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特開2022-61693タイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061693
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】タイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 23/20 20060101AFI20220412BHJP
   B65D 5/355 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65B23/20
B65D5/355
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169788
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】395018055
【氏名又は名称】株式会社セラメッセ
(71)【出願人】
【識別番号】511219308
【氏名又は名称】恵那ダンボール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【弁理士】
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】千葉 精優
(72)【発明者】
【氏名】町野 正博
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
【テーマコード(参考)】
3E043
3E060
【Fターム(参考)】
3E043AA01
3E043AA10
3E043BA03
3E043FA10
3E060AA03
3E060AB05
3E060AC07
3E060BA05
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE26
3E060DA09
3E060EA09
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】輸送コストの上昇を回避しつつ運搬に掛かる作業員への肉体的な負担が軽減可能なタイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法を提供する。
【解決手段】タイルを並べて連結してなるタイルシートを上下方向に重ねて梱包する梱包容器1であって、外箱20と中箱30とからなり、外箱20は側面部21a~21dと、天面部22と底面部23とを備え、一梱包分のタイルシートを上下方向に重ねた全体形状より僅かに大きい形状の収容空間24を有するものであり、中箱30は側板31a~31dと、天板32と底板33とを備え、一梱包分のほぼ半数のタイルシートを梱包可能であって外箱20の収容空間24のほぼ上半分を占める大きさに形成されるものであり、タイルシートの一梱包分のほぼ半数を外箱20の下側に収容すると共に残りのタイルシートを中箱30で梱包した状態で外箱20の上側に配置するようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のタイルを所定の配列に並べて連結してなるタイルシートを上下方向に重ねて梱包するタイルシートの梱包容器であって、
前記梱包容器は、外箱と、中箱と、からなり、
前記外箱は、四方を囲う側面部と、その上下を覆う天面部と底面部と、を備え、一梱包分のタイルシートを上下方向に重ねた全体形状より僅かに大きい形状の収容空間を有するものであり、
前記中箱は、四方を囲う側板と、その上下を覆う天板と底板と、を備え、一梱包分のほぼ半数の前記タイルシートを梱包可能であって前記外箱の前記収容空間のほぼ上半分を占める大きさに形成されるものであり、
前記タイルシートの一梱包分のほぼ半数を前記外箱の前記収容空間の下側に収容すると共に残りのタイルシートを前記中箱で梱包した状態で前記外箱の上側に配置するようにしたことを特徴とするタイルシートの梱包容器。
【請求項2】
前記外箱の側面部は、高さの中間位置に内側への折曲げを容易にする折曲補助線を備えると共に、各側面部同士の境界部分であって前記折曲補助線から上の部分に側面部同士の分離を容易にするための分離補助線を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のタイルシートの梱包容器。
【請求項3】
前記外箱の天面部は、各側面部の上縁に折曲可能に延設された天面部構成片で形成されるものであり、
その天面部構成片の先端から前記側面部の前記折曲補助線までの距離が、同方向に向かう前記天面部の一辺の長さ以下であることを特徴とする請求項2に記載のタイルシートの梱包容器。
【請求項4】
前記外箱の天面部は、対向する少なくとも一対の前記天面部構成片に、前記側面部が前記折曲補助線から折曲した状態で係脱可能なジョイント部を設けてなることを特徴とする請求項2又は3に記載のタイルシートの梱包容器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の梱包容器を使用し、
前記外箱の前記収容空間の下側に前記タイルシートの一梱包分のほぼ半数を収容すると共にそのタイルシートの上に残りのタイルシートを梱包した前記中箱を載せるか又はタイルシートの上に空の前記中箱を置いてその中に残りのタイルシートを詰めて梱包した後、前記外箱の上面を前記天面部で塞いで搬送し、
その後、前記外箱から前記中箱を取り出して前記梱包容器を二つに分け、その状態で別々に運びうるようにしたことを特徴とするタイルシートの梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定数のタイルを所定の配列に並べて連結してなるタイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルは、所定枚数、例えば18枚を目地幅相当の間隔を開けて並べ、それをクラフト紙や樹脂製ネットなどの連結手段でシート状に連結してタイルシートを形成し、そのタイルシートを建物の壁面等に貼り付けて施工することが多い。そうすることにより、タイルを一枚ずつ現場で貼り付ける場合に比べて作業性が良く、また、作業者の技量の違いによる施工品質の斑を少なくすることができる。
かかるタイルシートは、タイルの製造工場等で作られるため、所定の梱包容器に詰められて最終的に施工現場に輸送される。
【0003】
しかして、従来のタイルシートの梱包は、特許文献1に記載されているように、タイルシートとほぼ同形状の底板の四辺に側板を立設すると共に、その側板の上面の開口部分を天板で覆いうるようにした段ボール製の梱包容器を使用し、その梱包容器一杯にタイルシートを詰めて天板で覆うようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-170221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、一つの梱包容器には22枚程度のタイルシートが収容されており、その重量は約26Kgである。
このタイルシートが詰まった梱包容器が建築現場に運び込まれると、その梱包容器のまま施工場所となる建物の高所に移動させるのであるが、建築現場ではエレベーターが使えないため、作業員自らが階段を使って一つずつ運搬する必要がある。
かかる作業は従来からずっと行われているが、近年の人手不足により体力のある若い作業員が減少しており、高齢の作業員に掛かる負担が増大している。
このような高齢の作業員の負担を軽減するため、一つの梱包容器に入れるタイルシートの梱包枚数を例えば半分に減らすことが考えられるが、現在のタイルシートの輸送料金は重さではなく梱包容器の数が基準になっているため、単純に一梱包分を半分に減らすと梱包容器の数が倍になって輸送コストが跳ね上がるおそれがある。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、輸送コストの上昇を回避しつつ運搬に掛かる作業員への肉体的な負担が軽減可能なタイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、請求項1に記載したように、
所定数のタイルを所定の配列に並べて連結してなるタイルシートを上下方向に重ねて梱包するタイルシートの梱包容器であって、
前記梱包容器は、外箱と、中箱と、からなり、
前記外箱は、四方を囲う側面部と、その上下を覆う天面部と底面部と、を備え、一梱包分のタイルシートを上下方向に重ねた全体形状より僅かに大きい形状の収容空間を有するものであり、
前記中箱は、四方を囲う側板と、その上下を覆う天板と底板と、を備え、一梱包分のほぼ半数の前記タイルシートを梱包可能であって前記外箱の前記収容空間のほぼ上半分を占める大きさに形成されるものであり、
前記タイルシートの一梱包分のほぼ半数を前記外箱の前記収容空間の下側に収容すると共に残りのタイルシートを前記中箱で梱包した状態で前記外箱の上側に配置するようにしたタイルシートの梱包容器を提供する。
ここで「一梱包分のほぼ半数」には、一梱包分の丁度半数も含まれる。
【0008】
また、請求項2記載したように、前記外箱の側面部は、高さの中間位置に内側への折曲げを容易にする折曲補助線を備えると共に、各側面部同士の境界部分であって前記折曲補助線から上の部分に側面部同士の分離を容易にするための分離補助線を備えてなる請求項1記載のタイルシートの梱包容器を提供する。
【0009】
また、請求項3に記載したように、前記外箱の天面部は、各側面部の上縁に折曲可能に延設された天面部構成片で形成されるものであり、
その天面部構成片の先端から前記側面部の前記折曲補助線までの距離が、同方向に向かう前記天面部の一辺の長さ以下である請求項2に記載のタイルシートの梱包容器を提供する。
【0010】
また、請求項4に記載したように、前記外箱の天面部は、対向する少なくとも一対の前記天面部構成片に、前記側面部が前記折曲補助線から折曲した状態で係脱可能なジョイント部を設けてなる請求項2又は3記載のタイルシートの梱包容器を提供する。
【0011】
また、請求項5に記載したように、請求項1乃至4の何れか1項に記載の梱包容器を使用し、
前記外箱の前記収容空間の下側に前記タイルシートの一梱包分のほぼ半数を収容すると共にそのタイルシートの上に残りのタイルシートを梱包した前記中箱を載せるか又はタイルシートの上に空の前記中箱を置いてその中に残りのタイルシートを詰めて梱包した後、前記外箱の上面を前記天面部で塞いで搬送し、
その後、前記外箱から前記中箱を取り出して前記梱包容器を二つに分け、その状態で別々に運びうるようにしたタイルシートの梱包方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタイルシートの梱包容器及びタイルシートの梱包方法によれば、外箱の下側に一梱包分のほぼ半数のタイルシートを収納し、残りのタイルシートを中箱で梱包した状態で外箱の上側に配置するようにしたため、タイルの製造工場から現場までは従来と同じ梱包容器の数、つまり同じ輸送コストで輸送することができ、一方、現場に到着して高所に運搬する段階で外箱から中箱を抜き出して二つに分けることにより、ほぼ半分の軽さにすることができる。したがって、体力が低下した高齢の作業員でも無理なくタイルシートを運搬することができるため、人手不足による若い作業員の減少を補うことができる。
【0013】
また、請求項2に記載のタイルシートの梱包容器によれば、分離補助線により側面部同士の境界部分を分離させると共に折曲補助線で側面部を外側に折り曲げることで、外箱の上側に嵌まり込んだ状態の中箱が、あたかも果実の皮を剥いて実を取り出すがごとく、きわめて簡単に取り出すことができる。そしてさらに、側面部に設けた折曲補助線で上半分を内側へ折り曲げることにより、側面部の上半分もタイルシートの上に折り重なるため、外箱の天面部の厚みが増し、タイルシートの保護機能が向上する。
【0014】
また、請求項3に記載のタイルシートの梱包容器によれば、天面部構成片と側面部の上半分とがタイルシートの上に折り重なっても、天面部構成片の先端が外側に飛び出さないため、沢山の外箱や中箱を保管場所に集めたとき綺麗に収めやすい。
【0015】
また、請求項4に記載のタイルシートの梱包容器によれば、対向する少なくとも一対の天面部構成片に、側面部が折曲補助線から折曲した状態で係脱可能なジョイント部を設けたため、対向する天面部構成片同士がジョイント部でつながって天面部を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】外箱から中箱を引き上げた状態を示す梱包容器の斜視図である。
図2】梱包容器の外箱の展開図である。
図3】梱包容器の中箱の展開図である。
図4】外箱の上側に中箱を収容した状態を示す梱包容器の斜視図である。
図5】外箱の対向する一対の天面部構成片を中箱の天板に折り重ねた状態を示す梱包容器の斜視図である。
図6】梱包が完了した状態を示す梱包容器の斜視図である。
図7】梱包が完了した状態を示す梱包容器の縦断面図である。
図8】側面部の分離補助線を破断させて中箱を取り出す状態を示す梱包容器の斜視図である。
図9】取り出した中箱と、対向する一対の側面部を折曲補助線から折り曲げて天面部構成片と共にタイルシート上に折り重ねた状態を示す外箱と、を並べて示す梱包容器の斜視図である。
図10】取り出した中箱と、対向する一対の側面部を折曲補助線から折り曲げて天面部構成片のジョイント部を連結させる状態を示す梱包容器の斜視図である。
図11】再梱包が完了した外箱と、取り出した中箱とを並べて示す梱包容器の斜視図である。
図12】(a)は取り出した中箱の縦断面図、(b)は再梱包後の外箱の縦断面図である。
図13】一梱包分を半数ずつに分けた状態を示すタイルシートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
[1.タイルシート]
タイルシートTSは、図13に示したように、所定枚数、例えば18枚のタイルTを目地幅相当の間隔Sを開けて並べ、それをクラフト紙や樹脂製ネットなどの連結手段Jで連結してシート状に形成したものである。図示した連結手段Jは、タイルTの表側に糊付けされるクラフト紙であり、施工後にタイルTから剥がされる。一方、図示を省略するが樹脂製ネットは、タイルTの裏側に貼り付いてタイルT同士を連結するものである。要するにタイルTをシート状に連結する連結手段Jは、タイルT同士が連結可能であればどのようなものであってもよい。
タイルシートTSは、タイルTの製造工場で製造された後、22枚を一梱包分として梱包容器1に詰められ、その状態でトラック等により施工現場まで輸送される。
【0018】
[2.梱包容器]
実施形態の梱包容器1は、図1の斜視図と図2の展開図に示したように段ボール製で四角い外箱20と、同じく図1の斜視図と図3の展開図に示したように段ボール製で高さと容積が外箱20のほぼ半分の大きさである四角い中箱30と、からなる。なお、図2図3の展開図において、雲マーク内の縦縞は段ボールの中芯の方向(段目)を示す。
【0019】
[2-1.外箱]
前記外箱20は、四方を囲う側面部21a~21dと、その上を覆う天面部22と、下を覆う底面部23と、を備え、図13に示した一梱包分(実施形態では22枚)のタイルシートTSを上下方向に重ねた全体形状より僅かに大きい形状の収容空間24を有する。したがって、天面部22と底面部23は、タイルシートTSの平面形状より若干大きい四角形になっている。
【0020】
[2-1-1.側面部]
外箱20の側面部21a~21dは、高さの中間(実施形態では中央)位置に折曲げを容易にする例えば押罫線等の折曲補助線25が形成され、さらに各側面部21a~21d同士の境界部分であって前記折曲補助線25から上の部分に側面部21a~21d同士の分離を容易にするための例えばミシン線等の分離補助線26が形成されている。この分離補助線26を破断させると、各側面部21a~21d同士の上半分がフリーになるため、折曲補助線25を中心にして内方や外方に折り曲げうる。なお、図2の展開図において両端に位置する側面部21aと側面部21dは、側面部21aに連設された継ぎしろ21eを介して接合されるため、その継ぎしろ21eと側面部21dは一体且つ同義である。
【0021】
[2-1-2.天面部]
外箱20の天面部22は、各側面部21a~21dの上縁に押罫線等の上折曲線27を介して折曲可能に延設されたフラップ相当の四つの天面部構成片22a~22dで構成される。なお、各天面部構成片22a~22dの大きさは、その先端から側面部21a~21dの折曲補助線25までの距離が、同方向に向かう天面部22の一辺の長さ以下に設定されている。そうすることにより、側面部21a~21dを折曲補助線25で折り曲げたとしても、天面部構成片22a~22dの先が外側にはみ出すおそれがない。
【0022】
これらの天面部構成片22a~22dのうち、向かい合う一対の側面部21a,21c上に設けられた天面部構成片22a,22cは、天面部22の平面形状(※外箱20の上面開口部の形状と同じ)をほぼ半分に分割した大きさの四角形であって、側面部21a,21cに対して直角に折り曲げたとき、互いの先端が天面部22の中央で突き合わさっていわゆる外フラップを構成するようになっている。
また、他の側面部21b,21d上に設けられた天面部構成片22b,22dは、天面部22の平面形状をほぼ半分に分割した大きさの四角形の範囲内に収まる大きさであり、次に説明する係脱自在なジョイント部28を有するが、側面部21b,21dに対して直角に折り曲げたとき、前記天面部構成片22a,22cの下に潜っていわゆる内フラップを構成するようになっている。
【0023】
[2-1-2-1.ジョイント部]
上記のように天面部構成片22b,22dには、係脱自在なジョイント部28が形成されている。このジョイント部28は、天面部構成片22b側に設けられた横長の線状開口部28aと、その線状開口部28aに抜き差し可能なように天面部構成片22dの先端に形成された差込み片28b及びその差込み片28bの両横に設けられた押え片28c,28c、とからなる。
天面部構成片22b,22dは、前記のように側面部21b,21dに対して直角に折り曲げたとき先同士が重ならない単純なフラップを構成するが、側面部21b,21dが折曲補助線25で折曲した状態では、側面部21b,21dの上半分の長さが加わって天面部構成片22b,22d同士が重なり合うため、ジョイント部28の係合が可能になる。すなわち、天面部構成片22bの線状開口部28aに天面部構成片22dの差込み片28bが差し込まれ、その両横が押え片28cで押さえられることで係合が維持される。また、ジョイント部28のかかる係合は、天面部構成片22b,22dを跳ね上げ方向に回動させることにより簡単に解除しうる。このようにジョイント部28を係合させる場合は、この天面部構成片22b,22dと前記した天面部構成片22a,22cの上下が入れ替わり、天面部構成片22a,22cの上に天面部構成片22b,22dが外フラップ状に被さることとなる。
なお、線状開口部28aを有する天面部構成片22bには、線状開口部28aの長手辺を両横に延長させた方向に押罫線等の天面折曲線28dが設けられていて、その天面折曲線28dで天面部構成片22bを山形に変形させて線状開口部28aを浮かせ気味にすることで差込み片28bの差込みが円滑に行えるようになっている。
【0024】
[2-1-3.底面部]
外箱20の底面部23は、例えば段ボール箱の[JIS Z 1507 コード番号:0201]形式の底構造と同様であり、各側面部21a~21dの下縁に押罫線等の下折曲線29を介して折曲可能に延設された四つの底面部構成片23a~23d同士を外フラップと内フラップの如くに折り重ねて粘着テープで接合したものであり、要は底が抜けない状態が維持できればどのような構造であってもよい。
【0025】
[2-2.中箱]
前記中箱30は、四方を囲う側板31a~31dと、その上を覆う天板32と、下を覆う底板33と、からなり、図3の展開図に示したように、[JIS Z 1507 コード番号:0201]に分類される周知の段ボール箱である。なお、図3の展開図において、34は縦罫線、35は横罫線、36は継ぎしろであり、底板33は例えば接着または図示しない粘着テープで閉じられ、また、天板32も例えば図示しない粘着テープで閉じられる。
中箱30は、図13に示した一梱包分(実施形態では22枚)の半数(同じく11枚)のタイルシートTSを梱包可能であって、前記外箱20の収容空間24の上半分を占める大きさに設定されている。
【0026】
[3.梱包方法]
次に、上記実施形態の梱包容器1によるタイルシートTSの梱包方法について説明する。
まず、外箱20の収容空間24の下側に、図1の想像線のように、タイルシートTSの一梱包分(22枚)の半数(11枚)を収容する。
次に、図4に示したように、前記外箱20内のタイルシートTSの上に、残りの半数分のタイルシートTSを梱包して天板32を粘着テープ(図示せず)で閉じた中箱30を載せるか、又は外箱20内のタイルシートTSの上に空の中箱30を置いてその中に半数分のタイルシートTSを詰めて図示しない粘着テープで天板32を閉じる。
次に、図5に示したように、ジョイント部28を備えた天面部構成片22b,22dを上折曲線27から折り曲げて中箱30の天板32上に内フラップ状に被せる。次に、その天面部構成片22b,22dの上に、図6に示したように、他の天面部構成片22a,22cを外フラップ状に被せて天面部22を構成し、それを図示しない粘着テープで固定する。
【0027】
こうして一梱包分のタイルシートTSを梱包した梱包容器1は、従来の一梱包分の梱包容器と大きさ・重量が殆ど同じであるため、従来どおりの輸送コストで輸送することができる。
【0028】
なお、梱包容器1の内部は、図7の断面図に示したように、外箱20の収容空間24の下側に一梱包分の半数のタイルシートTSが収容され、残りのタイルシートTSが中箱30に梱包された状態で収容されている。
かかる梱包形態によれば、一つの段ボール箱だけの従来の梱包形態に比べて、中箱30に梱包されたタイルシートTSが外箱20でも護られて輸送時の安全性が向上することはもちろんであるが、外箱20の下側に収容されたタイルシートTSの輸送時の安全性も向上させることができる。何故なら、輸送過程でタイルシートTSが受ける衝撃は、主として荷台等への積み下ろしのために梱包容器1を上げ下げするとき生じうるが、外箱20の天面部22の下に中箱30の天板32があり、かかる段ボールの層状の重なりによって梱包容器1の上面の緩衝力がアップしているため、その上に載る他の梱包容器1の下半分の外箱20のみで囲われたタイルシートTSにも前記緩衝力アップの効果が及ぶためである。また、梱包容器1を積み下ろしするとき、下の梱包容器1の上角と、上にある梱包容器1の下角とが衝突しやすいが、このときも下の梱包容器1の上半分が中箱30と外箱20により二重の緩衝性能を発揮するため、ここに別の梱包容器1の下半分が衝突しても、その中にあるタイルシートTSが受ける衝撃も緩和される。
このようにタイルシートTSを梱包した中箱30を外箱20の上半分に配置して梱包容器1の上半分のみを二重化しただけで、外箱20の下半分に収容したタイルシートTSの輸送時の安全性をも向上させることができるため、梱包容器の全体を二重化してタイルシートの安全性を高める場合に比べて、段ボールを節約することができる。
【0029】
次に、トラック等の荷台から現場に下ろされた梱包容器1を建築中の建物の高所に運ぶ場合について説明する。
まず、梱包容器1を目的の場所に運ぶ前に、外箱20の天面部22を全て開く。そうすると図4のように外箱20の上半分にすっぽり嵌まり込んだ状態の中箱30が現れる。かようにすっぽり嵌まり込んだ中箱30を手で引き上げようとしても取っ掛かりがなく困難なため、側面部21a~21dを外方に引っ張って分離補助線26を強制的に破断させる。そして、側面部21a~21dの上半分を折曲補助線25に沿って外側に折り曲げると、あたかも果実の皮を剥いて実を取り出すがごとく、簡単に中箱30を取り出すことができる。
【0030】
次に、図9に示したように、中箱30を外箱20から取り出して近くに置き(もちろん、他の作業員がこれを受け取って、直ぐさま次の場所に運び始めてもよい。)、続けて外箱20の側面部21a,21cを折曲補助線25に沿って内向きに折り曲げて、側面部21a,21cの上半分と天面部構成片22a,22cを外箱20の下側に収容したタイルシートTSの上に内フラップ状に載せる。このとき天面部構成片22a,22cの先端から側面部21a,21cの折曲補助線25までの距離が、同方向に向かう天面部22の一辺の長さ以下になっているため、天面部構成片22a,22c同士を収まりよく重ね合わせることができる。なお、天面部構成片22a,22cは、どちらを上にしても構わない。
【0031】
次に、図10に示したように、外箱20の側面部21dを折曲補助線25を中心に内向きに折り曲げて、側面部21dの上半分と天面部構成片22dを先の天面部構成片22a,22cの上に外フラップ状に被せる。このとき天面部構成片22b,22dの差込み片28bを線状開口部28aに差し込み、その両横を押え片28cで押さえてジョイント部28を係合させれば、図11図12に示したように、外箱20と中箱30がほぼ同じサイズに揃うため、タイルシートTSが入った梱包容器1を、ほぼ半分の軽さにして運ぶことができる。これにより、体力が低下した高齢の作業員でも重いタイルシートTSを無理なく運搬することができるため、人手不足による若い作業員の減少を補うことができる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では外箱20の底の構成や、中箱30の構成として、[JIS Z 1507 コード番号:0201]形式を採用したが、箱の形式はどのようなものであってもよい。
また、実施形態では、一梱包分のタイルシートTSが22枚であり、その半数を中箱30に収容したが、一梱包分が「21枚」のような奇数である場合、小数点以下を切り上げ又は切り捨ててほぼ半数に分ければよい。
また、実施形態では、外箱20の側面部21a~21d同士の境界部分を切り離して高さの中間位置から折り曲げうるように構成したが、外箱20の側面部21a~21dの境界部分の分離補助線26と高さの中間位置に設けた折曲補助線25を設けなくとも、外箱20から中箱30を一時的に抜き出して両者を別々に運搬し、保管場所に到達してから外箱20の上半部に中箱30を戻すようにしてもよい。もっとも、実施形態のように、中箱30と外箱20に分けて1/2サイズで最終的に保管するようにした場合には、タイルシートTSを作業工程に応じて実際の施工場所まで移動させる場合でも持ち運びが容易になる点でより好ましい。
また、実施形態では、外箱20の一対の天面部構成片22b,22dにジョイント部28を設けたが、このようなジョイント部28を設けずに市販の粘着テープ等で結合するようにしてもよい。もっとも、天面部構成片22b,22dにジョイント部28を設けた場合には、外箱20による再梱包が道具不要で簡単且つ場所を選ばず行え、さらにはジョイント部28の絡まりにより天面部22に適宜な面方向の弾性ができてタイルシートTSが破損しにくくなる点でより好ましい。
【符号の説明】
【0033】
T …タイル
TS …タイルシート
1 …梱包容器
20 …外箱
21a~21d …側面部
22 …天面部
22a~22d …天面部構成片
23 …底面部
24 …収容空間
25 …折曲補助線
26 …分離補助線
28 …ジョイント部
30 …中箱
31a~31d …側板
32 …天板
33 …底板
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