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特開2022-62089デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062089
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20220412BHJP
   H01L 31/108 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 31/08 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 27/30 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20220412BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20220412BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20220412BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
H01L31/10 H
H01L31/10 C
H01L31/00 A
H01L27/146 C
H01L27/30
H01L29/78 613Z
H01L29/44 L
H01L29/44 Z
H01L29/48 D
H01L29/48 M
H01L29/58 G
G01T1/24
G01T1/20 E
G01T1/20 G
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007591
(22)【出願日】2022-01-21
(62)【分割の表示】P 2018521453の分割
【原出願日】2016-07-14
(31)【優先権主張番号】62/192,110
(32)【優先日】2015-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518015262
【氏名又は名称】ドース スマート イメージング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】カリム、カリム エス.
(72)【発明者】
【氏名】ガンバーザデー、シナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置およびシステムを提供する。
【解決手段】検出器素子は、半導体層の両側に位置する第1および第2の電極42,48を含む。第1および第2の電極は、半導体層に垂直な面内で互い違いに配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル撮像システム用の検出器素子であって、
光子を吸収するための半導体層と、
前記半導体層の第1の側に位置する第1の電極と、
前記半導体層の第2の側に位置する第2の電極であって、前記第1の側と前記第2の側は前記半導体層の両側である、第2の電極と、を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極は、前記半導体層に垂直な面内で互い違いに配置されている検出器素子。
【請求項2】
前記第1の電極と前記第2の電極は互いに重なり合わない、請求項1に記載の検出器素子。
【請求項3】
前記第1の電極と前記半導体層との間のブロッキング層をさらに含む、請求項1に記載の検出器素子。
【請求項4】
前記第2の電極と前記半導体層との間のブロッキング層をさらに含む、請求項3に記載の検出器素子。
【請求項5】
前記ブロッキング層は、絶縁層、オーミック層、または、ショットキー層のうちの少なくとも1つを備える、請求項3に記載の検出器素子。
【請求項6】
前記絶縁層は、アモルファス窒化シリコン、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコン酸窒化物、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、パリレン、アクリル、および、ポリスチレンのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の検出器素子。
【請求項7】
前記第1の電極または前記第2の電極の少なくとも一方の側に位置する反射防止層をさらに含む、請求項1に記載の検出器素子。
【請求項8】
前記反射防止層は、アモルファス窒化シリコン、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコン酸窒化物、または、有機材料のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載の検出器素子。
【請求項9】
前記ブロッキング層は反射防止層としても機能する、請求項3に記載の検出器素子。
【請求項10】
前記電極は、不透明または透明導電性材料の少なくとも1つである、請求項1に記載の検出器素子。
【請求項11】
前記検出器素子は読み出し回路素子に結合されている、請求項1に記載の検出器素子。
【請求項12】
前記読み出し回路素子は、トランジスタスイッチ回路、アクティブピクセルセンサ回路、または、フォトンカウンティングピクセル回路の少なくとも1つを備える、請求項11に記載の検出器素子。
【請求項13】
前記検出器素子は表示画素と一体化されている、請求項11に記載の検出器素子。
【請求項14】
基板上に第1の電極を堆積し、
前記第1の電極の上に半導体層を堆積し、
前記半導体層上に第2の電極を堆積することを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極は、前記半導体層の両側にあり、
前記第1の電極と前記第2の電極は、前記半導体層に垂直な面内で互い違いに配置されている検出器素子の製造方法。
【請求項15】
前記第1の電極と前記第2の電極は互いに重なり合わない、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体層を堆積する前に、前記第1の電極上にブロッキング層を堆積することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の電極を堆積する前に、前記半導体層上にブロッキング層を堆積することをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブロッキング層は、絶縁層、オーミック層、または、ショットキー層のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の電極または前記第2の電極のいずれかの上に反射防止層を堆積することをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記反射防止層は、アモルファス窒化シリコン、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコン酸窒化物、または、有機材料のうちの少なくとも1つである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年7月14日に出願された米国特許出願62/192,110号の利益を主張し、その内容が参照により組み込まれる。
[開示の分野]
本開示は、一般的に、デジタル撮像システムに関し、より詳細には、デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断プロセスは、ハロゲン化銀フィルム上にX線画像パターンを記録する。これらのシステムは、最初の一様な入射X線放射のパターンを被検体を通して導き、X線放射増感スクリーンで変調されたX線放射パターンを遮断し、増感されたパターンをハロゲン化銀フィルムに記録し、潜像パターンを放射線写真と呼ばれる永久可視像に化学的に変換する。
【0003】
放射線感光材料の層を使用して、電荷の変調されたパターンとして放射線画像を直接的に取り込むことによって、放射線写真が生成される。入射X線放射の強度に依存して、ピクセル領域内のX線放射によって電気的または光学的に生成された電荷は、規則的に配列された個別の固体放射線センサのアレイを使用して量子化される。
【0004】
近年、大面積ディスプレイに用いられるアクティブマトリクス技術を用いて、デジタル放射線のための大面積のフラットパネルのデジタルX線イメージャが急速に開発されている。アクティブマトリクスは、大面積に適合した半導体材料で作られた薄膜トランジスタ(TFT)の2次元アレイ(そのうちの各素子は画素と呼ばれる)を含む。フラットパネルX線検出器を直接的または間接的に製造する2つの一般的なアプローチがある。直接法は、主としてアクティブマトリクスに直接結合された電荷変換層へのX線として厚い光導電フィルム(例えばアモルファスセレン)を使用する。間接法では、蛍光体スクリーンまたはシンチレータ(例えば、CsI、GdOSなど)を使用してX線を光子に変換し、次に、それは、アクティブマトリクスアレイ上のTFTで製造された追加のピクセルレベル光センサを用いて電荷に変換される。
【0005】
垂直フォトダイオードを製造する際の重要な課題は、光学的クロストークを防止するために、TFT製造プロセス、具体的には、厚いアモルファスシリコン層、特殊なpドープコンタクト層および複雑な反応性イオンエッチング(RIE)側壁エッチングプロセスに必要な変更である。これらの課題は、製造歩留まりを低下させ、製造コストを上昇させる。横型MSMフォトコンダクタを製造する際の重要な課題は、より高い電界での高い暗電流および不均一電界による光応答不均一性を含む。加えて、横型MSMフォトコンダクタは、空間効率が悪く、有効な量子効率(EQE)が低くなる。これらの問題のそれぞれは、イメージャの性能を低下させ、このことが、現在、大面積のデジタルX線イメージング用にMSMデバイスが業界で使用されていない主な理由である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置およびシステムを提供する。この装置は、光導電性素子(photoconductive element)として理解できる。
【0007】
一実施形態では、光導電性素子は、横型金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子を含む。絶縁体は、ブロッキング層としても理解されうる。MISIM検出器素子は、例えば、検出器素子と読み出し回路素子との間に位置する誘電体層内のビアを介して読み出し回路素子に結合されうる。
【0008】
一実施形態では、装置は、入射光子を吸収するための半導体層と、半導体層に結合された、半導体層の両側に位置する2つの電極とを含む。2つの電極は、好ましくは、互い違いに配置されている。実際の実装では、少なくとも1つの電極は、絶縁体またはブロッキング層を用いて半導体層から電気的に絶縁されている。通常、高いバイアス電圧を受けている絶縁されたコンタクトまたは電極は、高い電界の条件でも低い暗電流を維持する。高電界を印加することは、MISIM検出器素子のような装置が、従来の金属-半導体-金属(MSM)光導電素子の設計よりも高速で動作すること、および、半導体層へ入射する光子により生成される電子正孔対の収集効率(および、したがってEQE)を増加させることも可能にする。本開示の構造は、従来のフォトダイオードの構造と比較して、よりシンプルで、且つ、対応して製造がより安価である。さらに、従来のMSM光導電素子と異なり、読み出し回路素子がMISIM検出器素子の下に埋め込まれることができ、光吸収用のより広い面積を得ることができるため、本開示の構造は、より高い性能を得る。また、TFT電子部品から離れて高電圧の電極を配置することは、信頼性を改善する。さらに、光導電素子の全体が大面積のTFTディスプレイ製造プロセスで実現でき、それは、PINフォトダイオード用の特別なプロセスよりも、より信頼性が高く利用が容易である。本開示の態様のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明と添付の図面とともに理解されるであろう。
【0009】
したがって、デジタル撮像システムにおける放射線検出のための新規な装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として以下に説明する。
図1】本開示による放射線撮像環境の概略図を示す。
図2】本開示による2次元アクティブマトリクス・イメージングアレイ構造を示す。
図3】本開示による画素回路アーキテクチャを示す。
図4a】金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子の異なる実施形態の断面を示す。
図4b】金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子の異なる実施形態の断面を示す。
図4c】金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子の異なる実施形態の断面を示す。
図4d】金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子の異なる実施形態の断面を示す。
図4e】金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子の異なる実施形態の断面を示す。
図5】本開示によるボトムゲート及びトップゲート薄膜トランジスタ(TFT)構成の断面を示す。
図6a】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面(コプレーナ)構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6b】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6c】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6d】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6e】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6f】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図6g】本開示による読み出し回路素子の上面、底面および側面上に配置された(同一平面構成)MISIM検出器素子を使用する光導電性素子の実装の異なる断面を示す
図7図7は、検出器素子を製造する方法を概説するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、デジタル撮像システムにおける放射線検出のための装置に関する。この装置は、金属-絶縁体-半導体-絶縁体-金属(MISIM)検出器素子などの検出器素子を含む光導電性素子を含むことができる。一実施形態では、検出器素子は、ラジオグラフィーイメージングシステム用の読み出し回路素子と一体化される。
【0012】
好ましい実施形態では、装置は、半導体層の両側に位置する一対の電極を含み、一対の電極は互い違いに配置される。一実施形態では、一対の電極は、互いに対して水平に離間され、垂直平面内で互いに重なり合わない。別の実施形態では、一対の電極は、半導体層に垂直な平面内で互い違いに配置される。
【0013】
図1は、放射線撮像環境の概略図を示す。図示されているように、X線源10は、ラジオグラフィー検出器システム(RDS)14による撮影のための対象物12、例えば患者の手、に向かって送られるX線ビームすなわちX線11を発生する。X線の結果はコンピュータ16で見ることができる。間接イメージングシステムと見なすことができる本実施形態では、ラジオグラフィー検出器システム14は、シンチレータ15を含む。直接イメージングシステムでは、X線11はラジオグラフィー検出器システム14内に電荷を生成し、シンチレータ15は不要である。
【0014】
いくつかのラジオグラフィー検出器システム14では、入射X線ビーム11をサンプリングしているX線源10とラジオグラフィー検出器システム14との間の正しいタイミングを得るために、同期ハードウェア18が必要である。本開示では、ラジオグラフィー検出器システム14は、対象物12の画像化を達成するためのアクティブマトリクス技術に基づく大面積のフラットパネル検出器を含む。
【0015】
一般に、画像化される物体12は、放射線源10とラジオグラフィー検出器システム14との間に配置される。対象物12を通過するX線11は、ラジオグラフィー検出器システム14と相互作用する。間接イメージングでは、X線11は、構造化セシウムヨウ化物(CsI)、ガドリニウムオキシサルファイド(GOS)またはタングステン酸カルシウム(CaWO4)のような蛍光体スクリーンまたはシンチレータ15を通過する際に光子を発生する。これらの間接的に生成された光子は、ラジオグラフィー検出器システム14内で電荷をさらに生成する。
【0016】
図2は、ラジオグラフィー検出器システム14の概略図である。RDS14は、入射X線によって直接的または間接的に生成された電荷が感知され蓄積される画素素子の2次元マトリックスを有するアクティブマトリックス画素アレイ20を含む。各画素の蓄積された電荷にアクセスするために、ゲート線21は、典型的には、行切替制御22によって順次駆動され、1つの行の全ての画素に、それらの蓄積された電荷を、各アクティブマトリクス画素アレイ20の列の端部にて電荷増幅器24に結合されたデータ線23に出力させる。電荷増幅器24は、画素の電荷データをアナログデジタル変換器(A/D)26に送り、そこでアナログ信号がデジタル表現に変換される。次に、デジタル表現は、制御ロジック29によって決定された時間でのコンピュータ16への送信を待つメモリ28に記憶される。電荷増幅器は、それらの増幅機能に加えて多重化機能も実行してもよい。
【0017】
図3は、図2に示されたアクティブマトリックス画素アレイ20の1つの画素に関する画素レベル回路の一実施形態の概略図である。アクティブマトリクス画素アレイ20は、通常、複数の画素を含む。各画素内には、入射光子を吸収して電荷を生成する2端子MISIM検出器素子30がある。2端子の任意の(オプションの)キャパシタ32は、変換された電荷を蓄積し、読み出し回路素子、通常は3電極薄膜トランジスタ(TFT)スイッチ34は、画素の電荷を転送する。MISIM検出器素子30の一方の電極は、アクティブマトリックス画素アレイ20内の他の画素と共有される高電位バイアス端子33に接続され、キャパシタ32の一方の電極は、アクティブマトリクス画素アレイ20内の他の画素と共有される低電位接地端子35に接続される。TFTスイッチ34のドレイン電極は、MISIM検出器30の第2の電極およびキャパシタ32の第2の端子に接続される。TFT34のソース電極は、図2に示された複数のデータ線23のうちの1つに結合された画素データ線36に接続される。TFT34のゲート電極は、複数のゲート線21のうちの1つに結合された画素ゲート線38に接続される。
【0018】
図4aを参照すると、スタガ構成(互い違いの構成)の電極を有するMISIM検出器素子30の第1の実施形態の概略図が示されている。検出器素子は、その上に第1のコンタクトまたは電極42が堆積またはパターニングされた基板層40を含む。第1のブロッキング層46は、第1の電極42を封入する基板層40の上に堆積される。半導体または半導体層44が、第1のブロッキング層46の上に堆積され、次に第2のブロッキング層47が半導体層44の上に堆積される。理解されるように、第1および第2のブロッキング層46および47は、半導体層44の互いに向かい合う表面上に配置されている。
【0019】
第2の電極48は、第2のブロッキング層47上に堆積されるか、または、パターニングされる。図4aに示すように、第1および第2の電極は、半導体層44の向かい合う側にあると理解できる。いくつかの実施形態では、反射防止層49は任意であり、MISIM検出器素子30の動作には必要ではない。しかし、間接変換イメージングにおいて、反射防止層49は、光子が吸収される半導体層44に衝突する光子の割合を増加させることによって、性能を向上させる。
【0020】
図4aから分かるように、第1および第2の電極は、半導体層44に垂直な平面内で互い違いに配置されている。換言すれば、図4aの垂直な検出器に関して、第1の電極は、第2の電極から水平に分離され、垂直な面において第2の電極と重ならない。好ましい実施形態では、第1および第2の電極は互いに重ならない。ブロッキング層のいずれか1つは、ブロッキング層および反射防止層として2つの機能を果たすことができる。
【0021】
現在の実施形態では、第1または第2のコンタクトの1つは、第1もしくは第2のブロッキング層、または、その両方に結合される。より高い暗電流およびより低いEQEが許容できるいくつかの実施形態では、第1のブロッキング層46もしくは第2のブロッキング層47またはその両方が、オーミックおよび/またはショットキーコンタクトで置き換えられてもよい。X線デジタルイメージングに加えて、MISIM検出器素子の他の用途には、バイオメトリック指紋イメージング、タッチディスプレイ、ジェスチャディスプレイが含まれうる。バイオメトリック指紋イメージングにおいて、MISIM検出器素子は、好ましくは、マルチスペクトルイメージングのために光の波長(optical wavelengths)および近赤外(600-900nm)に敏感である。この実施形態では、半導体層44の厚さは、半導体層が光の波長と共に赤外線波長を吸収できるように選択される。あるいは、半導体層44は、シリコンナノワイヤ、量子ドット、または、他の適切な無機もしくは有機半導体材料のような、赤外線に対する感度を強化した材料と置き換えることができる。タッチディスプレイまたはジェスチャディスプレイに関して、MISIM検出器素子は直接的な製造プロセスを有し、好ましい実施形態では大面積の薄膜エレクトロニクスプロセスに直接適合するので、MISIM検出器素子を薄膜LCD、OLEDおよびLEDディスプレイに直接一体化することができ、高性能で費用対効果の高いディスプレイセンサ画素ユニットを得ることができる。
【0022】
図4bを参照すると、スタガ構成のMISIM検出器素子30の第2の実施形態の概略図が示されている。検出器素子30は、その上に第1の電極42が堆積またはパターニングされた基板層40を含む。第1のブロッキング層46は、第1の電極42を封入する基板層40の上に堆積される。半導体層44が第1のブロッキング層46の上に堆積され、次に第2のブロッキング層47が半導体層44の上に堆積される。理解されるように、第1および第2のブロッキング層46および47は、半導体層44の互いに向かい合う表面上に配置されている。
【0023】
第2の電極48は、反射防止層49によって封入され得る第2のブロッキング層47上に堆積されるか、または、パターン化される。本実施形態では、第1または第2の電極の一方は、第1または第2のブロッキング層のいずれかに結合される。いくつかの実施形態では、反射防止層49は任意であり、MISIM検出器素子30の動作には必要ではない。しかし、間接変換イメージングにおいて、反射防止層49は、光子が吸収される半導体層44に衝突する光子の割合を増加させることによって、性能を向上させる。
【0024】
図4aの実施形態と同様に、電極は、水平面と垂直面の両方において互い違いになることが分かる。ここでもまた、より高い暗電流およびより低いEQEが許容できるいくつかの実施形態では、ブロッキング層のいずれかまたはその両方が任意であってもよく、または、オーミックおよび/またはショットキーコンタクトで置き換えることができる。
【0025】
図4cを参照すると、スタガ構成のMISIM検出器素子30の第3の実施形態の概略図が示されている。検出器素子30は、その上に反射防止層49が堆積されうる基板層40を含む。図4bに関して説明したように、反射防止層49は任意の層である。反射防止層(または反射防止層がない場合は基板層)の上に、第1の電極42が堆積またはパターニングされる。第1のブロッキング層46は、第1の電極42を封入する反射防止層49または基板層40の上に堆積される。半導体層44が第1のブロッキング層46の上に堆積され、次に第2のブロッキング層47が半導体層44の上に堆積される。理解できるように、第1および第2のブロッキング層46および47は、半導体層44の互いに向かい合う表面上に配置されている。
【0026】
第2の電極48は、第2のブロッキング層47上に堆積されるか、または、パターニングされる。本実施形態では、第1または第2の電極の一方は、第1または第2のブロッキング層のいずれかに結合される。
【0027】
図4aの実施形態と同様に、電極は、水平面と垂直面の両方において互い違いになることが分かる。ここでもまた、より高い暗電流およびより低いEQEが許容できるいくつかの実施形態では、ブロッキング層のいずれかまたはその両方が任意であってもよく、または、オーミックおよび/またはショットキーコンタクトで置き換えることができる。
【0028】
図4dは、上部電極構成のMISIM検出器素子30の第4の実施形態の断面図を示す。この実施形態では、光学反射防止層49が基板層40の上に堆積される。次に、反射防止層49の上に、または、反射防止層がない場合には基板層40の上に、半導体層44が堆積される。次に、ブロッキング層46が半導体44上に堆積される。次に、一対の電極42および48が、ブロッキング層46上に堆積されるか、または、パターニングされる。一対の電極は、互いに水平に分離されていることが理解できる。
【0029】
図4eは、下部電極構成のMISIM検出器30の第5の実施形態の断面図を示す。この実施形態では、最初に、基板層40の上に一対のパターニングされた電極42および48があり、ブロッキング層46、半導体層44および任意の反射防止層49が続く。
【0030】
暗電流は、検出器のダイナミックレンジおよび画像品質を低下させ、且つ、バイアスコンタクト48に印加される電界の関数であるため、従来のMSM検出器の重要な問題である。大きな電界は、半導体層44上に衝突する光子から生成された電子キャリアの電荷分離のために必要である。暗電流を減少させながら光電流を高レベルに維持することができれば、あるいは代わりに、暗電流を増加させることなく、より高い電位をバイアスコンタクト48に印加して電荷分離効率を高め、それに応じて光電流を増加させることができれば、より良いダイナミックレンジ、より高いコントラスト、より高い量子効率、および、より良いデジタル画像と同等なより大きい明暗電流比(photo-to-dark current ratio)が可能である。バイアス48とセンス42のコンタクトのためのオーミックとショットキーコンタクトのどちらも、感度の高い医療用ラジオグラフィーイメージング用途(約10pA/mm以下)に必要な暗電流密度を実現することができなかった。しかしながら、(例えば、バイオメトリック指紋スキャニングまたはタッチセンシングドメインにおける)あまり厳しくない用途では、オーミックおよびショットキーコンタクトで十分であり得る。
【0031】
本開示の一態様では、本開示は、同時に(1)半導体層上に衝突する光子が存在しない場合に暗電流を減少させ、且つ、(2)光子が半導体層上に衝突するときに高い光電流を可能にするブロッキング層と結合したスタガ型MISIMコンタクト構造を使用する。絶縁コンタクトは、予想される遅い応答時間、および、信頼性の問題を引き起こす可能性のある絶縁層上の電荷蓄積の可能性のため、通常、実行可能であるとは考えられていなかった。
【0032】
これら2つの目的を達成するために、本開示では、半導体層との低いトラップ密度界面を提供するために、(例えば、広いバンドギャップを有する)バイアスおよびセンス電極からの半導体層への電荷キャリアの注入を防止または低減するために、且つ、半導体層44の厚さ、印加された電気バイアスおよび材料特性の関数でもある半導体層44の暗導電率および光導電率の両方を考慮に入れて、印加されたバイアスおよびブロッキング層46の厚さが最適化されたとき、デバイス動作中に繰り返しソフト(可逆的)ブレークダウンで動作することができるような誘電強度を有するために、ブロッキング層46および47の材料は注意深く選択される。
【0033】
光子が半導体層44に当たり、それにより半導体層44の抵抗率を低下させると、ブロッキング層46はソフト(すなわち可逆的)ブレークダウンモードで動作し、バイアス48およびセンスコンタクト42からブロッキング層46を介する半導体層44への垂直な導電経路を可能にする。ソフトブレークダウンで動作させることにより、ブロッキング層46を介する導通が可能となり、このことは、バイアス48およびセンス42のコンタクトの注入電流を制限することによって低い暗電流を維持しながら、応答時間の課題を克服することができる。厚すぎるか、または、高い絶縁破壊強度を有するブロッキング層46を使用すると、結果が悪くなる可能性があり、または代わりに、不適合なブロッキング層46の材料の選択は、半導体層44との貧弱な界面をもたらすことがありトラップおよび欠陥がMISIM検出器30の量子効率の低下を引き起こす。
【0034】
図4aおよび図4bの実施形態では、センサバイアス48のコンタクトに高電圧が印加される必要があるため、絶縁性のブロッキングコンタクトが使用されるとき、スタガ設計(互い違いの設計)が強化される。バイアス接点48をTFTからさらに離して(すなわち半導体層44の上に、一方TFTおよびセンスコンタクト42は半導体層44の下側にある)配置することは、センサおよびTFTの信頼性を向上させ、且つ、バイアスコンタクト48に起因するセンサ信号を破壊する任意の過剰な漏れ電流を低減するのに役立つ。
【0035】
実験では、450nmのアモルファスシリコン半導体層44を使用すると、200nmのポリイミドブロッキング層46で良好に機能することが判明した。ブロッキング層47はまた、200nmのポリイミドブロッキング層であってもよい。この組み合わせは、緑色光に対して高いEQE(65%以上)の界面をもたらす。あるいは、青色光に対して高い外部量子効率が要求される場合、同じアモルファスシリコンおよびポリイミド材料の組み合わせについて、半導体層44の厚さを低減する必要があり得、このことはブロッキング層の厚さ46の対応する再最適化を必要とする。半導体層44が、アモルファスシリコンから、両者は異なる材料特性および吸収係数を有するIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)またはポリシリコンのような金属酸化物に変更される場合、(界面目的のための)ブロッキング層材料、厚さおよび印加される最大バイアス電圧の選択は、製造前に計算によって再考または再最適化されうる。アモルファス窒化シリコンなどの任意の反射防止層が、入射光子の経路内の半導体層の上に直接使用される場合、EQEにおけるさらなる改善が可能である。
【0036】
さらに、ブロッキング層46をパターニングし、両方のバイアス48とセンス42のコンタクトに絶縁コンタクトを使用するか、または、交互に1つのコンタクトに対して(例えば、使用されるバイアスに応じて、バイアスコンタクト48またはセンス42コンタクトのいずれかに対して)絶縁コンタクトを使用することが可能であることに留意されたい。
【0037】
(例えば、バイアス48もしくはセンス42コンタクトまたはブロッキング層46の)パターニングプロセスも、パターニングプロセス中の空気および化学物質への暴露のために、半導体層44の界面を潜在的に劣化させうる。典型的には、図4a~図4dに示すように、両方のバイアス48とセンス42コンタクトを横切るブロッキング層は、欠陥およびトラップの少ない半導体層44との改善された界面、および、半導体層44の封入を提供し、したがってより高い量子効率を維持する。別の実施形態では、慎重な半導体処理が行われる場合、バイアス48またはセンス42コンタクトのうちの1つだけが絶縁されるMISIM検出器素子を使用することができる。
【0038】
さらに、上述のように、光子吸収および輸送が水平(横)方向に残るように、それらが水平距離だけ分離されている限り、半導体44層の向かい合う側にそれぞれバイアス48およびセンス42コンタクトを配置することができる。さらに、透明材料を使用してバイアス48およびセンス42コンタクトが作られる場合、上部電極または下部電極構成の両方は、光子をいずれの方向からも等しく良好に検出することができる。透明材料は、アルミニウム、モリブデン、クロム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、および、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含むが、これらに限定されない。
【0039】
図5aは、基板50(例えばガラスまたはプラスチック)がパターニングされたゲート電極52を含み、続いてゲート絶縁体54、半導体層56、および、ソース58とドレイン59コンタクトを規定するパターニングされたコンタクト層を含むボトムゲートの逆スタガ型薄膜トランジスタ(TFT)構造を示す。図5bは、逆の構成の層を有するトップゲートの逆スタガ型TFT構造を示す。両方とも、ディスプレイ産業で今日使用されているアモルファスシリコンTFTの実装である。当業者に理解されるように、CMOS(相補型金属-酸化膜-半導体)、IGZOおよびポリシリコントランジスタについても同様の断面図を描くことができる。
【0040】
図6a~6gの少なくとも1つに示される光導電素子の実装は、図3に示す画素回路上にマッピングすることができ、そこで、トランジスタゲート電極63が画素ゲート線38に接続され、ソース電極61が画素データ線36(図3参照)に接続され、バイアス電極67がバイアスノード33に接続される。MISIM検出器素子は、前述したように、センス66およびバイアス67電極間に固有の内部容量を有するので、図3に示すキャパシタ32は任意である。さらに、図6a~6gは、当業者には理解されるように、アクティブ画素センサまたはフォトンカウンティング回路などの他の画素読み出し回路にマッピングすることができる。
【0041】
TFT読み出し回路素子をMISIM検出器素子の下に配置することによるもう1つの課題は、図6a~6gの少なくとも1つの場合のように、特にボトムゲートTFT構成が採用される場合には、バイアス67および/またはセンス66電極の通常動作電圧がTFT動作に影響を及ぼす可能性がある、ということである。ここでは、(例えば、リーク電流を最小にするためにゲート電極63に優先的に結合された)バックゲート75が含まれ、TFTが上部の電極の1つによって不用意に導通しないようにする。トップゲートTFT構成が採用される場合、トップゲートが静電シールドとして作用し、且つ、バイアス67またはセンス66電極がTFTを不用意にバイアスすることを防止するか、または、その可能性を低減するので、バックゲート75の必要性を緩和することができる。
【0042】
図6a~6gのうちの少なくとも1つに示されているデバイス構造において、半導体層70がシンチレーション層68からの入射光に完全に露出されることによりシンチレータ層68(シンチレータ15に類似)がMISIM検出器素子の上に堆積または配置され、入射光の吸収が高くなり、したがってより良いEQEになる。シンチレーション層68が底部に(すなわち、ガラス60に隣接して)堆積または配置される場合、センスおよびバイアス電極が不透明であり、且つ、光がアモルファスシリコン70の半導体層に到達することを阻止する場合には、ガラス60の厚さおよびEQEの損失による空間分解能の損失が生じる可能性がある。また、開示された光導電素子は、PINフォトダイオードのようなp+ドープ層を使用しないので、青色光の発光シンチレーション蛍光体が機能することができる。
【0043】
図6aおよび6bに示されている実装は、下部電極の下にあるボトムゲートTFTと、スタガ型電極のMISIM検出器をそれぞれ使用する。図6cに示す実装は、トップゲートTFTおよび下部電極MISIM検出器を同一平面構成で使用する。図6dおよび6eに示される実装は、下部電極の下にあるトップゲートTFTおよびスタガ型電極のMISIM検出器をそれぞれ使用する。図6fおよび6gは、読み出し回路素子をMISIM検出器素子の上に製造する2つの可能な実装を示す。図6fは、上部電極MISIM検出器およびトップゲートTFTを使用し、図6gは、上部電極MISIM検出器およびボトムゲートTFTスイッチを使用する。同一平面または完全に重なり合った構成(TFT上のMISIM検出器またはMISIM検出器上のTFT)の両方において、トップまたはボトムゲートTFTスイッチと、トップまたはボトムまたはスタガ型MISIM検出器との組み合わせを使用する追加の実装が可能であることに留意されたい。さらに、透明センス66およびバイアス67電極を使用することにより、トップ、ボトムおよびスタガ型電極MISIM検出器を同等の性能で交換可能に使用することができる。
【0044】
図6aは、アモルファスシリコンMISIM検出器素子の下に物理的に埋め込まれた読み出し回路素子を使用して実装された光導電素子の断面を示す。MISIM検出器素子は、櫛形構成のセンス66およびバイアス電極67、センス66またはバイアス67電極の少なくとも1つを覆うポリイミドブロッキング層71(または、代わりに、とりわけ、非限定的に、アモルファスシリコン窒化物、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコン酸窒化物、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリスチレン、または、PTCBI、CuPcのような任意のn/p型有機/非有機ブロッキング層などの任意のワイドバンドギャップ有機/非有機絶縁体)、アモルファスシリコン(a-Si:H)半導体層70(または、代わりに、モリブデン硫化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、多結晶シリコン、アモルファスセレン、ヨウ化水銀、酸化鉛、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、結晶シリコン、ペンタセン、PTCBI、CuPc、低分子有機半導体、または、高分子有機半導体)、および、任意の反射防止コーティング層69、例えばアモルファスシリコン窒化物(a-SiNx:H)を含む。
【0045】
図示した読み出し回路素子は、スイッチとして動作するボトムゲートアモルファスシリコンTFTを用いている。TFTは、アモルファス窒化シリコン(a-SiNx:H)ゲート誘電体層72、アモルファスシリコン(a-Si:H)半導体層73、a-SiNx:H74パッシベーション層およびドープオーミックコンタクト層62を含む。
【0046】
あるいは、読み出し回路素子は、様々なアクティブピクセルセンサまたはフォトンカウンティングピクセル読み出し回路を使用することができる。アクティブピクセル回路は、図3に示すTFTスイッチ回路34の代わりにオン・ピクセルプリアンプ回路を含む。
【0047】
MISIM検出器素子は、PINフォトダイオード(例えば、1um)とは対照的に、さらに離れて(例えば、5um)配置されたセンス66およびバイアス67電極間に生じる固有容量のために、同等サイズのPINフォトダイオードよりも小さい固有容量を有する。特に、PINフォトダイオード(典型的には、100ミクロン画素について約1pF)と比較してより小さいMISIM検出器素子の容量(ここでは、100ミクロンピクセルに関して約0.2pF)は、信号対雑音比(SNR)に関して優れたアクティブピクセルセンサ読み出し素子とMISIM検出器素子との組み合わせを作る。SNR改善は、MISIM検出器素子の入力電荷対電圧利得が、MISIM検出器素子の比例して低い容量のためにPINダイオードが使用される場合より比例して高いために生じる。
【0048】
読み出し回路素子をMISIM検出器素子の下に埋め込むことは、光吸収領域を増加または最大化する利点も有する。アクティブピクセルセンサ回路は、通常、1つのTFTだけを必要とするスイッチ34とは対照的に、読み出し回路素子内に2つ以上のトランジスタを使用するので、これはより重要になる。したがって、読み出し回路素子をMISIM検出器素子の下に埋め込むことは、性能およびEQEを最大にするために有益である。
【0049】
TFTドレイン電極76は、レベル間誘電体(interlevel dielectric)65内のビア64によって、センス電極66の1つに接続され、そこで誘電体65はMISIM検出器素子と読み出し回路素子とを物理的に分離する。誘電体は、アモルファス窒化シリコン、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコンオキシナイトライド、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、アクリルおよびポリスチレンまたは他の一般的な無機または有機誘電体を含む様々な材料から選択することができる。
【0050】
特に、MISIM検出器素子を使用することは、絶縁性の接点のために潜在的に高電圧を必要とするため、誘電体65の選択は重要である。バイアス67またはセンス66電極の高電圧は、TFT電極(例えば、バックゲート75、ソース61またはドレイン76)間に高い垂直電界を生じさせ、誘電体65の局所的なブレークダウンに至る。
【0051】
しかし、各材料は、異なる絶縁耐力およびブレークダウン電圧を有し、対応して層の厚さの調整の必要がある。この高耐圧設計は、従来の設計プロセスに加えて行われ、レベル間誘電体を平坦化層として、および、低k誘電体として機能するように最適化し、寄生結合容量を低減する。例えば、1MV/cmのブレークダウン電圧を有する誘電体65にBCBを用い、バイアス67電極を500Vの電位に設定すると、偶発的な誘電体65のブレークダウンを防ぐために少なくとも5umのBCBが必要である。要求されるBCBの厚さは、TFT産業におけるレベル間誘電体に典型的に使用される厚さをはるかに超えている。非常に厚い誘電体65の層を使用することは、検出器素子と読み出し回路素子との間の集積化の課題を克服することを必要とする。
【0052】
図6aに示すアモルファスシリコンMISIM検出器素子は、後続のブロッキング層71および半導体70層のステップカバレッジの問題を回避するために、バイアス67およびセンス66電極層を薄く(例えば、50~100nm)した場合に良好に機能する。例えば、MISIM検出器素子の下の5umの厚さの誘電体65層は、ビアが急峻な側壁の角度を有する従来のプロセスで作られた場合、機能的(EQE損失)および信頼性(接続不良)の問題を引き起こす可能性がある。したがって、適切な連続性およびカバレージを可能にするために、誘電体65内のビア64は、傾斜した、または、角度を有する側壁を有することができる。BCBの場合、45度またはそれより浅い角度がこの課題に対して適切に働くことが発見されたが、当業者に理解されるように、他の側壁の角度ならびにセンス66およびバイアス67電極の厚さの組み合わせも適切な設計によって機能することができる。
【0053】
図6bは、MISIM検出器と、下にある読み出し回路との別の集積化の断面図を示す。信頼性を高め、(バイアスコンタクトでの潜在的に高い電圧の使用による)誘電体65のブレークダウンの機会を減少させるために、MISIM検出器(図4b)のためのスタガ型電極構成が使用されている。センス66およびバイアス電極67の配置は、バイアス電極と下のTFTとの間の垂直電界が減少した値または最小値になるようにすることが好ましいことに留意されたい。一実施形態では、センス電極は、下のTFTおよび線の電界をマスクするために用いられ得る。したがって、TFTのサイズ、画素の面積、誘電体65およびその厚さの選択、第1および第2ブロッキング層71および77の選択、ならびに半導体層(例えばa-Si:H)70の厚さは、センス電極66およびバイアス電極67の幅および間隔に影響を及ぼす。図6cは、同一平面実装を使用する光導電素子の断面を示す。素子の構成要素は、アモルファスシリコンMISIM検出器素子30、キャパシタ32、および、アモルファスシリコンTFTスイッチ34を含む図3に示す画素レベル回路にマッピングすることができる。図6cにおいて、MISIM検出器の断面81は、ポリイミドブロッキング層71(または、代わりに、とりわけ、アモルファスシリコン窒化物、アモルファスシリコン酸化物、アモルファスシリコン酸窒化物、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリスチレン、または、PTCBI、CuPcのような任意のn/p型有機/非有機ブロッキング層などの任意のワイドバンドギャップ有機/非有機絶縁体)、アモルファスシリコン70の半導体層(または、代わりに、モリブデン硫化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、多結晶シリコン、アモルファスセレン、ヨウ化水銀、酸化鉛、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、結晶シリコン、PTCBI、または、CuPcのうちの1つ以上)、アモルファスシリコン窒化物層72、および、追加のアモルファスシリコン窒化物パッシベーション層82と共に、周知の櫛形電極構成のバイアス電極67およびセンス電極66を含む。キャパシタの断面80は、典型的には低電位の、接地78に接続された上部キャパシタプレートと共に、センス電極66と共有される下部プレートを示す。この場合のキャパシタ誘電体は、アモルファス窒化シリコン74であり、MISIM検出器の断面81内の反射防止層と共有される。TFT横断面79は、図3の画素データ線36に接続されたソース電極61を含む。図3の画素ゲート線38に接続されたゲート電極63も示されている。ドレイン電極76は、センス電極66に接続され、キャパシタの断面80に示されるキャパシタの1つのプレートを形成する。TFT横断面79では、アモルファスシリコン層73が活性層であり、これはMISIM検出器の断面81と共有されることができる。TFTゲート誘電体は、MISIM検出器の断面81およびキャパシタの誘電体層に示される反射防止層と共有することができるアモルファス窒化シリコン層74によって形成される。
【0054】
図6cに示す同一平面設計の利点の1つは、複数の層の共用を可能にして、例えば、TFTゲート誘電体がMISIM検出器30(図3)のための反射防止膜として機能できる。対照的に、PINダイオードでは、独特のアモルファスシリコンPIN分離プロセスおよび緑色光子を吸収するのに必要な厚い半導体層は、通常、金属コンタクトを除く任意の層の共有を妨げる。さらに、過剰なリーク電流を減らすために、PINダイオードの側壁を慎重にエッチングして不動態化する必要がある。MISIM検出器30(図3)では、導電経路が水平であるので、水平界面が主に重要である。前述したように、ブロッキング層46を使用することは、半導体層44への界面を保護するのに役立つ。したがって、MISIM検出器30が標準的なTFTスイッチ34の製造プロセスに組み込まれていても、デバイスの性能は長期的に安定している。図6cの同一平面設計は、図4aおよび4bに示されたスタガ型センサを使用するように適合させることもできることに留意されたい。
【0055】
図6dおよび6eは、MISIM検出器30とTFTスイッチ34との他の2つの可能な集積化である。図6dおよび6eは、それぞれボトムおよびスタガ型電極のMISIM検出器の下のトップゲートTFTの実装の断面を示す。図6dおよび6eに示されるように、これらの2つの設計は、MISIM検出器30をTFTスイッチに接続するために層間金属コンタクトを必要とし得る。
【0056】
図7を参照すると、検出器素子の製造方法を概説するフローチャートが示されている。最初に、基板の上に、反射防止層が基板層(700)の上に堆積される。これは、検出器素子の設計に応じて任意であることが理解されるであろう。次に、第1の電極が、検出器素子の設計に応じて、基板層または反射防止層(702)の上に堆積される。
【0057】
次に、第1のブロッキング層が第1の電極(704)の上に堆積される。反射防止層の場合と同様に、第1のブロッキング層は、検出器素子の設計に応じて任意であり得る。次に、半導体層が第1のブロッキング層または第1の電極(706)上に堆積される。
【0058】
次に、第2の任意のブロッキング層を半導体層(708)の上に堆積させることができる。次に、第2電極が、検出器素子(710)の設計に応じて、第2ブロッキング層または半導体層の上に堆積される。
【0059】
本開示によれば、第1および第2の電極は、半導体層の両側に配置され、半導体層に垂直な平面内で互い違いに配置される。好ましい実施形態では、第1および第2の電極は、互いに重なり合わないように互い違いに配置される。
【0060】
最後に、別の任意の反射防止層を第2の電極(712)の上に堆積させることができる。
【0061】
以上の説明において、実施形態に関する完全な理解を与えるための説明を目的に、数々の具体的な詳細を説明した。しかしながら、当業者にとっては、これらの具体的な詳細が必須でないことは明らかであろう。他の例では、周知の構造は、理解を不明瞭にしないために、ブロック図形式で示されてもよい。例えば、ここで説明される実施形態の要素が、ソフトウェアルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実装されるかどうかについての特定の詳細は提供されない。
【0062】
本開示の実施形態またはそのコンポーネントは、機械読出し可能メディア(コンピュータ読出し可能メディア、プロセッサ読出し可能メディア、または、コンピュータ読出し可能なプログラムコードが埋め込まれたコンピュータ使用可能メディアなどとも呼ばれる)に記憶されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供され、または、表現されることもできる。機械読出し可能メディアは、任意の好適で実体的な非一時的メディアであってよい。これは、ディスケット、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、メモリデバイス(揮発性または不揮発性)、または、同様の記憶メカニズムを含む、磁気、光学または電気記憶メディアを含む。機械読み出しメディアは、命令、コードシーケンス、構成情報、または、他のデータの様々な組を含むことができ、これらが実行されることにより、プロセッサまたはコントローラが本開示の実施形態による方法のステップを実行する。一般的な当業者であれば、前述の実装を実行するのに必要な他の命令と処理も、機械読出し可能メディアに記憶され得ることを理解できるであろう。機械読出し可能メディアに記憶された命令は、プロセッサ、コントローラ、または、他の好適な処理デバイスによって実行されることができ、前述のタスクを実行するための回路と連動し得る。
【0063】
上記の実施形態は単なる例示であることが意図されている。添付の特許請求の範囲によってのみ規定されている範囲から逸脱することなく、当業者によって特定の実施形態に変更、修正および変形を行うことができる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7