(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062063
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】アンテナ・アレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/28 20060101AFI20220412BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20220412BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20220412BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01Q21/28
G01S7/02 210
H01Q1/42
H01Q21/06
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022004496
(22)【出願日】2022-01-14
(62)【分割の表示】P 2019536142の分割
【原出願日】2017-12-27
(31)【優先権主張番号】62/439,913
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519235313
【氏名又は名称】ラドシー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ラファエリ、ダン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率が高く、副ローブがより低いレーダー及びレーダー・ユニットを提供する。
【解決手段】レーダーは、伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイで構成する。伝送アンテナの第1のアレイは、第1の距離だけ互いに間隔を隔て配置し、受信アンテナの第1のアレイは、第2の距離だけ互いに間隔を隔て配置する。第1の距離及び第2の距離の各々は、2分の1波長より長く、第1の距離は、第2の距離と異なり第2の距離に対する第1の距離の比率は整数ではなく、第1の距離に対する第2の距離の比率は、整数でない。第1のアレイと第2のアレイは、ホーン・アンテナで構成し、マイクロストリップに結合される。ホーン・アンテナは、カバーによって密閉する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)レーダーであって、
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイを備え、
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナが第1の距離だけ互いに間隔を隔て、
受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナが第2の距離だけ互いに間隔を隔て、
前記第1の距離及び前記第2の距離の各々が2分の1波長より長く、
前記第1の距離が前記第2の距離と異なり、
前記第2の距離に対する前記第1の距離の比率が整数ではなく、
前記第1の距離に対する前記第2の距離の比率が整数ではない
無線周波数(RF)レーダー。
【請求項2】
前記第1の距離及び前記第2の距離が2波長以上である、請求項1に記載の無線周波数レーダー。
【請求項3】
前記第2の距離が前記第1の距離の75パーセントである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項4】
前記第1の距離が2波長以上であり、前記第2の距離が前記第1の距離の75パーセントである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項5】
前記第2の距離が2波長未満である、請求項4に記載のRFレーダー。
【請求項6】
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナがホーン・アンテナであり、受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナがホーン・アンテナである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項7】
受信アンテナの前記第1のアレイに結合される受信導波路の第1のアレイを備える、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項8】
導波路の前記第1のアレイの受信導波路が、第1の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成されるカバーから形成される、請求項7に記載のRFレーダー。
【請求項9】
前記第1の構造要素が前記レーダーのハウジングである、請求項8に記載のRFレーダー。
【請求項10】
前記第2の構造要素が導電平面である、請求項9に記載のRFレーダー。
【請求項11】
伝送アンテナの前記第1のアレイに結合される伝送導波路の第1のアレイを備える、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項12】
導波路の前記第1のアレイの伝送導波路が、第1の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成されるカバーから形成される、請求項11に記載のRFレーダー。
【請求項13】
前記第1の構造要素が前記レーダーのハウジングである、請求項12に記載のRFレーダー。
【請求項14】
前記第2の構造要素が導電平面である、請求項9に記載のRFレーダー。
【請求項15】
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナがホーン・アンテナであり、受信アン
テナの前記第1のアレイの受信アンテナがホーン・アンテナである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項16】
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナが印刷されたアンテナであり、受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナが印刷されたアンテナである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項17】
伝送アンテナの前記第1のアレイが受信アンテナの前記第1のアレイに対して平行である、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項18】
伝送アンテナの前記第1のアレイ及び受信アンテナの前記第1のアレイが、単一の伝送アンテナ及び受信アンテナの非一様なアレイによって形成されるRFチャネルと等価であるRFチャネルを形成するように構成される、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項19】
伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイをさらに備え、
伝送アンテナの前記第2のアレイの伝送アンテナが第3の距離だけ互いに間隔を隔て、
受信アンテナの前記第2のアレイの受信アンテナが第4の距離だけ互いに間隔を隔て、
前記第3の距離及び前記第4の距離の各々が2分の1波長より長く、
前記第3の距離が前記第4の距離と異なり、
前記第4の距離に対する前記第3の距離の比率が整数ではなく、
前記第3の距離に対する前記第4の距離の比率が整数でない、
請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項20】
伝送アンテナの前記第1のアレイが受信アンテナの前記第1のアレイに対して平行であり、伝送アンテナの前記第2のアレイが受信アンテナの前記第2のアレイに対して平行である、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項21】
前記第3の距離及び前記第4の距離が2波長以上である、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項22】
前記第4の距離が前記第3の距離の75パーセントである、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項23】
前記第3の距離が2波長以上であり、前記第4の距離が前記第3の距離の75パーセントである、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項24】
前記第4の距離が2波長未満である、請求項23に記載のRFレーダー。
【請求項25】
伝送アンテナの前記第2のアレイの伝送アンテナがホーン・アンテナであり、受信アンテナの前記第2のアレイの受信アンテナがホーン・アンテナである、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項26】
伝送アンテナの前記第2のアレイの伝送アンテナが印刷されたアンテナであり、受信アンテナの前記第2のアレイの受信アンテナが印刷されたアンテナである、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項27】
受信アンテナの前記第2のアレイに結合される受信導波路の第2のアレイを備える、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項28】
受信導波路の前記第2のアレイの受信導波路が、第3の構造要素内に形成された空洞及
び第4の構造要素中に形成されるカバーから形成される、請求項27に記載のRFレーダー。
【請求項29】
受信導波路の前記第2のアレイの受信導波路が、第3の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成されるカバーから形成される、請求項27に記載のRFレーダー。
【請求項30】
伝送アンテナの前記第1のアレイ及び受信アンテナの前記第1のアレイが、伝送アンテナの前記第2のアレイ及び受信アンテナの前記第2のアレイに対して直角である、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項31】
伝送アンテナの前記第1のアレイ、受信アンテナの前記第1のアレイ、伝送アンテナの前記第2のアレイ及び受信アンテナの前記第2のアレイが前記RFレーダーの電気回路を取り囲み、前記電気回路がデジタル・プロセッサ及び無線周波数回路を含む、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項32】
伝送アンテナの前記第2のアレイの前記伝送アンテナが伝送アンテナの前記第1のアレイの前記伝送アンテナより短く、受信アンテナの前記第2のアレイの前記受信アンテナが受信アンテナの前記第1のアレイの前記受信アンテナより短い、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項33】
受信アンテナの前記第1のアレイが受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の第1のアレイに結合され、受信トランジションの前記第1のアレイが受信マイクロストリップの第1のアレイに結合され、受信アンテナの前記第2のアレイがトランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合され、受信トランジションの前記第2のアレイが受信マイクロストリップの第2のアレイに結合され、受信マイクロストリップの前記第1のアレイ及び受信マイクロストリップの前記第2のアレイが第1の平面に位置決めされ、受信導波路の前記第1のアレイ及び前記第1のアレイが受信導波路の前記第2のアレイ及び受信トランジションの前記第2のアレイとは異なる平面に配置される、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項34】
受信マイクロストリップの前記第1のアレイ及び第2のアレイが支持要素に接続され、受信導波路の前記第1のアレイ及び第2のアレイが前記支持要素の反対側の面に配置される、請求項33に記載のRFレーダー。
【請求項35】
前記支持要素が印刷回路基板である、請求項34に記載のRFレーダー。
【請求項36】
伝送アンテナの前記第1のアレイが伝送トランジションの第1のアレイを介して伝送導波路の第1のアレイに結合され、伝送トランジションの前記第1のアレイが伝送マイクロストリップの第1のアレイに結合され、伝送アンテナの前記第2のアレイがトランジションの第2のアレイを介して伝送導波路の第2のアレイに結合され、伝送トランジションの前記第2のアレイが伝送マイクロストリップの第2のアレイに結合され、伝送マイクロストリップの前記第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの前記第2のアレイが第1の平面に位置決めされ、伝送導波路の前記第1のアレイ及び伝送導波路の前記第2のアレイ並びに伝送トランジションの前記第2のアレイが、 、請求項19に記載のRFレーダー。
【請求項37】
伝送マイクロストリップの前記第1のアレイ及び第2のアレイが支持要素に接続され、伝送導波路の前記第1のアレイ及び第2のアレイが前記支持要素の反対側の面に配置される、請求項33に記載のRFレーダー。
【請求項38】
前記支持要素が印刷回路基板である、請求項37に記載のRFレーダー。
【請求項39】
受信アンテナの前記第1のアレイ及び伝送アンテナの前記第1のアレイが統合される、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項40】
無線周波数(RF)レーダーを動作させるための方法であって、
第1の送信RF信号を前記RFレーダーの伝送アンテナの第1のアレイから送信するステップと、
前記第1の送信RF信号の送信の結果として、第1の受信RF信号を前記RFレーダーの受信アンテナの第1のアレイから受信するステップと
を含み、
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナが第1の距離だけ互いに間隔を隔て、
受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナが第2の距離だけ互いに間隔を隔て、
前記第1の距離及び前記第2の距離の各々が2分の1波長より長く、
前記第1の距離が前記第2の距離と異なり、
前記第2の距離に対する前記第1の距離の比率が整数ではなく、
前記第1の距離に対する前記第2の距離の比率が整数ではない
方法。
【請求項41】
前記第1の受信RF信号は、前記無線周波数レーダーの視野内に位置決めされる対象から受信される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記対象に関する情報を決定するために前記第1の受信RF信号を処理するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の送信RF信号の送信の結果として、第2の受信RF信号を前記無線周波数レーダーの受信アンテナの第2のアレイから受信するステップをさらに含み、受信アンテナの前記第2のアレイが受信アンテナの前記第1のアレイに向けて配向され、また、伝送アンテナの前記第1のアレイに向けて配向される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
第2の送信RF信号を前記RFレーダーの伝送アンテナの第2のアレイから送信するステップと、
前記第2の送信RF信号の送信の結果として、前記RFレーダーの受信アンテナの前記第1のアレイによって第3の受信RF信号を受信するステップと、
前記第2の送信RF信号の送信の結果として、前記RFレーダーの受信アンテナの前記第2のアレイによって第4の受信RF信号を受信するステップと
をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、前記対象に関する情報を決定するために、前記第1の受信RF、前記第2のRF受信信号、前記第3のRF受信信号及び前記第4のRF受信信号を処理するステップを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
伝送アンテナの前記第1のアレイ及び受信アンテナの前記第1のアレイのうちの少なくとも一方が、伝送アンテナの前記第2のアレイ及び受信アンテナの前記第2のアレイのうちの少なくとも一方に向けて配向される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の受信信号、前記第2の受信信号、前記第3の受信信号及び前記第4の受信信号を処理することによって前記RFレーダーの空間曖昧性を解決するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記空間曖昧性を解決する前記ステップが、前記第1の受信信号に関連する空間曖昧性、前記第2の受信信号に関連する空間曖昧性、前記第3の受信信号に関連する空間曖昧性及び前記第4の受信信号に関連する空間曖昧性の間の差に基づく、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記処理ステップが最小分散無歪み応答(MVDR)ビーム形成を適用するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記処理ステップが線形ビーム形成を適用するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記処理ステップが、最小分散無歪み応答(MVDR)ビーム形成を適用するステップ及び線形ビーム形成を適用するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
無線周波数(RF)ユニットであって、
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイを備え、
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナが第1の距離だけ互いに間隔を隔て、
受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナが第2の距離だけ互いに間隔を隔て、
前記第1の距離及び前記第2の距離の各々が2分の1波長より長く、
前記第1の距離が前記第2の距離と異なり、
前記第2の距離に対する前記第1の距離の比率が整数ではなく、
前記第1の距離に対する前記第2の距離の比率が整数ではない
無線周波数(RF)ユニット。
【請求項53】
無線周波数(RF)レーダーであって、
伝送アンテナの第1のアレイと、
受信アンテナの第1のアレイと、
伝送アンテナの第2のアレイと、
受信アンテナの第2のアレイと、
受信マイクロストリップの第1のアレイと、
受信マイクロストリップの第2のアレイと、
伝送マイクロストリップの第1のアレイと、
伝送マイクロストリップの第2のアレイと
を備え、
受信アンテナの前記第1のアレイが受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の第1のアレイに結合され、
伝送アンテナの前記第1のアレイが伝送トランジションの第1のアレイを介して伝送導波路の第1のアレイに結合され、
受信アンテナの前記第2のアレイが受信トランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合され、
伝送アンテナの前記第2のアレイが伝送トランジションの第2のアレイを介して伝送導波路の第2のアレイに結合され、
受信マイクロストリップの前記第1のアレイ及び受信マイクロストリップの前記第2のアレイが、受信マイクロストリップの前記第1のアレイ及び受信マイクロストリップの前記第2のアレイを支持する支持要素の同じ面に配置され、
受信アンテナの前記第1のアレイが受信アンテナの前記第2のアレイに対して非平行である
無線周波数(RF)レーダー。
【請求項54】
受信トランジションの前記第1のアレイ及び受信トランジションの前記第2のアレイが
前記支持要素の反対側の面に配置される、請求項53に記載のRFレーダー。
【請求項55】
前記支持要素の一部を貫通する空洞を備え、受信マイクロストリップの第1のアレイ及び受信マイクロストリップの前記第2のアレイのうちの少なくとも一方からの受信マイクロストリップが前記空洞の近傍に位置決めされる、請求項54に記載のRFレーダー。
【請求項56】
伝送マイクロストリップの前記第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの前記第2のアレイが前記支持要素の同じ面に配置され、伝送アンテナの前記第1のアレイが伝送アンテナの前記第2のアレイに対して非平行である、請求項53に記載のRFレーダー。
【請求項57】
伝送トランジションの前記第1のアレイ及び伝送トランジションの前記第2のアレイが前記支持要素の反対側の面に配置される、請求項53に記載のRFレーダー。
【請求項58】
前記支持要素の一部を貫通する空洞を備え、伝送マイクロストリップの前記第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの前記第2のアレイのうちの少なくとも一方からの伝送マイクロストリップが前記空洞の近傍に位置決めされる、請求項57に記載のRFレーダー。
【請求項59】
無線周波数(RF)レーダー・ユニットであって、
第1の対象と、
第2の対象と、
中間表面と、
複数のマイクロストリップと
を備え、
第1の導波路が、前記第1の対象内に形成された空洞から、前記中間要素中に形成された第1のカバーによって形成され、
第2の導波路が、前記第2の対象内に形成された空洞から、前記中間要素中に形成された第2のカバーによって形成され、
前記複数のマイクロストリップのうちのいくつかのマイクロストリップが、第1のトランジションを介して前記第1の導波路に結合され、前記複数のマイクロストリップのうちのいくつかの他のマイクロストリップが、第2のトランジションを介して前記第2の導波路に結合される
無線周波数(RF)レーダー・ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2016年12月29日に出願した米国仮特許62/439913の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
進歩したレーダー・システムは、現在、Nt個の送信機アンテナ(Txとして略称される)が送信し、また、Nr個の受信機アンテナ(Rxとして略称される)が受信する、MIMO(Multiple Input Multiple Output:多重入力多重出力)と呼ばれる概念を使用している。このようなアンテナ・アレイは、数学的には仮想SIMO(Single input Multiple output:単一入力多重出力)アンテナ・アレイと等価であることはよく知られている。仮想アレイにはNt*Nr個の受信アンテナ及び1個の送信アンテナが存在している。仮想アレイでは、個々のアンテナ座標(X、Y)は、TxアンテナとRxアンテナの合計であり、仮想アレイではTxアンテナとRxアンテナのあらゆる組合せが存在する。従来技術による構成(
図1に示されている)は、dによって分離されたRxアンテナの一様なアレイと隣り合わせに、d*Nrによって分離された数個のTxアンテナからなっており、dは典型的には0.5λであり、λは波長である。結果として得られる仮想アレイは、Nt*Nr個のアンテナの一様なアレイである。この従来のアレイは、空間のためには最適ではない。さらに、標準印刷回路基板(PCB:printed circuit board)上のプリントとしてアンテナを製造し、且つ、同じ基板上のアンテナに供給し、或いは同じ基板上のアンテナによって供給される集積回路(IC:integrated circuits)を適合することは、コスト節約の点で有利である。
【0003】
従来のアンテナ製造方法にはいくつかの欠点がある。第1に、印刷されたアンテナは、効率がより低く、また、副ローブがより高い。第2に、印刷されたアンテナは、超短波マイクロ波の性能に影響を及ぼす製造変動が大きい。第3に、Txチップ又はRxチップからアンテナまでの線路の損失が大きく、また、スプリアス放射が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーダー・ユニット及び/又はレーダーを提供することができる。レーダー・ユニットはレーダーの一部であってもよく、或いはレーダーであってもよい。レーダーは無線周波数(RF:radio frequency)レーダーであるが、追加及び/又は他の周波数帯域で動作することも可能である。レーダー・ユニットはアンテナ・アレイを含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイを含むことができるレーダーであって、伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナは第1の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナは第2の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、第1の距離及び第2の距離の各々は2分の1波長より長く、第1の距離は第2の距離と異なり、第2の距離に対する第1の距離の比率は整数でなくてもよく、また、第1の距離に対する第2の距離の比率は整数でなくてもよいレーダーを提供することができる。
【0006】
第1の距離及び第2の距離は2波長以上であってもよい。
【0007】
第2の距離は第1の距離の75パーセントであってもよい。
【0008】
第1の距離は2波長以上であってもよく、また、第2の距離は第1の距離の75パーセントであってもよい。
【0009】
第2の距離は2波長未満であってもよい。
【0010】
伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナはホーン・アンテナであってもよく、また、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナはホーン・アンテナであってもよい。
【0011】
レーダーは、受信アンテナの第1のアレイに結合することができる受信導波路の第1のアレイを含むことができる。
【0012】
導波路の第1のアレイの受信導波路は、第1の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成することができるカバーから形成することができる。
【0013】
第1の構造要素はレーダーのハウジングであってもよい。
【0014】
第2の構造要素は導電平面であってもよい。
【0015】
レーダーは、伝送アンテナの第1のアレイに結合することができる伝送導波路の第1のアレイを含むことができる。
【0016】
導波路の第1のアレイの伝送導波路は、第1の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成することができるカバーから形成することができる。
【0017】
第1の構造要素はレーダーのハウジングであってもよい。
【0018】
第2の構造要素は導電平面であってもよい。
【0019】
伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナはホーン・アンテナであってもよく、また、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナはホーン・アンテナであってもよい。
【0020】
伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナは印刷されたアンテナであってもよく、また、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナは印刷されたアンテナであってもよい。
【0021】
伝送アンテナの第1のアレイは、受信アンテナの第1のアレイに対して平行であってもよい。
【0022】
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイは、単一の伝送アンテナ及び受信アンテナの非一様なアレイによって形成されるチャネルと等価であってもよいチャネルを形成するように構成することができる。
【0023】
レーダーは、伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイを含むことができ、伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナは、第3の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナは、第4の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、第3の距離及び第4の距離の各々は2分の1波長より長く、第3の距離は第4の距離と異なり、第4の距離に対する第3の距離の比率は整数でなくてもよく、また、第3の距離に対する第4の距離の比率は整数でなくてもよい。
【0024】
伝送アンテナの第1のアレイは、受信アンテナの第1のアレイに対して平行であってもよく、また、伝送アンテナの第2のアレイは、受信アンテナの第2のアレイに対して平行であってもよい。
【0025】
第3の距離及び第4の距離は2波長以上であってもよい。
【0026】
第4の距離は第3の距離の75パーセントであってもよい。
【0027】
第3の距離は2波長以上であってもよく、また、第4の距離は第3の距離の75パーセントであってもよい。
【0028】
第4の距離は2波長未満であってもよい。
【0029】
伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナはホーン・アンテナであってもよく、また、受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナはホーン・アンテナであってもよい。
【0030】
伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナは印刷されたアンテナであってもよく、また、受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナは印刷されたアンテナであってもよい。
【0031】
レーダーは、受信アンテナの第2のアレイに結合することができる受信導波路の第2のアレイを含むことができる。
【0032】
受信導波路の第2のアレイの受信導波路は、第3の構造要素内に形成された空洞及び第4の構造要素中に形成することができるカバーから形成することができる。
【0033】
受信導波路の第2のアレイの受信導波路は、第3の構造要素内に形成された空洞及び第2の構造要素中に形成することができるカバーから形成することができる。
【0034】
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイは、伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイに対して直角であってもよい。
【0035】
伝送アンテナの第1のアレイ、受信アンテナの第1のアレイ、伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイはレーダーの電気回路を取り囲み、電気回路は、デジタル・プロセッサ及び無線周波数回路を含むことができる。
【0036】
伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナは、伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナより短くすることができ、また、受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナは、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナより短くすることができる。
【0037】
受信アンテナの第1のアレイは、受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の第1のアレイに結合することができ、受信トランジションの第1のアレイは受信マイクロストリップの第1のアレイに結合することができ、受信アンテナの第2のアレイは、トランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合することができ、受信トランジションの第2のアレイは受信マイクロストリップの第2のアレイに結合することができ、受信マイクロストリップの第1のアレイ及び受信マイクロストリップの第2のアレイは第1の平面に位置決めすることができ、受信導波路の第1のアレイ及び第1のアレイは、受信導波路の第2のアレイ及び受信トランジションの第2のアレイとは異なる平面に配置することができる。
【0038】
受信マイクロストリップの第1のアレイ及び第2のアレイは支持要素に接続することができ、受信導波路の第1のアレイ及び第2のアレイは、支持要素の反対側の面に配置することができる。
【0039】
支持要素は印刷回路基板であってもよい。
【0040】
伝送アンテナの第1のアレイは、伝送トランジションの第1のアレイを介して伝送導波路の第1のアレイに結合することができ、伝送トランジションの第1のアレイは伝送マイクロストリップの第1のアレイに結合することができ、伝送アンテナの第2のアレイは、トランジションの第2のアレイを介して伝送導波路の第2のアレイに結合することができ、伝送トランジションの第2のアレイは伝送マイクロストリップの第2のアレイに結合することができ、伝送マイクロストリップの第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの第2のアレイは第1の平面に位置決めすることができ、伝送導波路の第1のアレイ及び伝送導波路の第2のアレイ並びに伝送トランジションの第2のアレイは、。
【0041】
伝送マイクロストリップの第1のアレイ及び第2のアレイは支持要素に接続することができ、伝送導波路の第1のアレイ及び第2のアレイは、支持要素の反対側の面に配置することができる。
【0042】
支持要素は印刷回路基板であってもよい。
【0043】
受信アンテナの第1のアレイ及び伝送アンテナの第1のアレイは統合することができる。
【0044】
発明の概要の上記段落のうちのいずれかで例証されたレーダーを動作させるための方法、及び本明細書において例証されている任意のレーダーを動作させるための方法を提供することができる。レーダーの動作は、(少なくとも)信号を送信するステップ及び信号を受信するステップを含むことができる。
【0045】
レーダーを動作させるための方法を提供することができ、方法は、第1の送信信号をレーダーの伝送アンテナの第1のアレイから送信するステップと、第1の送信信号の送信の結果として、第1の受信信号をレーダーの受信アンテナの第1のアレイから受信するステップとを含むことができ、伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナは第1の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナは第2の距離だけ互いに間隔を隔てることができ、第1の距離及び第2の距離の各々は2分の1波長より長く、第1の距離は第2の距離と異なり、第2の距離に対する第1の距離の比率は整数でなくてもよく、また、第1の距離に対する第2の距離の比率は整数でなくてもよい。
【0046】
第1の受信信号は、レーダーの視野内に位置決めすることができる対象から受信することができる。
【0047】
方法は、対象に関する情報を決定するために第1の受信信号を処理するステップを含むことができる。
【0048】
方法は、第1の送信信号の送信の結果として、第2の受信信号をレーダーの受信アンテナの第2のアレイから受信するステップを含むことができ、受信アンテナの第2のアレイは受信アンテナの第1のアレイに向けて配向することができ、また、伝送アンテナの第1のアレイに向けて配向することができる。
【0049】
方法は、第2の送信信号をレーダーの伝送アンテナの第2のアレイから送信するステップと、第2の送信信号の送信の結果として、レーダーの受信アンテナの第1のアレイによって第3の受信信号を受信するステップと、第2の送信信号の送信の結果として、レーダーの受信アンテナの第2のアレイによって第4の受信信号を受信するステップとを含むことができる。
【0050】
方法は、対象に関する情報を決定するために、第1の受信RF、第2の受信信号、第3の受信信号及び第4の受信信号を処理するステップを含むことができる。
【0051】
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイのうちの少なくとも一方は、伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイのうちの少なくとも一方に向けて配向することができる。
【0052】
方法は、第1の受信信号、第2の受信信号、第3の受信信号及び第4の受信信号を処理することによってレーダーの空間曖昧性を解決するステップを含むことができる。
【0053】
空間曖昧性を解決するステップは、第1の受信信号に関連する空間曖昧性、第2の受信信号に関連する空間曖昧性、第3の受信信号に関連する空間曖昧性及び第4の受信信号に関連する空間曖昧性の間の差に基づくことができる。
【0054】
処理ステップは、最小分散無歪み応答(MVDR:minimum variance distortionless response)ビーム形成を適用するステップを含むことができる。
【0055】
処理ステップは、線形ビーム形成を適用するステップを含むことができる。
【0056】
処理ステップは、MVDRビーム形成を適用するステップ及び線形ビーム形成を適用するステップを含むことができる。
【0057】
伝送アンテナの第1のアレイと、受信アンテナの第1のアレイと、伝送アンテナの第2のアレイと、受信アンテナの第2のアレイと、受信マイクロストリップの第1のアレイと、受信マイクロストリップの第2のアレイと、伝送マイクロストリップの第1のアレイと、伝送マイクロストリップの第2のアレイとを含むことができるレーダーであって、受信アンテナの第1のアレイは、受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の第1のアレイに結合することができ、伝送アンテナの第1のアレイは、伝送トランジションの第1のアレイを介して伝送導波路の第1のアレイに結合することができ、受信アンテナの第2のアレイは、受信トランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合することができ、伝送アンテナの第2のアレイは、伝送トランジションの第2のアレイを介して伝送導波路の第2のアレイに結合することができ、受信マイクロストリップの第1のアレイ及び受信マイクロストリップの第2のアレイは、受信マイクロストリップの第1のアレイ及び受信マイクロストリップの第2のアレイを支持する支持要素の同じ面に配置することができ、また、受信アンテナの第1のアレイは、受信アンテナの第2のアレイに対して非平行であってもよいレーダーを提供することができる。
【0058】
受信トランジションの第1のアレイ及び受信トランジションの第2のアレイは、支持要素の反対側の面に配置することができる。
【0059】
レーダーは、支持要素の一部を貫通する空洞を含むことができ、受信マイクロストリップの第1のアレイ及び受信マイクロストリップの第2のアレイのうちの少なくとも一方からの受信マイクロストリップは、空洞の近傍に位置決めすることができる。
【0060】
伝送マイクロストリップの第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの第2のアレイは、支持要素の同じ面に配置することができ、伝送アンテナの第1のアレイは、伝送アンテナの第2のアレイに対して非平行であってもよい。
【0061】
伝送トランジションの第1のアレイ及び伝送トランジションの第2のアレイは、支持要素の反対側の面に配置することができる。
【0062】
レーダーは、支持要素の一部を貫通する空洞を含むことができ、伝送マイクロストリップの第1のアレイ及び伝送マイクロストリップの第2のアレイのうちの少なくとも一方からの伝送マイクロストリップは、空洞の近傍に位置決めすることができる。
【0063】
第1の対象と、第2の対象と、中間要素と、複数のマイクロストリップとを含むことができるレーダー・ユニットを提供することができる。第1の導波路は、第1の対象内に形成された空洞から、中間要素中に形成された第1のカバーによって形成することができる。第2の導波路は、第2の対象内に形成された空洞から、中間要素中に形成された第2のカバーによって形成することができる。複数のマイクロストリップのうちのいくつかのマイクロストリップは、第1のトランジションを介して第1の導波路に結合することができる。複数のマイクロストリップのうちのいくつかの他のマイクロストリップは、第2のトランジションを介して第2の導波路に結合することができる。
【0064】
レーダーは前記レーダー・ユニットを含むことができる。レーダー・ユニットは費用有効性が高く、また、製造が容易である。空洞からの導波路の形成は、導波路のフレーム全体を複数のファセットから製造することと比較すると、製造がより安価で、且つ、より単純である。
【0065】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分でとりわけ指摘され、且つ、明確に特許請求されている。しかしながら本発明は、編成及びステップの方法の両方に関して、基板、特徴及びその利点と相俟って、以下の詳細な説明を参照して、添付の図面と共に読むことによって最も良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】PCB上の印刷されたアンテナを使用した従来のMIMOレーダー・アンテナ・アレイを示す略図である。
【
図2】
図1のMIMOレーダー・アンテナと等価である仮想アレイを示す略図である。
【
図3】一次元におけるMIMOレーダー・アンテナ・アレイの実施例の一実例を示す略図である。
【
図4】ウィンドウがない従来技術によるアレイのビーム形成結果を示すグラフである。
【
図5】ウィンドウを有する従来技術によるアレイのビーム形成結果を示すグラフである。
【
図6】本発明のアレイの好ましい一実施例のビーム形成結果を示すグラフである。
【
図7】不正確雑音(inaccuracies noise)が追加された従来技術によるアレイの結果を示すグラフである。
【
図8】不正確雑音が追加された本発明の例示的アレイの結果を示すグラフである。
【
図9】アンテナ・アレイの提案された2D配置を示す図である。
【
図10】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図11】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図12】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図13】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図14】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図15】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図16】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図17】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【
図18】レーダーの様々な部分の実例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下の詳細な説明には、本発明の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が示されている。しかしながら本発明は、これらの特定の詳細がなくても実践することができることは当業者には理解されよう。他の実例では、本発明を曖昧にしないために、よく知られている方法、手順及び構成要素は、詳細には説明されていない。
【0068】
方法に対する本明細書におけるすべての参照は、必要な変更を加えて、その方法を実行することができるシステムに適用されるものとする。
【0069】
システムに対する本明細書におけるすべての参照は、必要な変更を加えて、そのシステムによって実行することができる方法に適用されるものとする。
【0070】
様々な構成要素に対する同じ参照番号の割当は、これらの構成要素が互いに類似していることを示し得る。
【0071】
上記欠点を回避することができるアンテナ及び印刷回路基板(PCB)配置を有することができる無線周波数(RF)レーダーを提供することができる。
【0072】
アンテナは、効率が高く、利得が大きく、また、製造精度が極めて良好であることで知られているホーン・アンテナであってもよい。別法としては、アンテナはホーン・アンテナとは異なっていてもよく、例えばアンテナは、ホーン・アンテナよりコンパクトであり得るが、利得がより小さい印刷されたアンテナであってもよい。
【0073】
アンテナは、低損失導波路を使用してPCBに接続することができる。本発明においては、ホーン・アンテナ(他のタイプの高効率アンテナをホーン・アンテナの代わりに使用することも可能である)を有するアンテナ・アレイ構造が開示される。
【0074】
アンテナとレーダー・チップの間の接続は、2つの層中の湾曲した導波路を使用して実施することができる。
【0075】
個々の導波路の端部には、マイクロストリップ・トランジションへの導波路が存在している。マイクロストリップは、信号をPCB上で組み立てられる伝送(Tx)デバイス又は受信(Rx)デバイスに引き渡す。
【0076】
マイクロストリップ接続は、便利にはPCBの1つの層、好ましくは一番上の層の中に置かれる。
【0077】
IC及びアンテナの便利な配置を有する一様な最適アレイを提供する短距離レーダー・アプリケーションのためのアレイ配置が提供される。短距離とは、1キロメートル未満、数百メートル未満、100メートル未満、等々であってもよい。レーダーは車両の中に取り付けることができ、また、自主走行のため、及び/又はドライバー支援アプリケーションのために使用することができる。
【0078】
本発明の追加特徴は、垂直軸における曖昧性を解決する方法である。
【0079】
従来技術によるMIMOアンテナ構成は
図1に示されている。個々のアンテナは細長い長方形として表されている。要素の実際の形状は長方形ではあり得ず、多くのアプリケーションの必要に応じて、垂直軸の方向には狭い角度を生成し、水平軸の方向には広い角度を生成するために、実際の形状は水平方向に細長く、且つ、垂直軸の方向に長くなっている。この実例では、間隔が2分の1波長(0.5λ)の4つのRx要素12がRx側に置かれ、また、Tx11の6つの要素がTx側に置かれている。
【0080】
波長は、送信アンテナによって送信され、或いは受信アンテナによって受信される任意の波長であってもよいが、一般的には、アンテナの波長範囲の中心内に配置される波長を意味している。
【0081】
MIMO動作は、
図2に示されている仮想アレイを生成することになる。仮想アレイは、単一の送信アンテナ及び24個の受信アンテナを含む。
【0082】
この仮想アレイは極めて大きく、極めて高い角度分解能を提供し、また、水平軸の方向に良好な一様な間隔を有している。
図1の従来の配置の1つの欠点は、アンテナ要素がPCBの上に置かれる場合、アンテナと干渉しない能動構成要素のレイアウトが課題になることである。
【0083】
本発明のアンテナ・アレイの一実施例は
図3に示されている。この構成では、
図3のアンテナ・アレイと等価の仮想アレイはもはや一様なアレイではなく、ビーム幅は、その数のアンテナ要素を使用して達成することはほとんど不可能である。
【0084】
しかしながらアレイの非整数関連分離(non-integer related separation)を使用した新規な構成は、要素間の分離がもはや0.5λではなく、したがって製造がより容易になり、また、アンテナ間の漏話がより小さくなり、さらにはアンテナ不正確性に対する感度が低減される、という、最適最新技術MIMO構成に優る2つの利点を提供する。本明細書において例証されているアンテナ分離比率の選択は、大きい分離は依然として曖昧性(いわゆるグレーティング・ローブ)を生成しないことを保証することになる。本発明の別の有利な特徴は、特定の比率を使用することにより、広い角度であってもグレーティング・ローブが存在しないことである。
【0085】
本出願人らは、
図4~
図8の本発明の新規な構成の性能を立証する。
【0086】
図4には、4つのTxアンテナ及び16個のRxアンテナを使用した従来のMIMOビーム形成(グラフ40)が示されている。
【0087】
MIMOビーム形成は、1つの送信機及び4×16個の受信アンテナを含む仮想アレイによって受信される受信信号を表しており、仮想アレイは
図1のアレイと等価である。受信アンテナは、Txアンテナ及びRxアンテナの「実」対の異なる対間の異なる伝搬経路(伝送及び受信)間で異なる位相を表す位置に位置決めされる。
【0088】
図5のグラフ50は、Kaiserウィンドウを使用して、より広い主ローブの代償として副ローブが低減されるMIMOビーム形成を示したものである。
【0089】
図6のグラフ60は、12個のTx要素、16個のRx要素を有し、また、分離がそれぞれ2.0λ及び1.5λである本発明のアレイの実例のアレイ応答を示したものである。ここでも同じくウィンドウが適用されているが、仮想アレイが一様ではないため、ウィンドウは、Txアレイ及びRxアレイに個別に適用されている。従来技術によるアレイほどにはアレイ応答が良好ではないこと、また、要素の数がより多いことが分かる。一方、この劣ったアレイは、雑音性能に関していくつかの利点を有している。
【0090】
図7のグラフ70は、不正確性が要素利得に追加される際にプロットされる、従来技術によるアレイ応答を示したものである。
【0091】
グラフ80は、
図6の実例に使用されているアレイと同じである本発明のアレイに同じ不正確性が追加される際の応答を示したものである。このアレイの場合、雑音効果がより小さく、とりわけ、雑音効果が最も重要である主ローブの近辺でより小さいことが分かる。
【0092】
方位角及び仰角の両方における分解能を提供する2D配置は
図9に示されている。この好ましい実施例では、すべてのアンテナは境界に便利に置かれており、また、すべての電子工学は、長方形の内側に大きな連続空き空間を有している。いくつかのアプリケーションでは、仰角方向に狭い視野(FOV:field of view)が要求され、また、方位角方向に広いFOVが要求される。これは、x軸の方向(水平方向)に細く、また、y軸の方向(垂直方向)に長いアンテナ要素を使用して達成される。
【0093】
アンテナ要素は、任意の種類の放射要素、パッチ、スロット導波路、等々であってもよい。好ましい実施例では、効率が高く、利得が大きく、帯域幅が広く、また、精度が高いため、ホーン・アンテナが使用されている。ホーン・アンテナ配置の上面図は
図9に示されている。
【0094】
x軸には16個の受信要素(受信アンテナ92の第1のアレイの)が1.5λの分離で置かれており、また、その上に12個の送信要素(伝送アンテナ91の第1のアレイの)が2.0λの分離で存在している。
【0095】
y軸には、左側に16個の受信要素(受信アンテナ94の第2のアレイの)が1.5λの分離で置かれており、また、右側には12個の送信要素(伝送アンテナ93の第2のアレイの)が2.0λの分離で存在している。
【0096】
この2D配置は、一番下のRXアレイと共に右側のTxアレイを使用したMIMO動作を同じく許容し、結果として2Dの格子を提供するが、グレーティング・ローブを有している。一番上のTxアレイは、左側のRxアレイと共に、異なるグレーティング・ローブ・パターンを有する別の格子を提供する。すべてのこれらのパターンを組み合わせて、ほとんどの実践的な事例において明確なイメージを提供することができる。
【0097】
図10~
図16は、無線周波数(RF)レーダーの実例を示したものである。
【0098】
レーダー100は以下を含むことができる。
a.伝送アンテナ91の第1のアレイ。
b.受信アンテナ92の第1のアレイ。
c.伝送アンテナ93の第2のアレイ。
d.受信アンテナ94の第2のアレイ。
e.前部レードーム190及び後部部分150を含むことができるハウジング。
f.プロセッサ、メモリ・ユニットを含むことができる電気回路。電気回路は、アンテナ・アレイ及び1つ又は複数のPCBなどの1つ又は複数の支持要素によって画定される内部空間内に配置することができる。PCBは、電気回路を支持するための第1のPCB120、及び空洞が形成される第2のPCB130を含む。
g.RF信号を受信し、そのRF信号を電気信号に変換することができ、及び/又は電気信号を受信し、その電気信号をRF信号に変換することができる無線周波数回路。
h.(i)無線周波数回路からのRF信号を伝送アンテナの第1のアレイ及び/又は第2のアレイに運搬するため、及び/又は(ii)第1の受信アレイ及び/又は第2の受信アレイからのRF信号を無線周波数回路に運搬するための1つ又は複数のRF分配ユニット。
【0099】
電気回路、無線周波数回路は、集合的に110で表されている。
【0100】
アンテナ・アレイは、ホーン・アンテナ又は任意の他のアンテナを含むことができる。
図10~
図17はホーン・アンテナを示したものである。
【0101】
伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナは、第1の距離D1だけ互いに間隔を隔てることができる。受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナは、第2の距離D2だけ互いに間隔を隔てることができる。D1及びD2は2分の1波長より長くてもよく、例えば1波長より長くても、また、2波長以上であってもよい。D1はD2と異なっている。D2とD1の間の比率(D2/D1)は整数ではない。D1とD2の間の比率(D1/D2)も同じく整数ではない。
【0102】
非制限の実例の場合、D2は0.75*D1であってもよい。とりわけD1は2波長に等しくてもよく、また、D2は1・1/2波長に等しくてもよい。
【0103】
伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナは、第3の距離D3だけ互いに間隔を隔てることができる。受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナは、第4の距離D4だけ互いに間隔を隔てることができる。D3及びD4は2分の1波長より長くてもよく、とりわけ1波長より長くても、また、2波長以上であってもよい。D3はD4と異なっている。D4とD3の間の比率(D4/D3)は整数ではない。D3とD4の間の比率(D3/D4)も同じく整数ではない。
【0104】
非制限の実例の場合、D4は0.75*D3であってもよい。とりわけD3は2波長に等しくてもよく、また、D4は1・1/2波長に等しくてもよい。
【0105】
1つ又は複数のRF分配ユニットは、導波路、伝送及びマイクロストリップ、又は任意の他のRF運搬要素を含むことができる。
【0106】
例えば1つ又は複数のRF分配ユニットは、
a.受信マイクロストリップ151の第1のアレイ
b.受信マイクロストリップ152の第2のアレイ
c.伝送マイクロストリップ153の第1のアレイ
d.伝送マイクロストリップ154の第2のアレイ
を含むことができる。
【0107】
受信アンテナの第1のアレイは、受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の第1のアレイに結合することができる。伝送アンテナの第1のアレイは、伝送トランジションの第1のアレイを介して伝送導波路の第1のアレイに結合することができる。受信アンテナの第2のアレイは、受信トランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合することができる。伝送アンテナの第2のアレイは、伝送トランジションの第2のアレイを介して伝送導波路の第2のアレイに結合することができる。
【0108】
【0109】
本発明の実施例によれば、導波路は、アンテナ(受信アンテナ及び伝送アンテナ)の他のアレイに対して非平行であるアンテナ(受信アンテナ及び伝送アンテナのアレイに、又はアレイからRF信号を運搬するはずである。導波路は、異なる平面に実現することができ、また、互いに交差することはない。例えば伝送導波路の第1のアレイ及び受信導波路の第1のアレイは、支持要素140の一方の面141に位置決めすることができ、一方、伝送導波路の第2のアレイ及び受信導波路の第2のアレイは、支持要素140の反対側の面142に位置決めすることができる。
【0110】
製造コストを削減し、レーダーのサイズを縮小し、また、より安定したホーン・アンテナを提供するために、ホーン・アンテナは、カバーによって密閉することができる空洞から形成することができる。カバーは、導電材料でコーティングされる(少なくとも部分的に)PCB140、又は空洞と一致するカバーを有するPCBなどの支持要素の中に含めることができる。
【0111】
本発明の実施例によれば、いくつかの空洞はハウジング150の後部部分に形成され、また、カバーは、PCB130などの支持要素のバックプレーン中に形成される。他の空洞は、別の支持要素の中に形成され、且つ、PCBのもう一方の面に形成されたカバーによって密閉される。
【0112】
マイクロストリップはPCBの任意の面に形成することができる。例えばマイクロストリップは、PCBの互いに反対側の両方の面に形成することができるが、PCBの一方の面のみに形成することも可能である。
【0113】
トランジションはPCBの両方の面に形成することができ、また、マイクロストリップと導波路の間に結合される。トランジションは、PCBの両方の面の導波路に結合される。トランジションは、マイクロストリップの端部が位置決めされる空間を画定することができる。トランジションは、PCBの両方の面に位置決めすることができる2つの部分を含み、また、導電ビアがPCBを貫通することができ、それによりマイクロストリップの端部を導電ケージで取り囲むことができる。
【0114】
マイクロストリップは、トランジションの任意の部分のすぐ近くに存在し得る。また、導波路はトランジションの任意の部分に接続することができる。マイクロストリップ及び導波路がPCBの反対側の面に位置決めされる場合、損失を小さくするために、導波路と対向しているPCBの面から、PCBの一部のみを貫通する部分空洞を形成することができるが、このような空洞は任意選択である。
【0115】
図17は、上部平面141、下部平面141及び開口(空洞)143を有するPCB140などの支持要素を示したものである。
【0116】
マイクロストリップ185及び186は上部表面に位置決めされている。開口143はPCB140を部分的に貫通している。
【0117】
トランジション180は、マイクロストリップ185の一部を取り囲む上部部分181を有しており、また、下部部分184を同じく有している。導電ビア189などの導電要素はPCB140を貫通することができ、また、トランジション180の部分181及び184に結合されている。
【0118】
トランジション180’は、マイクロストリップ186の一部を取り囲む上部部分183を有しており、また、下部部分182を同じく有している。導電ビアなどの導電要素はPCB140を貫通することができ、また、トランジション180’の部分182及び183に結合されている。
【0119】
図17は、空洞143の上に位置決めされるマイクロストリップ186の端部の上面図を同じく示している(ダッシュ線は、空洞143がPCB140の上部表面に達していないことを示している)。空洞143は、1つ又は複数の導電ビアによって取り囲むことができる。
【0120】
図18は、無線周波数チップ111などのRT/TXチップに結合されるRFマルチプレクサー112の実例を示したものである。RFマルチプレクサー112は、伝送マイクロストリップ221及び222に結合される2つの出力を有している。無線周波数チップ111は、RFマルチプレクサー112なしに伝送及び/又は受信マイクロストリップに結合することができる。
【0121】
図9のレーダーはスタティック・レーダーであってもよい。スタティック・レーダーは、視野の電子走査を実施しなくてもよく、また、機械的に移動させることができず、したがってレーダーの信頼性が向上する。
【0122】
レーダーを動作させるための方法を提供することができる。レーダーは、上で言及したレーダーのうちの任意のレーダーであっても、或いは以下の方法を実行することができる
任意の他のレーダーであってもよい。
【0123】
レーダーは、互いに非平行である伝送アンテナの第1のアレイ及び第2のアレイからRF信号を送信し、また、レーダーの視野内の1つ又は複数の対象からRF信号を受信することができる。RF信号は、受信アンテナの第1のアレイ及び第2のアレイからのアンテナによって受信される。
【0124】
RF信号がレーダーの視野内の対象から反射すると、位相が互いに異なる複数のRF信号が受信アンテナの第1のアレイ及び第2のアレイからのアンテナによって受信される。
【0125】
異なる方向に配置された対象は異なるRF信号を反射することになる。レーダーは、対象の方向に関する異なる仮定に対応する基準信号に対して、受信した信号を比較することができる(或いはどちらかと言えば受信した信号を処理することができる)。実際の受信信号に最も良好に一致する基準信号に対応する方向を選択することができる。
【0126】
方向の決定には、線形ビーム形成及び/又は最小分散無歪み応答(MVDR)ビーム形成などの1つ又は複数のビーム形成技法を使用することができる。
【0127】
受信機信号は、通常、時間領域と空間領域の間の変換を実施することによって処理される。このプロセスの間、フーリエ変換又は他の変換を適用することができる。
【0128】
伝送アレイ及び受信アレイの異なる組合せは、曖昧性の問題を抱えることがある。複数の伝送及び受信の結果(異なるアレイによる)を使用して曖昧性を解決することができる。
【0129】
図19は、曖昧性エリア401、402、402及び404を示したものである。
a.曖昧性エリア401は、伝送アンテナの第1のアレイによる伝送及び受信アンテナの第1のアレイによる受信に関連している。曖昧性エリアのピークは細長い垂直方向の領域である。ピークは受信パターンの主ローブのピークに対応している。
b.曖昧性エリア402は、伝送アンテナの第1のアレイによる伝送及び受信アンテナの第2のアレイによる受信に関連している。曖昧性エリアのピークは細長い水平方向の領域である。
c.曖昧性エリア403は、伝送アンテナの第2のアレイによる伝送及び受信アンテナの第1のアレイによる受信に関連している。曖昧性エリアは、伝送曖昧性エリア4031と受信曖昧性エリア4032の間の重畳エリアである。
d.曖昧性エリア404は、伝送アンテナの第2のアレイによる伝送及び受信アンテナの第2のアレイによる受信に関連している。
【0130】
事象a及びbは同時に生じ、また、事象c及びdは同時に生じる。
【0131】
事象(a、b)と事象(c、d)の間には極めて短い時間期間が存在することが可能であり、いくつかの事例では対象は実質的に同じ方向に位置決めされていると見なすことができ、したがってステップa、b、c及びdの間に獲得される読値の間で比較することができる。別法としては、Doppler読値が対象の速度に関する指示を提供し、したがって事象(a、b)と事象(c、d)の間の対象の位置の変化を容易に補償することができる。
【0132】
図20は、本発明の実施例による方法300を示したものである。
【0133】
方法300は、伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイを含むレーダーによって実行することができる。
【0134】
伝送アンテナの第1のアレイの伝送アンテナは第1の距離だけ互いに間隔を隔てている。受信アンテナの第1のアレイの受信アンテナは第2の距離だけ互いに間隔を隔てている。第1の距離及び第2の距離の各々は2分の1波長より長い。第1の距離は第2の距離と異なる。第2の距離に対する第1の距離の比率は整数ではない。第1の距離に対する第2の距離の比率は整数ではない。
【0135】
ステップ310は、第1の送信RF信号をRFレーダーの伝送アンテナの第1のアレイから送信するステップを含むことができる。
【0136】
ステップ320は、第1の送信RF信号の送信の結果として、第1の受信RF信号をRFレーダーの受信アンテナの第1のアレイから受信するステップを含むことができる。
【0137】
第1の受信RF信号は、無線周波数レーダーの視野内に位置決めされる対象から受信される。
【0138】
ステップ330は、対象に関する情報を決定するために第1の受信RF信号を処理するステップを含む。
【0139】
レーダーは受信アンテナの第2のアレイを含むことも可能である。受信アンテナの第2のアレイは、受信アンテナの第1のアレイに向けて配向することができ(非平行に)、また、伝送アンテナの第1のアレイに向けて配向することができる。
【0140】
ステップ340は、第1の送信RF信号の送信の結果として、第2の受信RF信号を無線周波数レーダーの受信アンテナの第2のアレイから受信するステップを含むことができ、受信アンテナの第2のアレイは受信アンテナの第1のアレイに向けて配向され、また、伝送アンテナの第1のアレイに向けて配向される。
【0141】
処理ステップ(ステップ330)は、ステップ340の間に受信したRF信号に対して適用することができる。
【0142】
レーダーは伝送アンテナの第2のアレイを含むことも可能である。伝送アンテナの第2のアレイの伝送アンテナは第3の距離だけ互いに間隔を隔てることができる。受信アンテナの第2のアレイの受信アンテナは第4の距離だけ互いに間隔を隔てることができる。第3の距離及び第4の距離は2分の1波長より長くすることができ、とりわけ1波長より長くすることができ、また、2波長以上にすることも可能である。第3の距離は第4の距離と異なっていてもよい。第4の距離と第3の距離の間の比率は整数ではない。第3の距離と第4の距離の間の比率は整数ではない。
【0143】
ステップ350は、第2の送信RF信号をRFレーダーの伝送アンテナの第2のアレイから送信するステップを含むことができる。
【0144】
ステップ360は、第2の送信RF信号の送信の結果として、RFレーダーの受信アンテナの第1のアレイによって第3の受信RF信号を受信するステップを含むことができる。
【0145】
ステップ370は、第2の送信RF信号の送信の結果として、RFレーダーの受信アンテナの第2のアレイによって第4の受信RF信号を受信するステップを含むことができる。
【0146】
ステップ330は、ステップ360及びステップ370の間に受信した信号を処理するステップを同じく含むことができる。したがってステップ330は、対象に関する情報を決定するために、第1の受信RF、第2のRF受信信号、第3のRF受信信号及び第4のRF受信信号を処理するステップを含むことができる。情報はレーダーの視野のイメージであってもよい。
【0147】
方法300は、ステップ320、340、360及び370のうちの少なくとも1つのステップの間に受信した信号の任意の組合せを処理することができる。
【0148】
伝送アンテナの第1のアレイ及び受信アンテナの第1のアレイのうちの少なくとも一方は、伝送アンテナの第2のアレイ及び受信アンテナの第2のアレイのうちの少なくとも一方に向けて配向される。
【0149】
ステップ330は、以下のうちの少なくとも1つを含むことができる。
a.第1の受信信号、第2の受信信号、第3の受信信号及び第4の受信信号を処理することによってRFレーダーの空間曖昧性を解決するステップ。
b.第1の受信信号に関連する空間曖昧性、第2の受信信号に関連する空間曖昧性、第3の受信信号に関連する空間曖昧性及び第4の受信信号に関連する空間曖昧性の間の相違に基づいて空間曖昧性を解決するステップ。
c.最小分散無歪み応答(MVDR)ビーム形成を適用するステップ。
d.線形ビーム形成を適用するステップ。
e.最小分散無歪み応答(MVDR)ビーム形成を適用するステップ及び線形ビーム形成を適用するステップ。
【0150】
曖昧性は、伝送及び受信の異なる組合せに関連する曖昧性エリアにおける重畳を見出すことによって少なくとも部分的に解決することができる。特定の対象に関連する、設定(a)及び(c)で検出される信号は、設定(a)の曖昧性エリアと設定(c)の曖昧性エリアの間の重畳エリアに位置しているはずである。
【0151】
以上、本明細書において、本発明について、本発明の実施例の特定の実例を参照して説明した。しかしながら添付の特許請求の範囲に示されている本発明のより広い精神及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を加えることができることは明らかであろう。
【0152】
さらに、説明及び特許請求の範囲における、「前部」、「後部」、「一番上」、「一番下」、「上」、「下」、等々という用語は、それが存在する場合、説明を目的として使用されており、必ずしも永久相対位置を記述するためのものではない。そのように使用されている用語は、本明細書において説明されている本発明の実施例が、例えば例証されているオリエンテーション或いはさもなければ本明細書において説明されているオリエンテーション以外のオリエンテーションにおけるステップであり得るよう、適切な状況の下で交換可能であることを理解されたい。
【0153】
本明細書において考察されている接続は、それぞれのノード、ユニット又はデバイスから、又はそれらに、例えば中間デバイスを介して信号を転送するのに適した任意のタイプの接続であってもよい。したがって暗に示されていない限り、或いは他に特記されていない限り、接続は、例えば直接接続であっても、或いは間接接続であってもよい。接続は、単一の接続、複数の接続、一方向接続又は二方向接続であることに関連して例証又は説明することが可能である。しかしながら異なる実施例は、接続の実施態様を変更することが可能である。例えば二方向接続よりもむしろ個別の一方向接続を使用することができ、また、その逆も可能である。また、複数の接続は、複数の信号を直列に転送し、或いは時間多重化方式で転送する単一の接続に置き換えることも可能である。同様に、複数の信号を運ぶ単一の接続は、これらの信号のサブセットを運ぶ様々な異なる接続に分割することも可能である。したがって信号を転送するための多くのオプションが存在している。
【0154】
実例では特定の導電率タイプ又は極性の電位が説明されているが、電位の導電率タイプ及び極性は逆にすることも可能であることは認識されよう。
【0155】
当業者は、論理ブロック間の境界は例証的なものにすぎないこと、また、代替実施例は、論理ブロック又は回路要素を合体することができ、或いは機能性の代替分解を様々な論理ブロック又は回路要素に強制し得ることを認識するであろう。したがって本明細書において描写されているアーキテクチャーは例示的なものにすぎないこと、また、実際に、同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャーを実現することができることを理解されたい。
【0156】
同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるよう、効果的に「連携される」。したがって特定の機能性を達成するために本明細書において結合された任意の2つの構成要素は、アーキテクチャー又は中間構成要素に無関係に所望の機能性が達成されるよう、互いに「連携されている」と見なすことができる。同様に、そのように連携された任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために互いに「動作可能に接続されている」或いは「動作可能に結合されている」と見なすことができる。
【0157】
さらに、当業者は、上で説明したステップ間の境界は例証的なものにすぎないことを認識するであろう。倍数を結合して単一のステップにすることができ、追加ステップの中に単一のステップを分散させることができ、また、ステップは、少なくとも部分的に同じ時間に実行することができる。さらに、代替実施例は、特定のステップの複数の実例を含むことができ、また、様々な他の実施例ではステップの順序を変えることができる。
【0158】
また、例えば一実施例では、例証された実例は、単一の集積回路の上に配置された、又は同じデバイス内に配置された回路機構として実現することも可能である。別法としては、実例は、適切な方法で互いに相互接続された任意の数の個別の集積回路又は個別のデバイスとして実現することも可能である。
【0159】
しかしながら他の変更態様、変形形態及び代替も同じく可能である。したがって本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例証的な意味で考察されるべきである。
【0160】
特許請求の範囲では、括弧内に置かれたすべての参照符号は、特許請求を制限するものとして解釈してはならない。「備える」という語は、特許請求項に挙げられているもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書において使用されている不特定の単数形の表現は、1つ又は2つ以上として定義される。また、特許請求の範囲における「少なくとも1つの」及び「1つ又は複数の」などの前置き表現の使用は、同じ特許請求項が「1つ又は複数の」或いは「少なくとも1つの」という前置き表現、及び不特定の単数形の表現を含む場合であっても、不特定の単数形の表現による別の特許請求要素の導入が、このような導入された特許請求要素を含む何らかの特定の特許請求を、このような要素を1つだけ含む発明に限定することを暗に意味するものとして解釈してはならない。特定の単数形の表現の使用についても同様である。他に特記されていない限り、「第1の」及び「第2の」などの用語は、このような用語が記述している要素間を任意に区別するために使用されている。したがってこれらの用語には、このような要素の一時的又は他の順位付けを示すことは必ずしも意図されていない。特定の測度が相互に異なる請求項に記載されている、という単なる事実は、これらの測度の組合せを有利に使用することができないことを示しているわけではない。
【0161】
「含む」、「備える」、「有する」、「~からなる」及び「本質的に~からなる」という用語は交換可能な方法で使用されている。例えばどの方法も、図及び/又は本明細書に含まれている少なくともステップ、図及び/又は本明細書に含まれているステップのみを含むことができる。知覚ユニット及びシステムについても同様である。
【0162】
「Xであってもよい」という言い回しは、条件Xを満たすことができることを示している。また、この言い回しは、条件Xが満たされなくてもよいことを同じく示唆している。
【0163】
以上、本発明の特定の特徴について、本明細書において例証し、且つ、説明したが、当業者には多くの修正、置換、変更及び等価物が思い浮かぶことであろう。したがって添付の特許請求の範囲には、本発明の真の精神の範疇であるすべてのこのような修正及び変更を包含することが意図されていることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)レーダーであって、
伝送アンテナの第1のアレイと、
受信アンテナの第1のアレイと、
受信アンテナの前記第1のアレイと結合された受信導波路の第1のアレイと
を備え、
伝送アンテナの前記第1のアレイの伝送アンテナが第1の距離だけ互いに間隔を隔て、
受信アンテナの前記第1のアレイの受信アンテナが第2の距離だけ互いに間隔を隔て、
前記第1の距離及び前記第2の距離の各々が2分の1波長より長く、
前記第1の距離が前記第2の距離と異なり、
前記第2の距離に対する前記第1の距離の比率が整数ではなく、
前記第1の距離に対する前記第2の距離の比率が整数ではなく、
前記第1のRFレーダーは、伝送アンテナの前記第1のアレイと結合された伝送導波路の第1のアレイを備え、
伝送導波路の前記第1のアレイは、カバーによって密閉された空洞によって形成されており、
前記カバーは、印刷回路基板PCBに含まれる、
RFレーダー。
【請求項2】
受信アンテナの前記第1のアレイは、受信トランジションの第1のアレイを介して受信導波路の前記第1のアレイと結合されており、
受信トランジションの前記第1のアレイは受信マイクロストリップの第1のアレイと結合されており、
受信アンテナの第2のアレイは、トランジションの第2のアレイを介して受信導波路の第2のアレイに結合されており、
受信トランジションの前記第2のアレイは受信マイクロストリップの第2のアレイに結合されている、
請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項3】
前記印刷回路基板PCBは、少なくとも部分的に導電材料でコーティングされて前記カバーを形成する、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項4】
前記印刷回路基板PCBは、前記空洞に一致するカバーを有する、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項5】
伝送アンテナの前記第1のアレイは、前記印刷回路基板PCBに含まれる追加のカバーによって密閉されている追加の空洞から形成されたホーンアンテナである、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項6】
前記印刷回路基板PCB、伝送アンテナの前記第1のアレイ、受信アンテナの前記第1のアレイ、伝送アンテナの第2のアレイ、及び受信アンテナの第2のアレイの間に位置する内部空間内に配置された電気回路を備える、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項7】
プロセッサと、
伝送アンテナの第2のアレイと、
受信アンテナの第2のアレイと
を備え、
伝送アンテナの前記第2のアレイは、伝送アンテナの前記第1のアレイに向けて配向されており、
受信アンテナの前記第2のアレイは、受信アンテナの前記第1のアレイに向けて配向されており、
伝送アンテナの前記第1のアレイは、第1の送信RF信号を送信するよう構成されており、
受信アンテナの前記第1のアレイは、前記第1の送信RF信号の送信の結果として、第1の受信RF信号を受信するよう構成されており、
受信アンテナの前記第2のアレイは、前記第1の送信RF信号の送信の結果として、第2の受信RF信号を受信するよう構成されており、
伝送アンテナの前記第2のアレイは、第2の送信RF信号を送信するよう構成されており、
受信アンテナの前記第1のアレイは、前記第2の送信RF信号の送信の結果として、第3の受信RF信号を受信するよう構成されており、
受信アンテナの前記第2のアレイは、前記第2の送信RF信号の送信の結果として、第4の受信RF信号を受信するよう構成されており、
前記プロセッサは、前記第1の受信RF信号、前記第2の受信RF信号、前記第3の受信RF信号、及び前記第4の受信RF信号を処理して、対象の情報を決定するよう構成されている、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第1の受信RF信号、前記第2の受信RF信号、前記第3の受信RF信号、及び前記第4の受信RF信号を処理することによって、前記RFレーダーの空間曖昧性を解決するよう構成されている、請求項7に記載のRFレーダー。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記第1の受信RF信号に関連する空間曖昧性、
前記第2の受信RF信号に関連する空間曖昧性、
前記第3の受信RF信号に関連する空間曖昧性、及び
前記第4の受信RF信号に関連する空間曖昧性、
の間の差に基づいて、前記空間曖昧性を解決するよう構成されている、請求項8に記載のRFレーダー。
【請求項10】
前記プロセッサは、
(a)最小分散無歪み応答MVDRビーム形成、及び
(b)最小分散無歪み応答MVDRビーム形成及び線形ビーム形成の組み合わせ
の少なくとも1つを適用するよう構成されている、請求項8に記載のRFレーダー。
【請求項11】
伝送アンテナの第2のアレイと
受信アンテナの第2のアレイと、
受信アンテナの前記第2のアレイに結合された受信導波路の第2のアレイと、
伝送アンテナの前記第2のアレイに結合された伝送導波路の第2のアレイと
を有する、請求項1に記載のRFレーダー。
【請求項12】
支持要素の一方の側に配置された第1のマイクロストリップ、及び第1のトランジションを備え、
前記第1のトランジションは、
前記第1のマイクロストリップの一部を取り囲む第1の上部部分と、
前記支持要素の他方に配置された第1の下部部分と、
前記支持要素を通り、前記第1の下部部分に前記第1の上部部分を電気的に結合させる導電要素と
を備える、請求項11に記載のRFレーダー。
【請求項13】
前記支持要素の一方の側に配置された第2のマイクロストリップ、及び第2のトランジションを備え、
前記第2のトランジションは、
前記第2のマイクロストリップの一部を取り囲む第2の上部部分と、
前記支持要素の他方に配置された第2の下部部分と、
前記支持要素を通り、前記第2の下部部分に前記第2の上部部分を電気的に結合させる導電要素と
を備える、請求項11に記載のRFレーダー。
【請求項14】
前記第2のトランジションは、前記支持要素に形成された空洞の一部を取り囲む、請求項13に記載のRFレーダー。
【請求項15】
前部レードームを備え、
前記印刷回路基板PCBは前記レードームと平行である、請求項14に記載のRFレーダー。
【外国語明細書】