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特開2022-62041インターニューロン中の遺伝子の特異的発現のためのプロモーターSYNP107
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  • 特開-インターニューロン中の遺伝子の特異的発現のためのプロモーターSYNP107 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062041
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】インターニューロン中の遺伝子の特異的発現のためのプロモーターSYNP107
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20220412BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220412BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220412BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220412BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022003202
(22)【出願日】2022-01-12
(62)【分割の表示】P 2019529555の分割
【原出願日】2017-11-29
(31)【優先権主張番号】16201747.9
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518089687
【氏名又は名称】フリードリッヒ ミーシェー インスティトゥート フォー バイオメディカル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ロスカ,ボトンド
(72)【発明者】
【氏名】ユエットナー,ジョゼフィーヌ
(72)【発明者】
【氏名】テイシェイラ,ミゲル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遺伝子のインターニューロン中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子を提供する。
【解決手段】特定の核酸配列又は該配列と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも700bpの核酸配列を含み、又はそれからなる単離核酸分子であって、遺伝子をコードする核酸配列に作動可能に結合している場合にインターニューロン中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の核酸配列を含み、もしくはそれからなり、または配列番号1の前記配列と
少なくとも80%の同一性を有する少なくとも700bpの核酸配列からなる単離核酸分
子であって、インターニューロン中の遺伝子の特異的発現を、前記遺伝子をコードする核
酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合にもたらす単離核酸分子。
【請求項2】
最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさらに含む、請求項1に
記載の単離核酸分子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の単離核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
する配列を含む単離核酸分子。
【請求項4】
規定の細胞中の遺伝子発現を促進するエレメントとして請求項1または2に記載の単離
核酸を含む発現カセットであって、前記単離核酸が、少なくとも、桿体光受容器中で特異
的に発現させるべき遺伝子をコードする核酸配列に作動可能に結合している発現カセット
【請求項5】
請求項4に記載の発現カセットを含むベクター。
【請求項6】
ウイルスベクターである、請求項5に記載のベクター。
【請求項7】
インターニューロン中の遺伝子の前記発現のための、請求項1もしくは2に記載の核酸
の、請求項4に記載の発現カセットの、または請求項5に記載のベクターの使用。
【請求項8】
単離細胞、細胞系または細胞集団に請求項4に記載の発現カセットを形質移入するステ
ップを含む、桿体光受容器中で遺伝子を発現させる方法であって、前記細胞がインターニ
ューロンであり、または前記細胞がインターニューロンを含む場合、発現させるべき前記
遺伝子を前記単離細胞、前記細胞系または前記細胞集団により特異的に発現させる方法。
【請求項9】
請求項4に記載の発現カセットまたは請求項5に記載のベクターを含む単離細胞。
【請求項10】
前記発現カセットまたはベクターが、前記細胞のゲノム中に安定的に組み込まれている
、請求項9に記載の細胞。
【請求項11】
前記遺伝子の産物が、光感受性分子、例えば、ハロロドプシンまたはチャネルロドプシ
ンである、請求項1もしくは2に記載の単離核酸分子、請求項4に記載の発現カセット、
請求項5に記載のベクター、請求項7に記載の使用、請求項8に記載の方法または請求項
9に記載の細胞。
【請求項12】
請求項1または2に記載の単離核酸分子を含む、インターニューロン中で遺伝子を発現
させるためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターニューロン中で遺伝子の発現を特異的にもたらす核酸配列に関する
【背景技術】
【0002】
発現目的のため、組換え遺伝子は、通常、標的細胞、細胞集団または組織中に、異種遺
伝子の転写を可能とする活性発現カセットの環境下のcDNA構築物として形質移入され
る。DNA構築物は、シス制御エレメント、例として、エンハンサー、サイレンサー、イ
ンスレーターおよびプロモーター(本明細書においてまとめて「プロモーター」と称され
る)における多くのトランス作用性転写因子(TF)の活性を含むプロセスにおける細胞
転写機構により認識される。
【0003】
遺伝子プロモーターは、それらの調節のレベルの全てに関与し、DNA配列、転写因子
結合およびエピジェネティックな特色の影響を組み込むことにより遺伝子転写における決
定因子として機能する。これらは、例えば、プラスミドベクターによりコードされる導入
遺伝子発現の強度および前記導入遺伝子が発現される1つまたは複数の細胞タイプを決定
する。
【0004】
哺乳動物細胞中の異種遺伝子発現をドライブするために使用される最も一般的なプロモ
ーターは、ヒトおよびマウスサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーターで
ある。これらは強力な発現を付与し、いくつかの細胞タイプにおいてロバストであること
が証明されている。他のウイルスプロモーター、例えば、SV40最初期プロモーターお
よびラウス肉腫ウイルス(RSV)ロングターミナルリピート(LTR)プロモーターも
発現カセット中で高頻度で使用される。
【0005】
ウイルスプロモーターの代わりに、細胞プロモーターを使用することもできる。公知の
プロモーターの中には、大量に転写される細胞転写産物、例えば、ベータ-アクチン、伸
長因子1-アルファ(EF-lアルファ)、またはユビキチンをコードするハウスキーピ
ング遺伝子からのものがある。ウイルスプロモーターと比較して、真核生物遺伝子発現は
複雑であり、多くの異なる因子の正確な協調を要求する。
【0006】
導入遺伝子発現のための内因性調節エレメントの使用に関する態様の1つは、安定なm
RNAの生成であり、発現が、それに応じてトランス作用性転写因子が提供される宿主細
胞の天然環境中で生じ得ることである。真核生物遺伝子の発現は、シスおよびトランス作
用性調節エレメントの複雑な機構により制御されるため、ほとんどの細胞プロモーターは
、詳細な機能の特徴付けが欠けている。真核生物プロモーターの一部は、通常、その転写
される配列のすぐ上流に位置し、転写開始点として機能する。コアプロモーターは、転写
機構により認識されるのに十分である転写開始部位(TSS)を直接囲む。近位プロモー
ターは、コアプロモーターの上流の領域を含み、TSSおよび転写調節に要求される他の
配列特色を含有する。転写因子は、プロモーターおよびエンハンサー配列中の調節モチー
フに結合し、それにより、ヌクレオソーム構造および最終的に転写の開始を可能とするそ
の位置を変更するクロマチンおよびヒストン修飾酵素を活性化させることにより配列特異
的に作用する。機能プロモーターの同定は、主に、関連する上流または下流のエンハンサ
ーエレメントの存在に依存的である。
【0007】
導入遺伝子発現のための内因性調節エレメントの使用に関する別の重大な態様は、一部
のプロモーターが細胞特異的様式で作用し得、規定のタイプの細胞中で、またはプロモー
ターに依存して特定のサブセットの細胞中で導入遺伝子の発現をもたらすことである。
【0008】
したがって、本発明の1つの課題は、哺乳動物細胞中で高い発現レベルで、細胞タイプ
特異的様式で組換え遺伝子を発現させるのに好適な新たな配列を得ることである。
【0009】
このような配列は、例えば、神経変性障害、視力回復、創薬、腫瘍療法および障害の診
断の研究のための系を開発するための神経細胞特異的プロモーターについての当分野にお
ける必要性に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、エピジェネティクス、バイオインフォマティクスおよび神経科学を組み
合わせて眼球中に存在する場合、インターニューロン中でのみ遺伝子発現をドライブする
プロモーターを見出した。
【0011】
本発明の配列の核酸配列は、
【化1】

である。
【0012】
したがって、本発明は、配列番号1の核酸配列または配列番号1の前記核酸配列と少な
くとも70%の同一性を有する少なくとも700bpの核酸配列を含み、またはそれから
なる単離核酸分子であって、遺伝子をコードする前記核酸配列に作動可能に結合している
前記遺伝子のインターニューロン中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子を提供する。
一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記
核酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、
少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも85%の同一性を
有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号
1の前記核酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸
配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも95%の
同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、
配列番号1の前記核酸配列と少なくとも96%の同一性を有する。一部の実施形態におい
て、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも
97%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bp
であり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも98%の同一性を有する。一部の実施形
態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少
なくとも99%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも7
00bpであり、配列番号1の前記核酸配列と100%の同一性を有する。
【0013】
本発明の単離核酸分子は、最小プロモーター、例えば、SV40最小プロモーター、例
えば、SV40最小プロモーターまたは配列
【化2】

を有するものをさらに含み得る。
【0014】
上記の本発明の単離核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を
含む単離核酸分子も提供される。
【0015】
本発明はまた、上記の本発明の単離核酸を含む発現カセットであって、前記プロモータ
ーが、少なくとも、インターニューロン中で特異的に発現させるべき遺伝子をコードする
核酸配列に作動可能に結合している発現カセットを提供する。
【0016】
本発明はさらに、本発明の発現カセットを含むベクターを提供する。一部の実施形態に
おいて、前記ベクターは、ウイルスベクターである。
【0017】
本発明はまた、インターニューロン中の遺伝子の発現のための、本発明の核酸の、本発
明の発現カセットの、または本発明のベクターの使用を包含する。
【0018】
本発明はさらに、単離細胞、細胞系または細胞集団(例えば、組織)に本発明の発現カ
セットを形質移入するステップを含む、インターニューロン中で遺伝子を発現させる方法
であって、前記細胞がインターニューロンであり、または前記細胞がインターニューロン
を含む場合、発現させるべき遺伝子を単離細胞、細胞系または細胞集団により発現させる
方法を提供する。一部の実施形態において、単離細胞、細胞系または細胞集団もしくは組
織はヒトである。
【0019】
本発明はまた、本発明の発現カセットを含む単離細胞を提供する。一部の実施形態にお
いて、発現カセットまたはベクターは、前記細胞のゲノム中に安定的に組み込まれている
【0020】
本発明のプロモーターに作動可能に結合させることができる典型的な遺伝子は、ハロロ
ドプシンまたはチャネルロドプシンをコードする遺伝子である。
【0021】
さらに、本発明はまた、本発明の単離核酸分子を含む、インターニューロン中で遺伝子
を発現させるためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】全てのGABA作動性インターニューロンを標識する、成体GAD67-cre×Ai9(tdTomato)マウスにおけるAAV-synP107-ChR2-EGFPの皮質V1注射から3週間後の配列番号1を有するプロモーターからのEGFP発現のレーザー走査型共焦点顕微鏡写真。GABA作動性インターニューロン中の誘導発現を観察することができる。緑色=配列番号1によりドライブされたEGFP。赤色=tdTomato。スケールバー:20μm。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、エピジェネティクス、バイオインフォマティクスおよび神経科学を組み
合わせて眼球中に存在する場合、インターニューロン中でのみ遺伝子発現をドライブする
プロモーターを見出した。
【0024】
本発明の配列の核酸配列は、
【化3】

である。
【0025】
したがって、本発明は、配列番号1の核酸配列または配列番号1の前記核酸配列と少な
くとも70%の同一性を有する少なくとも700bpの核酸配列を含み、またはそれから
なる単離核酸分子であって、遺伝子をコードする前記核酸配列に作動可能に結合している
前記遺伝子のインターニューロン中の発現を特異的にもたらす単離核酸分子を提供する。
一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記
核酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、
少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも85%の同一性を
有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号
1の前記核酸配列と少なくとも90%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸
配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも95%の
同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、
配列番号1の前記核酸配列と少なくとも96%の同一性を有する。一部の実施形態におい
て、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも
97%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも700bp
であり、配列番号1の前記核酸配列と少なくとも98%の同一性を有する。一部の実施形
態において、核酸配列は、少なくとも700bpであり、配列番号1の前記核酸配列と少
なくとも99%の同一性を有する。一部の実施形態において、核酸配列は、少なくとも7
00bpであり、配列番号1の前記核酸配列と100%の同一性を有する。
【0026】
本発明の単離核酸分子は、最小プロモーター、例えば、SV40最小プロモーター、例
えば、SV40最小プロモーターまたは配列を有するものをさらに含み得る。
【化4】
【0027】
上記の本発明の単離核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を
含む単離核酸分子も提供される。
【0028】
本発明はまた、上記の本発明の単離核酸を含む発現カセットであって、前記プロモータ
ーが、少なくとも、インターニューロン中で特異的に発現させるべき遺伝子をコードする
核酸配列に作動可能に結合している発現カセットを提供する。
【0029】
本発明はさらに、本発明の発現カセットを含むベクターを提供する。一部の実施形態に
おいて、前記ベクターは、ウイルスベクターである。
【0030】
本発明はまた、インターニューロン中の遺伝子の発現のための、本発明の核酸の、本発
明の発現カセットの、または本発明のベクターの使用を包含する。
【0031】
本発明はさらに、単離細胞、細胞系または細胞集団(例えば、組織)に本発明の発現カ
セットを形質移入するステップを含む、インターニューロン中で遺伝子を発現させる方法
であって、前記細胞がインターニューロンであり、または前記細胞がインターニューロン
を含む場合、発現させるべき遺伝子を単離細胞、細胞系または細胞集団により発現させる
方法を提供する。一部の実施形態において、単離細胞、細胞系または細胞集団もしくは組
織はヒトである。
【0032】
本発明はまた、本発明の発現カセットを含む単離細胞を提供する。一部の実施形態にお
いて、発現カセットまたはベクターは、前記細胞のゲノム中に安定的に組み込まれる。
【0033】
本発明のプロモーターに作動可能に結合させることができる典型的な遺伝子は、ハロロ
ドプシンまたはチャネルロドプシンをコードする遺伝子である。
【0034】
さらに、本発明はまた、本発明の単離核酸分子を含む、インターニューロン中で遺伝子
を発現させるためのキットを提供する。
【0035】
本明細書において使用される場合、用語「プロモーター」は、任意のシス調節エレメン
ト、例として、エンハンサー、サイレンサー、インスレーターおよびプロモーターを指す
。プロモーターは、転写が必要とされる遺伝子の上流に(5’領域に向かって)一般には
位置するDNAの領域である。プロモーターは、それが制御する遺伝子の適切な活性化ま
たは抑制を可能とする。本発明の関連において、プロモーターは、それらに作動可能に結
合している遺伝子のインターニューロン中の特異的発現をもたらす。「あるタイプの細胞
中でのみの発現」とも称される「特異的発現」は、目的の遺伝子を発現する細胞の少なく
とも75%超が、規定されたタイプ、すなわち、本事例においてはインターニューロンで
あることを意味する。
【0036】
発現カセットは典型的には、宿主細胞中への発現カセットの侵入および宿主細胞中の発
現カセットの維持を促進するベクター中に導入される。このようなベクターは一般に使用
されており、当業者に周知である。多数のそのようなベクターは、例えば、Invitr
ogen、Stratagene、Clontechなどから市販されており、多数のガ
イド、例えば、Ausubel、Guthrie、Strathem、またはBerge
rなどに記載されている(全て前掲)。このようなベクターとしては、典型的には、多重
クローニング部位、および追加のエレメント、例えば、複製起点、選択マーカー遺伝子(
例えば、LEU2、URA3、TRP1、HIS3、GFP)、セントロメア配列などと
共にプロモーター、ポリアデニル化シグナルなどが挙げられる。
【0037】
ウイルスベクター、例えば、AAV、PRVまたはレンチウイルスは、本発明のプロモ
ーターを使用して遺伝子をインターニューロンに標的化し、送達するのに好適である。
【0038】
神経細胞のアウトプットは、電気的方法、例えば、多電極アレイもしくはパッチクラン
プを使用して、または視覚的方法、例えば、蛍光の検出を使用して計測することができる
【0039】
本発明の核酸配列を使用する方法であって、本発明のプロモーター下で1つ以上の導入
遺伝子を発現するインターニューロンと試験化合物を接触させるステップ、および前記試
験化合物の存在下で得られたインターニューロンの少なくとも1つのアウトプットを、前
記試験化合物の不存在下で得られた同一のアウトプットと比較するステップを含む方法は
、インターニューロンが関与する神経障害の治療のための治療剤を同定するために使用す
ることができる。
【0040】
さらに、本発明のプロモーターを使用する方法であって、本発明のプロモーターの制御
下で1つ以上の導入遺伝子を発現するインターニューロンを薬剤と接触させるステップ、
および前記薬剤との接触後に得られた少なくとも1つのアウトプットを、前記薬剤との前
記接触前に得られた同一のアウトプットと比較するステップを含む方法も、視力回復のイ
ンビトロ試験に使用することができる。
【0041】
チャネルロドプシンは、光開閉型イオンチャネルとして機能するオプシンタンパク質の
サブファミリーである。これらは、単細胞緑藻中で感覚光受容器として機能し、走光性、
すなわち、光に応答する運動を制御する。他の生物体の細胞中で発現されると、それらは
、細胞内酸性度、カルシウム流入、電気興奮性、および他の細胞プロセスを制御するため
の光の使用を可能とする。以下の少なくとも3つの「天然」チャネルロドプシン:チャネ
ルロドプシン-1(ChR1)、チャネルロドプシン-2(ChR2)、およびボルボッ
クスチャネルロドプシン(VChR1)が現在公知である。さらに、これらのタンパク質
の一部の改変/改善バージョンも存在する。全ての公知のチャネルロドプシンは非特異的
陽イオンチャネルであり、H+、Na+、K+、およびCa2+イオンを伝導する。
【0042】
ハロロドプシンは、塩化物イオンに特異的な光駆動性イオンポンプであり、好塩菌とし
て公知の系統発生的に古代の「細菌」(古細菌)に見出される。これは、レチニリデンタ
ンパク質ファミリーの7回膜貫通型タンパク質であり、光駆動性プロトンポンプバクテリ
オロドプシンと相同であり、網膜中で光を感知する色素の脊椎動物ロドプシンと三次構造
において類似する(しかし、一次配列構造においては類似しない)。ハロロドプシンは、
光駆動性イオンチャネルのチャネルロドプシンとも配列類似性を共有する。ハロロドプシ
ンは、必須の光異性化可能ビタミンA誘導体オールトランスレチナールを含有する。ハロ
ロドプシンは、結晶構造が公知の数少ない膜タンパク質の1つである。ハロロドプシンア
イソフォームは、好塩菌の複数の種、例として、H.サリナラム(H.salinaru
m)およびN.ファラオニス(N.pharaonis)に見出すことができる。非常に
進行中の研究はこれらの違いを探究中であり、それらを使用して光周期およびポンプ特性
を別個に解析している。バクテリオロドプシンの後に、ハロロドプシンは研究される最良
のI型(微生物)オプシンであり得る。ハロロドプシンレチナール複合体のピーク吸光度
は約570nmである。近年、ハロロドプシンは、オプトジェネティクスにおけるツール
となっている。青色光活性化イオンチャネルのチャネルロドプシン-2が、青色光の短い
パルスで興奮性細胞(例えば、ニューロン、筋細胞、膵臓細胞、および免疫細胞)を活性
化させる能力を開くように、ハロロドプシンは、黄色光の短いパルスで興奮性細胞を静め
る能力を開く。このように、ハロロドプシンおよびチャネルロドプシンは一緒になって、
神経活動の多色光学的な活性化、鎮静、および脱同期を可能とし、強力な神経工学のツー
ルボックスを作出する。
【0043】
一部の実施形態において、プロモーターは、生存インターニューロン中で検出可能であ
る少なくとも1つのレポーター遺伝子を発現する、組織に標的化されるベクターの一部で
ある。
【0044】
本発明に好適なウイルスベクターは、当分野において周知である。例えば、AAV、P
RVまたはレンチウイルスは、遺伝子をインターニューロンに標的化し、送達するのに好
適である。
【0045】
形質移入された細胞のアウトプットは、周知の方法を使用して、例えば、電気的方法、
例えば、多電極アレイもしくはパッチクランプを使用して、または視覚的方法、例えば、
蛍光の検出を使用して計測することができる。一部の場合、内境界膜の顕微手術により内
境界膜が除去される。他の場合、記録は、内境界膜に実施されたスライスを通して達成さ
れる。
【0046】
インターニューロンの任意の供給源を、本発明に使用することができる。本発明の一部
の実施形態において、細胞は、ヒト由来であり、またはその中に存在する。他の実施形態
において、組織、または細胞は、動物からのもの、例えば、ウシまたはげっ歯類起源のも
のである。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「動物」は、全ての動物を含むように本明細書
において使用される。本発明の一部の実施形態において、非ヒト動物は脊椎動物である。
動物の例は、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、
ネコ、イヌなどである。用語「動物」はまた、胚期および胎生期を含め、全ての発生段階
における個々の動物を含む。「遺伝子改変動物」は、細胞下レベルでの意図的な遺伝子操
作、例えば、標的化組換え、マイクロインジェクションまたは組換えウイルスの感染によ
るものにより、直接的または間接的に変更され、または受け入れられた遺伝子情報を担持
する1つ以上の細胞を含有する任意の動物である。用語「遺伝子改変動物」は、古典的な
交雑も体外受精も包含するものではなく、むしろ、1つ以上の細胞が組換えDNA分子に
より変更され、またはそれを受け入れている動物を包含することを意味する。この組換え
DNA分子は、規定の遺伝子座に特異的に標的化され得、染色体内にランダムに組み込ま
れ得、またはそれは、染色体外複製DNAであり得る。用語「生殖細胞系列遺伝子改変動
物」は、遺伝子変更または遺伝子情報が生殖系列細胞中に導入され、それにより、遺伝子
情報をその子孫へ伝達する能力が付与された遺伝子改変動物を指す。このような子孫が、
実際、その変更または遺伝子情報の一部または全部を保有する場合、それらは、同様に遺
伝子改変動物である。
【0048】
変更または遺伝子情報は、レシピエントが属する動物の種にとって外来、もしくは特定
の個々のレシピエントにとってのみ外来であり得、またはレシピエントにより既に保有さ
れる遺伝子情報であり得る。その最後の場合、変更され、または導入された遺伝子は、天
然遺伝子とは異なって発現され得、または全く発現され得ない。
【0049】
標的遺伝子を変更するために使用される遺伝子は広範な技術により得ることができ、そ
れとしては、限定されるものではないが、ゲノム資源からの単離、単離mRNAテンプレ
ートからのcDNAの調製、直接的合成、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0050】
導入遺伝子導入のための標的細胞のタイプは、ES細胞である。ES細胞は、インビト
ロで培養された着床前胚から得ることができ、胚と融合することができる(Evans
et al.(1981),Nature 292:154-156;Bradley
et al.(1984),Nature 309:255-258;Gossler
et al.(1986),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9
065-9069;Robertson et al.(1986),Nature 3
22:445-448;Wood et al.(1993),Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 90:4582-4584)。導入遺伝子は、標準的技術、例
えば、エレクトロポレーションを使用するDNA形質移入により、またはレトロウイルス
媒介性形質導入によりES細胞中に効率的に導入することができる。得られた形質転換E
S細胞は、その後、凝集により桑実胚と組み合わせることができ、または非ヒト動物から
の胚盤胞中に注射することができる。その後、導入ES細胞は胚をコロニー化し、得られ
たキメラ動物の生殖細胞系列に寄与する(Jaenisch(1988),Scienc
e 240:1468-1474)。遺伝子標的化された遺伝子改変マウスの生成におけ
る遺伝子標的化されたES細胞の使用は1987年に記載され(Thomas et a
l.(1987),Cell 51:503-512)、他箇所で概説されている(Fr
ohman et al.(1989),Cell 56:145-147;Capec
chi(1989),Trends in Genet.5:70-76;Bariba
ult et al.(1989),Mol.Biol.Med.6:481-492;
Wagner(1990),EMBO J.9:3025-3032;Bradley
et al.(1992),Bio/Technology 10:534-539)。
【0051】
染色体アレル中に特異的変化を挿入するための標的化相同組換えを使用することにより
、任意の遺伝子領域を不活性化させ、または所望される任意の突然変異に変更する技術が
利用可能である。
【0052】
本明細書において使用される場合、「標的化遺伝子」は、ヒトの介入により非ヒト動物
の生殖細胞系列中に導入されるDNA配列であり、それとしては、限定されるものではな
いが、本明細書に記載の方法が挙げられる。本発明の標的化遺伝子としては、同族の内因
性アレルを特異的に変化させるように設計されるDNA配列が挙げられる。
【0053】
本発明において、「単離」は、その元の環境(例えば、それが天然に存在する場合、天
然の環境)から取り出された材料を指し、したがって、その天然状態から「人工的に」変
更されている。例えば、単離ポリヌクレオチドは、ベクターもしくは物質の組成物の一部
であり得、または細胞内に含有され得、依然として「単離」されている。それというのも
、そのベクター、物質の組成物、または特定の細胞はそのポリヌクレオチドの元の環境で
はないためである。用語「単離」は、ゲノムライブラリーもcDNAライブラリーも、全
細胞トータルRNA調製物もmRNA調製物も、ゲノムDNA調製物(電気泳動により分
離され、ブロット上に転写されたものを含む)も、剪断された全細胞ゲノムDNA調製物
も、当分野が本発明のポリヌクレオチド/配列の区別される特色を実証していない他の組
成物も指さない。単離DNA分子のさらなる例としては、異種宿主細胞中で維持された組
換えDNA分子または溶液中の(部分的に、または実質的に)精製されたDNA分子が挙
げられる。単離RNA分子としては、本発明のDNA分子のインビボまたはインビトロR
NA転写産物が挙げられる。しかしながら、ライブラリーの他のメンバーから単離されて
いないライブラリー(例えば、ゲノムまたはcDNAライブラリー)のメンバーであるク
ローン中に(例えば、ライブラリーのそのクローンおよび他のメンバーを含有する均質な
溶液の形態で)、あるいは細胞または細胞溶解物から取り出された染色体(例えば、核型
におけるような「染色体スプレッド」)内に、あるいはランダムに剪断されたゲノムDN
Aの調製物または1つ以上の制限酵素により切断されたゲノムDNAの調製物内に含有さ
れる核酸は、この発明においては、「単離」されていない。本明細書にさらに考察される
とおり、本発明による単離核酸分子は、天然に、組換えにより、または合成により産生す
ることができる。
【0054】
「ポリヌクレオチド」は、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖領域および二本鎖
領域の混合物であるDNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNA、ならびに一本鎖領域およ
び二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖、またはより典型的には二本鎖、または一本
鎖領域および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子
から構成され得る。さらに、ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAまたはRNAおよ
びDNAの両方を含む三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチドはまた、1つ以上
の改変塩基または安定性のためにもしくは他の理由のために改変されたDNAもしくはR
NA骨格を含有し得る。「改変」塩基としては、例えば、トリチル化塩基および異常塩基
、例えば、イノシンが挙げられる。種々の改変がDNAおよびRNAになされ得;したが
って、「ポリヌクレオチド」は、化学的に、酵素的に、または代謝的に改変された形態を
包含する。
【0055】
表現「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、そのポリペプチドについての
コード配列のみを含むポリヌクレオチドならびに追加のコード配列および/または非コー
ド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0056】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、50%のホルムアミド、5×
SSC(750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸
ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および2
0μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の42℃における一晩のインキュベー
ションとそれに続く約50℃における0.1×SSC中のフィルターの洗浄を指す。ハイ
ブリダイゼーションおよびシグナル検出のストリンジェンシーの変化は、主に、ホルムア
ミド濃度(より低い割合のホルムアミドがストリンジェンシーの低下をもたらす);塩条
件、または温度の操作を通して達成される。例えば、中程度に高いストリンジェンシー条
件としては、6×SSPE(20×SSPE=3MのNaCl;0.2MのNaHPO
;0.02MのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、
100μg/mlのサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中の37℃における一晩のイ
ンキュベーションとそれに続く50℃における1×SSPE、0.1%のSDSによる洗
浄が挙げられる。さらに、いっそうより低いストリンジェンシーを達成するため、ストリ
ンジェントなハイブリダイゼーション後に実施される洗浄は、より高い塩濃度(例えば、
5×SSC)において行うことができる。上記の条件における変法は、ハイブリダイゼー
ション実験においてバックグラウンドを抑制するために使用される代替ブロッキング試薬
の包含および/または置換を通して達成することができる。典型的なブロッキング試薬と
しては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、および市販の
専売配合物が挙げられる。規定のブロッキング試薬の包含は、適合性についての問題に起
因して上記のハイブリダイゼーション条件の改変を要求し得る。
【0057】
ポリペプチドに言及する場合の用語「断片」、「誘導体」および「アナログ」は、その
ようなポリペプチドと実質的に同一の生物学的機能または活性のいずれかを保持するポリ
ペプチドを意味する。アナログとしては、プロタンパク質部分の開裂により活性化させて
活性成熟ポリペプチドを産生することができるプロタンパク質が挙げられる。
【0058】
用語「遺伝子」は、ポリペプチド鎖の産生に関与するDNAのセグメントを意味し;そ
れは、コード領域に先行する領域およびその後に続く領域「リーダーおよびトレーラー」
ならびに個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
【0059】
ポリペプチドは、ペプチド結合により互いに連結しているアミノ酸または改変ペプチド
結合により互いに連結しているアミノ酸、すなわち、ペプチドイソスターから構成され得
、20個の遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、天然プ
ロセス、例えば、翻訳後プロセシング、または当分野において周知の化学修飾技術のいず
れかにより修飾することができる。このような修飾は、基礎的な教本およびより詳細なモ
ノグラフ、ならびに膨大な研究論文に十分記載されている。修飾は、ポリペプチド中のい
ずれの箇所においても生じ得、その箇所としては、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびア
ミノまたはカルボキシル末端が挙げられる。同一のタイプの修飾が、所与のポリペプチド
中のいくつかの部位において同一または変動する程度で存在し得ることが認識される。さ
らに、所与のポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含有し得る。ポリペプチドは、例え
ば、ユビキチン化の結果として分枝鎖であり得、それらは分枝を有し、または分枝を有さ
ない環状であり得る。環状、分枝鎖、および分枝鎖環状ポリペプチドは翻訳後の天然プロ
セスから生じ得、または合成方法により作製することができる。修飾としては、限定され
るものではないが、アセチル化、アシル化、ビオチン化、ADP-リボシル化、アミド化
、フラビンの共有結合性付着、ヘム部分の共有結合性付着、ヌクレオチドまたはヌクレオ
チド誘導体の共有結合性付着、脂質または脂質誘導体の共有結合性付着、ホスホチジルイ
ノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合性付着、架橋、環
化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、
共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガン
マ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、
抗体分子または他の細胞リガンドへの結合、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、
タンパク質分解プロセシング(例えば、開裂)、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレ
ノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加、例えば、
アルギニル化、およびユビキチン化が挙げられる(例えば、PROTEINS-STRU
CTURE AND MOLECULAR PROPERTIES,2nd Ed.,T
.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New
York(1993);POSTTRANSLATIONAL COVALENT M
ODIFICATION OF PROTEINS,B.C.Johnson,Ed.,
Academic Press,New York,pgs.I-12(1983);S
eifter et al.,Meth Enzymol 182:626-646(1
990);Rattan et al.,Ann NY Acad Sci 663:4
8-62(1992)参照)。
【0060】
「生物学的活性を有する」ポリペプチド断片は、用量依存性を伴い、または伴わない、
特定の生物学的アッセイにおいて計測される元のポリペプチド、例えば、成熟形態の活性
と類似するが必ずしも同一でなくてもよい活性を示すポリペプチドを指す。用量依存性が
存在する場合、それは、ポリペプチドのそれと同一である必要はなく、むしろ、元のポリ
ペプチドと比較して所与の活性において用量依存性と実質的に類似する(すなわち、候補
ポリペプチドは、元のポリペプチドに対して高い活性または約25倍以下少ない、一部の
実施形態においては、約10倍以下少ない活性、もしくは約3倍以下少ない活性を示す)
【0061】
種ホモログは、本明細書に提供される配列から好適なプローブまたはプライマーを作製
し、好適な核酸資源を所望のホモログについてスクリーニングすることにより単離および
同定することができる。
【0062】
「バリアント」は、元のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるが、その必須
の特性を保持するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。一般に、バリアントは、
元のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと全体的に密接に類似し、多くの領域において
、同一である。
【0063】
実際問題として、任意の特定の核酸分子またはポリペプチドが、本発明のヌクレオチド
配列と少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、
99%、または100%同一であるか否かは、慣用的には、公知のコンピュータプログラ
ムを使用して決定することができる。グローバル配列アラインメントとも称される、クエ
リ配列(本発明の配列)と対象配列との間の最良の全体的なマッチを決定するための好ま
しい方法は、Brutlagら(Comp.App.Blosci.(1990)6:2
37-245)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して
決定することができる。配列アラインメントにおいて、クエリ配列および対象配列は両方
ともDNA配列である。RNA配列は、UをTに変換することにより比較することができ
る。前記グローバル配列アラインメントの結果は、パーセント同一性におけるものである
。パーセント同一性を計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントに使用さ
れる好ましいパラメータは以下である:行列=ユニタリー、k-タプル=4、ミスマッチ
ペナルティ--1、結合ペナルティ--30、ランダム化グループ長=0、カットオフス
コア=l、ギャップペナルティ--5、ギャップサイズペナルティ0.05、ウィンドウ
サイズ=500または対象ヌクレオチド配列の長さのどちらか短い方。対象配列が、内部
欠失のためではなく5’または3’欠失に起因してクエリ配列よりも短い場合、その結果
を手作業により補正しなければならない。これは、FASTDBプログラムが、パーセン
ト同一性を計算する場合、対象配列の5’および3’トランケーションを考慮しないため
である。クエリ配列に対して5’または3’末端においてトランケートされた対象配列に
ついて、パーセント同一性は、クエリ配列の全塩基のパーセントとして、マッチング/ア
ラインメントされていない対象配列の5’および3’であるクエリ配列の塩基の数を計算
することにより補正される。ヌクレオチドがマッチング/アラインメントされているか否
かは、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。次いで、この割合は、
規定のパラメータを使用する上記のFASTDBプログラムにより計算されたパーセント
同一性から減算され、最終のパーセント同一性スコアに達する。この補正スコアが、本発
明のために使用されるものである。クエリ配列とマッチング/アラインメントされていな
い、FASTDBアラインメントによりディスプレイされる対象配列の5’および3’塩
基の外側の塩基のみが、パーセント同一性スコアを手作業により調整する目的に計算され
る。例えば、90塩基の対象配列は、100塩基のクエリ配列とアラインメントされてパ
ーセント同一性が決定される。欠失は対象配列の5’末端において生じ、したがって、F
ASTDBアラインメントは、5’末端における最初の10塩基のマッチング/アライン
メントを示さない。この10個の損なわれた塩基はその配列の10%(マッチングされて
いない5’および3’末端における塩基の数/クエリ配列中の塩基の総数)に相当し、し
たがって、10%がFASTDBプログラムにより計算されたパーセント同一性スコアか
ら減算される。残りの90塩基が完全にマッチした場合、最終のパーセント同一性は90
%である。別の例において、90塩基の対象配列が、100塩基のクエリ配列と比較され
る。この場合、欠失は内部欠失であるため、クエリとマッチング/アラインメントされて
いない対象配列の5’にも3’にも塩基は存在しない。この場合、FASTDBにより計
算されたパーセント同一性は、手作業により補正されない。再度述べると、クエリ配列と
マッチング/アラインメントされていない対象配列の5’および3’の塩基のみが手作業
により補正される。
【0064】
本発明のクエリアミノ酸配列と少なくとも、例えば95%「同一の」アミノ酸配列を有
するポリペプチドにより、対象ポリペプチドのアミノ酸配列は、対象ポリペプチド配列が
クエリアミノ酸配列のそれぞれの100アミノ酸につき5つまでのアミノ酸変更を含み得
ることを除きクエリ配列と同一であることが意図される。換言すると、クエリアミノ酸配
列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るため、対象配列中
のアミノ酸残基の5%までを挿入し、欠失し、または別のアミノ酸と置換することができ
る。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置
において、またはそれらの末端位置の間のいずれの箇所でも、参照配列中の残基の間に個
々に、または参照配列内の1つ以上の連続する群として散在して生じ得る。
【0065】
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、配列に示されるアミノ酸配列
または寄託DNAクローンによりコードされるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%
、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であ
るか否かは、慣用的には、公知のコンピュータプログラムを使用して決定することができ
る。グローバル配列アラインメントとも称される、クエリ配列(本発明の配列)と対象配
列との間の最良の全体的なマッチを決定するための好ましい方法は、Brutlagら(
Comp.App.Biosci.(1990)6:237-245)のアルゴリズムに
基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定することができる。配列アラ
インメントにおいて、クエリ配列および対象配列は両方ともヌクレオチド配列または両方
ともアミノ酸配列のいずれかである。前記グローバル配列アラインメントの結果は、パー
セント同一性におけるものである。FASTDBアミノ酸アラインメントに使用される好
ましいパラメータは以下である:行列=PAM0、k-タプル=2、ミスマッチペナルテ
ィ--I、結合ペナルティ=20、ランダム化グループ長=0、カットオフスコア=l、
ウィンドウサイズ=配列長、ギャップペナルティ--5、ギャップサイズペナルティ--
0.05、ウィンドウサイズ=500または対象アミノ酸配列の長さのどちらか短い方。
対象配列が、内部欠失のためではなくNまたはC末端欠失に起因してクエリ配列よりも短
い場合、その結果を手作業により補正しなければならない。これは、FASTDBプログ
ラムが、グローバルパーセント同一性を計算する場合、対象配列のNおよびC末端トラン
ケーションを考慮しないためである。クエリ配列に対してNおよびC末端においてトラン
ケートされた対象配列について、パーセント同一性は、クエリ配列の全塩基のパーセント
として、対応する対象残基とマッチング/アラインメントされていない、対象配列のNお
よびC末端であるクエリ配列の残基の数を計算することにより補正される。残基がマッチ
ング/アラインメントされているか否かは、FASTDB配列アラインメントの結果によ
り決定される。次いで、この割合は、規定のパラメータを使用する上記のFASTDBプ
ログラムにより計算されたパーセント同一性から減算され、最終のパーセント同一性スコ
アに達する。この最終パーセント同一性スコアが、本発明のために使用されるものである
。クエリ配列とマッチング/アラインメントされていない、対象配列のNおよびC末端に
ある残基のみが、パーセント同一性スコアを手作業により調整する目的に考慮される。そ
れは、対象配列の最も遠いNおよびC末端残基の外側のクエリ残基位置のみである。クエ
リ配列とマッチング/アラインメントされていない、FASTDBアラインメントにおい
てディスプレイされる対象配列のNおよびC末端の外側の残基位置のみが手作業により補
正される。他の手作業による補正は、本発明のために行われるべきでない。
【0066】
天然に存在するタンパク質バリアントは、「アレルバリアント」と呼ばれ、生物体の染
色体上の所与の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの代替形態の1つを指す(Genes
11,Lewin,B.,ed.,John Wiley & Sons,New Y
ork(1985))。これらのアレルバリアントは、ポリヌクレオチドレベルおよび/
またはポリペプチドレベルのいずれかにおいて変動し得る。あるいは、天然に存在しない
バリアントは、突然変異誘発技術により、または直接的合成により産生することができる
【0067】
「標識」は、直接的に、またはシグナル産生系の1つ以上の追加のメンバーとの相互作
用を通して、検出可能なシグナルを提供し得る薬剤を指す。直接的に検出可能であり、本
発明において使用することができる標識としては、蛍光標識が挙げられる。具体的なフル
オロフォアとしては、フルオレセイン、ローダミン、BODIPY、シアニン色素などが
挙げられる。
【0068】
「蛍光標識」は、ある波長の光を、別の波長の光により活性化された場合に放射する能
力を有する任意の標識を指す。
【0069】
「蛍光」は、蛍光シグナルの任意の検出可能な特徴を指し、それとしては、強度、スペ
クトル、波長、細胞内分布などが挙げられる。
【0070】
蛍光を「検出すること」は、定性的または定量的方法を使用して細胞の蛍光を評価する
ことを指す。本発明の実施形態の一部において、蛍光は、定性的様式で検出される。換言
すれば、組換え融合タンパク質が発現されるか否かを示す蛍光マーカーが存在するか否か
である。他の例として、蛍光は、例えば、蛍光強度、スペクトル、または細胞内分布を計
測する定量的手段を使用して測定することができ、異なる条件下で得られる値の統計的比
較を可能とする。レベルは、定性的方法、例えば、複数の試料、例えば、蛍光顕微鏡また
は他の光学的検出器(例えば、画像分析システムなど)を使用して検出される試料のヒト
による目視分析および比較を使用して測定することもができる。蛍光における「変更」ま
たは「モジュレーション」は、別の条件と比較した特定の条件下での蛍光の強度、細胞内
分布、スペクトル、波長、または他の側面における任意の検出可能な差を指す。例えば、
「変更」または「モジュレーション」は定量的に検出され、その差は統計的に有意な差で
ある。蛍光における任意の「変更」または「モジュレーション」は、標準的な機器、例え
ば、蛍光顕微鏡、CCD、もしくは任意の他の蛍光検出器を使用して検出することができ
、自動システム、例えば、統合システムを使用して検出することができ、またはヒト観測
者による変更の主観的検出を反映し得る。
【0071】
「緑色蛍光タンパク質」(GFP)は、青色光に曝露された場合に緑色の蛍光を発する
、クラゲのエクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)/エクオレ
ア・エクオレア(Aequorea aequorea)/エクオレア・フォルスカレア
(Aequorea forskalea)から最初に単離された、238アミノ酸(2
6.9kDa)から構成されるタンパク質である。A.ビクトリア(A.victori
a)からのGFPは、395nmの波長におけるメジャー励起ピークおよび475nmに
おけるマイナーピークを有する。この発光ピークは509nmであり、それは、可視スペ
クトルの低い方の緑色部分に存在する。ウミシイタケ(レニラ・レニフォルミス(Ren
illa reniformis))からのGFPは、498nmにおける単一のメジャ
ー励起ピークを有する。広範な使用法の潜在性および研究者らの発展的要望に起因して、
GFPの多くの異なる突然変異体が遺伝子操作されている。最初の主要な改善は、Rog
er TsienによりNatureにおいて1995年に報告された単一点突然変異(
S65T)であった。この突然変異は、GFPのスペクトル特徴を大幅に改善し、増加し
た蛍光、光安定性およびピーク放射を509nmに保持したままでのメジャー励起ピーク
の488nmへのシフトをもたらした。この足場への37℃フォールディング効率(F6
4L)点突然変異体の追加は、増強型GFP(EGFP)を生じさせた。EGFPは、9
.13×10-21m/分子の光学的断面積としても公知であり、55,000L/(
mol・cm)としても引用される、消衰係数(εと表示される)を有する。十分にフォ
ールディングしていないペプチドと融合した場合でさえもGFPが迅速にフォールディン
グし、成熟するのを可能とする一連の突然変異であるスーパーフォールダー(Super
folder)GFPが2006年に報告された。
【0072】
「黄色蛍光タンパク質」(YFP)は、エクオレア・ビクトリア(Aequorea
victoria)に由来する緑色蛍光タンパク質の遺伝子突然変異体である。この励起
ピークは514nmであり、その発光ピークは527nmである。
【0073】
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文
脈が明らかに他に記述しない限り、複数の参照対象を含む。
【0074】
「ウイルス」は、宿主細胞の外側では成長も繁殖もし得ない超顕微鏡的感染性物質であ
る。それぞれのウイルス粒子、またはビリオンは、キャプシドと呼ばれる保護タンパク質
コート内の遺伝子材料、DNA、またはRNAからなる。キャプシド形状は、単純ならせ
んおよび正二十面体(多面体またはほぼ球形)形態から、尾部またはエンベロープを有す
るより複雑な構造まで変動する。ウイルスは、細胞生物形態に感染し、感染される宿主の
タイプに応じて動物、植物および細菌タイプに分類される。
【0075】
本明細書において使用される場合、用語「経シナプス性ウイルス」は、あるニューロン
から別の介在ニューロンにシナプスを通って移動し得るウイルスを指す。このような経シ
ナプス性ウイルスの例は、ラブドウイルス、例えば、狂犬病ウイルス、およびアルファヘ
ルペスウイルス、例えば、仮性狂犬病ウイルスまたは単純ヘルペスウイルスである。本明
細書において使用される場合、用語「経シナプス性ウイルス」はまた、あるニューロンか
ら別の介在ニューロンにシナプスを通って移動する能力をそれ自体で有するウイルスのサ
ブユニットおよび生物学的ベクター、例えば、そのようなサブユニットを組み込み、ある
ニューロンから別の介在ニューロンにシナプスを通って移動する能力を実証する改変ウイ
ルスを包含する。
【0076】
経シナプス性移動は、順行性または逆行性のいずれかであり得る。逆行性移動の間、ウ
イルスは、シナプス後ニューロンからシナプス前ニューロンに動く。したがって、順行性
移動の間、ウイルスは、シナプス前ニューロンからシナプス後ニューロンに動く。
【0077】
ホモログは、共通の祖先を共有するタンパク質を指す。アナログは、共通の祖先を共有
しないが、それらを1つのクラスに含めることにさせるいくつかの(構造的よりむしろ)
機能的な類似性を有する(例えば、トリプシン様セリンプロテイナーゼおよびサブチリシ
ンは明らかに関連せず、活性部位の外側のそれらの構造は完全に異なるが、それらは、事
実上幾何的に同一の活性部位を有し、したがって、アナログへの収束進化の一例とみなさ
れる)。
【0078】
ホモログの2つのサブクラスのオルソログおよびパラログが存在する。オルソログは、
異なる種における同一遺伝子である(例えば、シトコム(cytochome)「c」)
。同一生物体における2つの遺伝子は、オルソログであり得ない。パラログは遺伝子重複
の結果である(例えば、ヘモグロビンベータおよびデルタ)。2つの遺伝子/タンパク質
が相同であり、同一生物体内に存在する場合、それらはパラログである。
【0079】
本明細書において使用される場合、用語「障害」は、不快感、疾患、疾病、臨床病態、
または病的状態を指す。
【0080】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体」は、活性成分の生
物学的活性の有効性に干渉せず、化学的に不活性であり、それが投与される患者に対して
毒性ではない担体媒体を指す。
【0081】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容可能な誘導体」は、対象に対し
て比較的無毒である、例えば、本発明のスクリーニングの方法を使用して同定される薬剤
の任意のホモログ、アナログ、または断片を指す。
【0082】
用語「治療剤」は、障害または障害の合併症の予防または治療を補助する任意の分子、
化合物、または治療物を指す。
【0083】
適合性医薬担体中に配合されたそのような薬剤を含む組成物は、治療のために調製し、
包装し、ラベル貼付することができる。
【0084】
複合体が水溶性である場合、それは、適切な緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水ま
たは他の生理学的に適合性の溶液中で配合することができる。
【0085】
あるいは、得られた複合体が水性溶媒中で不十分な溶解度を有する場合、それは、非イ
オン性界面活性剤、例えば、Tween、またはポリエチレングリコールと共に配合する
ことができる。したがって、化合物および生理学的に許容可能なその溶媒和物は、(口腔
または鼻腔のいずれかを介する)吸入もしくは吹送による投与または経口、バッカル、非
経口、直腸投与のために配合することができ、または腫瘍の場合、固形腫瘍中に直接注射
することができる。
【0086】
経口投与について、医薬製剤は、液体形態、例えば、液剤、シロップ剤もしくは懸濁液
剤であり得、または使用前の水もしくは他の好適なビヒクルによる再構成のための薬物製
品として提供することができる。このような液体製剤は、薬学的に許容可能な添加剤、例
えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水添食用脂)
;乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシアガム);非水性ビヒクル(例えば、アーモン
ド油、油性エステル、または分留植物油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロ
ピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)を用いて慣用の手段により調製する
ことができる。医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば、結合剤(例えば、ア
ルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチル
セルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カル
シウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤
(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤
(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて慣用の手段により調製される、例えば、錠
剤またはカプセル剤の形態をとり得る。錠剤は、当分野において周知の方法によりコーテ
ィングすることができる。
【0087】
経口投与のための製剤は、活性化合物の徐放性を与えるように好適に配合することがで
きる。
【0088】
化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために配合
することができる。注射用配合物は、添加される保存剤と共に、単位剤形中で、例えば、
アンプル中または複数用量容器中で提供することができる。
【0089】
組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションのような形態
をとり得、配合用薬剤(formulatory agent)、例えば、懸濁化剤、安
定剤および/または分散剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、使用前の好適なビヒク
ル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水による構成のための粉末の形態であり得る。
【0090】
化合物は、例えば、局所的適用、例えば、クリーム剤またはローション剤として配合す
ることもできる。
【0091】
上記の配合物に加えて、化合物はまた、デポー製剤として配合することができる。この
ような長時間作用性配合物は、埋込(例えば、眼内、皮下または筋肉内)により、または
眼内注射により投与することができる。
【0092】
したがって、例えば、化合物は、好適なポリマーもしくは疎水性材料と共に(例えば、
許容可能な油中のエマルションとして)、またはイオン交換樹脂と共に、または難溶性誘
導体、例えば、難溶性塩として配合することができる。リポソームおよびエマルションは
、親水性薬物のための送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。
【0093】
組成物は、所望により、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパックま
たは分注装置中で提供することができる。パックは、例えば、金属またはプラスチックホ
イル、例えば、ブリスターパックを含み得る。パックまたは分注装置には、投与について
の説明書を添付することができる。
【0094】
本発明はまた、本発明の治療レジメンを実施するためのキットを提供する。このような
キットは、1つ以上の容器中で、治療または予防有効量の組成物を薬学的に許容可能な形
態で含む。
【0095】
キットのバイアル中の組成物は、例えば、滅菌生理食塩水、デキストロース溶液、また
は緩衝溶液、または他の薬学的に許容可能な滅菌流体との組合せで、薬学的に許容可能な
溶液の形態であり得る。あるいは、複合体は、凍結乾燥または乾燥させることができ;こ
の場合、キットは、場合により、容器中で複合体を再構成して注射目的の溶液を形成する
ための好ましくは滅菌した薬学的に許容可能な溶液(例えば、生理食塩水、デキストロー
ス溶液など)をさらに含む。
【0096】
別の実施形態において、キットは、複合体を注射するための、好ましくは無菌形態で包
装された針もしくはシリンジ、および/または包装されたアルコールパッドをさらに含む
。臨床医または患者による組成物の投与についての説明書が場合により含まれる。
【0097】
「インターニューロン」(リレーニューロン、連合ニューロン、介在ニューロン、中間
型ニューロンまたは局所回路ニューロンとも呼ばれる)は、ヒト体内に見出されるニュー
ロンの3つの分類の1つである。インターニューロンは、神経回路を作出し、感覚または
運動ニューロンと中枢神経系(CNS)との間の伝達を可能とする。これらは、反射、成
体哺乳動物脳中の神経オシレーションおよび神経発生において機能することが見出されて
いる。インターニューロンは、2つの群:局所インターニューロン、およびリレーインタ
ーニューロンにさらに分類することができ、両方の群は、本明細書において使用される場
合、用語「インターニューロン」により包含される。局所インターニューロンは、短い軸
索を有し、隣接ニューロンと回路を形成して情報の小片を分析する。リレーインターニュ
ーロンは、長い軸索を有し、脳のある領域中のニューロンの回路を他の領域中のものと接
続する。インターニューロン間の相互作用は、脳が複雑な機能、例えば、学習、および意
思決定を実行するのを可能とする。本発明のプロモーターは、全てのタイプのインターニ
ューロン、例えば、GABA作動性インターニューロン、パルブアルブミン発現インター
ニューロン、またはコリン作動性インターニューロン中で遺伝子を発現させるために使用
することができる。
【0098】
インターニューロンは、多数の疾患、例として、精神障害、パーキンソン病および神経
変性疾患に関与している。
【0099】
特に定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、
本発明が属する分野の当業者により一般に理解されているものと同一の意味を有する。本
明細書に記載のものと類似または均等の方法および材料は、本発明の実施または試験に使
用することができるが、好適な方法および材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義
を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は説明のためのものに
すぎず、限定的なものではない。
【実施例0100】
遺伝子構築物
本試験において使用されるプロモーターID番号1は、754bpからなる。ChR2
-eGFPコード配列をこのプロモーターおよび最適化コザック配列(GCCACC)直
後に挿入し、それにウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)およ
びSV40ポリアデニル化部位が続いた。それぞれ5.86E+11および4.18E+
11GC/mLの力価を有するAAV血清型2/9を使用して、皮質ニューロンを標的化
した。
【0101】
ウイルス形質移入および組織調製
V1へのAAV投与のため、マウスにフェンタニル-メデトミジン-ミダゾラム(フェ
ンタニル0.05mg/kg、メデトミジン0.5mg/kg、ミダゾラム5.0mg/
kg)を麻酔した。Coliquifilm(Coliquifilm、Allerga
n、S01XA20)を眼球に施与して脱水を防止した。30G針を使用して一次視覚野
上方に両半球中でいくつかの孔を作製した。1μlのAAVを引張(pulled)ホウ
ケイ酸ガラスピペット(1.5mmの外径、チップ直径100μm)中にロードした。ピ
ペットをそれぞれの孔に通してガイドし、針を注射前に1mm下げた。注射後、麻酔をナ
ロキソン1.2mg/kg、アチパメゾール2.5mg/kg、およびフルマゼニル0.
5mg/kgのミックスにより拮抗させた。3週間後、単離された脳をPBS中4%PF
A中で一晩固定し、次いでPBS中で4℃において洗浄ステップを行った。ビブラトーム
を使用して150μm厚の冠状切片を作製した。最初にスライスを30%のスクロース中
で凍結保護してから3回の冷凍融解サイクルを行った。次いで、これらをPBS中10%
の正常ロバ血清(NDS)、1%のBSA、0.5%のTriton X-100により
室温において2時間処理した。PBS中3%のNDS、1%のBSA、0.5%のTri
ton X-100中のモノクローナルラット抗GFP Ab(Molecular P
robes Inc.;1:500)およびポリクローナルウサギ抗RFP(Rockl
and、600-401-379、1:500)による処理を、室温において2~3日間
実施した。二次ロバ抗ラットAlexa Fluor-488Ab(Molecular
Probes Inc.;1:200)および抗ウサギAlexa Fluor-56
8(Life Technologies、A10042、1:200)による処理を2
時間行った。切片を洗浄し、スライドガラス上にProLong Gold褐色防止用試
薬(Molecular Probes Inc.)と共に載せ、Zeiss LSM
700 Axio Imager Z2レーザー走査型共焦点顕微鏡(Carl Zei
ss Inc.)を使用してイメージングした。
図1
【配列表】
2022062041000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
ウイルス形質移入および組織調製
V1へのAAV投与のため、マウスにフェンタニル-メデトミジン-ミダゾラム(フェンタニル0.05mg/kg、メデトミジン0.5mg/kg、ミダゾラム5.0mg/kg)を麻酔した。Coliquifilm(Coliquifilm、Allergan、S01XA20)を眼球に施与して脱水を防止した。30G針を使用して一次視覚野上方に両半球中でいくつかの孔を作製した。1μlのAAVを引張(pulled)ホウケイ酸ガラスピペット(1.5mmの外径、チップ直径100μm)中にロードした。ピペットをそれぞれの孔に通してガイドし、針を注射前に1mm下げた。注射後、麻酔をナロキソン1.2mg/kg、アチパメゾール2.5mg/kg、およびフルマゼニル0.5mg/kgのミックスにより拮抗させた。3週間後、単離された脳をPBS中4%PFA中で一晩固定し、次いでPBS中で4℃において洗浄ステップを行った。ビブラトームを使用して150μm厚の冠状切片を作製した。最初にスライスを30%のスクロース中で凍結保護してから3回の冷凍融解サイクルを行った。次いで、これらをPBS中10%の正常ロバ血清(NDS)、1%のBSA、0.5%のTriton X-100により室温において2時間処理した。PBS中3%のNDS、1%のBSA、0.5%のTriton X-100中のモノクローナルラット抗GFP Ab(Molecular Probes Inc.;1:500)およびポリクローナルウサギ抗RFP(Rockland、600-401-379、1:500)による処理を、室温において2~3日間実施した。二次ロバ抗ラットAlexa Fluor-488Ab(Molecular Probes Inc.;1:200)および抗ウサギAlexa Fluor-568(Life Technologies、A10042、1:200)による処理を2時間行った。切片を洗浄し、スライドガラス上にProLong Gold褐色防止用試薬(Molecular Probes Inc.)と共に載せ、Zeiss LSM 700 Axio Imager Z2レーザー走査型共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Inc.)を使用してイメージングした。

以下の態様を包含し得る。
[1] 配列番号1の核酸配列を含み、もしくはそれからなり、または配列番号1の前記配列と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも700bpの核酸配列からなる単離核酸分子であって、インターニューロン中の遺伝子の特異的発現を、前記遺伝子をコードする核酸配列が前記単離核酸分子に作動可能に結合している場合にもたらす単離核酸分子。
[2] 最小プロモーター、例えば、配列番号2の最小プロモーターをさらに含む、上記[1]に記載の単離核酸分子。
[3] 上記[1]または[2]に記載の単離核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含む単離核酸分子。
[4] 規定の細胞中の遺伝子発現を促進するエレメントとして上記[1]または[2]に記載の単離核酸を含む発現カセットであって、前記単離核酸が、少なくとも、桿体光受容器中で特異的に発現させるべき遺伝子をコードする核酸配列に作動可能に結合している発現カセット。
[5] 上記[4]に記載の発現カセットを含むベクター。
[6] ウイルスベクターである、上記[5]に記載のベクター。
[7] インターニューロン中の遺伝子の前記発現のための、上記[1]もしくは[2]に記載の核酸の、上記[4]に記載の発現カセットの、または上記[5]に記載のベクターの使用。
[8] 単離細胞、細胞系または細胞集団に上記[4]に記載の発現カセットを形質移入するステップを含む、桿体光受容器中で遺伝子を発現させる方法であって、前記細胞がインターニューロンであり、または前記細胞がインターニューロンを含む場合、発現させるべき前記遺伝子を前記単離細胞、前記細胞系または前記細胞集団により特異的に発現させる方法。
[9] 上記[4]に記載の発現カセットまたは上記[5]に記載のベクターを含む単離細胞。
[10] 前記発現カセットまたはベクターが、前記細胞のゲノム中に安定的に組み込まれている、上記[9]に記載の細胞。
[11] 前記遺伝子の産物が、光感受性分子、例えば、ハロロドプシンまたはチャネルロドプシンである、上記[1]もしくは[2]に記載の単離核酸分子、上記[4]に記載の発現カセット、上記[5]に記載のベクター、上記[7]に記載の使用、上記[8]に記載の方法または上記[9]に記載の細胞。
[12] 上記[1]または[2]に記載の単離核酸分子を含む、インターニューロン中で遺伝子を発現させるためのキット。
【外国語明細書】