(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061673
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】マイクアレイシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20220412BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H04R1/40 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169748
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 訓史
【テーマコード(参考)】
5D018
5D220
【Fターム(参考)】
5D018BB22
5D220BA06
5D220BC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少ないマイク数でも低周波数帯域のSN比を向上させることができるマイクアレイシステムを提供する。
【解決手段】マイクアレイシステム1は、第1の軸A1に沿って配置された複数の第1マイク11A、11Bと、第1の軸に直交する第2の軸A2に沿って、第1の軸から第1の距離H1、H2で等間隔に離れて配置された複数の第2マイク11C、11D、11E、11Fと、複数の第1マイクおよび複数の第2マイクの音信号をフィルタ処理して合成することによりビームフォーミングを行うビームフォーミング処理器と、を備える。複数の第2マイクを第1の軸に射影した時に、複数の第1マイクおよび射影した複数の第2マイク(仮想マイク11N1、11N2)が第2の距離D1、D2、D3で等間隔に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸に沿って配置された複数の第1マイクと、
前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って、前記第1の軸から第1の距離で等間隔に離れて配置された複数の第2マイクと、
前記複数の第1マイクおよび前記複数の第2マイクの音信号をフィルタ処理して合成することによりビームフォーミングを行うビームフォーミング処理器と、
を備え、
前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクが第2の距離で等間隔に配置されていて、
前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記第1の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクのうち、両端に配置された2つのマイクの距離は、
前記複数の第1マイクを前記第2の軸に射影した時に、前記第2の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび前記複数の第2マイクの両端間のうち、両端に配置された2つのマイクの距離よりも長い、
マイクアレイシステム。
【請求項2】
前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記第1の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクの数は、
前記複数の第1マイクを前記第2の軸に射影した時に、前記第2の軸に沿って並ぶ射影した前記複数の第1マイクおよび前記複数の第2マイクの数よりも多い、
請求項1に記載のマイクアレイシステム。
【請求項3】
前記第2の距離は前記第1の距離よりも長い、
請求項1または請求項2に記載のマイクアレイシステム。
【請求項4】
前記第1の距離は前記第2の距離と同じである、
請求項1または請求項2に記載のマイクアレイシステム。
【請求項5】
前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記第1の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクのうち、両端に配置された2つのマイクの距離は、10cm以上かつ10m以下である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイクアレイシステム。
【請求項6】
前記第1マイクおよび前記第2マイクの数は、合計6個以上である、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のマイクアレイシステム。
【請求項7】
前記第1マイクおよび前記第2マイクの数は、合計8個以下である、
請求項6に記載のマイクアレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のマイクを備えたマイクアレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同心円状に複数のマイクを配置し、ビームステアリングを行なうマイクアレイシステムが開示されている。特許文献1のマイクアレイシステムは、数十個のマイクを備える。特許文献1のマイクアレイシステムは、多数のマイクを備えることにより、低周波数帯域(例えば10kHz以下)から高周波数帯域(例えば10kHz以上)まで均一なSN比を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、少ないマイク数(例えば10個未満)では、低周波数帯域のSN比を確保することが難しい。
【0005】
そこで、この発明は、少ないマイク数でも低周波数帯域のSN比を向上させることができるマイクアレイシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マイクアレイシステムは、第1の軸に沿って配置された複数の第1マイクと、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って、前記第1の軸から第1の距離で等間隔に離れて配置された複数の第2マイクと、前記複数の第1マイクおよび前記複数の第2マイクの音信号をフィルタ処理して合成することによりビームフォーミングを行うビームフォーミング処理器と、を備え、前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクが第2の距離で等間隔に配置されていて、前記複数の第2マイクを前記第1の軸に射影した時に、前記第1の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび射影した前記複数の第2マイクのうち、両端に配置された2つのマイクの距離は、前記複数の第1マイクを前記第2の軸に射影した時に、前記第2の軸に沿って並ぶ前記複数の第1マイクおよび前記複数の第2マイクの両端間のうち、両端に配置された2つのマイクの距離よりも長い。
【発明の効果】
【0007】
マイクアレイシステムは、少ないマイク数でも低周波数帯域のSN比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】マイクアレイシステム1のブロック図である。
【
図3】マイクアレイシステム1の指向性係数を示す図である。
【
図4】8個のマイクを備えるマイクアレイシステム1Aの正面図である。
【
図5】第1マイクが両端に配置されていないマイクアレイシステム1Bの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、マイクアレイシステム1の正面図である。マイクアレイシステム1は、筐体10の正面に、複数のマイクを備えている。本実施形態のマイクアレイシステム1は、6個のマイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを備えている。
【0010】
筐体10は、一例として奥行きの短い直方体形状である。ただし、筐体10の形状は、正面に複数のマイクを配置可能な形状であればどの様なものであってもよい。
【0011】
図1に示す筐体10は、左右方向(水平方向)に長く、上下方向(垂直方向)に短い形状である。筐体10は、例えば表示器(不図示)の上または下に配置される。マイクアレイシステム1は、筐体10の正面に配置された複数のマイクを用いて、表示器(不図示)の前に居る話者の音声を収音する。
【0012】
図2は、マイクアレイシステム1の構成を示すブロック図である。マイクアレイシステム1は、上記の6個のマイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fに加えて、さらに、ビームフォーミング処理器15、通信部16、CPU17、フラッシュメモリ18、およびRAM19を備えている。
【0013】
CPU17は、マイクアレイシステム1の動作を制御する制御部である。CPU17は、記憶媒体であるフラッシュメモリ18に記憶された所定のプログラムをRAM19に読み出して実行することにより各種の動作を行なう。例えば、CPU17は、当該プログラムにより、ビームフォーミング処理器15を制御する。
【0014】
なお、CPU17が読み出すプログラムは、自装置内のフラッシュメモリ18に記憶されている必要はない。例えば、プログラムは、サーバ等の外部装置の記憶媒体に記憶されていてもよい。この場合、CPU17は、該サーバから都度プログラムをRAM19に読み出して実行すればよい。
【0015】
ビームフォーミング処理器15は、DSP(Digital Signal Processor)からなる。ビームフォーミング処理器15は、マイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fから音信号を取得する。ビームフォーミング処理器15は、マイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fから取得した音信号に、それぞれフィルタ処理を施して合成することによりビームフォーミングを行う。ビームフォーミングに係る信号処理は、遅延和(Delay Sum)方式、Griffiths Jim型、Henry cox型、Sidelobe Canceller型、あるいはFrost型Adaptive Beamformer等、どの様な手法であってもよい。
【0016】
CPU17は、ビームフォーミング処理器15のフィルタ処理の内容を決定し、ビームフォーミング処理器15のビームフォーミングを制御する。例えば、CPU17は、話者の位置を検出して、検出した話者の位置にビームを向けるように、ビームフォーミング処理器15を制御する。ビームフォーミング処理器15は、ビームフォーミングを行うことにより、話者の音声を高いSN比で取得する。
【0017】
通信部16は、ビームフォーミング処理器15によりビームフォーミング処理した後の音信号を、他の装置に送信する。他の装置は、例えば遠隔地に設置された情報処理装置である。これにより、マイクアレイシステム1は、話者の音声を遠隔地の情報処理装置に送信する。この場合、マイクアレイシステム1は、遠隔地との音声会話を行うためのコミュニケーションシステムの一構成として機能する。
【0018】
マイクアレイシステム1は、
図1に示したように、水平方向の第1の軸A1上に、マイク11Aおよびマイク11Bを配置している。また、マイクアレイシステム1は、第1の軸A1に直交する垂直(鉛直)方向の第2の軸A2に沿ってマイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを配置している。
【0019】
マイク11Cおよびマイク11Dは、それぞれ第1の軸A1から上方向に距離H1離れた位置に配置されている。また、マイク11Eおよびマイク11Fは、それぞれ第1の軸A1から下方向に距離H2離れた位置に配置されている。距離H1および距離H2は、同じである。
【0020】
すなわち、マイク11Aおよびマイク11Bは、第1の軸A1に沿って配置された複数の第1のマイクを構成する。マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fは、第1の軸A1から第1の距離H1(=H2)で等間隔に離れて配置された複数の第2マイクを構成する。なお、本実施形態において等間隔とは、完全に同じ間隔ではない。例えば±5%程度の誤差があったとしても、等間隔に含まれる。
【0021】
さらに、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを第1の軸A1に射影すると、第1の軸上のマイクは、全て等間隔に並ぶ。マイク11Cおよびマイク11Eは、第1の軸A1に射影すると第1の軸A1上の仮想マイク11N1を構成する。マイク11Dおよびマイク11Fは、第1の軸A1に射影すると第1の軸A1上の仮想マイク11N2を構成する。仮想マイク11N1ならびにマイク11Aの距離D1、仮想マイク11N2ならびに仮想マイク11N1の距離D2、およびマイク11Bならびに仮想マイク11N2の距離D3は、全て同じである。
【0022】
マイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fからなるマイクアレイは、水平方向のビームフォーミングにおいて、第1の軸A1上に並ぶ4つのマイク(マイク11A、仮想マイク11N1、仮想マイク11N2、およびマイク11B)の音信号を用いることと等価となる。
【0023】
これら4つのマイクは、第1の軸A1に沿って第2の距離D1(=D2=D3)で等間隔に配列されている。等間隔に配列されたマイクによってビームフォーミングを行うと、異なる間隔で配列されたマイクによってビームフォーミングを行ったときよりも、ギブズ現象によってより大きなリプルが現れる。したがって、4つのマイクの相互作用(共鳴)により、特定の周波数でSN比が高くなったり、低くなったりする。
【0024】
図3は、マイクアレイシステム1の指向性係数を示す図である。
図3に示すグラフの横軸は周波数であり、縦軸は指向性係数である。指向性係数は、ある1つのマイク(例えばマイク11A)を基準として、6つのマイク11A、マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを合成して1つのマイクと仮定した場合の相対的なSN比に対応する。
【0025】
マイクアレイシステム1は、マイク11Aと仮想マイク11N1、仮想マイク11N1と仮想マイク11N2、およびマイク11Bと仮想マイク11N2の相互作用により、マイク間の距離に依存する特定の周波数においてSN比にピークを生じる。ピークは、最も低い周波数から順に周期的に複数の周波数で生じる。
【0026】
図3の例は、両端に配置されたマイク11Aおよびマイク11Bの距離(D1+D2+D3)が約1mである場合の特性を示す。この場合、距離D1,D2,D3は、それぞれ約33cmとなる。したがって、
図3に示す様に、最も低い周波数では約1kHzにピークが生じる。また、1kHzより高い周波数帯域において、周期的に複数の周波数でピークが生じる。
【0027】
最も低い周波数のピーク(以下、最低ピークと称する。)は、マイク11Aおよびマイク11Bの距離、すなわち距離D1,D2,D3により変化する。距離D1,D2,D3が大きくなるほど、最低ピークの周波数は低くなる。例えば、マイク11Aおよびマイク11Bの距離が約10mであれば、最低ピークの周波数は、約100Hzとなる。また、距離D1,D2,D3が小さくなるほど、最低ピークの周波数は高くなる。例えば、マイク11Aおよびマイク11Bの距離が約10cmであれば、最低ピークの周波数は、約10kHzとなる。
【0028】
通常、室内ノイズ、残響、およびエコーは、10kHz以下の低周波数帯域で高いレベルを有する。特に、室内ノイズ、残響、およびエコーは、1kHz以下などのより低い周波数帯域ほどより高いレベルを有する。したがって、ビームフォーミングのためには、10kHz以下のより低周波数帯域でより高いSN比を確保することが重要である。本実施形態のマイクアレイシステム1は、少ない(6個の)マイクでありながらも、室内ノイズ、残響、およびエコーの影響の大きい1kHzの低周波数において非常に高いSN比を示す。本実施形態のマイクアレイシステム1は、少ないマイク数でも低周波数帯域のSN比を向上させることができる。したがって、マイクアレイシステム1は、室内ノイズ、残響、およびエコーの影響を低減し、良好な指向性を形成することができる。
【0029】
また、本実施形態のマイクアレイシステム1は、水平方向だけでなく、垂直(鉛直)方向にも複数のマイクを配置している。マイク11B、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを第2の軸A2に射影すると、第2の軸上のマイク11A、仮想マイク11M1、および仮想マイク11M2は、等間隔に並ぶ。よって、水平方向と同様に、垂直方向でも、複数のマイクの相互作用により、特定の周波数においてSN比にピークを生じる。したがって、本実施形態のマイクアレイシステム1は、垂直方向にもビームフォーミングを行うことができる。
【0030】
上述の様に、マイクアレイシステム1は、表示器(不図示)の上または下に配置され、表示器(不図示)の前に居る話者の音声を収音する。話者は、上下方向には床面から約1m~2m程度の高さに存在し、当該1m~2mの範囲を大きく超えた位置に存在することは少ない。一方、話者は、水平方向には様々な位置に存在する場合が多い。例えば、話者は、表示器(不図示)の真正面に居たり、左右に離れた位置に居たりする。
【0031】
これに対して、マイクアレイシステム1における、水平方向の第1の軸A1に沿って並ぶマイクの両端間の距離(マイク11Aおよびマイク11Bの距離)は、垂直方向の第2の軸A2に沿って並ぶマイクの両端間の距離(11Cおよびマイク11Eの距離)よりも長い。これにより、マイクアレイシステム1は、垂直方向よりも水平方向のビームフォーミングの性能を向上させ、水平方向に沿って様々な位置に存在する話者の音声を収音することができる。
【0032】
また、マイクアレイシステム1における、水平方向の第1の軸A1に沿って並ぶマイク(マイク11A、仮想マイク11N1、仮想マイク11N2、およびマイク11B)の数は、4個である。垂直方向の第2の軸A2に沿って並ぶマイク(マイク11A、仮想マイク11M1、仮想マイク11M2)の数は3個である。すなわち、水平方向の第1の軸A1に沿って並ぶマイクの数は、垂直方向の第2の軸A2に沿って並ぶマイクの数よりも多い。これにより、マイクアレイシステム1は、垂直方向よりも水平方向に、より鋭いビームを形成することができる。したがって、マイクアレイシステム1は、複数の話者が存在する場合でも、話者毎の音声を高精度に分離して収音することができる。
【0033】
なお、
図1に示したマイクアレイシステム1では、第2の距離(D1,D2,D3)は、第1の距離(H1,H2)よりも長い。しかし、第2の距離(D1,D2,D3)は、第1の距離(H1,H2)と同じであってもよい。
【0034】
また、
図1のマイクアレイシステム1は、6個のマイクを備える例を示した。しかし、マイクの数は6個に限らない。例えば、
図4は、8個のマイクを備えるマイクアレイシステム1Aの正面図である。
図1と共通する構成は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
マイクアレイシステム1Aは、さらにマイク11Gおよびマイク11Hを備えている。マイク11Gは、第1の軸A1から上方向に距離H1離れた位置に配置されている。マイク11Hは、第1の軸A1から下方向に距離H2離れた位置に配置されている。すなわち、マイク11Gおよびマイク11Hは、第1の軸A1から第1の距離H1(=H2)で等間隔に離れて配置された複数の第2マイクを構成する。
【0036】
マイク11Gおよびマイク11Hは、第1の軸A1に射影すると第1の軸A1上の仮想マイク11N3を構成する。マイク11Gおよびマイク11Hを第1の軸A1に射影すると、第1の軸上のマイクは、全て等間隔に並ぶ。仮想マイク11N1ならびにマイク11Aの距離D1、仮想マイク11N2ならびに仮想マイク11N1の距離D2、仮想マイク11N3ならびに仮想マイク11N2の距離D3、およびマイク11Bならびに仮想マイク11N3の距離D4は、全て同じである。
【0037】
この場合も、
図1のマイクアレイシステム1と同様に、水平方向に並ぶ複数のマイクの相互作用により、特定の周波数においてSN比にピークを生じる。したがって、マイクアレイシステム1Aは、少ない(8個の)マイクでありながらも、低周波数帯域のSN比を向上させることができる。マイクアレイシステム1Aは、
図1のマイクアレイシステム1よりも水平方向に並ぶマイクの数が多いため、より低周波数帯域のSN比を向上させることができる。
【0038】
また、第1の軸A1上に配置される第1マイクは、両端に配置される必要はない。例えば、
図5は、第1マイクが両端に配置されていないマイクアレイシステム1Bの正面図である。
図1と共通する構成は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0039】
マイクアレイシステム1Bは、正面視して左端にマイク11Cおよびマイク11Eを配置し、仮想マイク11N1および仮想マイク11N2の間にマイク11Aを配置している。その他の構成は
図1のマイクアレイシステム1と同一である。
【0040】
この場合も、マイク11C、マイク11D、マイク11E、およびマイク11Fを第1の軸A1に射影すると、第1の軸上のマイクは、全て等間隔に並ぶ。したがって、マイクアレイシステム1Bは、
図1のマイクアレイシステム1と同様に、少ない(6個の)マイクでありながらも、低周波数帯域のSN比を向上させることができる。
【0041】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
例えば、本実施形態では、マイクの数が6個または8個の例を示した。しかし、マイクの数は10個以上であってもよい。ただし、本実施形態のマイクアレイシステムは、少ないマイク数でも低周波数帯域のSN比を向上させることができるため、マイクの数を少なくすることで、筐体の大きさを小さくし、コストを低減することができる。そのため、好ましくは、マイクの数は6個または8個である。
【符号の説明】
【0043】
1,1A,1B…マイクアレイシステム
10…筐体
11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H…マイク
11M1,11M2,11N1,11N2,11N3…仮想マイク
15…ビームフォーミング処理器
16…通信部
17…CPU
18…フラッシュメモリ
19…RAM