(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061740
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20220412BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20220412BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
B65D30/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169874
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大久保 陽祐
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064BA21
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC04
3E064BC07
3E064BC08
3E064BC18
3E064HP02
3E067AB01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB05
3E067EB19
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】包装袋に内容物取り出し用の開口部を、手指を用いて容易に形成することが可能な包装袋を、安価に提供することを課題とする。
【解決手段】プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる包装袋であって、包装袋は、長手縦方向に合掌シール部を形成し、この合掌シール部を底面として、上下の両端部にシール部を形成して、ピロー包装袋の形態に製袋されており、底面に対向する上面には、ハーフカット線が包装袋の外側から設けてあり、ハーフカット線は、上面の包装袋上部において上端部のシール部の下方、かつ左右の側端部から等距離付近を頂点として、への字形に、左右斜め下方に向けて設けてあり、さらにハーフカット線は、左右の側端部に達する前に、包装袋下方に方向を変えて、側端部と平行に、上面の包装袋下部に達するよう設けてあることを特徴とする包装袋である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる包装袋であって、
包装袋は、長手縦方向に合掌シール部を形成し、
この合掌シール部を底面として、上下の両端部にシール部を形成して、ピロー包装袋の形態に製袋されており、
底面に対向する上面には、ハーフカット線が包装袋の外側から設けてあり、
ハーフカット線は、上面の包装袋上部において上端部のシール部の下方、かつ左右の側端部から等距離付近を頂点として、への字形に、左右斜め下方に向けて設けてあり、
さらにハーフカット線は、左右の側端部に達する前に、包装袋下方に方向を変えて、側端部と平行に、上面の包装袋下部に達するよう設けてあることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記ハーフカット線は、への字形の頂点において、頂点が凹んでV字形となった形状であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右横方向に連続していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右それぞれが反転して終点となっていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項5】
前記ハーフカット線は、レーザー光照射によって形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
包装袋の前記左右の側端部には、積層体を折り込んだマチが設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋。
【請求項7】
包装袋を構成する前記積層体には、ガスバリア層を設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれかに記載の包装袋。
【請求項8】
前記積層体の最外層には、熱可塑性樹脂層を設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。特にプラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなる包装袋であって、手指によって容易に開封し、内容物取り出しのための開口部を形成することが可能な包装袋である。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、プラスチックフィルム単層で構成される場合のみならず、他のプラスチックフィルムや樹脂層、金属箔などとの積層体として、内容物による要求品質に応じた層構成や材料設計が可能であることが特徴のひとつであって、様々な用途に幅広く用いられている。また、性能面でもコスト面などでも、ガラス瓶や缶などに比べて有利である場合が多い。
【0003】
特に最近では、プラスチックやガラス製のボトルを使い捨てにすることをやめる動きが広がっている。コストの点もさることながら、環境保護の観点から、詰め替え用の容器を用いることで廃棄物を削減する動きが顕著になっている。
【0004】
たとえば、プラスチックフィルムを基材とした、シーラント層を有する液体用包装袋は、シーラント層によって様々な形態に製袋することが可能で、柔軟性に富み、使用した後には、平たくたたんで容積を小さくすることが可能である。また、廃棄物として焼却することも可能である。
【0005】
このような利点を背景にして、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体から形成される包装袋は、その機能性と利便性が評価され、近年特にその需要が高まっている。
【0006】
このような包装袋においては、開封に際しては鋏や刃物を用いて、包装袋の一辺、あるいは一部を切り裂いて開口部を形成し、内容物の取り出しを行うことができるが、刃物等を用いることなく、手指で容易に開封可能な包装袋も実用に供されている。
【0007】
たとえば特許文献1には、ピロー包装袋の合掌シール部と反対側の面にハーフカット線で開口部の輪郭を形成した包装容器が提案されているが、開口部の輪郭の一部として設けられた凸形状の部分を開口作業のきっかけとするため、この部分をつまんで開口部を設けることは、簡単ではなく困難が伴うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、包装袋に内容物取り出し用の開口部を、手指を用いて容易に形成することが可能な包装袋を、安価に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有する積層体からなる包装袋であっ
て、
包装袋は、長手縦方向に合掌シール部を形成し、
この合掌シール部を底面として、上下の両端部にシール部を形成して、ピロー包装袋の形態に製袋されており、
底面に対向する上面には、ハーフカット線が包装袋の外側から設けてあり、
ハーフカット線は、上面の包装袋上部において上端部のシール部の下方、かつ左右の側端部から等距離付近を頂点として、への字形に、左右斜め下方に向けて設けてあり、
さらにハーフカット線は、左右の側端部に達する前に、包装袋下方に方向を変えて、側端部と平行に、上面の包装袋下部に達するよう設けてあることを特徴とする、包装袋である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、
前記ハーフカット線は、への字形の頂点において、頂点が凹んでV字形となった形状であることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、
前記ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右横方向に連続していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、
前記ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右それぞれが反転して終点となっていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の包装袋である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、
前記ハーフカット線は、レーザー光照射によって形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の包装袋である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、
包装袋の前記左右の側端部には、積層体を折り込んだマチが設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の包装袋である。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、
包装袋を構成する前記積層体には、ガスバリア層を設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれかに記載の包装袋である。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、
前記積層体の最外層には、熱可塑性樹脂層を設けてあることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、包装袋に内容物取り出し用の開口部を、手指を用いて容易に形成することが可能な包装袋を安価に提供することができる。
【0019】
本発明による包装袋は、合掌シール部を底面として、上下の両端部にシール部を形成して、ピロー包装袋の形態に製袋されていることによって、より生産性良く製造することが可能である。
【0020】
すなわち、この方式であれば、長尺のフィルムから連続してピロー包装袋を製造することができコスト面でも有利であり、安価な包装袋の供給が可能である。
【0021】
また、上面には、ハーフカット線が包装袋の外側から設けてあり、ハーフカット線は、上面の包装袋上部において上端部のシール部の下方、かつ左右の側端部から等距離付近を頂点として、への字形に、左右斜め下方に向けて設けてあることによって、開封開始から開封の初期段階の開封をハーフカット線に沿った、より容易なものとすることができる。
【0022】
ハーフカット線は、脆弱部となっており、開封は適度な抵抗力を伴って、円滑に行うことができる。また一旦開封した場合に再封は困難であって、いたずら防止(タンパープルーフ)効果が期待できる。
【0023】
さらにハーフカット線は、左右の側端部に達する前に、包装袋下方に方向を変えて、側端部と平行に、上面の包装袋下部に達するよう設けてあることによって、手指を用いてハーフカット線に沿った正確な開口部を、容易に形成することが可能である。
【0024】
また、ハーフカット線は連続しているので、一回の動作で開口部を瞬時に形成して包装袋を開封することが可能である。
【0025】
また開口部は上面の中央に、上部から下部に至る大きな面積で形成されるため、内容物の取り出しにも利便性が高いものとなる。
【0026】
特に請求項2に記載の発明によれば、ハーフカット線は、への字形の頂点において、頂点が凹んでV字形の形状であることによって、手指でつまんで開口部を形成するきっかけとなる切れ目の形成がより容易になる効果を有する。
【0027】
特に請求項3に記載の発明によれば、ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右横方向に連続していることによって、形成した開口部を覆っていた積層体を切り取って分離、除去することができ、開口部の積層体が内容物の取り出しの邪魔とならず、利便性の向上に効果的である。
【0028】
特に請求項4に記載の発明によれば、ハーフカット線は、包装袋下方に方向を変えた後、その下端において左右それぞれが反転して終点となっていることによって、下方への切り裂きのストッパーとして機能するため、開封の終点とすることができ、開口部の大きさ、形状をあらかじめ決めておくことに効果的であり、予期せぬ切り裂きを防止することが可能である。
【0029】
特に請求項5に記載の発明によれば、ハーフカット線は、レーザー光照射によって形成されていることによって、より生産性に優れ、また精度よくハーフカット線を形成することができる。
【0030】
特に請求項6に記載に発明によれば、包装袋の左右の側端部には、積層体を折り込んだマチが設けてあることによって、側端部が拡張可能となって、包装袋の内容量を大きくすることに効果的である。
【0031】
特に請求項7に記載に発明によれば、包装袋を構成する積層体には、ガスバリア層を設けてあることによって、内容物が環境条件に左右されない、長期保存性の向上に効果的であり、したがって内容物が食品の場合にはより好適であり、また反対に内容物の揮発成分の漏出防止にも効果的である。
【0032】
特に請求項8に記載の発明によれば、積層体の最外層には、熱可塑性樹脂層を設けてあることによって、合掌シール部や上下の両端部のシール部を包装袋の外面に熱シールして
重ねることが可能になり、包装袋がコンパクトになるなど、外観面でも利点を有し、また重なった部分は剛性が増すことから、包装袋の骨組みとしての役割を果たして、形状保持性を高めることにも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様においてハーフカット線の頂点の他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、包装袋の開封前の様子を説明するための斜視模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、包装袋を開封した様子を説明するための斜視模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、ハーフカット線の他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、ハーフカット線の更に他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を
図1~
図6を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0035】
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0036】
本発明は、プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなる包装袋である。
【0037】
包装袋(100)はシーラント層同士を対向させて、シールして製袋されており、
図1において、縦方向に合掌シール部(1)を形成している。ただし
図1において、合掌シール部(1)のある面は底面(10)であって、底面(10)は包装袋(100)の背面になっているために不可視であって、合掌シール部(1)の一部を、中央部縦方向の破線で表示している。
【0038】
図1に示す例においては、上下の両端部には、上部シール部(2)および下部シール部(3)を形成して、包装袋(100)が製袋されており、
図1に示す例はピロー包装袋の形態である。この状態において、包装袋(100)の内容物に接する最内層面はシーラント層である。
【0039】
一方、底面(10)の反対側にあって、底面(10)に対向する上面(20)は、
図1において手前側の面として示されており、この上面(20)には、包装袋(100)の外側からハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)が設けてある。
【0040】
図1中の破線で示すように、ハーフカット線(4)は、包装袋上部(16)において上端部(7)の上部シール部(2)の下方、かつ左右の側端部(8)から等距離付近に頂点(9)が設けてある。
【0041】
すなわちハーフカット線(4)は、頂点(9)から、左右斜め下方向に向かって形成されるが、左右の側端部(8)に達する前に、包装袋(100)下方に方向を変えて、その
先は側端部(8)と平行になり、縦方向のハーフカット線(5)となって、包装袋下部(17)に達して下端(6)となる。
【0042】
ハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)が
図1に示すような形状で設けてあることによって、包装袋(100)の上面(20)に、大きく開口部を形成することが可能である。これは、内容物の取り出しに際して、特に手指でつまみだしたり引っ張り出すような場合には、利便性が高い。
【0043】
包装袋(100)の開封は、
図1の中で、ハーフカット線(4)の頂点(9)に近い、A部と、B部を手指で、例えばA部を親指の腹で、B部を人差し指の腹でつまんで下方に引っ張ることによって、この部分を開封のきっかけとして、ハーフカット線(4)に沿った開封が可能である。
【0044】
ハーフカット線(4)及び縦方向のハーフカット線(5)は、包装袋(100)を構成する積層体に対して、全貫通しない深さで傷加工を施したものであり、この部分は機械的脆弱部となり、ハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)に沿った易開封が可能である。すなわちハーフカット線(4)は、開封予定線であって、計画された正確な形状で開口部を形成することに効果的である。
【0045】
ハーフカット線が、機械的脆弱部となっていることによって、開封は適度な抵抗力を伴って、円滑に行うことができる。また一旦開封した場合には、再封は困難であって、いたずら防止(タンパープルーフ)効果が期待できる。
【0046】
ハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)の形成方法は、例えば刃物を用いて形成することが可能であり、あるいはレーザー光照射によって形成することも可能である。特にレーザー光照射によって形成する場合には、より生産性良く、また精度よく、ハーフカット線(4)を形成することができる。
【0047】
レーザー光には、例えば炭酸ガスレーザーによるものを用いることができる。なおハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)は、連続した線でも良く、破線で形成するのでも構わない。
【0048】
図2は、本発明に係る包装袋の一実施態様においてハーフカット線の頂点の他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0049】
図2で示すハーフカット線(4)の頂点(9)の他の実施態様において、ハーフカット線(4)は、への字形の頂点(9)において、頂点が凹んでV字形(11)となった形状であることを特徴とするものである。
【0050】
我々は、本発明を鋭意検討する過程で、への字形の頂点(9)に、このような頂点(9)が凹んでV字形(11)となった形状であることによって、この部分を手指で二つ折りするようにつまんで開封のきっかけにして、機械的脆弱部として設けてあるハーフカット線(4)に沿って切り裂いて、包装袋(100)の上面(20)に、開口部を形成して開封することに、より効果的であることを見出した。
【0051】
この開封作業は前述のように、ハーフカット線(4)の頂点(9)に近い、A部と、B部を手指で、例えばA部を親指の腹で、B部を人差し指の腹でつまんで下方に引っ張る際に、V字形(11)があることによって、開封のきっかけを作ることがより容易に可能である。
【0052】
ここで、本発明に係る包装袋(100)の材料構成について説明を加える。前述のように本発明は、プラスチックフィルムを基材として、シーラント層を有する積層体からなる包装袋(100)である。
【0053】
プラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、包装袋(100)の用途、内容物に応じて適宜選択される。
【0054】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0055】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装袋に対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
【0056】
たとえば、内容物の長期保存性を向上させることなどを目的として、包装袋(100)を構成する積層体中に、着色フィルムなど紫外線を遮蔽する不透明層を設けることができる。あるいは、積層体中にガスバリア層を設けることができる。たとえば、プラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなる、ガスバリアフィルムを用いることができる。
【0057】
また、アルミニウムなどの金属箔もガスバリア層として有効ではあるが、電子レンジでの調理をする場合には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。これらは包装袋(100)の用途に応じて適宜選択することができる。
【0058】
また、ガスバリア層を設ける場合には、ハーフカット線(4)及び縦方向のハーフカット線(5)の加工は、ガスバリア層を傷つけたり貫通することは避けなければならない。ガスバリア層への損傷や貫通がある場合には、ガスバリア性能の低下は免れないからである。
【0059】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0060】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0061】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
【0062】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコー
ティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0063】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法による無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0064】
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0065】
無機化合物層は真空蒸着法による塗膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0066】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0067】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装材料としての適性も具備することができる。
【0068】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を包装袋の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。
【0069】
シーラント層は、2枚の積層体をシーラント層同士が対向するように重ねて、加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させ、包装袋(100)に製袋することを可能にする。
【0070】
本発明による包装袋は、合掌シール部を底面として、上下の両端部にシール部を形成して、ピロー包装袋の形態に製袋されていることによって、より生産性良く製造することが可能である。
【0071】
すなわち、この方式であれば、長尺のフィルムから連続してピロー包装袋を製造することができコスト面でも有利であり、安価な包装袋の供給が可能である。
【0072】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、を使用することができる。
【0073】
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合
体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0074】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0075】
図3は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、包装袋の開封前の様子を説明するための斜視模式図である。
【0076】
本発明による包装袋(100)は、上面(20)にハーフカット線(4)が設けてあり、ハーフカット線(4)は、包装袋(100)上部において上部シール部(2)の下方、かつ左右の側端部(8)から等距離付近を頂点(9)として、包装袋(100)の外側から設けてある。
【0077】
ハーフカット線(4)は、左右斜め下方向に形成されるが、左右の側端部(8)に達する前に、包装袋(100)下方に方向を変えて、その先は側端部(8)に平行になって縦方向のハーフカット線(5)となり、下端(6)に達する。
【0078】
なお、
図3に示す例においては包装袋(100)の左右の側端部(8)には、マチ(12)が設けてある例である。マチ(12)は、内容物充填前には左右の側端部(8)の底面(10)と上面(20)の間に平坦に折り込まれており、内容物の充填後には拡張して包装袋(100)の側面を形成することができる。
【0079】
包装袋(100)の左右の側端部(8)に、マチ(12)が設けてあることによって、包装袋(100)の内容量を大きくすることが可能である。
【0080】
図4は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、包装袋を開封した様子を説明するための斜視模式図である。
【0081】
前述のように、包装袋(100)の開封は
図2に示すハーフカット線(4)の頂点(9)近くを、例えばA部を親指の腹で、B部を人差し指の腹で挟んでつまみ、そのまま矢印(13)方向に引き、ハーフカット線(4)、および縦方向のハーフカット線(5)に沿って引き裂いて、包装袋(100)の上面(20)に開口部(14)を形成することができる。
【0082】
包装袋(100)の開封、すなわち開口部(14)の形成は、この1回の動作で容易に、かつ瞬時に形成することができ利便性が高い。
【0083】
前述のように、ハーフカット線(4)は、包装袋(100)を構成する積層体に対して全貫通しない深さで傷加工を施したものであり、したがってこの部分は、機械的強度において脆弱部となり、ハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)に沿った易開封が可能である。
【0084】
すなわちハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)は、開封予定線であって、計画された正確な形状で包装袋(100)の上面(20)に開口部を形成することができる。
【0085】
ハーフカット線(4)、及び縦方向のハーフカット線(5)が、機械的強度において脆弱部となっていることによって、開封作業は適度な抵抗力を伴って、円滑に行うことがで
きる。また一旦開封した場合に再封は困難であって、いたずら防止(タンパープルーフ)が可能である。
【0086】
図4に示す例から見て取れるように、開口部(14)をこのような形状で形成することによって、包装袋(100)の上面(20)に、大きく開口部(14)を形成することが可能である。これは、内容物の取り出しに際して、特に手指でつまみ出したり、引き出すような場合には、きわめて利便性が高い。
【0087】
図5は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、ハーフカット線の他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0088】
図5に示す例においては、ハーフカット線(4)、およびそれに連続する縦方向のハーフカット線(5)は、その下端(6)において左右横方向に連続している例である。その結果ハーフカット線(4)、およびそれに連続する縦方向のハーフカット線(5)、それに加えて左右横方向のハーフカット線(15)は連続し、略5角形に閉じたループを形成する。
【0089】
すなわち、下端(6)において左右横方向のハーフカット線(15)によって形成された、開口部(14)の積層体を切り取って、これを包装袋(100)本体から分離、除去することができ、内容物の取り出しにおいて、開口部(14)の積層体が邪魔とならず、取り出しが容易になる効果を有する。
【0090】
図6は、本発明に係る包装袋の一実施態様において、ハーフカット線の更に他の実施態様を説明するための、平面(一部透視)模式図である。
【0091】
図6に示す例においては、ハーフカット線(4)は、それに連続する縦方向のハーフカット線(5)となって、包装袋(100)下方に方向を変えた後、その下端(6)において左右それぞれが反転して終点となっている例である。
【0092】
その下端(6)において、左右それぞれの縦方向のハーフカット線(5)が反転して終点となっていることによって、縦方向のハーフカット線(5)に沿った、切り裂きはここで止まり、開口部(14)の形状が決定する。
【0093】
すなわち、反転した部分を開封の終点とすることができ、開口部(14)の大きさ、形状をあらかじめ決めておくことに効果的であり、したがって安定かつ正確な開封作業とすることができる。
【0094】
また、本発明による包装袋(100)を構成する積層体の最外層同士は、熱シール可能とすることができる。すなわち積層体の最外層に熱可塑性樹脂層を積層することができる。
【0095】
積層体の最外層同士が、熱シール可能であることによって、合掌シール部(1)や上下の両端部のシール部を、包装袋(100)の外面に熱シールすることが可能になり、外観面でも利点を有し、また包装袋(100)の骨材としての役割を果たして、包装袋(100)全体の剛性を高め、形状保持性を高めることに効果的である。
【0096】
また、必要に応じて、商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報表示や意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、包装袋外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装袋の最外層に設けるのでも構わない。
【0097】
他にも、包装袋上面(20)に設けたハーフカット線(4)及び縦方向のハーフカット線(5)に沿った印刷をすることにより、開封予定線としてのハーフカット線をより鮮明に可視とすることができ、この場合には開封作業において、切り裂きのためのガイドラインとすることができる。
【0098】
また印刷層は、包装袋(100)の一部に設けるのでもよく、また包装袋(100)の全面に渡って設けるのでもよい。あるいは、印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装袋の表面に印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0099】
ここで、印刷方法、および印刷インキには、特段の制約を設けるものではないが、既知の印刷方法、および印刷インキの中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、内容物が食品の場合には食品容器としての安全性、などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0100】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択して用いることができる。一般にグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、及び絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0101】
このようにして、本発明によれば、本発明が課題とするところの、内容物取り出し用の開口部を、手指を用いて容易に形成することが可能な包装袋を、安価に提供することの実現が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1・・・合掌シール部
2・・・上部シール部
3・・・下部シール部
4・・・ハーフカット線
5・・・縦方向のハーフカット線
6・・・下端
7・・・上端部
8・・・側端部
9・・・頂点
10・・・底面
11・・・V字形
12・・・マチ
13・・・矢印
14・・・開口部
15・・・左右横方向のハーフカット線
16・・・包装袋上部
17・・・包装袋下部
20・・・上面
100・・・包装袋