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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061546
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】半田印刷検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220412BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220412BHJP
   G06T 7/50 20170101ALI20220412BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T7/00 610
G06T7/50
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169513
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】菊池 和義
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065AA53
2F065AA54
2F065AA59
2F065BB02
2F065CC01
2F065CC26
2F065CC28
2F065DD04
2F065FF01
2F065FF02
2F065FF04
2F065FF06
2F065FF09
2F065FF10
2F065GG17
2F065GG21
2F065GG23
2F065HH03
2F065HH06
2F065HH07
2F065HH12
2F065HH14
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL53
2F065NN02
2F065NN05
2F065PP12
2F065PP15
2F065QQ01
2F065QQ06
2F065QQ08
2F065QQ13
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ41
2F065RR05
2F065RR09
2F065SS04
5L096BA03
5L096DA02
5L096GA51
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】半田付け不良の発生等を抑制することのできる半田印刷検査装置を提供する。
【解決手段】半田印刷検査装置13は、プリント基板1上に印刷されたクリーム半田の印刷状態をリフロー前に検査する検査装置であり、プリント基板1に対し光を照射する照明装置32A,32Bと、該光の照射されたプリント基板1を撮像するカメラ32Dとを備え、取得された画像データを基にプリント基板1上に印刷されたクリーム半田の三次元計測データを取得し、これを基にクリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出し、これを所定の判定基準と比較することにより、クリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に印刷されたクリーム半田の印刷状態をリフロー前に検査する半田印刷検査装置であって、
前記プリント基板に対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光の照射された前記プリント基板を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記プリント基板上に印刷された所定のクリーム半田の三次元計測データを取得可能な三次元計測手段と、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該クリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出可能な上部形状データ抽出手段と、
前記所定のクリーム半田に係る上部形状データを、所定の判定基準と比較することにより、少なくとも前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能な上部形状良否判定手段とを備えたことを特徴とする半田印刷検査装置。
【請求項2】
入力される形状データから特徴量を抽出する符号化部と該特徴量から形状データを再構成する復号化部とを有するニューラルネットワークに対し、良品の前記クリーム半田に係る前記上部形状データのみを学習データとして学習させて生成した識別手段を備え、
前記上部形状良否判定手段は、
前記上部形状データ抽出手段により抽出された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを元上部形状データとして前記識別手段へ入力して再構成された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを再構成上部形状データとして取得可能な再構成形状データ取得手段と、
前記元上部形状データと前記再構成上部形状データとを比較可能な比較手段とを備え、
前記比較手段による比較結果に基づき、前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半田印刷検査装置。
【請求項3】
前記上部形状データ抽出手段は、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データから、少なくとも前記所定のクリーム半田の裾野部を含む該クリーム半田の所定高さ未満の下部部分に係る下部形状データを切り捨てることにより、前記上部形状データを抽出可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半田印刷検査装置。
【請求項4】
前記照射手段は、
前記所定の光として三次元計測用の光を照射可能に構成され、
前記三次元計測手段は、
前記三次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の三次元計測データを取得可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項5】
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の三次元情報について良否判定可能な三次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項6】
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項7】
前記照射手段は、前記所定の光として二次元計測用の光を照射可能に構成され、
前記二次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の二次元計測データを取得可能な二次元計測手段と、
前記二次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の二次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に印刷されたクリーム半田の印刷状態を検査する半田印刷検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント基板上に電子部品を実装する基板製造ラインにおいては、まずプリント基板のランド上にクリーム半田が印刷される(半田印刷工程)。次に、該クリーム半田の粘性に基づいてプリント基板上に電子部品が仮止めされる(マウント工程)。その後、かかるプリント基板がリフロー炉へ導かれ、クリーム半田を加熱溶融することで半田付けが行われる(リフロー工程)。
【0003】
通常、このような基板製造ラインにおいては、プリント基板に印刷されたクリーム半田の印刷状態を検査する半田印刷検査装置が設けられている。
【0004】
半田印刷検査装置の1つとして、例えばプリント基板に印刷されたクリーム半田を三次元計測し、印刷位置や面積、高さ、体積など該クリーム半田に係る各種計測データを求め、該計測データと、予め設定された検査基準データとを比較することにより、クリーム半田の印刷状態の良否判定を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-75899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、半田印刷検査段階において、クリーム半田の印刷位置や面積、高さ、体積など各種計測データが検査基準を満たしていたとしても、リフロー後において、図10(a),(b)に示すように、プリント基板1上のランド3脇などに微小な半田屑(以下、「半田ボール」という。)205が付着していたり、電子部品の電極25aとランド3との半田接合部(溶融固化したクリーム半田)202内に空洞206が形成されてしまうなどの半田付け不良(接合不良)が見つかる場合があった。電子部品の半田付けが適正に行われないと、不良品の発生率が高まるおそれがある。
【0007】
このようなリフロー後に見つかる半田付け不良の発生要因としては、様々な要因が考えられるが、その1つとして、リフロー前の半田印刷工程において、ランド上に印刷されたクリーム半田の三次元形状の良し悪しに起因していることが考えられる。
【0008】
クリーム半田が加熱溶融されるリフロー工程においては、クリーム半田に含まれるフラックスが気化する。また、リフロー工程におけるクリーム半田の溶融は、高温外気に接するクリーム半田の外側から始まり、内側へと進行する。
【0009】
そのため、例えば図9(a)に示すように、ランド3上に印刷されたクリーム半田5の頂部に窪み5cが存在し、図9(b)に示すように、その窪み5c上に電子部品の電極25aが載置されてしまったような場合には、所謂「溶融半田の壁」等と称される、リフロー工程の初期段階において先に溶融したクリーム半田5の露出部分5dや、クリーム半田5上に載置された電子部品の電極25a等によって、内部の未溶融のクリーム半田5に含まれるフラックス及びその気化ガスの外部への流出経路(逃げ道)が塞がれた状態となり、それらが窪み5cの内部に溜まってしまうことがある。
【0010】
その後、窪み5c内に溜まったフラックス気化ガスが露出部分5d(溶融半田の壁)を突き破り、勢い噴出すると、溶融したクリーム半田5(又は未溶融のクリーム半田5)を押し出して、半田ボール205が形成される。
【0011】
逆に、窪み5c内に溜まったフラックス気化ガスが抜けず、そのままクリーム半田5が溶融固化してしまうと、半田接合部202内に空洞206が形成されることとなる。
【0012】
尚、リフロー後に上述したような半田付け不良となり得るクリーム半田5の三次元形状は、図9(a)等に示したような窪み5cが形成された形状に限られるものではない。例えばランド3上に印刷されたクリーム半田5の形状が歪で、その厚みに偏りがある場合にも、分厚くなった部分からのフラックス気化ガスの抜けが悪くなり、同様の不具合が発生するおそれがある。
【0013】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、半田付け不良の発生等を抑制することのできる半田印刷検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.プリント基板上に印刷されたクリーム半田の印刷状態をリフロー前(リフロー工程よりも前段階、部品搭載前)に検査する半田印刷検査装置であって、
前記プリント基板に対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光の照射された前記プリント基板を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記プリント基板上に印刷された所定(所定位置)のクリーム半田の三次元計測データを取得可能な三次元計測手段と、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該クリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出可能な上部形状データ抽出手段と、
前記所定のクリーム半田に係る上部形状データを、所定の判定基準と比較することにより、少なくとも前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能な上部形状良否判定手段とを備えたことを特徴とする半田印刷検査装置。
【0016】
尚、以下の手段においても同様であるが、上記「所定高さ」として、所定の高さ基準面(計測基準面)を除く任意の高さ位置を設定することができる。例えばクリーム半田が印刷されるランド上面やその周辺のレジスト上面など所定の高さ基準面の高さ位置から所定距離だけ上方の高さ位置や、計測したクリーム半田の頂部の高さ位置から所定距離だけ下方の高さ位置などを設定することができる。
【0017】
上記手段1によれば、まずプリント基板上に印刷された所定のクリーム半田を撮像し得られた画像データを基に、該クリーム半田の三次元計測データを取得する。次に、この所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該クリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出する。そして、この上部形状データを所定の判定基準と比較することにより、所定のクリーム半田の上部部分の三次元形状の良否を判定する。
【0018】
一例として、検査対象となる所定位置のランド上に印刷された所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状(上部形状データ)と、所定の判定基準として予め設定された所定の三次元形状(上部形状データ)とを比較し、その差が許容範囲内にあるか否かにより良否判定を行う構成などを挙げることができる。
【0019】
ここで予め設定される「所定の判定基準(所定の三次元形状)」としては、例えば作業者が良品と見做す所定の三次元形状を有するクリーム半田の上部部分に係る上部形状データや、リフロー後に半田付け不良が見られなかった所定位置(検査対象と同一位置)のランド上に印刷されたリフロー前のクリーム半田の上部部分に係る上部形状データなどを採用することができる。
【0020】
本手段によれば、従来のように、プリント基板上に印刷されたクリーム半田の面積や高さ、体積などを比較判定する検査だけでは検出することが困難であった、リフロー後に見つかる半田付け不良(半田ボールや空洞など)の原因となり得るクリーム半田の形状不良箇所(窪み等)を、リフロー前の半田印刷検査工程において事前に検出することが可能となる。結果として、リフロー後の半田付け不良の発生を抑制することができる。
【0021】
加えて、本手段では、プリント基板上の所定位置に印刷されたクリーム半田の三次元形状の全体ではなく、該クリーム半田の上部部分に係る三次元形状(上部形状データ)のみを良否判定する構成となっているため、該クリーム半田の全体を良否判定する場合に比べて、処理負担の軽減を図ることができる。
【0022】
図8(a)に示すように、プリント基板1のランド3上に印刷されるクリーム半田5は、その断面形状が略矩形状となるのが理想的であるが、現実的には、図8(b)に示すように、印刷時におけるスクリーンマスク開口部周縁からのクリーム半田5の滲みや、印刷後におけるクリーム半田5側面からの半田粒子の崩れ等によって、クリーム半田5下部のランド3との付け根部には、緩やかに傾斜して広がった裾野部5aが形成されることとなる。
【0023】
このように形成される半田裾野部5aは、当然、その形状が安定せず、個々のクリーム半田5ごとに形状が異なる。そのため、仮に半田裾野部5aを含むクリーム半田5全体の三次元形状を比較検査対象とした場合には、判定基準の許容範囲を大きく設定せざるを得ず、検査精度が低下するおそれがある。また、処理負担も著しく増大する。
【0024】
半田裾野部5aを含むクリーム半田5の下部部分に係る形状不良によって生じ得る問題は、主に面積不良や位置ズレ、複数のランド間に跨って存在しプリント基板上の回路を短絡させる半田ブリッジの有無など、クリーム半田5の二次元形状等に基づき良否判定を行うことができるものであり、三次元形状の良否判定を必ずしも必要とするものではない。
【0025】
つまり、本手段によれば、クリーム半田の下部部分(裾野部)に係る三次元形状検査を排除することで、従来、事実上困難であった検査効率及び検査精度の高いクリーム半田の三次元形状検査が実現可能となる。
【0026】
手段2.入力される形状データから特徴量を抽出する符号化部(エンコーダ)と該特徴量から形状データを再構成する復号化部(デコーダ)とを有するニューラルネットワークに対し、良品の前記クリーム半田に係る前記上部形状データのみを学習データとして学習させて生成した識別手段(生成モデル)を備え、
前記上部形状良否判定手段は、
前記上部形状データ抽出手段により抽出された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを元上部形状データとして前記識別手段へ入力して再構成された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを再構成上部形状データとして取得可能な再構成形状データ取得手段と、
前記元上部形状データと前記再構成上部形状データとを比較可能な比較手段とを備え、
前記比較手段による比較結果に基づき、前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の半田印刷検査装置。
【0027】
以下の手段においても同様であるが、上記「学習データ」として用いる「良品の前記クリーム半田に係る前記上部形状データ」には、これまでの半田印刷検査で蓄積された形状データを用いることができる。例えばリフロー後に半田付け不良が見られないプリント基板のランド上に印刷されたリフロー前の良品のクリーム半田の上部部分に係る上部形状データなどを利用することができる。これに限らず、クリーム半田の印刷後に作業者が目視により選別した、凹みや偏り等の形状不良がない良品のクリーム半田の上部部分に係る上部形状データなどを利用してもよい。
【0028】
また、上記「ニューラルネットワーク」には、例えば複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワークなどが含まれる。上記「学習」には、例えば深層学習(ディープラーニング)などが含まれる。上記「識別手段(生成モデル)」には、例えばオートエンコーダ(自己符号化器)や、畳み込みオートエンコーダ(畳み込み自己符号化器)などが含まれる。
【0029】
尚、リフロー後に半田ボールや空洞などの半田付け不良が生じる原因となり得るクリーム半田の不良箇所の形状は、良品の形状とは異なり多様である。このため、上記手段1のように、クリーム半田の下部部分(裾野部)に係る三次元形状検査を排除し、クリーム半田の上部部分に係る三次元形状(上部形状データ)のみを良否判定する構成としたとしても、不良形状のパターンをすべて記憶し、パターンマッチング等により、検査対象となるクリーム半田の不良形状を検出することは実質的に不可能である。
【0030】
また、クリーム半田は、約30μm前後の微小な半田粒子をフラックスで練ってつくられたものであるため、崩れやすく、同一プリント基板上であっても、各ランド上に印刷される形状は様々である。そのため、仮に所定の良品形状を判定基準として記憶し、その許容範囲から外れた形状を不良と判別する構成としようとしたとしても、判定基準を設定すること自体が困難で、クリーム半田の形状不良箇所を検出するためのアルゴリズムを作成することが非常に難しくなるおそれがあった。
【0031】
これに対し、上記手段2によれば、ニューラルネットワークを学習して構築した自己符号化器等の識別手段(生成モデル)を用いて、プリント基板のランド上に印刷されたクリーム半田の上部部分に、リフロー後に半田ボールや空洞などの半田付け不良が生じる原因となり得る形状不良箇所があるか否かを判定している。これにより、従来では検出することが困難であったクリーム半田の形状不良箇所を精度良く検出することが可能となる。
【0032】
さらに、本手段では、検査対象となる所定のクリーム半田を三次元計測して得た元上部形状データ(元の上部形状データ)と、その元上部形状データを基に再構成して得た再構成上部形状データ(再構成された上部形状データ)とを比較しているため、比較する両形状データにおいて、検査対象物であるプリント基板側の撮像条件(例えばプリント基板の配置位置や配置角度、たわみ等)や、検査装置側の撮像条件(例えば照明状態やカメラの画角等)の違いに基づく影響がなく、形状不良箇所をより正確に検出することが可能となる。
【0033】
また、仮にプリント基板上の所定位置のランドに印刷されるクリーム半田に係る三次元形状検査を行う際に、良否判定基準として、検査対象となる所定位置のランド及びここに印刷されるクリーム半田に関する印刷設定情報(位置データや寸法データ、形状データなど)を必要とする構成においては、ガーバデータなど基板設計情報を予め記憶しておき、その都度、検査対象となる所定位置のランド及びここに印刷されるクリーム半田に関する印刷設定情報を取得し、該印刷設定情報と比較しつつ検査対象となる所定位置のランドに印刷されたクリーム半田の三次元形状の良否判定を行うこととなるため、検査効率が著しく低下するおそれがある。また、プリント基板の検査位置への位置決めを正確に行う必要がある。
【0034】
これに対し、本手段によれば、自己符号化器等の識別手段を利用して、各ランドに印刷されるクリーム半田の三次元形状検査を行う構成となっているため、プリント基板上に存在する多数のランド及びこれらに対しそれぞれ印刷されるクリーム半田個々の印刷設定情報を予め記憶しておく必要もなく、三次元形状検査に際しそれを参照する必要もないため、検査効率の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、検査対象として三次元計測した所定位置のクリーム半田の上部部分に係る上部形状データと、該所定位置に対応して予め設定した所定の判定基準(良品の上部形状データ)とを比較する場合等のように、検査対象と判定基準の位置合わせや、検査対象に合わせて判定基準の向き(姿勢)を回転させるなどの調整を行う必要がないため、三次元形状検査の高速化を図ることができる。結果として、1つのクリーム半田の三次元形状検査にかかる処理数が格段に減り、検査処理速度を格段に速めることができる。
【0036】
手段3.前記上部形状データ抽出手段は、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データから、少なくとも前記所定のクリーム半田の裾野部を含む該クリーム半田の所定高さ未満の下部部分に係る下部形状データを切り捨てることにより、前記上部形状データを抽出可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の半田印刷検査装置。
【0037】
尚、上述したように、上記「所定高さ」は、所定の高さ基準面(計測基準面)を除き任意に設定可能である。例えば「所定高さ」を、(1)ランド上面やレジスト上面など所定の高さ基準面から「半田の粒径1つ分の高さ」としてもよいし、(2)所定の高さ基準面から「20~40μmの高さ」としてもよし、(3)「良品となるクリーム半田の印刷高さの1/3の高さ」としてもよいし、(4)「半田印刷時に使用するスクリーンマスクの厚みの1/3の高さ」としてもよい。
【0038】
手段4.前記照射手段は、
前記所定の光として三次元計測用の光(例えば縞状の光強度分布を有するパターン光)を照射可能に構成され、
前記三次元計測手段は、
前記三次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の三次元計測データを取得可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【0039】
上記手段4によれば、例えば所定の三次元計測法を利用して、クリーム半田の三次元計測データを取得することにより、形状不良箇所を含むクリーム半田の三次元形状をより精度良く把握することができる。結果として、検査精度の向上を図ることができる。
【0040】
尚、上記「三次元計測法」の一例として、位相の異なる複数通りのパターン光の下で取得された複数通りの画像データを基に三次元計測データを取得する位相シフト法などを挙げることができる。
【0041】
手段5.前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の三次元情報(例えば体積や高さなど)について良否判定可能な三次元良否判定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【0042】
上記手段5によれば、上記手段1等に係る構成に加えて、クリーム半田に係る所定の三次元情報(体積や高さなど)についても良否判定を行うことにより、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0043】
手段6.前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報(例えば面積や位置、二次元形状、半田ブリッジなど)について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【0044】
上記手段6によれば、上記手段1等に係る構成に加えて、クリーム半田の二次元検査を行うことで、さらなる検査精度の向上を図ることができる。尚、本手段のように二次元検査を行うことにより、上記手段1等に係る三次元形状検査において排除されたクリーム半田の下部部分(形状の安定しない裾野部を含む)に係る実質的な検査を、それほど負荷を増大させることなく行うことができる。
【0045】
手段7.前記照射手段は、前記所定の光として二次元計測用の光(例えば均一光)を照射可能に構成され、
前記二次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の二次元計測データを取得可能な二次元計測手段と、
前記二次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の二次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報(例えば面積や位置、二次元形状、半田ブリッジなど)について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【0046】
上記手段7によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】プリント基板の一部を拡大した部分拡大平面図である。
図2】プリント基板の製造ラインの構成を示すブロック図である。
図3】半田印刷検査装置を模式的に示す概略構成図である。
図4】半田印刷検査装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】ニューラルネットワークの構造を説明するための模式図である。
図6】ニューラルネットワークの学習処理の流れを示すフローチャートである。
図7】半田印刷検査処理の流れを示すフローチャートである。
図8】ランド上に印刷されたクリーム半田を示すプリント基板の部分拡大断面図であって、(a)は、理想的な断面形状を有するクリーム半田を示し、(b)は、形状不良箇所のない良品のクリーム半田を示し、(c)は、クリーム半田の所定高さについて説明している。
図9】ランド上に印刷された形状不良のクリーム半田等を示すプリント基板の部分拡大断面図であって、(a)は、頂部に窪みが形成されたクリーム半田を示し、(b)は、その窪みの上に電子部品の電極が載置された状態を示している。
図10】半田ボールや空洞などが形成されたリフロー後の半田接合部及びその周辺を示すプリント基板の部分拡大断面図であって、(a)は、側方から視た半田接合部等を示し、(b)は、上方から視た半田接合部等を示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、半田印刷検査装置の一実施形態について説明する。まず半田印刷検査装置の検査対象となるプリント基板の構成について説明する。図1は、プリント基板の一部を拡大した部分拡大平面図である。
【0049】
図1に示すように、プリント基板1は、ガラスエポキシ樹脂等からなる平板状のベース基板2の表面に、銅箔からなる配線パターン(図示略)や複数のランド3が形成されたものである。また、ベース基板2の表面には、ランド3を除く部分にレジスト膜4がコーティングされている。そして、ランド3上には、計測対象となるクリーム半田5が印刷される。尚、図1では、便宜上、クリーム半田5を示す部分に散点模様が付されている。
【0050】
次にプリント基板1を製造する製造ライン(製造工程)について図2を参照して説明する。図2は、プリント基板1の製造ライン10の構成を示すブロック図である。本実施形態における製造ライン10では、その正面側から見て、左から右へプリント基板1が搬送されるように設定されている。
【0051】
図2に示すように、製造ライン10には、その上流側(図2左側)から順に、半田印刷機12、半田印刷検査装置13、部品実装機14、リフロー装置15、及び、リフロー後検査装置16が設置されている。
【0052】
半田印刷機12は、プリント基板1の各ランド3上にクリーム半田5を印刷する半田印刷工程を行う。本実施形態では、スクリーン印刷によりクリーム半田5の印刷が行われる。具体的に、スクリーン印刷では、まずプリント基板1上の各ランド3に対応して複数の開口部が形成されたスクリーンマスクの下面をプリント基板1に当接させる。その後、該スクリーンマスク上にクリーム半田5を供給してスキージを摺動させることにより、開口部内にクリーム半田5を充填する。続いて、プリント基板1をスクリーンマスクの下面から版離れさせることにより、プリント基板1の各ランド3上に所定形状のクリーム半田5が印刷される。
【0053】
尚、図8(a)に示すように、プリント基板1のランド3上に印刷されるクリーム半田5は、その断面形状が略矩形状となるのが理想的であるが、現実的には、図8(b)に示すように、印刷時におけるスクリーンマスク開口部周縁からのクリーム半田5の滲みや、印刷後におけるクリーム半田5側面から半田粒子の崩れ等によって、クリーム半田5下部のランド3との付け根部には、緩やかに傾斜して広がった裾野部5aが形成されることとなる。
【0054】
半田印刷検査装置13は、ランド3上に印刷されたクリーム半田5の状態を検査する半田印刷検査工程を行う。半田印刷検査装置13の詳細については後述する。
【0055】
部品実装機14は、クリーム半田5が印刷されたランド3上に電子部品25(図1参照)を搭載する部品実装工程(マウント工程)を行う。電子部品25は、複数の電極25aを備えており(図9等参照)、該電極25aがそれぞれ所定のクリーム半田5に対し仮止めされる。
【0056】
リフロー装置15は、クリーム半田5を加熱溶融させて、ランド3と、電子部品25の電極25aとを半田接合(半田付け)するリフロー工程を行う。
【0057】
リフロー後検査装置16は、リフロー工程において半田接合が適切に行われたか否か等について検査するリフロー後検査工程を行う。例えば輝度画像データ等を用いて電子部品25の位置ズレや半田ボール205〔図10(a),(b)参照〕の有無などを検査したり、X線透過画像データ等を用いて半田接合部202内における空洞206〔図10(a),(b)参照〕の有無などを検査する。
【0058】
つまり、製造ライン10では、プリント基板1が順次搬送されつつ、半田印刷工程→半田印刷検査工程→部品実装工程(マウント工程)→リフロー工程→リフロー後検査工程が行われるようになっている。
【0059】
この他、図示は省略するが、製造ライン10には、半田印刷機12と半田印刷検査装置13との間など、上記各装置間において、プリント基板1を移送するためのコンベア等が設けられている。また、半田印刷検査装置13と部品実装機14との間やリフロー後検査装置16の下流側には分岐装置が設けられている。そして、半田印刷検査装置13やリフロー後検査装置16にて良品判定されたプリント基板1は、そのまま下流側へ案内される一方、不良品判定されたプリント基板1は分岐装置により不良品貯留部へと排出されることとなる。
【0060】
ここで、半田印刷検査装置13の構成について図3,4を参照して詳しく説明する。図3は、半田印刷検査装置13を模式的に示す概略構成図である。図4は、半田印刷検査装置13の機能構成を示すブロック図である。
【0061】
半田印刷検査装置13は、プリント基板1の搬送や位置決め等を行う搬送機構31と、プリント基板1の検査を行うための検査ユニット32と、搬送機構31や検査ユニット32の駆動制御をはじめ、半田印刷検査装置13内における各種制御や画像処理、演算処理を実行する制御装置33(図4参照)とを備えている。
【0062】
搬送機構31は、プリント基板1の搬入出方向に沿って配置された一対の搬送レール31aと、各搬送レール31aに対し回転可能に配設された無端のコンベアベルト31bと、該コンベアベルト31bを駆動するモータ等の駆動手段(図示略)と、プリント基板1を所定位置に位置決めするためのチャック機構(図示略)と備え、制御装置33(後述する搬送機構制御部79)により駆動制御される。
【0063】
上記構成の下、半田印刷検査装置13へ搬入されたプリント基板1は、搬入出方向と直交する幅方向の両側縁部がそれぞれ搬送レール31aに挿し込まれると共に、コンベアベルト31b上に載置される。続いて、コンベアベルト31bが動作を開始し、プリント基板1が所定の検査位置まで搬送される。プリント基板1が検査位置に達すると、コンベアベルト31bが停止すると共に、チャック機構が作動する。このチャック機構の動作により、コンベアベルト31bが押し上げられ、コンベアベルト31bと搬送レール31aの上辺部によってプリント基板1の両側縁部が挟持された状態となる。これにより、プリント基板1が検査位置に位置決め固定される。検査が終了すると、チャック機構による固定が解除されると共に、コンベアベルト31bが動作を開始する。これにより、プリント基板1は、半田印刷検査装置13から搬出される。勿論、搬送機構31の構成は、上記形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0064】
検査ユニット32は、搬送レール31a(プリント基板1の搬送路)の上方に配設されている。検査ユニット32は、三次元計測用の照射手段である第1照明装置32A及び第2照明装置32Bと、二次元計測用の照射手段である第3照明装置32Cと、プリント基板1上の所定の検査範囲を真上から撮像する撮像手段としてのカメラ32Dと、X軸方向(図3左右方向)への移動を可能とするX軸移動機構32E(図4参照)と、Y軸方向(図3前後方向)への移動を可能とするY軸移動機構32F(図4参照)とを備え、制御装置33(後述する移動機構制御部76)により駆動制御される。
【0065】
尚、プリント基板1の「検査範囲」は、カメラ32Dの撮像視野(撮像範囲)の大きさを1単位としてプリント基板1に予め設定された複数のエリアのうちの1つのエリアである。
【0066】
制御装置33(移動機構制御部76)は、X軸移動機構32E及びY軸移動機構32Fを駆動制御することにより、検査ユニット32を、検査位置に位置決め固定されたプリント基板1の任意の検査範囲の上方位置へ移動することができる。そして、プリント基板1に設定された複数の検査範囲に検査ユニット32を順次移動させつつ、該検査範囲に係る検査を実行していくことで、プリント基板1全域の検査を実行する構成となっている。
【0067】
第1照明装置32A及び第2照明装置32Bは、クリーム半田5の三次元計測を行うにあたり、それぞれプリント基板1上の所定の検査範囲に対し斜め上方から三次元計測用の所定の光(縞状の光強度分布を有するパターン光)を照射する機能を有する。
【0068】
具体的に、第1照明装置32Aは、所定の光を発する第1光源32Aaや、該第1光源32Aaからの光を縞状の光強度分布を有する第1パターン光に変換する第1格子を形成する第1液晶シャッタ32Abを備え、制御装置33(後述する照明制御部72)により駆動制御される。
【0069】
第2照明装置32Bは、所定の光を発する第2光源32Baや、該第2光源32Baからの光を縞状の光強度分布を有する第2パターン光に変換する第2格子を形成する第2液晶シャッタ32Bbを備え、制御装置33(後述する照明制御部72)により駆動制御される。
【0070】
上記構成の下、各光源32Aa,32Baから発せられた光はそれぞれ集光レンズ(図示略)に導かれ、そこで平行光にされた後、液晶シャッタ32Ab,32Bbを介して投影レンズ(図示略)に導かれ、プリント基板1に対しパターン光として投影されることとなる。また、本実施形態では、各パターン光の位相がそれぞれ4分の1ピッチずつシフトするように、液晶シャッタ32Ab,32Bbの切替制御が行われる。
【0071】
尚、格子として液晶シャッタ32Ab,32Bbを使用することにより、理想的な正弦波に近いパターン光を照射することができる。これにより、三次元計測の計測分解能が向上する。また、パターン光の位相シフト制御を電気的に行うことができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0072】
第3照明装置32Cは、プリント基板1上のランド3やクリーム半田5などの各種領域を抽出するための二次元計測を行うにあたり、プリント基板1上の所定の検査範囲に対し二次元計測用の所定の光(例えば均一光)を照射するように構成されている。
【0073】
具田的に、第3照明装置32Cは、青色光を照射可能なリングライト、緑色光を照射可能なリングライト、及び、赤色光を照射可能なリングライトを具備している。尚、第3照明装置32Cは、公知技術と同様の構成であるため、その詳細な説明については省略する。
【0074】
カメラ32Dは、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の撮像素子と、該撮像素子に対しプリント基板1の像を結像させる光学系(レンズユニットや絞りなど)とを有しており、その光軸が上下方向(Z軸方向)に沿うように配置されている。勿論、撮像素子は、これらに限定されるものではなく、他の撮像素子を採用してもよい。
【0075】
カメラ32Dは、制御装置33(後述するカメラ制御部73)により駆動制御される。より詳しくは、制御装置33は、各照明装置32A,32B,32Cによる照射処理と同期をとりながら、カメラ32Dによる撮像処理を実行する。これにより、照明装置32A,32B,32Cのいずれかから照射された光のうち、プリント基板1にて反射した光が、カメラ32Dによって撮像され、画像データが生成されることとなる。
【0076】
尚、本実施形態におけるカメラ32Dは、カラーカメラで構成されている。これにより、第3照明装置32Cの各色リングライトから同時に照射され、プリント基板1に反射した各色の光を一度に撮像することができる。
【0077】
このようにカメラ32Dによって撮像され生成された画像データは、該カメラ32Dの内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で制御装置33(後述の画像取得部74)に転送され記憶される。そして、制御装置33(後述するデータ処理部75等)は、該画像データを基に、後述する各種画像処理や演算処理等を実施する。
【0078】
制御装置33は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや固定値データ等を記憶するROM(Read Only Memory)、各種演算処理の実行に際して各種データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)及びこれらの周辺回路等を含んだコンピュータからなる。
【0079】
そして、制御装置33は、CPUが各種プログラムに従って動作することで、後述するメイン制御部71、照明制御部72、カメラ制御部73、画像取得部74、データ処理部75、移動機構制御部76、学習部77、検査部78、搬送機構制御部79などの各種機能部として機能する。
【0080】
但し、上記各種機能部は、上記CPU、ROM、RAMなどの各種ハードウェアが協働することで実現されるものであり、ハード的又はソフト的に実現される機能を明確に区別する必要はなく、これらの機能の一部又は全てがICなどのハードウェア回路により実現されてもよい。
【0081】
さらに、制御装置33には、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される入力部55、液晶ディスプレイなどの表示画面を有する表示部56、各種データやプログラム、演算結果、検査結果等を記憶可能な記憶部57、外部と各種データを送受信可能な通信部58などが設けられている。
【0082】
ここで、制御装置33を構成する上記各種機能部について詳しく説明する。メイン制御部71は、半田印刷検査装置13全体の制御を司る機能部であり、照明制御部72やカメラ制御部73など他の機能部と各種信号を送受信可能に構成されている。
【0083】
照明制御部72は、照明装置32A,32B,32Cを駆動制御する機能部であり、メイン制御部71からの指令信号に基づき、照射光の切換制御などを行う。
【0084】
カメラ制御部73は、カメラ32Dを駆動制御する機能部であり、メイン制御部71からの指令信号に基づき撮像タイミングなどを制御する。
【0085】
画像取得部74は、カメラ32Dにより撮像され取得された画像データを取り込むための機能部である。
【0086】
データ処理部75は、画像取得部74により取り込まれた画像データに所定の画像処理を施したり、該画像データを用いて二次元計測処理や三次元計測処理などを行う機能部である。例えば、後述する学習処理においては、ディープニューラルネットワーク90(以下、単に「ニューラルネットワーク90」という。図5参照。)の学習に用いる学習データとなる学習用形状データ(学習用の上部形状データ)を生成する。また、後述する検査処理においては、上部検査用形状データ(検査用の上部形状データ)を生成する。
【0087】
移動機構制御部76は、X軸移動機構32E及びY軸移動機構32Fを駆動制御する機能部であり、メイン制御部71からの指令信号に基づき、検査ユニット32の位置を制御する。
【0088】
学習部77は、学習データ等を用いてニューラルネットワーク90の学習を行い、識別手段としてのAI(Artificial Intelligence)モデル100を構築する機能部である。
【0089】
尚、本実施形態におけるAIモデル100は、後述するように、リフロー後に異常(半田付け不良)の見られなかった良品のプリント基板1の半田印刷検査時に計測されたクリーム半田5の上部形状データのみを学習データとして、ニューラルネットワーク90を深層学習(ディープラーニング)させて構築した生成モデルであり、いわゆるオートエンコーダ(自己符号化器)の構造を有する。
【0090】
ここで、ニューラルネットワーク90の構造について図5を参照して説明する。図5は、ニューラルネットワーク90の構造を概念的に示した模式図である。図5に示すように、ニューラルネットワーク90は、入力される形状データGAから特徴量(潜在変数)TAを抽出する符号化部としてのエンコーダ部91と、該特徴量TAから形状データGBを再構成する復号化部としてのデコーダ部92と有してなる畳み込みオートエンコーダ(CAE:Convolutional Auto-Encoder)の構造を有している。
【0091】
畳み込みオートエンコーダの構造は公知のものであるため、詳しい説明は省略するが、エンコーダ部91は複数の畳み込み層(Convolution Layer) 93を有し、各畳み込み層93では、入力データに対し複数のフィルタ(カーネル)94を用いた畳み込み演算が行われた結果が次層の入力データとして出力される。同様に、デコーダ部92は複数の逆畳み込み層(Deconvolution Layer)95を有し、各逆畳み込み層95では、入力データに対し複数のフィルタ(カーネル)96を用いた逆畳み込み演算が行われた結果が次層の入力データとして出力される。そして、後述する学習処理では、各フィルタ94,96の重み(パラメータ)が更新されることとなる。
【0092】
検査部78は、プリント基板1に印刷されたクリーム半田5の印刷状態について検査を行う機能部である。例えば本実施形態では、ランド3上に印刷されたクリーム半田5に、窪み5c〔図9(a),(b)参照〕などの形状不良箇所がある否かについて三次元形状検査を行う。
【0093】
搬送機構制御部79は、搬送機構31を駆動制御する機能部であり、メイン制御部71からの指令信号に基づき、プリント基板1の位置を制御する。
【0094】
記憶部57は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、例えばAIモデル100(ニューラルネットワーク90及びその学習により獲得した学習情報)を記憶する所定の記憶領域を有している。
【0095】
通信部58は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等の通信規格に準じた無線通信インターフェースなどを備え、外部と各種データを送受信可能に構成されている。例えば検査部78により行われた検査の結果などが通信部58を介して外部に出力されたり、リフロー後検査装置16により行われた検査の結果が通信部58を介して入力される。
【0096】
次に、半田印刷検査装置13によって行われるニューラルネットワーク90の学習処理について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
所定の学習プログラムの実行に基づき、学習処理が開始されると、メイン制御部71は、はじめにステップS101において、ニューラルネットワーク90の学習を行うための前処理を行う。
【0098】
この前処理では、まず通信部58を介してリフロー後検査装置16に蓄積された多数のプリント基板1の検査情報を取得する。続いて、該検査情報に基づき、記憶部57から、リフロー後検査に合格した半田付け不良のない良品のプリント基板1に係る三次元計測データ(半田印刷検査時に計測した多数のクリーム半田5の三次元計測データ)を取得する。かかる処理は、学習データとして必要な数のクリーム半田5の三次元計測データが取得されるまで行われる。
【0099】
尚、リフロー後検査装置16から検査情報を取得するプリント基板1は、検査対象となるプリント基板1と同一構成のものであることが好ましい。但し、プリント基板1の厚さや材質、大きさや配置レイアウト等の同一性は必要なく、多様な種類の学習データを基に学習した方が汎用性の面においては好ましい。
【0100】
ステップS101において学習に必要な数のクリーム半田5の三次元計測データが取得されると、続くステップS102において、メイン制御部71からの指令に基づき、学習部77が、未学習のニューラルネットワーク90を準備する。例えば予め記憶部57等に格納されているニューラルネットワーク90を読み出す。又は、記憶部57等に格納されているネットワーク構成情報(例えばニューラルネットワークの層数や各層のノード数など)に基づいて、ニューラルネットワーク90を構築する。
【0101】
ステップS103では、学習データとしての学習用形状データ(学習用の上部形状データ)を取得する。具体的には、メイン制御部71からの指令に基づき、データ処理部75が、ステップS101において取得されたプリント基板1に係る三次元計測データを基に、該三次元計測データに含まれる多数のクリーム半田5の中から1つのクリーム半田5を抽出し、該クリーム半田5の所定高さH以上の上部部分5b〔図8(c)参照〕に係る上部形状データを1つの学習用形状データとして取得する。そして、この学習用形状データを学習部77へ出力する。つまり、リフロー後に半田付け不良が見られない良品のプリント基板1のランド3上に印刷されたリフロー前の良品のクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データのみが学習データ(学習用形状データ)として用いられる。
【0102】
ステップS104では、再構成形状データを取得する。具体的には、メイン制御部71からの指令に基づき、学習部77が、ステップS103において取得された学習用形状データを入力データとして、ニューラルネットワーク90の入力層に与え、これによりニューラルネットワーク90の出力層から出力される再構成形状データを取得する。
【0103】
続くステップS105では、学習部77が、ステップS103において取得した学習用形状データと、ステップS104においてニューラルネットワーク90により出力された再構成形状データとを比較し、その誤差が十分に小さいか否か(所定の閾値以下であるか否か)を判定する。
【0104】
ここで、その誤差が十分に小さい場合には、ニューラルネットワーク90及びその学習情報(後述する更新後のパラメータ等)をAIモデル100として記憶部57に格納し、本学習処理を終了する。
【0105】
一方、その誤差が十分に小さくない場合には、ステップS106においてネットワーク更新処理(ニューラルネットワーク90の学習)を行った後、再びステップS103へ戻り、上記一連の処理を繰り返す。
【0106】
具体的に、ステップS106のネットワーク更新処理では、例えば誤差逆伝播法(Backpropagation)などの公知の学習アルゴリズムを用いて、学習用形状データと再構成形状データの差分を表す損失関数が極力小さくなるように、ニューラルネットワーク90における上記各フィルタ94,96の重み(パラメータ)をより適切なものに更新する。尚、損失関数としては、例えばBCE(Binary Cross-entropy)などを利用することができる。
【0107】
これらの処理を何度も繰り返すことにより、ニューラルネットワーク90では、学習用形状データと再構成形状データの誤差が極力小さくなり、より正確な再構成形状データが出力されるようになる。
【0108】
次に、半田印刷検査装置13によって行われる半田印刷検査処理について図7のフローチャートを参照して説明する。但し、図7に示す検査処理は、プリント基板1の所定の検査範囲毎に実行される処理である。
【0109】
半田印刷検査装置13へプリント基板1が搬入され、所定の検査位置に位置決めされると、所定の検査プログラムの実行に基づき、検査処理が開始される。
【0110】
検査処理が開始されると、まずステップS301において、三次元計測用の画像データ取得処理を実行する。本実施形態では、プリント基板1の各検査範囲に係る検査において、第1照明装置32Aから照射される第1パターン光の位相を変化させつつ、位相の異なる第1パターン光の下で4回の撮像処理を行った後、第2照明装置32Bから照射される第2パターン光の位相を変化させつつ、位相の異なる第2パターン光の下で4回の撮像処理を行い、計8通りの画像データを取得する。以下、詳しく説明する。
【0111】
上述したように、半田印刷検査装置13へ搬入されたプリント基板1が所定の検査位置に位置決め固定されると、メイン制御部71からの指令に基づき、移動機構制御部76が、まずX軸移動機構32E及びY軸移動機構32Fを駆動制御して検査ユニット32を移動させ、カメラ32Dの撮像視野(撮像範囲)をプリント基板1の所定の検査範囲に合わせる。
【0112】
併せて、照明制御部72が、両照明装置32A,32Bの液晶シャッタ32Ab,32Bbを切替制御し、該両液晶シャッタ32Ab,32Bbに形成される第1格子及び第2格子の位置を所定の基準位置に設定する。
【0113】
第1格子及び第2格子の切替設定が完了すると、照明制御部72が、第1照明装置32Aの第1光源32Aaを発光させ、第1パターン光を照射すると共に、カメラ制御部73が、カメラ32Dを駆動制御して、該第1パターン光の下での1回目の撮像処理を実行する。尚、撮像処理により生成された画像データは、随時、画像取得部74に取り込まれる(以下同様)。これにより、複数のランド3(クリーム半田5)を含んだ検査範囲のエリア画像データが取得される。
【0114】
その後、照明制御部72は、第1パターン光の下での1回目の撮像処理の終了と同時に、第1照明装置32Aの第1光源32Aaを消灯すると共に、第1液晶シャッタ32Abの切替処理を実行する。具体的には、第1液晶シャッタ32Abに形成される第1格子の位置を前記基準位置から、第1パターン光の位相が4分の1ピッチ(90°)ずれる第2の位置へ切替設定する。
【0115】
第1格子の切替設定が完了すると、照明制御部72が、第1照明装置32Aの光源32Aaを発光させ、第1パターン光を照射すると共に、カメラ制御部73が、カメラ32Dを駆動制御して、該第1パターン光の下での2回目の撮像処理を実行する。以後、同様の処理を繰り返し行うことで、90°ずつ位相の異なる第1パターン光の下での4通りのエリア画像データを取得する。
【0116】
続いて、照明制御部72が、第2照明装置32Bの第2光源32Baを発光させ、第2パターン光を照射すると共に、カメラ制御部73が、カメラ32Dを駆動制御して、該第2パターン光の下での1回目の撮像処理を実行する。
【0117】
その後、照明制御部72が、第2パターン光の下での1回目の撮像処理の終了と同時に、第2照明装置32Bの第2光源32Baを消灯すると共に、第2液晶シャッタ32Bbの切替処理を実行する。具体的には、第2液晶シャッタ32Bbに形成される第2格子の位置を前記基準位置から、第2パターン光の位相が4分の1ピッチ(90°)ずれる第2の位置へ切替設定する。
【0118】
第2格子の切替設定が完了すると、照明制御部72が、第2照明装置32Bの光源32Baを発光させ、第2パターン光を照射すると共に、カメラ制御部73が、カメラ32Dを駆動制御して、該第2パターン光の下での2回目の撮像処理を実行する。以後、同様の処理を繰り返し行うことで、90°ずつ位相の異なる第2パターン光の下での4通りのエリア画像データを取得する。
【0119】
次のステップS302では、二次元計測用の画像データ取得処理を実行する。本実施形態では、メイン制御部71からの指令に基づき、プリント基板1の各検査範囲に係る検査において、照明制御部72が第3照明装置32Cを発光させ、所定の検査範囲に対し均一光を照射しつつ、カメラ制御部73がカメラ32Dを駆動制御して、該均一光の下での撮像処理を実行する。これにより、プリント基板1上の所定の検査範囲が撮像され、該検査範囲に係るエリア画像データ(二次元計測用の画像データ)が取得される。
【0120】
次のステップS303では、三次元計測データ取得処理を実行する。具体的には、メイン制御部71からの指令に基づき、データ処理部75が、上記ステップS301において各パターン光の下でそれぞれ撮像した4通りのエリア画像データを基に公知の位相シフト法により、複数のクリーム半田5を含んだ所定の検査範囲の三次元形状計測を行い、かかる計測結果(三次元計測データ)を記憶部57に記憶する。かかる処理を実行する機能により本実施形態における三次元計測手段が構成される。尚、本実施形態では、2方向からパターン光を照射して三次元形状計測を行っているため、パターン光が照射されない影の部分が生じることを防止することができる。
【0121】
次のステップS304では、二次元計測データ取得処理を実行する。具体的には、メイン制御部71からの指令に基づき、データ処理部75が、上記ステップS302において均一光の下で撮像したエリア画像データを基に、複数のクリーム半田5を含んだ所定の検査範囲の二次元形状計測を行い、かかる計測結果(二次元計測データ)を記憶部57に記憶する。かかる処理を実行する機能により本実施形態における二次元計測手段が構成される。
【0122】
続くステップS305では、各クリーム半田5に係る上部検査用形状データ(検査用の上部形状データ)を取得する。
【0123】
具体的には、まずメイン制御部71からの指令に基づき、データ処理部75が、上記ステップS303において取得した所定の検査範囲に係るエリア計測データを基に、該エリア計測データに含まれる複数のクリーム半田5すべてを特定し、各クリーム半田5に係る三次元計測データを抽出する。
【0124】
続いて、各クリーム半田5の所定高さH以上の上部部分5bに係る上部形状データを抽出する。かかる処理を実行する機能により本実施形態における上部形状データ抽出手段が構成される。
【0125】
具体的には、各クリーム半田5の三次元計測データから、裾野部5aを含む該クリーム半田5の所定高さH未満の下部部分に係る下部形状データを切り捨てることにより、上部部分5bに係る上部形状データを抽出する。
【0126】
尚、ここで「所定高さH」は、所定の高さ基準面(計測基準面)を除き任意に設定可能である。例えば「所定高さH」を、(1)ランド3上面やレジスト膜4上面など所定の高さ基準面から半田の粒径1つ分の高さとしてもよいし、(2)所定の高さ基準面から20~40μmの高さとしてもよし、(3)良品となるクリーム半田5の印刷高さの1/3の高さとしてもよいし、(4)半田印刷時に使用するスクリーンマスクの厚みの1/3の高さとしてもよい。勿論、「所定高さH」は、これらに限定されるものではなく、他の値が設定されてもよい。
【0127】
続いて、これらをクリーム半田5に係る元上部形状データとしてそれぞれ番号付けして登録する。本処理では、形状不良箇所のないクリーム半田5〔例えば図8(b)参照〕の上部部分5bに係る元上部形状データや、窪み5cなど何らかの形状不良箇所があるクリーム半田5〔例えば図9(a),(b)参照〕の上部部分5bに係る元上部形状データなどが取得されることとなる。
【0128】
ステップS306では、再構成処理(再構成形状データ取得処理)を実行する。本処理を実行する機能により本実施形態における再構成形状データ取得手段が構成される。
【0129】
具体的には、メイン制御部71からの指令に基づき、検査部78が、ステップS305にて取得した所定番号(例えば001番)のクリーム半田5に係る元上部形状データを、AIモデル100の入力層に入力する。そして、AIモデル100によって再構成されて出力層から出力される上部形状データを前記所定番号(例えば001番)のクリーム半田5に係る再構成上部形状データとして取得すると共に、該再構成上部形状データを同一番号の元上部形状データと関連付けて記憶する。このようにして、本処理では、ステップS305において番号付けされ登録された全てのクリーム半田5について再構成上部形状データが取得されることとなる。
【0130】
ここで、AIモデル100は、例えば図8(b)等に示すような形状不良箇所のないクリーム半田5の上部部分5bに係る元上部形状データを入力した場合は勿論のこと、図9(a)等に示すような形状不良箇所のあるクリーム半田5の上部部分5bに係る元上部形状データを入力した場合であっても、上記のように学習したことにより、再構成上部形状データとして、図8(b)等に類似するような形状不良箇所のないクリーム半田5の上部部分5bに係る形状データを出力することとなる。
【0131】
ステップS307では、各ランド3に印刷されたクリーム半田5の印刷状態について良否判定処理を行う。
【0132】
本実施形態では、クリーム半田5に係る所定の三次元情報について良否判定を行う三次元良否判定処理と、クリーム半田5に係る所定の二次元情報について良否判定を行う二次元良否判定処理と、クリーム半田5の上部部分5bの三次元形状について良否判定を行う上部形状良否判定処理とを実行する。
【0133】
三次元良否判定処理では、上記ステップS303の三次元計測データ取得処理で取得された三次元計測データを基に、クリーム半田5に係る所定の三次元情報について良否判定を行う。かかる処理を実行する機能により本実施形態における三次元良否判定手段が構成される。
【0134】
具体的に、検査部78は、メイン制御部71からの指令に基づき、まず上記ステップS303で取得された三次元計測データを基にクリーム半田5の「体積」及び「高さ」を算出する。そして、これらクリーム半田5の「体積」及び「高さ」をそれぞれ予め記憶部57に記憶されている基準データと比較し、クリーム半田5の「体積」及び「高さ」がそれぞれ基準範囲内にあるか否か判定する。尚、これら検査項目(三次元情報)の良否判定処理については、公知の方法により実行可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0135】
二次元良否判定処理では、上記ステップS304の二次元計測データ取得処理で取得された二次元計測データを基に、クリーム半田5に係る所定の二次元情報について良否判定を行う。かかる処理を実行する機能により本実施形態における二次元良否判定手段が構成される。
【0136】
具体的に、検査部78は、メイン制御部71からの指令に基づき、まず上記ステップS304で取得された二次元計測データを基に、クリーム半田5の「面積」及び「位置ズレ量」を算出すると共に、クリーム半田5の「二次元形状」及び複数のランド3間に跨る「半田ブリッジ」の抽出を行う。
【0137】
そして、クリーム半田5の「面積」及び「位置ズレ」、並びに、「二次元形状」及び「半田ブリッジ」をそれぞれ予め記憶部57に記憶されている基準データと比較し、これらがそれぞれ基準範囲内にあるか否か判定する。尚、これら検査項目(二次元情報)の良否判定処理については、公知の方法により実行可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0138】
上部形状良否判定処理では、メイン制御部71からの指令に基づき、検査部78が、まず上述したステップS305,S306で取得した同一番号の元上部形状データと、所定の判定基準となる再構成上部形状データとを比較して、両形状データの差分を抽出する。かかる処理を実行する機能により本実施形態における比較手段が構成される。
【0139】
続いて、検査部78は、形状不良箇所に相当する両形状データの差分が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。ここで、両形状データの差分が所定の閾値よりも大きい場合には、「形状不良あり」と判定する。一方、両形状データの差分が所定の閾値よりも小さい場合には、「形状不良なし」と判定する。
【0140】
例えば図9(a)に示すように、クリーム半田5の頂部に窪み5cが存在している場合において、該窪み5cの深さや幅が所定の閾値を超えた場合に「形状不良あり」と判定する。尚、上部形状良否判定処理により「形状不良あり」と判定される部位は、窪み5cが形成された部位に限られるものではない。例えばランド3上に印刷されたクリーム半田5の形状が歪で、その厚みに偏りがある場合には、分厚くなった部分等が両形状データの差分として検出される。
【0141】
ここで、検査部78は、所定のクリーム半田5に係る「三次元情報良否判定処理」、「二次元情報良否判定処理」及び「上部形状良否判定処理」のすべてにおいて「良」と判定した場合には、該クリーム半田5について「良」判定すると共に、この結果を記憶部57に記憶する。
【0142】
一方、所定のクリーム半田5に係る「三次元情報良否判定処理」、「二次元情報良否判定処理」及び「上部形状良否判定処理」のいずれかにおいて「不良」と判定された場合には、該クリーム半田5について「不良」判定すると共に、この結果を記憶部57に記憶する。
【0143】
続いて、検査部78は、エリア計測データ(プリント基板1の所定の検査範囲)に含まれる全てのクリーム半田5について「良」判定した場合には、該エリア計測データに係る検査範囲を「良」判定すると共に、この結果を記憶部57に記憶し、本処理を終了する。
【0144】
一方、エリア計測データ(プリント基板1の所定の検査範囲)に含まれる複数のクリーム半田5のうち、「不良」判定されたクリーム半田5が1つでも存在する場合には、該エリア計測データに係る検査範囲を「不良」判定し、この結果を記憶部57に記憶し、本処理を終了する。
【0145】
そして、半田印刷検査装置13は、プリント基板1上の全ての検査範囲について上記半田印刷検査処理が行われた結果、全検査範囲について「良」判定された場合には、異常のないプリント基板1であると判定(合格判定)し、この結果を記憶部57に記憶する。
【0146】
一方、半田印刷検査装置13は、プリント基板1上の全ての検査範囲のうち、「不良」判定された検査範囲が1つでも存在する場合には、不良箇所のあるプリント基板1であると判定(不合格判定)し、この結果を記憶部57に記憶すると共に、表示部56や通信部58などを介して、その旨を外部に報知する。
【0147】
以上詳述したように、本実施形態では、まずプリント基板1上に印刷された所定のクリーム半田5を撮像し得られた画像データを基に、該クリーム半田5の三次元計測データを取得する。次に、この所定のクリーム半田5の三次元計測データを基に、該クリーム半田5の所定高さH以上の上部部分5bに係る上部形状データを抽出する。そして、この上部形状データを所定の判定基準と比較することにより、所定のクリーム半田5の上部部分5bの三次元形状の良否を判定する。
【0148】
本実施形態によれば、従来のように、プリント基板1上に印刷されたクリーム半田5の面積や高さ、体積などを比較判定する検査だけでは検出することが困難であった、リフロー後に見つかる半田付け不良(半田ボール205や空洞206など)の原因となり得るクリーム半田5の形状不良箇所(窪み5c等)を、リフロー前の半田印刷検査工程において事前に検出することが可能となる。結果として、リフロー後の半田付け不良の発生を抑制することができる。
【0149】
加えて、本実施形態では、プリント基板1の所定のランド3に印刷されたクリーム半田5の三次元形状の全体ではなく、該クリーム半田5の上部部分5bに係る三次元形状(上部形状データ)のみを良否判定する構成となっているため、該クリーム半田5の全体を良否判定する場合に比べて、処理負担の軽減を図ることができる。
【0150】
つまり、本実施形態によれば、クリーム半田5の下部部分(裾野部5a)に係る三次元形状検査を排除することで、従来、事実上困難であった検査効率及び検査精度の高いクリーム半田5の三次元形状検査が実現可能となる。
【0151】
尚、リフロー後に半田ボール205や空洞206などの半田付け不良が生じる原因となり得るクリーム半田5の不良箇所の形状は、良品の形状とは異なり多様である。このため、上記のように、クリーム半田5の下部部分(裾野部5a)に係る三次元形状検査を排除し、クリーム半田5の上部部分5bに係る三次元形状(上部形状データ)のみを良否判定する構成としたとしても、不良形状のパターンをすべて記憶し、パターンマッチング等により、検査対象となるクリーム半田5の不良形状を検出することは実質的に不可能である。
【0152】
また、クリーム半田5は、約30μm前後の微小な半田粒子をフラックスで練ってつくられたものであるため、崩れやすく、同一プリント基板1上であっても、各ランド3上に印刷される形状は様々である。そのため、仮に所定の良品形状を判定基準として記憶し、その許容範囲から外れた形状を不良と判別する構成としようとしたとしても、判定基準を設定すること自体が困難で、クリーム半田5の形状不良箇所を検出するためのアルゴリズムを作成することが非常に難しくなるおそれがあった。
【0153】
これに対し、本実施形態によれば、ニューラルネットワーク90を学習して構築したAIモデル100を用いて、プリント基板1のランド3上に印刷されたクリーム半田5の上部部分5bに、リフロー後に半田ボール205や空洞206などの半田付け不良が生じる原因となり得る形状不良箇所があるか否かを判定している。これにより、従来では検出することが困難であったクリーム半田5の形状不良箇所を精度良く検出することが可能となる。
【0154】
さらに、本実施形態では、検査対象となる所定のクリーム半田5を三次元計測して得た元上部形状データと、その元上部形状データを基に再構成して得た再構成上部形状データ(再構成された上部形状データ)とを比較しているため、比較する両形状データにおいて、検査対象物であるプリント基板1側の撮像条件(例えばプリント基板1の配置位置や配置角度、たわみ等)や、半田印刷検査装置13側の撮像条件(例えば照明状態やカメラ32Dの画角等)の違いに基づく影響がなく、形状不良箇所をより正確に検出することが可能となる。
【0155】
尚、仮にプリント基板1上の所定位置のランド3に印刷されるクリーム半田5に係る三次元形状検査を行う際に、良否判定基準として、検査対象となる所定位置のランド3及びここに印刷されるクリーム半田5に関する印刷設定情報(位置データや寸法データ、形状データなど)を必要とする構成においては、ガーバデータなど基板設計情報を予め記憶しておき、その都度、検査対象となる所定位置のランド3及びここに印刷されるクリーム半田5に関する印刷設定情報を取得し、該印刷設定情報と比較しつつ検査対象となる所定位置のランド3に印刷されたクリーム半田5の三次元形状の良否判定を行うこととなるため、検査効率が著しく低下するおそれがある。また、プリント基板1の検査位置への位置決めを正確に行う必要がある。
【0156】
これに対し、本実施形態によれば、クリーム半田5について学習したAIモデル100を利用して、各ランド3に印刷されるクリーム半田5の三次元形状検査を行う構成となっているため、プリント基板1上に存在する多数のランド3及びこれらに対しそれぞれ印刷されるクリーム半田5個々の印刷設定情報を予め記憶しておく必要もなく、三次元形状検査に際しそれを参照する必要もないため、検査効率の向上を図ることができる。
【0157】
さらに、検査対象として三次元計測した所定位置のクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データと、該所定位置に対応して予め設定した所定の判定基準(良品の上部形状データ)とを比較する場合等のように、検査対象と判定基準の位置合わせや、検査対象に合わせて判定基準の向き(姿勢)を回転させるなどの調整を行う必要がないため、三次元形状検査の高速化を図ることができる。結果として、1つのクリーム半田5の三次元形状検査にかかる処理数が格段に減り、検査処理速度を格段に速めることができる。
【0158】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0159】
(a)半田印刷検査に係る構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0160】
(a-1)例えば上記実施形態では、AIモデル100を用いて、元上部形状データと再構成上部形状データの差分を抽出することで、クリーム半田5の上部部分5bに形状不良箇所があるか否かを判定する構成となっている。
【0161】
これに限らず、例えばAIモデル100を用いることなく、所定の判定基準として予め三次元基準形状(上部基準形状データ)を記憶しておき、検査対象となる所定位置のランド3上に印刷された所定のクリーム半田5の上部部分5bに係る三次元形状(上部形状データ)と、これに対応する三次元基準形状とを比較し、その差が許容範囲内にあるか否かにより、クリーム半田5の上部部分5bに形状不良箇所があるか否かを判定する構成としてもよい。
【0162】
ここで、予め設定される「判定基準(三次元基準形状)」として、例えば作業者が良品と見做す所定の三次元形状を有するクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データを採用してもよいし、リフロー後に半田付け不良が見られなかった所定位置(検査対象と同一位置)のランド3上に印刷されたリフロー前のクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データなどを採用してもよい。
【0163】
(a-2)上記実施形態では、クリーム半田5の三次元計測データから、裾野部5aを含む該クリーム半田5の所定高さH未満の下部部分に係る下部形状データを切り捨てることにより、クリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データを抽出する構成となっている。
【0164】
上部形状データの抽出手順は、これに限定されるものではなく、他の手順を採用してもよい。例えばクリーム半田5の頂部の高さ位置から所定距離だけ下方の高さ位置を境にして、ここから上方部分をクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データとして抽出する構成としてもよい。
【0165】
(a-3)上記実施形態では、半田印刷検査処理において、クリーム半田5に係る所定の三次元情報(「体積」及び「高さ」)について良否判定を行う「三次元良否判定処理」と、クリーム半田5に係る所定の二次元情報(「面積」、「位置ズレ量」、「二次元形状」及び「半田ブリッジ」)について良否判定を行う「二次元良否判定処理」と、クリーム半田5の上部部分5bの三次元形状について良否判定を行う「上部形状良否判定処理」とを実行する構成となっている。
【0166】
これに限らず、「三次元良否判定処理」及び/又は「二次元良否判定処理」を行わない構成としてもよい。
【0167】
(a-4)上記実施形態では、クリーム半田5に係る所定の二次元情報について良否判定を行うにあたり、クリーム半田5の二次元計測を行う構成となっているが、これに限らず、三次元計測により取得されたクリーム半田5の三次元計測データを基に、該クリーム半田5の二次元情報について良否判定を行う構成としてもよい。
【0168】
これにより、二次元計測用の第3照明装置32Cや、二次元計測用の画像データ取得処理(ステップS302)など、二次元計測用の構成を省略することができ、構成の簡素化等を図ることができる。
【0169】
(b)三次元計測方法や二次元計測方法など、クリーム半田5の計測方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0170】
(b-1)例えば上記実施形態では、位相シフト法による三次元計測を行う上で、各パターン光の位相が90°ずつ異なる4通りの画像データを取得する構成となっているが、位相シフト回数及び位相シフト量は、これらに限定されるものではない。位相シフト法により三次元計測可能な他の位相シフト回数及び位相シフト量を採用してもよい。
【0171】
例えば位相が120°(又は90°)ずつ異なる3通りの画像データを取得して三次元計測を行う構成としてもよいし、位相が180°(又は90°)ずつ異なる2通りの画像データを取得して三次元計測を行う構成としてもよい。
【0172】
(b-2)上記実施形態では、三次元計測法として位相シフト法を採用しているが、これに限らず、光切断法やモアレ法、合焦法、空間コード法等といった、他の三次元計測法を採用することとしてもよい。
【0173】
(c)識別手段としてのAIモデル100(ニューラルネットワーク90)の構成及びその学習方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0174】
(c―1)上記実施形態では、特に言及していないが、ニューラルネットワーク90の学習処理や、半田印刷検査処理における再構成処理などを行う際に、必要に応じて各種データに対し正規化等の処理を行う構成としてもよい。
【0175】
(c-2)ニューラルネットワーク90の構造は、図5に示したものに限定されず、例えば畳み込み層93の後にプーリング層を設けた構成としてもよい。勿論、ニューラルネットワーク90の層数や、各層のノード数、各ノードの接続構造などが異なる構成としてもよい。
【0176】
(c-3)上記実施形態では、AIモデル100(ニューラルネットワーク90)が、畳み込みオートエンコーダ(CAE)の構造を有した生成モデルとなっているが、これに限らず、例えば変分自己符号化器(VAE:Variational Autoencoder) など、異なるタイプのオートエンコーダの構造を有した生成モデルとしてもよい。
【0177】
(c―4)上記実施形態では、誤差逆伝播法によりニューラルネットワーク90を学習する構成となっているが、これに限らず、その他の種々の学習アルゴリズムを用いて学習する構成としてもよい。
【0178】
(c―5)ニューラルネットワーク90は、いわゆるAIチップ等のAI処理専用回路によって構成されることとしてもよい。その場合、パラメータ等の学習情報のみが記憶部57に記憶され、これをAI処理専用回路が読み出して、ニューラルネットワーク90に設定することによって、AIモデル100が構成されるようにしてもよい。
【0179】
(c―6)上記実施形態では、学習部77を備え、制御装置33内においてニューラルネットワーク90の学習を行う構成となっているが、これに限らず、少なくともAIモデル100(学習済みのニューラルネットワーク90)を記憶部57に記憶していればよく、学習部77を省略した構成としてもよい。従って、ニューラルネットワーク90の学習を制御装置33の外部で行い、これを記憶部57に記憶する構成としてもよい。
【0180】
(c―7)上記実施形態では、リフロー後検査装置16に蓄積された多数のプリント基板1の検査情報を基に、これまでの半田印刷検査で半田印刷検査装置13に蓄積された形状データ(リフロー後に半田付け不良が見られない良品のプリント基板1のランド3上に印刷されたリフロー前の良品のクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データ)を学習データとして用いる構成となっている。
【0181】
これに限らず、例えばクリーム半田5の印刷後に作業者が目視により選別した、凹みや偏り等の形状不良がない良品のクリーム半田5の上部部分5bに係る上部形状データなどを学習データとして利用してもよい。
【符号の説明】
【0182】
1…プリント基板、3…ランド、5…クリーム半田、5a…裾野部、12…半田印刷機、13…半田印刷検査装置、15…リフロー装置、16…リフロー後検査装置、25…電子部品、25a…電極、32…検査ユニット、32A,32B,32C…照明装置、32D…カメラ、33…制御装置、77…学習部、78…検査部、90…ニューラルネットワーク、100…AIモデル、202…半田接合部、205…半田ボール、206…空洞、H…所定高さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に印刷されたクリーム半田の印刷状態をリフロー前に検査する半田印刷検査装置であって、
前記プリント基板に対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光の照射された前記プリント基板を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記プリント基板上に印刷された所定のクリーム半田の三次元計測データを取得可能な三次元計測手段と、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該クリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出可能な上部形状データ抽出手段と、
前記所定のクリーム半田に係る上部形状データを、所定の判定基準と比較することにより、前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能な上部形状良否判定手段とを備えたことを特徴とする半田印刷検査装置。
【請求項2】
入力される形状データから特徴量を抽出する符号化部と該特徴量から形状データを再構成する復号化部とを有するニューラルネットワークに対し、良品の前記クリーム半田に係る前記上部形状データのみを学習データとして学習させて生成した識別手段を備え、
前記上部形状良否判定手段は、
前記上部形状データ抽出手段により抽出された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを元上部形状データとして前記識別手段へ入力して再構成された前記所定のクリーム半田に係る前記上部形状データを再構成上部形状データとして取得可能な再構成形状データ取得手段と、
前記元上部形状データと前記再構成上部形状データとを比較可能な比較手段とを備え、
前記比較手段による比較結果に基づき、前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半田印刷検査装置。
【請求項3】
前記上部形状データ抽出手段は、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データから、少なくとも前記所定のクリーム半田の裾野部を含む該クリーム半田の所定高さ未満の下部部分に係る下部形状データを切り捨てることにより、前記上部形状データを抽出可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半田印刷検査装置。
【請求項4】
前記照射手段は、
前記所定の光として三次元計測用の光を照射可能に構成され、
前記三次元計測手段は、
前記三次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の三次元計測データを取得可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項5】
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の三次元情報について良否判定可能な三次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項6】
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【請求項7】
前記照射手段は、前記所定の光として二次元計測用の光を照射可能に構成され、
前記二次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の二次元計測データを取得可能な二次元計測手段と、
前記二次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の二次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
手段1.プリント基板上に印刷されたクリーム半田の印刷状態をリフロー前(リフロー工程よりも前段階、部品搭載前)に検査する半田印刷検査装置であって、
前記プリント基板に対し所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光の照射された前記プリント基板を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記プリント基板上に印刷された所定(所定位置)のクリーム半田の三次元計測データを取得可能な三次元計測手段と、
前記三次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の三次元計測データを基に、該クリーム半田の所定高さ以上の上部部分に係る上部形状データを抽出可能な上部形状データ抽出手段と、
前記所定のクリーム半田に係る上部形状データを、所定の判定基準と比較することにより、前記所定のクリーム半田の上部部分に係る三次元形状の良否を判定可能な上部形状良否判定手段とを備えたことを特徴とする半田印刷検査装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
手段7.前記照射手段は、前記所定の光として二次元計測用の光(例えば均一光)を照射可能に構成され、
前記二次元計測用の光を照射して前記撮像手段により取得された画像データを基に、前記所定のクリーム半田の二次元計測データを取得可能な二次元計測手段と、
前記二次元計測手段により取得された前記所定のクリーム半田の二次元計測データを基に、該所定のクリーム半田に係る所定の二次元情報(例えば面積や位置、二次元形状、半田ブリッジなど)について良否判定可能な二次元良否判定手段を備えていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の半田印刷検査装置。