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特開2022-61924種がごく小さくなるように品種改良されたすいか及びそのすいかの栽培方法
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  • 特開-種がごく小さくなるように品種改良されたすいか及びそのすいかの栽培方法 図1
  • 特開-種がごく小さくなるように品種改良されたすいか及びそのすいかの栽培方法 図2
  • 特開-種がごく小さくなるように品種改良されたすいか及びそのすいかの栽培方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061924
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】種がごく小さくなるように品種改良されたすいか及びそのすいかの栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 22/05 20180101AFI20220412BHJP
【FI】
A01G22/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170193
(22)【出願日】2020-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り マイクロシード「ピノ・ガール」栽培講習会にて、令和元年10月24日に公開
(71)【出願人】
【識別番号】000110675
【氏名又は名称】ナント種苗株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】奥野 功
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB15
(57)【要約】
【課題】種がごく小さくなるように品種改良された、マイクロシードと呼ばれるすいかについて、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいすいかと、このような高品質なすいかを安定して生産できる栽培方法を提供する。
【解決手段】マイクロシードすいか1を、子づるV1~V4が4本残るように整枝して、全ての子づるに1個ずつ計4個の実F1~F4を付けさせる、いわゆる全つる着果させて、草勢を落ち着かせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種がごく小さくなるように品種改良されたすいかであって、
前記すいかが、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいことを特徴とするすいか。
【請求項2】
前記種がごく小さくなるように品種改良されたすいかの種が、従来品種の4分の1の小ささであることを特徴とする請求項1に記載のすいか。
【請求項3】
種がごく小さくなるように品種改良されたすいかの栽培方法であって、
子づるを3本以上になるように整枝して、全ての子づるに着果させることを特徴とするすいかの栽培方法。
【請求項4】
前記子づるを、親づるの本葉5枚又は6枚残して親づるを摘心して、発生させることを特徴とする請求項3に記載のすいかの栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかとそのすいかの栽培方法に関し、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄色っぽい筋(黄帯ともいう。)も残りにくいすいかと、このような高品質なすいかを安定して生産できる栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種がごく小さくなるように品種改良されたすいかではないものの、子づる(側枝ともいう。)を全てかき取って主枝1本仕立てにした親づる(主枝ともいう。)の19節以下と26節以上の節に付いた実を間引いて(摘果ともいう。)、親づるの20節から第25節に1個だけ実を付けさせる(着果ともいう。)すいかの栽培方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このすいかの栽培方法では、着果した節まで葉の数を20枚から25枚にすることで、1株当たりに吸収される肥料中の栄養量が適度になって、適度な大きさで良好な形状の実を収穫できるようにしている。
【0003】
そして、このすいかの栽培方法では、親づるの19節以下の節に実を付けさせると、着果した節までの葉の数が19枚以下になり、1株当たりに吸収される肥料中の栄養量が不足気味になって、実の大きさが小さくなるとともにその形状がへん平になることや、親づるの26節以上の節に実を付けさせると、着果した節までの葉の数が26枚以上になり、1株当たりに吸収される肥料中の栄養量が過剰気味になって、実が膨らみすぎて変形果や空洞果、裂果などが生じやすくなることが開示されている。
【0004】
また、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかではないものの、親づるの先端を切り(摘心ともいう。)、不要な子づるをかき取って、子づるが2本残るように2本仕立て(子づる2本整枝ともいう。)にして、着果した形態の良いものを子づる1本につき1個残して摘果するすいかの栽培方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このすいかの栽培方法では、子づるを2本仕立てにして、3本仕立てよりも、開花がそろうようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-158195号公報(段落0024,0025)
【特許文献2】特開昭54-160630号公報(第4頁右上欄第5行-第7行、第9頁右上欄第14行-左下欄第4行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に係るすいかの栽培方法では、主枝1本仕立てにした親づるに1個だけ実を付けさせるようにしているために、一株で1個しか実を収穫できない。そこで、前記特許文献1に係るすいかの栽培方法では、支柱を立ててつるを誘引する立体栽培にして、一反当たりの栽培本数を増やすようにしているところ、前記特許文献1に係る主枝1本仕立てを、すいか栽培で一般的なつるを地面に這(は)わせる地這(じば)い栽培で行うと、一反当たりの収穫量が大幅に減ってしまう。
【0007】
また、前記特許文献1に係るすいかの栽培方法では、一反当たりの栽培本数を増やすようにしているところ、栽培本数を増やす分だけ多くの苗を用意しなくてはならず、苗の代金が余分にかかってしまう。さらに、前記特許文献1に係るすいかの栽培方法では、栽培本数を増やした分だけ多くの株を定植しなければならず、農作業の手間も余分にかかってしまう。
【0008】
前記特許文献2に係るすいかの栽培方法では、子づるが2本残るように2本仕立てにして、子づる1本につき1個残して摘果する、いわゆる2本仕立て2果穫り(子づる2本整枝2果穫りともいう。)にしているために、すいか栽培で一般的な3本仕立て2果穫り(子づる3本整枝2果穫りともいう。)よりも、着果した一つの実当たりの葉の数が少なくなる。そこで、前記特許文献2に係るすいかの栽培方法では、特定の紫外線遮蔽特性を有する農業用被覆材を使うなどして、特殊な栽培環境を整えるようにしているところ、前記特許文献2に係る2本仕立て2果穫りを、一般的な栽培環境で行うと、着果させた2つとも実が大きくならなかったり、収穫前につるの勢い(草勢ともいう。)が落ちて、株がしおれて枯れてしまったりしてしまう場合がある。
【0009】
そもそも、前記特許文献1と前記特許文献2に係るすいかの栽培方法は、種の大きさが一般的なすいかを対象にした栽培方法のために、これらの栽培方法を、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかに適用しても、同じような好ましい効果が出るとは限らない。実際に、一般的な種なしすいかでは、栽培上好ましくない特性、例えば草勢が強くて着果性が悪いことを克服できる栽培方法を見いだせないためなどで、栽培が広く普及していない。
【0010】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかについて、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいすいかと、このような高品質なすいかを安定して生産できる栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいものにした。
【0012】
請求項2に係る発明では、すいかの種を、従来品種の4分の1に小さくした。
【0013】
請求項3に係る発明では、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、子づるが3本以上になるように整枝して、全ての子づるに着果させる、いわゆる全つる着果させるようにした。
【0014】
請求項4に係る発明では、親づるの本葉5枚又は6枚残して親づるを摘心して、子づるを5本又は6本発生させるようにした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいものにしたので、高品質なすいかとなる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、すいかの種を従来品種の4分の1に小さくしたので、種を気にせずに、種まで食べられるようにできる。そのため、請求項2に係る発明によれば、種を取るストレスから、消費者を開放することができる。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、すいかの種を従来品種の4分の1に小さくしたので、従来品種に比べて果肉が軟らかく(果肉が緩むともいう。)なりにくく、収穫適期から例えば10日以上遅れて収穫しても、上々のシャリ感を味わうことができる。そして、請求項2に係る発明によれば、従来品種に比べて果肉が軟らかくなりにくいので、出荷してからの日持ち(棚持ちともいう。)を良くすることもできる。ここで、果肉は種の周りから軟らかくなり始めるために、種の大きさが小さくなるほど、果肉が軟らかくなりにくくなるのである。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、全つる着果させるようにしたので、草勢を落ち着かせることができる。そのため、請求項3に係る発明によれば、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいものにできる。
【0019】
また、請求項3に係る発明によれば、全つる着果させるようにしたので、一般的な子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りに比べて、収穫量を増やすこともできる。
【0020】
さらに、請求項3に係る発明によれば、全つる着果させるようにしたので、一般的な子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りのように摘果をしなくてすみ、農作業の負担を軽減することもできる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、親づるの本葉5枚又は6枚残して親づるを摘心して、子づるを5本又は6本発生させるようにしたので、必要な本数の子づるの発生をそろえることができる。そして、請求項4に係る発明によれば、発生した子づる5、6本の中から生育の良い子づるを3本選んで3本仕立てや、生育の良い子づるを4本選んで4本仕立てに整枝することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良された(以下、マイクロシード(登録商標)という。)すいかを説明する模式図のうち、すいかの実を放射状に8等分に切った斜視図であり、(b)はすいかの種の上面図である。
図2】実施形態に係るマイクロシードすいかの栽培方法の説明図のうち、子づる4本整枝を説明する模式図である。
図3】実施形態に係るマイクロシードすいかの栽培方法の説明図のうち、子づる4本整枝4果穫りを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。出願人は、野菜や果物などの農産種子の生産と卸販売をしており、お客様の要望を満たす高付加価値の品種を開発し、その種子を安定供給するという社会的役割を担ってきた。
【0024】
出願人は、「すべてはニッポンの農業のために」「すべてはニッポンの食卓のために」のスローガンのもと、出願人が永年にわたり培ってきた技術を生かし、未来の需要を創造する品種、生産農家の再生産意欲をかき立て、幼い子供たちがニコニコと笑顔になる夢のある品種開発を目指してきた。
【0025】
発明者は、すいかを育種して26年、すいかの消費が年々減少傾向にあることから、すいかをもっと食べやすくすることに取り組んできた。発明者は、これまでにも、既存の種なしすいか品種ではかなえられなかった栽培性と秀品性、到達できなかったコクのある甘さと食感の良さを実現した「ブラックジャック」(登録商標)という種なしすいかを開発して、普通のすいかよりも栽培しづらく、普通のすいかほどおいしくないという種なしすいかの常識を打ち破ってきた。
【0026】
発明者は、種なしすいかを開発する中で、すいかを食べやすくするには、種をなくすしかないと考えていたところ、種を吐き出さなくてすめばいいのではないかとの着想を得て、種なしすいかの開発と合わせて、種の小さいすいかの開発にも取り組み始めた。
【0027】
こうして発明者は、種の小さい海外の品種と、おいしい国産すいかを掛け合わせて、種の小さいすいかの開発を始めた。発明者は、品種の掛け合わせという地道な作業を繰り返すこと16年、昨年完成したのが、種がごく小さくなるように品種改良されたマイクロシード小玉すいか「ピノ・ガール」(商願2020―99666)である。
【0028】
ピノ・ガールは、すいかの種を一般的な小玉すいかの4分の1まで小さくすることで、すいかの種を気にせず、そのまま飲み込めるようにしたものである。ピノ・ガールは、種が邪魔との消費者の不満を解決することで、年々減少傾向にあるすいかの消費量の底上げが期待できる、出願人一押しの品種となった。
【0029】
こうした中で発明者は、一般的な種なしすいかでは、栽培上好ましくない特性を克服できる栽培方法を見いだせないなどで、栽培が広く普及してこなかったことを気に掛けていた。そこで、発明者は、ピノ・ガールを全国展開するに当たり、栽培に失敗しないでほしいと願うようになった。この発明は、新品種で農家さんにもっともっと儲(もう)かってほしい、すいか産地が末永く発展する力になりたいという、発明者の使命感から創作されたものである。
【0030】
発明者は、ピノ・ガール特有の傾向を追求する中で、ピノ・ガールは、定植後の栽培初期には、一見すると草勢がおとなしいように見えるところ、草勢が交配に向けて強くなり、着果後も草勢が落ちない傾向があることに着目した。
【0031】
そして、発明者は、ピノ・ガール特有の傾向である、草勢が交配に向けて強くなり、着果後も草勢が落ちないことに対する対策ができれば、草勢が強くなりすぎることに起因する裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくくできることを見いだし、この発明を創作するに至ったものである。
【0032】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良された(以下、マイクロシードという。)すいかを説明する模式図のうち、(a)は、すいかの実を放射状に8等分に切った斜視図である。図1の(a)に示すように、マイクロシードすいか1は、種2が従来品種Wよりもごく小さい。ここでは、マイクロシードすいか1は、出願人が品種改良したピノ・ガールである。
【0033】
図1の(b)は、すいかの種の上面図である。図1の(b)に示すように、マイクロシードすいか(以下、ピノ・ガールという。)の種2は、従来品種W、ここでは一般的な小玉すいかの見た目で3分の1の小ささ、体積で4分の1の小ささである。
【0034】
図1の(b)に示すように、ピノ・ガールの種2は、ごく小さく、殻の厚みも非常に薄く品種改良されているために、果肉と一緒に種2を食べても、異物感や苦みが気にならない。そこで、ピノ・ガール1は、従来品種Wのように種Sを取り除いたり、種Sを吐き出したりしなくても、そのまま種2を気にせずに、種2まで食べられる。
【0035】
ここで、すいかの種を食べると盲腸になるといううわさがあるところ、すいかの種を食べても盲腸になることはなく、すいかの種を食べても健康上の問題は生じない。むしろ、すいかの種は、栄養が豊富であり、中国では、すいかの種を塩でいって食べる文化があるほど一般的な食材である。すいかの種は、ミネラルやビタミン、脂肪酸、タンパク質が豊富であり、すいかの種に含まれる亜鉛や鉄、葉酸は貧血予防に効果的である。また、すいかの種に含まれるビタミン類がタンパク質に作用することで、健康的な体作りに効果が期待できる。さらに、すいかの種に含まれる不飽和脂肪酸は、血中コレステロールを下げる効果が知られている。
【0036】
また、ピノ・ガール1は、種2が一般的な小玉すいかWの4分の1の小ささのために、一般的な小玉すいかWに比べて種2の周りの果肉が軟らかくなりにくい。そこで、ピノ・ガール1は、収穫適期から例えば10日以上遅れて収穫しても、上々のシャリ感を味わる。また、ピノ・ガール1は、一般的な小玉すいかWよりも、出荷してからの日持ち(棚持ちともいう。)も良い。
【0037】
さらに、ピノ・ガール1は、図1の(a)に示すように、出荷をできないために、収穫量の減少につながる実の割れ(裂皮や裂果という。)や、カットして売る場合に見た目が悪いために、買い取り価格の低下につながる果肉の空洞がない。また、ピノ・ガール1は、図1の(a)に示すように、筋張って食感が悪いために、品質の低下につながる果肉に黄色っぽい筋(黄帯ともいう。)も少ない。
【0038】
図2は、実施形態に係るマイクロシードすいか1の栽培方法の説明図のうち、子づる4本整枝を説明する模式図である。図2に示すように、実施形態に係るマイクロシードすいかの栽培方法、ここではピノ・ガール1の栽培方法は、親づるVの先端を切り(摘心ともいう。)、子づるV1~V4が4本残るように整枝するものである。
【0039】
摘心は、親づるの本葉5枚か6枚、ここでは親づるの本葉L1~L5を5枚残して、親づるVの先端を切るようにすると、子づるV1~V5が一斉に発生する。整枝は、子づるV1~V5の中から生育の良い子づるを4本、ここでは子づるV1~V4を選び、子づるV5をかき取って子づるV1~V4が4本残るようにする。
【0040】
図3は、実施形態に係るマイクロシードすいか1の栽培方法の説明図のうち、子づる4本整枝4果穫りを説明する模式図である。図3に示すように、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法は、子づるV1~V4が4本残るように整枝し、それらの子づるV1~V4の全てに1個ずつ計4個の実F1~F4を付けさせるものである。
【0041】
図3に示すように、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法は、子づるV1~V4の全てに1個ずつ計4個の実F1~F4を付けさせる、いわゆる全つる着果させることで、草勢が強いピノ・ガール1であっても、草勢を落ち着かせられる。そのため、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法では、全つる着果させることで、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくくなる。
【0042】
交配は、20節以降にできた雌花に行うことを目標にして、20節から23節に着果させることが望ましい。しかしながら、天候や生育状況次第では、20節よりもつるの付け根に近い方の節の位置(低節位という。)でも、例えば15節以降にできた雌花でも交配をしてもよい。また、交配は、草勢が弱っている場合には、つるの先端により近い方の節の位置(高節位という。)の雌花に行うようにすることで、草勢を充実させられる。
【0043】
ここで、ピノ・ガール1は、定植後の栽培初期には、一見すると草勢がおとなしいように見えるところ、草勢が交配に向けて強くなり、着果後も草勢が落ちない傾向がある。そこで、一般的なすいかの栽培方法では、すいかは実が大きいために着果負担が大きく、子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りなど、つる数引く1の数を着果させるようにして、草勢の維持に努めることが常識であるところ、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法では、この常識に反して、全つる着果させるものである。
【0044】
このように、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法では、常識に反して、子づる3本整枝3果穫りや、子づる4本整枝4果穫りという全つる着果させるため、一般的な子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りに比べて、収穫量が増える。また、実施形態に係るピノ・ガール1の栽培方法では、常識に反して、全つる着果させるため、一般的な子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りのように摘果をしなくてすむ。
【0045】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、マイクロシードすいかや、出願人が品種改良したピノ・ガールと説明したところ、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかであれば、どのような名称のすいかでも構わない。
【0046】
また、例えば、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、小玉すいかと説明したところ、大玉すいかでも構わない。
【0047】
さらに、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、種が従来品種の4分の1の小ささであると説明したところ、種を気にせずに、種まで食べられれば、従来品種の4分の1の小ささでなくても構わない。
【0048】
加えて、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良されたすいかの栽培方法を、子づるが4本残るように整枝すると説明したところ、子づるを3本以上になるように整枝すれば、子づるの数は5本でも6本でも構わない。
【0049】
また、実施形態に係る種がごく小さくなるように品種改良されたすいかの栽培方法を、親づるの本葉5枚か6枚残して親づるを摘心すると説明したところ、この説明は6枚よりも多くの本葉を残して親づるを摘心することを除外するものではなく、例えば親づるの本葉を10枚ほどで残して親づるを摘心するようにしても構わない。
【0050】
この発明において、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいこととは、種がごく小さくなるように品種改良されたすいかを、一般的な子づる3本整枝2果穫りや、子づる4本整枝3果穫りで栽培したものと比べて、裂皮や裂果をしにくく、果肉に空洞ができにくく黄帯も残りにくいことをいう。
【符号の説明】
【0051】
1 マイクロシードすいか(ピノ・ガール)
2 種
V つる
L 本葉
F 実
図1
図2
図3