(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006213
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】マスク用の通気治具、及び、マスクの通気構造
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108311
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】518096962
【氏名又は名称】レイトリロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】小野 真
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で既存のマスクに装着可能なマスク用の通気治具を提供する。
【解決手段】マスクM用の通気治具1は、上端開口20aと下端開口20bとを有し、マスクMの内部と外部とを連通する筒部2と、筒部2の下部の側面に取り付けられ、マスクMに着脱可能に係止される係止部としてのクリップ3と、を備えている。この筒部2は、柔軟性を有し、かつ、透明な素材から構成されることが好ましい。さらに、筒部2の少なくとも上部の側面は、部分的に切除されており、着用者の息が出入りしやすくなっていることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに装着されるマスク用の通気治具であって、
上端開口と下端開口とを有し、前記マスクの内部と外部とを連通する筒部と、
前記筒部の下部の側面に取り付けられ、前記マスクに着脱可能に係止される係止部と、
を備える、マスク用の通気治具。
【請求項2】
前記筒部は、柔軟性を有し、かつ、透明な素材から構成される、請求項1に記載された、マスク用の通気治具。
【請求項3】
前記筒部の少なくとも上部の側面は、部分的に切除されており、着用者の息が出入りしやすくなっている、請求項1又は請求項2に記載された、マスク用の通気治具。
【請求項4】
前記係止部は、前記マスクの下縁に着脱可能に係止されるようになっている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、マスク用の通気治具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載されたマスク用の通気治具が、前記マスクの下縁の中央近傍に1つのみ装着されている、マスクの通気構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載されたマスク用の通気治具が、前記マスクの下縁に所定の距離をおいて2つ装着されている、マスクの通気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの内部と外部とを連通するマスク用の通気治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨てのマスクが知られている。近年、新型コロナウイルス等による感染に対する関心が高まっており、マスクが重要になってきている。最近では、感染防止の観点から、マスクの周縁部と着用者との間の密封度を向上させたマスクを着用することも好まれている。
【0003】
一方、このような密封度の高いマスクを長時間着用すると、暑くなって着用者には不快である。特に、夏季においては、マスクを着用すると暑いため、マスク内外の通気性を向上させることが望まれている。そのため、例えば特許文献1には、マスクの通気性及び快適性を向上させるファン装置と備えた、フェースマスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のフェースマスクの構成はファン装置を備えた複雑なものであるうえ、既存のマスクに装着することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構成で既存のマスクに装着可能なマスク用の通気治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のマスク用の通気治具は、マスクに装着される通気治具であって、上端開口と下端開口とを有し、前記マスクの内部と外部とを連通する筒部と、前記筒部の下部の側面に取り付けられ、前記マスクに着脱可能に係止される係止部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明のマスク用の通気治具は、マスクに装着される通気治具であって、上端開口と下端開口とを有し、マスクの内部と外部とを連通する筒部と、筒部の下部の側面に取り付けられ、マスクに着脱可能に係止される係止部と、を備えている。このような構成であれば、簡単な構成で既存のマスクに装着可能なマスク用の通気治具となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】通気治具の斜視図である。(a)は正面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。
【
図4】通気治具を2つ使用した使用状態の作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0011】
(構成)
まず、
図1(a)(b)、
図2を用いて、本発明のマスクM用の通気治具1の全体構成を説明する。マスクM用の通気治具1は、
図1(a)(b)、
図2に示すように、マスクMの内部と外部とを連通する筒部2と、マスクMに着脱可能に係止される係止部3と、を備えている。
【0012】
筒部2は、柔軟性を有する合成樹脂によって筒状に形成されて、着用した状態で、筒部2がマスクMの下部の内側に位置するように、マスクMに対して通気治具1が取り付けられる。したがって、筒部2の上部開口20aがマスクMの内部(口元から顎の位置に対応)に開口し、かつ、下部開口20bがマスクMの外部に開口するようになっている。筒部2は、例えば、ホース等をハサミを用いて切断することで構成することができる。
【0013】
さらに、通気治具1の筒部2の側面が部分的に切除されて切欠部21が形成されている。すなわち、着用した状態で、上部となる上端開口20aに連続するように上部の側面が部分的に開口している。切欠部21は、マスクMに装着された状態で、着用者の顔側に位置づけられて口や顎に向かって開口するようになっている。
【0014】
また、この筒部2は、透明又は半透明の合成樹脂から形成されていることが好ましい。そして、筒部2の下部の側面には、係止部としてのクリップ3が取り付けられている。すなわち、マスクMの下縁と筒部2の下縁との両方を挟み込むようにしてクリップ3が取り付けられている。
【0015】
係止部としてのクリップ3は、上述したように、筒部2の下部の側面(下縁の近傍)に取り付けられている。具体的には、実施例のクリップ3は、内側のU字部と外側のU字部とが基部で繋げられて全体として二重のU字構造となっており、内側のU字部と外側のU字部とによって、筒部2の下縁を挟持するようになっている。さらに言えば、このクリップ3は、不使用時には筒部2の下縁のみを挟持するととともに、使用時にはマスクMと筒部2の両方を挟持することで両者を一体に保持・固定している。
【0016】
なお、係止部としてのクリップ3は、透明な合成樹脂によって形成されていることが好ましい。また、クリップ3の具体的な構造・形状は実施例で示した二重のU字構造に限定されるものではなく、二重の三角形構造であってもよいし、金属製のクリップなど、どのようなものであってもよい。係止部としてのクリップ3は、例えば、文房具である紙を挟むためのクリップを用いることができる。
【0017】
(作用)
次に、
図2、3を用いて、マスクM用の通気治具1を使用した基本的な通気構造の作用について説明する。マスクM用の通気治具1は、マスクMの下縁の中央において、マスクMの内側(すなわち、マスクMと着用者の顔との間)に取り付けられる。このように、マスクM用の通気治具1をマスクMの下縁の中央近傍に装着すると、筒部2の上部開口20aに繋がるマスクMの内部と、下部開口20bに繋がるマスクMの外部と、が筒部2を介して連通されることになる。
【0018】
したがって、筒部2の内部を通じて、マスクMの内外を空気が連通するようになり、著しく通気性が向上する。そのため、マスクMを着用した状態でも着用者は蒸れや息苦しさを感じにくく、涼しく感じられる。なお、通気治具1を使用することで、マスクMとしてのウイルス等の遮蔽効果はやや低下するものの、飛沫感染やウイルスが付着した手で口元を触ることは防止できる。
【0019】
次に、
図4を用いて、2つの通気治具1、1を使用した変形例の通気構造の作用について説明する。変形例の通気構造では、マスクM用の通気治具1、1は、
図4に示すように、マスクMの下縁に所定距離を置いて2つの通気治具1、1を装着すると、筒部2の上部開口20aに繋がるマスクMの内部と、下部開口20bに繋がるマスクMの外部と、が2つの筒部2、2を介して連通されることになる。
【0020】
さらに、変形例の通気治具1、1では、2つの筒部2、2の間に存在するマスクMと顔との間の隙間を通じても、マスクMの内外を空気が連通するようになり、著しく通気性が向上する。そのため、マスクMを着用した状態でも着用者はいっそう涼しく感じられる。
【0021】
(効果)
次に、本実施例のマスク用の通気治具1の奏する効果を列挙して説明する。
【0022】
(1)上述してきたように、本実施例のマスクM用の通気治具1は、上端開口20aと下端開口20bとを有し、マスクMの内部と外部とを連通する筒部2と、筒部2の下部の側面に取り付けられ、マスクMに着脱可能に係止される係止部としてのクリップ3と、を備えている。このような構成であれば、簡単な構成で既存のマスクMに装着可能なマスクM用の通気治具1となる。そして、通気治具1を使用することで、マスクMの内部の蒸れや息苦しさを緩和でき、涼しく感じることができる。もちろん、マスクMを着用することで、飛沫感染や口元に触れることを防止できる、という効果もある。さらに、眼鏡をかけた状態でマスクMを着用した場合に、眼鏡の曇りを防止する効果もある。
【0023】
(2)また、筒部2は、柔軟性を有し、かつ、透明な素材から構成されることで、通気治具1をマスクMに装着した状態でも、外観はほとんど変わることがないため、マスクMの意匠性を損なうことがない。さらに、筒部2が柔軟性を有することで、着用者の肌に触れても違和感を少なくすることができる。
【0024】
(3)さらに、筒部2の少なくとも上部の側面は、部分的に切除されており、着用者の息が出入りしやすくなっているため、この切欠部21を通じていっそうマスクMの通気性を向上させて、内部の蒸れや息苦しさを緩和できる。
【0025】
(4)また、係止部としてのクリップ3は、マスクMの下縁に着脱可能に係止されるようになっているため、クリップ3の半分が見えるだけで通気治具1の大部分の構成はマスクMの内部に位置するから、外観の意匠性をほとんど損なうことなく、通気性を向上させることができる。
【0026】
(5)さらに、上述したいずれかのマスクM用の通気治具1が、マスクMの下縁の中央近傍に1つのみ装着されていることで、通気治具1の筒部2を通じて、マスクM内外の通気性を向上させることができる。かつ、マスクMの下縁に配置されることで、正面から見た場合の意匠性を損なうことがない。
【0027】
(6)また、上述したいずれかのマスクM用の通気治具1、1が、マスクMの下縁に所定の距離をおいて2つ装着されていることで、通気治具1、1の筒部2、2と、その間の空間と、を通じて、マスクM内外の通気性を向上させることができる。かつ、マスクMの下縁に配置されることで、正面から見た場合の意匠性を損なうことがない。
【0028】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0029】
例えば、実施例では、筒部2は円筒状であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、楕円筒状や矩形筒状などであってもよく、断面形状は問わない。さらに、厳密な意味で「筒」である必要はなく、顔とマスクMとの間に空間(隙間)を形成する程度の通気性があればよい。その意味で「筒部」は、「通気部」あるいは「連通部」と表現することもできる。
【0030】
また、実施例では、通気治具1の筒部2を透明な素材で構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、筒部2はマスクMと同系色の色、例えば、白色、水色、黒色やピンク色などに着色されたものであってもよい。
【0031】
同様に、実施例では、通気治具1の係止部としてのクリップ3を透明な素材で構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、クリップ3についてもマスクMと同系色の白色、水色、黒色やピンク色などに着色されたものであってもよい。
【0032】
また、実施例では、係止部としてのクリップ3は、マスクMと筒部2とを挟み込むものとして説明したが、これに限定されるものではなく、クリップ3は両面テープ等の別の固定手段によってマスクMに貼設、固定されていてもよい。