(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061572
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】構台杭周りの開口部養生蓋
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
E04G21/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169565
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】507060516
【氏名又は名称】ジャパン スチールス グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】與那原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】横尾 実
(57)【要約】
【課題】構台杭と建物躯体の貫通孔との間に形成される開口部を容易に覆うことができる開口部養生蓋を提供する。
【解決手段】構台杭10と建物躯体14の貫通孔15との間の開口部を閉じる開口部養生蓋16は、それぞれ建物躯体14の上に配置される第1の蓋組立体17と第2の蓋組立体18とを有し、それぞれの蓋組立体17、18は、第1の外側領域23および第1の内側領域24を備えた第1の蓋部材21と、第2の外側領域33および第1の内側領域24に重なる第2の内側領域34を備えた第2の蓋部材31と、備え、両方の蓋組立体17、18は接続金具40により接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブおよび相互に平行な2つのフランジを有する構台杭と建物躯体の貫通孔との間の開口部を閉じる構台杭周りの開口部養生蓋であって、
前記ウェブの一方面側に位置させて前記建物躯体の上に配置される第1の蓋組立体と、前記ウェブの他方面側に位置させて前記建物躯体の上に配置される第2の蓋組立体とを有し、
前記第1の蓋組立体と前記第2の蓋組立体は、
一方の前記フランジが入り込む第1のスリットを介して一方の前記フランジの外面側と前記貫通孔との間を覆う第1の外側領域、および一方の前記フランジの内面側を覆う第1の内側領域を備えた第1の蓋部材と、
他方の前記フランジが入り込む第2のスリットを介して他方の前記フランジの外面側と前記貫通孔との間を覆う第2の外側領域、および他方の前記フランジの内面側を覆うとともに第1の内側領域に重なる第2の内側領域を備えた第2の蓋部材と、備え、
前記第1の蓋組立体と前記第2の蓋組立体とを接続する接続金具を有する、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項2】
請求項1記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材とを締結する締結具を有する、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項3】
請求項2記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
前記締結具は、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材の何れか一方に前記ウェブに沿う方向に複数設けられたねじ孔の何れかに、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材のいずれか他方を貫通してねじ結合されるねじ部材である、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項4】
請求項3記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
前記ねじ部材が貫通する貫通孔を、前記ねじ孔に対応させて、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材のいずれか他方に複数設けた、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項5】
請求項3記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
複数の前記ねじ孔の全て対応する長孔を、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材のいずれか他方に設け、前記長孔を貫通させて前記ねじ部材を前記ねじ孔にねじ結合する、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
それぞれの蓋部材に持ち運び用の取手部材を設けた、構台杭周りの開口部養生蓋。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の構台杭周りの開口部養生蓋において、
前記貫通孔の角部に接触する接触棒材が取り付けられる取付孔を、それぞれの蓋部材に前記貫通孔の大きさに応じて複数設けた、構台杭周りの開口部養生蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型綱からなる構台杭と建築物の躯体との間の開口部を閉じるための構台杭周りの開口部養生蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
構台はステージとも言われ、土木工事や建設工事の現場において特定の目的のために敷設される仮設の架台である。工事現場においては、資材運搬用のトラックが乗り入れるための構台が仮設され、地下を掘削するためにも構台が仮設される。構台は、垂直に据え付けられたH型鋼からなる構台杭に取り付けられ、構台杭に支持される。構台杭としてのH型綱は、帯状に真っ直ぐに伸びるウェブと、ウェブの両側辺にウェブに対して直角となって一体に設けられ、相互に平行な2つのフランジとを有している。
【0003】
鉄筋コンクリート製の建築物を構築する場合には、構台の上方や下方に建築物を構成する床板等の建築物躯体が建設され、建物躯体の建設に必要なコンクリート等は構台の上を走行するトラック等により搬送される。建築物躯体には、構台杭が貫通する貫通孔が形成される。構台は、構台よりも下側の部分が完成したら解体される。
【0004】
特許文献1は、構台杭に取り付けられる型枠の支持具を開示しており、支持具は構台杭に取り付けられる吊り棒を有している。吊り棒の下端部に設けられた端受体により、型枠の端部である構台杭のフランジに接近した部分が支持され、型枠の貫通孔とフランジとの間の開口部は閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ウェブの両側であって相互に対向するフランジの間の空間部分は、閉じられておらず、この空間部分における貫通孔は開口されている。このように、建物躯体を構成する貫通孔の部分の構台杭周りのうち、相互に対向するフランジの間の内側の領域が外部に露出されると、その開口部から下方に物が落下することが想定され、建物躯体の上で作業者が安全に作業を行うことができなくなる。そのため、各現場において鉄板などを躯体に溶接したり、ねじ止めしたりして取り付ける必要があり、建物躯体の構台杭周り開口部を覆う作業を容易に行うことができないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、構台杭と建物躯体の貫通孔との間に形成される開口部を容易に覆うことができる開口部養生蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開口部養生蓋は、ウェブおよび相互に平行な2つのフランジを有する構台杭と建物躯体の貫通孔との間の開口部を閉じる構台杭周りの開口部養生蓋であって、前記ウェブの一方面側に位置させて前記建物躯体の上に配置される第1の蓋組立体と、前記ウェブの他方面側に位置させて前記建物躯体の上に配置される第2の蓋組立体とを有し、前記第1の蓋組立体と前記第2の蓋組立体は、一方の前記フランジが入り込む第1のスリットを介して一方の前記フランジの外面側と前記貫通孔との間を覆う第1の外側領域、および一方の前記フランジの内面側を覆う第1の内側領域を備えた第1の蓋部材と、他方の前記フランジが入り込む第2のスリットを介して他方の前記フランジの外面側と前記貫通孔との間を覆う第2の外側領域、および他方の前記フランジの内面側を覆うとともに第1の内側領域に重なる第2の内側領域を備えた第2の蓋部材と、備え、前記第1の蓋組立体と前記第2の蓋組立体とを接続する接続金具を有する。
【発明の効果】
【0009】
2つの蓋組立体はそれぞれ第1の蓋部材と第2の蓋部材とを備えており、両方の蓋組立体を構台杭のウェブを介してその両側に配置することにより、建物躯体の貫通孔と構台杭との間の開口部は構台杭の2つのフランジの間の開口部を含めて開口部養生蓋により覆われて閉じられる。両方の蓋部材は同一構造であり、少ない部品点数により開口部養生蓋が組み立てられる。両方の蓋組立体は、一方の蓋組立体の第1の蓋部材と、他方の蓋組立体の第2の蓋部材とを突き合わせた状態のもとで、接続金具を装着することにより連結されるので、建物躯体の上に容易に開口部養生蓋を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態である構台杭周りの開口部養生蓋が配置された建物躯体の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された開口部養生蓋を分離した状態を示す斜視図である。
【
図4】2つの蓋組立体を分離し、それぞれの蓋組立体の2つの蓋部材を分離した状態における開口部養生蓋を示す平面図である。
【
図5】
図3に示した構台杭よりも大型の構台杭に開口部養生蓋を装着した状態を示す平面図である。
【
図6】変形例である開口部養生蓋を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。地面に立設される構台杭10は、
図1~
図3に示されるように、真っ直ぐな帯状のウェブ11と、ウェブ11の両側辺に一体となった2つの真っ直ぐな帯状のフランジ12、13とを有しており、フランジ12、13は相互に平行であり、ウェブ11に対して直角である。それぞれのフランジ12、13は幅方向中央部の内面でウェブ11と一体となっており、構台杭10はH型鋼により構成されている。
【0012】
構台杭10の上部等には図示しない構台が取り付けられ、構台杭10により支持された構台の上をトラック等が走行することにより、建築に必要な資材が建築現場に搬入される。建築物を構成する床板等の建物躯体14は下の階側から順次建築され、建物躯体14と構台杭10との干渉を避けるために、建物躯体14には貫通孔15が形成される。構台杭10は貫通孔15を貫通し、図示しない部材により建物躯体14を支持する。構台杭10は、
図1においては二点鎖線で示され、
図2および
図3においては実線で示されている。貫通孔15と構台杭10との間には、開口部が形成される。
【0013】
図3に示されるように、H型鋼からなる構台杭10は、ウェブ11の厚み方向中心を通ってウェブ11の幅方向に延びる水平な中心線Oを中心として線対称である。
【0014】
開口部を閉じる構台杭周りの開口部養生蓋16は、第1の蓋組立体17と第2の蓋組立体18とを有している。第1の蓋組立体17は、
図3に示されるように、構台杭10のうち
図3において中心線Oよりも下側つまりウェブ11の一方面側に位置させて建物躯体14の上に配置される。第2の蓋組立体18は、構台杭10のうち中心線Oよりも上側つまりウェブ11の他方面側に位置させて建物躯体14の上に配置される。両方の蓋組立体17、18は、同じ部材により組み立てられており、ウェブ11の垂直中心線Pを中心に回転対称である。
【0015】
それぞれの蓋組立体17、18は、第1の蓋部材21と第2の蓋部材31とを有している。
図4においては、2つの蓋組立体17、18が矢印Aで示す方向に分離されるとともに、それぞれの蓋組立体17、18を構成する第1の蓋部材21と第2の蓋部材31とが矢印Bで示す方向に分離された状態で示されている。
【0016】
第1の蓋組立体17の蓋部材21は、長さ寸法Lが480mmで幅寸法Wが400mmの全体的にほぼ四辺形の鋼板により形成されている。蓋部材21が建物躯体14の上に配置された状態のもとでは、一方のフランジ12のうち、
図3においてウェブ11を境界として下側の部分が入り込む第1のスリット22が第1の蓋部材21に形成されている。蓋部材21は、スリット22を介してフランジ12の外面側と貫通孔15との間の開口部を覆う第1の外側領域23と、フランジ12の内面側の開口部を覆う第1の内側領域24とを備えており、他の部分は第1の基部25を構成している。基部25は、蓋部材21が建物躯体14の上に配置されると、建物躯体14の表面に接触し、蓋部材21は建物躯体14の上に配置される。蓋部材21におけるスリット22の開口部側の側辺には、突き当て辺26と対向辺27が設けられており、対向辺27は突き当て辺26よりも反対側の辺に向けて引っ込んでいる。
【0017】
第2の蓋部材31も第1の蓋部材21と同様に、長さ寸法Lが480mmで幅寸法Wが400mmの全体的にほぼ四辺形の鋼板により形成されている。蓋部材31が建物躯体14の上に配置された状態のもとでは、他方のフランジ13のうち、
図3においてウェブ11を境界として下側の部分が入り込む第2のスリット32が第2の蓋部材31に形成されている。蓋部材31は、スリット32を介してフランジ13の外面側と貫通孔15との間の開口部を覆う第2の外側領域33と、フランジ13の内面側の開口部を覆う第2の内側領域34とを備えており、他の部分は基部35を構成している。基部35は、蓋部材31が建物躯体14の上に配置されると、建物躯体14の表面に接触し、蓋部材31は建物躯体14の上に配置される。蓋部材31におけるスリット32の開口部側の側辺には、突き当て辺36と対向辺37が設けられており、対向辺37は突き当て辺36よりも反対側の辺に向けて引っ込んでいる。
【0018】
このように、2つの蓋部材21、31は、サイズが同一鋼板を用いて製造されており、基本構造が同一であり、少ない部品点数で2組の蓋組立体17,18を製造することができる。
【0019】
第2の蓋組立体18は、第1の蓋組立体17と同様に、第1の蓋部材21と第2の蓋部材31とにより構成されている。第2の蓋組立体18の蓋部材21、31は、第1の蓋組立体17の蓋部材21、31と同一構造であり、第1の蓋部材21は、第1のスリット22と、第1の外側領域23と、第1の内側領域24とを備えており、他の部分は第1の基部25を構成している。第2の蓋部材31は、第2のスリット32と、第2の外側領域33と、第2の内側領域34とを備えており、他の部分は第2の基部35を構成している。
【0020】
それぞれの蓋組立体17、18において、第1の蓋部材21のスリット22が2つのフランジ12,13の一方に入り込むと、第2の蓋部材31のスリット32が2つのフランジ12、13の他方に入り込む。
【0021】
このように、それぞれ蓋組立体17、18を構成する2つの蓋部材21、31は同一構造であり、少ない部品点数で2組の蓋組立体を製造することができる。
【0022】
両方の蓋組立体17、18を建物躯体14の開口部の上に配置するときには、
図3に示されるように、蓋組立体17の蓋部材21のスリット22に一方のフランジ12を入り込ませ、蓋部材31のスリット32に他方のフランジ13を入り込ませる。さらに、蓋組立体18の蓋部材21のスリット22に一方のフランジ13を入り込ませ、蓋部材31のスリット32に他方のフランジ12を入り込ませる。それぞれの蓋組立体17、18における蓋部材21、31の内側領域24、34は、ウェブ11と両方のフランジ12、13とにより形成されるフランジ12、13の内面側の開口部を覆うとともに、2つの内側領域24、34は相互に重ねられる。
図3においては、第2の蓋部材31が第1の蓋部材21の上側に重ねられた状態を示す。
【0023】
さらに、蓋組立体17の蓋部材21の突き当て辺26は、蓋組立体18の蓋部材31の突き当て辺36に突き当てられ、蓋組立体17の蓋部材21の対向辺27は、蓋組立体18の蓋部材31の対向辺37にウェブ11を介して対向する。両方の蓋組立体17、18の対向辺の間にウェブ11が入り込む。
【0024】
第1の蓋組立体17と第2の蓋組立体18とを接続するために、それぞれの蓋組立体17、18の蓋部材21には金具取付孔28が設けられ、蓋部材31には金具取付孔38が設けられており、両方の金具取付孔28、38には、
図2および
図3に示されるように、接続金具40が取り付けられる。接続金具40は、
図2に示されるように、金具取付孔28に取り付けられる脚部41と、金具取付孔38に取り付けられる脚部42とを有しており、接続金具40により一方の蓋組立体17の蓋部材21と蓋部材31は、他方の蓋組立体18の蓋部材21と蓋部材31に接続される。このように、脚部41、42を金具取付孔28,38に挿入することにより、2組の蓋組立体17、18を接続金具40により容易に連結することができる。
【0025】
それぞれの蓋組立体17、18における蓋部材21と蓋部材31とを接続金具40により接続すると、内側領域24、34が両方のフランジ12、13の間に入り込んだ状態のもとで、蓋組立体17の蓋部材21と蓋組立体18の蓋部材31とが接続され、蓋組立体17の蓋部材31と蓋組立体18の蓋部材21とが接続されるので、開口部養生蓋16は構台杭10と貫通孔15との間の開口部を覆うととともに、開口部養生蓋16が構台杭10から外れることが防止される。
【0026】
それぞれの蓋組立体17,18における2つの蓋部材21、31を強固に締結するために、蓋部材21の内側領域24には2つのねじ孔29が対となって設けられ、蓋部材31の内側領域34には3対のねじ取付孔39a~39cが設けられている。それぞれの対のねじ取付孔39a~39cは、2つの取付孔により一対となっている。三対のねじ取付孔39a~39cは、ウェブ11に沿う方向にずれている。なお、蓋部材21に1つのねじ孔29を設けるようにしても良く、その場合には3つのねじ取付孔39a~39cが蓋部材31に設けられる。
【0027】
2つの蓋部材21、31は、蓋部材21にはねじ孔29が設けられているのに対して、蓋部材31にはねじ取付孔37a~37cが設けられているという相違点があるが、外形状が相互に同一であり、同一サイズの鋼板を用いてそれぞれの蓋部材21、31を製造することができる。このように、蓋部材21と蓋部材31は表裏が反転された構造、つまり回転対称の構造である。
【0028】
建物躯体14を支持するために使用が想定される構台杭10のサイズは、H-300、H-350、H-400の3種類あり、それぞれにおける数字は2つのフランジ12、13の間の距離に対応している。
図3に示した構台杭10はH-300であり、2つのフランジ12、13の間隔は他のタイプに比して最も狭い。この構台杭10に開口部養生蓋16を装着する場合には、
図1~
図3に示すように、締結具としてのねじ部材44が取付孔39aを貫通してねじ孔29にねじ結合される。このように、蓋部材31に取付孔を複数設けることにより、一組の開口部養生蓋16を複数の構台杭10に装着することができ、しかも、蓋部材21と蓋部材31とを強固に締結することができる。
【0029】
図5は
図3に示した構台杭よりも大型の構台杭に開口部養生蓋を装着した状態を示す平面図であり、この場合には、内側領域24と内側領域34とが重なる範囲は、
図3に示した場合よりも狭くなるが、両方のフランジ12、13の間の開口部は両方の内側領域24,34により閉じられる。ねじ部材44は、スリット32から最も離れた位置の一対の取付孔39cを貫通して、ねじ孔29にねじ結合される。
【0030】
蓋部材21、31は建物躯体14の貫通孔15が最も大きい場合でも、基部25、35が建物躯体14に接触し、構台杭10と建物躯体14との間の隙間つまり開口部が、外側領域23、33と、内側領域24、34により覆われる。これにより、作業者は構台杭10に近づいて建物躯体14の上で作業を安全に行うことができる。
【0031】
蓋部材21、31には、作業者が蓋部材21、31を持ち運ぶための取手部材45が装着されている。取手部材45は蓋部材21、31に固定された支持部材46に回転自在に装着されており、蓋組立体17、18が建物躯体14に配置された状態においては、取手部材45は蓋部材21、31に接触する閉じた位置になる。それぞれの蓋部材21、31を運搬する際には、それぞれの取手部材45は開いた状態に操作される。
【0032】
開口部養生蓋16が建物躯体14の上に配置された状態のもとで、蓋部材21、31が建物躯体14の上でずれることを防止するために、蓋部材21、31には、それぞれねじ孔からなる3つの取付孔47a~47cが設けられており、
図3および
図5に示されるように、いずれかの取付孔47a~47cに接触棒材としてのボルト48が取り付けられる。建物躯体14の貫通孔15のサイズに合わせて、内側の取付孔47aから外側の取付孔47cのいずれかにボルト48を取り付けると、ボルト48は貫通孔15の角部に接近した状態となる。これにより、蓋部材21、31が水平方向にずれると、ボルト48が貫通孔15の角部に接触して、ボルト48により蓋部材21、31のずれが抑制される。
【0033】
図6は変形例である開口部養生蓋を示す平面図である。この場合には、蓋部材31には、長孔49が形成されており、長孔49は
図4に示した3つのねじ取付孔39a~39cの全てを含む長さと幅に対応している。その他の構造は、
図4に示した開口部養生蓋16と同様であり、
図4と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0034】
以上のように、相互に同一構造の2つの蓋組立体17、18を、構台杭10を囲むように配置し、接続金具40により接続ことにより、僅かな隙間を発生させることなく、構台杭10と建物躯体14の貫通孔15との間の隙間つまり開口部を開口部養生蓋16により覆うことができる。これにより、作業者は建物躯体14の上で安全に作業することができる。2つの蓋組立体17、18は同一構造であり、それぞれほぼ同一構造の蓋部材21、31により構成されており、少ない種類の部品点数で容易に製造することができる。
【0035】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図示する開口部養生蓋16は、サイズが相違する3種類の構台杭10のいずれにも装着できる形状であるが、蓋部材21、31のサイズをより大型化すれば、3種類以上の構台杭10に対しても、装着することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 構台杭
11 ウェブ
12、13 フランジ
14 建物躯体
15 貫通孔
16 開口部養生蓋
17 第1の蓋組立体
18 第2の蓋組立体
21 第1の蓋部材
22 スリット
23 外側領域
24 内側領域
25 基部
26 突き当て辺
27 対向辺
28 金具取付孔
29 ねじ孔
31 第2の蓋部材
32 スリット
33 外側領域
34 内側領域
35 基部
36 突き当て辺
37 対向辺
38 金具取付孔
39a~39c ねじ取付孔
40 接続金具
44 ねじ部材
45 取手部材
47a~47c 取付孔
48 ボルト
49 長孔