(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006162
(43)【公開日】2022-01-12
(54)【発明の名称】巻き線式充電器
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20220104BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01R13/46 G
H01R31/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021071321
(22)【出願日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】202011327948.X
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】320011971
【氏名又は名称】東莞立訊精密工業有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN LUXSHARE PRECISION INDUSTRY CO.LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor1,Building5,no.313,Beihuan Road,Qingxi Town,Dongguan City Guangdong Province 523650,China
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】リ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ユン フェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ-ドン チェン
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087MM07
5E087QQ03
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】使用する状況に基づいて、データケーブルを引き延ばして使用することができる巻き線式充電器を提供すること。
【解決手段】ケースと、メイン回路基板と、プラグと、回転部と、渦巻ばねと、データケーブルとを備える巻線式充電器が提供される。前記ケースは内柱を備え、前記メイン回路基板は前記ケース内に位置し且つ複数の導電性リングを備える。前記プラグはその一端が前記ケースに枢設されると共に、前記メイン回路基板に電気的に接続され、前記回転部は前記内柱を軸心として前記ケースに枢接される。前記渦巻ばねはその一端が前記内柱に固定されると共に、他端が前記回転部に固定され、前記データケーブルはコネクタとコードを備える。前記コードの一部は前記回転部に巻き付けられ、前記コネクタは前記ケースの外に露出する。前記渦巻ばねが開放状態のときは、前記コネクタは収容状態となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、メイン回路基板と、プラグと、回転部と、渦巻ばねと、データケーブルとを備え、
前記ケースは、内柱を備え、
前記メイン回路基板は、前記ケース内に位置し且つ複数の導電性リングを備え、前記複数の導電性リングは前記内柱を軸として同軸に配置され、
前記プラグは、一端が前記ケースに枢設されると共に、前記メイン回路基板に電気的に接続され、
前記回転部は、前記内柱を軸心として前記ケースに枢接され、前記回転部は複数の導電性弾性部材を備え、前記複数の導電性弾性部材は前記複数の導電性リングにそれぞれ接触し、
前記渦巻ばねは、一端が前記内柱に固定されると共に、他端が前記回転部に固定され、
前記データケーブルは、コネクタとコードを備え、前記コードの一端は前記複数の導電性弾性部材に電気的に接続され、前記コードの他端は前記コネクタに電気的に接続され、前記コードの一部は前記回転部に巻き付けられ、前記コネクタは前記ケースの外に露出し、前記渦巻ばねが開放状態のときは、前記コネクタは収容状態となる
ことを特徴とする巻き線式充電器。
【請求項2】
前記ケースは更に第1の収納空間を備え、前記プラグは突き出し位置と収納位置の間で回転し、
前記プラグが前記突き出し位置のとき、前記プラグの他端は前記ケースの外へ突出すると共に、前記プラグが前記収納位置のとき、前記プラグは前記第1の収納空間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の巻き線式充電器。
【請求項3】
前記ケースは、第2の収納空間を備え、前記コネクタが前記収納状態のとき、前記第2の収容空間に位置し、前記コネクタが引き出し位置のとき、前記渦巻ばねはエネルギー貯蔵状態となる
ことを特徴とする請求項2に記載の巻き線式充電器。
【請求項4】
磁性部品を更に備え、
前記コネクタは、吸着部材を更に備え、前記コネクタが前記収納状態のとき、前記コネクタは前記吸着部材を介して前記磁性部材と接触する
ことを特徴とする請求項3に記載の巻き線式充電器。
【請求項5】
変換ヘッドを更に備え、
前記変換ヘッドの一端は前記コネクタと適合するよう形成され、他端は連接器であり、前記連接器と前記コネクタの種類は同一であり、前記ケースは更に第3の収納空間を形成し、前記第3の収納空間は前記変換ヘッドを収容するために用いられる
ことを特徴とする請求項4に記載の巻き線式充電器。
【請求項6】
前記複数の導電性リングは、外リングと少なくとも1個の内リングとを備え、
前記複数の導電性弾性部材における少なくとも3個は、前記外リングに分散するように配置される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の巻き線式充電器。
【請求項7】
前記3個の導電性弾性部材は、前記外リングに平均して間を空けるように配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の巻き線式充電器。
【請求項8】
前記複数の導電性リングはそれぞれ外リングと、中リングと、少なくとも1個の内リングであり、前記導電性部材における少なくとも3個は前記中リングに分散するように配置される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の巻き線式充電器。
【請求項9】
前記ケースは、シェルと、外蓋と、下シェルと、上シェルを備え、
前記上シェルは前記内柱を備え、前記下シェルは前記上シェルとの間で前記回転部と、前記渦巻ばねとを収納し、
前記下シェルと前記メイン回路基板は前記シェルに固定され、前記シェルと前記外蓋の間には前記下シェルと前記上シェルが収納される
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の巻き線式充電器。
【請求項10】
前記回転部はサブ回路基板を備え、前記サブ回路基板には複数の通孔と前記複数の導電性弾性部材とが設けられ、前記サブ回路基板は前記回転部に固定され、各前記導電性弾性部材は対応する位置の前記通孔を貫通し、前記導電性部材の一端は前記通孔の一端に固定される
ことを特徴とする請求項9に記載の巻き線式充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は巻き線式充電器に関し、特に、データケーブルを収納可能な巻き線式充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の急速な発展により、電子機器の処理能力は日に日に高まっており、より小さく、より軽く、そしてより薄く電子機器を製造できるようになりつつある。そして、現代に生きる多くの人々は、携帯電話、タブレットPC、ノートパソコン等の携帯に適した電子機器を携えて行動している。
【0003】
一方で、携帯電話、タブレットPC等の携帯に適した電子機器を頻繁に使用すると、消費電力もそれに伴って増加してしまうため、利用者の多くは携帯電話等に加えてその充電器をも携帯する場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した持ち運びできる充電器は、携帯可能な電子機器に接続するための接続ケーブルを備えているが、接続ケーブルが長すぎると、充電器を持ち運ぶ際には却って不便である。
【0005】
また、現在一般に使用されている携帯可能な充電器は単一タイプのインターフェース(接続コネクタ)しか対応しておらず、ケーブルのコネクタのタイプが異なる携帯電話等とは接続できず、充電もできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題に鑑みて本発明は以下の構成を備える。
【0007】
本発明の巻き線式充電器は、ケースと、メイン回路基板と、プラグと、回転部と、渦巻ばねと、データケーブルとを備え、
前記ケースは内柱を備え、
前記メイン回路基板は前記ケース内に位置し且つ複数の導電性リングを備え、前記複数の導電性リングは前記内柱を軸として同軸に配置され、
前記プラグは一端が前記ケースに枢設されると共に、前記メイン回路基板に電気的に接続され、
前記回転部は前記内柱を軸心として前記ケースに枢接され、前記回転部は複数の導電性弾性部材を備え、前記複数の導電性弾性部材は前記複数の導電性リングにそれぞれ接触し、
前記渦巻ばねは一端が前記内柱に固定されると共に、他端が前記回転部に固定され、
前記データケーブルはコネクタとコードを備え、前記コードの一端は前記複数の導電性弾性部材に電気的に接続され、前記コードの他端は前記コネクタに電気的に接続され、前記コードの一部は前記回転部に巻き付けられ、前記コネクタは前記ケースの外に露出し、前記渦巻ばねが開放状態のときは、前記コネクタは収容状態となる。
【0008】
また、前記ケースは更に第1の収納空間を備え、前記プラグは突き出し位置と収納位置の間で回転し、前記プラグが前記突き出し位置のとき、前記プラグの他端は前記ケースの外へ突出すると共に、前記プラグが前記収納位置のとき、前記プラグは前記第1の収納空間に位置する。
【0009】
更に、前記ケースは第2の収納空間を備え、前記コネクタが前記収納状態のとき、前記第2の収容空間に位置し、前記コネクタが引き出し位置のとき、前記渦巻ばねはエネルギー貯蔵状態となる。
【0010】
また、磁性部品を更に備え、前記コネクタは吸着部材を更に備え、前記コネクタが前記収納状態のとき、前記コネクタは前記吸着部材を介して前記磁性部材と接触する。
【0011】
また、変換ヘッドを更に備え、前記変換ヘッドの一端は前記コネクタと適合するよう形成され、他端は連接器であり、前記連接器と前記コネクタの種類は同一であり、前記ケースは更に第3の収納空間を形成し、前記第3の収納空間は前記変換ヘッドを収容するために用いられる。
【0012】
更に、前記複数の導電性リングは外リングと少なくとも1個の内リングとを備え、前記複数の導電性弾性部材における少なくとも3個は前記外リングに分散するように配置される。
【0013】
また、前記3個の導電性弾性部材は前記外リングに平均して間を空けるように配置される。
【0014】
また、前記複数の導電性リングはそれぞれ外リングと、中リングと、少なくとも1個の内リングであり、前記導電性部材における少なくとも3個は前記中リングに分散するように配置される。
【0015】
また、前記ケースはシェルと、外蓋と、下シェルと、上シェルを備え、
前記上シェルは前記内柱を備え、前記下シェルは前記上シェルとの間で前記回転部と、前記渦巻ばねとを収納し、
前記下シェルと前記メイン回路基板は前記シェルに固定され、前記シェルと前記外蓋の間には前記下シェルと前記上シェルが収納される。
【0016】
更に、前記回転部はサブ回路基板を備え、前記サブ回路基板には複数の通孔と前記複数の導電性弾性部材とが設けられ、前記サブ回路基板は前記回転部に固定され、各前記導電性弾性部材は対応する位置の前記通孔を貫通し、前記導電性部材の一端は前記通孔の一端に固定される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明は、充電器に収容される接続ケーブルであるデータケーブルをケースの内部に巻き付けて収納できる構造のものを使用しているので、本発明による巻き線式充電器は、使用する状況に基づいてデータケーブルを引き延ばして使用することができると共に、巻き線式充電器のケースの中にデータケーブルを収容したまま使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の巻き線式充電器の分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態のケースの分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態を説明するメイン回路基板の配置状態を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態の導電性弾性部材の配置状態を説明する図である。
【
図6A】
図6Aは本発明の実施形態に基づいた回転部とケースの関係を説明する斜視図である。
【
図6B】
図6Bは回転部とサブ回路基板の関係を説明する斜視図である。
【
図6C】
図6Cはサブ回路基板と導電性弾性部材と通孔の位置関係を示す図である。
【
図7】
図7Aは本実施形態のプラグが突き出し位置まで回転した状態を示し、
図7Bは収納位置まで回転した状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態による吸着部材と磁性部材の配置関係を示す斜視図である。
【
図9A】
図9Aは本発明の導電性リングの外リングと内リングの配置関係を示した図である。
【
図9B】
図9Bは導電性弾性部材と対応する導電性リングの配置関係を示した図である。
【
図10】
図10Aは本実施形態に基づいた導電性リングの外リングと、中リングと、内リングの配置状態を示す図であり、
図10Bは導電性弾性部材に対応する導電性リングの配置状態を示し、
図10Cは
図10Bとは異なる配置状態を示した図である。
【
図11】
図11Aは本発明の実施形態に基づく第3の収容空間と変換ヘッドを示した斜視図であり、
図11Bは本実施形態による変換ヘッドとコネクタの接続状態を示した図である。
【
図12】本発明の実施形態に基づいた変圧回路とメイン回路基板の接続状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1Aと
図1Bに加えて
図2を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図1Aは本発明の巻き線式充電器の斜視図であり、
図1Bは
図1Aとは異なる角度からの斜視図である。また、
図2は本発明の巻き線式充電器の分解斜視図である。
【0020】
本発明の巻線式充電器100は、ケース110、メイン回路基板120、プラグ130、回転部140、サブ回路基板150、渦巻ばね160、データケーブル170を備える。
【0021】
続いて、
図3~
図7を併せて参照しながら本発明の実施形態を説明する。ここで、
図3は本発明の実施形態のケースの分解斜視図である。また、
図4は本発明の実施形態を説明するメイン回路基板の配置状態を説明する図である。更に、
図5は本発明の実施形態の導電性弾性部材の配置状態を説明する図である。また、
図6Aは本発明の実施形態に基づいた回転部とケースの関係を説明する斜視図であり、
図6Bは回転部とサブ回路基板の関係を説明する斜視図であり、
図6Cはサブ回路基板と導電性弾性部材と通孔の位置関係を示す図である。更に、
図7Aは本実施形態のプラグが突き出し位置まで回転した状態を示し、
図7Bは収納位置まで回転した状態を示す斜視図である。
【0022】
本実施形態では、
図1に示したケース110は、
図2に示すようにシェル111、外蓋112、下シェル113、上シェル114を備える。下シェル113と上シェル114は対応して配置されているため、上シェル114を下シェル113に取り付けると、それらの間に中空構造が形成される。
【0023】
上シェル114の底面側には、
図2に示すように内柱115が形成される。また、
図3に示すように下シェル113の底面には開口部が形成され、当該底面は下シェル113と内柱115を互いに連接する面に対応する。シェル111と外蓋112との間には中空構造が形成されるが、この中空構造の内部には、下シェル113と上シェル114を組み合わせたものを収容することができる。
【0024】
再び
図2を参照して説明する。メイン回路基板120はケース110内に配置されている。メイン回路基板120は、シェル111と下シェル113との間に配置されている。本実施形態では、メイン回路基板120は、シェル111の内部に形成された面に固定される。
【0025】
メイン回路基板120は、内柱115に対応しており、内柱115が通過し得る軸孔122が形成されている。メイン回路基板120は、後述する
図4に示すように複数の導電性リング121を備える。ここで、詳しくは
図4にて説明する径が異なる複数の導電性リング121は、軸孔122を中心としてメイン回路基板120上に同軸に配置されると共に、導電性リング121は同心円状に配置される。径方向に隣接する導電性リング121とは、略等間隔に間隔を空けながら配置されている。
【0026】
換言すると、導電性リング121の直径はそれぞれ異なり、それらは全て軸孔122が円の中心となるよう配置されている。このため、異なる導電性リング121同士は交差しない。また、本実施形態では、隣接する導電性リング121間の電気的な接続(短絡)を回避するために、隣接する導電性リング121同士の間には絶縁体からなるリングが設けられている。
【0027】
メイン回路基板120とサブ回路基板150は、後述する「平行距離」を維持するため、詳しくは後述する
図5に示すように、メイン回路基板120とサブ回路基板150は直接的には接触しない。
【0028】
また、
図2、
図7Aに示すようにプラグ130の一端は、ケース110に枢動可能に接続される。なお、ここで言う枢動可能な接続については、詳しくは後述する
図7Aと7Bを参照して説明する。また、プラグ130の一端はメイン回路基板120に電気的に接続されている。また、プラグ130は、外部からの電力供給を可能とするために電源ソケット(図示せず)に差し込めるように接続され、これにより、プラグ130は、外部からの電力をメイン回路基板120に伝達することができる。
【0029】
図2、
図6Aに示すように、回転部140はケース110内に枢設されている。回転部140は、内柱115を回転軸として、
図6Aに示すように回転することができる。回転部140は、上シェル114と下シェル113によって形成された中空構造の内部に配置されている。
【0030】
図2を参照して説明する。回転部140はその底面側にサブ回路基板150を備え、サブ回路基板150は、回転部140と下シェル113との間に配置される。本実施形態では、サブ回路基板150は、回転部140の底面側に固定されている。
【0031】
また、データケーブル170の一端は回転部140に固定され、回転部140にその一部が巻き付けられている。そして、使用者がデータケーブル170を引き出すと、当該データケーブル170が固定されている回転部140に加えてサブ回路基板150もデータケーブル170の引き出し動作に伴って回転する。
【0032】
サブ回路基板150には、
図6Bに示されるように、複数の通孔(符号なし)が形成される、これら複数の通孔には複数の導電性弾性部材151が取り付けられる。各通孔の位置は導電性弾性部材151の位置に対応し、通孔の開口の大きさは導電性弾性部材151の大きさに対応するように形成されている。導電性弾性部材151は回転部140の底面側に位置すると共に、その一部がサブ回路基板150の通孔を貫通するよう嵌め込まれる。
【0033】
更に、本実施形態では、
図6Cに示されるように、導電性弾性部材151の片側の端部が通孔の長手方向の片側の端部にはんだ付けされることにより、導電性弾性部材151がサブ回路基板150に固定される。
【0034】
ここで、導電性弾性部材151の他方の端部は、必ずしもサブ回路基板150にはんだ付けしなくても良い。導電性弾性部材151の他方の端部をサブ回路基板150にはんだ付けしない場合には、導電性弾性部材151は導電性リング121に対して弾性的に接触することができる。もちろん、導電性弾性部材151の両端部をサブ回路基板150の通孔の長手方向の両端にいずれもはんだ付けしても、導電性弾性部材の中心付近は底面側に突き出ているので導電性リング121に対して接触できる。
【0035】
また、導電性弾性部材151は、サブ回路基板150の表面から上述のように通孔を介して突出することができ、その結果、導電性弾性部材151は、メイン回路基板120の導電性リング121に接触することができる。例えば、メイン回路基板120とサブ回路基板150との間の距離をLとし、サブ回路基板150から突出する導電性弾性部材151の長さをhとすると、
図5に示すように、導電性弾性部材151が突出する長さhは、距離L以上であれば足りる。このように設定することを上述した「平行距離」と呼ぶ。なお、図において距離Lと突出する長さhは符号を記載していない。つまり、複数の導電性弾性部材151と複数の導電性リングはそれぞれ対応しているので、導電性弾性部材151によって、メイン回路基板120とサブ回路基板との間は、一定の距離である「平行距離」が維持される。
【0036】
また、複数の導電性弾性部材151は、それぞれ複数の導電性リング121に対応している。すなわち、各導電性リング121は、少なくとも1つの導電性弾性部材151に対応し、回転部140が回転すると、導電性弾性部材151は、対応する導電性リング121に沿って導電性リング121上を回転するようにスライドする。
【0037】
このようにして、メイン回路基板120とサブ回路基板150との間の電気的な接続は、導電性弾性部材151の接触によって達成される。一方、導電性弾性部材151と導電性リング121との接触面積自体は部分的に接触しているにすぎず、導電性リング121の全面が接触している訳ではない。そのため、回転部140がメイン回路基板120に対して回転しても、両者の間の摩擦力は少なくて済み、回転させ易く、摩擦力が大きすぎて回転できないようなことが起こりにくい。
【0038】
なお、導電性弾性部材151の数は、データケーブル170が採用している伝送プロトコルに基づいて決定される。例えば、データケーブル170がタイプCの通信シリアルバス(Universal Serial Bus type-C,USB-C)通信プロトコルの場合には、タイプCのUSBの各ピンの側面には、2本の電源ピン(VBus)と2本の接地ピンを具備している。
【0039】
したがって、導電性弾性部材151の数は、少なくとも2組以上にしなければならない。また、一般には導電性弾性部材151の総数は、導電性リング121の総数よりも多くする必要があるが、導電性弾性部材151の配置については後述する。
【0040】
また、
図6Aに示すように、渦巻ばね160の一端は内柱115に固定され、渦巻ばね160の他端は回転部140に固定されている。回転部140が回転した状態から解放されると、渦巻ばね160の弾性復元力によって回転部140は元の位置に戻るように回転する。データケーブル170のコード172は回転部140を取り囲むように巻き付き、コネクタ171はケース110の外側に露出する。
【0041】
本実施形態では、コード172は、導電性弾性部材151の一端に電気的に接続されるように回転部140に固定される。このようにして、データケーブル170を引き出し又は巻き取るように収納する際、コード172と導電性弾性部材151が接続されているので、データケーブル170が引き出されても、電気的な接触は保ったままとなる。
【0042】
図7Aと7Bを参照して説明する。本実施形態によれば、シェル111には、第1の収納空間111aと第2の収納空間111bが形成される。第1の収納空間111aはプラグ130を収容するために使用され、第2の収納空間11bは、データケーブル170を収容するために使用される。プラグ130は、
図7Aのように突き出し位置と、
図7Bのような収納位置との間で回転させることができる。
【0043】
プラグ130を
図7Aに示す位置まで回転させると、プラグ130の開放端はケース110の外側に突出する。そして、プラグ130を
図7Aに示す位置まで回転させると、使用者は巻き線式充電器100のプラグ130を電源コンセントに差し込むことができる。巻き線式充電器100が使用された後、使用者は、
図7Bに示されるように、プラグ130を第1の収容空間111aに収納するように、プラグ130を収納位置まで回転させることができる。
【0044】
データケーブル170の使用と「収納状態」の説明を容易にするために、「引き出し状態」と「収納状態」についての定義づけを行う。使用者がデータケーブル170を引き出すと、データケーブル170は回転部140を回転させる。その結果、渦巻ばね160は引っ張られて、エネルギー貯蔵状態となる。
【0045】
同時に、データケーブル170におけるコネクタ171とコード172の一部はケース110から露出される。この状態を「引き出し状態」として定義する。
【0046】
使用者がコード172を解放すると、渦巻ばね160の弾性力によって回転部140は、引き出したときとは反対方向に回転し、コード172をケース110に巻くことができる。
【0047】
ここで、コード172がケース110に収容されると共に、コネクタ171が第2の収納空間111bに配置されている状態を「収納状態」と定義する。
【0048】
図8を参照して本発明を説明する。ここで、
図8は本発明の実施形態による吸着部材と磁性部材の配置関係を示す斜視図である。
【0049】
本実施形態によれば、シェル111は磁性部材811を備え、磁性部材811は第2の収容空間111bに隣接するように配置され、データケーブル170は吸着部材812を備え、吸着部材812はコネクタ171の側面に配置される。
【0050】
磁性部材811と吸着部材812は、互いに磁気的に引き付けられ得る。本実施形態において、それらの両方は、磁石であっても良く、いずれか一方が磁石で、他方が強磁性材料であっても良い。
【0051】
吸着部材812の位置は磁性部材811に対応する。コネクタ171が収納状態にあるとき、吸着部材812の位置は磁性部材811に対応し、その結果、コネクタ171の吸着部材812と磁性部材811が相互に吸着するように引き寄せ合うことにより、コネクタ171への固定力を増加させる。
【0052】
次に、
図9を参照して本発明の実施形態を説明する。
図9Aは本発明の導電性リングの外リングと内リングの配置関係を示し、
図9Bは導電性弾性部材と対応する導電性リングの配置関係を示し、
図9Cは
図9Bとは異なる配置関係を示し、
図9Dも
図9Bと
図9Cとは異なる配置関係を示した図である。
【0053】
図9Aに示されるように、本実施形態によれば、導電性リング121は、外リング121aと少なくとも1個の内リング121bを備える。
図9Aでは、外リング121aと内リング121bが例として挙げられる。
【0054】
図9B~
図9Dに示す導電性弾性部材151は、外リング121aと接触し得る範囲に配置され、前述(
図6Bにて説明した)の導電性弾性部材151が導電性リング121に接触することにより、電気的接続が得られる。
【0055】
図9Bに示すように、3個の導電性弾性部材151を例としてとると、3個の導電性弾性片151の間の距離が均一となるように分布させることができる。ここで説明する均一に分散させた構成としては、
図9Bに示すように、3個の導電性弾性片151の配置関係が、これらを直線で結ぶと丁度正三角形となるように、外リング121a上に配置されることである。
【0056】
図9Bの導電性リング121において、「○」で表記されている印は、導電性弾性部材151に対応する導電性リング121上の位置を示す。3個の導電性弾性リング151が外リング121aに等間隔に配置されているので、回転部140はこれら3個の導電性弾性リング151が支えとなって傾くことがなく、且つ、回転部140はメイン回路基板120上を滑らかに回転移動することができる。
【0057】
また、3個の導電性弾性リング151が滑らかに回転移動するので、データケーブル170が「収納状態」から「引き出し状態」に変化したとき、回転部140は、メイン回路基板120に対してより均一な力をかけることができ、より良い動作感を得ることができる。
【0058】
他の導電性弾性部材151は内リング121bと接触し得る範囲内に任意に配置することができる。一般には、外リング121aの3個の導電性弾性部材151は、データケーブル170内に設けられた電線に接続される。
【0059】
内リング121bは、導電性弾性部材151がデータケーブル170を接地させることができるように、少なくとも1個の導電性弾性部材151を備えることができる。
【0060】
図9Bでも、対抗する両側(上側と下側)に2個の導電性弾性部材151が内リング121bと対応するように設けられているので、内リング121bと導電性弾性部材151との接触に関しても、外リング121aと導電性弾性部材151とが相対的に回転している最中に同一行程にて接触を得られる。
【0061】
図9Cを参照して説明する。導電性リング121上の導電性弾性部材151における位置を説明する。サブ回路基板150上の導電性弾性部材151の位置は、導電性リング121と相対する(互いに向かい合う)ように設けられる。本実施形態では、導電性弾性部材151はまた、
図9Cに示されるように、外リング121aと内リング121bに分けて配置される。
【0062】
図9Cでは、3個の導電性弾性部材151を外リング121aの範囲に配置している。導電性弾性部材151は更に内リング121bにも設けられ、その結果、外リング121aの3個の導電性弾性部材151は正三角形となるように配置される。また、
図9Cでは内リング121b上の導電性リング151は1個だけだが、3個設けてこれらを等間隔に内リング121b上に配置しても良い。
【0063】
他の構成としては、
図9Dに示すように、3個の導電性弾性部材151をそれぞれ外リング121aに配置すると共に、内リング121bには2個の導電性弾性部材151を設け、これら2個を180度の間隔を空けて配置しても良い。
【0064】
導電性弾性部材151の均一に分散された配置は、収納状態と引き出し状態との間で切り替える際に、回転部140の回転をスムーズにすることができる。
【0065】
なお、上記の導電性弾性部材151と導電性リング121の配置関係は考えられる一般的な配置方法のうちの一部を示しているに過ぎない。よって、本実施形態に示されていない配置関係についても、特許請求の範囲の構成要件を満たしさえすれば、当該製品も技術的範囲に属するものであり、本実施形態に限って本発明の特許請求の範囲の技術的範囲の解釈をするべきではない。
【0066】
続いて
図10を参照して本発明を説明する。ここで、
図10Aは本実施形態に基づいた導電性リングの外リングと、中リングと、内リングの配置状態を示す図であり、
図10Bは導電性弾性部材に対応する導電性リングの配置状態を示し、
図10Cは
図10Bとは異なる配置状態を示した図である。
【0067】
本実施形態では、導電性リング121は、
図10Aに示されるように、外リング121a、中リング121c、内リング121bからなる少なくとも3個のリングを有する。
図10Aでは、外リング121a、中リング121c、内リング121bが例として取り上げられている。
【0068】
この実施形態では、3個の導電性弾性部材151は、
図10Bに示すように、前述の導電性弾性部品151が導電性リング121に接触できるように、中リング121cと接触し得る範囲に均等に配置される。つまり、3個の導電性弾性部材151が等間隔に間を空けるように配置される。
【0069】
そして、
図10Bの外リング121aは、2個の導電性弾性部材151に接続され、外リング121aに対応する導電性弾性部材151は、データケーブル170の内部の電線と接続される。
【0070】
中リング121cに対応する導電性弾性部材151は、データケーブル170のデータ線に接続することができる。内リング121bに対応する導電性弾性部材151は、データケーブル170をアースに接地することができる。また、外リング121aと内リング121bについては、
図10Cに示されるように、異なる数の導電性弾性部材151を追加して構成することができる。つまり、
図10Cでは外リング121aに1個、内リング121bには2個の導電性弾性部材が配置されている。
【0071】
次に、
図11を参照して本発明を説明する。ここで、
図11Aは本発明の実施形態に基づく第3の収容空間と変換ヘッドを示した斜視図であり、
図11Bは本実施形態による変換ヘッドとコネクタの接続状態を示した図である。
【0072】
本実施形態では、シェル111には第3の収容空間111cが形成され、第3の収容空間111cは
図11Aに示されるように変換(互換)ヘッド821を収容するために使用される。
【0073】
ここで、変換ヘッド821の一端は、データケーブル170のコネクタ171と形状と型が一致し、変換ヘッド821の開放端である他端はUSB等のコネクタである。ここで、コネクタのタイプは、lightning、USB type A、micro USB、又はmini USB等のコネクタであるが、これらには限られない。
【0074】
使用者が変換ヘッド821を使用する場合には、変換ヘッド821を第3の収容空間111cから引き出す。そして、変換ヘッド821の一端をコネクタ171に接続して、コネクタ171が変換ヘッド821を介して他の通信規格のコネクタと接続できるように変換する。なお、
図11Bでは、CタイプのUSBがlightningに変換する変換ヘッド821を例として説明している。
【0075】
次に、
図12を参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図12は本発明の実施形態に基づいた変圧回路とメイン回路基板の接続状態を示した図である。
【0076】
本実施形態では、メイン回路基板120は、変圧回路123を更に備える。変圧回路123は、
図11Aに示されるプラグ130とメイン回路基板120に接続されている。
【0077】
変圧回路123は、プラグ130を介して外部の商用電源から供給された電力を本発明の巻き線式充電器100で使用できる例えば直流+5V等の電圧値に変換し、当該電力を導電性弾性部材151とサブ回路基板150を介してコネクタ171に伝送するために使用される。本実施形態では、変圧回路123は、
図12に示されるように、メイン回路基板120の第2の面(底面側)に実装されている。
【0078】
上述の記載と示唆に基づいて、この当業者は、上記の実施形態の内容を適宜変更することができるが、本発明の技術的範囲は当該変更後の発明にも均等の範囲が及ぶものとする。また、本発明の上述の実施形態は本発明の技術的範囲を本明細書の実施形態で説明したものに限定するものではない。
【符号の簡単な説明】
【0079】
100 巻き線式充電器
110 ケース
111 シェル
112 外蓋
113 下シェル
114 上シェル
115 内柱
120 メイン回路基板
121 導電性リング
121a 外リング
121b 内リング
121c 中リング
122 軸孔
123 変圧回路
130 プラグ
140 回転部
150 サブ回路基板
151 導電性弾性部材
160 渦巻ばね
170 データケーブル
171 コネクタ
172 コード
111a 第1の収納空間
111b 第2の収納空間
111c 第3の収納空間
811 磁性部材
812 吸着部材
821 変換ヘッド