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特開2022-61963ホットメルト接着剤、積層体及び使い捨て製品
<図1>
  • 特開-ホットメルト接着剤、積層体及び使い捨て製品 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061963
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤、積層体及び使い捨て製品
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20220412BHJP
   A61F 13/45 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C09J153/02
A61F13/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164439
(22)【出願日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020169648
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 悠
(72)【発明者】
【氏名】源馬 力夫
(72)【発明者】
【氏名】袴田 涼平
【テーマコード(参考)】
3B200
4J040
【Fターム(参考)】
3B200BB03
3B200BB09
3B200BB20
4J040CA081
4J040CA111
4J040HB02
4J040KA26
4J040KA31
4J040LA08
4J040MA11
4J040MB02
4J040NA10
4J040PA30
4J040PB05
(57)【要約】
【課題】本発明は、接着性に優れ、良好な風合いを有し、タック感が抑制されるホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】スチレン系ブロック共重合体(A)と、液状可塑剤(B)とを含有し、示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有する、ことを特徴とするホットメルト接着剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ブロック共重合体(A)と、液状可塑剤(B)とを含有し、
示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有する、
ことを特徴とするホットメルト接着剤。
【請求項2】
更に粘着付与樹脂(C)と、固体可塑剤(D)とを含有する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
前記固体可塑剤(D)が、57~80℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)と、95~141℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)とを含有する、請求項2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記固体可塑剤(D1)の含有量が、前記スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して30~150質量部であり、
前記固体可塑剤(D2)の含有量が、前記スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して5~40質量部である、請求項3に記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
前記スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)の少なくとも一方を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
前記固体可塑剤(D)が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項2~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤により、一対の基材が接合されている積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の積層体を用いてなる使い捨て製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤、積層体及び使い捨て製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙おむつ、生理用ナプキン等の使い捨て製品には、不織布、多孔質基材(例えば、ティッシュ等)、ポリオレフィン系樹脂フィルム、天然ゴム等の構成部材が用いられている。
【0003】
これらの構成部材を、ホットメルト接着剤を用いて接着することによって使い捨て製品が組み立てられている。
【0004】
近年、使い捨て製品の薄型化が進み、それに伴いより薄い多孔質基材が使われている。
【0005】
より薄い多孔質基材に従来のホットメルト接着剤を塗布すると、熱、圧力等により、多孔質基材からホットメルト接着剤が少しでも染み出した場合、ホットメルト接着剤自体が粘着性を有するため、装着時に使用者へ不快感を与えるおそれがある。
【0006】
ホットメルト接着剤の表面のタック感(ベタつき感)を軽減するために、ホットメルト接着剤に固体可塑剤を含有させる手法が知られている。
【0007】
例えば、特許文献1には、約110~130℃の範囲の比較的低温での塗布が可能な、使い捨て製品の弾性アタッチメント接着に好適なホットメルト接着剤が記載されている。
【0008】
特許文献2には、メタロセン触媒によるポリエチレン重合体、スチレン系ブロック共重合体、粘着付与樹脂および固体可塑剤を含むホットメルト接着剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2014-508832号
【特許文献2】特開2017-206701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の低塗布温度ホットメルト接着剤は、固体可塑剤の配合比率が適切でないため、タック感の抑制と良好な風合いとの両立が出来なかった。
【0011】
特許文献2のポリオレフィン系ホットメルト接着剤は、メタロセン触媒によるポリオレフィン重合体とスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)と粘着付与剤と固体可塑剤とを含有するが、液状可塑剤を含有していないため、風合いが低下し、接着性が発現されないという問題がある。
【0012】
タック感を抑制するためには、一定量の固体可塑剤をホットメルト接着剤に含有させる必要があるが、ホットメルト接着剤のオープンタイムが短くなり、被着材への接合後に十分な接着力を発現しないことがある。更に、固体可塑剤の含有量が多くなるとホットメルト接着剤自体が硬くなり、使い捨て製品の風合いを損ねる原因となるおそれがある。これら従来技術の問題点を改善できるホットメルト接着剤の提供が望まれるが、未だ開発されていない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑み、接着性に優れ、良好な風合いを有し、タック感が抑制されるホットメルト接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スチレン系ブロック共重合体(A)と液状可塑剤(B)とを含有し、特定の物性値を有するホットメルト接着剤によれば、上記課題を達成できることを見出した。本発明は、本発明者らがさらに研究を重ね、完成させたものである。
【0015】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.
スチレン系ブロック共重合体(A)と、液状可塑剤(B)とを含有し、
示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有する、
ことを特徴とするホットメルト接着剤。
項2.
更に粘着付与樹脂(C)と、固体可塑剤(D)とを含有する、項1に記載のホットメルト接着剤。
項3.
前記固体可塑剤(D)が、57~80℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)と、95~141℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)とを含有する、項2に記載のホットメルト接着剤。
項4.
前記固体可塑剤(D1)の含有量が、前記スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して30~150質量部であり、
前記固体可塑剤(D2)の含有量が、前記スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して5~40質量部である、項3に記載のホットメルト接着剤。
項5.
前記スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)の少なくとも一方を含有する、項1~4のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
項6.
前記固体可塑剤(D)が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項2~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤。
項7.
項1~6のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤により、一対の基材が接合されている積層体。
項8.
項7に記載の積層体を用いてなる使い捨て製品。
【発明の効果】
【0016】
本発明のホットメルト接着剤は、接着性に優れ、良好な風合いを有し、タック感が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】DSC曲線における融解熱量ΔHを算出する際の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0020】
本明細書において、「a及び/又はb」とは、a単独、b単独、並びに、a及びbの3つを意味する。
【0021】
1.ホットメルト接着剤
本発明のホットメルト接着剤は、必須成分として、スチレン系ブロック共重合体(A)と、液状可塑剤(B)とを含有する。本発明のホットメルト接着剤は、示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有する。
【0022】
DSCを用いた吸熱ピークの測定方法は実施例の項目において後述する。
【0023】
本発明のホットメルト接着剤は、上述した要件を備えていることにより、接着性に優れ、良好な風合いを有し、タック感が抑制される。
【0024】
以下、本発明のホットメルト接着剤に含まれる各成分について説明する。なお、本発明のホットメルト接着剤を、単に「本発明」と記載することもある。
【0025】
(スチレン系ブロック共重合体(A))
本発明において、スチレン系ブロック共重合体(A)は、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体である。
【0026】
ビニル系芳香族炭化水素とは、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物を意味する。ビニル系芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらのビニル系芳香族炭化水素は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系芳香族炭化水素の中でも、スチレンが好ましい。
【0027】
共役ジエン化合物とは、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物を意味する。共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらの共役ジエン化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの共役ジエン化合物の中でも、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0028】
スチレン系ブロック共重合体(A)は、未水素添加物であっても、水素添加物であってもよい。スチレン系ブロック共重合体(A)としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレンーブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-ブタジエンーブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-エチレンープロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。これらのスチレン系ブロック共重合体(A)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのスチレン系ブロック共重合体(A)の中でも、ホットメルト接着剤の風合いの点から、SBS及び/又はSISを使用することが好ましい。
【0029】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体(A)は、(i)スチレン骨格含有量がそれぞれ異なる2種類のSBSを含有すること、(ii)スチレン骨格含有量がいずれも異なる3種類のSBSを含有すること、(iii)SBSとSISとを含有すること、又は(iv)SBSとスチレン骨格含有量がそれぞれ異なる2種類のSISとを含有することがより好ましい。
【0030】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体(A)は、(i)スチレン骨格含有量がそれぞれ異なる2種類のSBSを含有すること、又は(ii)スチレン骨格含有量がいずれも異なる3種類のSBSを含有することがより一層好ましい。
【0031】
本発明において、スチレン系ブロック共重合体(A)は、(i)スチレン骨格含有量がそれぞれ25~35質量%の範囲内にある2種類のSBSを含有すること、又は(ii)スチレン骨格含有量がいずれも30~45質量%の範囲内にある3種類のSBSを含有することが特に好ましい。
【0032】
スチレン系ブロック共重合体(A)におけるスチレン骨格含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量%中、10~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~45質量%がより一層好ましい。
【0033】
本明細書において、スチレン系ブロック共重合体(A)中のスチレン骨格含有量とは、スチレン系ブロック共重合体(A)中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。スチレン系ブロック共重合体(A)中のスチレン骨格含有量の算出方法としては、例えば、JIS K 6239-1:2017に準じたプロトン核磁気共鳴法(1H-NMR法)及びキャストフィルムによる赤外分光法(IR法)を用いる方法が挙げられる。
【0034】
スチレン系ブロック共重合体(A)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、旭化成社製の製品名「アサプレンT-438」(スチレン骨格含有量:35質量%)、旭化成社製の製品名「アサプレンT-436」(スチレン骨格含有量:30質量%)、旭化成社製の製品名「アサプレンT-432」(スチレン骨格含有量:30質量%)、クレイトン社製の製品名「D-1161」(スチレン骨格含有量=15質量%)、クレイトン社製の製品名「G-1726」(スチレン骨格含有量=30~32質量%)クレイトン社製の製品名「G-1645」(スチレン骨格含有量=11.5~13.5質量%)等が挙げられる。
【0035】
本発明のホットメルト接着剤100質量%中のスチレン系ブロック共重合体(A)の含有量は、接着強度、風合いの点から、好ましくは10~40質量%、より好ましくは12~35質量%、より一層好ましくは15~30質量%、特に好ましくは17~25質量%である。
【0036】
本発明のホットメルト接着剤100質量%中のスチレン骨格含有量は、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、より一層好ましくは1~20質量%、特に好ましくは3~15質量%である。
【0037】
(液状可塑剤(B))
本発明のホットメルト接着剤は、液状可塑剤(B)を含有する。本明細書において、「液状」とは、25℃で流動性をもつ(即ち、器に入れた場合に容器に合わせて形状を変える)ことを意味する。
【0038】
液状可塑剤(B)としては、例えば、ポリブテン、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの中でも、ポリブテン及びプロセスオイルの少なくとも一種が好ましい。また、プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル及びナフテン系プロセスオイルの少なくとも一種がより好ましい。本発明において、液状可塑剤(B)は、パラフィン系プロセスオイル及び/又はナフテン系プロセスオイルであることがより好ましい。
【0039】
上述した液状可塑剤(B)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
ポリブテンとしては、例えば、イソブテンのホモポリマー、イソブテンとn-ブテンとのコポリマー等が挙げられる。
【0041】
ポリブテンとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、日本油脂社製の製品名「10N」、イネオス社製の製品名「インドポールH-100」、新日本石油化学製の製品名「日石ポリブテン」、新日本石油化学製の製品名「テトラックス」等が挙げられる。
【0042】
パラフィン系プロセスオイルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製の製品名「PW-32」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアS32」、出光興産社製の製品名「PS-32」等が挙げられる。
【0043】
ナフテン系プロセスオイルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ペトロチャイナ社製の製品名「KN-4010」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアN28」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアN90」、出光興産社製の製品名「ダイアナフレシアU46」、出光興産社製「ダイアナプロセスオイルNR」等が挙げられる。
【0044】
芳香族系プロセスオイルとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、新日本石油社製の製品名「アロマックス」が挙げられる。
【0045】
これらのプロセスオイルの数平均分子量(Mn)は、200~700が好ましく、300~600がより好ましい。本明細書における数平均分子量(Mn)は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製、分子量:370~2,520,000)
カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0046】
流動パラフィンとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、MORESCO社製の製品名「P-100」、Sonneborn社製の製品名「Kaydol」等が挙げられる。
【0047】
炭化水素系合成油としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、三井化学社製の製品名「ルーカントHC-10」、三井化学社製の製品名「ルーカントHC-20」等が挙げられる。
【0048】
本発明において、液状可塑剤(B)の含有量が1質量%以上であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり風合いが向上する。また、液状可塑剤(B)の含有量が40質量%以下であると、ホットメルト接着剤の凝集力が向上して接着性が発現する。
【0049】
本発明において、液状可塑剤(B)の含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは30~90質量部であり、より好ましくは32~80質量部であり、より一層好ましくは34~75質量部であり、特に好ましくは36~70質量部である。
【0050】
(粘着付与樹脂(C))
本発明のホットメルト接着剤は、更に粘着付与樹脂(C)を含有することが好ましい。粘着付与樹脂(C)としては、例えば、ロジン系化合物、テルペン系化合物、石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂(C)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粘着付与樹脂(C)の中でもテルペン系化合物、石油樹脂が好ましく、特に石油樹脂(とりわけ水添石油樹脂)が好ましい。
【0051】
ロジン系化合物としては、例えば、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。
【0052】
テルペン系化合物としては、例えば、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体等が挙げられる。
【0053】
石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、これら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。なお、C5系石油樹脂とは石油のC5留分を原料とした石油樹脂であり、C9系石油樹脂とは石油のC9留分を原料とした石油樹脂であり、C5C9系石油樹脂とは石油のC5留分とC9留分とを原料とした石油樹脂である。C5留分としては、シクロペンタジエン、イソプレン、ペンタン等が挙げられる。C9留分としては、スチレン、ビニルトルエン、インデン等が挙げられる。C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂としては、C9留分の一種であるスチレンを骨格中に含むものが好ましい。
【0054】
粘着付与樹脂(C)としては、ホットメルト接着剤の臭気、熱安定性に優れている点で、石油樹脂が好ましく、部分水添石油樹脂及び完全水添石油樹脂がより好ましい。
【0055】
上述した粘着付与樹脂(C)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
粘着付与樹脂(C)の軟化点温度は、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。軟化点温度の上限は、140℃であることが好ましい。粘着付与樹脂(C)の軟化点が90℃以上であると、本発明のホットメルト接着剤が良好な接着性を発揮し易くなる。
【0057】
本明細書において、粘着付与樹脂の軟化点温度は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
【0058】
本発明において、粘着付与樹脂(C)の含有量が40質量%以上であると、ホットメルト接着剤の粘着性が向上して被着体への密着性が向上する。また、粘着付与樹脂(C)の含有量が70質量%以下であると、ホットメルト接着剤が柔らかくなり接着力を発揮し易くなる。
【0059】
本発明において、粘着付与樹脂(C)の含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは200~400質量部であり、より好ましくは250~350質量部であり、より一層好ましくは275~330質量部である。
【0060】
粘着付与樹脂(C)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、JXTGエネルギー社製の製品名「HB-103」、JXTGエネルギー社製の製品名「HA-085」、JXTGエネルギー社の製品名「HA-103」、JXTGエネルギー社製の製品名「HB-125」、イーストマンケミカル社製の製品名「リガライト C-6100L」、ヤスハラケミカル社製の製品名「YSレジン TO-105」、荒川化学社製の製品名「アルコンP-90」、荒川化学社製の製品名「アルコンP-100」、荒川化学社製の製品名「アルコンM-100」、出光興産社製の製品名「アイマーブP100」、Kolon社製の製品名「スコレッツSU400」、出光興産社製の製品名「アイマーブP100」等が挙げられる。
【0061】
(固体可塑剤(D))
本発明のホットメルト接着剤は、更に固体可塑剤(D)を含有することが好ましい。
【0062】
本発明において、固体可塑剤(D)が、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びフィッシャートロプシュワックスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0063】
本発明において、固体可塑剤(D)が、固体可塑剤(D1)と固体可塑剤(D2)とを含有することが好ましい。固体可塑剤(D1)は、好ましくは57~80℃の範囲に融点を有し、より好ましくは60~75℃の範囲に融点を有し、より一層好ましくは63~70℃の範囲に融点を有する。固体可塑剤(D2)は、好ましくは95~141℃の範囲に融点を有し、より好ましくは100~120℃の範囲に融点を有し、より一層好ましくは101~110℃の範囲に融点を有する。
【0064】
本発明において、固体可塑剤(D)が、57~80℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)と、95~141℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)とを含有することが好ましい。
【0065】
本発明において、固体可塑剤(D)が、60~75℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)と、100~120℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)とを含有することがより好ましい。
【0066】
本発明において、固体可塑剤(D)が、63~70℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)と、101~110℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)とを含有することがより一層好ましい。
【0067】
本発明において、固体可塑剤(D1)と固体可塑剤(D2)との質量比(D1/D2)は、1.5以上が好ましく、1.8以上がより好ましく、2.0以上がより一層好ましい。本発明において、固体可塑剤(D1)と固体可塑剤(D2)との質量比(D1/D2)は、20以下が好ましく、17以下がより好ましく、15以下がより一層好ましい。
【0068】
本発明において、固体可塑剤(D1)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して30~150質量部であり、且つ、固体可塑剤(D2)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して5~40質量部であることが好ましい。固体可塑剤(D1)及び固体可塑剤(D2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト接着剤の接着性がより優れ、風合いがより良好となり、且つ、タック感がより抑制される。
【0069】
本発明において、固体可塑剤(D1)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して40~130質量部であり、且つ、固体可塑剤(D2)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して9~30質量部であることがより好ましい。固体可塑剤(D1)及び固体可塑剤(D2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト接着剤の接着性がより一層優れ、風合いがより一層良好となり、且つ、タック感がより一層抑制される。
【0070】
本発明において、固体可塑剤(D1)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して50~100質量部であり、且つ、固体可塑剤(D2)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して10~23質量部であることがより一層好ましい。固体可塑剤(D1)及び固体可塑剤(D2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト接着剤の接着性が特に優れ、風合いが特に良好となり、且つ、タック感が特に抑制される。
【0071】
本発明において、固体可塑剤(D1)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して60~90質量部であり、且つ、固体可塑剤(D2)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して11~18質量部であることが特に好ましい。固体可塑剤(D1)及び固体可塑剤(D2)の含有量が上記範囲内であれば、本発明のホットメルト接着剤の接着性が最も優れ、風合いが最も良好となり、且つ、タック感が最も抑制される。
【0072】
本発明において、57~80℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D1)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、日本精蝋社製の製品名「Paraffin Wax-135」(融点=59℃)、日本精蝋社製の製品名「Paraffin Wax-145」(融点=63℃)、日本精蝋社製の製品名「Paraffin Wax-150」(融点=66℃)、日本精蝋社製の製品名「Paraffin Wax-155」(融点=69℃)、サゾールワックス社製の製品名「サゾール C80」(融点=80℃)等が挙げられる。
【0073】
本発明において、100~141℃の範囲に融点を有する固体可塑剤(D2)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、シェル・エム・ディ・エス(マレーシア)社製の製品名「GTL SARAWAX SX-105」(融点=102℃)、日本精蝋社製の製品名「FT-115」(融点=113℃)、マーカス・オイル・アンド・ケミカル社製の製品名「Marcus 200」(融点=114℃)、ウエストレイク・ケミカル社製の製品名「EPOLEN N-21」(融点=120℃)、クラリアント社製の製品名「リコセンPP 6102」(融点=141℃)、サゾール社製の製品名「サゾールワックス H1」(融点=112℃)、サゾール社製の製品名「サゾールワックス H5」(融点=117℃)等が挙げられる。
【0074】
(酸化防止剤(E))
本発明のホットメルト接着剤は、酸化防止剤(E)を含有していてもよい。酸化防止剤は、ホットメルト接着剤の酸化劣化を防止するために使用する。
【0075】
酸化防止剤(E)としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2′-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤(E)は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
酸化防止剤(E)の含有量は、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.25~8質量部、より一層好ましくは0.5~6質量部、特に好ましくは1~5質量部である。酸化防止剤(E)の含有量が、スチレン系ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲内であれば、本発明のホットメルト接着剤の溶融時における熱安定性が良好となる。
【0077】
本発明において、酸化防止剤(E)としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、BASF社製の製品名「IRGANOX1010」が挙げられる。
【0078】
(任意の添加剤)
本発明のホットメルト接着剤は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、微粒子充填剤等が挙げられる。紫外線吸収剤は、ホットメルト接着剤の耐光性を改善するために使用する。添加剤の含有量は、上述した成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)のホットメルト接着剤中における含有量を満たす範囲で、適宜調整することができる。
【0079】
紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤を例示できる。これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0080】
本発明のホットメルト接着剤は、上述した各成分を用いて公知の方法を広く採用して製造することが可能である。例えば、上述した各成分を、それぞれの配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した後、150℃で1時間に亘って加熱・撹拌・混錬することにより、製造することが可能である。
【0081】
以下、本発明のホットメルト接着剤の物性値について説明する。
【0082】
本発明のホットメルト接着剤は、示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有する。
【0083】
本発明のホットメルト接着剤は、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、48~60℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、98~115℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有することが好ましい。
【0084】
本発明のホットメルト接着剤は、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、52~55℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有し、且つ、100~105℃の範囲に吸熱ピークを少なくとも1つ有することがより好ましい。
【0085】
本明細書では、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、図1の内挿ベースラインA、CとDSC曲線の吸熱ピークとで囲まれた部分の面積Bを試料量で割ったものを融解熱量ΔH(単位:J/g)とする。
【0086】
本発明は、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲の吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-51.0~-7.0J/g、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークの吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-4.5~-0.1J/gであることが好ましい。
【0087】
本発明は、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲の吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-35.0~-12.0J/g、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークの吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-3.5~-0.5J/gであることがより好ましい。
【0088】
本発明は、DSCによって10℃/分の速度で昇温した際に得られるDSC曲線において、45~80℃の範囲の吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-25.0~-15.0J/g、且つ、95~130℃の範囲に吸熱ピークの吸熱ピークに対する上述の融解熱量ΔHが-3.0~-1.0J/gであることがより一層好ましい。
【0089】
本発明のホットメルト接着剤の160℃における溶融粘度は、950~5000mPa・sであることが好ましい。本明細書において、「溶融粘度」とは、一定の温度で加熱溶融状態となったホットメルト接着剤の粘度を意味する。ホットメルト接着剤の160℃における溶融粘度が950mPa・s以上であれば、接着性が発現される。一方、ホットメルト接着剤としての取扱性を考慮すれば、ホットメルト接着剤の160℃における溶融粘度は、5000mPa・s以下であることが好ましい。
【0090】
本明細書において、ホットメルト接着剤の160℃における溶融粘度は、JIS K 6862(ホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計、スピンドル4-21)に基づき得られる値であると定義する。
【0091】
2.積層体
本発明は、上記ホットメルト接着剤により、一対の基材が接合されている積層体である。当該積層体は、衛生材料用の積層体であることが好ましい。
【0092】
基材としては、例えば、不織布、多孔質基材(例えば、ティッシュ等)、ポリオレフィン系樹脂フィルム等が挙げられる。
【0093】
不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、エアスルー不織布等が挙げられる。
【0094】
本発明のホットメルト接着剤を用いて一対の基材を接合する方法としては、例えば、次の方法が用いられる。先ず、ホットメルト接着剤を加熱することにより溶融状態とする。加熱温度は140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。また、加熱温度は180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。次いで、溶融状態のホットメルト接着剤を一方の基材に塗工する。次いで、塗工されたホットメルト接着剤上にもう一方の基材を積層した後、ホットメルト接着剤を冷却固化させ、これにより一対の基材を接合することができる。
【0095】
加熱溶融させたホットメルト接着剤の塗工方法としては、例えば、スロットコーター塗工、ロールコーター塗工、スパイラル塗工、サミット塗工、オメガ塗工、コントロールシーム塗工、スロットスプレー塗工、カーテンスプレー塗工、及びドット塗工等が挙げられる。
【0096】
3.使い捨て製品
本発明は、上記積層体を用いてなる使い捨て製品である。使い捨て製品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート、病院用ガウン、手術用白衣等のいわゆる衛生材料等が挙げられる。
【実施例0097】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0098】
実施例及び比較例で用いた原料は以下のとおりである。
【0099】
<スチレン系ブロック共重合体(A)>
・(A1)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):旭化成社製、製品名「アサプレンT-436」、スチレン骨格含有量=35質量%
・(A2)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):旭化成社製、製品名「アサプレンT-432」、スチレン骨格含有量=30質量%
・(A3)スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS):旭化成社製、製品名「アサプレンT-439」、スチレン骨格含有量=45質量%
・(A4)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS):クレイトンポリマー社製、製品名「D-1161」、スチ
レン骨格含有量=15質量%
・(A5)スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS):シノペック社製、製品名「SIS YH-1209」、スチレン骨格含有量=29質量%
【0100】
<液状可塑剤(B)>
・(B1)ナフテン系プロセスオイル:ペトロチャイナ社製、製品名「KN-4010」、流動点=-15.0℃、数平均分子量(Mn)=455
・(B2)パラフィン系プロセスオイル:出光興産社製、製品名「PS-32」、流動点=-17.5℃、数平均分子量(Mn)=447
【0101】
<粘着付与樹脂(C)>
・(C1)水添石油樹脂:東燃ゼネラル社製、製品名「HB-103」、軟化点=103℃
・(C2)水添石油樹脂:イーストマンケミカル社製、製品名「リガライト C-6100L」、軟化点=100℃
・(C3)芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製、製品名「YSレジンTO-105」、軟化点=105℃
【0102】
<固体可塑剤(D)>
・(D1-1)パラフィンワックス:日本精蝋社製、製品名「Paraffin Wax-135」、融点=59℃
・(D1-2)パラフィンワックス:日本精蝋社製、製品名「Paraffin Wax-150」、融点=66℃
・(D1-3)フィッシャートロプシュワックス:サゾールワックス社製、製品名「サゾール C80」、融点=80℃
・(D1-4)フィッシャートロプシュワックス:日本精蝋社製、製品名「Paraffin Wax-115」、融点=48℃
・(D2-1)フィッシャートロプシュワックス:シェル・エム・ディ・エス(マレーシア)社製、製品名「GTL SARAWAX SX-105」、融点=102℃
・(D2-2)ポリエチレンワックス:ウエストレイク・ケミカル社製、製品名「EPOLEN N-21」、融点=120℃
・(D2-3)ポリエチレンワックス:マーカス・オイル・アンド・ケミカル社製、製品名「Marcus 200」、融点=114℃
・(D2-4)ポリプロピレンワックス:クラリアント社製、製品名「リコセンPP 6102」、融点=141℃
【0103】
<酸化防止剤(E)>
・(E-1)フェノール系酸化防止剤:BASF社製、製品名「IRGANOX1010」
【0104】
(実施例及び比較例)
上述した原料を、それぞれ表1-1及び表1-2に示した配合量で、加熱装置を備えた撹拌混練機中に投入した後、150℃で1時間に亘って加熱しながら混練し、固体になるまで冷却してホットメルト接着剤を製造した。なお、表1-1及び表1-2中の各原料の数値はいずれも質量部である。
【0105】
製造したホットメルト接着剤について、以下の測定方法により物性値を評価した。これらの結果を表1-1及び表1-2に示す。
【0106】
(DSC測定装置を用いた吸熱ピーク測定方法)
測定試料として、ホットメルト接着剤3mgをアルミニウムパンに封入し、示差走査熱量測定装置(島津製作所社製、製品名「DSC-60」、雰囲気制御装置:FC-60A、ワークステーション:TA-60WS)を用いて、測定を行った。まず、窒素雰囲気下(流量:300mL/分)、上記測定試料を10℃/分の速度で23℃から120℃まで1回目の昇温を行い、120℃にて5分間保持した。その後、測定試料を10℃/分の速度で120℃から0℃まで降温し、0℃で5分間保持した。次いで、窒素雰囲気下(流量:300mL/分)、測定試料を10℃/分の速度で0℃から150℃まで2回目の昇温を行い、150℃にて5分間保持した。2回目の昇温時に得られたDSC曲線により、低温領域(90℃未満)及び高温領域(90℃以上)における吸熱カーブのピーク温度(℃)、ピーク高さ(mW/mg)、及びピーク面積に基づく融解熱量ΔH(J/g)を求めた。
【0107】
(接着強度測定による接着性評価)
ホットメルト接着剤を150℃の塗工温度でスロット塗工により、第一の不織布(スパンボンド不織布:16g/m)に塗布した。塗布量は5g/m、塗布幅は25mmとした。次いで、第二の不織布(スパンボンド不織布:16g/m)を別途用意し、上述のようにして調製された、ホットメルト接着剤が塗布された第一の不織布に積層し、23℃で圧着させることにより、積層体を調製した。このとき、第一の不織布にホットメルト接着剤が塗布されてから第二の不織布を圧着し、積層されるまでの時間は1秒であった。積層体を、23℃、相対湿度50%雰囲気下の条件で24時間に亘って保管し、ホットメルト接着剤を冷却した。次いで、冷却された積層体を、長手方向(ホットメルト接着剤の塗工方向)に幅100mm、長手方向に対して垂直な方向に25mmの短冊状に切断し、試験片を調製した。
【0108】
上述のようにして調製した試験片を用い、長手方向(ホットメルト接着剤の塗工方向)に対して垂直な方向に、引っ張り試験機(島津製作所製、製品名「オートグラフ AGS-X」)により引張速度100mm/分の条件でT型剥離試験を23℃の雰囲気下で行い、ホットメルト接着剤の接着強度(N)を測定した。
接着強度(N)の数値が0.10以上であれば実使用について問題ないと評価される。
【0109】
(ショアA硬度測定による風合い評価)
直径50mmの円形プラスチック容器に、該容器の底から15mmの高さになるようにホットメルト接着剤を流し込み、該容器を23℃で24時間に亘って保管し、ホットメルト接着剤を冷却した。その後、23℃雰囲気下で円形プラスチック容器の上方からホットメルト接着剤の表面に対して、垂直に硬度計(アスカー社製、アスカーゴム硬度計A型)を10秒間押し当てた後、ショアA硬度を読み取った。ショアA硬度の数値が40以下であれば実使用において問題ないと評価される。
【0110】
(剥離強度測定によるタック感評価)
ホットメルト接着剤を150℃の塗工温度でスロット塗工により、不織布(スパンボンド不織布:16g/m)に塗布した。塗布量は5g/m、塗布幅は25mmとした。次いで、ティッシュ(目付30g/m)を別途用意し、ホットメルト接着剤が塗布された不織布に積層し、23℃で圧着させることにより、積層体を調製した。調製した積層体を50mm×60mmのアクリル板同士で挟み、アクリル板の面の上に67g/cm四方の荷重をかけ、40℃、相対湿度50%雰囲気下の条件で2時間に亘って放置した。その後、荷重とアクリル板とを取り除き、引っ張り試験機(島津製作所製、製品名「オートグラフ AGS-X」)を用いて、引張速度100mm/分、23℃の雰囲気下で、ティッシュから不織布を剥離するために必要な剥離強度(N)を測定した。
剥離強度(N)の数値が0.30以下であれば実使用において問題ないと評価される。タック感を抑制する観点から、剥離強度(N)の数値は0.27以下が好ましい。タック感をより抑制する観点から、剥離強度(N)の数値は0.20以下がより好ましい。タック感をより一層抑制する観点から、剥離強度(N)の数値は0.15以下がより一層好ましい。一方、剥離強度(N)の数値が0.30を超えると、タック感が抑制されないという問題がある。
【0111】
結果を表1-1及び表1-2に示す。表1-2の比較例1及び2において、物性値の項目の「-」は、測定不能を意味する。
【0112】
【表1-1】

【0113】
【表1-2】
図1