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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061592
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】車両運転評価システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220412BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220412BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220412BHJP
   B60W 50/08 20200101ALI20220412BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 A
G01C21/26 A
B60W50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169610
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 大
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢
(72)【発明者】
【氏名】前山田 信
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB33
2F129BB66
2F129DD24
2F129DD29
2F129DD45
2F129EE02
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF71
3D241BA49
3D241BA63
3D241BB16
3D241BB45
3D241BB46
3D241CD05
3D241DB05Z
3D241DC44Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF35
5H181LL04
5H181LL06
5H181MB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取付道路での運転評価を行うことができる車両運転評価システムを提供する。
【解決手段】車両運転評価システム10は,本線と接続する取付道路を走行した際の車両の加速度を取得する加速度取得部21aと、取付道路の長さを取得する道路長さ取得部21bと、取付道路の長さに基づいて、車両の運転評価の基準となる加速度の基準範囲を設定する範囲設定部21cと、加速度と基準範囲とを比較して、取付道路での車両の運転評価を行う運転評価部21dと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線と接続する取付道路を走行した際の車両の加速度を取得する加速度取得部と、
前記取付道路の長さを取得する道路長さ取得部と、
前記取付道路の長さに基づいて、前記車両の運転評価の基準となる前記加速度の基準範囲を設定する範囲設定部と、
前記加速度と前記基準範囲とを比較して、前記取付道路での前記車両の運転評価を行う運転評価部と、
を備える車両運転評価システム。
【請求項2】
前記取付道路の進行方向が前記本線に合流する方向であって前記取付道路の長さが第1距離より短い第2距離である場合、前記取付道路の長さが前記第1距離である場合と比べて、前記基準範囲の下限値と上限値とのうち少なくとも一方は大きく設定される、
請求項1に記載の車両運転評価システム。
【請求項3】
前記取付道路の進行方向が前記本線から退出する方向であって前記取付道路の長さが第3距離より短い第4距離である場合、前記取付道路の長さが前記第3距離である場合と比べて、前記基準範囲の下限値は小さく設定される、
請求項1または請求項2に記載の車両運転評価システム。
【請求項4】
前記取付道路の進行方向が前記本線に合流する方向であり、かつ、前記本線を走行する本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態においては、前記本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合、前記本線の前記渋滞度が前記渋滞閾値より小さい場合と比べて、前記基準範囲の下限値が大きくなる設定と、
前記取付道路の進行方向が前記本線に合流する方向であり、かつ、前記本線車両の平均速度が前記速度閾値より小さく、かつ、前記本線の前記渋滞度が前記渋滞閾値以上である場合、前記本線車両の平均速度が前記速度閾値以上である場合と比べて、前記基準範囲の下限値と上限値とのうち少なくとも一方が小さくなる設定と、の少なくとも一方が行われる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両運転評価システム。
【請求項5】
前記取付道路の進行方向が前記本線から退出する方向であって前記取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値より高い場合、前記渋滞度が前記渋滞閾値より低い場合と比べて、前記基準範囲の下限値は大きく設定される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両運転評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセル操作に基づいて車両の運転評価を行う技術が知られている。例えば、特許文献1においては、加速状態、定常走行状態および減速状態のいずれかの状態において、アクセル操作に基づき車両の運転評価を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-35649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、車両が走行している道路環境に応じて、当該車両が至り難い状態(加速状態、定常走行状態および減速状態)での運転評価を中止する。しかし、従来技術においては、道路環境に応じて運転評価を中止することから、診断可能なシーンが限定されて運転評価ができない場合があった。特に取付道路では、取付道路の前後の道路環境で種々の環境が生じるため、取付道路の走行について評価できない場合があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、取付道路での運転評価を行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、車両運転評価システムは、本線と接続する取付道路を走行した際の車両の加速度を取得する加速度取得部と、取付道路の長さを取得する道路長さ取得部と、取付道路の長さに基づいて、車両の運転評価の基準となる加速度の基準範囲を設定する範囲設定部と、加速度と基準範囲とを比較して、取付道路での車両の運転評価を行う運転評価部と、を備える。
【0006】
すなわち、車両運転評価システムでは、取付道路での運転評価を行うことができる。さらに、車両運転評価システムでは、取付道路の長さに基づいて、車両の運転評価の基準となる基準範囲を設定し、当該基準範囲を用いて車両の運転評価が行なわれる。このため、取付道路の長さに関わらず基準範囲が一定である車両運転評価システムと比べて、取付道路の長さに即した運転評価を実行することができる。また、車両の運転者に提供される運転評価の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】車両運転評価システムのブロック図である。
図2図2Aは、合流路を示す説明図である。図2Bは、退出路を示す説明図である。
図3図3A図3Eは、基準範囲について説明するための図である。
図4】運転評価処理のフローである。
図5図5Aは第1運転評価のフローである。図5Bは第2運転評価のフローである。
図6】基準範囲について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車両運転評価システムの構成:
(2)運転評価処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)車両運転評価システムの構成:
図1は、車両運転評価システム10の構成を示すブロック図である。車両運転評価システム10は、後述する取付道路を走行した際の車両100の運転評価を行うためのシステムである。車両運転評価システム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20、記録媒体30および通信部47を備えており、ROM等に記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。
【0010】
記録媒体30には地図情報30aおよび基準範囲情報30bが記録されている。地図情報30aは、車両100が走行する道路区間の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路区間の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路周辺に存在する施設を示す施設データ等を含んでいる。施設データには、高速道路に進入するための料金所、もしくは、高速道路から退出するための料金所の位置情報が含まれている。
【0011】
また、本実施形態において、リンクデータには、リンク長、各リンクデータが示す各道路区間の道路種別(例えば、取付道路)やリンクコストを示す情報が対応づけられている。また、リンクデータは道路区間上での車両100の進行方向毎に定義されており、進行方向が対応づけられている。さらに、ノードが示す交差点には、高速道路へ合流するための合流地点、高速道路から退出するための分岐地点が含まれている。道路種別の1種である取付道路とは、インターチェンジにおいて一般道路と高速道路とを接続する道路である。取付道路には、進行方向が高速道路の本線に合流する方向である合流路と、進行方向が高速道路の本線から退出する方向である退出路と、がある。
【0012】
基準範囲情報30bは、車両100の加速度の適正な範囲である基準範囲を示す情報である。本実施形態において、基準範囲は、合流路と退出路とのそれぞれについて定義されている。さらに、基準範囲は、合流路の長さ(詳細には合流路における後述する接続区間の長さ)に応じて定義されている。すなわち、合流路の長さと、合流路での加速度の適正な範囲である基準範囲とが対応づけられている。なお、本実施形態においては、合流路の長さが短くなるほど、下限値と上限値との両方が大きくなるように、合流路の基準範囲が定義されている。また、基準範囲は、退出路の長さ(詳細には退出路における後述する接続区間の長さ)に応じても定義されている。すなわち、退出路の長さと、退出路での加速度の適正な範囲である基準範囲とが対応づけられている。なお、本実施形態においては、退出路の長さが短くなるほど、下限値が小さくなるように、退出路の基準範囲が定義されている。
【0013】
通信部47は、図示しない交通情報管理システムと無線通信を行うための装置である。交通情報管理システムは、監視対象の道路を監視し、予め生成対象として設定された道路区間における渋滞度および平均速度を示す交通情報を生成するシステムである。本実施形態においては、監視対象の道路は高速道路および取付道路である。本実施形態において、交通情報には、設定された道路区間のうち渋滞区間の開始位置、渋滞区間の長さ、渋滞度(渋滞、混雑、空き等の多段階の度合い)を示す情報および設定された道路区間を走行する車両100の平均速度を示す情報が含まれる。交通情報管理システムは、予め決められた期間毎に監視を行い、各道路区間における交通情報を生成する。制御部20は、通信部47を介して、既定のタイミングで交通情報管理システムから任意の道路区間における交通情報を取得することができる。また、通信部47は、車両100と無線通信を行うための装置でもある。
【0014】
図2Aは、進行方向が高速道路の本線に合流する方向である取付道路(合流路)を示す説明図である。図2Aには、車両Vと、料金所TG1と、本線MLと、取付道路AR1と、が示されている。車両Vは、料金所TG1を通過して図面左側から図面右側に向けて進行している。料金所TG1は、通行券を配布もしくは車両Vの車内にあるETCカードに料金所TG1の通過履歴を記録するためのゲートである。本線MLは、2車線から構成される高速道路の本線であり、進行方向は図面左側から図面右側である。取付道路AR1は、一般道路と本線MLと接続する道路であり、合流路である。図2Aにおいて、取付道路AR1と本線MLとの境界は、破線で示されている。
【0015】
図2Bは、進行方向が高速道路の本線から退出する方向である取付道路(退出路)を示す説明図である。図2Bには、車両Vと、料金所TG2と、本線MLと、取付道路AR2と、が示されている。本線MLの進行方向は、図2Aと同様に、図面左側から図面右側である。車両Vは、本線MLを退出して取付道路AR2を図面左側から図面右側に向けて進行している。料金所TG2は、車両Vの運転者が高速道路の利用料金を支払うためのゲートである。取付道路AR2は、一般道路と本線MLと接続する道路であり、退出路である。図2Bにおいて、本線MLと取付道路AR2との境界は、破線で示されている。
【0016】
本実施形態にかかる車両100は、制御部120と、記録媒体130と、加速度センサ140と、GNSS受信部141と、車速センサ143と、ジャイロセンサ145と、通信部147と、ユーザI/F部149とを備えている。記録媒体130には、地図情報30aと同様の地図情報130aが記録されている。加速度センサ140は、車両100に作用する加速度を検出し、加速度を示す情報を出力するセンサである。加速度センサ140が検出する加速度には、正の加速度のみならず、減速度を示す負の加速度も含まれる。制御部120は、図示しないインタフェースを介して加速度センサ140が出力する信号を取得し、車両100に作用する加速度を特定する。GNSS受信部141は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両100の現在地を算出するための信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両100の現在地を取得する。車速センサ143は、車両100が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部120は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ145は、車両100の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両100の向きに対応した信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両100の進行方向を取得する。車速センサ143およびジャイロセンサ145等は、車両100の走行軌跡を特定するために利用される。本実施形態において、車両100の出発地と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発地と走行軌跡とに基づいて特定された車両100の現在地がGNSS受信部141の出力信号に基づいて補正される。
【0017】
通信部147は、車両運転評価システム10と無線通信を行うための装置である。ユーザI/F部149は、利用者の指示を受け付けるとともに、利用者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部149は、制御信号を制御部120から受信し、経路案内などの各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示する。
【0018】
本実施形態において、制御部120は、ROM等に記録された図示しないナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、ユーザI/F部149の表示部に車両100の現在地が含まれる地図を表示して、利用者を目的地まで案内する機能を制御部120に実現させるプログラムである。制御部120は、ナビゲーションプログラムにより、目的地の設定や出発地から目的地までの経路の探索を実行し、当該経路に沿って車両100を誘導する案内を実行することができる。
【0019】
制御部120は、図示しないナビゲーションプログラムを実行することにより、現在地取得部121a、通信制御部121bとして機能する。制御部120は、現在地取得部121aとして機能することにより、車両100の現在地を取得する。すなわち、制御部120は、地図情報130a、GNSS受信部141、車速センサ143およびジャイロセンサ145の出力信号に基づいて車両100の現在地を特定する。そして、制御部120は、通信制御部121bとして機能することにより、通信部147を介して、車両100の現在地および加速度を示す情報を車両運転評価システム10に送信する。当該情報の送信は、常時行われている。
【0020】
車両運転評価システム10の説明に戻る。本実施形態において、車両運転評価システム10は、走行中の車両100の運転を評価する運転評価プログラム21を備えている。運転評価プログラム21が実行されると、制御部20は、加速度取得部21a、道路長さ取得部21b、範囲設定部21cおよび運転評価部21d、として機能する。加速度取得部21aは、本線と接続する取付道路を走行した際の車両100の加速度を取得する機能である。本実施形態では、加速度取得部21aとして機能する制御部20は、料金所と高速道路の本線への合流地点(もしくは高速道路の本線から退出するための分岐地点)との間の区間である接続区間における加速度を、取付道路を走行した際の車両100の加速度として取得する。加速度取得部21aとして機能する制御部20は、通信部47を介して、車両100から送信される車両100の現在地および加速度を示す情報を取得し、当該情報を記録媒体30に記録する。そして、制御部20は、一定期間ごとに、最後に運転評価プログラム21を実行したのちに取得した当該情報のうち車両100の現在地の履歴を参照するとともに地図情報30aを参照し、道路種別が取付道路である道路区間を車両100が走行したか否か判定する。当該道路区間を車両100が走行した場合、制御部20は、車両100の現在地が料金所と高速道路の本線への合流地点(もしくは高速道路の本線から退出するための分岐地点)との間の接続区間に位置していたか否か判定する。そして、接続区間に車両100が位置していた場合には、制御部20は、通信部47を介して記録媒体30に記録されている加速度を示す情報のうち、接続区間を走行していた際の車両100の加速度を取得する。本実施形態では、加速度取得部21aが取得する加速度は、加速度センサ140が検出した加速度であるが、車速センサ143が出力する信号に基づいて取得された車速を微分することによって導出された値であってもよい。本実施形態では、加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両100の加速度として取得する値は、接続区間を走行している間に加速度センサ140により連続的に取得された加速度の値の平均値である。加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両100の加速度として取得した値は、後述する基準範囲との比較に用いられる。
【0021】
道路長さ取得部21bは、取付道路の長さを取得する機能である。本実施形態では、接続区間の長さを、取付道路の長さとして取得する。道路長さ取得部21bとして機能する制御部20は、接続区間を車両100が走行した場合、地図情報30aを参照し、料金所の位置と、高速道路の本線と取付道路との合流地点(分岐地点)を示すノードの位置と、を取得し、両者の位置の間の距離を取得することによって、接続区間の長さを取得する。本実施形態では、接続区間の長さは、料金所の位置と、高速道路の本線と取付道路との合流地点(分岐地点)を示すノードの位置との間を接続する道路の形状に沿った距離である。
【0022】
範囲設定部21cは、取付道路の長さに基づいて、車両100の運転評価の基準となる加速度の基準範囲を設定する機能である。また、運転評価部21dは、取付道路を走行した際の車両100の加速度と基準範囲とを比較して、取付道路での車両100の運転評価を行う機能である。本実施形態では、取付道路の進行方向が本線に合流する方向である場合、範囲設定部21cとして機能する制御部20は、基準範囲として、下限値(>0km/h)および上限値(>0km/h)を設定する。すなわち、設定された下限値以上、上限値未満の範囲が基準範囲となる。このような場合、加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両100の加速度として取得した値が基準範囲の下限値以上、上限値未満であった場合、運転評価部21dとして機能する制御部20は、取付道路における車両100の加速は適正加速であったと判定する。当該値が基準範囲の下限値未満であった場合、制御部20は、取付道路における車両100の加速は加速不足であったと判定する。当該値が基準範囲の上限値以上であった場合、制御部20は、取付道路における車両100の加速は急加速であったと判定する。判定結果は、通信部47を介して車両100に送信されたのち、ユーザI/F部149の表示部に表示される。車両100の運転者は、当該表示部の表示を確認することによって、判定結果を知ることができる。
【0023】
本実施形態では、取付道路の進行方向が本線から退出する方向である場合、範囲設定部21cとして機能する制御部20は、基準範囲として、下限値(<0km/h)および上限値(≦0km/h)を設定する。すなわち、設定された下限値以上、上限値未満の範囲が基準範囲となる。このような場合、加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両100の加速度として取得した値が基準範囲の下限値以上、上限値未満であった場合、運転評価部21dとして機能する制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は適正減速であったと判定する。当該値が基準範囲の下限値未満であった場合、制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は急減速であったと判定する。当該値が基準範囲の上限値以上であった場合、制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は減速不足であったと判定する。判定結果は、通信部47を介して車両100に送信されたのち、ユーザI/F部149の表示部に表示される。車両100の運転者は、当該表示部の表示を確認することによって、判定結果を知ることができる。
【0024】
本実施形態において、基準範囲は、取付道路の長さ等に応じて変化し得る。具体的には、範囲設定部21cとして機能する制御部20は、取付道路を車両100が走行した場合、地図情報30aを参照し、取付道路の進行方向が本線に合流する方向であるか、本線から退出する方向であるかを判定する。取付道路の進行方向が本線に合流する方向である場合、制御部20は、記録媒体30に記録された基準範囲情報30bを参照し、道路長さ取得部21bの機能で取得された合流路の長さ(詳細には合流路における接続区間の長さ)に対応する基準範囲を取得する。上述のように、合流路においては、合流路の長さが短くなるほど、下限値と上限値との両方が大きくなるように、基準範囲が定義されている。
【0025】
図3Aは、取付道路(合流路)の長さに応じて設定される基準範囲について説明するための図である。図3Aにおいては、横方向に基準範囲の軸が設定されており、図面左側から右側に向かうにつれて基準範囲に含まれる加速度の値が増加していることを表している(後述する図3B図3Eにおいても同様)。また、破線で示された位置は、加速度が0km/hの位置である(後述する図3B図3Eにおいても同様)。基準範囲R1は、ある距離(例えば500m)に対応した基準範囲を示している。基準範囲R1の下限値は、数値α1(>0km/h)であり、上限値は、数値β1(>0km/h)である。一方、基準範囲R2は、より短い距離(例えば、250m)に対応した基準範囲を示している。基準範囲R2の下限値は、数値α1'(>α1)であり、上限値は、数値β1'(>β1)である。基準範囲R2は、基準範囲R1と比べて、数値α1以上数値α1'未満の加速度の値を範囲内に含まず、数値α1'以上数値β1'未満の加速度の値を範囲内に含む。このように、合流路における接続区間の長さが短くなるほど基準範囲の下限値と上限値との両方が大きく設定する理由は、以下のように説明される。すなわち、取付道路の長さが第1距離より短い第2距離である場合、取付道路の長さが第1距離である場合と比べて、料金所から高速道路の本線までの距離が短い。このような状態においては、料金所から高速道路の本線に合流するまでの短い距離(第1距離と比べて)を走行する間に、本線を走行するために要求される速度まで車両100を加速させる必要があることから、基準範囲の下限値と上限値との両方を大きく設定することによって、当該値の加速度による車両100の加速を実行した際に、適正加速であると判定することができる。すなわち、交通状況に応じた運転評価を実行することができる。以上のように、本実施形態において、合流路では、道路区間の長さが短くなるほど、下限値と上限値との両方が大きくなるように、基準範囲が定義されている。従って、本実施形態においては、第1距離の基準範囲と、第1距離より短い第2距離の基準範囲とを比べた場合に、第2距離の基準範囲における下限値と上限値とのうち少なくとも一方が第1距離の基準範囲より大きく設定されているような、第1距離および第2距離が存在する。
【0026】
一方、車両100が走行した取付道路の進行方向が本線に退出する方向である場合、道路長さ取得部21bとして機能することにより制御部20は、記録媒体30に記録された基準範囲情報30bを参照し、道路長さ取得部21bの機能で取得された退出路の長さ(詳細には退出路における接続区間の長さ)に対応する基準範囲を取得する。上述のように、退出路においては、退出路の長さが短くなるほど、基準範囲の下限値が小さく設定されるよう規定されている。
【0027】
図3Bは、取付道路(退出路)の長さに応じて設定される基準範囲について説明するための図である。基準範囲R3は、ある距離(例えば600m)に対応した基準範囲を示している。基準範囲R3の下限値は、β2(<0km/h)であり、上限値は、β3(≦0km/h)である。一方、基準範囲R4は、より短い距離(例えば300m)に対応した基準範囲を示している。基準範囲R4の下限値は、数値β2'(<β2)であり、上限値は、β3(≦0km/h)である。基準範囲R4は、基準範囲R3に加えて、数値β2'以上数値β2未満の加速度の値も範囲内に含む。このように、退出路における接続区間の長さが短くなるほど基準範囲の下限値を小さく設定する理由は、以下のように説明される。すなわち、取付道路の長さが第3距離より短い第4距離である場合、取付道路の長さが第3距離である場合と比べて、高速道路の本線から料金所までの距離が短い。このような状態においては、高速道路の本線から料金所に到達するまでの短い距離(第3距離と比べて)を走行する間に、料金所において徐行もしくは停止させることができる程度に車両100を減速させておく必要があることから、基準範囲に含まれ得る加速度の値を小さい方へ広げることによって、当該値の加速度による車両100の加速を実行した際に、適正減速であると判定することができる。すなわち、交通状況に応じた運転評価を実行することができる。以上のように、本実施形態において、退出路では、道路区間の長さが短くなるほど、下限値が小さくなるように、基準範囲が定義されている。従って、本実施形態では、第3距離の基準範囲と、第3距離より短い第4距離の基準範囲とを比べた場合に、第4距離の基準範囲における下限値が第3距離の基準範囲における下限値より小さく設定されているような、第3距離および第4距離が存在する。
【0028】
また、本実施形態では、取付道路の進行方向が本線に合流する方向であり、かつ、本線を走行する本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態において、制御部20は、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合と比べて、基準範囲の下限値が大きくなる設定を行う。本実施形態では、交通情報が示す渋滞度は、渋滞、混雑、空きの3段階で表される。そして、既定の渋滞閾値は混雑に設定されていることから、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合とは、本線の渋滞度が渋滞もしくは混雑を示す場合である。また、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合とは、本線の渋滞度が空きを示す場合である。範囲設定部21cとして機能する制御部20は、車両100が走行した取付道路の進行方向が本線に合流する方向である場合、通信部47を介して交通情報管理システムと通信を行い、当該取付道路から既定範囲内に含まれる高速道路の本線における渋滞度および本線を走行する本線車両の平均速度を示す情報を含む交通情報を車両運転評価システム10に送信する要求を、交通情報管理システムに送信する。交通情報管理システムは、当該要求に応じて、当該交通情報を返信する。制御部20は、取得した当該交通情報を参照し、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上であり、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合には、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態において本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合と比べて、基準範囲の下限値が大きくなる設定を行う。
【0029】
図3Cは、本線車両の平均速度および本線の渋滞度に応じて設定される基準範囲について説明するための図である。基準範囲R5は、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態において本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合の基準範囲を示している。基準範囲R5の下限値は、α1(>0km/h)であり、上限値は、β1(>0km/h)である。なお、基準範囲R5の下限値および上限値は、図3Aの基準範囲R1の下限値および上限値と同じ数値α1および数値β1で表しているが、基準範囲R1および基準範囲R5の下限値同士および上限値同士は、むろん異なる値であってもよい。一方、基準範囲R6は、当該状態(取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態)において、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合の基準範囲を示している。基準範囲R6の下限値は、数値α1+a1(a1>0km/h)であり、上限値は、β1(>0km/h)である。基準範囲R6は、基準範囲R5と比べて、数値α1以上数値α1+a1未満の加速度の値を範囲内に含まず、数値α1+a1以上数値β1未満の加速度の値を範囲内に含む。このように、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態において、本線の渋滞度に応じて基準範囲の下限値を大きく設定する理由は、以下のように説明される。すなわち、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上であり、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合とは、混雑により平均速度は低下していないものの本線車両の台数が多い状態であるとみなされる。このような状態においては、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上であり、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合と比べて、本線に合流するタイミングが難しくなることから、そのタイミングに合わせて本線に合流するために合流前の車両100を十分に加速しておく必要がある。したがって、基準範囲に含まれ得る加速度の値を数値β1寄りの値に制限することによって、数値β1寄りの値の加速度による車両100の加速を実行した際に、適正加速であると判定することができる。すなわち、交通状況に応じた運転評価を実行することができる。
【0030】
また、本実施形態では、図3Cで説明した基準範囲の設定に加えて、取付道路の進行方向が本線に合流する方向であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合、本線車両の平均速度が速度閾値以上である場合と比べて、基準範囲の下限値と上限値とのうち少なくとも一方が小さくなる設定を行う。具体的には、範囲設定部21cとして機能する制御部20は、車両100が走行した取付道路の進行方向が本線に合流する方向である場合、交通情報管理システムから取得した当該交通情報を参照する。そして、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合には、制御部20は、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である場合と比べて、基準範囲の下限値と上限値とのうち少なくとも一方が小さくなる設定を行う。本実施形態では、このような場合、下限値と上限値との両方が小さく設定される。
【0031】
図3Dは、本線車両の平均速度および本線の渋滞度に応じて設定される基準範囲について説明するための図である。基準範囲R5は、図3Cと同様に、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態において本線の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合の基準範囲を示している。基準範囲R6は、図3Cと同様に、当該状態(取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である状態)において、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合の基準範囲を示している。一方、基準範囲R7は、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合の基準範囲を示している。基準範囲R7の下限値は、数値α1-a2(a2>0km/h)であり、上限値は、β1-b2(b2>0km/h)である。基準範囲R7は、基準範囲R5および基準範囲R6と比べて、数値β1-b2以上数値β1未満の加速度の値を範囲内に含まず、数値α1-a2以上数値α1未満の加速度の値を範囲内に含む。このように、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である状態において、基準範囲の下限値と上限値との両方を小さく設定する理由は、以下のように説明される。すなわち、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合とは、混雑により平均速度が低下しているとともに本線車両の台数が多い状態であるとみなされる。このような状態においては、本線に合流する際に車両100が急加速していると過度の加速になる可能性があることから、基準範囲に含まれ得る加速度の値をより小さい値の側に制限することによって、より小さい値の加速度で車両100を加速させた場合に、適正加速であると判定させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、取付道路の進行方向が本線から退出する方向であって取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合、取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合と比べて、基準範囲の下限値は大きく設定される。具体的には、範囲設定部21cとして機能する制御部20は、車両100が走行した取付道路の進行方向が本線から退出する方向である場合、通信部47を介して交通情報管理システムと通信を行い、当該取付道路の渋滞度(詳細には退出路における接続区間の渋滞度)を示す情報を含む交通情報を車両運転評価システム10に送信する要求を、交通情報管理システムに送信する。そして、制御部20は、交通情報管理システムから取得した当該交通情報を参照し、当該取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合には、当該取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合と比べて、基準範囲の下限値が大きくなる設定を行う。
【0033】
図3Eは、取付道路の渋滞度に応じて設定される基準範囲について説明するための図である。基準範囲R8は、取付道路が退出路であり、かつ、取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値より小さい場合の基準範囲を示している。基準範囲R8の下限値は、β2(<0km/h)であり、上限値は、β3(≦0km/h)である。なお、基準範囲R8の下限値および上限値は、図3Bの基準範囲R3の下限値および上限値と同じ数値β2および数値β3で表しているが、基準範囲R3および基準範囲R8の下限値同士および上限値同士は、むろん異なる値であってもよい。一方、基準範囲R9は、取付道路が退出路であり、かつ、取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合の基準範囲を示している。基準範囲R9の下限値は、数値β2+b3(b3>0km/h)であり、上限値は、β3(<0km/h)である。基準範囲R9は、基準範囲R8と比べて、数値β2以上数値β2+b3未満の加速度の値を範囲内に含まない。このように、取付道路が退出路であり、かつ、取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合に基準範囲の下限値を大きく設定する理由は、以下のように説明される。すなわち、退出路である取付道路の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合とは、退出路が混雑している状態であるとみなされる。このような状態においては、退出路に進入する際に車両100が急減速すると後部車両に危険が及ぶことから、基準範囲に含まれ得る負の加速度の値を数値β3寄りの値に制限することによって、数値β3寄りの値の負の加速度による車両100の減速を実行した際に、適正減速であると判定することができる。すなわち、交通状況に応じた運転評価を実行することができる。
【0034】
以上の構成によれば、取付道路での運転評価を行うことができる。さらに、取付道路の長さに基づいて、車両100の運転評価の基準となる基準範囲を設定し、当該基準範囲を用いて車両100の運転評価が行なわれる。このため、取付道路の長さに関わらず基準範囲が一定である車両運転評価システムと比べて、取付道路の長さに即した運転評価を実行することができる。また、車両100の運転者に提供される運転評価の精度を向上させることができる。
【0035】
(2)運転評価処理:
次に、図4に示すフローチャートに基づいて、車両運転評価システム10が実行する運転評価処理を説明する。運転評価処理は、車両100が取付道路を走行した際の加速度が適正であったか否かを判定するための処理である。当該運転評価処理は、予め決められたトリガに応じて実行される。トリガは種々の手法で決められて良く、例えば、一定期間毎に発生しても良いし、車両100毎に車両100が一定距離走行するたびに発生しても良い。運転評価処理が実行されると、制御部20は、加速度取得部21aとして機能することによって、車両100が取付道路を走行したか否か判定する(ステップS110)。具体的には、制御部20は、車両100の現在地の履歴および地図情報30aを参照し、道路種別が取付道路である道路区間を車両100が走行したか否か判定する。そして、当該道路区間を車両100が走行した場合、制御部20は、車両100の現在地が料金所と高速道路の本線への合流地点(もしくは高速道路の本線から退出するための分岐地点)との間の接続区間に位置していたか否か判定する。すなわち、制御部20は、接続区間に位置していた場合には、車両100が取付道路を走行したと判定し、接続区間に位置していない場合には、車両100が取付道路を走行していないと判定する。車両100が取付道路を走行していないと判定された場合(ステップS110:NO)、制御部20は、運転評価処理を終了する。
【0036】
車両100が取付道路を走行したと判定された場合(ステップS110:YES)、制御部20は、加速度取得部21aとして機能することによって、取付道路を走行した際の車両100の加速度を取得する(ステップS120)。本実施形態では、制御部20が取得する加速度は、取付道路のうち接続区間を走行している間に加速度センサ140により連続的に取得された加速度の値の平均値である。
【0037】
次に、制御部20は、道路長さ取得部21bとして機能することによって、取付道路の長さを取得する(ステップS130)。具体的には、制御部20は、取付道路を車両100が走行した場合、地図情報30aを参照し、料金所の位置と、料金所と高速道路の本線への合流地点(もしくは高速道路の本線から退出するための分岐地点)を示すノードの位置と、を取得し、両者の位置の間の距離を取得することによって、取付道路の長さを取得する。
【0038】
次に、制御部20は、範囲設定部21cとして機能することによって、交通情報を取得する(ステップS140)。車両100が走行した取付道路が合流路である場合には、制御部20は、当該取付道路から既定範囲内に含まれる高速道路の本線における渋滞度および本線を走行する本線車両の平均速度を示す情報を含む交通情報の送信要求を交通情報管理システムに送信することによって、当該交通情報を取得する。一方、車両100が走行した取付道路が退出路である場合には、制御部20は、当該取付道路の渋滞度を示す情報を含む交通情報の送信要求を交通情報管理システムに送信することによって、当該交通情報を取得する。
【0039】
次に、制御部20は、範囲設定部21cとして機能することによって、基準範囲の設定を行う(ステップS150)。具体的には、制御部20は、取付道路が合流路であるか退出路であるか、取付道路に含まれる接続区間の長さ、本線車両の平均速度および本線(もしくは接続区間)の渋滞度に基づいて、基準範囲の設定を行う。
【0040】
次に、制御部20は、運転評価部21dとして機能することによって、取付道路の進行方向が本線に合流する方向であったか否かを判定する(ステップS160)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、車両100が走行した取付道路が合流路であったか退出路であったかを判定する。取付道路の進行方向が本線に合流する方向であった場合(ステップS160:YES)、制御部20は、運転評価部21dとして機能することにより、第1運転評価を行うことによって、取付道路に含まれる接続区間での車両100の運転評価を行う(ステップS170)。ステップS170の第1運転評価の詳細は、図5Aを用いて説明する。一方、取付道路の進行方向が本線に合流する方向でなかった場合、すなわち、取付道路が退出路であった場合(ステップS160:NO)、制御部20は、運転評価部21dとして機能することにより、第2運転評価を行うことによって、取付道路に含まれる接続区間での車両100の運転評価を行う(ステップS180)。ステップS180の第2運転評価の詳細は、図5Bを用いて説明する。
【0041】
図5Aに示すフローチャートを用いて、ステップS170の第1運転評価について詳細に説明する。ステップS170の第1運転評価には、以下に説明するステップS171~S175が含まれる。第1運転評価を実行している間、制御部20は、運転評価部21dとして機能する。第1運転評価において、まず初めに、制御部20は、加速度取得部21aの機能により取得された加速度の値が基準範囲の下限値(≧0km/h)未満であるか否か判定する(ステップS171)。下限値未満である場合(ステップS171:YES)、制御部20は、取付道路における車両100の加速は加速不足であったと判定する(ステップS172)。その後、制御部20は、第1運転評価を終了して図4の運転評価処理に戻り、通信部47を介して判定結果を車両100に送信する(ステップS190)。そして、制御部20は、運転評価処理を終了する。
【0042】
下限値未満でない場合(ステップS171:NO)、制御部20は、加速度取得部21aの機能により取得された加速度の値が基準範囲の上限値(>0km/h)未満であるか否か判定する(ステップS173)。上限値未満である場合(ステップS173:YES)、制御部20は、取付道路における車両100の加速は適正加速であったと判定する(ステップS174)。上限値未満でない場合(ステップS173:NO)、制御部20は、取付道路における車両100の加速は急加速であったと判定する(ステップS175)。ステップS174もしくはステップS175の処理を実行したのち、制御部20は、第1運転評価を終了して図4の運転評価処理に戻り、通信部47を介して判定結果を車両100に送信する(ステップS190)。そして、制御部20は、運転評価処理を終了する。
【0043】
図5Bに示すフローチャートを用いて、ステップS180の第2運転評価について詳細に説明する。ステップS180の第2運転評価には、以下に説明するステップS181~S185が含まれる。第2運転評価を実行している間、制御部20は、運転評価部21dとして機能する。第2運転評価において、まず初めに、制御部20は、加速度取得部21aの機能により取得された加速度の値が基準範囲の下限値(<0km/h)未満であるか否か判定する(ステップS181)。下限値未満である場合(ステップS181:YES)、制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は急減速であったと判定する。(ステップS182)。その後、制御部20は、第2運転評価を終了して図4の運転評価処理に戻り、通信部47を介して判定結果を車両100に送信する(ステップS190)。そして、制御部20は、運転評価処理を終了する。
【0044】
下限値未満でない場合(ステップS181:NO)、制御部20は、加速度取得部21aの機能により取得された加速度の値が基準範囲の上限値(≦0km/h)未満であるか否か判定する(ステップS183)。上限値未満である場合(ステップS183:YES)、制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は適正減速であったと判定する(ステップS184)。上限値未満でない場合(ステップS183:NO)、制御部20は、取付道路における車両100の減速(負の加速)は減速不足であったと判定する(ステップS185)。ステップS184もしくはステップS185の処理を実行したのち、制御部20は、第2運転評価を終了して図4の運転評価処理に戻り、通信部47を介して判定結果を車両100に送信する(ステップS190)。そして、制御部20は、運転評価処理を終了する。
【0045】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両運転評価システムは複数のサーバコンピュータによって構成されていてもよい。また、車両運転評価システムは、車両に備え付けられた装置であってもよいし、可搬型の装置(例えば運転者の携帯端末等)であってもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0046】
車両運転評価システムを構成する加速度取得部、道路長さ取得部、範囲設定部や運転評価部の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在しても良い。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0047】
加速度取得部は、本線と接続する取付道路を走行した際の車両の加速度を取得することができればよい。上述の実施形態では、加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両の加速度として取得する値は、接続区間を走行している間に加速度センサ140により連続的に取得された加速度の値の平均値であったが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、加速度取得部21aとして機能する制御部20が車両の加速度として取得する値は、接続区間を走行している間に加速度センサ140により連続的に取得された加速度のうち最小値や最大値であってもよい、また、接続区間を走行している間に加速度センサ140により連続的に取得された加速度ではなく、単位距離ごとに取得された加速度の値もしくは単位時間ごとに取得された加速度の値のうちのいずれかの値の平均値であってもよいし、いずれかの値の最小値や最大値であってもよい。
【0048】
上述した実施形態では、加速度取得部は、料金所と高速道路の本線への合流地点(もしくは高速道路の本線から退出するための分岐地点)との間の接続区間における加速度を、取付道路を走行した際の車両の加速度として取得していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、加速度取得部は、道路種別が取付道路を示す道路区間の端点の間における加速度を、取付道路を走行した際の車両の加速度として取得してもよい。
【0049】
道路長さ取得部は、取付道路の長さを取得することができればよい。上述の実施形態では、道路長さ取得部が取得する取付道路の長さは、料金所の位置と、高速道路の本線と取付道路との合流地点(分岐地点)を示すノードの位置との間を接続する道路の形状に沿った距離であったが、本発明の実施形態ではこれに限られない。例えば、道路長さ取得部が取得する接続区間の長さは、料金所の位置と、高速道路の本線と取付道路との合流地点(分岐地点)を示すノードの位置との間を結んだ直線の長さであってもよい。
【0050】
上述した実施形態では、道路長さ取得部は、接続区間の長さを、取付道路の長さとして取得していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、道路長さ取得部は、道路種別が取付道路を示す道路区間の端点の間の長さを、取付道路の長さとして取得してもよい。このような場合、記録媒体に記録された基準範囲情報において、基準範囲は、当該端点の間の長さに応じて定義されている。すなわち、当該端点の間の長さと、当該道路区間での加速度の適正な範囲である基準範囲とが対応づけられている。
【0051】
範囲設定部は、取付道路の長さに基づいて、車両の運転評価の基準となる加速度の基準範囲を設定することができればよい。上述の施形態では、取付道路が合流路であるか退出路であるか、取付道路の長さ、本線車両の平均速度および本線(もしくは接続区間)の渋滞度等の要素に基づいて、基準範囲の設定を行っていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、基準範囲の設定は、上述した要素のうちの一部に基づいて行われてもよい。また、基準範囲の設定は、上述の要素に加えて、天候に基づいて行われてもよい。このような場合、例えば、取付道路が合流路であって、天候が雨もしくは雪である場合には、天候が晴れである場合と比べて、基準範囲の下限値を小さく設定する。このような設定においては、天候が晴れの場合と比べて、車両の加速度の値が小さくても、適正加速と評価されやすくなる。また、例えば、取付道路が退出路であって、天候が雨もしくは雪である場合には、天候が晴れである場合と比べて、基準範囲の上限値を大きく設定する。このような設定においては、天候が晴れの場合と比べて、車両の加速度(負の加速度)の値が大きくても、適正減速と評価されやすくなる。すなわち、天候に応じた運転評価を実行することができる。
【0052】
運転評価部は、加速度と基準範囲とを比較して、取付道路での車両の運転評価を行うことができればよい。上述の実施形態では、取付道路における車両の加速(減速)が、加速(減速)不足、適正加速(減速)および急加速(減速)と判定していたが本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、運転評価部は、上記の判定に加えて、車両の加速(減速)が、加速(減速)不足もしくは急加速(減速)であった場合には、基準範囲と比較された加速度が基準範囲からどれだけ外れていたかを数値で示してもよい。車両の運転者は、当該数値を確認することによって、加速度についての操作が基準範囲からどの程度外れていたかを実際の数値によって知ることができる。また、当該数値は、数値が基準範囲から外れているほど注意を喚起しやすい色で表示されてもよい。
【0053】
上述の実施形態では、取付道路の進行方向が本線に合流する方向であって取付道路の長さが第1距離より短い第2距離である場合、取付道路の長さが第1距離である場合と比べて、基準範囲の下限値と上限値との両方が大きく設定されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、そのような場合において、上限値は変動せず下限値のみが大きく設定されてもよいし、下限値は変動せず上限値のみが大きく設定されてもよい。
【0054】
上述の実施形態では、本線車両の平均速度が既定の速度閾値より小さく、かつ、本線の渋滞度が既定の渋滞閾値以上である場合には、制御部20は、取付道路が合流路であり、かつ、本線車両の平均速度が既定の速度閾値以上である場合と比べて、基準範囲の下限値と上限値との両方が小さく設定されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、そのような場合において、基準範囲の上限値は変動せず下限値のみが小さく設定されてもよいし、基準範囲の下限値は変動せず上限値のみが小さく設定されてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、合流路において、取付道路の長さが短くなるほど、下限値と上限値との両方が大きく設定されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、取付道路の長さについて複数の閾値が設定されており、取付道路の長さが各々の閾値以下となるごとに、下限値と上限値との両方が大きく設定されてもよい。図6を用いて説明すると、取付道路の長さが短くなるほど、下限値と上限値との両方が大きく設定されるということは、取付道路の長さが短くなるほど(取付道路の長さが減少するにつれて)、基準範囲R10が図面左側から右側に移動していくということである(移動の際、基準範囲R10の下限値から上限値までの範囲幅は変動してもよい)。一方、取付道路の長さが各々の閾値以上となるごとに、下限値と上限値との両方が大きく設定されるということは、取付道路の長さが第1閾値(例えば1000m)より大きい場合、基準範囲R11が設定され、取付道路の長さが第1閾値以下かつ第2閾値(<第1閾値、例えば500m)より大きい場合、基準範囲R12が設定され、取付道路の長さが第2閾値以下である場合、基準範囲R13が設定されるということである。基準範囲R11~R13は同じ範囲幅で図示されているが、むろん基準範囲R11~R13の各々の範囲幅は異なっていてもよい。退出路においても、取付道路の長さが短くなるほど、基準範囲の下限値が小さく設定されていたが、同様に、取付道路の長さについて複数の閾値が設定されており、取付道路の長さが各々の閾値以下となるごとに、基準範囲の下限値が小さく設定されてもよい。
【0056】
上述の実施形態では、図3Cで説明した基準範囲の設定および図3Dで説明した基準範囲の設定の両方を実行していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、図3Cで説明した基準範囲の設定と、図3Dで説明した基準範囲の設定と、のうち一方を実行しなくてもよい。
【0057】
また、以上のような車両運転評価システム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。さらに、以上のような運転支援システムの少なくとも一部を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、移動体表示システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0058】
10…車両運転評価システム、20…制御部、21…運転評価プログラム、21a…加速度取得部、21b…道路長さ取得部、21c…範囲設定部、21d…運転評価部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…基準範囲情報、47…通信部、100…車両、120…制御部、121a…現在地取得部、121b…通信制御部、130…記録媒体、130a…地図情報、140…加速度センサ、141…GNSS受信部、143…車速センサ、145…ジャイロセンサ、147…通信部、149…ユーザI/F部
図1
図2
図3
図4
図5
図6