(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061703
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】印刷機におけるノンストップ給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/30 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B65H1/30 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169807
(22)【出願日】2020-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月30日に佐川印刷株式会社(京都府日向市森本町戌亥5番地の3)に販売
(71)【出願人】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】籔根 秀明
(72)【発明者】
【氏名】温田 健介
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB05
3F343FC29
3F343GA01
3F343GB01
3F343GE02
3F343GE04
3F343GE09
3F343GE17
3F343GE20
3F343HA33
3F343KB03
3F343KB20
3F343LA13
3F343MA09
3F343MA33
3F343MB04
3F343MB12
3F343MC06
(57)【要約】
【課題】精度よくフォークを溝に位置決めできる印刷機におけるノンストップ給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙中に一対のセンサS1,S1がパレット3の2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出可能となる高さ位置で一対のセンサS1,S1が2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出した状態となるようにフォークユニット7を前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、フォークユニット7を駆動制御するための制御部を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を積載したパレットを給紙位置まで上昇させる昇降可能な昇降台と、給紙中に前記パレットの上面に形成された前後方向に延びる複数の溝に挿入して該パレット上の紙を支持すべく複数のフォークを前後方向に移動可能で、かつ、該複数のフォークで該パレット上の紙を支持した状態で給紙に連動して上昇するように構成されたフォークユニットと、該フォークユニットに設けられ、前記パレットの複数の溝のうちの少なくとも2つの溝を検出するための少なくとも一対のセンサと、を設け、
前記給紙中に前記一対のセンサが前記パレットの2つの溝をそれぞれ検出可能となる高さ位置で前記一対のセンサが2つの溝をそれぞれ検出した状態となるように前記フォークユニットを前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御するための制御部を備えていることを特徴とする印刷機におけるノンストップ給紙装置。
【請求項2】
前記一対のセンサは、前記溝に対して前記フォークが出退する出退エリアの外側に設けられ、かつ、前記溝における幅方向の中心に向けて検出範囲が形成されるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機におけるノンストップ給紙装置。
【請求項3】
前記一対のセンサのうち、一方のセンサが、前記2つの溝のうちの一方の溝の幅方向一方側又は他方側に配置され、かつ、他方のセンサが、前記2つの溝のうちの他方の溝の幅方向他方側又は一方側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷機におけるノンストップ給紙装置。
【請求項4】
前記パレットの幅方向両側面のうちの少なくとも一方の側面に対向するように距離センサを更に備え、前記制御部は、前記一対のセンサが2つの溝を検出した状態となるように、前記フォークユニットを前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御する第1制御手段と、前記距離センサから検出された距離情報に基づいて前記フォークユニットを幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御する第2制御手段と、を切り替える切替手段を備えていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の印刷機におけるノンストップ給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙により紙が無くなる前に紙の補充が機械を停止せずに行える印刷機におけるノンストップ給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ノンストップ給紙装置は、紙を積載したパレットを昇降台で給紙位置まで上昇させて印刷を行い、この印刷中に所定量まで減少したパレット上の紙の下面に、複数のフォークを挿入して該紙を支持させる。そして、複数のフォークで支持した状態で給紙を継続しつつ、下降させた昇降台に新たな紙を積載したパレットをセットしてから、昇降台を上昇させる。上昇させた昇降台の新たな紙の上面が、給紙中の紙の下面に接近すると、前記複数のフォークを抜いて給紙中の紙に新たな紙をドッキングさせることで、機械を停止させることなく、紙の補充を行うことができる。
【0003】
前記パレットの上面には、前記複数のフォークに対応した前後方向に延びる複数の溝が形成され、紙を補充する際には、該複数の溝に向かって複数のフォークを抜き差しすることになる。ところで、昇降台に紙を積載したパレットをセットする際には、左右方向(幅方向)の位置がばらついてしまうことがある。また、パレットに対する紙の積載位置がばらつくことがある。さらに、給紙に伴って、昇降台上のパレットの左右方向の位置が調整されることもある。このため、溝にフォークを挿入する際には、センサでパレットの左右方向の位置を検出し、その検出情報に基づいてパレットの溝にフォークが合うように複数のフォークを備えるフォークユニットを左右方向に移動させている。
【0004】
例えば特許文献1では、パレットを構成する紙積板の前面に被検出部(マーカー)を取り付け、フォークユニットに被検出部を検出可能な一対の光電センサを設けて、複数のフォークを溝に挿入する際に、一対の光電センサからの検出情報に基づいて、フォークユニットを左右方向に移動させることで、複数のフォークを溝に対して位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、パレットへの被検出部の取付位置が所定の位置からずれてしまっている場合に、フォークを溝に精度よく位置決めすることができず、フォークを溝に挿入することができない恐れがあった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、精度よくフォークを溝に位置決めできる印刷機におけるノンストップ給紙装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置は、紙を積載したパレットを給紙位置まで上昇させる昇降可能な昇降台と、給紙中に前記パレットの上面に形成された前後方向に延びる複数の溝に挿入して該パレット上の紙を支持すべく複数のフォークを前後方向に移動可能で、かつ、該複数のフォークで該パレット上の紙を支持した状態で給紙に連動して上昇するように構成されたフォークユニットと、該フォークユニットに設けられ、前記パレットの複数の溝のうちの少なくとも2つの溝を検出するための少なくとも一対のセンサと、を設け、前記給紙中に前記一対のセンサが前記パレットの2つの溝をそれぞれ検出可能となる高さ位置で前記一対のセンサが2つの溝をそれぞれ検出した状態となるように前記フォークユニットを前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御するための制御部を備えていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、給紙中に一対のセンサがパレットの2つの溝をそれぞれ検出可能となる高さ位置でパレットの溝をセンサが検出することによって、フォークをパレットの溝に挿入する直前にフォークユニットを前後方向と直交する幅方向に移動させるので、フォークをパレットの溝に挿入する時点で溝に対するフォークの位置が変更されていることがなく、フォークを溝に確実に挿入することができる。しかも、パレットの2つの溝を一対のセンサがそれぞれ検出するので、溝を精度よく検出することができ、フォークを溝に確実に挿入することができる。
【0010】
また、本発明に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置は、前記一対のセンサが、前記溝に対して前記フォークが出退する出退エリアの外側に設けられ、かつ、前記溝における幅方向の中心に向けて検出範囲が形成されるように設けられていてもよい。
【0011】
上記のように、センサを溝に対してフォークが出退する出退エリアの外側に設けることによって、センサにフォークが接触するようなことがない。しかも出退エリアの外側に設けられたセンサを溝の中心に向けて出射するように設けることによって、溝を確実に検出することができる。
【0012】
また、本発明に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置は、前記一対のセンサのうち、一方のセンサが、前記2つの溝のうちの一方の溝の幅方向一方側又は他方側に配置され、かつ、他方のセンサが、前記2つの溝のうちの他方の溝の幅方向他方側又は一方側に配置されていてもよい。
【0013】
上記のように、一対のセンサのうち、一方のセンサが、2つの溝のうちの一方の溝の幅方向一方側又は他方側に配置され、かつ、他方のセンサが、2つの溝のうちの他方の溝の幅方向他方側又は一方側に配置されていれば、一対のセンサで2つの溝をそれぞれ検出する際に、2つの溝に対して一対のセンサが左右方向(幅方向)の一方(例えば左側)又は他方(例えば右側)に位置ずれしていることを把握することができ、溝の検出精度を高めることができる。
【0014】
また、本発明に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置は、前記パレットの幅方向両側面のうちの少なくとも一方の側面に対向するように距離センサを更に備え、前記制御部は、前記一対のセンサが2つの溝を検出した状態となるように、前記フォークユニットを前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御する第1制御手段と、前記距離センサから検出された距離情報に基づいて前記フォークユニットを幅方向に移動させるべく、該フォークユニットを駆動制御する第2制御手段と、を切り替える切替手段を備えていてもよい。
【0015】
上記のように、第1制御手段と第2制御手段とを切り替えるようにしておけば、一方の制御手段のセンサの破損やセンサの誤検出等が発生した場合に、他方の制御手段に切替ることで直ちに給紙を再開することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フォークをパレットの溝に挿入する直前にパレットの2つの溝を一対のセンサがそれぞれ検出することによって、精度よくフォークを溝に位置決めできる印刷機におけるノンストップ給紙装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のノンストップ給紙装置の概略縦断側面図である。
【
図2】同ノンストップ給紙装置の要部の概略縦断側面図である。
【
図3】同ノンストップ給紙装置を構成する昇降部を後側から見た概略斜視図である。
【
図4】フォークユニットのフォーク支持部を前側から見た概略斜視図である。
【
図5】フォークユニットのフォーク部の概略平面図である。
【
図7】
図5におけるVII-VII線断面図である。
【
図8】フォークユニットの複数のフォークの退避位置から突出位置への移動を説明するための概略平面図である。
【
図10】
図9のフォークユニットがパレットに対して一方側(左側)に位置ずれした状態を示す概略平面図である。
【
図11】複数のフォークをパレットの複数の溝に挿入する直前の状態を示す平面図である。
【
図12】複数のフォークをパレットの複数の溝に挿入した状態を示す平面図である。
【
図13】パレットを下降して複数のフォークで紙を支持した状態を示す平面図である。
【
図14】新たな紙を積層したパレットを上昇させてから複数のフォークを抜いた状態の平面図である。
【
図15】パレットの側面との距離を検出する距離センサを配置した昇降部の斜視図である。
【
図16】
図15の距離センサの取付構造を後側から見た要部の背面図である。
【
図17】
図15の距離センサの取付構造を横から見た要部の側面図である。
【
図18】フォークユニットの駆動を制御するための制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、ノンストップ給紙装置を示している。このノンストップ給紙装置により給紙された紙は、図示していない印刷ユニットに移送されて印刷される。
【0020】
図1に示すように、ノンストップ給紙装置1は、新たな紙2を載置した補充用のパレット3を一時的に待機させる待機部4と、パレット3に載置された紙を給紙位置まで上昇させて給紙を行う昇降台5を備える昇降部6と、給紙中の紙の残数が所定枚数になった時点で紙の補充を行うためにパレット3上の紙を支持するフォークユニット7と、フォークユニット7を構成する後述する複数のフォーク71で紙を支持した状態で昇降台5を下降させて空のパレット3を退避させる退避部8と、空のパレット3を退避部8に退避してから待機部4の補充用のパレット3を昇降台5へ移送するコロコンベア9と、を備えている。尚、給紙位置まで昇降台5が上昇すると、図示していない吸引装置により最上部の紙から一枚ずつ吸引されてフィーダーボード10へ供給されて印刷ユニット(図示せず)に移送される。
【0021】
パレット3は、例えば合成樹脂で成形され、
図15に示すように、後述する複数(この実施形態では、10本)のフォーク71に対応した前後方向に延びる複数(10個)の溝(凹部)31Aが形成された本体部31と、該本体部31の下面に両面テープにより貼り合わされる支持部32とから構成されている。左右方向で隣り合う溝31A,31Aの間隔は、左右方向中央部側に位置する溝同士ほど大きく設定されているが、同一間隔であってもよい。溝31Aの幅の大きさは、フォーク71の幅よりも大きく設定されている。また、各溝31Aは、同一深さでかつ前後方向に同一幅の大きさの溝から構成され、各溝31Aの前後方向(長手方向)両端部のそれぞれに、他の部分よりも斜め外側に面取り状に広がった幅広部31a(
図12参照)を備えている。
【0022】
コロコンベア9は、
図1に示すように、ケーシング9Bと、該ケーシング9Bに左右方向(幅方向)の軸心回りに回転自在に取り付けられた多数のコロ9Aと、を備えている。コロ9Aは、前後方向に1列に並べられた複数のコロ9Aが
図1の紙面を貫通する左右方向(幅方向)に間隔を置いて2つの列をなして配置されている。コロコンベア9は、待機部4から退避部8までの間に、複数台(
図1では3台)設けられている。前後両端に位置するコロコンベア9,9は、同一構成であるが、前後方向中央に位置するコロコンベア9が、他のコロコンベア9,9よりも搬送方向の長さが長く、昇降台5の下降時にコロ9Aよりも下降する昇降台5と接触しないように昇降部6に位置するコロ9Aを一部省いている。したがって、待機部4から昇降部6まで人手により補充用のパレット3をコロコンベア9で移送する。また、紙を補充する時に昇降台5を最下降位置まで下降させた時の空のパレット3を人手により退避部8までコロコンベア9で移送する。
【0023】
昇降部6には、
図2及び
図3に示すように、4つの角部から上方に立設した支持部材11,12,13,14と、前側の左右の支持部材11,12の上端から後方に延びて後側の支持部材13,14に連結される第1連結部材15,16と、第1連結部材15,16の上端部の前端部同士及び後端部同士を左右方向で連結する第2連結部材17,18と、からなる枠部19と、枠部19に設けられ、昇降台5を昇降させる昇降機構20(
図3参照)と、枠部19に設けられ、フォークユニット7を昇降させる補助昇降機構21(
図2参照)と、を備えている。
【0024】
昇降台5は、
図3に示すように、パレット3を載置する左右方向に長い長方形状の板部61と、板部61を支持し、かつ、4つの支持部材11,12,13,14に備えるガイド部(図示せず)に昇降自在に取り付けられる支持部62と、を備えている。支持部62は、左右一対の第1支持部62A,62Bと、左側の第1支持部62Aと右側の第1支持部62Bとを左右方向で連結する前後一対の第2支持部62C,62Dと、を備えている。第1支持部62A,62Bそれぞれの前後方向両端部が、支持部材11,12,13,14に備えるガイド部(図示せず)に昇降自在に取り付けられている。
【0025】
昇降機構20は、昇降台5を上下方向に移動案内すべく、4つの支持部材11,12,13,14に備えるガイド部(図示せず)と、昇降台5を構成する左右一対の第1支持部62A,62Bの前端部及び後端部に一端が連結される4本のチェーン22(
図2では一方のみ図示し、
図3では4本示している)と、4本のチェーン22を駆動する電動モータ23(
図3参照)と、を備えている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、第1支持部62A,62Bの後端部に一端が連結された各チェーン22の他端側は、上方に立ち上げられて第1連結部材15,16の後端部にそれぞれ取り付けられた第1スプロケット24,24に巻回されてから、前側の支持部材11,12の上部にそれぞれ取り付けられた第2スプロケット25,25に巻回されて下方へ垂下され、その下端にウェイト26,26(
図2参照)が連結されている。また、第1支持部62A,62Bの前端部も後端部と同様であるため、説明は省略する。そして、合計4個の第2スプロケット25が一体回転するように左右方向に延びる連結棒27により連結されており、4個の第2スプロケット25が電動モータ23の駆動により一方に回転されて、4本のチェーン22が上方へ巻き上げられる。これにより昇降台5が上方へ移動する(上昇する)。また、4個の第2スプロケット25が電動モータ23の駆動により他方に回転されて、4本のチェーン22が下方へ送り出される。これにより昇降台5が下方へ移動する(下降する)。
【0027】
補助昇降機構21は、
図2に示すように、フォークユニット7を構成する後述のフォーク支持部72を上下方向に移動案内するガイド部(2点鎖線で図示)と、後述のフォーク支持部72に対して出退する後述の多数のフォーク71が突出位置に突出したときに、全てのフォーク71の先端部を支持するために後側の左右の支持部材13,14間に渡されたガイド部材28と、ガイド部材28の両端部を保持する一対の昇降部材29,29と、各昇降部材29に一端が連結される左右一対のフォーク用チェーン30,30(
図2では一方のチェーンのみ図示している)と、フォーク支持部72の後端部に一端が連結される左右一対のフォーク支持部用チェーン74,74と、これら4本のチェーン30,30,74,74を駆動する電動モータ40(
図3参照)と、を備えている。
【0028】
昇降部材29,29に一端が連結されたフォーク用チェーン30,30の他端は、
図2に示すように、上方に立ち上げられて第1連結部材15の後端部に取り付けられた第3スプロケット41に巻回されてから、前側の支持部材11,12の上部に取り付けられた第4スプロケット42,42に巻回されて下方へ垂下され、その下端にウェイト43が連結されている。また、フォーク支持部72の前端部に一端が連結された左右一対のフォーク支持部用チェーン74,74も前記昇降部材29側のフォーク用チェーン30と同様であるため、説明を省略する。そして、合計4個の第4スプロケット42が一体回転するように左右方向に延びる連結棒44により連結されており、4個の第4スプロケット42が電動モータ40(
図3参照)の駆動により一方に回転されて、上記4本のチェーン30,30,74,74が上方へ巻き上げられる。これによりフォークユニット7のフォーク支持部72と昇降部材29,29が上方へ移動する(上昇する)。また、4個の第4スプロケット42が電動モータ40の駆動により他方に回転されて、上記4本のチェーン30,30,74,74が下方へ送り出される。これによりフォークユニット7のフォーク支持部72と昇降部材29,29が下方へ移動する(下降する)。
【0029】
フォークユニット7は、フォーク支持部72に支持されるフォーク部73を備える。フォーク部73は、多数(
図5では10本)のフォーク71を備えており、該フォーク71をフォーク支持部72から後方へ突出した突出位置と突出位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されている。フォーク71は、同一幅(左右幅)の板状で前後方向に長い寸法に構成され、しかも溝31Aへの挿入を容易に行えるように先端部の上下の厚みが他の部分よりも薄くなっている。
【0030】
多数のフォーク71は、
図5に示すように、前端部側において左右方向で連結されて前後方向に一体的に移動可能に構成されている。多数のフォーク71のうちの左右方向両端に位置するフォーク71,71が、該フォーク71,71よりも左右方向外側に設置されたチェーン45,45に連結部材46,46を介して連結されている。チェーン45,45は前後に離間したスプロケット間に掛け渡されており、チェーン駆動用モータ47によって周回可能に構成されている。このチェーン駆動用モータ47を
図2において時計回りに駆動回転することによって、連結部材46,46を後方側へ移動させる。これにより、全てのフォーク71を退避位置から突出位置へ移動させることができる。また、突出位置の全てのフォーク71を退避位置へ移動させる場合には、チェーン駆動用モータ47を
図2において反時計回りに駆動回転することによって、連結部材46,46を前方側へ移動させる。これにより、全てのフォーク71を突出位置から退避位置へ移動させることができる。
【0031】
ところで、昇降台5に紙を積載したパレット3をセットする際には、左右方向(幅方向)の位置がばらついてしまうことがある。また、パレットに対する紙の積載位置がばらつくことがある。さらに、給紙に伴って、昇降台5上のパレット3の左右方向の位置が調整されることもある。このため、パレット3の溝31Aにフォーク71を挿入する際には、後述するセンサS1,S1でパレット3の2つの溝31A,31Aの位置を検出し、その検出情報に基づいてパレット3の溝31Aにフォーク71が合うようにフォークユニット7のフォーク部73を左右方向に移動させる左右移動機構を備えている。
【0032】
左右移動機構は、
図4~
図7に示すように、フォーク支持部72の前端部に配置された前側ラック49(
図4参照)と、後端部に配置された2つの後側ラック50,50(
図4参照)と、これらラック49,50,50にそれぞれ噛み合う3個のピニオン51,52,52(
図6、
図7参照)と、該ピニオン51,52,52のうちの1つのピニオン52を回動させるための電動モータ53(
図5、
図6参照)と、を備えている。
【0033】
後側のラック50,50は、断面形状が矩形状で、かつ、下面に歯部が形成されるとともに、フォークユニット7のフォーク支持部72の左右方向全域に亘る後側板54(
図4参照)の前面の2箇所、つまり後側板54の左右方向中央部と、左右方向左側部とに設けられている。前記後側板54の左右方向中央部に設けられたラック50に噛み合うピニオン52が電動モータ53の駆動軸53A(
図6参照)に一体回転するように取り付けられている。また、前側のラック49(
図4参照)は、断面形状が矩形状で、かつ、下面に歯部が形成されるとともに、フォークユニット7のフォーク支持部72の左右方向全域に亘る長さに構成されている。
【0034】
前記電動モータ53に取り付けられたピニオン52以外のピニオン51,52は、前記電動モータ53の駆動軸53Aと同一高さ方向位置で左右方向両側の2箇所に、前後方向に延びるとともに回転可能に支持されたボールスプライン55,55(
図5参照)のうちの一方のボールスプライン55の前後端部のそれぞれに取り付けられている。図示していないが、他方のボールスプライン55の前側端部には、ラック49に噛み合うピニオンが取り付けられている。したがって、電動モータ53の駆動軸53Aを一方向に回転させることにより、フォーク部73をフォーク支持部72に対して左右方向一方側へ移動させることができ、また電動モータ53の駆動軸53Aを一方向と反対の他方向に回転させることにより、フォーク部73をフォーク支持部72に対して左右方向他方側へ移動させることができる。
【0035】
図8~
図10に示すように、フォークユニット7のフォーク部73の後端部に備えるプレート56の左右方向中央部の後面に、左右一対のセンサS1,S1が、ブラケット57を介してそれぞれ取り付けられている。一対のセンサS1,S1は、光軸がパレット3の溝31Aの高さ方向中間部の高さ位置でかつ該溝31Aの底面と平行な発光部と、該発光部から発光されて反射してきた光を受光する受光部とを備えた光電式のセンサから構成され、パレット3の左右方向中央部に位置する2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出するように配置されている。また、一対のセンサS1,S1は、溝31A,31Aに対してフォーク71,71が出退する出退エリアEの外側に設けられ、かつ、溝31A,31Aの幅方向の中心に向けて検出範囲K1、K1が形成されるように設けられている。詳述すれば、左右一対のセンサS1,S1のうち、左側(
図9の紙面下側)のセンサS1が、左側の溝31Aの幅方向右側に配置され、かつ、右側(
図9の紙面上側)のセンサS1が、右側の溝31Aの幅方向左側に配置され、かつ、いずれも斜め外側に向けて光を出射(照射)している。
【0036】
一対のセンサS1,S1は、
図18に示すように、制御部58に接続されており、一対のセンサS1,S1の発光部から照射された光をいずれのセンサS1,S1の受光部も受光しなかった場合に、制御部58は、2つの溝31A,31Aを検出したと判断する。また、
図10に示すように、一対のセンサS1,S1からの光が照射された光を少なくとも一方のセンサS1が受光すると、制御部58は、少なくとも1つの溝31Aを検出していない、つまり他方(左側)のセンサS1が他方側(左側)の溝31Aの右側の壁面(前記幅広部31a)に当たって隣り合う溝31A,31A間の凸部33を検出していると判断する。この場合には、制御部58は、センサS1,S1が溝31A,31Aに対して右側に位置ずれしていると判断し、左側のセンサS1が溝31Aを検出するまで前記電動モータ23を駆動して
図10の矢印の方向(左方向)へフォークユニット7のフォーク部73を移動させる。前記のように、いずれのセンサS1,S1も出退エリアEに対して内側の位置、つまり隣り合う溝31A,31A間の凸部33に近い側の位置に配置されているので、一対のセンサS1,S1で2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出する際に、2つの溝31A,31Aに対して一対のセンサS1,S1が左右方向(幅方向)の一方(左側)又は他方(右側)に位置ずれしていることを把握することができ、溝31A,31Aの検出精度を高めることができる。
【0037】
前記のように構成されたノンストップ給紙装置1により給紙中に紙が所定量まで減少した時に、紙の補充を行う手順について説明する。
【0038】
まず、印刷が開始されると、紙2が積載されたパレット3を昇降台5で給紙開始位置まで上昇させる。昇降台5が給紙開始位置まで上昇すると、吸引装置(不図示)により最上部の紙から1枚ずつ吸引されてフィーダーボード10へ供給されて印刷機に移送される。
【0039】
パレット3上の紙が減ることに伴い昇降台5が上昇され、昇降台5が所定位置(例えばフォークユニット7のフォーク71の最下降位置)まで上昇すると、制御部58は紙の補充が必要であると判断する。続いて、制御部58は、一対のセンサS1,S1が昇降台5上のパレット3の2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出可能となる高さ位置にパレット3が位置しているか否かを図示していないセンサからの情報に基づいて判断する。パレット3が位置している場合には、パレット3の2つの溝31A,31Aを検出する。また、パレット3が位置していない場合、つまりパレット3がフォークユニット7のフォーク71の最下降位置よりも高い位置である場合には、フォークユニット7を上昇させてパレット3の高さ位置に一対のセンサS1,S1の高さ位置を一致させてからパレット3の2つの溝31A,31Aを一対のセンサS1,S1で検出する。パレット3の2つの溝31A,31Aを検出した時の情報に基づいて、制御部58がパレット3の2つの溝31A,31Aに対して2本のフォーク71,71が位置ずれしているか否かを判断する。位置ずれしている場合には、位置ずれを解消するように電動モータ53を駆動してフォークユニット7のフォーク部73を左右方向に移動させる(
図11参照)。位置ずれが解消すると、全てのフォーク71を対応する溝31Aに挿入すべく、すなわち、フォーク71を退避位置から突出位置へ移動させるべくチェーン駆動用モータ47を駆動する。
【0040】
図12に示すように、溝31Aへのフォーク71の挿入が完了すると、昇降台5を下降させることで複数のフォーク71で紙2を支持させ、給紙を継続する(
図13参照)。昇降台5が最下降位置まで下降すると、ランプやブザー等の報知手段により作業者に紙の補充が必要であることを知らせる。作業者は、下降させた昇降台上の空のパレット3を退避部8に移動させた後、新たな紙2を積載したパレット3を待機部4から昇降部6まで移動させる。移動が完了すると、昇降台5を紙2を支持している複数のフォーク71まで上昇させる。昇降台5の上昇後に、チェーン駆動用モータ47を駆動して複数のフォーク71を紙2から抜くことにより、昇降台5に載置したパレット3の紙2と複数のフォーク71で支持していた紙2とを上下方向でドッキングして紙の補充が完了する(
図14参照)。尚、
図14では、上方の紙2とドッキングした下方の紙2とを分かりやすくするために水平方向での位置をずらして描いている。尚、突出位置にあるフォーク71の先端部は、ガイド部材28によって支持されている(
図8参照)。
【0041】
本実施形態に係る印刷機におけるノンストップ給紙装置では、
図15~
図17に示すように、更に、昇降台5の左右両端にパレット3の本体部31の左右方向(幅方向)両側面に対向するように左右一対の距離センサS2,S2を配設している。左右一対の距離センサS2,S2は、レーザー光が側面に照射され、側面を反射してきた反射光を受光して距離を測定するレーザーセンサから構成されている。そして、これら距離センサS2,S2うちの一方の第1距離センサS2が検出した第1距離と他方の第2距離センサS2が検出した第2距離との差を求め、その差の1/2の距離だけフォークユニット7のフォーク部73を前記電動モータ53の駆動により左右方向一方側へ移動させることによって、複数のフォーク71と複数の溝31Aとが一致させることができるように構成されている。
【0042】
左右一対の距離センサS2,S2は、
図16及び
図17に示すように、昇降台5を構成する左右一対の第1支持部62A,62B(
図16と
図17では一方のみ図示)に固定されている。距離センサS2,S2の固定構造は、左右同様であるため、一方のみ説明する。上記固定構造は、一方の第1支持部62Bの前後方向略中央部に固定される第1ブラケット80と、該第1ブラケット80に立設される前後一対の支柱81,81と、支柱81,81の上端部にボルト82,82(
図16参照)で固定されるL型の第2ブラケット83と、該第2ブラケット83の水平部83Aの一端から上方に立ち上げられた立ち上げ部83Bに水平部84Aの後端から下方に垂下した立ち下り部84Bを重ね合わせてボルト85により固定されるL型の第3ブラケット84(
図16参照)と、を備え、第3ブラケット84の水平部84Aの上面に距離センサS2が設置されている。このように設置された距離センサS2のレーザー光は、パレット3の本体部31の上下方向略中央部に照射される。
図15に示す符号86は、電気ケーブル類を収容するケーブルベア(登録商標)である。
【0043】
この実施形態では、2つの距離センサS2,S2を設けることによって、パレット3の外形寸法の誤差があった場合でも、パレット3の左右方向の中心位置と複数のフォーク71の左右方向中心位置とを常に一致させることができる。また、距離センサS2,S2が、昇降台5に取り付けているため、昇降台5と一緒に昇降する。これにより、前述した溝31AをセンサS1で検出する場合に、センサS1の高さ位置とパレット3の高さ位置とを一致させるようにフォークユニット7のフォーク支持部72及びフォーク部73を上昇させることが不要になる。
【0044】
図18に示すように、制御部58は、一対のセンサS1,S1が2つの溝31A,31Aを検出した状態となるように、フォークユニット7のフォーク部73を前後方向と直交する幅方向に移動させるべく、フォークユニット7の電動モータ53を駆動制御する第1制御手段87と、距離センサS2,S2から検出された距離情報に基づいてフォークユニット7のフォーク部73を幅方向に移動させるべく、フォークユニット7の電動モータ53を駆動制御する第2制御手段88と、を切り替える切替手段89を備えている。例えば、スイッチの切替操作によって、第1制御手段87と第2制御手段88とを切り替えるようにしておけば、一方の制御手段(第1制御手段87又は第2制御手段88)のセンサS1又はS2の破損やセンサS1又はS2の誤検出等が発生した場合に、他方の制御手段(第2制御手段88又は第1制御手段87)に切替ることで直ちに給紙を再開することができる。また、制御部58は、フォーク71を退避位置と突出位置との間で前後方向に移動させるべく、チェーン駆動用モータ47を駆動制御する。
【0045】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
前記実施形態では、パレット3の2つの溝31A,31Aをそれぞれ検出する一対のセンサS1,S1を設けたが、3つ以上の任意の個数の溝を検出してもよい。この場合、検出する溝の個数と同数のセンサを用意することになる。
【0047】
また、前記実施形態では、パレット3の両側面との距離を検出する一対のセンサS2,S2を設けたが、パレット3の一側面との距離を検出する一方のセンサのみを設けて実施してもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、作業員が、空のパレット3を退避部8へ退避させる作業と、待機部4の補充用のパレット3を昇降台5へ移送する作業とを行うようにしたが、アクチュエータの動力を用いて自動で行えるようにしてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、左側のセンサS1を、左側の溝31Aの幅方向右側に配置し、かつ、右側のセンサS1を、右側の溝31Aの幅方向左側に配置したが、左側のセンサS1を、左側の溝31Aの幅方向左側に配置し、かつ、右側のセンサS1を、右側の溝31Aの幅方向右側に配置してもよい。すなわち、一対のセンサS1,S1のうち、一方のセンサS1が、前記2つの溝31A,31Aのうちの一方の溝31Aの幅方向一方側又は他方側に配置され、かつ、他方のセンサS1が、前記2つの溝31A,31Aのうちの他方の溝31Aの幅方向他方側又は一方側に配置されていればよい。この場合、一対のセンサS1,S1のそれぞれを、溝31Aにおける幅方向の中心に向けて検出範囲が形成されるように配置することになる。
【0050】
また、前記実施形態では、センサS1をそれの発光部の光軸がパレット3の溝31Aの底面と平行となるように配置したが、光軸が斜め下方に傾いた状態になるようにセンサS1を配置してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ノンストップ給紙装置、2…紙、3…パレット、4…待機部、5…昇降台、6…昇降部、7…フォークユニット、8…退避部、9…コロコンベア、9A…コロ、9B…ケーシング、10…フィーダーボード、11,12,13,14…支持部材、15,16…第1連結部材、17,18…第2連結部材、19…枠部、20…昇降機構、21…補助昇降機構、22…チェーン、23…電動モータ、24…第1スプロケット、25…第2スプロケット、26…バランスウェイト、27…連結棒、28…ガイド部材、29…昇降部材、30…フォーク用チェーン、31…本体部、31A…溝、31a…幅広部、32…支持部、33…凸部、40…電動モータ、43…バランスウェイト、44…連結棒、45…チェーン、46…連結部材、47…チェーン駆動用モータ、49,50…ラック、51,52…ピニオン、53…電動モータ、53A…駆動軸、54…後側板、55…ボールスプライン、56…プレート、57…ブラケット、58…制御部、61…板部、62…支持部、62A,62B…第1支持部、62C,62D…第2支持部、71…フォーク、72…フォーク支持部、73…フォーク部、74…フォーク支持部用チェーン、80…第1ブラケット、81…支柱、82…ボルト、83…第3ブラケット、83A…水平部、83B…立ち上げ部、84…第3ブラケット、84A…水平部、84B…立ち下り部、85…ボルト、86…ケーブルベア、87…第1制御手段、88…第2制御手段、89…切替手段、E…出退エリア、K1…検出範囲、S1,S2…センサ