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  • 特開-蓋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061565
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/30 20060101AFI20220412BHJP
   B65D 47/28 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65D47/30
B65D47/28 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169558
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】391052781
【氏名又は名称】株式会社ポリマーシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】田中 洋二
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084FD02
3E084GB11
3E084HA03
3E084HB01
3E084HD04
3E084LA01
3E084LA12
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】栓体が開栓位置にあるとき封止状態を確保可能な栓体付き蓋を提供する。
【解決手段】容器1の口部3に蓋5を設ける。蓋5の環状の蓋本体10を口部3に螺合する。蓋本体10の保持穴15に栓体20を挿通して、栓体20を、口部3の内蓋フィルム4から離れた未開栓位置から内蓋フィルム4を開栓する開栓位置へ蓋本体10の軸方向に沿って移動可能に保持させる。保持穴15の内周には、開栓位置の栓体20と密着される環状シール部16を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に設けられる蓋であって、
保持穴を有して前記口部を囲む環状に形成され、前記口部に螺合される蓋本体と、
前記保持穴に挿通されて、前記口部の内蓋フィルムから離れた未開栓位置から前記内蓋フィルムを開栓する開栓位置へ前記蓋本体の軸方向に沿って移動可能に保持された栓体と、
を備え、前記保持穴の内周には、前記開栓位置の栓体と密着される環状シール部が形成されていることを特徴とする蓋。
【請求項2】
前記栓体における前記開栓位置のとき前記環状シール部と相対して密着される被シール部分の外径が、前記栓体における前記未開栓位置のとき前記環状シール部と相対して保持される被保持部分の外径より大径であることを特徴とする請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記栓体における前記被シール部分と前記被保持部分との間には、前記被シール部分より大径の環状をなす規制凸部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に設けられる蓋に関し、特に、口部の内蓋フィルムを開栓する栓体付きの蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の容器の口部は内蓋フィルムで塞がっている。かつ口部には蓋が設けられている。蓋は、口部と螺合された蓋本体と、移動可能な栓体とを含み、栓体の中央部には、下端が斜めにカットされたシャフトが垂設されている。栓体を、押下可能角度まで回して押し下げることで開栓位置に位置させると、シャフトが内蓋フィルムを破って開栓させる。これによって、容器が開放される。栓体を開栓前の高さまで引き上げると、蓋本体の環状シール部に栓体が嵌って密着されることで、栓体と蓋本体との間が封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-232786号公報(図5図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の蓋は、栓体を押し下げて開栓した状態では容器が開放されている。封止するためには、栓体を開栓前の高さまで引き上げる操作が必要である。
本発明は、かかる事情に鑑み、栓体を開栓位置にしたとき、容器の気密性を確保可能な栓体付き蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、容器の口部に設けられる蓋であって、
保持穴を有して前記口部を囲む環状に形成され、前記口部に螺合される蓋本体と、
前記保持穴に挿通されて、前記口部の内蓋フィルムから離れた未開栓位置から前記内蓋フィルムを開栓する開栓位置へ前記蓋本体の軸方向に沿って移動可能に保持された栓体と、
を備え、前記保持穴の内周には、前記開栓位置の栓体と密着される環状シール部が形成されていることを特徴とする。
これによって、栓体が開栓位置にあるとき、環状シール部と栓体との密着によって蓋本体と栓体との間の封止状態を確保できる。したがって、蓋を容器から外さない限り、蓋の気密性が確保される。
【0006】
前記栓体における前記開栓位置のとき前記環状シール部と相対して密着される被シール部分の外径が、前記栓体における前記未開栓位置のとき前記環状シール部と相対して保持される被保持部分の外径より大径であることが好ましい。
これによって、栓体が開栓位置にあるとき、被シール部分に環状シール部が強く密着することで確実に封止状態にすることができる。栓体が未開栓位置にあるときは環状シール部によって栓体を保持できる。被保持部分と環状シール部との当たりが強くならないよう抑制されるために、栓体を未開栓位置から開栓位置へ向けて容易に移動させることができる。
【0007】
前記栓体における前記被シール部分と前記被保持部分との間には、前記被シール部分より大径の環状をなす規制凸部が形成されていることが好ましい。これによって、栓体が不用意に位置移動されないようにできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、栓体付き蓋の栓体が開栓位置にあるとき、蓋本体と栓体との間の封止状態を確保できる。ひいては容器の気密性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る栓体付き蓋が装着された容器の上側部分を、未開封状態で示す断面図である。
図2図2は、図1における栓体付き蓋の中央部分の拡大断面図である。
図3図3は、前記容器の上側部分を、開封状態で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、未開栓状態における容器1の上側部分を示したものである。容器1の内容物は特に限定が無く、飲料その他の食品でもよく、非食品でもよい。液体でもよく、ゲル状体でもよく、粉体その他の固体でもよい。以下の説明では、特に断らない限り、容器1は、内容物の封入後、一度も開栓されていない未開栓状態であるものとする。
【0011】
容器1の口部3の底部には、環状の内鍔部3aが径方向内側へ突出するように形成されている。内鍔部3aの内周面は、下方へ向かって縮径するテーパ面3dになっている。内鍔部3aの内側が口部3の底部開口3cになっている。底部開口3cには内蓋フィルム4が張られている。内蓋フィルム4によって、容器1が封止されている。内蓋フィルム4は、肩部2の内層を構成する肩部フィルム2aと一体であるが、肩部フィルム2aとは別体であってもよい。
【0012】
図1に示すように、容器1の口部3には、蓋5が設けられている。蓋5は、蓋本体10と、栓体20を備えている。
蓋本体10は、中央に保持穴15を有して、口部3を囲む環状に形成され、口部3に螺合可能である。詳しくは、蓋本体10は、口部3より大径の外周リング部11と、蓋天板12と、中リング部13と、内リング部14を含む。外周リング部11の上端部に蓋天板12の外周板部12aが連なっている。蓋天板12の外周板部12aより内側の板部12bは、円環状をなして、外周板部12aよりも下方へ引っ込んでいる。蓋天板12の上面には円形の凹部12cが形成されている。蓋天板12の中央部に保持穴15が形成されている。
【0013】
外周リング部11の内部には、それより小径の中リング部13が設けられている。中リング部13の上端が、蓋天板12の内側板部12bの中間部分に連なっている。中リング部13の内面に雌ネジ部13bが形成されている。該雌ネジ部13bが、口部3の外周の雄ネジ部3bと螺合されている。完全に螺合された状態では、口部3の上端部が、内側板部12bに突き当たっている。
【0014】
中リング部11の内部には、それより小径の内リング部14が設けられている。内リング部14は、円環状の内側板12bの内周縁から下方へ突出されている。該内リング部14が、口部3内に挿し入れられている。
【0015】
内リング部14の内部は、保持穴15を構成している。保持穴15は、上下に貫通されている。
【0016】
図2に拡大して示すように、内リング部14(ひいては保持穴15)の下側の内周には、環状シール部16が形成されている。環状シール部16は、それより上側の内リング部14の内周面14cよりも径方向内側へ突出された円筒面状になっている。環状シール部16における内周面14c側の端面は、内周面14cへ向かって上へ傾斜する傾斜端面16bとなっている。
【0017】
内リング部14の外周面は、下方へ向かって縮径するテーパ面になっている。そのテーパ角度は、環状シール部16の中間付近の高さで変化し、当該高さより上側が緩テーパ部14aとなり、当該高さより下側が急テーパ部14bとなっている。内リング部14の下端において、環状シール部16の内周面と急テーパ部14bとが、互いに鋭角をなすように交わり、リングエッジ部16eが形成されている。
【0018】
図1に示すように、保持穴15に栓体20が保持されている。栓体20は、シャフト21と、フランジ22を備えている。シャフト21及びフランジ22は互いに同一軸線上に配置されている。
【0019】
円筒形状のシャフト21の上端にフランジ22が設けられている。フランジ22は、シャフト21より大径の円板形状に形成されている。好ましくは、フランジ22は、円形凹部12c内に収まっている。未開栓状態のときのフランジ22は、内側板部12bから上方へ離間され、かつフランジ22の上面が、蓋天板12の外周板部12aの上面と実質的に面一になっている。
【0020】
シャフト21は、フランジ22から下方へ突出されて、保持穴15に挿通されている。
シャフト21の下端面は、斜めをなす斜端面27となっている。斜端面27の下端部は、鋭角に尖った栓エッジ部27eとなっている。
【0021】
図2に拡大して示すように、 シャフト21の外周面の中間より下側部分には、2つの環状の凸部24,26が形成されている。これら凸部24,26は、シャフト21の軸線方向(上下)に互いに離れている。相対的に上側の凸部を規制凸部24と称し、下側の凸部を抜止凸部26と称す。規制凸部24及び抜止凸部26の断面形状は、共に台形状になっている。規制凸部24の外径は抜止凸部26の外径より大きく、規制凸部24が抜止凸部26よりも径方向外側へ突出されている。
抜止凸部26を規制凸部24より小径にすることで、蓋本体10と栓体20の組み立て時にシャフト21を内リング部14に嵌め込み易い。
【0022】
シャフト21における、規制凸部24と抜止凸部26の間の部分は、被保持部分25を構成している。被保持部分25は、短円筒状になっており、その軸長は環状シール部16の軸長(図2において上下方向の寸法)と実質的に等しい。被保持部分25の外径は、環状シール部16の非シール状態における内径と実質的に等しい。非シール状態とは、環状シール部16に対して拡径方向のシール圧力が作用していない状態、ないしは環状シール部16に応力が作用していない自然状態を言う。「実質的に」とはミクロンオーダー以下の微細な寸法違いは許容される趣旨である。
【0023】
シャフト21における、規制凸部24よりフランジ22側の部分21aは、被保持部分25よりも長いストレートな円筒状になっている。該円筒状部分21aにおける規制凸部24の直近部分は、被シール部分23を構成している。被シール部分23を含む円筒状部分21aの外径は、被保持部分25の外径より大きく、したがって、環状シール部16の非シール状態における内径より大きい。かつ被シール部分23を含む円筒状部分21aは、抜止凸部26と略同径であり、規制凸部24より小径である。
言い換えると、規制凸部24は、被シール部分23及び被保持部分25より大径をなして、これら被シール部分23と被保持部分25との間に介在されている。
【0024】
図1及び図3に示すように、栓体20は、未開栓位置(図1)から開栓位置(図3)へ蓋本体10の軸方向に沿って移動可能なようにして、蓋本体10に保持されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、栓体20が未開栓位置のとき、容器1が未開栓状態になっている。エッジ27eは、口部3の内蓋フィルム4から上方(蓋天板12側)へ離れている。環状シール部16が、栓体20の2つの凸部24,26の間に挟まれている。これによって、被保持部分25が、環状シール部16と相対して保持されている。被保持部分25の外周面と環状シール部16の内周面とは、実質的にクリアランスゼロで接している。
【0026】
さらに、リングエッジ部16eが、抜止凸部26の上端の傾斜端面に近接又は当接されている。これによって、栓体20が蓋本体10に対して抜け止めされている。
かつ、環状シール部16の上側の傾斜端面16bが、規制凸部24の下側の傾斜端面24bに近接又は当接されて引っ掛かっている。これによって、栓体20に所定の大きさ以上の押下力を加えない限り、栓体20が開栓位置(図3)へ不用意に移行するのが阻止されている。
【0027】
かかる容器1を開栓する際は、栓体20を前記所定の大きさ以上の力で押し下げる。このとき、環状シール部16の傾斜端面16bが、規制凸部24の下側の傾斜端面24b(図2)と摺擦されて案内されることによって、内リング14を弾性的に拡径変形させながら、栓体20をスムーズに押し下げることができる。
図3に示すように、押し下げられた栓体20の栓エッジ部27eが内蓋フィルム4を破ることで容器1が開栓される。内鍔部3aのテーパ面3dのエッジと栓体20の栓エッジ部27eが、互いに挟みのような機能を果たすことで、内側フィルム4を容易かつ確実に切断できる。
【0028】
図3に示すように、やがて、フランジ22が内周板部12bに突き当たる。これによって、栓体20が開栓位置に位置される。規制凸部24は、環状シール部16を乗り越えて、環状シール部16より下方へ移行される。これによって、被シール部分23が環状シール部16と相対して密着される。被シール部分23の外径が自然状態の環状シール部16の内径より大きいから、内リング部14が拡径されるように弾性変形され、環状シール部16が被シール部分23に強く密着される。これによって、栓体20を開栓位置にすると同時に、栓体20と蓋本体10との間が封止状態になる。栓体20が開栓位置にある限り、栓体20と蓋本体10との間の気密性が常時維持される。封止のために栓体を元の位置へ戻す操作(特許文献1参照)などは不要である。
蓋本体10と容器1との気密は、口部3の上端部と内側板部12bとの当たりによって確保される。したがって、開栓後も、蓋5を取り外さない限り、容器1の気密性を確保できる。
リングエッジ部16eが規制凸部24の上端面と近接又は当接されることで、栓体20が蓋本体10に対して浮き上がるのが阻止される。
【0029】
容器1から内容物を出すときは、蓋5を回してネジ部3b,13bどうしの螺合を解除することで、蓋5を容器1から取り外す。
蓋5を再び口部3に螺合させて装着すると、前記開栓時と同様に、容器1の気密性を確保できる。
【0030】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、規制凸部24を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、容器の蓋に適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 容器
3 口部
3b 雄ネジ部
4 内蓋フィルム
5 蓋
10 蓋本体
13b 雌ネジ部
14 内リング部
15 保持穴
16 環状シール部
20 栓体
21 シャフト
22 フランジ
23 被シール部分
24 規制凸部
25 被保持部分
26 抜止凸部
図1
図2
図3