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特開2022-61779エレベーターの制御システムおよびエレベーターの階床設定方法
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  • 特開-エレベーターの制御システムおよびエレベーターの階床設定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061779
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】エレベーターの制御システムおよびエレベーターの階床設定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
B66B3/00 S
B66B3/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169924
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】秋野 圭吾
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より自由度の高い工程で階床設定作業を行えるエレベーターの制御システムおよび階床設定方法を提供する。
【解決手段】制御システム12は、複数の乗場機器13と、モード切替部22と、対応記憶部23と、階床特定部26と、対応設定部29と、を備える。各々の乗場機器13は、対応する乗場における操作によって固有情報を送信する。対応記憶部23は、通常モードにおいて乗場呼びを登録する乗場機器13への操作によって当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、各々の乗場機器13の固有情報をいずれかの階床に対応づけて記憶する。階床特定部26は、書込モードにおいて参照かごが停止している階床を複数の階床のうちから特定する。対応設定部29は、書込モードにおいていずれかの乗場機器13から固有情報が送信されたときに、当該固有情報を階床特定部26が特定する階床に対応づけて対応記憶部23に記憶させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床の間を各々が走行する1つ以上のかごを有するエレベーターに適用される制御システムであり、
前記複数の階床のいずれかに各々が対応し、対応する階床の乗場に設けられ、対応する階床の乗場で行われる操作を受け付けたときに各々に固有の固有情報を送信する複数の乗場機器と、
通常モードおよび書込モードを含む前記エレベーターの複数の動作モードを切り替えるモード切替部と、
前記通常モードにおいて前記複数の乗場機器のいずれかが乗場呼びを登録する操作を受け付けたときに当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、前記複数の乗場機器の各々の固有情報を前記複数の階床のいずれかに対応づけて記憶する対応記憶部と、
前記書込モードにおいて、前記1つ以上のかごのいずれかである参照かごが停止している階床を前記複数の階床のうちから特定する階床特定部と、
前記書込モードにおいて、前記複数の乗場機器のいずれかから当該乗場機器の固有情報が送信されたときに、当該固有情報を前記階床特定部が特定する階床に対応づけて前記対応記憶部に記憶させる対応設定部と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記複数の乗場機器の各々は、乗場呼びを登録する操作と異なる特殊操作を受け付けたときに前記特殊操作を表す情報を前記固有情報とともに送信し、
前記対応設定部は、前記複数の乗場機器のいずれかから送信された当該乗場機器の固有情報が前記特殊操作を表す情報を伴うときに、当該固有情報を前記階床特定部が特定する階床に対応づけて前記対応記憶部に記憶させ、前記複数の乗場機器のいずれかから送信された当該乗場機器の固有情報が前記特殊操作を表す情報を伴わないときに、当該固有情報を前記対応記憶部に記憶させない
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記対応設定部は、前記複数の乗場機器のいずれかから送信された固有情報と同じ固有情報を前記対応記憶部が既に記憶しているときに、当該固有情報を前記階床特定部が特定する階床に対応づけて前記対応記憶部に上書きして記憶させる
請求項1または請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
報知を行う報知部
を備え、
前記複数の乗場機器の各々は、1つ以上の系統のいずれかに属し、
前記対応設定部は、前記複数の乗場機器のいずれかから送信された固有情報と異なり、当該固有情報と同じ系統に属し、前記階床特定部が特定する階床に対応する固有情報を前記対応記憶部が既に記憶しているときに、当該乗場機器から送信された固有情報を前記対応記憶部に記憶させずに前記報知部に報知を行わせる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記複数の系統のうちから設定の対象となる設定系統を選択する操作を受け付ける系統選択部
を備え、
前記対応設定部は、固有情報を送信した乗場機器が前記系統選択部によって選択された前記設定系統に属するときに、当該固有情報を前記階床特定部が特定する階床に対応づけて前記対応記憶部に記憶させ、固有情報を送信した乗場機器が前記系統選択部によって選択された前記設定系統に属さないときに、当該固有情報を前記対応記憶部に記憶させない
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記1つ以上のかごのうちから前記参照かごを選択する操作を受け付けるかご選択部
を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
複数の階床の間を各々が走行する1つ以上のかごを有するエレベーターに適用され、
前記複数の階床のいずれかに各々が対応し、対応する階床の乗場に設けられ、対応する階床の乗場で行われる操作を受け付けたときに各々に固有の固有情報を送信する複数の乗場機器、および
前記エレベーターの動作モードが通常モードである場合において前記複数の乗場機器のいずれかが乗場呼びを登録する操作を受け付けたときに当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、前記複数の乗場機器の各々の固有情報を前記複数の階床のいずれかに対応づけて記憶する対応記憶部
を有する制御システムにおける階床設定方法であり、
前記動作モードを前記通常モードから書込モードに切り替える切替工程と、
前記書込モードにおいて、前記複数の乗場機器のいずれかから当該乗場機器の固有情報を受信する受信工程と、
前記受信工程において当該固有情報を受信した後に、前記1つ以上のかごのいずれかである参照かごが停止している階床を前記複数の階床のうちから特定する階床特定工程と、
前記受信工程で受信した固有情報を前記階床特定工程で特定した階床に対応づけて前記対応記憶部に記憶させる対応設定工程と、
を備えるエレベーターの階床設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの制御システムおよびエレベーターの階床設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの制御システムの例を開示する。制御システムにおいて、関連テーブルが記憶される。関連テーブルは、各々の階床の乗場に設けられる乗場機器に固有の固有情報と、階床とを対応づけるテーブルである。関連テーブルは、設定モードにおいて乗場機器から固有情報が送信されるときに書き込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-203746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の制御システムにおいて、乗場機器の固有情報に対応づける階床は、当該乗場機器が操作された順番によって特定される。このため、階床設定作業を行う作業員は、全ての階床の乗場機器を間違いなく順番に操作する必要がある。したがって、階床設定作業の工程の自由度が低くなる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、より自由度の高い工程で階床設定作業を行えるエレベーターの制御システムおよび階床設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御システムは、複数の階床の間を各々が走行する1つ以上のかごを有するエレベーターに適用される制御システムであり、複数の階床のいずれかに各々が対応し、対応する階床の乗場に設けられ、対応する階床の乗場で行われる操作を受け付けたときに各々に固有の固有情報を送信する複数の乗場機器と、通常モードおよび書込モードを含むエレベーターの複数の動作モードを切り替えるモード切替部と、通常モードにおいて複数の乗場機器のいずれかが乗場呼びを登録する操作を受け付けたときに当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、複数の乗場機器の各々の固有情報を複数の階床のいずれかに対応づけて記憶する対応記憶部と、書込モードにおいて、1つ以上のかごのいずれかである参照かごが停止している階床を複数の階床のうちから特定する階床特定部と、書込モードにおいて、複数の乗場機器のいずれかから当該乗場機器の固有情報が送信されたときに、当該固有情報を階床特定部が特定する階床に対応づけて対応記憶部に記憶させる対応設定部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターの階床設定方法は、複数の階床の間を各々が走行する1つ以上のかごを有するエレベーターに適用され、複数の階床のいずれかに各々が対応し、対応する階床の乗場に設けられ、対応する階床の乗場で行われる操作を受け付けたときに各々に固有の固有情報を送信する複数の乗場機器、およびエレベーターの動作モードが通常モードである場合において複数の乗場機器のいずれかが乗場呼びを登録する操作を受け付けたときに当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、複数の乗場機器の各々の固有情報を複数の階床のいずれかに対応づけて記憶する対応記憶部を有する制御システムにおける階床設定方法であり、動作モードを通常モードから書込モードに切り替える切替工程と、書込モードにおいて、複数の乗場機器のいずれかから当該乗場機器の固有情報を受信する受信工程と、受信工程において当該固有情報を受信した後に、1つ以上のかごのいずれかである参照かごが停止している階床を複数の階床のうちから特定する階床特定工程と、受信工程で受信した固有情報を階床特定工程で特定した階床に対応づけて対応記憶部に記憶させる対応設定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る制御システムまたは階床設定方法であれば、より自由度の高い工程で階床設定作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る制御システムの動作の例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る制御システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0012】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路2に隣接する乗場3が設けられる。
【0013】
エレベーター1は、1つまたは複数のユニット4を備える。この例において、エレベーター1は、複数のユニット4を備える。各々のユニット4は、巻上機5と、主ロープ6と、かご7と、釣合い錘8と、制御盤9と、を備える。
【0014】
巻上機5は、駆動力を発生させるモーター、およびモーターが発生させる駆動力によって回転するシーブを備える。巻上機5は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において例えば昇降路2の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機5は機械室に配置されてもよい。
【0015】
主ロープ6は、昇降路2においてかご7および釣合い錘8の荷重を支持するロープである。主ロープ6は、巻上機5のシーブに巻きかけられる。主ロープ6は、巻上機5のシーブの一方側においてかご7の荷重を受ける。主ロープ6は、巻上機5のシーブの他方側において釣合い錘8の荷重を受ける。
【0016】
かご7は、昇降路2を鉛直方向に走行することでエレベーター1の利用者を複数の階床の間で輸送する機器である。かご7は、秤10と、ブザー11と、を備える。秤10は、かご7の荷重を計測する機器である。ブザー11は、秤10による荷重の計測値が予め設定された閾値を超える場合に、音声によって報知を行う機器である。釣合い錘8は、巻上機5のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご7との間でとる機器である。かご7および釣合い錘8は、巻上機5のモーターが発生させる駆動力によって昇降路2を互いに反対方向に走行する。
【0017】
制御盤9は、当該制御盤9を備えるユニット4の動作を制御する部分である。ユニット4の動作は、例えばかご7の昇降を含む。制御盤9は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、機械室が設けられる場合に、制御盤9は機械室に配置されてもよい。
【0018】
エレベーター1において、制御システム12が適用される。制御システム12は、各々のユニット4の制御盤9を含む。制御システム12は、複数の乗場機器13を備える。この例において、制御システム12は、群管理装置14を備える。
【0019】
各々の乗場機器13は、複数の階床のいずれかに対応する。各々の乗場機器13は、対応する階床の乗場3に設けられる。乗場機器13は、対応する階床の乗場3において利用者などによって行われる操作を受け付ける機器である。乗場機器13は、対応する階床の乗場3において利用者などに情報を表示する機能を搭載していてもよい。乗場機器13は、受け付けた操作を表す信号を送信する機能を搭載する。この例において、乗場機器13は、群管理装置14が有する複数の入力ポートのいずれかに信号を送信する。乗場機器13は、1つまたは複数の系統のいずれかに属している。各々の系統は、受け付けた操作を表す信号を共通の入力ポートに送信する乗場機器13の組である。各々の系統において、複数の階床に1つずつ対応する複数の乗場機器13が含まれる。この例において、制御システム12は、A系統およびB系統の2つの系統を含む。
【0020】
群管理装置14は、エレベーター1の運行を管理する装置である。群管理装置14は、エレベーター1が設けられる建物に配置される。群管理装置14は、例えば昇降路2の上部もしくは下部などに、または、機械室が設けられる場合においては機械室などに配置されてもよい。
【0021】
図2は、実施の形態1に係る制御システム12の構成を示すブロック図である。
【0022】
各々の乗場機器13は、フェースプレート15と、表示パネル16と、操作ボタン17と、乗場基板18と、を備える。
【0023】
フェースプレート15は、乗場基板18などの内部の機器を乗場3の利用者などから隠す板状の部分である。フェースプレート15は、例えば乗場3の壁面に配置される。フェースプレート15の前面は、乗場3に向けられる。表示パネル16は、フェースプレート15の前面に設けられる。表示パネル16は、かご7の位置およびかご7の走行方向などの情報を乗場3の利用者などに表示する部分である。操作ボタン17は、フェースプレート15の前面に設けられる。操作ボタン17は、乗場3の利用者などによって行われる操作を受け付ける押しボタンなどである。この例において、乗場機器13は、上方ボタンおよび下方ボタンの2つの操作ボタン17を備える。
【0024】
乗場基板18は、乗場機器13における情報処理を行う部分である。乗場基板18は、フェースプレート15の後方に配置される。乗場基板18は、例えば乗場3の壁面に埋め込まれた収納箱などに配置される。このとき、収納箱および乗場基板18は、フェースプレート15によって乗場3の利用者などから隠されている。乗場基板18は、固有情報記憶部19と、操作判定部20と、第1通信部21と、を備える。
【0025】
固有情報記憶部19は、各々の乗場機器13に固有の固有情報を記憶する部分である。固有情報は、例えば乗場機器13の製造時に付されるシリアルナンバーなどである。
【0026】
操作判定部20は、乗場3の利用者などによって行われた操作を判定する部分である。操作判定部20は、例えば上方ボタンおよび下方ボタンのいずれの操作ボタン17が押されたかを判定する。この例において、操作判定部20は、通常操作と、特殊操作とを判別する。通常操作は、乗場機器13が設けられる乗場3からの乗場呼びを登録する操作である。通常操作は、例えば操作ボタン17を押してから、予め設定された長押し時間が経過する前に離す操作である。特殊操作は、通常操作と異なる操作である。特殊操作は、例えば操作ボタン17を押してから、長押し時間が経過した後に離す操作である。長押し時間は、例えば5秒などである。あるいは、特殊操作は、例えば上方ボタンおよび下方ボタンを予め設定された回数および順番で押す操作などであってもよい。
【0027】
第1通信部21は、乗場機器13の外部の装置との通信を行う部分である。第1通信部21は、操作判定部20が操作を判定するときに、判定された操作の情報、および固有情報記憶部19が記憶している固有情報を送信する。第1通信部21は、例えば上方ボタンおよび下方ボタンのいずれの操作ボタン17が押されたかの判定結果を操作の情報として送信する。また、第1通信部21は、例えば通常操作および特殊操作のいずれが行われたかの判定結果を操作の情報として送信する。
【0028】
群管理装置14は、モード切替部22と、対応記憶部23と、第2通信部24と、割当部25と、階床特定部26と、かご選択部27と、系統選択部28と、対応設定部29と、を備える。
【0029】
モード切替部22は、エレベーター1の動作モードを切り替える部分である。モード切替部22は、例えば切替えスイッチなどである。エレベーター1は、通常モードおよび書込モードを動作モードとして含む。通常モードは、エレベーター1が通常運転を行う動作モードである。通常運転において、エレベーター1の利用者はかご7に乗車して複数の階床の間を移動する。書込モードは、階床設定作業が行われる動作モードである。階床設定作業は、各々の乗場機器13の固有情報を複数の階床のいずれかに対応づける作業である。階床設定作業は、例えば新設のエレベーター1の据付、または、既設のエレベーター1の修理もしくは更新などにおいて行われる。
【0030】
対応記憶部23は、各々の乗場機器13の固有情報を複数の階床のいずれかに対応づけて記憶する部分である。対応記憶部23は、対応テーブルTを記憶する。この例において、対応記憶部23は、系統ごとに対応テーブルTを記憶する。固有情報および階床の対応は、対応テーブルTに書き込まれる。この例において、固有情報「XXX」に「2階」が対応づけられている。また、固有情報「YYY」に「1階」が対応づけられている。
【0031】
第2通信部24は、群管理装置14の外部の装置との通信を行う部分である。この例において、第2通信部24は、各々の乗場機器13から固有情報などの情報を受信する複数の入力ポートを備える。
【0032】
割当部25は、乗場呼びの割当てを行う部分である。乗場呼びの割当ては、例えば次のように行われる。
【0033】
エレベーター1が通常モードであるときに、利用者は、例えば1階の乗場3の乗場機器13の上方ボタンを通常操作する。このとき、当該乗場機器13の乗場基板18において、操作判定部20は、上方ボタンが通常操作されたことを判定する。その後、第1通信部21は、固有情報記憶部19から読み出した固有情報「YYY」と、上方ボタンの通常操作を表す情報とをあわせて群管理装置14に送信する。
【0034】
群管理装置14の第2通信部24は、乗場機器13から固有情報「YYY」を受信する。割当部25は、第2通信部24が受信した固有情報「YYY」をキーとして対応テーブルTを参照することで、対応する階床「1階」を対応記憶部23から読み出す。割当部25は、固有情報によって読み出した階床および当該固有情報とともに第2通信部24が受信した情報に基づいて、1階において上方の階床への乗場呼びの操作が行われたことを検知する。割当部25は、1階を出発階とする上方の階床への乗場呼びを、複数のユニット4のいずれかに割り当てる。乗場呼びが割り当てられたユニット4の制御盤9は、当該ユニット4のかご7が応答するように当該乗場呼びを登録する。
【0035】
階床特定部26は、参照かごが停止している階床を取得する部分である。参照かごは、いずれか1つのユニット4のかご7である。参照かごは、例えば階床設定作業を行う作業員によって選択される。あるいは、参照かごは、例えば1号機などの予め選択された特定のユニット4のかご7であってもよい。各々のユニット4の制御盤9において、各階床におけるかご7の目標停止位置が予め記憶されている。各々のユニット4の制御盤9は、例えば、かご7が停止している位置から最も近い目標停止位置の階床を、かご7が停止している階床と特定する。あるいは、例えばかご7がかご呼びによっていずれかの階床に停止する場合に、各々のユニット4の制御盤9は、かご呼びの行先階として指定された階床をかご7が停止している階床と特定してもよい。階床特定部26は、参照かごを含むユニット4の制御盤9に、参照かごが停止している階床を問い合わせる。このように、階床特定部26は、参照かごを含むユニット4の制御盤9からの回答によって、参照かごが停止している階床を特定する。あるいは、階床特定部26は、各階床における目標停止位置を、各々のユニット4のかご7について予め記憶していてもよい。この場合に、階床特定部26は、参照かごを含むユニット4の制御盤9から参照かごの位置を取得する。階床特定部26は、取得した参照かごの位置に最も近い目標停止位置の階床を、参照かごが停止している階床と特定する。
【0036】
かご選択部27は、参照かごを選択する部分である。かご選択部27は、例えば参照かごを含むユニット4を選択するスイッチなどである。系統選択部28は、階床設定作業において階床に対応づける乗場機器13が属する系統を選択する部分である。系統選択部28は、例えば系統を選択するスイッチなどである。系統選択部28は、エレベーター1におけるすべての系統を選択可能であってもよい。
【0037】
対応設定部29は、階床設定作業において乗場機器13の固有情報を階床に対応づける部分である。対応設定部29は、対応テーブルTへの書込みによって対応づけを行う。対応設定部29は、例えば次のように対応テーブルTへの書込みを行う。
【0038】
階床設定作業を開始するときに、作業員は、モード切替部22によってエレベーター1の動作モードを書込モードに切り替える。このとき、作業員は、かご選択部27によって参照かごを選択する。また、作業員は、系統選択部28によって対応づけを行う系統を選択する。例えば新設のエレベーター1の据付などにおいて全ての乗場機器13について対応づけを行う場合に、作業員は、全ての系統を選択する。あるいは、既設のエレベーター1の修理または更新などにおいて一部の乗場機器13について対応づけを行う場合に、作業員は、対応づけを行う乗場機器13が属する系統を選択する。この例において、作業員は、A系統の3階に配置された乗場機器13について対応づけを行う。
【0039】
書込モードに切り替えた後に、作業員は、対応づけを行う乗場機器13が配置される3階に選択した参照かごを移動させる。このとき、作業員は、参照かごに乗車して3階に移動してもよい。また、作業員は、参照かごに設けられたかご操作盤の操作などによって3階へのかご呼びを登録することで、参照かごを3階に移動させてもよい。
【0040】
作業員は、3階の乗場3の乗場機器13の操作ボタン17を特殊操作する。作業員は、例えば操作ボタン17を押してから長押し時間が経過した後に離す操作を行う。このとき操作される操作ボタン17は、上方ボタンまたは下方ボタンのいずれであってもよい。当該乗場機器13の乗場基板18において、操作判定部20は、操作ボタン17が特殊操作されたことを判定する。その後、第1通信部21は、固有情報記憶部19から読み出した固有情報「ZZZ」と、操作ボタン17の特殊操作を表す情報とをあわせて群管理装置14に送信する。
【0041】
群管理装置14の第2通信部24は、乗場機器13に接続される入力ポートにおいて当該乗場機器13からの固有情報を受信する。対応設定部29は、乗場機器13から固有情報が入力された入力ポートによって、当該乗場機器13が属する系統を判定する。判定した系統が系統選択部28によって選択されたA系統でない場合に、対応設定部29は、対応づけの処理を行わない。一方、判定した系統が系統選択部28によって選択されたA系統である場合に、対応設定部29は、固有情報とともに入力された情報が表す操作が特殊操作であるかを判定する。
【0042】
判定した操作が特殊操作でない場合に、対応設定部29は、対応づけの処理を行わない。一方、対応設定部29が判定した操作が特殊操作である場合に、階床特定部26は、参照かごが停止している階床を「3階」として特定する。階床特定部26は、特定した階床を対応設定部29に出力する。
【0043】
対応設定部29は、出力された階床に対応する固有情報が、入力ポートによって判定されたA系統の対応テーブルに既に書き込まれているかを判定する。出力された階床に対応する固有情報が重複して既に書き込まれていると判定する場合に、対応設定部29は、当該対応テーブルTへの書込みを行わない。このとき、対応設定部29は、書込みの失敗を作業員に報知する。対応設定部29は、例えば参照かごのブザー11を鳴らすことによって作業員への報知を行う。このとき、参照かごのブザー11は、報知部の例である。一方、出力された階床に対応する固有情報がまだ書き込まれていないと判定する場合に、対応設定部29は、対応テーブルTへの書込みを行う。対応設定部29は、入力ポートによって判定されたA系統の対応テーブルTに、乗場機器13から送信された固有情報を階床特定部26から出力された階床に対応づけて書き込む。ここで、乗場機器13から送信された固有情報が当該対応テーブルTに既に書き込まれている場合に、対応設定部29は、固有情報および階床の対応を上書きする。
【0044】
ここで、系統選択部28によって他の系統Bも選択されている場合に、作業員は、参照かごが3階に停止している状態で、系統Bに属し3階に配置された乗場機器13の操作ボタン17を特殊操作してもよい。このように、同じ階床に配置される複数の系統の乗場機器13の対応づけを並行して行ってもよい。
【0045】
また、他の階床において対応づけを行う乗場機器13がある場合に、作業員は、書込モードを維持したまま当該階床に参照かごを移動させる。このとき、作業員は、参照かごに乗車して当該階床に移動してもよい。このとき、対応づけを行う階床の順番は、例えば階床設定作業と並行して行われる他の作業との関係などに応じて前後してもよい。階床設定作業において、全ての階床についての対応づけが一度に行われなくてもよい。階床設定作業は、例えば階床設定作業と並行して行われる他の作業との関係などによって、休止を挟んでもよい。階床設定作業が休止している間、エレベーター1の動作モードは通常モードに切り替えられてもよい。
【0046】
図3は、実施の形態1に係る制御システム12の動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS0において、群管理装置14は、いずれかの乗場機器13から固有情報および受け付けられた操作の情報を第2通信部24が受信したかを判定する。判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ふたたびステップS0に進む。判定結果がYesの場合に、制御システム12の動作は、ステップS1に進む。
【0048】
ステップS1において、群管理装置14は、エレベーター1の動作モードが書込モードであるかを判定する。判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ステップS2に進む。判定結果がYesの場合に、制御システム12の動作は、ステップS4に進む。
【0049】
ステップS2において、割当部25は、第2通信部24が受信した固有情報をキーとして対応する階床を対応記憶部23から読み出す。その後、制御システム12の動作は、ステップS3に進む。
【0050】
ステップS3において、割当部25は、対応記憶部23から読み出した階床を出発階とする乗場呼びを複数のユニット4のいずれかに割り当てる。割り当てられたユニット4の制御盤9は、当該乗場呼びを登録する。その後、制御システム12の動作は、ステップS0に進む。
【0051】
ステップS4において、対応設定部29は、固有情報を送信した乗場機器13が系統選択部28で選択された系統に属するかを判定する。判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ステップS0に進む。あるいは、判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ステップS2に進んでもよい。すなわち、固有情報を送信した乗場機器13が系統選択部28で選択された系統に属していないときに、制御システム12は、当該乗場機器13の操作によって乗場呼びを登録してもよい。一方、判定結果がYesの場合に、制御システム12の動作は、ステップS5に進む。
【0052】
ステップS5において、対応設定部29は、第2通信部24が受信した固有情報が特殊操作を表す情報を伴っているかを判定する。判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ステップS0に進む。判定結果がYesの場合に、制御システム12の動作は、ステップS6に進む。
【0053】
ステップS6において、階床特定部26は、参照かごが停止している階床を特定する。その後、制御システム12の動作は、ステップS7に進む。
【0054】
ステップS7において、対応設定部29は、固有情報を送信した乗場機器13が属する系統の対応テーブルTに階床特定部26が特定した階床に対応する固有情報が重複して書き込まれているかを判定する。判定結果がNoの場合に、制御システム12の動作は、ステップS8に進む。判定結果がYesの場合に、制御システム12の動作は、ステップS9に進む。
【0055】
ステップS8において、対応設定部29は、固有情報を送信した乗場機器13が属する系統の対応テーブルTに、当該固有情報を階床特定部26が特定した階床に対応づけて書き込む。その後、制御システム12の動作は、ステップS0に進む。
【0056】
ステップS9において、対応設定部29は、参照かごのブザー11などの発報部に書込みの失敗を報知させる。その後、制御システム12の動作は、ステップS0に進む。
【0057】
なお、エレベーター1の全ての乗場機器13は、1つの系統に属していてもよい。また、エレベーター1における系統の数は、ユニット4の数と一致していなくてもよい。エレベーター1における系統の数は、1つであってもよい。エレベーター1は、1つのみのユニット4を備えていてもよい。この場合に、エレベーター1は、群管理装置14を有していなくてもよい。
【0058】
また、モード切替部22、対応記憶部23、第2通信部24、割当部25、階床特定部26、かご選択部27、系統選択部28、および対応設定部29などの制御システム12の一部または全部は、群管理装置14に設けられていなくてもよい。これらの制御システム12の一部または全部は、独立したハードウェアに搭載されていてもよい。これらの制御システム12の一部または全部は、一部または全部のユニット4の制御盤9に搭載されていてもよい。特に、エレベーター1が群管理装置14を有していない場合に、これらの制御システム12の一部または全部は、制御盤9に搭載されていてもよい。この場合に、各々の乗場機器13は、固有情報および受け付けた操作の情報を制御盤9に送信する。また、これらの制御システム12の一部または全部の機能は、階床設定作業が行われるときにエレベーター1に接続される保守端末などの外部機器によって実現されてもよい。
【0059】
エレベーター1が群管理装置14を有していない場合に、乗場呼びの登録は、例えば次のように行われる。制御盤9は、第2通信部24が受信した固有情報をキーとして対応テーブルTを参照することで、対応する階床を対応記憶部23から読み出す。制御盤9は、固有情報によって読み出した階床および当該固有情報とともに第2通信部24が受信した情報に基づいて、乗場呼びの階床および方向を検知する。制御盤9は、検知した階床を出発階とする検知した方向への乗場呼びを、かご7が応答するように登録する。このように、制御盤9は、乗場機器13から送信された固有情報が対応する階床を出発階とする乗場呼びをかご7が応答するように登録する。
【0060】
以上に説明したように、実施の形態1に係る制御システム12は、エレベーター1に適用される。エレベーター1は、1つ以上のかご7を有する。各々のかご7は、複数の階床の間を走行する。制御システム12は、複数の乗場機器13と、モード切替部22と、対応記憶部23と、階床特定部26と、対応設定部29と、を備える。各々の乗場機器13は、いずれかの階床に対応する。各々の乗場機器13は、対応する階床の乗場3に設けられる。各々の乗場機器13は、対応する乗場3で行われる操作を受け付けたときに固有情報を送信する。固有情報は、各々の乗場機器13に固有の情報である。モード切替部22は、通常モードおよび書込モードを含むエレベーター1の複数の動作モードを切り替える。対応記憶部23は、通常モードにおいていずれかの乗場機器13が乗場呼びを登録する操作を受け付けたときに当該乗場呼びの出発階を特定しうるように、各々の乗場機器13の固有情報をいずれかの階床に対応づけて記憶する。階床特定部26は、書込モードにおいて、参照かごが停止している階床を複数の階床のうちから特定する。参照かごは、1つ以上のかご7のいずれかである。対応設定部29は、書込モードにおいて、いずれかの乗場機器13から当該乗場機器13の固有情報が送信されたときに、当該固有情報を階床特定部26が特定する階床に対応づけて対応記憶部23に記憶させる。
また、実施の形態1に係るエレベーター1の階床設定方法は、制御システム12における階床設定方法である。階床設定方法は、切替工程と、受信工程と、階床特定工程と、対応設定工程と、を備える。切替工程は、動作モードを通常モードから書込モードに切り替える工程である。受信工程は、書込モードにおいて、いずれかの乗場機器13から当該乗場機器13の固有情報を受信する工程である。階床特定工程は、受信工程において当該固有情報を受信した後に、参照かごが停止している階床を複数の階床のうちから特定する工程である。対応設定工程は、受信工程で受信した固有情報を階床特定工程で特定した階床に対応づけて対応記憶部23に記憶させる工程である。
【0061】
このような構成により、階床設定作業において乗場機器13の対応づけの操作が任意の順番で行えるようになる。このため、階床設定作業の工程の自由度がより高くなる。例えば階床設定作業と並行して行われる他の作業との関係などに応じて、一部の階床の対応づけの作業が後に回せるようになる。また、対応づけの操作を必ずしも階床順に行わなくてもよいので、例えば休止を挟んだ場合における操作順の誤りなどが抑制される。また、故障などへの対応において複数の乗場機器13の一部のみを新しい乗場機器13に更新する場合がある。あるいは、故障などへの対応において複数の階床のうちのいずれか1組の階床の乗場機器13を互いに入れ替える場合がある。このような場合においても、更新または入れ替えを行った乗場機器13の他の乗場機器13について対応づけの作業を行う必要がない。これにより、階床設定作業の作業性がより高められる。また、階床設定作業における対応づけは乗場機器13の操作ボタン17などの操作によって行われるので、フェースプレート15を取り外して乗場基板18を露出させるなどの煩雑な作業の必要がない。これにより、階床設定作業の作業性がより高められる。
【0062】
また、各々の乗場機器13は、乗場呼びを登録する操作と異なる特殊操作を受け付けたときに特殊操作を表す情報を固有情報とともに送信する。いずれかの乗場機器13から送信された当該乗場機器13の固有情報が特殊操作を表す情報を伴うときに、対応設定部29は、当該固有情報を階床特定部26が特定する階床に対応づけて対応記憶部23に記憶させる。一方、いずれかの乗場機器13から送信された当該乗場機器13の固有情報が特殊操作を表す情報を伴わないときに、対応設定部29は、当該固有情報を対応記憶部23に記憶させない。
【0063】
このような構成により、乗場呼びの登録の際の通常操作および対応づけの際の特殊操作が判別されるので、階床設定作業の際に参照かごが停止していない階床の乗場機器13が誤って操作されることによる誤設定の発生が抑えられる。
【0064】
また、いずれかの乗場機器13から送信された固有情報と同じ固有情報を対応記憶部23が既に記憶しているときに、対応設定部29は、当該固有情報を階床特定部26が特定する階床に対応づけて対応記憶部23に上書きして記憶させる。
【0065】
このような構成により、対応記憶部23において、各々の固有情報が対応する階床は一意に記憶される。このため、乗場呼びの登録の際に誤った出発階が設定されることが抑えられる。また、設定ミスなどによって誤った対応が記憶されている場合においても、対応づけの修正が容易になる。また、乗場機器13の入れ替えなどを行う場合においても、入れ替えた後の再度の対応づけの作業が容易になる。
【0066】
また、制御システム12は、報知部を備える。報知部は、報知を行う。各々の乗場機器13は、1つ以上の系統のいずれかに属する。対応記憶部23は、いずれかの乗場機器13から送信された固有情報と異なり、当該固有情報と同じ系統に属し、階床特定部26が特定する階床に対応する固有情報を、既に記憶していることがある。このときに、対応設定部29は、当該乗場機器13から送信された固有情報を対応記憶部23に記憶させずに報知部に報知を行わせる。
【0067】
このような構成により、対応記憶部23において、各々の階床に対応する固有情報は一意に記憶される。このため、乗場呼びの登録の際に誤った出発階が設定されることが抑えられる。また、報知部による報知が行われるので、作業員は、対応づけに失敗したことを速やかに確認できる。
【0068】
また、制御システム12は、系統選択部28を備える。系統選択部28は、複数の系統のうちから設定の対象となる設定系統を選択する操作を受け付ける。固有情報を送信した乗場機器13が系統選択部28によって選択された設定系統に属するときに、対応設定部29は、当該固有情報を階床特定部26が特定する階床に対応づけて対応記憶部23に記憶させる。一方、固有情報を送信した乗場機器13が系統選択部28によって選択された設定系統に属さないときに、対応設定部29は、当該固有情報を前記対応記憶部23に記憶させない。
【0069】
このような構成により、各々の系統について、階床設定作業の対象となるか否かが選択される。このため、複数の系統がある場合に、いずれか一部の系統についてのみ階床設定作業の対象とすることができる。このとき、階床設定作業の対象となっていない系統に属する乗場機器13は、乗場呼びの登録の操作を受け付けてもよい。この場合に、エレベーター1の利用者の輸送を行いながら階床設定作業を行いうるようになる。したがって、利用者の利便性が低下しにくい。
【0070】
また、制御システム12は、かご選択部27を備える。かご選択部27は、1つ以上のかご7のうちから参照かごを選択する操作を受け付ける。
【0071】
このような構成により、階床設定作業と並行して行われる他の作業との関係またはエレベーター1の運行状況などに応じて選択された参照かごによって階床設定作業を行えるようになる。
【0072】
続いて、図4を用いて、制御システム12のハードウェア構成の例について説明する。
図4は、実施の形態1に係る制御システム12の主要部のハードウェア構成図である。
【0073】
制御システム12の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0074】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、制御システム12の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御システム12の各機能を実現する。
【0075】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0076】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0077】
制御システム12の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、制御システム12の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。制御システム12の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御システム12の各機能を実現する。
【符号の説明】
【0078】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 ユニット、 5 巻上機、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合い錘、 9 制御盤、 10 秤、 11 ブザー、 12 制御システム、 13 乗場機器、 14 群管理装置、 15 フェースプレート、 16 表示パネル、 17 操作ボタン、 18 乗場基板、 19 固有情報記憶部、 20 操作判定部、 21 第1通信部、 22 モード切替部、 23 対応記憶部、 24 第2通信部、 25 割当部、 26 階床特定部、 27 かご選択部、 28 系統選択部、 29 対応設定部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4