(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061557
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】振動低減材
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20220412BHJP
E04G 21/24 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
F16F15/02 Q
E04G21/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169546
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】青山 正貴
(72)【発明者】
【氏名】弘中 淳市
(72)【発明者】
【氏名】小川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】永谷 英基
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一成
(72)【発明者】
【氏名】中本 詩瑶
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BD05
3J048DA01
(57)【要約】
【課題】重機が走行する際の振動を効果的に低減することができ、かつ、重機が安定して走行することができる振動低減材を提供する。
【解決手段】振動低減材2は、上面を重機4が走行する敷板6と、敷板6の下方に配置される合成樹脂製の網状シート8とを備える。網状シート8は、敷板6の下面と接触する複数の上側接触部10a~10eと、網状シート8が設置される面と接触する複数の下側接触部12a~12eとを有する。網状シート8が変形していない状態において、複数の上側接触部10a~10eの少なくとも一部の直下には下側接触部12a~12eが存在しない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重機が走行する際の振動を低減するための振動低減材であって、
上面を重機が走行する敷板と、前記敷板の下方に配置される合成樹脂製の網状シートとを備え、
前記網状シートは、前記敷板の下面と接触する複数の上側接触部と、前記網状シートが設置される面と接触する複数の下側接触部とを有し、
前記網状シートが変形していない状態において前記複数の上側接触部の少なくとも一部の直下には前記下側接触部が存在しない振動低減材。
【請求項2】
前記網状シートは、複数の上段筋と、前記複数の上段筋の下方に位置する複数の下段筋とを含む、請求項1に記載の振動低減材。
【請求項3】
前記上段筋および前記下段筋は互いに異なる位相で所定方向に延びる正弦波状に形成されており、前記上段筋のそれぞれは前記下段筋の3本以上に連結されている、請求項2に記載の振動低減材。
【請求項4】
前記網状シートは、前記上側接触部から前記下側接触部に向かって傾斜する傾斜部を有する、請求項1から3までのいずれかにに記載の振動低減材。
【請求項5】
前記網状シートはエラストマー製である、請求項1から4までのいずれかに記載の振動低減材。
【請求項6】
前記網状シートの下方に付加敷板が配置される、請求項1から5までのいずれかに記載の振動低減材。
【請求項7】
重機が走行する際の振動を低減するための振動低減方法であって、
上面を重機が走行する敷板を設置する工程と、前記敷板の下方に配置される合成樹脂製の網状シートを設置する工程とを含み、
前記網状シートは、前記敷板の下面と接触する複数の上側接触部と、前記網状シートが設置される面と接触する複数の下側接触部とを有し、
前記網状シートが変形していない状態において前記複数の上側接触部の少なくとも一部の直下には前記下側接触部が存在しない振動低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラクレーンや油圧ショベル等の重機が走行する際の振動を低減するための振動低減材および振動低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建設工事現場等において重機が走行する際の振動を低減するための振動低減材が開示されている。この振動低減材は、熱硬化性樹脂である連続気泡ポリウレタンフォームと、その連続気泡ポリウレタンフォームの上に載置される敷板とによって構成されている。そして、この振動低減材においては、敷板上を重機が走行した際の振動を連続気泡ポリウレタンフォームによって吸収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の振動低減材においては、重機が走行する際の振動を効果的に低減するには、ポリウレタンフォームの厚さを比較的厚くする(50~150mm程度)必要があることから、重機の重量によってポリウレタンフォームが変形してしまい、重機の走行が安定しにくいという問題がある。
【0005】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、重機が走行する際の振動を効果的に低減することができ、かつ、重機が安定して走行することができる振動低減材および振動低減方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、上記課題を解決する以下の振動低減材が提供される。すなわち、重機が走行する際の振動を低減するための振動低減材であって、上面を重機が走行する敷板と、前記敷板の下方に配置される合成樹脂製の網状シートとを備え、前記網状シートは、前記敷板の下面と接触する複数の上側接触部と、前記網状シートが設置される面と接触する複数の下側接触部とを有し、前記網状シートが変形していない状態において前記複数の上側接触部の少なくとも一部の直下には前記下側接触部が存在しない振動低減材が提供される。
【0007】
好ましくは、前記網状シートは、複数の上段筋と、前記複数の上段筋の下方に位置する複数の下段筋とを含む。前記上段筋および前記下段筋は互いに異なる位相で所定方向に延びる正弦波状に形成されており、前記上段筋のそれぞれは前記下段筋の3本以上に連結されているのが好適である。前記網状シートは、前記上側接触部から前記下側接触部に向かって傾斜する傾斜部を有するのが望ましい。前記網状シートはエラストマー製であるのが好都合である。前記網状シートの下方に付加敷板が配置されるのが好ましい。
【0008】
本発明の第2の局面によれば、上記課題を解決する以下の振動低減方法が提供される。すなわち、重機が走行する際の振動を低減するための振動低減方法であって、上面を重機が走行する敷板を設置する工程と、前記敷板の下方に配置される合成樹脂製の網状シートを設置する工程とを含み、前記網状シートは、前記敷板の下面と接触する複数の上側接触部と、前記網状シートが設置される面と接触する複数の下側接触部とを有し、前記網状シートが変形していない状態において前記複数の上側接触部の少なくとも一部の直下には前記下側接触部が存在しない振動低減方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、網状シートが変形していない状態において複数の上側接触部の少なくとも一部の直下に下側接触部が存在しないので、上側接触部から網状シートに加えられる荷重を水平方向に分散して吸収することによって、網状シートが比較的薄くても重機が走行する際の振動を効果的に低減することができる。また、本発明によれば、網状シートを薄くすることができるので、重機が走行する際の網状シートの変形量が少なく、重機が安定して走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された振動低減材の側面図。
【
図3】(a)
図2におけるA-A線断面図、(b)
図2におけるB-B線端面図、(c)
図2におけるC-C線端面図、(d)
図2におけるD-D線端面図、(e)
図2におけるE-E線断面図。
【
図4】実施例の網状シートおよび比較例の無孔シートの損失正接等を示す表。
【
図5】(a)クローラクレーンが走行した際の振動レベルを示すグラフ、(b)油圧ショベルが走行した際の振動レベルを示すグラフ、(c)振動ローラが走行した際の振動レベルを示すグラフ。
【
図6】
図5(a)~
図5(c)における実線および点線の最大値、それぞれの最大値同士の差を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された振動低減材の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示すとおり、振動低減材2は、上面を油圧ショベル等の重機4が走行する敷板6と、敷板6の下方に配置される合成樹脂製の網状シート8とを備える。図示の実施形態では、1枚の網状シート8が地面の上に設置されているが、網状シート8と地面との間に付加敷板(たとえば敷板6と同一の板)が設置されていてもよい。網状シート8の上方および下方に敷板6を配置する(敷板6で網状シート8を挟みこむ)ことにより、網状シート8の劣化を抑制すると共に、振動低減効果を高めることができる。また、敷板6と地面との間において、網状シート8が2枚以上積層されていてもよい。
【0013】
敷板6は、長方形状の鋼板等の適宜の金属材料から形成され得る。網状シート8は、重機4が敷板6の上面を走行する際の振動を吸収するものである。長方形状に形成され得る網状シート8の寸法は、たとえば、幅1~2m程度、長さ10m程度、厚さ10mm程度でよい。
【0014】
網状シート8は、種々の合成樹脂から形成され得る。網状シート8用の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂(たとえばオレフィン系樹脂、シリコン樹脂等)または熱硬化性樹脂(たとえばウレタン樹脂、イミド樹脂等)のいずれでもよい。合成樹脂の中でも、ゴム弾性を有するエラストマーから網状シート8が形成されているのが振動低減効果の観点から好適である。また、ゴム弾性を有するエラストマーから網状シート8が形成されている場合には、はさみ等を用いて簡単に裁断することができるので所要の大きさに調整することが容易であると共に、帯状の網状シート8を円筒状に容易に巻くことができ、網状シート8の運搬や設置、撤去、収容等を容易に行うことができる。
【0015】
図2および
図3を参照して説明すると、図示の実施形態の網状シート8は、複数の上段筋10と、複数の上段筋10の下方に位置する複数の下段筋12とを含む2段構造である。
図2を参照することによって理解されるとおり、上段筋10および下段筋12は、互いに異なる位相で所定方向に延びる正弦波状に形成されている。
【0016】
図2に矢印Xで示す方向をX軸とし、
図2に矢印Yで示す方向(X軸に直交する方向)をY軸とし、
図2における上方をY軸の正の方向とすると、各上段筋10の波形最大値(Y軸方向最大値)は…、X
2、X
4、…の各点に位置し、各下段筋12の波形最大値(Y軸方向最大値)は…、X
1、X
3、…の各点に位置しており、各上段筋10および各下段筋12は、互いに異なる位相でX軸方向に延びる正弦波状に形成されている。なお、上段筋10の振幅A
1と下段筋12の振幅A
2とは、同一であってもよく相違していてもよい。また、図示の実施形態の上段筋10のそれぞれは下段筋12の3本に連結されているが、各上段筋10は下段筋12の4本以上に連結されていてもよい。
【0017】
網状シート8は、敷板6の下面と接触する複数の上側接触部と、網状シート8が設置される設置面(地面または適宜の板の上面)と接触する複数の下側接触部とを有し、網状シート8が変形していない状態において複数の上側接触部の少なくとも一部の直下には下側接触部が存在しないのが重要である。網状シート8の上側接触部および下側接触部は、それぞれ網状シート8が変形していない状態における網状シート8の上端部分および下端部分である。
【0018】
網状シート8は合成樹脂製であり、振動低減材2の上を重機が走行する際や、網状シート8の上に敷板6が載せられた際等には網状シート8が変形し得るところ、図示の実施形態の網状シート8においては、重機の走行等に起因する網状シート8の変形が生じていない状態において、上側接触部の少なくとも一部の直下に下側接触部が存在しないようになっており、網状シート8が変形した時には上側接触部の直下に下側接触部が存在していてもよい。
【0019】
図示の実施形態においては、
図3(a)~
図3(e)に示すとおり、各上段筋10は、敷板6の下面と接触する複数の上側接触部10a、10b、10c、10d、10e、…を有する。各下段筋12は、網状シート8が設置される面(地面または適宜の板の上面)と接触する複数の下側接触部12a、12b、12c、12d、12e、…を有する。なお、上側接触部10a~10e、下側接触部12a~12eは、網状シート8の上側接触部および下側接触部の一部であり、網状シート8の上側接触部および下側接触部がこれらに限定されるものではない。
【0020】
図2、
図3(a)および
図3(e)を参照して説明を続けると、各上段筋10および各下段筋12の断面は矩形状であり、各上段筋10および各下段筋12は捻じれている。そして、網状シート8は、上側接触部10aから下側接触部12aに向かって横方向片側(
図3における左側)に傾斜する片側傾斜部14と、上側接触部10eから下側接触部12eに向かって横方向他側(
図3における右側)に傾斜する他側傾斜部16とを有する。このように、図示の実施形態の網状シート8は、片側傾斜部14および他側傾斜部16を有していることによって、上側接触部10a、10eの直下に下側接触部12a、12eが存在しないようになっている。
【0021】
網状シート8においては、
図3(b)および
図3(d)に示すとおり、上段筋10の直下に下段筋12が位置しておらず、上側接触部10b、10dの直下に下側接触部12b、12dが存在していない。また、
図3(c)に示す端面においては、上段筋10の直下に下段筋12が位置しているが、上側接触部10cの位置と下側接触部12cの位置とが若干ずれており、上側接触部10cの直下に下側接触部12cが存在していない。
【0022】
このように、図示の実施形態の振動低減材2においては、網状シート8の上側接触部10a~10eの直下に下側接触部12a~12eが存在しないことによって、上側接触部10a~10eから網状シート8に加えられる荷重を水平方向に分散して吸収することによって、網状シート8が比較的薄くても重機4が走行する際の振動を効果的に低減することができる。また、振動低減材2においては、網状シート8を薄くすることができるので、重機4が走行する際の網状シート8の変形量が少なく、重機4が安定して走行することができる。
【0023】
上述の実施形態の網状シート8は上段筋10および下段筋12を有する2段構造であるが、本発明の網状シートは単段構造であってもよい。また、網状シート8の上段筋10および下段筋12は正弦波状以外の形態であってもよい。本発明の網状シートは、たとえば、それぞれ真直に延びる上段筋および下段筋が交差して網状をなしていてよく、この場合における上段筋と下段筋との網目形状は矩形状、菱形状、亀甲形状等の任意の形状が採用され得る。
【0024】
ここで、本発明の実施例について
図4を参照して説明する。実施例1は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて
図2および
図3に示すとおりの形状で製作した厚み10mmの網状シートであり、比較例1は、実施例1と同一の材料を用いて製作した厚み10mmの無孔シートである。実施例2は、実施例1よりも柔らかいオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて
図2および
図3に示すとおりの形状(実施例1と同一の形状)で製作した厚み10mmの網状シートであり、比較例2は、実施例2と同一の材料を用いて製作した厚み10mmの無孔シートである。
【0025】
実施例1および2ならびに比較例1および2のそれぞれについて、JIS K 6394:2007に準拠した測定方法によって損失正接tanδを測定した。損失正接tanδは振動低減効果を示すひとつの指標であり、損失正接tanδの値が大きいほど振動低減効果が高いと考えられる。なお、損失正接tanδを測定した際の試験温度は23℃であり、測定周波数は1~100Hzであり、静的荷重は150kPaである。
【0026】
図4に示すとおり、実施例1の損失正接tanδは0.14~0.16であり、比較例1の損失正接tanδは0.08~0.11であり、比較例1よりも実施例1の方が損失正接tanδの値が大きかった。また、実施例2の損失正接tanδは0.14~0.16であり、比較例2の損失正接tanδは0.11~0.14であり、比較例2よりも実施例2の方が損失正接tanδの値が大きかった。したがって、
図2および
図3に示す形状で製作した網状シートは、同一の材料で製作した無孔シートよりも振動低減効果が高いといえる。
【0027】
なお、実施例1および2の硬さを測定したところ、
図4に示すとおり、実施例1の材料は硬さ90(デュロメーターA)であり、実施例2の材料は硬さ53(デュロメーターA)であった。また、静的荷重150kPaを加えた際の実施例1および2のひずみ率を測定したところ、実施例1は16%であり、実施例2は50%であった。
【0028】
また、実施例1の網状シートを未舗装の地面と鋼鉄製の敷板との間に敷設して、敷板の上面を重機が走行した際の振動レベルを測定すると共に、網状シートを除去して未舗装の地面に敷設した鋼鉄製の敷板の上面を重機が走行した際の振動レベルを測定した。
【0029】
図5(a)には、合成ゴム製パッドをクローラに装着した4.9トンクラス(吊上能力)のクローラクレーンが走行した際の振動レベルが示されており、
図5(b)には、合成ゴム製パッドをクローラに装着した0.25m
3クラス(バケット容量)の油圧ショベルが走行した際の振動レベルが示されており、
図5(c)には、4トンクラス(機体質量)の振動ローラが走行した際の振動レベルが示されている。
図5(a)~
図5(c)においては、実施例1の網状シートを敷設した場合(網状シートあり)の振動レベルが実線で示されており、網状シートを除去した場合(網状シートなし)の振動レベルが点線で示されている。
【0030】
図6には、
図5(a)~
図5(c)における実線の最大値(実施例1の網状シートを敷設した場合(網状シートあり)における振動レベルの最大値)と、
図5(a)~
図5(c)における点線の最大値(実施例1の網状シートを除去した場合(網状シートなし)における振動レベルの最大値)と、それぞれの最大値同士の差が示されている。
図6に示すとおり、網状シートを敷設すると、4.9トンクラスのクローラクレーンの走行時の振動レベルの最大値が6dB低減し、0.25m
3クラスの油圧ショベルの走行時の振動レベルの最大値が14dB低減し、4トンクラスの振動ローラの走行時の振動レベルの最大値が20dB低減した。
【0031】
次に、本発明の振動低減方法の好適実施形態について説明する。本実施形態では、まず、振動低減材2を設置する地面を造成する造成工程を実施する。造成工程では、振動低減材2を設置する地面を平滑に成型し、または、砕石等を敷き詰めて均す。
【0032】
造成工程を実施した後、造成した地面に網状シート8を設置する網状シート設置工程を実施する。網状シート設置工程では、まず、円筒状に巻かれて梱包された網状シート8を設置位置近くの地面に荷下ろしする。次いで、円筒状に巻かれた網状シート8を人力等で展開する。この際は、網状シート8のずれ防止のため必要に応じて地面にアンカー等で網状シート8を固定するのが好ましい。また、網状シート8の相互のずれ防止のため必要に応じて溶着や接着等により網状シート8を相互に固定してもよい。
【0033】
網状シート設置工程を実施した後、地面上に設置した網状シート8の上に敷板6を設置する敷板設置工程を実施する。敷板設置工程では、たとえば、敷板6にフック(図示していない。)を設け、クレーン等の揚重機により敷板6を吊り下げ、地面上に設置した網状シート8の上に敷板6を設置する。敷板6の相互のずれ防止のため必要に応じて溶接等により敷板6を相互に固定するのが好適である。これにより、敷板6の上部を走行する重機の安定走行が可能となる。これら網状シート設置工程および敷板設置工程により、振動低減材2を構築することができる。
【0034】
なお、網状シート8の下方に付加敷板を設置する場合には、前記造成工程を実施した後、造成した地面に付加敷板を設置する付加敷板設置工程を実施する。付加敷板設置工程は、付加敷板(敷板6と同一の板でよい。)にフックを設け、クレーン等の揚重機により付加敷板を吊り下げ、地面上に設置する。付加敷板の相互のずれ防止のため必要に応じて溶接等により付加敷板を相互に固定してもよい。そして、付加敷板設置工程を実施した後、前記網状シート設置工程および前記敷板設置工程を順に実施する。これによって、敷板6と付加敷板とで網状シート8を挟みこむ形態の振動低減材を構築することができる。このような方法で構築された振動低減材2により、振動低減材2の上面を油圧ショベル等の重機4が走行する際に、実施例1記載のとおり、振動を効果的に低減させることができ、安定した走行が確保される。
【符号の説明】
【0035】
2:振動低減材
4:重機
6:敷板
8:網状シート
10:上段筋
12:下段筋
10a、10b、10c、10d、10e:上側接触部
12a、12b、12c、12d、12e:下側接触部
14:片側傾斜部
16:他側傾斜部