニット9を回動させることができる。
【0135】
(装着ユニットの誤操作を防止する構成)
ここで、装着ユニット9は、
図1に示す格納状態である場合に限って、回動できるよう構成されている。つまり、装着ユニット9は、
図3に示すように、第1ロック901と、第2ロック902とを有している。第1ロック901は、第1ハンドル922の操作による第2搬送ユニット92(及びマウンター91)の移動を許可及び禁止するロックである。第2ロック902は、第2ハンドル931の操作による装着ユニット9の回動を許可及び禁止するロックである。尚、第1ロック901は、格納状態の第2搬送ユニット92を、支持部93に対して固定するように構成されている。第1ロック901また、装着ユニット9が展開状態になれば、第2搬送ユニット92を、上部筐体111に対して固定する。尚、第1ロック901は、第1ハンドル922の操作ができないように、第1ハンドル922を固定してもよい。第2ロック902は、装着ユニット9の支持部93を、金庫筐体131に対して固定するように構成されている。尚、第2ロック902は、第2ハンドル931の操作ができないように、第2ハンドル931を固定してもよい。
【0136】
装着ユニット9が
図1に示す格納状態である場合には、第2ロック902は、装着ユニット9の回動を許可する。操作者は、第2ハンドル931を操作することによって、装着ユニット9を回動できる。装着ユニット9が展開状態である場合には、第2ロック902は、装着ユニット9の回動を禁止する。操作者は、装着ユニット9を回動できない。
【0137】
従って、装着ユニット9に外部カセット36を装着して、紙幣処理装置1が処理を行っている最中に、第2搬送ユニット92において紙詰まりが発生すると、操作者は、装着していた外部カセット36を装着ユニット9から取り外し、装着ユニット9を格納状態へ切り替えた後で、第2ハンドル931を操作することによって、装着ユニット9を回動できる(
図7参照)。
【0138】
装着ユニット9が
図7に示す退避状態である場合には、第1ロック901は、第2搬送ユニット92の移動を禁止する。操作者は、第2搬送ユニット92を移動できない。装着ユニット9が
図1に示す格納状態である場合、又は、
図6Aに示す展開状態である場合、第1ロック901は、第2搬送ユニット92の移動を許可する。操作者は、第1ハンドル922の操作によって、第2搬送ユニット92を、上方、又は、下方へ移動できる。
【0139】
つまり、装着ユニット9は、第2搬送ユニット92をマウンター91に対して離間させて、第2搬送ユニット92を移動させる場合に操作される第1ハンドル922と、第2搬送ユニット92をマウンター91に対して離間させずに、装着ユニット9を移動させる場合に操作される第2ハンドル931と、を有している。操作者は、二つのハンドルを使い分けて、装着ユニット9を操作できる。
【0140】
また、第1ハンドル922が操作されることによって第2搬送ユニット92が移動すれば、第2ロック902によって、第2ハンドル931の操作がロックされ、第2ハンドル931が操作されることによって装着ユニット9が回動すれば、第1ロック901によって、第1ハンドル922の操作がロックされる。操作者は、第1ハンドル922及び第2ハンドル931の両方を同時に操作できないため、操作性が高まる。
【0141】
装着ユニット9は、解除スイッチ903を有している。解除スイッチ903は、
図8に示すように、支持部93の左側面の上部に設けられている。解除スイッチ903は、いわゆる押しボタンスイッチである。操作者は、解除スイッチ903を押す、又は、押した状態に保持する。このことにより、コントローラー15は、第1ロック901を解除する。操作者は、解除スイッチ903の操作を行うことによって、第1ハンドル922の操作が可能になって、第2搬送ユニット92を移動できる。解除スイッチ903が装着ユニット9の操作に制約を設けるから、装着ユニット9の誤操作が抑制される。紙幣処理装置1のセキュリティが向上する。
【0142】
コントローラー15はまた、解除スイッチ903の操作に代えて、操作者が端末機29において所定の操作を行うことにより、第1ハンドル922を操作して、第2搬送ユニット92の移動を可能に構成してもよい。具体的に、コントローラー15は、通信部28を通じて、端末機29からロック解除の信号を受けると、第1ロック901を解除する。操作者は、第1ハンドル922を操作して、第2搬送ユニット92を移動させることができる。
【0143】
コントローラー15はさらに、操作者が端末機29において所定の操作を行いかつ、装着ユニット9の解除スイッチ903を押すことにより、第1ロック901を解除してもよい。
【0144】
コントローラー15は、前述した解除スイッチ903の操作、端末機29の操作、及び、端末機29の操作と解除スイッチ903の操作との併用、の中から、予め設定された操作に基づいて、第1ロック901の解除を行ってもよい。
【0145】
また、紙幣処理装置1におけるロック解除操作を、ユニークな操作にしてもよい。例えば、解除スイッチ903を5回連続で押す、といった操作が行われた場合に、コントローラー15は第1ロック901の解除を行うようにしてもよい。
【0146】
また、紙幣処理装置1の状態を表示する表示部、例えば端末機29のディスプレイ装置は、ロック解除に関する情報を表示してもよい。また、前述した何れかの操作によって、第1ロック901が解除され、操作者が第2搬送ユニット92を移動可能になれば、例えば端末機29のディスプレイ装置は、前述した補充処理、又は、回収処理に関しする画面であって、警備会社の担当者が操作をするための画面を、通常の画面に代えて表示してもよい。
【0147】
(リンク機構の構成)
前述したように、装着ユニット9はリンク機構8を有している。
図9、10A及び10Bを参照しながら、リンク機構8の構造を説明する。
図9は、リンク機構8の構造を理解しやすいように、装着ユニット9が、格納状態と展開状態との間の途中にある状態を示している。
【0148】
リンク機構8は、左右の支持部93のそれぞれに内蔵されている。リンク機構8は、マウンター91及び第2搬送ユニット92の左右の両側部それぞれを支持している。リンク機構8は、第2搬送ユニット92を移動させるための第1リンク機構81と、マウンター91を移動させるための第2リンク機構82と、第1リンク機構81と第2リンク機構82とを連動させる第3リンク機構83と、を有している。第3リンク機構83は、第2搬送ユニット92の動きをマウンター91へ伝える連結機構の一例である。
【0149】
第1リンク機構81は、第1アーム811と第2アーム812とを有している。第1アーム811及び第2アーム812は、対向して配置されている。第1アーム811及び第2アーム812は、略同じ長さを有している。第1アーム811及び第2アーム812は、4節リンク機構を構成している。尚、第1アーム811及び第2アーム812は、曲がっている。第1アーム811及び第2アーム812が干渉し合うことが回避される。
【0150】
第1アーム811の第1端部8111は、支持部93に回転可能に支持されている。第1アーム811の第2端部8112は、第2搬送ユニット92に回転可能に支持されている。同様に、第2アーム812の第1端部8121は、支持部93に回転可能に支持されている。第2アーム812の第2端部8122は、第2搬送ユニット92に回転可能に支持されている。第1アーム811の第1端部8111、及び、第2アーム812の第1端部8121は、上下方向に間隔を空けて配設されている。第1アーム811の第2端部8112、及び、第2アーム812の第2端部8122も、上下方向に間隔を空けて配設されている。
【0151】
第1アーム811及び第2アーム812が、それぞれ第1端部8111,8121を支点に回動すると、
図10A及び
図10Bに一点鎖線で示すように、第2搬送ユニット92は、その姿勢を保ったまま、左右の水平方向に延びる軸線X2の周囲を曲線状に往復移動をする。尚、
図10A及び
図10Bの一点鎖線は、第2搬送ユニット92の上端の後部位置の移動軌跡を示しており、図例の構成例において、移動軌跡は、軸線X2を中心とする半円弧である。軸線X2は、第1軸線の一例である。
【0152】
第1リンク機構81はまた、第3アーム813を有している。第3アーム813の第1端部は、支持部93に回転可能に支持されている。第3アーム813の第2端部は、第2搬送ユニット92に回転可能に支持されている。第3アーム813は、第1リンク機構81の剛性を高める。第3アーム813によって、第2搬送ユニット92は、安定的に移動できる。
【0153】
第2アーム812の第1端部8121にはギアが設けられている。第1端部8121のギアは、第1揺動部材814に噛み合っている。第1揺動部材814は、支持部93に対して揺動可能に支持されている。第1揺動部材814は、揺動支持点を間に挟んで、前側のギア部815と、後側の取付部816とを有している。ギア部815は、第1端部8121のギアに噛み合う。第2アーム812が回動すると、第1揺動部材814が揺動する。取付部816には、アシストダンパー817の上端部が取り付けられている。アシストダンパー817は、上下方向に伸縮可能となるように、支持部93に支持されている。
【0154】
装着ユニット9が格納状態から展開状態へ移行するように、操作者が第2搬送ユニット92を持ち上げる場合、第2アーム812の第1端部8121は、
図10A及び
図10Bにおける時計回り方向に回動し、第1揺動部材814は、反時計回り方向に回動する。これにより、第1揺動部材814に取り付けられているアシストダンパー817が伸びる。アシストダンパー817は、縮み方向に抵抗を有するから、第2搬送ユニット92の重量を支えることができる。アシストダンパー817によって、操作者は、第2搬送ユニット92を容易に持ち上げることができる。
【0155】
また、装着ユニット9が展開状態から格納状態へ移行するように、操作者が第2搬送ユニット92を下ろす場合、第2アーム812の第1端部8121は、
図10A及び
図10Bにおける反時計回り方向に回動し、第1揺動部材814は、時計回り方向に回動する。これにより、アシストダンパー817が縮む。アシストダンパー817が第2搬送ユニット92の重量を支えるから、操作者は、第2搬送ユニット92を、ゆっくりと下ろすことができる。
【0156】
アシストダンパー817は、装着ユニット9の操作性を向上する。
【0157】
第3リンク機構83は、メインロッド831と、上側連結部832と、下側連結部836とを有している。メインロッド831は、上下方向に延びるように配設されている。上側連結部832は、メインロッド831と第1リンク機構81とをつなぐ。下側連結部836は、メインロッド831と第2リンク機構82とをつなぐ。
【0158】
上側連結部832は、
図9に拡大して示すように、第1ギア833、第2ギア834、及びトルクリミッタ835を有している。尚、
図9の拡大図は、上側連結部832を、
図9とは異なる向きから描いている。第1ギア833及び第2ギア834は左右方向に並設されており、共通の、水平に延びる軸を中心に回転する。尚、第1ギア833及び第2ギア834は独立して回転可能である。
【0159】
第1ギア833には、第1アーム811の第1端部8111に設けられたギアが噛み合っている。第2ギア834には、メインロッド831の上端部が取り付けられている。第2ギア834が回転すると、メインロッド831が上下方向に移動する。
【0160】
トルクリミッタ835は、第1ギア833と第2ギア834との両方に噛み合っている。トルクリミッタ835は、第1ギア833及び第2ギア834をつないでいる。第2搬送ユニット92が移動することに伴い、第1アーム811のギアに噛み合う第1ギア833が回転をすると、その回転力がトルクリミッタ835を介して第2ギア834に伝達され、第2ギア834も、第1ギア833と同じ方向に回転する。
【0161】
後述するように、操作者が第2搬送ユニット92を移動させると、その移動に連動してマウンター91が移動又は変形する。操作者が第2搬送ユニット92を移動させている最中に、マウンター91が何かと干渉をすることによってマウンター91が移動しなくなると、第1ギア833と第2ギア834との間においてトルクリミッタ835に作用する負荷が所定負荷を超える。負荷が所定負荷を超えるとトルクリミッタ835が滑り、トルクリミッタ835は、第1ギア833と第2ギア834との間のトルクの伝達を遮断する。つまり、第1ギア833が回転しても、第2ギア834は回転しない。トルクリミッタ835がトルクの伝達を遮断する結果、操作者は、第2搬送ユニット92の移動を継続できる。
【0162】
下側連結部836は、マウンター91の本体部913に固定されている。より詳細に、本体部913における下端部の後部には、第3軸X3を構成する枢軸916が設けられている。第3軸X3は、左右の水平方向に延びる軸である。枢軸916は、装着ユニット9の支持部93に枢支されている。また、本体部913の上端部には、ガイドピン917が設けられている。ガイドピン917は、第1レール932に係合する。第1レール932は、支持部93に固定されている。第1レール932は、枢軸916を中心とした円弧形状の溝を有し、ガイドピン917は、当該溝に沿って往復移動が可能である。マウンター91は、支持部93に対して、第3軸X3を中心に、前後に揺動する。マウンター91の第3軸X3は、第2搬送ユニット92の軸線X2と平行である。第3軸X3は、第2軸線の一例である。
【0163】
下側連結部836は、枢軸916に対して固定されている。下側連結部836は、枢軸916の後側に位置する第1連結部と、枢軸916の前側に位置に位置する第2連結部とを有している。メインロッド831の下端は、第1連結部に連結されている。メインロッド831が上方へ移動すると、第1連結部が上方へ移動するから、マウンター91が前方へ回動する。逆に、メインロッド831が下方へ移動すると、第1連結部が下方へ移動するから、前方へ傾いていたマウンター91が後方へ回動する。
【0164】
第2リンク機構82は、サブロッド821と、第2揺動部材822と、を有している。サブロッド821は、上下方向に延びるように配設されている。サブロッド821の下端部は、下側連結部836の第2支持部に連結されている。サブロッド821の上端部は、第2揺動部材822に連結されている。
【0165】
第2揺動部材822は、マウンター91の本体部913に対して、回転可能に支持されている。より詳細に、第2揺動部材822は、上下方向に延びるように配設されている。第2揺動部材822の下端部は、本体部913に対し、左右の水平方向に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。第2揺動部材822は、当該軸を中心として前後方向に揺動できる。尚、
図9において、本体部913が前方へ傾いているため、第2揺動部材822は、支持部93に対しては前方へ傾いている。しかし、第2揺動部材822は、本体部913に対しては傾いていない。
【0166】
第2揺動部材822の下端部には、結合部823が設けられている。結合部823には、サブロッド821の上端部が結合される。結合部823の位置は、第2揺動部材822の軸に対して前側にずれている。サブロッド821が下へ移動すると、第2揺動部材822は、
図9における反時計回り方向に回動する。サブロッド821が上へ移動すると、第2揺動部材822は、
図9における時計回り方向に回動する。
【0167】
カバー部912には、第2レール918が固定されている。第2レール918は、略前後方向に真っ直ぐに延びる溝を有している。本体部913の左右の両側部には、第2レール918の溝に係合する二つの係合ピン919が、前後方向に間隔を空けて設けられている。二つの係合ピン919が、第2レール918の溝に係合することによって、カバー部912は、本体部913に対して支持されると共に、本体部913に対して相対的に、前後方向に移動する。
【0168】
第2揺動部材822の上端部は、第2レール918の後端部に係合している。第2揺動部材822が、
図9における反時計回り方向に回動すると、カバー部912は、本体部913から離れる方向、つまり、前方へスライドする。第2揺動部材822が、
図9における時計回り方向に回動すると、カバー部912は、本体部913に近づく方向、つまり、後方へスライドする。本体部913とカバー部912とが連動するため、外部カセット36をマウントする操作が簡略である。
【0169】
カバー部912は、外部カセット36がマウントされる空間914を形成するスライダーの一例である。第2リンク機構82は、本体部913とカバー部912とを連結し、本体部913の動きをカバー部912へ伝える連結機構の一例である。第2揺動部材822は、水平方向に延びる軸(つまり、第1軸線)を中心に揺動することによって、カバー部912をスライドさせるアームの一例である。
【0170】
次に、
図10A及び
図10Bを参照しながら、第1リンク機構81と第2リンク機構82との連動について説明する。
【0171】
先ず
図10AのP101からP102にかけて、第2搬送ユニット92が上方を移動し始めると、第1アーム811が時計回り方向に回転をし、上側連結部832の第1ギア833及び第2ギア834は反時計回り方向に回転する。メインロッド831が上方へ移動する。
【0172】
メインロッド831が上方へ移動すると、下側連結部836の第1連結部が上方へ移動するため、下側連結部836を介して、マウンター91のカバー部912及び本体部913が、前方へ回動する。このときはまだ、カバー部912及び本体部913は、一体化している。
【0173】
第2搬送ユニット92がさらに上方へ移動すると、メインロッド831がさらに上方へ移動をする。マウンター91の本体部913は、ガイドピン917が第1レール932の前端に係合することで、前方への回動が停止する。その後、メインロッド831が上昇するに伴い下側連結部836の第2連結部がさらに下方へ移動をすれば、
図10BのP103に示すように、下方へ移動するサブロッド821によって第2揺動部材822が反時計回り方向へ回動する。それに伴い、カバー部912が本体部913に対して相対的に前方へスライドをする。このときに、
図10Bに例示するように、カバー部912の上端部の移動量ΔT1と、下端部の移動量ΔT2とは、同じ、又は、実質的に同じである。
【0174】
そうして、
図10BのP104に示すように、第2搬送ユニット92が、第1搬送ユニット23に接続されると、マウンター91が前方に傾くと共に、カバー部912がスライドすることによって、外部カセット36が装着可能な状態となる。
【0175】
尚、前述したように、操作者が第2搬送ユニット92を移動させている最中にマウンター91が何かと干渉した場合、トルクリミッタ835は、第1リンク機構81と第2リンク機構82との連動を解除する。操作者は、第2搬送ユニット92をスムースに移動できる。
【0176】
図示は省略するが、マウンター91に外部カセット36を装着した後、操作者は、前方へ傾斜しているマウンター91及び外部カセット36を、紙幣処理装置1の方へ押し込むようにして、マウンター91及び外部カセット36を回動させる。このとき第3リンク機構83の下側連結部836は、前記とは逆の動きをする。つまり、メインロッド831が上方へ移動する。第2搬送ユニット92は第1搬送ユニット23に結合した状態で、上部筐体111に固定されている。そのため、メインロッド831を上方へ移動しても、トルクリミッタ835は滑る。第1リンク機構81と第2リンク機構82とは連動しない。これにより、操作者は、手動でマウンター91及び外部カセット36を立てることができる。
【0177】
また、マウンター91に装着している外部カセット36を取り外して、装着ユニット9を格納する場合、操作者は、先ず、外部カセット36及びマウンター91を、紙幣処理装置1の手前に傾ける。この場合、メインロッド831が下方へ移動するが、第3リンク機構83のトルクリミッタ835が滑るため、操作者は、手動でマウンター91及び外部カセット36を、前方へ傾けることができる。
【0178】
マウンター91及び外部カセット36が前方へ傾けば、操作者は、外部カセット36を斜め上方へ引き上げることにより、外部カセット36をマウンター91から抜きとる。
【0179】
外部カセット36をマウンター91から抜きとった後、操作者は、第2搬送ユニット92の第1ハンドル922を操作することにより、第2搬送ユニット92を、下方へ引き下ろす。第2搬送ユニット92は、第1リンク機構81によって、
図10B及び
図10Aに示すように、前記とは逆向きに、円弧軌跡に沿って下方へ移動をする。第3リンク機構83は、第1リンク機構81の動きを、第2リンク機構82へ伝達する。第2リンク機構82は、前方へ移動しているカバー部912を後方へ移動させると共に、前方へ傾いたマウンター91を後方へ回動させる。そうして、
図10AのP101に示すように、第2搬送ユニット92が、支持部93と支持部93との間に収まれば、装着ユニット9の格納が完了する。第1ロック901は、第2搬送ユニット92を支持部93に対して固定する。
【0180】
ここで、
図10Aに拡大して示すように、マウンター91の第1面911の上端縁には、段差が設けられている。この段差には、第2搬送ユニット92の第2面921の下端縁が係合する。第2搬送ユニット92の第2面921は、マウンター91の第1面911よりも前方に位置して、マウンター91の第1面911を後方へ押さえる。第2搬送ユニット92は、第1ロック901によって支持部93に対し固定されているから、マウンター91も、支持部93に対して固定されることになる。また、第1面911と第2面921とは、隙間無くかつ、段差無く連続するため、紙幣処理装置1の美観が向上する。
【0181】
(第2リンク機構の変形例)
図9に例示する第2リンク機構82は、アームである第2揺動部材822を備えていて、第2揺動部材822が揺動することによって、カバー部912が移動する。第2リンク機構は、この構造に限定されない。
図11は、第2リンク機構の第1変形例を示している。
【0182】
第1変形例に係るリンク機構は、二つのアームを、互いに回動可能に交差させることによって伸縮可能にした機構(つまり、レージトング機構824)を有している。第1アーム及び第2アームは、マウンター91の本体部913とカバー部912との間に介在している。
図11では図示を省略するが、サブロッド821は、第1アームの端部の近くに連結されている。P1101に示すレージトング機構824が縮んだ状態において、サブロッド821が、前記と同様に下方に移動すると、P1102に示すようにレージトング機構824が伸びるから、カバー部912が、本体部913から離れる方向へスライドする(P1103参照)。
【0183】
図12は、第2変形例に係るリンク機構を示している。このリンク機構は、ラックアンドピニオン機構825を有している。ラックアンドピニオン機構825は、カバー部912に固定されたラックと、ラックに噛み合うピニオンギアとを有している。ピニオンギアには、第1ギアが噛み合うと共に、第1ギアには第2ギアが噛み合う。ピニオンギア、第1ギア及び第2ギアはそれぞれ、マウンター91の本体部913に支持されている。
図12では図示を省略するが、サブロッド821は、第2ギアに連結されている。P1201に示すカバー部912と本体部913とが一体化した状態において、サブロッド821が、前記と同様に下方に移動すると、P1202に矢印で示すように、第2ギアが反時計回り方向に回転する。第1ギアがその回転をピニオンギアに伝えることで、ピニオンギアが反時計回り方向に回転する。このことにより、ラックが前方へ移動するから、P1203に示すように、カバー部912が、本体部913から離れる方向へスライドする。
【0184】
(第1搬送ユニットのシャッター構造)
第1搬送ユニット23は、接続口231を開閉するシャッター70を有している。
図13は、第1搬送ユニット23のシャッター70を開閉する開閉機構7の構造を例示している。
【0185】
シャッター70は、開閉部701と、開閉部701の揺動中心を構成する揺動支持部702と、係合片703とを有している。開閉部701は、上部筐体111に開口する接続口231を開閉する。揺動支持部702は、開閉部701の後に位置しかつ、上部筐体111に対して支持されている。揺動支持部702と開閉部701とは、前後に延びるアームによってつながっている。揺動支持部702が第4軸X4を中心として回動することに伴い、開閉部701は、左右の水平方向に延びる第4軸X4を中心として上下方向に揺動する。係合片703は、揺動支持部702を間に挟んで、開閉部701とは逆側に位置している。係合片703は、揺動支持部702の縁から、径方向の外方に突出して設けられている。係合片703は、揺動支持部702に一体に設けられている。揺動支持部702が回動すると、係合片703も、第4軸X4を中心として回動する。係合片703は、後述する段差部722と係合することによって、開閉部701が開くことを規制する。
【0186】
開閉機構7は、第1部材71、第2部材72、第3部材73及びアクチュエータ74を備えている。アクチュエータ74は、リニアソレノイドアクチュエータである。アクチュエータ74は、前後方向に進退するロッド741を有している。
【0187】
第1部材71は、ロッド741に係合している。第1部材71は、上下方向に延びている。第1部材71の上端部は、上部筐体111に対して回動可能に支持されている。第1部材71の下端部には、上下方向に延びる長穴711が形成されている。ロッド741は、第1部材71の中間部に係合している。
図14に示すように、ロッド741が進退すると、第1部材71は、前後方向に揺動する。
【0188】
第2部材72は、第1部材71に係合する。第2部材72は、第1部材71の長穴711に内挿されるピン721を有している。ピン721は、前後方向に延びる第2部材72の中間部に取り付けられている。第2部材72は、詳細な図示は省略するが、上部筐体111に対して前後方向に往復動可能に支持されている。第1部材71が揺動すると、第2部材72は前後に往復動する。
【0189】
第2部材72の前端部には、段差部722が設けられている。段差部722は、シャッター70の係合片703に係合する。第2部材72の前端の縁は、段差部722に連続する円弧状を成している。
【0190】
第2部材72のピン721よりも後側には、当接片723が形成されている。当接片723は、後述する第3部材73の凹陥部731に係合する。
【0191】
第3部材73は、第2部材72に重なるように配設されている。第3部材73も、第2部材72と同様に、上部筐体111に対して前後方向に往復動可能に支持されている。
【0192】
第3部材73は、第2部材72の当接片723に係合する凹陥部731が設けられている。凹陥部731は、第3部材73の一部が切り欠かれることによって形成されている。凹陥部731の内部に、第2部材72の当接片723が収まっている。当接片723と、凹陥部731の縁との間には、所定量の隙間Cが設けられている。
【0193】
前述したように、第2部材72が、隙間Cだけ、後ろへ移動すると、当接片723の後縁が凹陥部731の後ろの縁に当たる。この状態で、第2部材72がさらに後ろへ移動すると、第3部材73は、当接片723に押されて後ろへ移動する。
【0194】
第3部材73の前部には、窓732が形成されている。窓732の上縁部には、前後に延びるラック733が形成されている。
【0195】
シャッター70の揺動支持部702にはギアが形成されている。ギアは、第3部材73のラック733に噛み合う。第3部材73が後ろに移動すると、ラック733に噛み合ったギアが回動することによって、開閉部701は、
図14に示すように、接続口231を閉めた状態から、接続口231を開けた状態へと変位する。
【0196】
開閉部701が接続口231を閉めた状態において、シャッター70の係合片703は、第2部材72の段差部722に係合する。この状態で、仮に開閉部701を、
図13における時計回り方向へ手で回動させようとしても、係合片703が段差部722に係合しているため、揺動支持部702は回動しない。シャッター70は、閉じた状態にロックされている。
【0197】
次に、
図14を参照しながら、開閉機構7の動作を説明する。
図14のP1401は、シャッター70が閉じた状態を示している。アクチュエータ74のロッド741は伸びている。
【0198】
P1402は、アクチュエータ74のロッド741が縮んだ状態を示している。前述したように、第1部材71が後方へ移動し、長穴711に係合しているピン721を介して、第2部材72が後ろへ移動する。第2部材72の当接片723が凹陥部731の縁に当たる。ここまでにおいて、第3部材73は移動しない。この状態では、第2部材72の段差部722が係合片703よりも後ろへずれる。シャッター70のロックが解除される。
【0199】
P1403は、アクチュエータ74のロッド741がさらに縮んだ状態を示している。第1部材71がさらに後ろへ移動し、第2部材72が後ろへさらに移動する。第2部材72の当接片723が第3部材73を後ろに押す。第3部材73が後ろへ移動することに伴い、ラック733が後ろに動いて、揺動支持部702のギアが時計回り方向に回転する。接続口231を塞いでいた開閉部701が、接続口231よりも上方へ移動し、接続口231が開く。
【0200】
接続口231を閉じる場合、アクチュエータ74への通電を停止する。図示は省略するバネが、縮んでいたロッド741を伸長させる。第1部材71が時計回り方向へ回動し、第2部材72が前方へ移動する。当接片723が第3部材73を前方へ押すため、ラック733に噛み合ったギア及び揺動支持部702が、反時計回り方向に回動する。そうして、開閉部701が接続口231を閉じる(P1402)。
【0201】
開閉部701が閉じた状態で、第2部材72がさらに前方へ移動する。段差部722が、係合片703と係合する。これにより、シャッター70がロックされる(P1401)。
【0202】
開閉機構7は、シャッター70のロック及びロック解除と、シャッター70の開閉とを、一つのアクチュエータ74によって行う。開閉機構7の小型化と、コストダウンが図られる。
【0203】
(第1搬送ユニットと第2搬送ユニットの接続構成)
次に、
図15を参照しながら、第1搬送ユニット23と第2搬送ユニット92との接続構成について説明する。前述したように、第2搬送ユニット92を移動させる場合、操作者は解除スイッチ903を操作する。その後、操作者が第1ハンドル922に指をかけて第1ハンドル922を操作すると、第1ハンドル922の動きを、センサ924(
図3参照)が検知する。コントローラー15は、センサ924の検知信号を受けて、シャッター70の開閉機構7のアクチュエータ74を駆動する。前述したように、シャッター70が開いて、接続口231が開放される。
【0204】
操作者は第2搬送ユニット92を持ち上げる。第2搬送ユニット92は、第2リンク機構82により、円弧軌跡に沿って移動する。円弧軌跡は、
図15に一点鎖線の矢印で示すように、接続口231に対しては、ほぼ真っ直ぐに交差する。このため、第2搬送ユニット92の第2係合部923を、接続口231に対してスムースに接続させることができる。
【0205】
ここで、第2搬送ユニット92の第2係合部923は、第2搬送ユニット92の後面から後方に突出している。第2係合部923は、詳細な図示は省略するが、前後方向に凹凸すると共に、左右方向に延びる櫛歯状に形成されている(
図7も参照)。第1搬送ユニット23も、同様の櫛歯状の第1係合部232を有している(
図1参照)。第1搬送ユニット23の第1係合部232は、接続口231に位置している。第1搬送ユニット23の第1係合部232と、第2搬送ユニット92の第2係合部923との櫛歯同士が係合することによって、第1搬送ユニット23と第2搬送ユニット92とが互いに接続する。櫛歯同士が係合することにより、第1搬送ユニット23と第2搬送ユニット92との間を、紙幣がスムースに通過できる。
【0206】
図15に示すように、上部筐体111に支持されている第1搬送ユニット23は、詳細な図示は省略するが、その後端部を支点として、時計回り方向及び反時計回り方向に、微少量だけ回動できる。つまり、第1搬送ユニット23の前端部は、上下方向に、微少量だけ変位できる。第1搬送ユニット23にはまた、
図15に実線の矢印で示すように、下向きの付勢力が付与されている。
【0207】
下から上へと移動する第2搬送ユニット92は、第2リンク機構82のガタ等に起因して、第1搬送ユニット23の第1係合部232に係合させようとしたときに、上下方向の位置が、ずれやすい。前述したように、第1搬送ユニット23の前端部が上下に変位することによって、操作者は、第2搬送ユニット92の第2係合部923を、第1搬送ユニット23の第1係合部232に確実に接続できる。
【0208】
また、第1搬送ユニット23が下向きに付勢されているため、第1搬送ユニット23と第2搬送ユニット92とを接続した状態において、第1搬送ユニット23は、第2搬送ユニット92を下向きに押さえ付ける。これにより、第1搬送ユニット23に接続された第2搬送ユニット92を、所定の位置に、精度良く位置づけることができる。第2搬送ユニット92は、その状態で、第1ロック901によって、上部筐体111に対して固定される。
【0209】
前述した接続構造によって、操作者による、第2搬送ユニット92の操作性が向上する。
【0210】
(外部カセットのインターロック)
外部カセット36は、図示は省略するが、紙幣の搬送機構を内蔵しており、搬送機構は、出入口361を通じて、紙幣の収納及び繰り出しを行う。ところが、外部カセット36は、搬送機構を動作させるための駆動源を備えていない。外部カセット36は、装着ユニット9に装着された状態において、マウンター91に設けられた駆動力伝達部94に機械的に連結されて、紙幣処理装置1から、駆動力の伝達を受ける。
【0211】
図16は、外部カセット36に対する駆動力の伝達構造を、模式的に示している。紙幣処理装置1は、外部カセット36へ駆動力を伝達する駆動力伝達部94と、駆動力伝達部94の駆動源に電力を供給するための電気回路95と、駆動力伝達部94を制御する制御部96と、を備えている。
【0212】
駆動力伝達部94は、ギアを有している。ギアは、
図16に例示するように、外部カセット36に機械的に接続される。外部カセット36は、駆動力伝達部94のギアに接続される接続ギア363を有している。
図16のP1602に示すように、外部カセット36がマウンター91に装着されると、駆動力伝達部94のギアは、外部カセット36の接続ギア363に接続される。駆動力伝達部94のギアが回転すると、外部カセット36の接続ギア363が回転し、外部カセット36の搬送機構は、紙幣の繰り出し、及び、紙幣の取り込みができる。外部カセット36がマウンター91に装着されている状態では、駆動力伝達部94は、外部に露出しない。
【0213】
図16のP1601に示すように、外部カセット36がマウンター91に装着されていない状態では、駆動力伝達部94の一部は、外部、より詳細には、空間914内に露出している。操作者が空間914内に手を入れると駆動力伝達部94に触れることができる。紙幣処理装置1には、露出した状態の駆動力伝達部94が動かないようなインターロックを設けてもよい。
【0214】
マウンター91には、外部カセット36と紙幣処理装置1とを電気的に接続するための第1コネクタ97が設けられている。外部カセット36には第2コネクタ364が設けられている(
図3も参照)。第1コネクタ97及び第2コネクタ364は、ドロワーコネクタとしてもよい。外部カセット36がマウンター91に装着されると、第1コネクタ97と第2コネクタ364とが接続される。第1コネクタ97及び第2コネクタ364は、例えば、外部カセット36が有するメモリ365から読み取った、又は、メモリ365に書き込む情報の通信用コネクタとしてもよい。第1コネクタ97及び第2コネクタ364は、例えば、外部カセット36に電力供給を行うためのコネクタとしてもよい。第1コネクタ97及び第2コネクタ364は、例えば、通信用コネクタかつ、電力供給用コネクタとしてもよい。
【0215】
電気回路95は、駆動力伝達部94と制御部96とを接続している。制御部96は、電力供給を受けて、駆動力伝達部94の動作を制御する。図示は省略するが、制御部96は、駆動源を含み、電気回路95は、駆動源に電力を供給する。
【0216】
マウンター91に設けた第1コネクタ97は、電気回路95に接続されている。電気回路95は、第1コネクタ97において開いている。
図16のP1601の状態においては、電気回路95が閉じていないため、駆動力伝達部94は動かない。
【0217】
第2コネクタ364は、ループを含んでいる。つまり、第2コネクタ364が有する二つの端子は、直結されている。第1コネクタ97と第2コネクタ364とが接続すると、
図16のP1602に拡大して示すように、示すように、第2コネクタ364のループは、電気回路95を閉じる。
【0218】
従って、
図16のP1601に示すように、外部カセット36をマウンター91に装着しない状態では、第1コネクタ97と第2コネクタ364とが接続されないため、電気回路95は閉じない。露出している駆動力伝達部94は動かない。
図16のP1602に示すように、操作者が、外部カセット36をマウンター91に装着させて第1コネクタ97と第2コネクタ364とが接続した状態になると、電気回路95が閉じると共に、駆動力伝達部94が外部カセット36によって隠れる。この状態において駆動源に電力が供給されて、制御部96は、駆動力伝達部94を動かすことができる。紙幣処理装置1に接続した外部カセット36は、紙幣を繰り出したり、紙幣を収納したりできる。第2コネクタ364は、駆動力伝達部94を動かすための第1のスイッチ(つまり、第1検知部に対応)として機能する。
【0219】
外部カセット36と紙幣処理装置1との間を電気的に接続するコネクタを利用することによって、新たなスイッチ等を取り付けることなく、紙幣処理装置1は、インターロックを実現できる。また、インターロックの構成は複雑ではなく、簡易である。また、メカニカルな構成によってインターロックが実現するため、誤動作を抑制できる。
【0220】
尚、前述したインターロックは、紙幣処理装置1の筐体外部に設ける以外にも、紙幣処理装置1の筐体内部に設けてもよい。例えば装着部1311~1315のそれぞれに、インターロックを設けてもよい。
【0221】
ここで、装着ユニット9にはさらに、前記第1のスイッチに加えて、第2のスイッチ98を設けてもよい。第2のスイッチ98は、
図16に例示するように、マウンター91が前方に傾けばオフになり、マウンター91が起立すればオンになるよう、装着ユニット9に取り付けられている。第2のスイッチ98は、制御部96に接続される。第2のスイッチ98は、オン信号を制御部96へ出力する。第2のスイッチ98は、第2検知部の一例である。
【0222】
制御部96は、第1のスイッチ及び第2のスイッチ98が共にオンの場合に、駆動力伝達部94を動かすように構成してもよい。こうすることで、紙幣処理装置1は、
(1)第1コネクタ97と第2コネクタ364とが接続して電気回路95が閉じる(つまり、第1のスイッチがオン)
(2)マウンター91が起立して第2のスイッチ98がオン
の二つの条件を満足した場合にのみ、駆動力伝達部94を動かす。つまり、外部カセット36を用いた処理が実行される。
【0223】
この構成の場合、以下の(1)~(4)の各状態においては、駆動力伝達部94が動かない。つまり、(1)
図1に示す装着ユニット9の格納状態、(2)
図6Aに示す装着ユニット9が格納状態と展開状態との間に有る状態、(3)
図6Bに示す装着ユニット9が展開状態にあって、外部カセット36が挿入されていない状態の場合、
図6Cに示す外部カセット36が挿入されてもマウンター91が傾いている状態、及び、(4)
図7の装着ユニット9を回動した退避状態、は全て、駆動力伝達部94が動かない。紙幣処理装置1の安全性がさらに高まる。
【0224】
(装着ユニットと金庫筐体の扉との取付構造)
前述したように、装着ユニット9は、金庫筐体131の扉1310の前に配設されている。装着ユニット9は、扉1310を覆う。装着ユニット9の支持部93は、金庫筐体131に第1ヒンジ1316を介して支持されている(
図17参照)。扉1310は、その左端において、第2ヒンジ1317を介して金庫筐体131に支持されている。
【0225】
図20は、平面視における、金庫筐体131の前端部である。
図20にも示すように、第1ヒンジ1316の第1軸Z1の位置と、第2ヒンジ1317の第5軸Z5の位置とは異なる。扉1310と、装着ユニット9とは、互いに独立して回動することができる。扉1310の回動軌跡と、装着ユニット9の回動軌跡との間とは一致しない。
【0226】
図17に示すように、扉1310には、開閉ハンドル133が設けられている。開閉ハンドル133は、扉1310における、第2ヒンジ1317とは逆側の、右端の位置に設けられている。開閉ハンドル133は、
図18に示すように、回動部1331と、把持部1332とを有している。回動部1331は、横に寝かせた樽型を有している。回動部1331は、扉1310に対して、扉1310の面に直交する軸を中心として回動するように設けられている。回動部1331は、回動することによって、扉1310をロックする状態と、ロックを解除して扉1310が開くことを許容する状態とに切り替わる。扉1310をロックする状態は、
図18のP1801に示すように、回動部1331が水平となる。P1802及びP1803に示すように、回動部1331が傾いていると、扉1310は、ロックされていない。
【0227】
把持部1332は、略半円弧状であり、回動部1331に対して、前後方向に揺動可能に取り付けられている。操作者は、把持部1332を持って回動部1331を回動させることができる。
【0228】
装着ユニット9と扉1310との間には、装着ユニット9を扉1310に対して係合できる係合部1318が介在している。係合部1318は、扉1310に固定されている。装着ユニット9の裏面側には、
図20に示すように、係合部1318に係合する被係合部1319が設けられている。金庫筐体131に対して扉1310が閉まると共に、係合部1318及び被係合部1319が互いに係合することによって、装着ユニット9が、扉1310を覆う状態で、扉1310に対して固定される。扉1310と装着ユニット9とが一体化する。
【0229】
扉1310が閉じているか、開いているかに関わらず、扉1310の係合部1318と装着ユニット9の被係合部1319とは互いに係合できる。仮に、係合部1318と被係合部1319とが互いに係合することにより扉1310と装着ユニット9とが一体化した状態において、扉1310が第1軸Z1回りに回動しかつ、装着ユニット9が第5軸Z5回りに回動しようとすると、扉1310の回動軌跡と、装着ユニット9の回動軌跡とは一致しないため、一体化した扉1310と装着ユニット9とが干渉し合ったり、扉1310の開閉操作、及び、装着ユニット9の開閉操作に支障が生じたりする恐れがある。
【0230】
そこで、干渉部材が、紙幣処理装置1に設けられている。干渉部材は、扉1310が閉じて金庫筐体131にロックされた状態に限って、扉1310と装着ユニット9との間で係合部1318及び被係合部1319が係合でき、それ以外の状態においては、係合部1318と被係合部1319との係合を禁止する。
【0231】
干渉部材は、第1干渉部材61と、第2干渉部材62とを含んでいる。第1干渉部材61は、扉1310に取り付けられている。第2干渉部材62は、装着ユニット9に取り付けられている。
【0232】
第1干渉部材61は、扉1310が開いている場合に、扉1310と装着ユニット9との間隔を一定間隔以上に維持する。第1干渉部材61は、
図17の拡大
図F172に示すように、扉1310の第2ヒンジ1317とは逆側において、開閉ハンドル133の下側に取り付けられている。第1干渉部材61は、固定部611と、起立部612とを有している。固定部611は、扉1310に固定される。起立部612は、
図19に示すように、上下方向に延びる軸回りに回動可能に、固定部611に対して取り付けられている。起立部612は、起立した状態(
図19のP1901)と、倒れた状態(
図19のP1902)との間で姿勢を変化できる。
【0233】
固定部611と起立部612との間には、詳細な図示は省略するが、付勢部材が配設している。付勢部材は、起立部612が起立状態となるように付勢している。扉1310が開いていれば、起立部612は、付勢部材によって起立状態になる。
【0234】
起立部612の基端には、ローラ614が取り付けられている。ローラ614は、金庫筐体131の縁に取り付けられた規制片613に当接する。
図19のP1902に示すように開いている扉1310が、閉まる方向へ回動すると、ローラ614が規制片613に当たって、起立部612が倒れた状態へ変位する(P1902参照)。起立部612は、扉1310が閉じていれば、倒れた状態に維持される。
【0235】
起立部612が起立している場合、
図20のP2001に示すように、装着ユニット9の裏面が、起立部612の先端に当たる。このことによって、装着ユニット9と扉1310との間隔が、それ以上に狭くなることが防止される。この場合、係合部1318と被係合部1319とが係合しない。つまり、扉1310(及び装着ユニット9)が開いている場合、係合部1318と被係合部1319とが係合しない。
【0236】
第2干渉部材62は、前述したように装着ユニット9の裏面に取り付けられている。尚、
図17は、理解を容易にするために、装着ユニット9の図示を省略し、第2干渉部材62のみを図示している。第2干渉部材62は、拡大
図F171に示すように、装着ユニット9の裏面から、扉1310に向かって延びる厚みの薄い片状の部材である。第2干渉部材62は、開閉ハンドル133に向かい合う。第2干渉部材62は、その先端部に凹部621が形成されている。凹部621は、第2干渉部材62の先端に開口していると共に、先端から基端に向かって凹陥している。
【0237】
図18に示すように、第2干渉部材62は、開閉ハンドル133の回動部1331が水平である場合、換言すれば、扉1310が閉じてロックがかかっている場合は、開閉ハンドル133の回動部1331とは干渉しない。回動部1331は凹陥部731内に位置する。装着ユニット9は、扉1310を覆う位置まで扉1310に近づくことができる。回動部1331が傾いている場合、換言すれば、扉1310が閉じていない場合、及び、扉1310が閉じていてもロックがかかっていない場合は、第2干渉部材62の先端は、回動部1331と干渉する。装着ユニット9は、扉1310を覆う位置まで近づくことができない。特に、
図20のP2002に示すように、扉1310が金庫筐体131に対して閉じている状態では、第1干渉部材61の起立部612は前述したように倒れた状態になって、装着ユニット9と干渉しない。この場合、開閉ハンドル133がロックしてない状態で、装着ユニット9と扉1310との間の係合部1318及び被係合部1319が係合してしまうと、前述の通り、装着ユニット9と扉1310とが一体化した状態で回動してしまう。第2干渉部材62は、扉1310が閉じた状態における、装着ユニット9と扉1310との係合を回避する。
【0238】
第1干渉部材61が無くて第2干渉部材62のみであれば、扉1310が開いた状態でかつ、開閉ハンドル133が水平になった状態では、装着ユニット9と扉1310とが係合してしまう。第1干渉部材61と第2干渉部材62との両方があることによって、扉1310が閉まって、開閉ハンドル133がロックした状態以外の全ての状態における、装着ユニット9と扉1310との係合を防止することができる。
【0239】
(他の構成の紙幣処理装置)
前述した装着ユニット9は、紙幣処理装置におけるオプションユニットであってもよい。つまり、紙幣処理装置は、装着ユニット9を取り外した構成にできる。
図22及び
図23は、装着ユニットを備えていない紙幣処理装置102の構成例を例示している。金庫筐体131の扉1310の前には、装着ユニットに代わってカバー135が取り付けられている。カバー135は、扉1310を覆う。カバー135は、紙幣処理装置102のセキュリティを向上し、紙幣処理装置102の美観を向上する。尚、図示は省略するが、カバー135は、扉1310を覆う状態と、扉1310を開放する状態との間を移動する。
【0240】
紙幣処理装置102は、第1搬送ユニット23が不要である。第1搬送ユニット23の配設位置は、空にしてもよいが、別のユニットを取り付けてもよい。例えば、
図22は、小型の集積ユニット210を配設している。集積ユニット210は、第4搬送路414に接続されている。集積ユニット210は、紙幣を収納できる。
【0241】
集積ユニット210は、
図23に示すように、紙幣処理装置102の前面に位置する開口2101を有してもよい。紙幣処理装置102には、開口2101を開閉するシャッターを設けてもよい。シャッターが開くと、操作者は、集積ユニット210に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。尚、シャッターを省略して、紙幣処理装置102の前面に、開口2101を常に開放させてもよい。また、集積ユニット210は、開口を有しなくてもよい。
【0242】
図8に示すように、装着ユニット9は、金庫筐体131の外に取り付けられる。また、格納状態にある装着ユニット9は、その高さが金庫筐体131の高さHを超えない。装着ユニット9は小型である。さらに、装着ユニット9は、展開状態のときのみ、処理部11に接続される。そのため、装着ユニット9を備えた紙幣処理装置1の処理部11及び金庫部13とは、装着ユニット9を備えない紙幣処理装置102の処理部11及び金庫部13とは、共用化できる。
【0243】
尚、ここに開示する技術は、紙幣処理装置に限らず、媒体の処理を行う媒体処理装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0244】
1 紙幣処理装置(媒体処理装置)
101 紙幣処理装置(媒体処理装置)
102 紙幣処理装置(媒体処理装置)
25 識別部
11 処理部(第1ユニット)
111 上部筐体
13 金庫部(第2ユニット)
1311~1315 装着部(第2マウンター)
23 第1搬送ユニット
231 接続口
232 第1係合部
24 一時保留部
31~35 収納装置(内部収納部、内部カセット)
36 外部カセット
363 接続ギア
364 第2コネクタ(第1検知部)
4 搬送部
41 上側搬送部(第1搬送部)
401 第1特定搬送路
402 第2特定搬送路
403 第3特定搬送路
70 シャッター
8 リンク機構
82 第2リンク機構(連結機構)
821 サブロッド
822 第2揺動部材(アーム)
83 第3リンク機構(連結機構)
835 トルクリミッタ
9 装着ユニット(第3ユニット)
91 マウンター
912 カバー部(スライダー)
913 本体部
92 第2搬送ユニット
94 駆動力伝達部
95 電気回路
97 第1コネクタ(第1検知部)
903 解除スイッチ
911 第1面
921 第2面
922 第1ハンドル
923 第2係合部
931 第2ハンドル
98 第2のスイッチ(第2検知部)
1310 扉(開閉扉)