(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061739
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】包装袋、およびそれを閉鎖する方法と治具
(51)【国際特許分類】
B65D 33/16 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B65D33/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169873
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大野 行雄
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA60
3E064BB01
3E064BB03
3E064EA30
3E064HM01
3E064HN11
(57)【要約】
【課題】包装袋の一端辺を閉鎖する咬止部の位置を自在に変えることができる包装袋、およびそれを閉じる治具を得る。
【解決手段】形状保持性能のあるフィルムからなる包装袋(1)の開口側端辺近傍で、前後のフィルムを咬み合わせる事によって閉鎖、又は、咬み合わせを解く事によって開封、を可能とする包装袋の閉鎖において、先端が曲面からなる嵌入部を有する挿入治具(5)と、挿入治具を包み込み抜き差し可能なU字溝からなる挿入溝部(41)と、U字溝の上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部(42)とを合わせ持つ包締治具(4)とし、前後のフィルムを重ね合わせた開口側端辺近傍のフィルムを、包締治具の挿入溝部内に、挿入治具で嵌入し、該嵌入部を包締治具の狭溝部にスライドして咬止し、溝方向にスライドして、咬止状態を保持し、閉鎖可能としたことを特徴とする包装袋の製造方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも形状保持性能のあるフィルムからなる包装袋の開口側端辺近傍で、
前と後のフィルムを咬み合わせる事によって閉鎖、又は、咬み合わせを解く事によって開封、を可能とする包装袋の閉鎖において、
一方は、先端が曲面からなる嵌入部を有する挿入治具とし、
他方を、上記嵌入部に包装袋を包み込んだ状態の挿入治具を差し込み可能なU字溝からなる挿入溝部と、U字溝上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部と、を合わせ持つ包締治具とし、
前と後のフィルムを重ね合わせた開口側端辺近傍の両フィルムを、包締治具の挿入溝部内に、挿入治具により嵌入し、
上記両フィルムの嵌入部を包締治具の狭溝部にスライドして、両フィルムを直線状に咬止し、挿入治具と包締治具から溝方向にスライドして抜いて、咬止状態を保持し、閉鎖可能としたことを特徴とする包装袋の製造方法。
【請求項2】
挿入部と包締部とが可動腕部によって連結し、挿入部が包装袋に一次曲面で包まれた状態で包締部に挿入、および、脱去を自在に行うことが可能な閉鎖治具であって、
挿入部は、先端が曲面からなる嵌入部を有し、
包締部は、可動腕部に対して異なる方向に伸びる溝からなり、該溝の一端は嵌入部に包装袋を包み込んだ状態の挿入治具を差し込み可能なU字溝からなる挿入溝部とし、他端をU字溝の上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部とし、挿入溝部から狭溝部に徐々に変化する傾斜溝部を経て繋がったこと特徴とする包装袋の閉鎖治具。
【請求項3】
少なくとも形状保持性能のあるフィルムからなる包装袋であって、
開口側端辺近傍で、前後のフィルムを開閉可能に咬み合わせるに、
重ねる両フィルムの一方が小ループを描いて飛び出し、
他方が該小ループを大ループで包んで包締し、
前と後の両フィルムが咬止することによって閉鎖可能したことを特徴とする包装袋。
【請求項4】
少なくとも前記形状保持性能のあるフィルムが、高密度ポリエチレン系樹脂層を含む積層体で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
少なくとも前記形状保持性能のあるフィルムが、高密度ポリエチレン系樹脂フィルムを含む積層フィルムであって、外側から、無延伸ポリプロピレン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層/特殊ポリオレフィン樹脂層/高密度ポリエチレン樹脂層/特殊ポリオレフィン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層/無延伸ポリプロピレン樹脂層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層の構成を含む共押出フィルムからなることを特徴とする請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
少なくとも前記形状保持性能のあるフィルムを構成する高密度ポリエチレン樹脂層が、一軸延伸した超延伸フィルムから構成されていることを特徴とする請求項4、又は5に記載の包装袋。
【請求項7】
少なくとも前記形状保持性能のあるフィルムが、オレフィン系樹脂にタルク、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムなどの無機物、あるいはパルプなどの有機繊維を含む混合物で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の包装袋。
【請求項8】
少なくとも前記形状保持性能のあるフィルムが、内部に鉛やアルミニウムなどの金属層を有する積層シートから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に開閉自在な機能を持つ包装袋、およびそれを閉じる為の方法と治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な包装袋は、その一端辺だけ未シール状態とし、その端辺部分を広げて内容物を充填し、充填後、上記一端辺をヒートシーラーで融着する。この為、開封するには、上記融着した一端辺の内側をハサミ等で切断し、開封していた。
しかし、一旦切断して開封した場合、残った内容物を保存する為に、再度シールして元の状態にすることは難しい。内容物が内面に付着し、それが内面同士を融着するのを阻害するからである。
【0003】
包装袋を開封後にも、再度閉鎖可能とする、開閉自在な機能を有する方法としては、包装袋の口元が細くなるよう締め付け、その口元に内部に金属の入った形状保持機能を有するラッピング帯を巻いて固定する方法や、上記締め付けて細くなった口元に、硬質の素材で出来た板状のクロージャ―を嵌めて固定する方法、上端辺をシールし、上端辺の端部のみ切断して開封し、その端部を折って閉鎖して、クリップで留める方法などがある。
しかし、ラッピング帯やクロージャ―、クリップは、別部品であることから紛失しやすい、などの問題があった。
【0004】
ここで、開封後にも、再度閉鎖可能とする、開閉自在な機能を有する包装袋としては、ジッパー付きの包装袋が知られている。
ジッパー付きの包装袋は、別工程で製造されたジッパーテープを製袋時に融着するだけで、容易にジッパー付きの包装袋を製造できる。
すなわち、向かい合う前フィルムと後フィルムの間に、ジッパーテープを挟み込むように融着させることで、開閉自在な包装袋を容易に得ることができる。
【0005】
このようなファスナー、あるいはジッパー付きの包装袋は、別工程で製造されたジッパーテープを製袋時に、向かい合う前フィルムと後フィルムの間に、ジッパーテープを挟み込むように融着させることで、開閉自在な包装袋を容易に得ることができる。
さらに、このパウチは、ジッパーを使用したパウチは形状保持性を有し、天シール部の内側に装着するので、開封した状態を維持し易い。
【0006】
しかしながら、このような包装袋は、一旦、ジッパーテープを融着すると、閉じる部分を変更することができない。たとえ、内容物が減少しても、大きな袋のまま、最後まで容量を変化させることができないので、内容物の酸化劣化を防ぐ為に内部の空気を抜くのに作業しにくい、内容物が少量になった時に注出しにくい、などの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、包装袋の一端辺を閉鎖するのに、咬止部の位置を自在に変えることができる方法と、包装袋、およびそれを閉じる治具を得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、
少なくとも形状保持性能のあるフィルムからなる包装袋の開口側端辺近傍で、
前と後のフィルムを咬み合わせる事によって閉鎖、又は、咬み合わせを解く事によって開封、を可能とする包装袋の閉鎖において、
一方は、先端が曲面からなる嵌入部を有する挿入治具とし、
他方を、上記挿入治具を包み込み抜き差し可能なU字溝からなる挿入溝部と、U字溝の上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部と、を合わせ持つ包締治具とし、
前と後のフィルムを重ね合わせた開口側端辺近傍の両フィルムを、包締治具の挿入溝部内に、挿入治具により嵌入し、
上記両フィルムの嵌入部を包締治具の狭溝部にスライドして、両フィルムを直線状に咬止し、挿入治具と包締治具から溝方向にスライドして抜いて、咬止状態を保持し、閉鎖可能としたことを特徴とする包装袋の製造方法である。
【0010】
本発明の包装袋の製造方法は、包装袋の端辺が、どの位置であっても、咬止させて、閉鎖できると共に、自在に開封可能である。しかも、輪ゴムや紐、ホッチキスの針、クリップ、など、留める専用の部材も必要としない。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、
挿入部と包締部とが可動腕部によって連結し、挿入部が包装袋に一次曲面で包まれた状態で包締部に挿入、および、脱去を自在に行うことが可能な閉鎖治具であって、
挿入部は、先端が曲面からなる嵌入部を有し、
包締部は、可動腕部に対して異なる方向に伸びる溝からなり、該溝の一端は挿入部を包み込み抜き差し可能なU字溝からなる挿入溝部とし、他端をU字溝の上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部とし、挿入溝部から狭溝部に徐々に変化して繋がったこと特徴とする包装袋の閉鎖治具である。
【0012】
本発明の閉鎖治具は、挿入部と包締部とが可動腕部によって連結しており、単に挿入部と包締部との間に包装袋の一辺を挿入し、包装袋で包んだ状態の嵌入部を包締部のU字溝に嵌入し、U字溝に繋がる狭溝部を使用して咬止させることができる。この作業は、閉鎖位置を自在に変更できると共に、電源が要らず、何度でも繰り返し閉鎖することができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、
少なくとも形状保持性能のあるフィルムからなる包装袋であって、
開口側端辺近傍で、前後のフィルムを開閉可能に咬み合わせるに、
重ねる両フィルムの一方が小ループを描いて飛び出し、
他方が該小ループを大ループで包んで包締し、
前と後の両フィルムが咬止することによって閉鎖可能したことを特徴とする包装袋である。
【0014】
本発明の包装袋は、形状保持性能のあるフィルムから構成されているので、
前後のフィルムの内、一方は小ループを描いて飛び出させ、その小ループを他方のフィルムの大ループで包んで包締するだけで咬止し、その閉鎖状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装袋の製造方法は、包装袋の端辺が、どの位置であっても、咬止させて、閉鎖できると共に、自在に開封可能である。しかも、輪ゴムや紐、ホッチキスの針、クリップ、など、留める専用の部材も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の包装袋の一端辺を咬止して閉鎖する工程を示す断面図と外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の包装袋の一端辺を咬止して閉鎖する治具の一例を示す平面図である。
【
図3】本発明の包装袋の一端辺を咬止する前の包装袋と、包装袋の一端辺を咬止して閉鎖した包装袋を示す正面図である。
【
図4】本発明の包装袋の一端辺を咬止して閉鎖した状態と、一旦閉鎖した包装袋を開封した状態を示す正面図と縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の包装袋の実施形態について説明する。
本発明の包装袋1は、少なくとも形状保持性能のあるフィルムから構成される。形状保持性能は、一旦、曲げたり、伸ばしたり、折ったりした時に、その形状を保持した状態を続けておける性質である。
例えば、アルミニウムや鉛などの金属板は、形状保持性能がある、この為、このような金属層を内部に有するフィルムなども使用できる。
さらに、高密度ポリエチレン系樹脂は、一定の加工条件等によって、形状保持性能を有している。
あるいは、オレフィン系樹脂に添加材を加えたり、高密度ポリエチレン系樹脂を含む多層シートにしたりして、形状保持性能を得る方法もある。
【0018】
図3-1は、本発明に用いる包装袋1を示す図である。
包装袋1は、前フィルム2と後フィルム3とのシーラント面を向かい合わせ、上端辺周縁を開口部11とし、左側シール部12、右側シール部13、底シール部14を有する一般的な包装袋1で、通常四方シールして密封する包装袋の一端辺を未シール部とした包装袋である。
もちろん、底部にシーラント層を表側にして折り曲げた底フィルムを前フィルム2と後フィルム3との間に挟んで、ガゼットとした底部としても良い。
また、一枚のフィルムを中央で折り返して、折り返した罫線近傍を底部とし、その左右を側面シール部として、上端を開いた包装袋1であってもかまわない。
【0019】
図3-2は、開口側端辺近傍に、前後のフィルムを開閉可能に咬み合わせた包装袋の実施形態例の一例を示す図である。
開口側に一直線で閉鎖する咬止部110を設け、開封や閉鎖を自在に行える包装袋である。
【0020】
包装袋1を、本発明の開閉可能な開口部11にするには、次の製造工程を経て、製造される。
まず、包装袋1は、未シールの状態で、前フィルム2と後フィルム3とが、シーラント側を合わせて、重なっている。
この状態で、
図1-1に示すように、包締治具4の上に開口側端辺111近傍を乗せる。閉鎖治具7は、
図1-2に示すように、挿入部5と包締部4とが可動腕部6によって連結し、挿入部5が包装袋1に一次曲面で包まれた状態で包締部4に挿入、および、脱去を自在に行うことが可能な閉鎖治具7である。
【0021】
閉鎖治具7の挿入部5は、先端が曲面からなる嵌入部51を有し、嵌入部51が包装袋1に一次曲面で包まれた状態で包締部4のU字溝からなる挿入溝部41に対し挿入できる。その後、挿入溝部41に包装袋1を置いて、嵌入部51を挿入溝部41から脱去するなど、を自在に行うことができる。
【0022】
また、包締部4は、可動腕部6に対して異なる方向に伸びる溝からなり、該溝の一端は嵌入部を包み込み、抜き差し可能なU字溝からなる挿入溝部41とし、他端をU字溝の上端が狭く閉じかかった狭窄部を有する狭溝部42とし、挿入溝部41から狭溝部42に徐々に変化する傾斜溝部43を経て繋がった閉鎖治具7になっている。
【0023】
図2に、その包締治具4の平面図を示した。一端は断面がU字溝からなる挿入溝部41になっている。挿入溝部41は、
図1-2に示す包締治具4に可動腕部6で繋がり、先端が曲面からなる嵌入部51を有する挿入部5が、嵌入部に包装袋を包み込んだ状態で、差し込み可能な幅を有している。他端はU字溝の上端が狭い狭溝部42になっている。
【0024】
可動腕部6は、挿入部5と包締部4とを繋ぎ、挿入部5を包締部4の挿入溝部41に挿入、脱去を可能とする。
図1-2に示すように、バネ性を持ったU字形状の腕部であっても良いが、挿入部5と包締部4それぞれに繋がる腕部を設け、それらをヒンジで繋ぎ、バネで開いた状態、あるいは閉じた状態にして、必要に応じて包締部4に対し挿入部5を抜き差し自在としても良い。
【0025】
図1-3は、包装袋1の開口側端辺111近傍を、包締治具4の挿入溝部41上面に置いて、上から挿入治具5先端が、挿入溝部41の下端まで挿入される工程である。
包締治具4に可動腕部6で繋がる挿入治具5は、先端が曲面からなる嵌入部51を有しており、包装袋1上端の端辺部分のフィルムは嵌入部51と挿入溝部41との間に挟まり、嵌入部51を包装袋端辺で包み込んだ状態で、挿入溝部41の下端にまで押し込められ、挿入溝部41下端の形状に沿って倣い、その形状を保持する。
包装袋端辺は、この挿入溝部41下端の形状に沿った状態で、かつ、嵌入部51が下降した状態のまま、包装袋1の開口側端辺111は溝部内をスライドする。この為、開口側端辺111の一方の端部から他方に掛けて、次々に挿入溝部41下端の形状に変形されていく。このような工程ができるようにする為、包締治具4の内面には、フッ素樹脂などの滑りやすい表面加工を施しておくことが望ましい。
【0026】
図1-4は、
図1-2のB断面で、包装袋1の開口側端辺111近傍が、飛び出した下端は挿入溝部41に押し込められた状態でその形状を保ちながら、飛び出した根元の上端は狭い狭溝部42にスライドする工程である。
狭溝部42では、U字形状の上端が狭く閉じ掛かった狭窄部42を形成し、挿入溝に沿って包装袋1の開口側も、狭窄部を形成する。狭窄部を形成することによって、フィルムの一方が小ループ112を描いて飛び出し、他方が該小ループ112を大ループ113で包んで包締し、前と後の両フィルムが咬止する咬止部110を形成する。
【0027】
図1-5は、
図1-4の工程で包装袋1フィルムの一方が小ループ112を描いて飛び出し、他方が該小ループ112を大ループ113で包んで包締し、前と後の両フィルムが咬止するが、その状態で、さらに、包装袋1をスライドさせ、包締治具4から抜いた状態を示す断面図で、
図1-6が、その開口側端辺近傍で、前フィルム2と後フィルム3とが咬止している状態を縦方向に切断した斜視図である。
包装袋を構成するフィルムが形状保持性能を有しているので、包締治具4からスライドして抜いても、前フィルム2と後フィルム3の一方が小ループ112を描いて飛び出し、他方が該小ループ112を大ループ113で包んで包締することによって、前と後の両フィルムが咬止した状態で形状を保持している。
【0028】
図4は、本発明の包装袋1の上端を咬止加工後の、閉鎖した状態を示す正面図と縦断面図と、それを開封した状態を示す正面図と縦断面図である。
図4-1は、包装袋1の開口部11を閉鎖した状態で、左が正面側の斜視図、右側がその縦断面図である。開口部11が閉鎖した状態では、開口部全体が咬止された状態で、密閉されている。
開口側端辺111では、全幅で咬止されているので、ほぼ一直線状に形状を保って、小ループ112を大ループ113で包んで包締した状態を保持している。
【0029】
図4-2は、閉じていた包装袋1を開封した状態で、左が正面側の斜視図、右側がその縦断面図である。開封した状態では、開口部11の中央で、大ループ113から小ループ112が抜けて、大きく開口している。
しかし、左側シール部12と右側シール部13の両端では、前フィルム2と後フィルム3とが融着した状態で、咬止形状になっているので、左側シール部12と右側シール部13は、そのまま前フィルム2と後フィルム3が融着した状態で、咬止状態もそのままの形状
を崩されない。
しかし、強く上下に引っ張ったり、平らな板上に押し付けたりすれば、平らになって、
図3-1のように開口した状態に戻すことができる。
【0030】
本発明の包装袋を構成する前フィルムや後フィルムの材質としては、形状を保持できる材料で構成され、かつ、それらが向かい合う面には融着性があることが前提として求められる。
【0031】
形状保持性能のあるフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン系樹脂層を含む積層体で構成されているものが考えられる。
又、高密度ポリエチレン系樹脂フィルムを含む積層フィルムであって、外側から、無延伸ポリプロピレン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層/特殊ポリオレフィン樹脂層/高密度ポリエチレン樹脂層/特殊ポリオレフィン樹脂層/ポリプロピレン樹脂層/無延伸ポリプロピレン樹脂層の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層の構成を含む共押出フィルムから構成されるフィルムなどでも形状保持機能を有する。
さらに、高密度ポリエチレン樹脂層が、一軸延伸した超延伸フィルムから構成されているシートを使用しても、形状保持機能を有するような包装袋にすることができる。
【0032】
この他に、オレフィン系樹脂にタルク、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムなどの無機物、あるいはパルプなどの有機繊維を含む混合物で構成されているシートも、形状保持機能を有する包装袋にすることができる。
【0033】
また、内部に鉛やアルミニウムなどの金属層を有し、融着面にポリエチレン樹脂層などのオレフィン系樹脂とした積層シートも、形状保持機能を有するようにすることができる。
さらに、構成するフィルムの融点よりも20℃以上低く、ガラス転移点よりも高い温度で包締治具と挿入治具とを温めて、形状が変形しやすい温度に保った状態で、前と後の両フィルムを咬止加工し、その後、冷却して変形しにくくしても良い。
【0034】
向かい合う面には融着性を得る最内面にする樹脂層としては、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの耐熱性の高いポリオレフィン系樹脂が使用できる。これらの樹脂をTダイ、あるいはインフレーションなどの押出し機により製膜可能である。単層または複層でもよい。フィルムの厚みとしては、50~200μmの範囲であることが好ましい。
【0035】
貼り合わせ方法としては、ドライラミネート法にて可能であるが、エキストルーダーラミネーション機で、シーラント層側を製膜しながら貼り合せてもかまわないし、サンドポリエチレン加工してもかまわない。
積層するのに、単純に層間で積層しても融着しにくい場合には、層の間に接着剤層を挿入する。接着剤層としては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤などを使用することができる。
【0036】
本発明の包装袋は、以上のようなもので、本発明の包装袋の製造方法は、輪ゴムや紐、ホッチキスの針、クリップ、など、留める専用の部材も必要とせず、包装袋の端辺が、どの位置であっても、咬止させて、閉鎖できると共に、自在に開封可能である。
包装袋の形態としては、更に、内容量を大きくすることができるガゼットタイプにすることも可能である。
それと共に、内容物が少なくなってきた時には、自在に閉鎖する位置を変更して注出し易
い位置で前フィルムと後フィルムとを咬み合わせることができるだけではなく、チューブ容器のように底部側を丸めたりして、注出し易くできるなど、自在な使い方ができる包装袋になるなど、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0037】
1・・・・・・・・包装袋
11・・・・・・・開口部
110・・・・・・咬止部
111・・・・・・開口側端辺
112・・・・・・小ループ
113・・・・・・大ループ
12・・・・・・・左側シール部
13・・・・・・・右側シール部
14・・・・・・・底シール部
2・・・・・・・・前フィルム
3・・・・・・・・後フィルム
4・・・・・・・・包締治具
41・・・・・・・挿入溝部
42・・・・・・・狭溝部
43・・・・・・・傾斜溝部
5・・・・・・・・挿入治具
51・・・・・・・嵌入部
6・・・・・・・・可動腕部
7・・・・・・・・閉鎖治具