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  • 特開-車両用洗浄装置およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061904
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】車両用洗浄装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/56 20060101AFI20220412BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220412BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B60S1/56 120B
B08B3/02 G
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170158
(22)【出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖洋
【テーマコード(参考)】
3B201
3D025
3D225
4F033
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB54
3B201BB32
3B201BB44
3B201BB92
3D025AA04
3D025AB01
3D025AC02
3D025AD12
3D025AF07
3D225AA04
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD12
3D225AF07
4F033RA14
4F033RE02
4F033RE03
4F033RE07
4F033RE17
(57)【要約】
【課題】ストローク長が互いに異なる複数種類の車両用洗浄装置を比較的低コストで実現する技術を提供する。
【解決手段】車両用洗浄装置1は、洗浄流体が供給されるシリンダ10と、シリンダ10内に摺動自在に挿入されるピストン12と、シリンダ10から突出するピストン12の先端に取り付けられ、被洗浄物へ向けて洗浄流体を噴射する噴射ノズル部14と、ピストン12が突出するシリンダ10の開口部におけるシリンダ10とピストン12との隙間を閉塞するキャップ16と、を備える。キャップ16は、シリンダ10内に位置する筒部32を含み、筒部32は、ピストン12の先端がシリンダ10から離れる方向におけるピストン12の移動端を規定し、筒部32の外周面には、連通溝32cが形成され、連通溝32cは、シリンダ10の内周面10aとの間で、シリンダ10とピストン12との隙間28をシリンダ10の外部に連通するための連通孔34を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄流体が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、
前記シリンダから突出する前記ピストンの先端に取り付けられ、被洗浄物へ向けて洗浄流体を噴射する噴射ノズル部と、
前記ピストンが突出する前記シリンダの開口部における前記シリンダと前記ピストンとの隙間を閉塞するキャップと、
を備え、
前記キャップは、シリンダ内に位置する筒部を含み、
前記筒部は、前記ピストンの前記先端が前記シリンダから離れる方向における前記ピストンの移動端を規定し、
前記筒部の外周面には、連通溝が形成され、
前記連通溝は、前記シリンダの内周面との間で、前記シリンダと前記ピストンとの隙間を前記シリンダの外部に連通するための連通孔を形成することを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項2】
前記シリンダには、前記連通孔と連通する空気穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用洗浄装置。
【請求項3】
前記空気穴は、前記シリンダの外周面における開口が、前記シリンダの内周面における開口よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の車両用洗浄装置。
【請求項4】
車両用洗浄装置の製造方法であって、
前記車両用洗浄装置は、洗浄流体が供給されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、前記シリンダから突出する前記ピストンの先端に取り付けられ、被洗浄物へ向けて洗浄流体を噴射する噴射ノズル部と、前記ピストンが突出する前記シリンダの開口部における前記シリンダと前記ピストンとの隙間を閉塞するキャップと、を、備え、前記キャップは、シリンダ内に位置する筒部を含み、前記筒部は、前記ピストンの前記先端が前記シリンダから離れる方向における前記ピストンの移動端を規定し、
本製造方法は、
車両用洗浄装置の各部材を形成する形成工程と、
各部材を使用して車両用洗浄装置を組み立てる組立工程と、を含み、
前記形成工程は、前記ピストンの移動方向における前記筒部の長さが前記ピストンのストローク長の設計値に基づいて決定された前記キャップを形成するキャップ形成工程を含むことを特徴とする車両用洗浄装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用洗浄装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車体またはバンパーに形成された開口から噴射ノズル部が外部へ突出され、噴射ノズル部から流体を噴射して、例えば車両用灯具などの被洗浄物を洗浄するための車両用洗浄装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-218705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される技術では、ピストンのストローク長が互いに異なる複数種類の車両用洗浄装置を実現する場合、当該複数種類の車両用洗浄装置ごとで長さが異なるシリンダやピストンを用意する必要があり、コストがかさむ。
【0005】
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ストローク長が互いに異なる複数種類の車両用洗浄装置を比較的低コストで実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用洗浄装置は、洗浄流体が供給されるシリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダから突出するピストンの先端に取り付けられ、被洗浄物へ向けて洗浄流体を噴射する噴射ノズル部と、ピストンが突出するシリンダの開口部におけるシリンダとピストンとの隙間を閉塞するキャップと、を備える。キャップは、シリンダ内に位置する筒部を含む。筒部は、ピストンの先端がシリンダから離れる方向におけるピストンの移動端を規定し、筒部の外周面には、連通溝が形成され、連通溝は、シリンダの内周面との間で、シリンダとピストンとの隙間をシリンダの外部に連通するための連通孔を形成する。
【0007】
本発明の別の態様は、車両用洗浄装置の製造方法である。この方法は、車両用洗浄装置の製造方法であって、車両用洗浄装置は、洗浄流体が供給されるシリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダから突出するピストンの先端に取り付けられ、被洗浄物へ向けて洗浄流体を噴射する噴射ノズル部と、ピストンが突出するシリンダの開口部におけるシリンダとピストンとの隙間を閉塞するキャップと、を、備え、キャップは、シリンダ内に位置する筒部を含み、筒部は、ピストンの先端がシリンダから離れる方向におけるピストンの移動端を規定し、本製造方法は、車両用洗浄装置の各部材を形成する形成工程と、各部材を使用して車両用洗浄装置を組み立てる組立工程と、を含む。形成工程は、ピストンの移動方向における筒部の長さがピストンのストローク長の設計値に基づいて決定されたキャップを形成するキャップ形成工程を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ストローク長が互いに異なる複数種類の車両用洗浄装置を比較的低コストで実現する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る車両用洗浄装置の斜視図である。
図2】実施の形態に係る車両用洗浄装置の側面図である。
図3図1のキャップの斜視図である。
図4】実施の形態に係る車両用洗浄装置を製造する工程を示す製造工程図である。
図5】変形例に係る車両用洗浄装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0012】
図1~2は、実施の形態に係る車両用洗浄装置1を示す図である。図1は、車両用洗浄装置1の斜視図であり、図2は、車両用洗浄装置1の側面図である。図2では、シリンダ10およびキャップ16を断面で示している。図3は、図1のキャップ16の斜視図である。
【0013】
車両用洗浄装置1は、シリンダ10と、シリンダ10内に摺動自在に挿入されるピストン12と、ピストン12の先端に取り付けられ、被洗浄物に向けて洗浄流体(例えば洗浄液)を噴射するための噴射ノズル部14と、ピストン12が突出するシリンダ10の開口部におけるシリンダ10とピストン12との隙間を閉塞するキャップ16と、を備える。
【0014】
車両用洗浄装置1は、車体の内部またはバンパーの裏側に収納され、洗浄時には噴射ノズル部14が車体またはバンパーから外部に突出し、噴射ノズル部14から流体を噴射して被洗浄物を洗浄する。被洗浄物は、例えば灯具ユニット、カメラおよびセンサ(例えばLiDAR)の少なくとも1つを内蔵する筐体カバーであってもよいし、また例えば車体、窓、ミラーなどであってもよい。
【0015】
以降、シリンダ10およびピストン12が延在する方向を軸方向とし、シリンダ10およびピストン12の中心軸を通り当該中心軸に垂直な方向を径方向とし、軸方向においてピストン12に対して噴射ノズル部14が設けられる側を前側として説明する。なお、軸方向は、ピストン12および噴射ノズル部14が移動する方向とも一致する。なお、これらの表記は車両用洗浄装置1が使用される姿勢を制限するものではなく、車両用洗浄装置1は任意の姿勢で使用されうる。
【0016】
シリンダ10は、円筒状に形成される。シリンダ10の後端側には、連結部18を介して図示しないチューブが連結される。チューブは、車体の内側に配置された図示しない洗浄流体貯留タンクに連結される。シリンダ10には、洗浄流体貯留タンクから送り出される洗浄流体が流入される。
【0017】
ピストン12は、円筒状の筒部20と、筒部20の後端寄りの位置から径方向外側へ張り出したフランジ部22と、を含む。筒部20の内部には、バネ24、例えば引張コイルバネが配置され、バネ24の前端側は筒部20に固定され、後端側はシリンダ10に固定される。これにより、ピストン12はバネ24によってシリンダ10に対して後方へ付勢される。
【0018】
ピストン12は、車両用洗浄装置1の非洗浄時は、バネ24の付勢力によって後方の移動端(図1、2の位置)に保持される。この時のピストン12の位置を収納位置とも呼ぶ。筒部20の前端部は、ピストン12が収納位置にあるときにもシリンダ10の前端の開口部から前方に突出する、すなわちシリンダ10の外部に位置する。筒部20の内部には、シリンダ10に流入した洗浄流体が流入される。
【0019】
フランジ部22の後ろ側には環状のシール体26が取り付けられている。シール体26は、ゴム材料等の弾性変形可能な材料によって形成される。シール体26は筒部20に外嵌する。また、シール体26の外径はシリンダ10の内径よりも僅かに大きく形成されており、シール体26の外周部はシリンダ10の内周面10aに密着する。したがって、シリンダ10に洗浄流体が供給されたときに、シール体26よりも前側の筒部20とピストン12との径方向の隙間28への洗浄流体の流入は防止される。
【0020】
キャップ16は、円環部30と、円環部30から後方に延びる筒部32と、を含む。円環部30は、ピストン12の筒部20に外嵌される。円環部30の外径はシリンダ10の内径よりも大きく形成される。円環部30がシリンダ10の前端に当接するようにキャップ16が取り付けられることにより、シリンダ10の開口部におけるシリンダ10とピストン12との隙間を閉塞する。
【0021】
キャップ16の筒部32は、ピストン12の筒部20を環囲するようにシリンダ10内に位置する。キャップ16の筒部32は、ピストン12の筒部20に外嵌される。キャップ16の筒部32の外径は、シリンダ10の内と同じ大きさに形成される。
【0022】
詳しくは後述するように、洗浄時において、ピストン12はフランジ部22がキャップ16の筒部32の後端32aに当接するまで前方に移動する。このため、ピストン12が収納位置にあるときのフランジ部22の前端22aと筒部32の後端32aとの軸方向における距離Sが、ピストン12のストローク長となる。したがって、筒部32の軸方向の長さLは、実現したいピストン12のストローク長の設計値に基づいて決定される。具体的には、ストローク長を長くする場合は筒部32の軸方向の長さLを短くし、ストローク長を短くする場合は筒部32の軸方向の長さLを長くする。これにより、キャップ以外の部品は共通にしつつも、ピストン12のストローク長の異なる車両用洗浄装置を実現できる。
【0023】
シリンダ10の前端側には、シリンダ10の内側と外側とを連通する空気穴10bが形成されている。本実施の形態では、シリンダ10の内周面10aにおける空気穴10bの開口10cの全体が、キャップ16の筒部32の径方向外側に位置する。
【0024】
空気穴10bは、図示の例では切り欠き穴であるが、貫通穴であってもよい。空気穴は、外側すなわちシリンダ10の外周面における開口10dの開口面積が、内側すなわちシリンダ10の内周面における開口10cの開口面積よりも小さくなるよう形成される。つまり、空気穴10bの外側における開口10dは比較的小さく形成される。空気穴10bが切り欠き穴である図示の例では、シリンダ10の外側がシリンダ10の内側よりも切り欠きが浅く(すなわち、軸方向に短く)なっている。これにより、空気穴10bを通じた空気の出入りを可能にしつつも、空気穴10bからの塵埃や水分等の侵入が抑止される。
【0025】
キャップ16の筒部32の外周面32bには、少なくとも1つの連通溝32cが形成される。連通溝32cは、筒部32の後端32aから空気穴10bの径方向内側まで延びる凹部である。複数の連通溝32cが形成される場合、それらは周方向に等間隔に形成されればよい。連通溝32cは、特に限定しないが、ここでは軸方向に直線的に延びるように形成されている。連通溝32cの断面形状は、U字状でも、V字状でも、その他の形状でもよい。キャップ16がシリンダ10に取り付けられた状態では、連通溝32cとシリンダ10の内周面10aとによって、筒部32の後端32aから軸方向に延びる連通孔34が形成される。連通孔34は、隙間28を空気穴10bひいてはシリンダ10の外部と連通する。これにより、隙間28に対して空気が出入りできるため、ピストン12の移動が可能となる。
【0026】
キャップ16の前側には、ダストカバー36が取り付けられる。ダストカバー36は、ゴム材料等の弾性変形可能な材料によって形成される。ダストカバー36は、円環状に形成され、内周面36aがピストン12の外周面に密着される。これにより、シリンダ10への塵埃や水分等の侵入が抑止され、またシリンダ10からの洗浄流体の漏れが抑止される。
【0027】
噴射ノズル部14は、バルブケース38と、2つのノズルホルダ40と、2つの噴射ノズル42と、を含む。バルブケース38は、ピストン12の前端に接続される。バルブケース38内には図示しないバルブが配置されている。バルブは、図示しないバネ、例えば圧縮コイルバネによって後方へ付勢されている。ピストン12に流入された洗浄流体がバルブケース38に供給され、洗浄流体の圧力によってバルブが開放されることにより、洗浄流体がノズルホルダ40に流入される。
【0028】
ノズルホルダ40は、バルブケース38の側方(左右)に回動可能に支持される。噴射ノズル42は、ノズルホルダ40に支持される。噴射ノズル42には、洗浄流体を噴射する噴射口42aが形成されている。
【0029】
噴射ノズル部14の前側には、図示しないカバーが取り付けられる。カバーは、非洗浄時(すなわちピストン12が収納位置にあるとき)に車体またはバンパーの開口部を塞ぐ。
【0030】
以上が車両用洗浄装置1の基本構成である。続いて、その動作を説明する。
【0031】
洗浄流体貯留タンクから連結管を介してシリンダ10に洗浄流体が供給されると、ピストン12のフランジ部22が洗浄流体の圧力を受け、ピストン12はバネ24を伸長させながら収納位置から前方へ移動する。このとき、シリンダ10とピストン12との隙間28内の空気は、ピストン12(特にフランジ部22)の前方への移動にともなって空気穴10bからシリンダ10の外部に流出する。噴射ノズル部14は、ピストン12とともに前方へ移動し、車体またはバンパーの開口部から外に突出する。ピストン12が前方の移動端まで移動すると、具体的にはピストン12のフランジ部22がキャップ16の筒部32に当接すると、ピストン12および噴射ノズル部14の前方への移動が停止する。ピストン12および噴射ノズル部14の前方への移動が停止すると、さらに供給される洗浄流体によって洗浄流体の圧力が上昇し、バルブに作用する洗浄流体の圧力がバルブケース38内のバネの付勢力よりも大きくなると、バルブが開放されて洗浄流体がノズルホルダ40に流入し、噴射ノズル42の噴射口42aから被洗浄物へ向けて洗浄流体が噴射される。
【0032】
洗浄流体貯留タンクからの洗浄流体の供給が停止されると、バルブに作用する洗浄流体の圧力が低下してバルブが閉塞され、噴射ノズル42からの洗浄流体の噴射が停止される。洗浄流体の圧力がさらに低下するとバネ24の付勢力によってピストン12および噴射ノズル部14は後方へ移動し、ピストン12は収納位置に戻る。このとき、ピストン12(特にフランジ部22)の後方への移動にともなって、シリンダ10の外部から空気穴10bを通って隙間28内に空気が流入する。
【0033】
続いて、上述の車両用洗浄装置1の製造方法を説明する。
【0034】
図4は、車両用洗浄装置1を製造する工程を示す製造工程図である。車両用洗浄装置1を製造する工程は、形成工程S102と、組み立て工程S106と、を含む。
【0035】
形成工程S102では、車両用洗浄装置1を構成する各部材を形成する。形成工程S102は、キャップ16を形成するキャップ形成工程S104を含む。キャップ形成工程S104では、軸方向における筒部32の長さLがピストン12のストローク長Sの設計値に基づいて決定されたキャップ16を形成する。
【0036】
例えば、ピストン12のストローク長が互いに異なるN種類(Nは2以上の整数)の車両用洗浄装置1を製造する場合、キャップ形成工程S104では、互いにストローク長Sが異なるN種類のキャップ16を形成する。キャップ以外の他の部材は、N種類の車両用洗浄装置で共通の部材として形成する。なお、各部材は、公知の加工技術を使用して形成すればよい。
【0037】
組み立て工程S106では、キャップ16を含む各部材を使用して車両用洗浄装置1を組み立てる。
【0038】
図4の製造工程図はあくまでも一例であり、他の工程を追加してもよい。
【0039】
実施の形態によれば、キャップ以外の部品は共通にしつつも、すなわち比較的低コストでありながらも、ピストン12のストローク長の異なる車両用洗浄装置1を実現できる。
【0040】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0041】
(変形例1)
実施の形態では、連通孔34とシリンダ10の外部とを連通する空気穴10bがシリンダ10に形成される場合について説明したが、これに限定されず、空気穴はキャップ16の円環部30に形成されてもよい。例えば、連通溝32cから延在するように、円環部30に空気穴が形成されてもよい。
【0042】
(変形例2)
図5は、変形例に係る車両用洗浄装置1の側面図である。図5は、図2に対応する。本変形例では、キャップ16の筒部32は軸方向に比較的短く形成される。空気穴10bの開口10cの少なくとも一部は、キャップ16の筒部32の後端32aよりも後方に位置し、隙間28に臨んでいる。この場合、筒部32は連通溝32cを有しなくてもよい。
【0043】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0044】
1 車両用洗浄装置、 10 シリンダ、 10a 内周面、 10b 空気穴、 10c 開口、 10d 開口、 12 ピストン、 14 噴射ノズル部、 16 キャップ、 28 隙間、 32 筒部、 32b 外周面、 32c 連通溝、 34 連通孔。
図1
図2
図3
図4
図5