(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061610
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】吸着式フィルム接続装置
(51)【国際特許分類】
B65H 21/00 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B65H21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169647
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 博英
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 康宏
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064BB07
3F064BB18
3F064DA01
(57)【要約】
【課題】フィルムの幅が変化してもフィルムの両側からフィルムを吸着しない吸着孔を簡単に塞ぐことができる。
【解決手段】フィルム接続装置の吸気ユニット38は新旧のフィルムを接続する。吸気ユニット38は、フィルム幅方向に複数の吸着孔40が配列された第一吸着板20及び第二吸着板21と、吸着孔40からエアを吸引する吸気室43を設けた吸気部材35とを有する。第一吸着板20と吸気部材35の間に配設した中間部材34は、移動位置に応じて吸着孔40に選択的に連通する複数の連通孔41を配列する。中間部材34は、連通孔41を幅方向中央に配列した中央連通孔群41Aと、その両側で外側に向けて連通孔41の数を減じる複数の組を有するサイド連通孔群41Bと、を備えた。中間部材34を一方向に移動させるとサイド連通孔群41Bの連通孔41が外側の吸着孔40から外れる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の異なるフィルムを吸着して接続する吸着式フィルム接続装置において、
フィルム幅方向に所定間隔で複数の吸着孔が配列された吸着部材と、
前記吸着孔からエアを吸引する吸気室を設けた吸気部材と、
前記吸着部材と吸気部材との間に移動可能に配設されていて、前記吸気室に連通すると共に移動位置に応じて前記吸着孔に選択的に連通可能な複数の連通孔を前記フィルム幅方向に配列させた中間部材と、を備え、
前記中間部材を一方向に移動させると、両側の前記連通孔が外側の前記吸着孔から外れるようにしたことを特徴とする吸着式フィルム接続装置。
【請求項2】
前記中間部材は、前記連通孔をフィルム幅方向中央に配列させた中央連通孔群と、その両側に配列させ且つ外側に向けて次第に前記連通孔の数を減じさせる複数の組に分かれたサイド連通孔群と、を備えている請求項1に記載された吸着式フィルム接続装置。
【請求項3】
前記複数の組内における前記連通孔の間隔はそれぞれ同一である請求項2に記載された吸着式フィルム接続装置。
【請求項4】
前記フィルムが載置される透明部材と、該透明部材の裏面側に配設された鏡面体とが配設され、前記フィルムに設けられた識別マークを前記鏡面体で反射可能とした請求項1から3のいずれか1項に記載された吸着式フィルム接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば種々のフィルムの幅方向サイズを異なるものに変更しても吸着を確実に行える吸着式フィルム接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型製袋充填機において、フィルムリールから供給する先のフィルムが終端になると、新たなフィルムリールから新たなフィルムを繰り出して先のフィルムの終端部に接続して模様を一致させる。
新旧のフィルム同士を接続する場合、新旧のフィルムの接続部を吸着装置で吸着してフィルムの幅方向中央や一方の端部を基準にして正確に接続する必要がある。その際、フィルムを有しない幅方向外側部分を吸着装置の吸着孔で吸引することは、フィルム吸着部分の吸引力が低下するので好ましくない。これとは逆に広いフィルム幅のフィルムの中央側部分だけしか吸着装置の吸着孔で吸引しないとフィルムの幅方向外側部分がフリーになり好ましくない。
すなわち、内容物を充填する袋の幅方向サイズが変更される場合、フィルムの幅も変更されるので吸着装置が吸引する吸着孔の幅方向の個数を変更する必要がある。
【0003】
フィルム接続装置の一例として、例えば特許文献1に記載されたリーダーテープ貼付け装置が提案されている。この装置では、フィルムを搬送する載置板の間にフィルムを吸着するための吸着孔を幅方向に多数配列させた真空吸着ブロックが設置されている。真空吸着ブロックは移動テーブル上に載置され、フィルムの幅サイズの変化に応じて真空吸着ブロックを移動テーブルと共に幅方向に移動可能としている。しかも、真空吸着ブロックの一方の側部には、フィルムを吸着している吸着孔以外の吸着孔を塞ぐためのマスキングプレートが設置されている。
フィルムの幅が変わった場合には、移動テーブルを幅方向に移動させて真空吸着ブロックを吸着孔でフィルムの全幅を吸引できる位置に移動させ、フィルムを吸着する吸着孔以外の吸着孔をマスキングプレートで塞ぐことでエアリークを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたフィルム接続装置は、マスキングプレートがフィルムの片側にしか設けられていない。そのため、フィルムの幅が長く、フィルムの両側からサイズ変更する場合には対応できなかった。両側にマスキングプレートを配置してサイズ変更に対応することも考えられるが、両側のマスキングプレートをそれぞれ移動させなければならず、調整が困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、フィルムの幅が変化してもフィルムの両側からフィルムを吸着しない吸着孔を簡単に塞ぐことができる吸着式フィルム接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による吸着式フィルム接続装置は、幅の異なるフィルムを吸着して接続する吸着式フィルム接続装置において、フィルム幅方向に所定間隔で複数の吸着孔が配列された吸着部材と、吸着孔からエアを吸引する吸気室を設けた吸気部材と、吸着部材と吸気部材との間に移動可能に配設されていて、吸気室に連通すると共に移動位置に応じて吸着孔に選択的に連通可能な複数の連通孔をフィルム幅方向に配列させた中間部材と、を備え、中間部材を一方向に移動させると、両側の連通孔が外側の吸着孔から外れるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、フィルムの幅に応じて中間部材を一方向に移動させると、両側の連通孔は外側の連通孔から吸着部材に配列させた外側の吸着孔を外れるためエアの吸引ができなくなる。そのため、フィルム幅の変化に応じて吸着部材を走行するフィルムの吸着範囲を簡単に調整することができる。フィルム幅方向のサイズ変更に応じたエアの吸着範囲を容易に調整できるため、フィルムの幅を外れた吸着孔からエアを吸引せず無駄なエア吸引を抑制できる。
【0008】
また、中間部材は、連通孔をフィルム幅方向中央に配列させた中央連通孔群と、その両側に配列させ且つ外側に向けて次第に連通孔の数を減じさせる複数の組に分かれたサイド連通孔群と、を備えていることが好ましい。
本発明によれば、中間部材を一方向に移動させても、例えば中央連通孔群の連通孔では吸着部材の吸着孔に連通してフィルムの中央を吸着でき、その両側では中間部材の移動に応じて外側の吸着孔からサイド連通孔群の外側の連通孔の組が外れるため、吸着孔によるフィルム吸着領域を調整できる。
【0009】
また、複数の組内における連通孔の間隔はそれぞれ同一であることが好ましい。
中間部材の連通孔は複数の組内でそれぞれ等間隔に配列され、しかもサイド連通孔群の外側に向けて次第に連通孔の数を減じているため、中間部材の移動によって外側から内側に向けて次第に吸着孔に連通孔が連通しないようになる。そのため、吸着するフィルムの幅を容易に調整できる。
【0010】
また、本発明は、フィルムが載置される透明部材と、透明部材の裏面側に配設された鏡面体とが配設され、フィルムに設けられた識別マークを鏡面体で反射可能としてもよい。
本発明では、先のフィルムの識別マークと新フィルムの識別マークを透明部材の上に位置させることで、作業者は透明部材の厚さ分だけ離間した位置で、鏡面体で反射する識別マークを目視できる。
【0011】
本発明による吸着式フィルム接続装置は、フィルムを接続するための吸着ユニットに設けられていてフィルムが載置される透明部材と、該透明部材の下側に配設された鏡面体とが配設され、前記フィルムに設けられた識別マークを前記鏡面体で反射したものを目視可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による吸着式フィルム接続装置によれば、中間部材を一方向に移動させるだけでフィルムを吸着しない両側の吸着孔を塞いで無駄な吸引を防止することができて、フィルムの幅方向のサイズ変更に簡単に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による縦型製袋充填機の概略構成を示す要部説明図である。
【
図2】フィルムリールから繰り出されるフィルムに設置した吸着式フィルム接続装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示す吸着式フィルム接続装置のA-A線断面図である。
【
図4】吸着式フィルム接続装置の吸着ユニットの透過図である。
【
図5】
図4における吸気ユニットのサイド吸着孔群を示すB-B線断面図である。
【
図6】(a)は吸着ユニットにおいて中間部材のフィルム幅最長対応位置を示す平面図、(b)は中間部材を距離S移動させた平面図である。
【
図7】(a)、(b)は吸着ユニットにおいて中間部材をフィルム幅最長対応位置から距離2S、3S移動させた平面図である。
【
図8】吸着ユニットにおいて中間部材をフィルム幅最長対応位置から距離4S移動させた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による縦型製袋充填機1について添付図面により説明する。
図1に示す実施形態による縦型製袋充填機1は、サイズの異なる袋を製造できるように、フォーマ5及び製袋チューブ6を有するフォーマ部7を交換装着可能とされている。なお、本明細書において、先のフィルム(旧フィルム)fと新フィルムfaを単にフィルムfということがある。
【0015】
縦型製袋充填機1は、ウェブ状のフィルムfを繰り出すフィルムリール13と、複数のガイドローラ14と、フィルムfのテンションを調整するテンションローラ16と、フォーマ5へフィルムを供給するタンジェントローラ15と、内容物を製袋チューブ6に投入するホッパを備えると共に供給されるフィルムfを成形するフォーマ5と、フィルムfを筒状に成形する製袋チューブ6と、フィルムfを送り出す繰り出しベルト8と、を有している。繰り出しベルト8には繰り出しベルト駆動モータM1が設置されている。製袋チューブ6の側部にはフィルムfの端部同士を重ね合わせた状態で縦シールする縦シーラ10が設置され、製袋チューブ6の下側にはフィルムfを横シールして袋Fを形成する横シーラ11が設置されている。
【0016】
また、フィルムリール13側のガイドローラ14とテンションローラ16の間には、先のフィルム(旧フィルム)fの終端部と新フィルムfaの先端部とを接続する吸着式フィルム接続装置18が設置されている。
【0017】
図2及び
図3は縦型製袋充填機1における吸着式フィルム接続装置18の要部構成を示すものである。
図2及び
図3において、フィルムリール13から繰り出されるフィルムfは図中左側から右側に搬送される。
吸着式フィルム接続装置18におけるフィルムfを通過させる上面18aには、フィルムfを吸着可能な第一吸着板20と第二吸着板21が並列に配設されている。第一吸着板20及び第二吸着板21の間には線状のスリット22aが形成され、このスリット22aに沿ってスライド可能なカッタ22が一端側に設けられている。カッタ22をスリット22aに沿って摺動させることでフィルムfを幅方向に切断することができる。
【0018】
第二吸着板21のフィルム搬送方向下流側には、第一走行板25、透明部材26、第二走行板27がフィルムfの走行方向に配列されている。第一走行板25の上面にフィルムfの横幅を測定するための計測具23が第二吸着板21と平行に配設されている。更に第二走行板27の下流側には、フィルムfを前方に走行させる空間Kを挟んでその上部に支持部材29が配設されている。
支持部材29には、空間Kを通過するフィルムfを第二走行板27に押さえつけて係止させるフィルムストッパー30が配設されている。フィルムストッパー30はシリンダ31によって支持部材29を中心に上下方向に揺動可能とされている。これら第一吸着板20及び第二吸着板21、第一走行板25、透明部材26、第二走行板27、支持部材29の両側部には、これらの部材の両端部を固定支持する固定板32が設置されている。
【0019】
図3及び
図4において、第一吸着板20及び第二吸着板21の下側にはそれぞれ板状の中間部材34が配設され、その下側には板状の吸気部材35がそれぞれ配設されている。吸気部材35の下側には、吸気部材35から第二走行板27までを支持するベース板36が配設されている。これら第一吸着板20及び第二吸着板21、中間部材34、吸気部材35は吸気ユニット38を構成する。
しかも、中間部材34はその長手方向の一端側(
図4では左側)に移動させることで、第一吸着板20及び第二吸着板21と吸気部材35との間で所定距離(例えば距離S×4の長さ)移動可能とされている。ベース板36の下側には、後述するように第一吸着板20及び第二吸着板21の吸着孔40を通してエアを吸引してフィルムfを吸着するためのエアジョイント39がそれぞれ設置されている。各エアジョイント39は不図示のエア吸引ポンプ等に接続されている。
【0020】
次に、吸着式フィルム接続装置18における吸気ユニット38の構造について、
図3乃至
図8に基づいて説明する。
吸気ユニット38の第一吸着板20及び第二吸着板21は略同一の構成を有しているため、第一吸着板20で代表して説明する。
図4~
図5において、第一吸着板20(及び第二吸着板21)はフィルムfの幅方向に延在する長板状に形成されており、その表裏面を貫通して多数の吸着孔40が形成されている。吸着孔40はフィルムfの幅方向に複数配置され、その形状は例えばフィルムfの搬送方向に平行なスリット状に形成されている。
【0021】
しかも、吸着孔40は第一吸着板20のフィルムfの幅方向中央部では比較的短い間隔(D3)で複数個(例えば8個)配列され、その両側では比較的長い間隔(D1)で複数個(例えば5個)配列されている。中央部の吸着孔40の組を中央吸着孔群40Aといい、両側の吸着孔40の組をサイド吸着孔群40Bという。中央吸着孔群40Aとサイド吸着孔群40Bの間は間隔D2とされ、これらの吸着孔40の間隔の大きさは、例えばD3<D2<D1の関係にあるものとする。
【0022】
第一吸着板20の下側に配設された中間部材34には、フィルム幅方向に沿って例えば略円形の多数の小孔からなる連通孔41が表裏面を貫通して配列されている。連通孔41は第一吸着板20の中央吸着孔群40Aに重なるフィルムfの幅方向中央部では所定間隔(例えば3mm)で複数個配列されており、これを中央連通孔群41Aという。本実施形態では、中間部材34が所定距離(S×4)移動してもすべての中央吸着孔群40Aに中央連通孔群41Aのいずれかの連通孔41が連通する。
また、中央連通孔群41Aの両側では両側のサイド吸着孔群40Bにおける各吸着孔40に重なり連通することが可能な領域にそれぞれ1~複数個、例えば1~5個の連通孔41の組が各吸着孔毎に重なり連通することが可能な領域に配列されている(
図6(a)参照)。両側のサイド吸着孔群40Bの各吸着孔40に重なり連通することが可能な領域にそれぞれ分散して設けられた両側の連通孔41の5組をサイド連通孔群41Bという。サイド連通群41Bの連通孔40のそれぞれの組はサイド吸着孔群40Bの一つの吸着孔40に対応して配置されている。
【0023】
図6(a)は中間部材34がそれぞれ最も右側に位置した場合の状態を示すものであり、この位置をフィルム幅最長対応位置という。この状態で、中央吸着孔群40Aの全ての吸着孔40は中央連通孔群41Aにおけるいずれかの連通孔41にそれぞれ連通していて、フィルムfを吸着可能である。そのため、最も広い幅の吸着距離L1のフィルムfを吸着可能である。
しかも、中央連通孔群41Aの連通孔41は中央吸着孔群40Aの右側に突出して配列されている。これにより、
図6(b)~
図8に示すように、中間部材34をフィルム幅最長対応位置から所定距離S×4の範囲で距離Sずつスライド移動させても連通孔41と吸着孔40は重なって連通可能な位置にある。
【0024】
また、第一吸着板20及び第ニ吸着板21はそれぞれ長手方向の所定間隔でボルト42により吸気部材35に固定され、中間部材34にはボルト42を挿通させた長穴45が形成されている。そのため、ボルト42を緩めることにより中間部材34はボルト42に対して長穴45の範囲内(所定距離S×4)でスライド移動可能とされている。なお、
図4は中間部材34をフィルム幅最長対応位置からS×2の距離だけスライド移動させた配置になっている。
【0025】
図6(a)におけるフィルム幅最長対応位置において、両側のサイド連通孔群41Bでは、両側のサイド吸着孔群40Bの最も外側の吸着孔40に1つの連通孔41が連通して形成されている。それより一つ中央側の吸着孔40には2つの連通孔41で形成された連通孔41の組が連通可能に配列され、左側の1つの連通孔41が吸着孔40に連通している。
同様にして、最も外側から中央側に向かって3つ目、4つ目、5つ目の吸着孔40に対向する位置に3つ、4つ、5つの連通孔41の組がそれぞれ連通可能に配列され、最も左側の1つの連通孔41が吸着孔40に連通している。なお、両側のサイド連通孔群41Bの5組の連通孔41の組は中央連通孔群41Aの両側にそれぞれ配列されている。連通孔41の組同士(D1)の間隔は吸着孔同士の間隔(D1)と等しくなっている。
フィルム幅最長対応位置で両側のサイド連通孔群41Bのそれぞれ吸着孔40に対してそれぞれの連通孔41の組の中で最も左側の連通孔41が吸着孔40に連通するように配置されている。
【0026】
図4に示すように、両側のサイド連通孔群41Bにおける各組内の隣り合う連通孔41同士の距離をSとする。中央連通孔群41Aにおける隣り合う各連通孔41同士の距離もSに設定されているが、S以下でもよい。そして、中間部材34をフィルム幅最長対応位置から距離Sだけ移動させて、最も右側(外側)の吸着孔40から1つの連通孔41を外し吸着孔40を塞ぐと、最も左側の吸着孔40からも1つの連通孔41が外れ、吸着孔40が塞がれる。中間部材34を距離Sずつ左側に移動させると、両側のサイド連通孔群41Bにおける各組の連通孔41が外側から中央側に向けて順次両側のサイド吸着孔群40Bの各吸着孔40から外れ、吸着孔40が塞がれることになる。
【0027】
図6(a)~
図8は、第一吸着板20の吸着孔40と中間部材34の連通孔41との位置関係を示すものである。
図6(a)は第一吸着板20に対して中間部材34がフィルム幅最長対応位置にある状態を示す。
図6(b)は中間部材34をフィルム幅最長対応位置から左方向に距離Sだけ移動した状態であり、最も外側の吸着孔40に対してサイド連通孔群41Bの1つの連通孔41が外れた位置にあり、最も外側の吸着孔40塞がれる。他の中央連通孔群41A及びサイド連通孔群41Bは各吸着孔40にいずれか1つの吸着孔40が連通した状態になる。
同様にして、
図7(a)、(b)、
図8において、中間部材34を距離Sだけ順次移動させると、左右のサイド連通孔群41Bの外側の連通孔41が吸着孔40から順次外れて吸着孔40がエアを吸引できない状態になる。
【0028】
従って、本実施形態では、中間部材34をフィルム幅最長対応位置から左方向に距離Sずつ移動させることで、両側のサイド吸着孔群40Bの外側の吸着孔40が1つずつ次第に塞がれ、エアを吸引できなくなる。この場合でも、中央吸着孔群40Aの各吸着孔40はエアを吸引可能状態を維持する。そのため、第一吸着板20(及び第二吸着板21)上を走行するフィルムfは中央を基準として吸着され、少なくとも中央吸着孔群40Aの幅で吸着され、両側のサイド吸着孔群40Bの範囲でフィルム幅に応じて幅方向両側の吸着範囲を広狭調整することができる。
【0029】
また、
図4乃至
図5に示すように、中間部材34の下側に固定配置される吸気部材35は中間部材34と同様に長板状に形成されている。吸気部材35は、中間部材34が所定範囲で移動しても全ての連通孔41に連通するように長溝状の吸気室43が形成されている。吸気部材35は、吸気室43の一方または両方の端部にエアジョイント39に接続するための拡径穴44が形成されている。拡径穴44以外の吸気室43はその裏面に配設されたベース板36で閉鎖されている。
そのため、第一吸着板20及び第二吸着板21に形成された中央吸着孔群40A及び両側のサイド吸着孔群40Bは、フィルム幅最長対応位置の中間部材34の中央連通孔群41A及び両側のサイド連通孔群41B、吸気室43に連通している。そして、吸気室43はその一方または両方の端部に形成された拡径穴44からエアジョイント39を介して不図示のエア吸引ポンプに連結され、吸引されている。
【0030】
また、
図2及び
図3に示す吸着式フィルム接続装置18において、第二吸着板21及び計測具23の前方に第一走行板25、透明部材26、第二走行板27がベース板36上にボルト46によって固定されている。透明部材26とベース板36の間には板状の鏡面体47が配設されている。
そのため、吸着式フィルム接続装置18上で先のフィルムfの終端部と新フィルムfaの先端部を接続する際、作業者は先のフィルムfの裏面側一端部に設けられたレジマーク(図示せず)を透明部材26を通して鏡面体47で反射させて目視できる。新しいフィルムfの先端部に設けられたレジマークも透明部材26を通して鏡面体47で反射させて目視できる。作業者は各フィルムfのレジマークの重なり位置を鏡面体47で反射させて目視確認できる。なお、レジマークは識別マークであり、フィルムfの幅方向一端部に設けられているが、両端部に設けられていてもよい。
【0031】
本実施形態による縦型製袋充填機1の吸着式フィルム接続装置18は上述の構成を有しており、次に新旧フィルムの接続方法について説明する。
図1において、フィルムリール13から所定幅のフィルムfを供給して縦型製袋充填機1で連続的に袋を製造する。フィルムfの一方の面に模様や商品面等が印刷されている場合、フィルムリール13から繰り出されるフィルムfの表面に印刷面が露出し、ガイドローラ14を介して吸着式フィルム接続装置18の上面に送られることで印刷面を裏面側に保持する。
【0032】
図2及び
図3に示す吸着式フィルム接続装置18において、フィルムリール13のフィルムfが終端に近づくと、フィルムfを
図2に示すフィルムストッパー30で押さえ付けると共に、第一吸着板20及び第二吸着板21でエアを吸引してフィルムfの終端部を吸着して静止させる。なお、フィルムfを停止させる際、フィルムfの幅方向一端部に設けられたレジマークを透明部材26に調整しておいて、フィルムストッパー30を作動させる。
次いで、第一吸着板20及び第二吸着板21の間のスリット22aを通してカッタ22をスライドさせてフィルムfの終端部を切断する。
【0033】
先のフィルムfの吸着に際し、
図2及び
図3において、図示しないフィルム吸着ボタンをONし、エア吸引ポンプでエアを吸引する。すると、エアジョイント39、吸気部材35の吸気室43、中間部材34の連通孔41を介して第一吸着板20及び第二吸着板21の吸着孔40でフィルムfを吸引する。
フィルムfの幅に応じて中間部材34を予め適宜の長さ移動させて、連通孔41に連通する吸着孔40の範囲を中央吸着孔群40A及び両側のサイド吸着孔群40Bから選択しておく。これによって、フィルムfの幅の領域だけ吸着孔40によってフィルムfを吸引するため、無駄なエア吸引がなく吸引力の低下を抑制できる。
【0034】
次にフィルムリール13を交換する。フィルムリール13から新フィルムfaを引き出して、新フィルムfaの先端がスリット22aより第二吸着板21側にはみ出した状態で新フィルムfaを第一吸着板20に吸着させる。この際に新フィルムfaのレジマークはスリット22aより下流側にある。次に新フィルムfaのスリット22aから第二吸着板21側にはみ出した新フィルムfaの先端部分をカッタ22で切断する。
そして新フィルムfaの先端の透明部材26上にレジマークを位置させるまで引き出して先のフィルムfのレジマークと一致させる。
作業者が先のフィルムfと新フィルムfaとでレジマークを一致させる際、透明部材26を介して鏡面体47に写る新旧フィルムfa、fのレジマークを目視確認して位置合わせを行う。この場合、透明部材26がないと鏡面体47に新旧フィルムfa、fが接触するためレジマークを目視確認しづらいが、その間に透明部材26を配設したため作業者は鏡面体47に写るレジマークを透明部材26を介して容易に目視することができる。
先にカッタ22で切断された旧フィルムfの終端部は第二吸着板21の吸着孔40で吸引されている。また、新フィルムfaの先端部は第一吸着板20の吸着孔40で吸引されている。これら旧フィルムfの終端部と新フィルムfaの先端部の各切断部をそれぞれテープで接着させる。これによって、新旧フィルムfa、fの模様が一致して接続される。
その後、フィルムストッパー30とフィルム吸着ボタンをOFFして、新フィルムfaを繰り出して縦型製袋充填機1へ搬送し、製袋する。
【0035】
次に新フィルムfaの幅が先のフィルム(旧フィルム)fと幅が異なる場合の中間部材の位置調整について説明する。縦型製袋充填機1を停止させ、先のフィルムfを全て搬送経路から取り除き、先のフィルムfが巻きつけられているフィルムリール13を機械から外す。
そしてボルト42を緩めて中間部材34を移動可能にし、中間部材34を新フィルムfaの幅に合わせて移動させる。新フィルムfaの幅が先のフィルムfより短い場合は中間部材34を左側に移動させ、新フィルムfaの幅が先のフィルムfより外側に拡大する場合には中間部材34を右側に移動させる。
例えば、新フィルムfaの幅が最大の場合、
図6(a)に示すように、第一吸着板20及び第二吸着板21の中央吸着孔群40A及び両側のサイド吸着孔群40Bの全ての吸着孔40が、中間部材34の中央連通孔群41A及び両側のサイド連通孔群41Bの全ての連通孔41に重なっている。そのため、全ての吸着孔40でフィルムfを吸着し(吸着距離L1)保持している。
【0036】
また、新フィルムfaの幅がより狭い場合、
図6(b)に示すように、中間部材34を距離Sだけ左側に移動させる。すると、中間部材34の両側のサイド連通孔群41Bの最も外側の1つの連通孔41が吸着孔40から外れ、新フィルムfaを吸着する幅が狭まる(吸着距離L2)。サイド連通孔群41Bの2、3、4、5個の組の連通孔41は隣の連通孔41が吸着孔40に連通する。
また、
図7(a)、
図4に示すように、中間部材34を更に距離Sだけ左側に移動させると、中間部材34の両側のサイド連通孔群41Bの2個の連通孔41の組が吸着孔40から外れ、新フィルムfaを吸着する幅が狭まる(吸着距離L3)。サイド連通孔群41Bの3、4、5個の組の連通孔41は隣の連通孔41が吸着孔40に連通する。
【0037】
また、
図7(b)に示すように、中間部材34を更に距離Sだけ左側に移動させると、中間部材34の両側のサイド連通孔群41Bの3個の組の連通孔41が吸着孔40から外れ、更に新フィルムfaを吸着する幅が狭まる(吸着距離L4)。サイド連通孔群41Bの4、5個の組の連通孔41は隣の連通孔41が吸着孔40に連通する。
また、
図8に示すように、中間部材34を更に距離Sだけ左側に移動させると、中間部材34の両側のサイド連通孔群41Bの4個の組の連通孔41が吸着孔40から外れ、更に新フィルムfaを吸着する幅が狭まる(吸着距離L5)。サイド連通孔群41Bの5個の組の連通孔41は隣の連通孔41が吸着孔40に連通する。なお、サイド連通孔群41Bの5個の組の連通孔41も吸着孔40から外れるように、中間部材34を更に左側に移動させるようにしてもよい。このように、中間部材34の位置調整によって新フィルムfaの幅に応じた範囲の吸着孔40でのみフィルムfaを吸着できる。
【0038】
上述のように本実施形態による吸着式フィルム接続装置18によれば、中間部材34を一方のフィルム幅方向に移動させることで、フィルム幅に応じて新フィルムfaを吸着する第一吸着板20及び第二吸着板21の吸着孔40の数を幅方向両側から増減調整することができる。そのため、フィルム幅方向のサイズ変更に応じた吸着範囲を容易に調整できて無駄なエア吸引を抑制できる。
【0039】
また、新フィルムfaの吸引幅を調整する中間部材34における中央連通孔群41A及び両側のサイド連通孔群41Bの各組内の連通孔41の間隔が同一であるため、構造が簡単で中間部材34の移動による吸着範囲の調整が容易である。
また、新旧フィルムfa、fの接続部において、新旧フィルムfa、fのレジマークを透明部材26を介して鏡面体47で反射したものを目視できる。そのため、作業者は透明部材26の厚さ分だけ新旧フィルムfa、fから離間した位置で、鏡面体47で反射するレジマークを目視できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態による縦型製袋充填機1の吸着式フィルム接続装置18について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0041】
上述した実施形態では、新旧フィルムfa、fの片面に模様とレジマークを設けたもののフィルム接続装置について説明したが、レジマークは新旧フィルムfa、fに印刷や印字したマークに限定されるものではなく、切欠等の切除部等でもよい。或いは、新旧フィルムに模様やレジマークがなくてもよい。このようなフィルムであっても、本実施形態による吸着式フィルム接続装置18を適用できる。また、新旧フィルムfa、fには模様がなくてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、第一吸着板20及び第二吸着板21の両側のサイド吸着孔群40Bとして各1個の吸着孔40を設けた。中央吸着孔群40Aと両側のサイド吸着孔群40Bの各吸着孔40とは異なる間隔に配列されているが、同一間隔に配列してもよい。
そして、中間部材34の両側のサイド連通孔群41Bとして、これらの吸着孔40に連通可能な組内の連通孔41の数を1~5個に増減させた5組の連通孔41を設けた。しかしながら、サイド連通孔群41Bの組数は任意に設定できる。また、各組内の連通孔41の数も1~5個に限定されることなく、適宜の数を選択できる。
また、第一吸着板20及び第二吸着板21の中央吸着孔群40Aにおける吸着孔40の数、中間部材34の中央連通孔群41Aにおける連通孔41の数は任意に選定できる。
【0043】
なお、上述した実施形態における第一吸着板20及び第二吸着板21は吸着部材に含まれる。吸着部材として第一吸着板20及び第二吸着板21の一方だけ設けてもよく、その裏面側に中間部材34及び吸気部材35が積層されていて、吸着孔40を通してフィルムを吸引できればよい。
上述した実施形態では、縦型製袋充填機1の吸着式フィルム接続装置18について説明したが、本発明は横型製袋充填機にも採用することができる。
また、本発明は、製袋充填機の吸着式フィルム接続装置18に限定されることなく、リーダーテープ等の各種テープを含む各種のフィルムの接続装置に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 縦型製袋充填機
18 吸着式フィルム接続装置
20 第一吸着板
21 第二吸着板
22 カッタ
26 透明部材
30 フィルムストッパー
34 中間部材
35 吸気部材
38 吸気ユニット
39 エアジョイント
40 吸着孔
40A 中央吸着孔群
40B サイド吸着孔群
41 連通孔
41A 中央連通孔群
41B サイド連通孔群
43 吸気室
f フィルム、旧フィルム、先のフィルム
fa 新フィルム