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  • 特開-負圧式加速ポンプを備えた気化器 図1
  • 特開-負圧式加速ポンプを備えた気化器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061844
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】負圧式加速ポンプを備えた気化器
(51)【国際特許分類】
   F02M 7/08 20060101AFI20220412BHJP
【FI】
F02M7/08 N
F02M7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170042
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000153122
【氏名又は名称】株式会社ニッキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】森 健司
(57)【要約】
【課題】
停止時にアフターバーンを生じさせない負圧式加速ポンプを備えた気化器を提供する。
【解決手段】
燃料溜り5および絞り弁3により開閉される吸気通路2に配置された加速燃料ノズル4にそれぞれチェック弁を介して連通する燃料制御室7と、吸気通路2に連通する負圧室8とが負圧室8側に付勢されたダイヤフラム9を隔てて配置されており、吸気通路2の負圧変化に応じて加速燃料ノズル4から吸気通路2に燃料を吐出する負圧式加速ポンプ6を備えるとともに、負圧式加速ポンプ6の燃料制御室7に燃料溜り5へ通じるリークジェット10を備えた気化器において、負圧式加速ポンプ6の燃料制御室7に、エンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに燃料溜り5へ開放するアフターバーン防止用のリークジェット12を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料溜りおよび絞り弁により開閉される吸気通路に配置された加速燃料ノズルにそれぞれチェック弁を介して連通する燃料制御室と、前記吸気通路に連通する負圧室とが前記負圧室側に付勢されたダイヤフラムを隔てて配置されており、前記吸気通路の負圧変化に応じて前記加速燃料ノズルから吸気通路に燃料を吐出する負圧式加速ポンプを備えるとともに、前記負圧式加速ポンプの前記燃料制御室に燃料溜りへ通じるリークジェットを備えた負圧式加速ポンプを備えた気化器において、
前記負圧式加速ポンプの前記燃料制御室に、エンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに開放して燃料溜りへ通じるアフターバーン防止用のリークジェットを備えたことを特徴とする負圧式加速ポンプを備えた気化器。
【請求項2】
前記アフターバーン防止用のリークジェットがリークカットソレノイドにより開閉するとともに、前記リークカットソレノイドがイグニッションに連動してリークジェットがエンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに開放することを特徴とする請求項1記載の負圧式加速ポンプを備えた気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧式加速ポンプを備えた気化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、絞り弁により開閉される吸気通路に配置された加速燃料ノズルに連通する燃料制御室と、吸気負圧が導入される負圧室側とがダイヤフラムを隔てて配置されており、前記吸気通路の負圧変化に応じて前記加速燃料ノズルから吸気通路に燃料を吐出する負圧式加速ポンプを備える気化器が知られている。
【0003】
この負圧式加速ポンプを備えた気化器は、構造が簡単で安価に製造可能であることなどから、例えば、実開昭50-16329号公報などに旧来から知られており、現在でも安価な汎用エンジンなどに採用されている。
【0004】
図2は従来のダイヤフラム式の負圧式加速ポンプを備えた気化器の一例を示すものであり、気化器本体1に形成された吸気通路2にアクセル(図示せず)の操作により作動する前記吸気通路2を開閉する絞り弁3が配置されており、前記吸気通路2に配置された加速燃料ノズル4からフロート付きの燃料溜り5に貯留した燃料をダイヤフラム式の加速ポンプ6により吐出するものである。
【0005】
そして、前記負圧式加速ポンプ6は、前記加速燃料ノズル4および前記燃料溜り5にそれぞれチェック弁41,51を介して連通する燃料制御室7と、前記吸気通路2に連通する負圧室8とが前記負圧室8側に付勢されたダイヤフラム9を隔てて配置されており、加速時に前記絞り弁3の開度に応じて吸入負圧が変化し、その吸入負圧に応じて前記燃料溜り5に貯留した加速燃料を前記加速燃料ノズル4から吐出するものである。
【0006】
また、この従来のダイヤフラム式の負圧式加速ポンプ6の吐出量は、前記燃料制御室7に形成される燃料溜り5へ通じるリークジェット10の孔径とダイヤフラム9のストローク量とにより決定されるが、この従来の負圧式加速ポンプ6を備えた気化器においては、エンジン停止時に吸入負圧がなくなることから前記負圧式加速ポンプ6の燃料制御室7に充填されていた燃料が前記加速燃料ノズル4から吐出するためアフターバーンの要因になっており、特に排気管が短く設定される汎用エンジンでは消音器内に混合気が充満していることから問題になっていた。
【0007】
また、前記アフターバーンを生じさせない負圧式加速ポンプを備えた気化器として例えば特開2009-47034号などに提示されているプランジャ式の加速ポンプを用いることが知られているが、汎用エンジンにおいてはガバナの関係上、スロットル操作に滑らかさが求められることから、プランジャの摺動抵抗がスロットル操作の妨げとなると言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭50-16329号公報
【特許文献2】特開2009-47034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、停止時にアフターバーンを生じさせない負圧式加速ポンプを備えた気化器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明である負圧式加速ポンプを備えた気化器は、燃料溜りおよび絞り弁により開閉される吸気通路に配置された加速燃料ノズルにそれぞれチェック弁を介して連通する燃料制御室と、前記吸気通路に連通する負圧室とが前記負圧室側に付勢されたダイヤフラムを隔てて配置されており、前記吸気通路の負圧変化に応じて前記加速燃料ノズルから吸気通路に燃料を吐出する負圧式加速ポンプを備えるとともに、前記負圧式加速ポンプの前記燃料制御室に燃料溜りへ通じるリークジェットを備えた負圧式加速ポンプ気化器において、前記負圧式加速ポンプの前記燃料制御室に、エンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに開放して燃料溜りへ通じるアフターバーン防止用のリークジェットを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によると、エンジン停止時に、アフターバーン防止用のリークジェットを開放して負圧式加速ポンプの燃料制御室に充填されている燃料を燃料溜りへ放出させて加速燃料ノズルから吐出するのを阻止することからアフターバーンの発生を防止することができる。
【0012】
また、本発明において、前記アフターバーン防止用のリークジェットがリークカットソレノイドにより開閉するとともに、前記リークカットソレノイドがイグニッションに連動してリークジェットがエンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに開放することを特徴とする場合には、イグニッションによりエンジンをオンオフすることで特別操作することなくアフターバーン防止用のリークジェットを確実に開閉することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エンジン停止時に吸入負圧がなくなることから負圧式加速ポンプの燃料制御室に充填されていた燃料の加速燃料ノズルからの吐出によるアフターバーンを確実に防止することが可能であり、殊に、スロットル操作に滑らかさを求められる汎用エンジンにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明における好ましい実施の形態の概略断面図。
図2】従来例の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明における好ましい実施の形態を示すものであり、全体の構成は前記図2に示した従来例とほぼ同様であり、それらの部分については詳細な説明を省略する。また、前記従来例と同一構成部には同一符号を付して説明する。尚、図面中、符号11はチョーク弁である。
【0017】
そして、本実施の形態が前記図2に示した従来例と異なる点は、負圧式加速ポンプ6の燃料制御室7に、エンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに燃料溜り5へ開放するアフターバーン防止用のリークジェット12を別に備えた点である。
【0018】
殊に、本実施の形態では、前記アフターバーン防止用のリークジェット12はリークカットソレノイド13により電磁気により開閉するとともに、前記リークカットソレノイド13がイグニッション14に連動してエンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに開放するように自動的に開閉する構成である。
【0019】
以上の構成を有する本実施の形態は、前述のようにエンジンの停止時にはイグニッション14がオフでありリークカットソレノイド13が励磁しておらずアフターバーン防止用のリークジェット12が開放状態にある。
【0020】
そして、イグニッション14がオンに操作されるとリークカットソレノイド13が励磁してアフターバーン防止用のリークジェット12が閉止状態になり前記図2に示した従来例と同様に燃料溜り5に貯留していた燃料がダイヤフラム式の負圧式加速ポンプ6における燃料制御室7で加圧されて加速燃料ノズル4から吐出されるものであり、負圧式加速ポンプ6の吐出量は、前記燃料制御室7に形成される燃料溜り5へ通じるリークジェット10の孔径とダイヤフラム9のストローク量とにより決定される点は従来例と同様である。
【0021】
そして、イグニッション14がオフ操作されてエンジンが停止すると、リークカットソレノイド13の励磁が解除されてアフターバーン防止用のリークジェット12が開放状態になり負圧式加速ポンプ6における燃料制御室に充填されていた加速燃料が燃料溜り5へ放出されて加速燃料ノズル4から吐出するのを阻止することからエンジン停止時のアフターバーンの発生を防止することができる。
【0022】
以上のように、本実施の形態は、エンジン停止時に吸入負圧がなくなることから負圧式加速ポンプの燃料制御室に充填されていた燃料が加速ノズルから吐出する事によるアフターバーンを確実に防止することが可能であり、プランジャを用いたプランジャ式加速ポンプを備えた気化器と異なりスロットル操作に滑らかさを求められる汎用エンジンにも適している。
【0023】
また、本実施の形態は、アフターバーン防止用のリークジェット12がリークカットソレノイド13により開閉するとともに、リークカットソレノイド13がイグニッション14に連動してエンジン稼働時に閉止しており、エンジンが停止したときに燃料溜り5へ開放する構成を有していることから、イグニッション14によりエンジンをオンオフすることで特別操作することなくアフターバーン防止用のリークジェット12を確実に開閉することができる。
【0024】
尚、本実施の形態では、イグニッション14がオフ状態(エンジン停止時)でリークカットソレノイド13がオフ状態でアフターバーン防止用のリークジェット12が開放していて、イグニッション14がオン状態(エンジン稼働時)でリークカットソレノイド13がオン状態で励磁されたときアフターバーン防止用のリークジェット12が閉止している構成とした。またアフターバーン防止用のリークジェット12を常時は閉止した状態としておき、エンジン停止時におけるイグニッション14からのオフ信号によりリークカットソレノイド13をワンショットだけ励起してエンジン停止時に一時的にアフターバーン防止用のリークジェット12を開放する構成にしてもよい(図示せず)。
【符号の説明】
【0025】
1 気化器本体、2 吸気通路、3 絞り弁、4 加速燃料ノズル、5 燃料溜り、6 負圧式加速ポンプ、7 燃料制御室、8 負圧室、9 ダイヤフラム、10 リークジェット、11 チョーク弁、12 アフターバーン防止用のリークジェット、13 リークカットソレノイド、14 イグニッション
図1
図2