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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062143
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】腎臓病の処置のための組成物と方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20220412BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220412BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220412BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220412BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220412BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220412BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P13/12 ZNA
A61K31/7088
A61K38/17
A61P43/00 105
C12N15/113 Z
C12N15/113 130Z
C12N15/113 140Z
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022013876
(22)【出願日】2022-02-01
(62)【分割の表示】P 2018529237の分割
【原出願日】2016-12-14
(31)【優先権主張番号】62/267,242
(32)【優先日】2015-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504278156
【氏名又は名称】コールド スプリング ハーバー ラボラトリー
(71)【出願人】
【識別番号】518195690
【氏名又は名称】ストーク セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アズナレズ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ヒュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クライナー,エイドリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンパク質の発現を増加させるため、かつ、その必要のある被験体、例えばタンパク質の発現が不足している被験体または腎臓病を抱えている被験体を処置するための、方法および組成物を提供する。
【解決手段】被験体の細胞を、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質又は機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、被験体の細胞内で、標的タンパク質又は機能的RNAの発現を増加させる、方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の細胞により標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることによっ
て被験体の腎臓病を処置する方法であって、ここで、前記細胞は、保持されたイントロン
含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、該RIC mRNA前駆体は、
保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および3’スプラ
イス部位に隣接しているエクソンを含み、ここで、RIC mRNA前駆体は、標的タン
パク質または機能的RNAをコードし、前記方法は、被験体の細胞を、標的タンパク質ま
たは機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセン
スオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロン
は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から構成的
にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質または機能的RNAをコードするm
RNAのレベルを増加させ、被験体の細胞内で、標的タンパク質または機能的RNAの発
現を増加させる、方法。
【請求項2】
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、請求項1に記載の方法
【請求項3】
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有している細
胞によって、標的タンパク質の発現を増加させる方法であって、RIC mRNA前駆体
は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接している
エクソン、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンを
含み、ここで、RIC mRNA前駆体は標的タンパク質をコードし、前記方法は、細胞
を、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセ
ンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロ
ンは、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシング
され、それにより、標的タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、細胞内で
標的タンパク質の発現を増加させ、ここで、標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク
質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、タンパク質シトクロムP450ファミリー24
、サブファミリーA、ポリペプチド1、あるいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
δである、方法。
【請求項4】
標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、
タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あ
るいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、請求項1または2に記載の方法
【請求項5】
標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足している
標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補
償タンパク質あるいは補償機能的RNAである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
細胞は、標的タンパク質の量または活性の不足によって引き起こされた疾病を有する被
験体内にあるか、または被験体に由来する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
標的タンパク質の量の不足は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、こ
こで被験体は、機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子、標的タンパク質
が産生されない第2の対立遺伝子、または非機能的な標的タンパク質をコードする第2の
対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の標的部分に結合する、請求項1-6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた
疾病を抱えており、ここで、被験体は、
(a)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベ
ルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形
態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、第1の変異対立遺伝子と、
(b)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベ
ルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した
形態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、第2の変異対立遺伝子と、を有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対
立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、被験体が第2の変異対立遺伝子
(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(
ii)であり、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である
第1の変異対立遺伝子、および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第
2の変異対立遺伝子から転写される、請求項1-6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成さ
れる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成さ
れる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の
保持されたイントロンにある、請求項1-10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+69~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-79までの領域内
の保持されたイントロンにある、請求項1-10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
標的タンパク質はシスチノシンである、請求項1-12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:8624-10068の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項13または14に記載の
方法。
【請求項16】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748またはSEQ
ID NO:10734の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配
列同一性を備えた配列を含む、請求項13-15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
ASOは、SEQ ID NO:8624-10068のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは1
00%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項13-16のいずれか1つに記載の方法
【請求項18】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16またはSEQ ID NO:1
7に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項13-17のいずれか
1つに記載の方法。
【請求項19】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、請求項13-18のいずれか1つに記載の方法
【請求項20】
標的タンパク質はペアードボックス遺伝子2タンパク質である、請求項1-12のいず
れか1つに記載の方法。
【請求項21】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:6953-8623のい
ずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項20または21に記載の方
法。
【請求項23】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10738またはSEQ
ID NO:10740の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配
列同一性を備えた配列を含む、請求項20-22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:6953-8623のいずれか1つ
に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99
%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項20-23のいずれか1
つに記載の方法。
【請求項25】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-15のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項20-24のいずれか1つに記載
の方法。
【請求項26】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、請求項20-25のいずれか1つに記載の
方法。
【請求項27】
標的タンパク質はタンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、
ポリペプチド1である、請求項1-12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:9520-10733の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項27または28に記載の
方法。
【請求項30】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748、SEQ I
D NO:10734、SEQ ID NO:10746、SEQ ID NO:107
45、あるいはSEQ ID NO:10741の少なくとも8つの隣接する核酸を含む
領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、
あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項27-29のいずれか1つに
記載の方法。
【請求項31】
ASOは、SEQ ID NO:9520-10733のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは1
00%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項27-30のいずれか1つに記載の方法
【請求項32】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16-19のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項27-31のいずれか1つに記載
の方法。
【請求項33】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、請求項27-32のいずれか1つに記載の
方法。
【請求項34】
標的タンパク質はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、請求項1-12の
いずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:20-6952のいずれ
か1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10736、SEQ I
D NO:10747、SEQ ID NO:10739、SEQ ID NO:107
43、SEQ ID NO:10742、SEQ ID NO:10737、SEQ I
D NO:10735、あるいはSEQ ID NO:10744の少なくとも8つの隣
接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項34
-36のいずれか1つに記載の方法。
【請求項38】
ASOは、SEQ ID NO:20-6952のいずれか1つに対して少なくとも約
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%
の配列同一性を備えた配列を含む、請求項34-37のいずれか1つに記載の方法。
【請求項39】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-9のいずれか1つに対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは
100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項34-38のいずれか1つに記載の方
法。
【請求項40】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、請求項34-39のいずれか1つに記載の
方法。
【請求項41】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する、+6から+100の領域
、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域

の内部の保持されたイントロンにある、請求項1-10および13-40のいずれか1
つに記載の方法。
【請求項42】
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス
部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’ス
プライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の
一部を標的とする、請求項1-10および13-40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-
4eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-
4eの領域、
の内部にある、請求項1-10および13-40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子か
ら転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパ
ク質または機能的RNAの量を増加させない、請求項1-43のいずれか1つに記載の方
法。
【請求項45】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異に起因する異常スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機
能的RNAの量を増加させない、請求項1-44のいずれか1つに記載の方法。
【請求項46】
RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的スプライシング、または野
生型のmRNA前駆体の部分的スプライシングによって生成された、請求項1-45のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項47】
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あ
るいは野生型の成熟mRNAである、請求項1-46のいずれか1つに記載の方法。
【請求項48】
生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である、請
求項1-47のいずれか1つに記載の方法。
【請求項49】
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞において生成された標的タンパク質または機
能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞において生成された標的タンパク質
または機能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1
.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍
、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~
約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約
3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍
、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.
5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍
、あるいは少なくとも約10倍増加する、請求項1-48のいずれか1つに記載の方法。
【請求項50】
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質の総量は
、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、
約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約
5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約
2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍
、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約
9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約
2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約
5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する、請求項1-49のいずれか1つに記載の方
法。
【請求項51】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項1-50のいずれか1つに記載の方法。
【請求項52】
アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド
核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含
む、請求項1-51のいずれか1つに記載の方法。
【請求項53】
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項1-52の
いずれか1つに記載の方法。
【請求項54】
それぞれの糖部は修飾された糖部である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸
塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、請求項1-54
のいずれか1つに記載の方法。
【請求項56】
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部
分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、請求項1-55のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項57】
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保
持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mR
NA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する、請求項1-56のいず
れか1つに記載の方法。
【請求項58】
最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タン
パク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するためにRIC mRNA前駆
体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、請
求項57に記載の方法。
【請求項59】
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保
持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mR
NA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する、請求項1-56の
いずれか1つに記載の方法。
【請求項60】
2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的
タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するためにRIC mRNA
前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する
、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
疾病は、疾患または障害である、請求項6-60のいずれか1つに記載の方法。
【請求項62】
疾患または障害は腎臓病である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、請求項62に記載の方
法。
【請求項64】
標的タンパク質とRIC mRNA前駆体は、遺伝子によってコードされ、ここで、遺
伝子はCTNS、PAX2、CYP24A1、あるいはPPARDである、請求項63に
記載の方法。
【請求項65】
前記方法はタンパク質発現を評価する工程をさらに含む、請求項1-64のいずれか1
つに記載の方法。
【請求項66】
被験体はヒトである、請求項1-65のいずれか1つに記載の方法。
【請求項67】
被験体はヒト以外の動物である、請求項1-65のいずれか1つに記載の方法。
【請求項68】
被験体は胎児、胚、あるいは子供である、請求項1-66のいずれか1つに記載の方法
【請求項69】
細胞はエクスビボである、請求項1-67のいずれか1つに記載の方法。
【請求項70】
アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静
脈内注射によって投与される、請求項1-67のいずれか1つに記載の方法。
【請求項71】
5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持されたイントロンの
+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、請求項1-
70のいずれか1つに記載の方法。
【請求項72】
保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1
eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、請求項1-71のい
ずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
請求項1-72のいずれか1つの方法で使用されるアンチセンスオリゴマー。
【請求項74】
SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに対して少なくとも約80%、
85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同
一性を備えた配列を含むアンチセンスオリゴマー。
【請求項75】
請求項73または74のアンチセンスオリゴマーと賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項76】
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって請求項75に記載の
医薬組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
【請求項77】
不足しているタンパク質または不足している機能的なRNAに関連している被験体の腎
臓病を処置するために、細胞によって標的タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増加
させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、ここで、不足し
ているタンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足しており
、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする
、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の構成的スプラ
イシングを増強し、ここで、標的タンパク質は、
(a)不足しているタンパク質、あるいは、
(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って
代わる、補償タンパク質であり、
ここで、機能的RNAは、
(a)不足しているRNA、あるいは、
(b)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わ
る、補償機能的RNAであり、
ここでRIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接
しているエクソン、および3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、保持され
たイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆
体からスプライシングされ、それによって、被験体において標的タンパク質または機能的
RNAの産生または活性を増加させる、組成物。
【請求項78】
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、請求項77に記載の組
成物。
【請求項79】
被験体において標的タンパク質に関係する疾病を処置する方法に使用するためのアンチ
センスオリゴマーを含む組成物であって、前記方法は、被験体の細胞によって標的タンパ
ク質の発現を増加させる工程であって、細胞が保持されたイントロン、保持されたイント
ロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および保持されたイントロンの3’
スプライス部位に隣接しているエクソンを含む、保持されたイントロン含有mRNA前駆
体(RIC mRNA前駆体)を有し、RIC mRNA前駆体は、標的タンパク質をコ
ードする、工程と、細胞をアンチセンスオリゴマーと接触させる工程であって、それによ
って、保持されたイントロンが、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の
転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞内で、標的タンパ
ク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、標的タンパク質の発
現を増加させる、工程とを含む、組成物。
【請求項80】
標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、
タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あ
るいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、請求項77-79のいずれか1
つに記載の組成物。
【請求項81】
疾病は、疾患または障害である、請求項79に記載の組成物。
【請求項82】
疾患または障害は腎臓病である、請求項80に記載の組成物。
【請求項83】
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、または幼児の高カルシウム血症である請求項82に記載の組成物
【請求項84】
標的タンパク質およびRIC mRNA前駆体は、遺伝子によってコードされ、ここで
遺伝子は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDである、請求項82ま
たは83に記載の組成物。
【請求項85】
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの
5’スプライス部位に対する+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対
する-16の領域内にある、RIC mRNA前駆体の一部を標的とする、請求項77-
84のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項86】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+69から、保持されたイントロンの3’スプラ
イス部位に対する-79の領域内にある、請求項77-84のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項87】
標的タンパク質はシスチノシンである、請求項77-86のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項88】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:8624-10068の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、または100%相補的な配列を含む、請求項87または88に記載の組
成物。
【請求項90】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748または107
34の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた
配列を含む、請求項87-89のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項91】
ASOは、SEQ ID NO:8624-10068のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100
%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項87-90のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項92】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16または17に対して少なくとも
約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の
配列同一性を備えた配列を含む、請求項87-91のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項93】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、請求項87-92のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項94】
標的タンパク質は、ペアードボックス遺伝子2タンパク質である、請求項77-86の
いずれか1つに記載の組成物。
【請求項95】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:6953-8623のい
ずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%、99%または100%相補的である配列を含む、請求項94または95に記載の組
成物。
【請求項97】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10738または107
40の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた
配列を含む、請求項94-96のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項98】
ASOは、SEQ ID NO:6953-8623のいずれか1つに対して少なくと
も約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
の配列同一性を備えた配列を含む、請求項94-97のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項99】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-15のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項94-98のいずれか1つに記載の組
成物。
【請求項100】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、請求項94-99のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項101】
標的タンパク質は、タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA
、ポリペプチド1である、請求項77-86のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項102】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:9520-10733の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%相補的である配列を含む、請求項101または102に記
載の組成物。
【請求項104】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748、10734
、10746、10745または10741の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域
に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99
%または100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項101-103のいずれか1
つに記載の組成物。
【請求項105】
ASOは、SEQ ID NO:9520-10733のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100
%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項101-104のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項106】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16-19のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項101-105のいずれか1つに記載
の組成物。
【請求項107】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、請求項101-106のいずれか1つに記載の
組成物。
【請求項108】
標的タンパク質は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、請求項77-8
6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項109】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、請求項108に記載の組成物。
【請求項110】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:20-6952のいずれ
か1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、99%または100%相補的である配列を含む、請求項108または109に記載の組
成物。
【請求項111】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10736、10747
、10739、10743、10742、10737、10735、または10744の
少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、90%
、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた配列を
含む、請求項108-110のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項112】
ASOは、SEQ ID NO:20-6952のいずれか1つに対して少なくとも約
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配
列同一性を備えた配列を含む、請求項108-111のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項113】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-9のいずれか1つに対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または10
0%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項108-112のいずれか1つに記載の組
成物。
【請求項114】
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、請求項108-113のいずれか1つに記載の
組成物。
【請求項115】
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+6から+100の領域、
または、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域

の内部にある、RIC mRNA前駆体の一部を標的とする、請求項77-84、およ
び、87-114のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項116】
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス
部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’ス
プライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にある、RIC mRNA前駆体
の一部を標的とする、請求項77-84、および、87-114のいずれか1つに記載の
組成物。
【請求項117】
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+
2eから-4eの領域、または、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+
2eから-4eの領域、
の内部にある、請求項77-84、および、87-114のいずれか1つに記載の組成
物。
【請求項118】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能RNAをコードする遺伝子から
転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより標的タンパク質
または機能的RNAの量を増加させない、請求項77-117のいずれか1つに記載の組
成物。
【請求項119】
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異から結果として生じる異常スプライシングを調節することにより機能的RNAま
たは機能的タンパク質の量を増加させない、請求項77-118のいずれか1つに記載の
組成物。
【請求項120】
RIC mRNA前駆体は、全長mRNA前駆体または野生型mRNA前駆体からの部
分的スプライシングによって生成された、請求項77-119のいずれか1つに記載の組
成物。
【請求項121】
標的タンパク質または機能RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNAまたは野
生型成熟mRNAである、請求項77-120のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項122】
生成される標的タンパク質は、全長タンパク質または野生型タンパク質である、請求項
77-121のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項123】
保持されたイントロンは律速イントロンである、請求項77-122のいずれか1つに
記載の組成物。
【請求項124】
前記保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で最も豊富な保持されたイ
ントロンである、請求項77-123のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項125】
保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で2番目に豊富な保持されたイ
ントロンである、請求項77-123のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項126】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項77-125のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項127】
前記アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項77
-126のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項128】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチ
ド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含
む、請求項77-127のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項129】
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項77-1
28のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項130】
各糖部は、修飾された糖部である、請求項129に記載の組成物。
【請求項131】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基
、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基から成る、請求項77-130の
いずれか1つに記載の組成物。
【請求項132】
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部
分に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である、請求項77-
131のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項133】
請求項77-132の組成物のいずれかのアンチセンスオリゴマー、および賦形剤を含
む、医薬組成物。
【請求項134】
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射により請求項133に記載の医
薬組成物を投与することによって、被験体を処置する方法。
【請求項135】
不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の
標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーであって、不足したCTNS、P
AX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物が保持されたイントロンを
含み、アンチセンスオリゴマーが、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1または
PPARDのmRNA転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘
発する、アンチセンスオリゴマーと、
薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項136】
不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物は
、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物である、請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項137】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の標
的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの5’スプライス部位
に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-500の
領域内にある、請求項135または136に記載の医薬組成物。
【請求項138】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物は、SEQ ID NO:1-4のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、
85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性
を有する遺伝子配列によってコードされる、請求項135または136に記載の医薬組成
物。
【請求項139】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物は、SEQ ID NO:5-19のいずれか1つに対して、少なくとも約80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一
性を備えた配列を含む、請求項135または136に記載の医薬組成物。
【請求項140】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項141】
アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項135に
記載の医薬組成物。
【請求項142】
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチ
ド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含
む、請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項143】
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、請求項135に
記載の医薬組成物。
【請求項144】
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30核酸塩基、12~25の核酸塩基
、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基を含む、請求項135に記載の医
薬組成物。
【請求項145】
アンチセンスオリゴマーは、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDの
RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に対して、少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、
または100%相補的である、請求項135または136に記載の医薬組成物。
【請求項146】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物の標的部分は、SEQ ID NO:10034-10748から選択される配列
内にある、請求項135または136に記載の医薬組成物。
【請求項147】
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに
対して、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95
%、96%、97%、98%、または99%配列同一性であるヌクレオチド配列を含む、
請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項148】
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-10733から選択されるヌ
クレオチド配列を含む、請求項135に記載の医薬組成物。
【請求項149】
医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または
静脈内注射のために製剤される、請求項135-148のいずれか1つに記載の医薬組成
物。
【請求項150】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の機能形態をコー
ドする、十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmR
NA転写産物を産生するために、保持されたイントロンの除去を促進する、CTNS、P
AX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の処理を誘発する方法であ
って、前記方法は、
(a)アンチセンスオリゴマーを被験体の標的細胞に接触させる工程と、
(b)アンチセンスオリゴマーを、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPA
RDのmRNA転写産物にハイブリダイズする工程であって、CTNS、PAX2、CY
P24A1またはPPARDのmRNA転写産物が、CTNS、PAX2、CYP24A
1またはPPARDのタンパク質の機能形態をコードすることができ、少なくとも1つの
保持されたイントロンを含む、工程と、
(c)CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の機能形態
をコードする、十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD
のmRNA転写産物を産生するために、少なくとも1つの保持されたイントロンをCTN
S、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物から除去する工程と

(d)十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmR
NA転写産物から、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質
の機能形態を翻訳する工程と、を含む、方法。
【請求項151】
保持されたイントロンは、保持されたイントロン全体である、請求項150に記載の方
法。
【請求項152】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物は、CTN
S、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転写産物で
ある、請求項150または151に記載の方法。
【請求項153】
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の量または活性の
不足によって引き起こされた疾病を有する被験体を処置する方法であって、SEQ ID
NO:20-10733のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、85%、90
%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の
配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体に投与する
工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年12月14日に出願された米国仮特許出願第62/267,24
2号の利益を主張し、該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列リストへの言及
本出願は配列表を包含しており、これは、EFS-Webを介してASCIIフォーマ
ットで提出され、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。2016年12月12
日に作成されたASCIIのコピーは、47991-715_601_SL.txtのフ
ァイル名であり、4,351,059バイトのサイズである。前述のファイルは2016
年12月12日に作成され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
腎臓病は、腎臓の損傷に関連する疾病の衰弱性かつ潜在的には致命的な群である。腎臓
は、限定されないが、廃棄物と過剰な流体を取り除き、血液中の塩分と無機質の平衡を維
持し、および血圧を調節することによる血液の浄化を含む身体中の多くの機能に重要であ
る。腎臓病の発生率はしばしば流体や廃棄物の蓄積、嘔吐、脱力、浅眠、および息切れを
もたらし、最終的には死に至る危険さえあり得る。腎臓移植はしばしば死亡率を防ぐ一方
で、ドナーの腎臓を受け取る見込みは一般に低い。
【0004】
腎臓に関連する多くの疾患や疾病があるが、腎臓病の一部は、遺伝子の発現における欠
失と同様に遺伝子産物における欠失によって進行することが分かっている。例えば、CT
NS、PAX2、CYP24A1、およびPPARD。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、本明細書では、被験体の細胞により標的タンパク質または機能的
RNAの発現を増加させることによって被験体の腎臓病を処置する方法が開示され、ここ
で、該細胞は、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を
有し、該RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接
しているエクソン、および3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、ここで、
RIC mRNA前駆体は、標的タンパク質または機能的RNAをコードし、該方法は、
被験体の細胞を、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆
体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、そ
れによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする
RIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞内
で、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、標的
タンパク質または機能的RNAの発現を増加させる。
【0006】
いくつかの実施形態において、腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチ
ン蓄積症、巣状分節性糸球体硬化症7、乳頭腎(Papillorenal)症候群、あ
るいは幼児の高カルシウム血症である。
【0007】
1つの態様において、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前
駆体)を有している細胞によって、標的タンパク質の発現を増加させる方法が本明細書で
提供され、該RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロン
の5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に隣接しているエクソンを含み、ここで、RIC mRNA前駆体は標的タン
パク質をコードし、該方法は、細胞を、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前
駆体の標的部分に相補的なアンチセンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、
それによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質をコードするRIC mRNA
前駆体から構成的にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質をコードするmR
NAのレベルを増加させ、細胞内で標的タンパク質の発現を増加させ、ここで、標的タン
パク質は、シスチノシン(cystinosin)、タンパク質ペアードボックス遺伝子
2タンパク質、タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリ
ペプチド1、あるいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである。
【0008】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、シスチノシン(cystinosin)
、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、タンパク質シトクロムP450ファ
ミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あるいはペルオキシソーム増殖因子活
性化受容体δである。
【0009】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において
量あるいは活性が不足している標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させ
るか、これに取って代わる、補償タンパク質あるいは補償機能的RNAである。
【0010】
いくつかの実施形態では、細胞は、標的タンパク質の量または活性の不足によって引き
起こされた疾病を有する被験体内にあるか、または被験体に由来する。
【0011】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質の量の不足は、標的タンパク質のハプロ不全
によって引き起こされ、ここで被験体は、機能的な標的タンパク質をコードする第1の対
立遺伝子、標的タンパク質が産生されない第2の対立遺伝子、または非機能的な標的タン
パク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺
伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する。
【0012】
いくつかの実施形態において、被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因
する障害により引き起こされた疾病を抱えており、ここで、被験体は、標的タンパク質が
野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、標的タンパク質が
同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形態で生成され、あるいは、標的タン
パク質が生成されない、第1の変異対立遺伝子と、および、標的タンパク質が野生型対立
遺伝子からの生成と比較して、減少したレベルで生成され、標的タンパク質が同等の野性
型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成され、あるいは、標的タンパク質が
生成されない、第2の変異対立遺伝子とを有し、ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子
(a)(iii)を有するとき、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(
ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有するとき、
第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(ii)であり、ここで、RIC
mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子、
および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から
転写される。
【0013】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して
、機能が低下した形態で生成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質は、同等な野性型タンパク質と比較して
、十分に機能的な形態で生成される。
【0015】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位
に対して-16までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0016】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+69~保持されたイントロンの3’スプライス部
位に対して-79までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質はシスチノシンである。
【0018】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス
部位に対して-500までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0019】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:8624-10068のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90
%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:10748またはSEQ ID NO:10734の少なくとも8つの隣接する核
酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、
99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:8624-10068
のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16
またはSEQ ID NO:17のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備
えた配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対し
て少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%また
は100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0024】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はペアードボックス遺伝子2タンパク質
である。
【0025】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス
部位に対して-500までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0026】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:6953-8623のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%
、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:10738またはSEQ ID NO:10740の少なくとも8つの隣接する核
酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、
99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:69
53-8623のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、
96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-
15のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対し
て少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あ
るいは100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0030】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はタンパク質シトクロムP450ファミ
リー24、サブファミリーA、ポリペプチド1である。
【0031】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス
部位に対して-500までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0032】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:9520-10733のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90
%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:10748、SEQ ID NO:10734、SEQ ID NO:10746
、SEQ ID NO:10745、あるいはSEQ ID NO:10741の少なく
とも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、96
%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:9520-10733
のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16
-19のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、
97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対し
て少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あ
るいは100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0037】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質はペルオキシソーム増殖因子活性化受容
体δである。
【0038】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイン
トロンの5’スプライス部位に対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス
部位に対して-500までの領域内の保持されたイントロンにある。
【0039】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:20-6952のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、9
5%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID
NO:10736、SEQ ID NO:10747、SEQ ID NO:10739
、SEQ ID NO:10743、SEQ ID NO:10742、SEQ ID
NO:10737、SEQ ID NO:10735、あるいはSEQ ID NO:1
0744の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%
、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を
備えた配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、ASOは、SEQ ID NO:20-6952のいず
れか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98
%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-
9のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97
%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対し
て少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あ
るいは100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0044】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部の保
持されたイントロンにある:保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する、+6
から+100の領域;あるいは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-
16から-100の領域。
【0045】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持され
たイントロンの5’スプライス部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの
保持されたイントロンの3’スプライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内に
あるRIC mRNA前駆体の一部を標的とする。
【0046】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、以下の内部にあ
る:保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-4e
の領域;あるいは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の
+2e~-4eの領域。
【0047】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タ
ンパク質をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調
節することにより、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。
【0048】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能
的RNAをコードする遺伝子の突然変異に起因する異常なスプライシングを調節すること
により、標的タンパク質または機能的RNAの量を増加させない。
【0049】
いくつかの実施形態において、RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部
分的なスプライシング、または野生型のmRNA前駆体の部分的なスプライシングによっ
て生成された。
【0050】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRN
Aは、全長の成熟mRNA、あるいは野生型の成熟mRNAである。
【0051】
いくつかの実施形態において、生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは
野生型のタンパク質である。
【0052】
いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマー
と接触させた細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコードするm
RNAの総量は、対照細胞において生成された標的タンパク質または機能的RNAをコー
ドするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約
10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1
.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約
2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍
、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、
少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、
少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約1
0倍増加する。
【0053】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成
された標的タンパク質の総量は、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比
較して、約1.1~約10倍、約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、
約4~約10倍、約1.1~約5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~
約8倍、約1.1~約9倍、約2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍
、約2~約9倍、約3~約6倍、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約
7倍、約4~約8倍、約4~約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少
なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少
なくとも約4倍、少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する。
【0054】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合または
ホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホ
リノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’
-O-メトキシエチル部分を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された
糖部を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、それぞれの糖部は修飾された糖部である。
【0058】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~
40の核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~
20の核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~
35の核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~
15の核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基
、10~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の
核酸塩基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11
~30の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩
基、12~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30
の核酸塩基、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸
塩基からなる。
【0059】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするR
IC mRNA前駆体の標的部分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも9
0%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補
的である。
【0060】
いくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードす
る遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRN
A前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセン
スオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結
合する。
【0061】
いくつかの実施形態において、最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンス
オリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成す
るためにRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプラ
イシングアウトを誘発する。
【0062】
いくつかの実施形態において、細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードす
る遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRN
A前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセン
スオリゴマーは、RIC mRNA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロン
に結合する。
【0063】
いくつかの実施形態において、2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセ
ンスオリゴマーの結合は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生
成するためにRIC mRNA前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのス
プライシングアウトを誘発する。
【0064】
いくつかの実施形態では、疾病は、疾患また障害である。
【0065】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は腎臓病である。
【0066】
いくつかの実施形態において、腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチ
ン蓄積症、巣状分節性糸球体硬化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症
である。
【0067】
いくつかの実施形態において、標的タンパク質とRIC mRNA前駆体は、遺伝子に
よってコードされ、ここで、遺伝子はCTNS、PAX2、CYP24A1、あるいはP
PARDである。
【0068】
いくつかの実施形態において、当該方法はタンパク質発現を評価する工程をさらに含む
【0069】
いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。
【0070】
いくつかの実施形態では、被験体はヒト以外の動物である。
【0071】
いくつかの実施形態において、被験体は胎児、胚、あるいは子供である。
【0072】
いくつかの実施形態では、細胞はエクスビボである。
【0073】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔内注射、筋肉
内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって投与される。
【0074】
いくつかの実施形態において、5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1
eと、保持されたイントロンの+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型
配列と同一である。
【0075】
いくつかの実施形態において、保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス
部位に隣接するエクソンの+1eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同
一である。
【0076】
1つの態様では、本明細書に記載された方法で使用されるようなアンチセンスオリゴマ
ーが本明細書で提供される。
【0077】
1つの態様では、SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは
100%の配列同一性を備えた配列を含むアンチセンスオリゴマーが本明細書で提供され
る。
【0078】
1つの態様では、本明細書に記載されたアンチセンスオリゴマーと賦形剤を含む医薬組
成物が本明細書に提供される。
【0079】
1つの態様では、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって本
明細書に記載された医薬組成物を投与することにより、被験体を処置する方法が本明細書
に提供される。
【0080】
1つの態様において、不足しているタンパク質または不足している機能的RNAに関連
している被験体の腎臓病を処置するために、細胞によって標的タンパク質あるいは機能的
RNAの発現を増加させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物が本明
細書で提供され、ここで、不足しているタンパク質または機能的RNAは、被験体におい
て量あるいは活性が不足しており、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質
または機能的RNAをコードする、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC
mRNA前駆体)の構成的のスプライシングを増強し、ここで、標的タンパク質は:不足
しているタンパク質;あるいは、被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大
させるか、これに取って代わる、補償タンパク質であり、ここで、機能的RNAは:不足
しているRNA;あるいは、被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大させるか
、これに取って代わる、補償機能的RNAであり、ここでRIC mRNA前駆体は、保
持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および3’スプライ
ス部位に隣接しているエクソンを含み、保持されたイントロンは、標的タンパク質または
機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体からスプライシングされ、それによっ
て、被験体において標的タンパク質または機能的RNAの産生または活性を増加させる。
【0081】
いくつかの実施形態において、腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチ
ン蓄積症、巣状分節性糸球体硬化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症
である。
【0082】
1つの態様において、被験体において標的タンパク質に関係する疾病を処置する方法に
使用するためのアンチセンスオリゴマーを含む組成物が本明細書で提供され、該方法は、
被験体の細胞によって標的タンパク質の発現を増加させる工程を含み、ここで、細胞は、
保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエク
ソン、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含む
、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、RIC
mRNA前駆体は、標的タンパク質をコードし、該方法は、細胞をアンチセンスオリゴ
マーと接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロンは、標的タンパク質
をコードするRIC mRNA前駆体の転写産物から構成的にスプライシングされ、それ
により、被験体の細胞内で、標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAの
レベルを増加させ、標的タンパク質の発現を増加させる。
【0083】
いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、シスチノシン(cystinosin)
、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、タンパク質シトクロムP450ファ
ミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あるいはペルオキシソーム増殖因子活
性化受容体δである。
【0084】
幾つかの実施形態では、疾病は、疾患また障害である。
【0085】
幾つかの実施形態では、疾患または障害は腎臓病である。
【0086】
幾つかの実施形態では、腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積
症、巣状分節性糸球体硬化症7、乳頭腎症候群、または幼児の高カルシウム血症である。
【0087】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質およびRIC mRNA前駆体は、遺伝子によ
ってコードされ、ここで遺伝子は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
Dである。
【0088】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、
保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+6から、保持されたイントロンの
3’スプライス部位に対する-16の領域内にある、RIC mRNA前駆体の一部を標
的とする。
【0089】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
において、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+69から、保持された
イントロンの3’スプライス部位に対する-79の領域内にある。
【0090】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質はシスチノシンである。
【0091】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
において、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持され
たイントロンの3’スプライス部位に対する-500の領域内にある。
【0092】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:8
624-10068のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95
%、97%、98%、99%、または100%相補的である配列を含む。
【0093】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:1
0748または10734の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なく
とも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
の配列同一性を有する配列を含む。
【0094】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:8624-1
0068のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0095】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16または1
7に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0096】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0097】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質は、ペアードボックス遺伝子2タンパク質であ
る。
【0098】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
において、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持され
たイントロンの3’スプライス部位に対する-500の領域内にある。
【0099】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:6
953-8623のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%
、96%、97%、98%、99%または100%相補的である配列を含む。
【0100】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:1
0738または10740の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なく
とも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
の配列同一性を有する配列を含む。
【0101】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:6953-8
623に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0102】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-15の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0103】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0104】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質は、タンパク質シトクロムP450のファミリ
ー24、サブファミリーA、ポリペプチド1である。
【0105】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
において、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持され
たイントロンの3’スプライス部位に対する-500の領域内にある。
【0106】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:9
520-10733のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95
%、96%、97%、98%、99%または100%相補的である配列を含む。
【0107】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:1
0748、10734、10746、10745または10741の少なくとも8つの隣
接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、
97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0108】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:9520-1
0733に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98
%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0109】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16-19の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0110】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0111】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ
である。
【0112】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
において、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持され
たイントロンの3’スプライス部位に対する-500の領域内にある。
【0113】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:2
0-6952のいずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、9
7%、98%、99%または100%相補的である配列を含む。
【0114】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:1
0736、10747、10739、10743、10742、10737、10735
、または10744の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも8
0%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列
同一性を有する配列を含む。
【0115】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:20-695
2に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0116】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-9のいず
れか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98
%、99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0117】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対して少
なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または1
00%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0118】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、
保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+6から+100の領域;または保
持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域内にある、
RIC mRNA前駆体の一部を標的とする。
【0119】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイン
トロンの5’スプライス部位の約100のヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持
されたイントロンの3’スプライス部位の約100のヌクレオチド上流までの領域内にあ
る、RIC mRNA前駆体の一部を標的とする。
【0120】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロン
の5’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから-4eの領域;または
保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから
-4eの領域内にある。
【0121】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能RNA
をコードする遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節するこ
とにより標的タンパク質または機能RNAの量を増加させない。
【0122】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能RNA
をコードする遺伝子の突然変異から結果として生じる異常スプライシングを調節すること
により標的タンパク質または機能RNAの量を増加させない。
【0123】
幾つかの実施形態では、RIC mRNA前駆体は、全長mRNA前駆体または野生型
mRNA前駆体から部分的スプライシングによって産生された。
【0124】
幾つかの実施形態では、標的タンパク質または機能RNAをコードするmRNAは、全
長成熟mRNAまたは野生型成熟mRNAである。
【0125】
幾つかの実施形態では、産生される標的タンパク質は、全長タンパク質または野生型タ
ンパク質である。
【0126】
幾つかの実施形態では、保持されたイントロンは、律速の(rate-limitin
g)イントロンである。
【0127】
幾つかの実施形態では、前記保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で
最も豊富な保持されたイントロンである。
【0128】
幾つかの実施形態では、保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で2番
目に豊富な保持されたイントロンである。
【0129】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホ
スホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。
【0130】
幾つかの実施形態では、前記アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドである。
【0131】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ
、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-
メトキシエチル部分を含む。
【0132】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部
を含む。
【0133】
幾つかの実施形態では、各糖部は、修飾された糖部である。
【0134】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の
核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の
核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の
核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の
核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10
~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩
基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30
の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、1
2~50の核酸塩基、12~40核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30の核酸塩基
、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12から15の核酸塩基から成
る。
【0135】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC
mRNA前駆体の標的部分に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補
的である。
【0136】
一態様では、本明細書には、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴマー、および賦
形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0137】
一態様において、本明細書には、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注
射により本明細書に記載される医薬組成物を投与することによって、必要としている被験
体を処置する方法が提供される。
【0138】
一態様において、本明細書には医薬組成物が提供され、該医薬組成物は、不足したCT
NS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の標的配列にハイ
ブリダイズするアンチセンスオリゴマーであって、ここで不足したCTNS、PAX2、
CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物が、保持されたイントロンを含み、
アンチセンスオリゴマーが、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPA
RDのmRNA転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する
、アンチセンスオリゴマー;および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0139】
幾つかの実施形態では、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
DのmRNA転写産物は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRI
C mRNA前駆体の転写産物である。
【0140】
幾つかの実施形態では、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmR
NA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの5’
スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対
する-500の領域内にある。
【0141】
幾つかの実施形態では、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRI
C mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO:1-4のいずれか1つに対して、
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%の配列同一性を有する遺伝子配列によってコードされる。
【0142】
幾つかの実施形態では、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRI
C mRNA前駆体の転写産物は、SEQ ID NO;5-19のいずれか1つに対して
、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%また
は100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0143】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホ
スホロジアミデート結合を含む骨格修飾を含む。
【0144】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチド
である。
【0145】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ
、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-
メトキシエチル部分を含む。
【0146】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部
を含む。
【0147】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の
核酸塩基、8~35の核酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の
核酸塩基、8~15の核酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の
核酸塩基、9~30の核酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の
核酸塩基、10~50の核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10
~30の核酸塩基、10~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩
基、11~50の核酸塩基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30
の核酸塩基、11~25の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、1
2~50の核酸塩基、12~40の核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30核酸塩基
、12~25の核酸塩基、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基を含む。
【0148】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、CTNS、PAX2、CYP24
A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に対して、少なく
とも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98
%、少なくとも99%、または100%相補的である。
【0149】
幾つかの実施形態では、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRI
C mRNA前駆体の転写産物の標的部分は、SEQ ID NO:10034-1074
8から選択される配列内にある。
【0150】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-107
33のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、
93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%配列同一性であるヌク
レオチド配列を含む。
【0151】
幾つかの実施形態では、アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-107
33から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0152】
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内
注射、皮下注射、または静脈内注射のために製剤される。
【0153】
一態様において、本明細書には、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
Dのタンパク質(次のものを含む方法)の機能形態をコードする、十分に処理されたCT
NS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物を産生するために
、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の
処理を誘発し、保持されたイントロンの除去を促進する方法が提供され、該方法は、アン
チセンスオリゴマーを被験体の標的細胞に接触させる工程;アンチセンスオリゴマーを、
不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物にハ
イブリダイズする工程であって、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはP
PARDのmRNA転写産物が、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD
のタンパク質の機能形態をコードすることができ、少なくとも1つの保持されたイントロ
ンを含む、工程;CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の
機能形態をコードする、十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはP
PARDのmRNA転写産物を産生するために、少なくとも1つの保持されたイントロン
を不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物か
ら除去する工程;および十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはP
PARDのmRNA転写産物から、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
Dのタンパク質の機能形態を翻訳する工程を含む。
【0154】
幾つかの実施形態では、保持されたイントロンは、保持されたイントロン全体である。
【0155】
幾つかの実施形態では、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
DのmRNA転写産物は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRI
C mRNA前駆体の転写産物である。
【0156】
一態様において、本明細書には、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
Dのタンパク質の量または活性の不足によって引き起こされた疾病を有する被験体を処置
する方法が提供され、該方法は、SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに
対して、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95
%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列含むア
ンチセンスオリゴマーを被験体に投与する工程を含む。
【0157】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公報、特許、および特許出願は、個々の公報、特許、特
許出願が引用によって組み込まれるように具体的且つ個々に示される程度まで、引用によ
って本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
本発明の新規な特徴は、特に添付の請求項に明記されている。本発明の原則が利用され
る例示の実施形態について説明する以下の詳細な記載と、添付の図面を参照することで、
本発明の特徴および利点についてのよりよい理解が得られるであろう。
【0159】
図1図1は、典型的な保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体の転写産物の概略図を示す。5’スプライス部位コンセンサス配列は、-3eから-1eおよび+1から+6(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)まで下線を引かれた文字(文字はヌクレオチドである;大文字:エクソン部分、および小文字:イントロン部分)で示されている。3’スプライス部位コンセンサス配列は、-15から-1および+1e(「e」と標識された数字はエクソンであり、標識されていない数字はイントロンである)まで下線を引かれた文字(文字はヌクレオチドである;大文字:エクソン部分、および小文字:イントロン部分)で示されている。ASOスクリ-ニングのためのイントロン標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位(左の矢印)に対するヌクレオチド+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位(右の矢印)に対するヌクレオチド-16までを含む。実施形態では、ASOスクリ-ニングのためのイントロン標的領域は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+6から+100、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に対するヌクレオチド-16から-100を含む。エクソン標的部位は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから-4e、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+2eから-4eのヌクレオチドを含む。「n」または「N」はヌクレオチドを表し、「y」はピリミジンを表す。図示された配列は、哺乳動物のスプライス部位に対するコンセンサス配列を表わし、個々のイントロンおよびエクソンは、すべての位置でコンセンサス配列に一致する必要はなない。
図2A図2Aは、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)の典型的な概略図を示す。図2Aは、核と細胞質の区画に分割された細胞を示す。核内では、エクソン(長方形)およびイントロン(接続線)から成る標的遺伝子のmRNA前駆体の転写産物が、mRNAを生成するためにスプライシングを受け、このmRNAは、細胞質に輸送され、標的タンパク質に翻訳される。この標的遺伝子に関して、イントロン1のスプライシングは非効率的であり、保持されたイントロン含有(RIC)mRNA前駆体は、主として核内に蓄積し、細胞質に輸送された場合は劣化し、標的タンパク質の産生にはつながらない。
図2B図2Bは、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)の典型的な概略図を示す。図2Bは、核と細胞質の区画に分割された図2Aと同じ細胞の一例を示す。アンチセンスオリゴマー(ASO)での処置は、イントロン1のスプライシングを促進し、結果としてmRNAの増加をもたらし、これは順に、高レベルの標的タンパク質に翻訳される。
図3A図3Aは、NM_004937およびNM_001031681に対応するCTNSのためのReSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される。
図3B図3Bは、NM_004937およびNM_001031681に対応するCTNSのためのReSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのPIRが示される。
図3C図3Cは、偽処理した細胞と比較した、80nMの示されたASOで24時間処置されたARPE-19細胞におけるイントロン10なしでのCTNS mRNAの発現レベルの平均(n=3)倍率変化を示す典型的なグラフを示す。データはRPL32発現に正規化される。
図4A図4Aは、NM_000782およびNM_001128915に対応するCYP24A1のためのReSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのPIRが示される。
図4B図4Bは、NM_000782およびNM_001128915に対応するCYP24A1のためのReSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのPIRが示される。
図4C図4Cは、偽処理した細胞と比較した、80nMの示されたASOで24時間処置されたARPE-19細胞におけるイントロン10なしでのCYP24A1 mRNAの発現レベルの平均(n=3)倍率変化を示す典型的なグラフを示す。データはRPL32発現に正規化される。
図5図5は、NM_001304569、NM_000278、NM_003990、NM_003988、NM_003987およびNM_003989に対応するPAX2のためのReSeq遺伝子の概略を示す。
図6A図6Aは、PPARD:NM_006238、NM_177435、NM_001171818、NM_001171819およびNM_001171820に対応するPPARDのためのRefSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される(PPARDイントロン3、NM_006238)。
図6B図6Bは、偽処理した細胞と比較した、80nMの示されたASOで24時間処置されたARPE-19細胞におけるイントロン10なしでのPPARD mRNAの発現レベルの平均(n=3)倍率変化を示す典型的なグラフを示す。データはRPL32発現に正規化される。
図6C図6Cは、PPARD:NM_006238、NM_177435、NM_001171818、NM_001171819およびNM_001171820に対応するPPARDのためのRefSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される(PPARDイントロン4、NM_006238)。
図6D図6Dは、PPARD:NM_006238、NM_177435、NM_001171818、NM_001171819およびNM_001171820に対応するPPARDのためのRefSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される(PPARDイントロン5、NM_006238)。
図6E図6Eは、PPARD:NM_006238、NM_177435、NM_001171818、NM_001171819およびNM_001171820に対応するPPARDのためのRefSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される(PPARDイントロン6、NM_006238)。
図6F図6Fは、偽処理した細胞と比較した、80nMの示されたASOで24時間処置されたARPE-19細胞におけるイントロン10なしでのPPARD mRNAの発現レベルの平均(n=3)倍率変化を示す典型的なグラフを示す。データはRPL32発現に正規化される。
図6G図6Gは、PPARD:NM_006238、NM_177435、NM_001171818、NM_001171819およびNM_001171820に対応するPPARDのためのRefSeq遺伝子の概略を示す。円で囲んだイントロンのイントロン保持率(PIR)が示される(PPARDイントロン7、NM_006238)。
【発明を実施するための形態】
【0160】
腎不全は、米国だけで600,000を超える人に影響を与えると推測される衰弱した
状態である。多くの場合、透析は寿命を延ばすことができ、2009年の試験によると、
概算で400,000人の患者が腎透析を受けている。さらに、腎不全に苦しむ多数の患
者にとっての唯一の望みは腎臓移植であるが、ドナープールは、それを必要とする患者の
わずか少数の処置に十分であるだけである。それ故、移植を受ける確率は低く、移植を受
けることができない人の状態を改善することができる処置はほとんどない。それ故、腎臓
病を処置する組成物および方法が必要とされている。
【0161】
1つを超えるイントロンを有するタンパク質コード遺伝子の一次転写産物における個々
のイントロンは、異なる効率性を有する一次転写産物からスプライシングされる。ほとん
どの場合、完全にスプライシングされたmRNAだけが、続く細胞質での翻訳のために核
膜孔を通って輸送される。スプライシングされていない又は部分的にスプライシングされ
た転写産物は、核内で検出可能である。完全にスプライシングされていない転写産物の核
内蓄積が、タンパク質に翻訳され得る細胞質中の有害である可能性のあるmRNAの蓄積
を防ぐメカニズムであると一般的に考えられる。幾つかの遺伝子に関して、最も効率性の
低いイントロンのスプライシングは、細胞質中での翻訳に先立つ、遺伝子発現における転
写後の律速の工程である。
【0162】
腎臓病のサブセットにおいて不足しているタンパク質をコードする、かなりのレベルの
遺伝子の部分的にスプライシングされた転写産物が、ヒト細胞の核内で発見されてきた。
これらのmRNA前駆体の種は、少なくとも1つの保持されたイントロンを含む。本発明
は、完全にスプライシングされた成熟mRNAの安定した状態の産生を増加させる、およ
びそれ故、翻訳された-タンパク質レベルを増加させるために、遺伝子発現の核ステージ
に対して律速的である1つ以上の保持されたイントロンのスプライシングをアップレギュ
レートするための組成物および方法を提供する。これらの組成物および方法は、核内に蓄
積する保持されたイントロン含有mRNA前駆体のイントロンスプライス部位で構成的ス
プライシングを促進するアンチセンスオリゴマー(ASO)を活用する。したがって、実
施形態では、タンパク質不足によって引き起こされた疾病を処置するために本発明の方法
を使用して、タンパク質が増加される。
【0163】
本明細書に記載される本発明によって処置することができる腎臓病は、被験体において
遺伝子産物が不足している疾患であり、ここで遺伝子産物の不足は腎臓病を引き起こす。
【0164】
これらのCTNS、PAX2、CYP24A1およびPPARDのmRNA前駆体の種
は、少なくとも1つの保持されたイントロンを含む。本発明は、完全にスプライシングさ
れた成熟mRNAの安定した状態の産生を増加させる、およびそれ故、翻訳されたCTN
S、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質レベルを増加させるために
、遺伝子発現の核ステージに対して律速的である1つ以上の保持されたCTNS、PAX
2、CYP24A1またはPPARDのイントロンのスプライシングをアップレギュレー
トするための組成物および方法を提供する。これらの組成物および方法は、核内に蓄積す
る保持されたイントロン含有CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのm
RNA前駆体(RIC mRNA前駆体)のイントロンスプライス部位で構成的スプライ
シングを促進するアンチセンスオリゴマー(ASO)を活用することができる。したがっ
て、実施形態では、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDの不足によっ
て引き起こされた疾病を処置するために本発明の方法を使用して、CTNS、PAX2、
CYP24A1またはPPARDのタンパク質が増加される。
【0165】
他の実施形態では、本発明の方法は、必要としている被験体の症状を処置するために、
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDの産生を増加させるために使用さ
れ得る。実施形態では、被験体は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPAR
Dが野生型と比較して必ずしも不足していない疾病を有し、その場合、CTNS、PAX
2、CYP24A1またはPPARDの増加は、それにもかかわらず疾病を軽減する。実
施形態では、疾病は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのハプロ不
全によって引き起こされ得る。
【0166】
腎障害シスチン蓄積症/遅発性シスチン蓄積症
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された本発明は、常染色体劣性腎障害
の幼児腎障害シスチン蓄積症を処置するために使用されうる。幼児腎障害シスチン蓄積症
は、リソソーム中のシスチンの蓄積によって特徴づけられる。幼児腎障害シスチン蓄積症
の臨床症状は、低血糖および電解質、尿中のタンパク質の過剰排泄、遅い身体発育、弱い
骨、甲状腺機能低下症、失明、筋力低下、肺機能障害および腎不全を含む。典型的には幼
児腎障害性シスチン蓄積症は幼児期に診断される。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された本発明は、常染色体劣性腎障害
の遅発性シスチン蓄積症を処置するために使用されうる。遅発性シスチン蓄積症は幼児型
として類似の臨床症状を有するが、遅発型は、典型的には青年期後期または成人早期のい
ずれかにおいて現われる。
【0168】
タンパク質シスチノシン(CTNS)の不足は、幼児腎障害シスチン蓄積症および遅発
性シスチン蓄積症の両方において見られる臨床症状を結果としてもたらす。17q13.
2に位置し、12エクソンに及ぶCTNS遺伝子は、CTNSタンパク質をコードする。
不十分な量のCTNSタンパク質を結果としてもたらすCTNS遺伝子の突然変異が、幼
児腎障害シスチン蓄積症および遅発性シスチン蓄積症の両方の進行の原因であることが示
されてきた。ある研究では、G169Dミスセンス変異が、幼児腎障害シスチン蓄積症の
患者において発見された。このミスセンス変異は結果としてCTNSのレベルを減少させ
、CTNSの不足と、幼児腎障害シスチン蓄積症の進行との間の明確な関係を提供した。
【0169】
巣状分節性糸球体硬化症7/乳頭腎症候群
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された本発明は、常染色体優性腎障害
巣状分節性糸球体硬化症7(FSGS7)を処置するために使用することができる。FS
GS7は成人における腎不全の主要原因のうち1つである。FSGS7は浮腫、低アルブ
ミン血症、高脂血症および高血圧症を特徴づけ、最終的に腎不全を結果としてもたらす。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された本発明は、常染色体優性腎障害
の乳頭腎症候群(PAPRS)を処置するために使用することができる。PAPRSは、
低形成腎、低異形成、多嚢胞性異形性腎、寡巨大糸球体症、腎不全、および膀胱尿管逆流
によって特徴づけられる。
【0171】
タンパク質ペアードボックス遺伝子2(PAX2)の欠失は、FSGS7およびPAP
RSの両方において見られる臨床症状を結果としてもたらす。10q24.31に位置し
、12エクソンに及ぶPAX2遺伝子は、PAX2タンパク質をコードする。不十分な量
のPAX2タンパク質を結果としてもたらすPAX2遺伝子の突然変異が、FSGS7お
よびPAPRSの両方の進行の原因であることが示されてきた。ある研究では、G76S
のミスセンス変異がPAPRSで苦しむ家族の5世代において発見された。このミスセン
ス変異は結果としてPAX2タンパク質のレベルを減少させ、PAX2タンパク質の不足
と、PAPRSの進行との間の明確な関係を提供した。
【0172】
幼児高カルシウム血症
いくつかの実施形態では、本明細書において記載された本発明は、常染色体劣性腎疾患
の幼児高カルシウム血症を処置するために使用されうる。幼児高カルシウム血症は、腎結
石、骨痛、腹痛症、吐き気、嘔吐、多尿症、ならびにうつ病、不安症、認知機能障害、不
眠症、および昏睡などの精神状態を結果としてもたらしうる、血液中の上昇したカルシウ
ムのレベルによって特徴づけられる。
【0173】
タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1(
CYP24A1)の不足は、幼児高カルシウム血症において見られる臨床症状を結果とし
てもたらす。20q13.2に位置し、2エクソンに及ぶCYP24A1遺伝子は、CY
P24A1タンパク質をコードする。不十分な量のCYP24A1タンパク質を結果とし
てもたらすCYP24A1遺伝子の突然変異が、幼児高カルシウム血症の進行の原因であ
ることが示されてきた。ある研究では、幼児高カルシウム血症と診断された多数の子供た
ちが調査された。R396WまたはE322Kのミスセンス変異を示す子供たちは、CY
P24A1活性の完全な破壊(complete ablation)を受けることが示
され、L409Sの突然変異を示す子供たちは、少ないが測定可能なレベルを保持した。
この発見により、減少したCYP24A1タンパク質と、幼児高カルシウム血症の臨床症
状との間の明確な関係が提供される。
【0174】
脂質代謝機能障害および慢性腎疾患
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明は、タンパク質ペルオキシソー
ム増殖剤応答性受容体δ(PPARD)の不足により引き起こされた、脂質代謝不全、慢
性腎臓病(CKD)、末期腎不全(ESRD)、または心血管疾患(CVD)を治療する
ために使用される。染色体6に位置し、8エクソンに及ぶPPARD遺伝子によりコード
されるPPARDタンパク質の量の欠失は、増大した脂質代謝の機能障害に関連づけられ
ることが示されてきた。
【0175】
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)
実施形態では、本発明の方法は、遺伝子から転写され、かつ本明細書において記載され
る疾患において不足していることが分かるタンパク質をコードする保持されたイントロン
含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の存在を、細胞核中で活用する。成熟し
、完全にスプライシングされたmRNAを産出するための、特定のRIC mRNA前駆
体の種のスプライシングは、保持されたイントロンのスプライシングアウトを刺激するA
SOを用いて誘導される。結果としてもたらされる成熟mRNAは、細胞質に輸送され翻
訳され、それによって被験体の細胞中のタンパク質量を増加させ、本明細書で記載される
疾患または疾病の症状を緩和する。実施形態では、本発明の方法は、CTNS、PAX2
、CYP24A1、またはPPARD遺伝子から転写され、かつCTNS、PAX2、C
YP24A1、またはPPARDタンパク質をコードする保持されたイントロン含有mR
NA前駆体(RIC mRNA前駆体)の存在を、細胞核中で活用することができる。成
熟し、完全にスプライシングされたCTNS, PAX2, CYP24A1、またはPP
ARDのmRNAを産出するための、CTNS, PAX2, CYP24A1、またはP
PARDのRIC mRNA前駆体の種のスプライシングは、保持されたイントロンのス
プライシングアウトを刺激するASOを用いて誘導されうる。結果としてもたらされる成
熟したCTNS、PAX2、CYP24A1、またはPPARDのmRNAは、細胞質に
輸送されて翻訳され、それによって、患者の細胞内でCTNS、PAX2、CYP24A
1、またはPPARDのタンパク質の量を増大させ、かつCTNS、PAX2、CYP2
4A1、またはPPARDの不足により引き起こされるCNSの疾患または疾病の症状の
緩和させることができる。この方法は以下でさらに詳述されるが、核内遺伝子出力の標的
化増大(TANGO)として知られる。
【0176】
実施形態では、保持されたイントロンは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少
なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少
なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%あるいは少なくとも約50
%の保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定されたイントロンである。
実施形態では、保持されたイントロンはすなわち、約5%から約100%、約5%から約
95%、約5%から約90%、約5%から約85%、約5%から約80%、約5%から約
75%、約5%から約70%、約5%から約65%、約5%から約60%、約5%から約
65%、約5%から約60%、約5%から約55%、約5%から約50%、約5%から約
45%、約5%から約40%、約5%から約35%、約5%から約30%、約5%から約
25%、約5%から約20%、約5%から約15%、約10%から約100%、約10%
から約95%、約10%から約90%、約10%から約85%、約10%から約80%、
約10%から約75%、約10%から約70%、約10%から約65%、約10%から約
60%、約10%から約65%、約10%から約60%、約10%から約55%、約10
%から約50%、約10%から約45%、約10%から約40%、約10%から約35%
、約10%から約30%、約10%から約25%、約10%から約20%、約15%から
約100%、約15%から約95%、約15%から約90%、約15%から約85%、約
15%から約80%、約15%から約75%、約15%から約70%、約15%から約6
5%、約15%から約60%、約15%から約65%、約15%から約60%、約15%
から約55%、約15%から約50%、約15%から約45%、約15%から約40%、
約15%から約35%、約15%から約30%、約15%から約25%、約20%から約
100%、約20%から約95%、約20%から約90%、約20%から約85%、約2
0%から約80%、約20%から約75%、約20%から約70%、約20%から約65
%、約20%から約60%、約20%から約65%、約20%から約60%、約20%か
ら約55%、約20%から約50%、約20%から約45%、約20%から約40%、約
20%から約35%、約20%から約30%、約25%から約100%、約25%から約
95%、約25%から約90%、約25%から約85%、約25%から約80%、約25
%から約75%、約25%から約70%、約25%から約65%、約25%から約60%
、約25%から約65%、約25%から約60%、約25%から約55%、約25%から
約50%、約25%から約45%、約25%から約40%、あるいは約25%から約35
%の保定の保持率に基づき、保持されたイントロンとして特定されたイントロンである。
複数の実施形態では、この目的に有用な他のASOは、例えば、本明細書に記載の方法を
用いて特定される。
【0177】
実施形態では、CTNS イントロンの番号付けは、NM_001031681または
NM_001031681におけるmRNA配列に相当する。実施形態では、CTNS
RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン9および/または10内にある。実施形
態では、CTNS RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン10内にある。実施形
態では、保持されたイントロンのパーセントは18%でありうる。実施形態では、CTN
S RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン9内にある。実施形態では、保持され
たイントロンのパーセントは10%でありうる。実施形態では、RIC mRNA前駆体
の標的部位へのASOのハイブリダイゼーションは、結果として、保持されたイントロン
9および/または10のスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部
位)におけるスプライシングの増強と、その後のCTNSタンパク質産生の増大をもたら
した。異なるCTNSアイソフォーム配列を参照することで、イントロンの番号付けは変
化しうると解される。当業者であれば、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、
NM_001031681またはNM_001031681におけるmRNA配列を参照
して得られる番号を使用することで、任意のアイソフォームにおける対応する番号を判定
することができる。当業者はさらに、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、N
M_001031681またはNM_001031681におけるmRNA配列を参照し
て得られるイントロン番号を使用することで、本発明の方法を使用して標的化のための任
意のCTNSアイソフォームにおける隣接するエクソンの配列を判定することができる。
【0178】
実施形態では、PAX2イントロンの番号付けは、NM_001304569、NM_
000278、NM_003990、NM_003988、NM_003987、または
NM_003989におけるmRNA配列に相当する。実施形態では、PAX2 RIC
mRNA前駆体の標的部位はイントロン1または2内にある。実施形態では、RIC m
RNA前駆体の標的部位へのASOのハイブリダイゼーションは、結果として、保持され
たイントロン1または2のスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス
部位)におけるスプライシングの増強と、その後のPAX2タンパク質産生の増大をもた
らした。異なるPAX2アイソフォーム配列を参照することで、イントロンの番号付けは
変化しうると解される。当業者は、本明細書において提供されるイントロン配列に基づく
か、またはNM_001304569、NM_000278、NM_003990、NM
_003988、NM_003987、もしくはNM_003989におけるmRNA配
列に関して提供される番号を使用して、任意のアイソフォーム中の対応するイントロン番
号を判定することができる。当業者は、本明細書において提供されるイントロン配列に基
づくか、またはNM_001304569、NM_000278、NM_003990、
NM_003988、NM_003987、もしくはNM_003989におけるmRN
A配列に関して提供されたイントロン番号を使用する本発明の方法を使用して、標的とす
るための任意のPAX2アイソフォーム中の隣接するエクソンの配列を判定することもで
きる。
【0179】
実施形態では、CYP24A1イントロンの番号付けは、NM_000782またはN
M_001128915におけるmRNA配列に相当する。実施形態では、CYP24A
1 RIC mRNA前駆体の標的部位はイントロン10および/もしくは9、またはイン
トロン11内にある。実施形態では、CYP24A1 RIC mRNA前駆体の標的部位
はイントロン9内にある。実施形態では、CYP24A1 RIC mRNA前駆体の標的
部位はイントロン11内にある。実施形態では、保持されたイントロンのパーセントは2
3%でありうる。実施形態では、CYP24A1 RIC mRNA前駆体の標的部位はイ
ントロン10内にある。実施形態では、保持されたイントロンのパーセントは50%であ
りうる。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部位へのASOのハイブリダイゼ
ーションは、結果として、保持されたイントロン10および/もしくは9、またはイント
ロン11のスプライス部位(5’スプライス部位あるいは3’スプライス部位)における
スプライシングの増強と、その後のCYP24A1タンパク質産生の増大をもたらした。
異なるCYP24A1アイソフォーム配列を参照することで、イントロンの番号付けは変
化しうると解される。当業者であれば、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、
NM_000782またはNM_001128915におけるmRNA配列を参照して得
られる番号を使用することで、任意のアイソフォームにおける対応する番号を判定するこ
とができる。当業者はさらに、本明細書で提供されるイントロン配列に基づき、NM_0
00782またはNM_001128915におけるmRNA配列を参照して得られるイ
ントロン番号を使用することで、本発明の方法を使用して標的化のための任意のCYP2
4A1アイソフォームにおける隣接するエクソンの配列を判定することができる。
【0180】
実施形態では、PPARDイントロンの番号付けは、NM_006238、NM_17
7435、NM_001171818、NM_001171819、またはNM_001
171820におけるmRNA配列に相当する。実施形態では、PPARD RIC mR
NA前駆体の標的部分は、イントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしく
は7、および/またはイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6
、もしくは7、もしくは8内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン2内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン3内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン4内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン5内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン6内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン7内にある。実施形態では、PPARD RIC mRNA前駆体
の標的部分はイントロン8内にある。実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分
に対するASOのハイブリダイゼーションは、保持されたイントロンのスプライス部位(
5’スプライス部位または3’スプライス部位)における増強されたスプライシングを結
果としてもたらし、その後PPARDタンパク質産生を増大させる。異なるPPARDア
イソフォーム配列を参照することで、イントロンの番号付けは変化することもあると解さ
れる。当業者は、本明細書において提供されるイントロン配列に基づくか、またはNM_
006238, NM_177435, NM_001171818, NM_00117
1819、もしくはNM_001171820におけるmRNA配列に関して提供される
番号を使用して、任意のアイソフォーム中の対応するイントロン番号を判定することがで
きる。当業者は、本明細書において提供されるイントロン配列に基づくか、またはNM_
006238, NM_177435, NM_001171818, NM_00117
1819、もしくはNM_001171820におけるmRNA配列に関して提供された
イントロン番号を使用する本発明の方法を使用して、標的とするための任意のPPARD
アイソフォーム中の隣接するエクソンの配列を判定することもできる。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、CTNS, PAX2, C
YP24A1、またはPPARDのゲノム配列から転写されたRIC mRNA前駆体を
標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるASOは、CTNS, P
AX2, CYP24A1、またはPPARDのRIC mRNA前駆体の配列を標的とす
る。
【0182】
いくつかの実施形態では、ASOは、CTNSゲノム配列によりコードされたRIC
mRNA前駆体の転写産物の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保
持されたイントロン9および/または10を含むCTNSのゲノム配列によりコードされ
たRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは
、SEQ ID NO:3によってコードされたRIC mRNA前駆体を標的とする。い
くつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:16または17のRIC mRN
A前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイン
トロン9および/または10を含むSEQ ID NO:16または17のRIC mRN
A前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるA
SOは、SEQ ID NO:10748および/または10734を標的とする。いくつ
かの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:20-6952のうちいずれか1つの
配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、ASOは、PAX2のゲノム配列によりコードされたRIC
mRNA前駆体の転写産物の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、
保持されたイントロン1および/または2を含むPAX2のゲノム配列によりコードされ
たRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは
、SEQ ID NO:2によってコードされたRIC mRNA前駆体の転写産物を標的
とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:10-15のうち1つ
以上のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、AS
Oは、保持されたイントロン1または2を含む、SEQ ID NO:10-15のうち1
つ以上のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、本
明細書中に開示されるASOは、SEQ ID NO:10740および/または1073
8を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:6953-8
623のうちいずれか1つの配列を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、ASOは、CYP24A1のゲノム配列によりコードされた
RIC mRNA前駆体の転写産物の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、AS
Oは、保持されたイントロン10および/もしくは9、またはイントロン11を含むCY
P24A1のゲノム配列によりコードされたRIC mRNA前駆体の転写産物を標的と
する。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:4によってコードされた
RIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、
SEQ ID NO:18または19のRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、ま
たはイントロン11を含むSEQ ID NO:18または19のRIC mRNA前駆体
の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるASOは、
SEQ ID NO:10748、10734、10746、10745、および/または
10741を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:95
20-10733のうちいずれか1つの配列を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、ASOは、PPARDのゲノム配列によりコードされたRI
C mRNA前駆体の転写産物の配列を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは
、保持されたイントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および
/または保持されたイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、
もしくは7、もしくは8を含むPPARDのゲノム配列によりコードされたRIC mR
NA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID
NO:1によってコードされたRIC mRNA前駆体の転写産物を標的とする。いくつ
かの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:5-9のうち1つ以上のRIC mR
NA前駆体の転写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイ
ントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および/または保持さ
れたイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、も
しくは8を含むSEQ ID NO:5-9のうち1つ以上のRIC mRNA前駆体の転
写産物を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID NO:1073
6、10747、10739、10743、10742、10737、10735、およ
び/または10744を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、SEQ ID
NO:20-6952のうちいずれか1つの配列を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または10を含
む、CTNSのRIC mRNA前駆体のエクソン9および/または10を標的とする。
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または10を含む
、CTNS RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)の
エクソン9および/または10配列を標的とする。
【0187】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または10を含
む、CTNSのRIC mRNA前駆体におけるイントロン9および/または10を標的
とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または1
0を含む、CTNS RIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(あるいは
3’)のイントロン9および/または10配列を標的とする。
【0188】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または10を含
む、CTNS RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)
のイントロン9および/または10配列を標的とする。
【0189】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または10を含
む、CTNSのRIC mRNA前駆体におけるエクソン10および/または11を標的
とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン9および/または1
0を含む、CTNS RIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(あるいは
3’)のエクソン10および/または11配列を標的とする。
【0190】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX
2のRIC mRNA前駆体のエクソン1または2を標的とする。いくつかの実施形態で
は、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX2のRIC mRNA前
駆体の5’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)のエクソン1または2配列を標的
とする。
【0191】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX
2のRIC mRNA前駆体におけるイントロン1または2を標的とする。いくつかの実
施形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX2のRIC m
RNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(あるいは3’)のイントロン1または2
配列を標的とする。
【0192】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX
2のRIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)のイント
ロン1または2配列を標的とする。
【0193】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX
2のRIC mRNA前駆体におけるエクソン2または3を標的とする。いくつかの実施
形態では、ASOは、保持されたイントロン1または2を含む、PAX2のRIC mR
NA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(あるいは3’)のエクソン2または3配列
を標的とする。
【0194】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、
またはイントロン11を含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体のエクソン10
および/もしくは9、またはエクソン11を標的とする。いくつかの実施形態では、AS
Oは、保持されたイントロン10および/もしくは9、またはイントロン11を含む、C
YP24A1のRIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも上流(あるいは5’
)のエクソン10および/もしくは9、またはエクソン11配列を標的とする。
【0195】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、
またはイントロン11を含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体におけるイント
ロン10および/もしくは9、またはイントロン11を標的とする。いくつかの実施形態
では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、またはイントロン11
を含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体の5’スプライス部位よりも下流(あ
るいは3’)のイントロン10および/もしくは9、またはイントロン11配列を標的と
する。
【0196】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、
またはイントロン11を含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体の3’スプライ
ス部位よりも上流(あるいは5’)のイントロン10および/もしくは9、またはイント
ロン11配列を標的とする。
【0197】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、
またはイントロン11を含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体におけるエクソ
ン11および/もしくは10、またはエクソン12を標的とする。いくつかの実施形態で
は、ASOは、保持されたイントロン10および/もしくは9、またはイントロン11を
含む、CYP24A1のRIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下流(ある
いは3’)のエクソン11および/もしくは10、またはエクソン12配列を標的とする
【0198】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン3、もしくは4、もしくは
5、もしくは6、もしくは7、および/または保持されたイントロン2、もしくは3、も
しくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8を含む、PPARDのRI
C mRNA前駆体のエクソン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、
および/またはエクソン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしく
は7、もしくは8を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイント
ロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および/または保持された
イントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしく
は8を含む、PPARDの5’スプライス部位よりも上流(あるいは5’)のエクソン3
、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および/またはエクソン2、もし
くは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8の配列を標的と
する。
【0199】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン3、もしくは4、もしくは
5、もしくは6、もしくは7、および/または保持されたイントロン2、もしくは3、も
しくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8を含むPPARDのRIC
mRNA前駆体における、イントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もし
くは7、および/またはイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは
6、もしくは7、もしくは8を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持さ
れたイントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および/または
保持されたイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは
7、もしくは8を含む、PPARDの5’スプライス部位よりも下流(あるいは3’)の
イントロン3、もしくは4、もしくは3、もしくは6、もしくは7、および/またはイン
トロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8
の配列を標的とする。
【0200】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン3、もしくは4、もしくは
5、もしくは6、もしくは7、および/または保持されたイントロン2、もしくは3、も
しくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8を含む、PPARDの3’
スプライス部位よりも上流(あるいは5’)のイントロン3、もしくは4、もしくは5、
もしくは6、もしくは7、および/またはイントロン2、もしくは3、もしくは4、もし
くは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8の配列を標的とする。
【0201】
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロン3、もしくは4、もしくは
5、もしくは6、もしくは7、および/または保持されたイントロン2、もしくは3、も
しくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8を含む、PPARDのRI
C mRNA前駆体におけるエクソン4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしく
は8、および/またはエクソン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、
もしくは8、もしくは9を標的とする。いくつかの実施形態では、ASOは、保持された
イントロン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、および/または保持
されたイントロン2、もしくは3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、
もしくは8を含む、PPARDのRIC mRNA前駆体の3’スプライス部位よりも下
流(あるいは3’)のエクソン4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしくは8、
および/またはエクソン3、もしくは4、もしくは5、もしくは6、もしくは7、もしく
は8、もしくは9の配列を標的とする。
【0202】
タンパク質発現
実施形態では、本明細書において記載される方法が、機能的タンパク質の産生を増加さ
せるために使用される。本明細書で使用されるように、用語「機能的な(functio
nal)」は、処置される疾患の1つ以上の症状を除去するのに必要とされるタンパク質
の活性または機能の量を指す。実施形態では、部分的な機能的タンパク質の産生を増加さ
せるために、前記方法が使用される。本明細書において使用されるように、用語「部分的
な機能的」は、疾患または疾病の1つ以上の症状を除去または予防するために必要な活性
または機能の量よりも少ない、タンパク質の活性または機能の任意の量を指す。いくつか
の実施形態では、部分的な機能的タンパク質またはRNAは、少なくとも10%、少なく
とも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、85%、少なくとも90
%、または少なくとも95%の、完全な機能的タンパク質またはRNAに比してより小さ
な活性を持つだろう。
【0203】
実施形態では、該方法は、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体を有する被
験体の細胞によって、タンパク質発現を増加させる方法であり、前記被験体は、本明細書
に記載されたタンパク質の活性量の欠失に起因する、本明細書に記載の疾患を有する。い
くつかの実施形態では、タンパク質量の欠失は、タンパク質のハプロ不全に起因する。そ
のような実施形態では、被験体は、機能的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、
タンパク質を産生しない第2の対立遺伝子とを有する。別のそのような実施形態では、被
験体は、機能的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、非機能的タンパク質をコー
ドする第2の対立遺伝子を有する。別のそのような実施形態では、被験体は、機能的タン
パク質をコードする第1の対立遺伝子と、部分的な機能的タンパク質をコードする第2の
対立遺伝子を有する。これらの実施形態のいずれの場合でも、アンチセンスオリゴマーは
、第1の対立遺伝子(機能的タンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA
前駆体の標的部位に結合し、それによって、RIC mRNA前駆体からの保持されたイ
ントロンの構成的スプライシングを誘導し、かつ、機能的タンパク質をコードする成熟m
RNA量の増加と、被検体の細胞中のタンパク質発現の増加をもたらす。
【0204】
実施形態では、被験体は、機能的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子と、部分
的な機能的タンパク質をコードする第2の対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは
、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部位、あるいは第2の
対立遺伝子(部分的な機能的タンパク質をコードする)から転写されたRIC mRNA
前駆体の標的部位に結合する。それによって、RIC mRNA前駆体からの保持された
イントロンの構成的スプライシングを誘導し、タンパク質をコードする成熟mRNA量の
増加と、被検体の細胞中の機能的あるいは部分的な機能的タンパク質発現の増加をもたら
す。
【0205】
関連する実施形態では、前記方法は、タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増大
させるためにASOを用いる方法である。実施形態では、タンパク質をコードするRIC
mRNA前駆体を有する被験体の細胞中の、本明細書に記載のタンパク質発現を増加さ
せるために、ASOを用いる。その被験体は、タンパク質の量または機能の不足を有する
【0206】
実施形態では、疾患または疾病を引き起こすタンパク質をコードするRIC mRNA
前駆体の転写産物は、本明細書に記載されるASOによって標的化される。いくつかの実
施形態では、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の転写産物は、ASOの標
的とされる疾患の原因ではない。例えば、特定の経路における第1のタンパク質の突然変
異または不足がもたらす疾患は、第2のタンパク質をコードするRIC mRNA前駆体
を標的とし、それによって第2のタンパク質産生が増加することで、改善しうる。いくつ
かの実施形態では、第2のタンパク質の機能は、第1のタンパク質の突然変異または不足
(それは疾患または疾病の原因である)を補うことができる。
【0207】
実施形態では、被験体は、
a.第1の変異対立遺伝子であって、そこから、
i)タンパク質が、野生型対立遺伝子からの生成と比較して低下したレベルで生成され

ii)タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低下した機能を有する形態で
生成され、または
iii)タンパク質あるいは機能的RNAは生成されない、
第1の変異対立遺伝子;及び
b.第2の変異対立遺伝子であって、そこから、
i)タンパク質が、野生型対立遺伝子からの生成と比較して低下したレベルで生成され

ii)タンパク質が、同等の野生型タンパク質と比較して低下した機能を有する形態で
生成され、または
iii)タンパク質は生成されない、
第2の変異対立遺伝子を有し、
ここで、RIC mRNA前駆体は、第1の対立遺伝子および/または第2の対立遺伝子
から転写される。これらの実施形態では、ASOは、第1の対立遺伝子または第2の対立
遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合することで、RIC m
RNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的スプライシングを誘導し、被験体の細
胞中でタンパク質をコードするmRNA量の増加を引き起こし、標的タンパク質または機
能的RNAの発現の増加をもたらす。これらの実施形態では、RIC mRNA前駆体か
らの保持されたイントロンの構成的スプライシングによって、発現レベルの増加した標的
タンパク質あるいは機能的RNAは、同等の野性型タンパク質(部分的機能)と比較して
機能が低い、あるいは同等の野性型タンパク質(完全機能)と比較して十分な機能を有す
る、いずれかの形態である。
【0208】
実施形態では、本明細書に記載されるタンパク質をコードするmRNAのレベルは、例
えば、アンチセンスオリゴマーで処置されない、あるいはRIC mRNA前駆体の標的
部分と結合しないアンチセンスオリゴマーによって処置される、対照細胞中で生成された
タンパク質をコードするmRNAの量と比較した時、1.1から10倍に増加する。
【0209】
実施形態では、タンパク質の量または活性の不足に起因する疾病は、ASOが標的とす
る保持されたイントロンの選択的または異常なスプライシングに起因する疾病ではない。
実施形態では、タンパク質の量または活性の不足に起因する疾病は、タンパク質をコード
するRIC mRNA前駆体中の保持されたイントロンの選択的または異常なスプライシ
ングに起因する疾病ではない。実施形態では、選択的または異常なスプライシングは、遺
伝子から転写されたmRNA前駆体に生じ得るが、本発明の組成物および方法は、mRN
A前駆体中の選択的または異常なスプライシングを妨げず、または修正しない。
【0210】
実施形態では、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子から部
分的に機能的タンパク質を発現し、部分的に機能的タンパク質は、フレームシフト変異、
ナンセンス変異、ミスセンス変異、あるいは部分的な遺伝子欠失に起因する。実施形態で
は、本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子から非機能的タンパ
ク質を発現し、非機能的タンパク質は、1つの対立遺伝子中のフレームシフト変異、ナン
センス変異、ミスセンス変異、あるいは部分的な遺伝子欠失に起因する。実施形態では、
本発明の方法を使用して処置された被験体は、1つの対立遺伝子に全体の遺伝子欠失を有
する。
【0211】
タンパク質発現を増加させるためのTANGOの使用
上述したように、実施形態では、核内遺伝子出力の標的とされた増強(TANGO)は
、タンパク質の発現を増加させるために、本発明の方法において使用される。これらの実
施形態では、タンパク質をコードする保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC
mRNA前駆体)は、細胞核に存在する。保持されたイントロンを含むRIC mRN
A前駆体を有する細胞、5’スプライス部位に隣接するエクソン、および3’スプライス
部位に隣接するエクソンは、RIC mRNA前駆体の標的部位に対して相補的な、アン
チセンスオリゴマー(ASO)と接触する。RIC mRNA前駆体の標的部位とハイブ
リダイズするASOは、保持されたイントロンのスプライス部位(5’スプライス部位あ
るいは3’スプライス部位)のスプライシングを強化し、その後の標的タンパク質生成を
増加させる。
【0212】
「mRNA前駆体」と「mRNA前駆体の転写産物」の用語は、交換可能に使用され、
少なくとも1つのイントロンを含む任意のmRNA前駆体種を指す。実施形態では、mR
NA前駆体またはmRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシン・キャップ
、および/またはポリA末端を含む。実施形態では、mRNA前駆体またはmRNA前駆
体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシン・キャップおよびポリA末端の両方を含む
。幾つかの実施形態では、mRNA前駆体の転写産物は、5’-7-メチルグアノシン・
キャップ、および/またはポリA末端を含まない。タンパク質に翻訳されない場合(ある
いは核から細胞質へと輸送された場合)、mRNA前駆体の転写産物は非増殖性のメッセ
ンジャーRNA(mRNA)分子である。
【0213】
本明細書で使用されるように、「保持されたイントロン含有mRNA前駆体」(「RI
C mRNA前駆体」)は、少なくとも1つの保持されたイントロンを含むmRNA前駆
体の転写産物である。RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、保持されたイントロンの3’スプラ
イス部位に隣接するエクソンを含み、標的タンパク質をコードする。「標的タンパク質を
コードするRIC mRNA前駆体」は、完全にスプライシングされた時、標的タンパク
質をコードすると解される。「保持されたイントロン」は、同じ遺伝子によってコードさ
れた、例えば隣接するイントロンのような1つ以上の他のイントロンが、同じmRNA前
駆体の転写産物からスプライシングアウトされた時に、mRNA前駆体の転写産物に存在
する任意のイントロンである。幾つかの実施形態では、保持されたイントロンは、標的タ
ンパク質をコードするRIC mRNA前駆体中で最も豊富なイントロンである。実施形
態では、保持されたイントロンは、細胞中の標的タンパク質をコードする遺伝子から転写
されたRIC mRNA前駆体の集団中で最も豊富なイントロンであり、そのRIC m
RNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含む。実施形態では、標的タン
パク質をコードするRIC mRNA前駆体の集団中で最も豊富なイントロンに対し標的
とされるアンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマーが標的にする、あるいは結
合する保持されたイントロンを含む集団中で、2つ以上の保持されたイントロンのスプラ
イシングアウトを誘導する。実施形態では、それにより標的タンパク質をコードする成熟
mRNAが生成される。「成熟mRNA」および「完全にスプライシングされたmRNA
」の用語は、標的タンパク質をコードする完全にプロセシングされたmRNA(例えば、
核から細胞質へと輸送され、標的タンパク質に翻訳されたmRNA)、あるいは完全にプ
ロセシングされた機能的RNAを説明するために、本明細書で交換可能に使用される。「
増殖性mRNA」の用語も、標的タンパク質をコードする完全にプロセシングされたmR
NAを説明するために使用することができる。実施形態では、標的領域は、タンパク質を
コードするRIC mRNA前駆体に最も豊富に存在するイントロンである、保持された
イントロン中にある。
【0214】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise)」、あるいは「含む(
comprises)」または「含んでいる(comprising)」等の変化形は、
詳細に言及された特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合は、定義された核酸塩基
配列)を含むが、他のいかなる特徴をも排除するものではないと解される。したがって、
本明細書で使用されるように、用語「含んでいる」は包括的であり、詳細に言及されてい
ない追加の特徴(例えば、アンチセンスオリゴマーの場合、詳細に言及されていない追加
の核酸塩基の存在)を除外しない。
【0215】
本明細書で提供される組成物及び方法の何れかの実施形態において、「含んでいる」は
、「~から実質的に成る(consisting essentially of)」ま
たは「~から成る(consisting of)」と置き換えられ得る。「~から実質
的に成る」という句は、請求項に係る発明の形質や機能に実質的に影響しない特徴と同様
、特定の特徴(例えば核酸塩基配列)を要するように本明細書において使用される。本明
細書で使用されるように、「成る」という用語は、詳細に言及された特徴(例えば核酸塩
基配列)のみの存在を示すために使用される(よって、特定の核酸塩基配列から成るアン
チセンスオリゴマーの場合には、詳細に言及されていない追加の核酸塩基の存在は除外さ
れる)。
【0216】
実施形態では、標的領域は、本明細書に記載されるタンパク質をコードするRIC m
RNA前駆体において2番目に豊富に存在するイントロンである、保持されたイントロン
中にある。例えば、2番目に豊富な保持されたイントロンのヌクレオチド配列の独自性、
特定のヌクレオチド配列を標的とするASO設計の容易さ、及び/又はASOを持つイン
トロンの標的化から結果として生じるタンパク質生成の増加の量により、最も豊富な保持
されたイントロンではなく、2番目に豊富な保持されたイントロンが標的とされ得る。実
施形態では、保持されたイントロンは、細胞中の標的タンパク質をコードする遺伝子から
転写されたRIC mRNA前駆体の集団中において2番目に豊富なイントロンであり、
RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保持されたイントロンを含む。実施形態では
、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の集団において2番目に豊富なア
ンチセンスオリゴマーに標的とされるアンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴマ
ーが標的とされるまたは結合する保持されたイントロンを含む集団において、2つ以上の
保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘導する。実施形態では、それにより標
的タンパク質をコードする完全にスプライシングされた(成熟)RNAが生成される。
【0217】
実施形態において、ASOは、RIC mRNA前駆体中の保持されていないイントロ
ン内にある、標的とされた領域に相補的である。実施形態では、RIC mRNA前駆体
の標的部分は、保持されていないイントロンの5’スプライス部位に対する+6から+1
00の領域;または保持されていないイントロンの3’スプライス部位に対する-16~
-100の領域内にある。実施形態において、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保
持されていないイントロンの5’スプライス部位に対して+100から、保持されていな
いイントロンの3’スプライス部位に対して-100までの領域内にある。領域または配
列の場所を特定するために使用されるように、「内(within)」は、列挙される位
置で残基を含むように理解される。例えば、+6~+100の領域は、+6および+10
0の位置で残基を含む。実施形態では、それにより標的タンパク質をコードする完全にス
プライシングされた(成熟)RNAが生成される。
【0218】
実施形態では、RIC mRNA前駆体の保持されたイントロンは非効率的にスプライ
シングされたイントロンである。本明細書で使用されるように「非効率的にスプライシン
グされた」は、RIC mRNA前駆体における別のスプライス部位でのスプライシング
の頻度と比較して、保持されたイントロンに隣接しているスプライス部位(5’スプライ
ス部位または3’スプライス部位)での比較的少ない頻度のスプライシングを指し得る。
用語「非効率的にスプライシングされた」はまた、スプライス部位でのスプライシングの
相対速度または動力学を指し、ここでは、「非効率的にスプライシングされた」イントロ
ンは、RIC mRNA前駆体における別のイントロンと比較して遅い速度でスプライシ
ングまたは除去され得る。
【0219】
実施形態において、5’スプライス部位、および保持されたイントロンの+1~+6に
隣接するエクソンの-3e~-1eでの9つのヌクレオチド配列は、対応する野生型の配
列と同一である。実施形態において、保持されたイントロンの-15~-1、及び3’ス
プライス部位に隣接するエクソンの+1eでの16のヌクレオチド配列は、対応する野生
型の配列と同一である。本明細書で使用されるように、「野生型の配列」は、生物学およ
び科学情報のNCBIリポジトリに寄託される公開された参照ゲノムにおける遺伝子のヌ
クレオチド配列を指す(全米バイオテクノロジー情報センター、国立医療図書館、860
0 Rockville Pike、Bethesda、MD USA 20894によ
り操作される)。本明細書で使用されるように、「e」で表わされたヌクレオチド位置は
、ヌクレオチドがエクソン(例えば5’スプライス部位に隣接するエクソンまたは3’ス
プライス部位に隣接するエクソン)の配列に存在することを示す。
【0220】
方法は、細胞を、本明細書に記載されるタンパク質をコードするmRNA前駆体の一部
に相補的なASOと接触させる工程を含み、その結果、タンパク質の発現の増加がもたら
される。本明細書で使用されるように、細胞に「接触させること」または投与することは
、ASOと細胞が相互に作用するように細胞に最も近づいた状態でASOを提供する方法
を指す。ASOと接触される細胞は、細胞を取り入れ、または細胞にASOを運ぶ。該方
法は、疾病または疾患に関係する又は疾病または疾患に関連する細胞を、ASOと接触さ
せる工程を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、ASOを細胞型に対して標的とする
、ASOと疾病または疾患に関係する又は疾病または疾患に関連する細胞との間の接触を
増強する、またはASOの取り込みを増強するために、さらに修飾され得るか又は別の分
子に結合され得る(例えば、共有結合される)。
【0221】
本明細書で使用されるように、用語「タンパク質生成を増加する」または「標的タンパ
ク質の発現を増加する」は、細胞中のmRNAから翻訳されるタンパク質の量を増強する
ことを意味する。「標的タンパク質」は発現/生成の増加が望まれる任意のタンパク質で
もよい。
【0222】
RIC mRNA前駆体を発現する細胞を、RIC mRNA前駆体の転写物の標的部
分に相補的なASOと接触させた結果、mRNA前駆体によりコードされるタンパク質(
例えば標的タンパク質)の量の測定可能な増加がもたらされる。タンパク質の生成を測定
または検出する方法は、当業者に明白であり、例えば、ウェスタンブロッティング、フロ
ーサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査、及びELISAといった既知の方法を含む。
【0223】
実施形態では、細胞を、RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に相補的なAS
Oと接触させた結果、ASOの欠如/処置の欠如における細胞により生成されたタンパク
質の量と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、80、100、1
50、200、250、300、350、400、450、500、または1000%生
成されたタンパク質の量の増加がもたらされる。実施形態では、アンチセンスオリゴマー
が接触される細胞により生成されたタンパク質の総量は、対照の化合物により生成される
標的タンパク質の量と比較して、約1.1から約10倍、約1.5から約10倍、約2か
ら約10倍、約3から約10倍、約4から約10倍、約1.1から約5倍、約1.1から
約6倍、約1.1から約7倍、約1.1から約8倍、約1.1から約9倍、約2から約5
倍、約2から約6倍、約2から約7倍、約2から約8倍、約2から約9倍、約3から約6
倍、約3から約7倍、約3から約8倍、約3から約9倍、約4から約7倍、4から約8倍
、約4から約9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、
少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、
少なくとも約5倍、あるいは少なくとも約10倍、増加する。対照の化合物は、例えば、
RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的でないオリゴヌクレオチドでもよい。
【0224】
幾つかの実施形態では、細胞を、RIC mRNA前駆体の転写物の標的部分に相補的
なASOと接触させた結果、標的タンパク質をコードする成熟mRNAを含む、タンパク
質をコード化するmRNAの量の増加がもたらされる。幾つかの実施形態では、タンパク
質をコードするmRNAの量、またはタンパク質をコードする成熟mRNAの量は、AS
Oの欠如/処置の欠如における細胞により生成されたタンパク質の量と比較して、少なく
とも10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、3
00、350、400、450、500、または1000%増加される。実施形態では、
タンパク質をコードするmRNAの総量、またはアンチセンスオリゴマーが接触された細
胞において生成されたタンパク質をコードする成熟mRNAの総量は、未処置の細胞、例
えば未処置の細胞対照の化合物で処置した細胞において生成される成熟RNAの量と比較
して、約1.1から約10倍、約1.5から約10倍、約2から約10倍、約3から約1
0倍、約4から約10倍、約1.1から約5倍、約1.1から約6倍、約1.1から約7
倍、約1.1から約8倍、約1.1から約9倍、約2から約5倍、約2から約6倍、約2
から約7倍、約2から約8倍、約2から約9倍、約3から約6倍、約3から約7倍、約3
から約8倍、約3から約9倍、約4から約7倍、4から約8倍、約4から約9倍、少なく
とも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少
なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、または
少なくとも約10倍、増加する。対照の化合物は、例えば、RIC mRNA前駆体の標
的部分に相補的でないオリゴヌクレオチドでもよい。
【0225】
RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的なスプライシング
本明細書で提供される方法とアンチセンスオリゴヌクレオチドの組成物は、タンパク質
をコードするmRNA、或いはタンパク質をコードする成熟mRNAのレベルの増加によ
り、細胞、例えば、本明細書に記載されるタンパク質の量または活性の不足により引き起
こされる疾病を患う被験体において、タンパク質の発現を増加させるのに有用である。特
に、本明細書に記載されるような方法と組成物は、タンパク質をコードするRIC mR
NA前駆体の転写物からの保持されたイントロンの構成的なスプライシングを誘発し、そ
れにより、タンパク質をコードするmRNAのレベル、或いはタンパク質をコードする成
熟mRNAのレベルを増加させ、且つタンパク質の発現を増加させる。
【0226】
RIC mRNA前駆体からの保持されたイントロンの構成的なスプライシングは、R
IC mRNA前駆体から保持されたイントロンを正確に取り除き、ここで、保持された
イントロンには野生型スプライス配列がある。本明細書で使用されるように、構成的なス
プライシングは、遺伝子または対立遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選択的スプラ
イシング或いは異常なスプライシングを引き起こす突然変異を伴う、遺伝子または対立遺
伝子から転写されたRIC mRNA前駆体からの、保持されたイントロンのスプライシ
ングを包含しない。例えば、保持されたイントロンの構成的なスプライシングは、本明細
書で提供される方法とアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して誘発されるように、m
RNA前駆体の異常なスプライシングを調整せず、又はその選択的スプライシングに影響
せず、その結果、標的タンパク質または機能的RNAの発現の増加がもたらされる。
【0227】
実施形態では、構成的なスプライシングは、RIC mRNA前駆体から保持されたイ
ントロンを正確に取り除き、ここで、RIC mRNA前駆体は、完全に機能的な標的タ
ンパク質または機能的RNAをコードする、野生型遺伝子または対立遺伝子、或いは多型
遺伝子または対立遺伝子から転写され、及び、遺伝子または対立遺伝子には、保持された
イントロンの選択的スプライシングまたは異常なスプライシングを引き起こす突然変異が
ない。
【0228】
幾つかの実施形態では、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体からの保持され
たイントロンの構成的なスプライシングは、タンパク質をコードするRIC mRNA前
駆体から保持されたイントロンを正確に取り除き、ここで、RIC mRNA前駆体は、
標的遺伝子または機能的RNAが野生型対立遺伝子からの生成と比較して低下したレベル
で生成される遺伝子または対立遺伝子から転写され、および、遺伝子または対立遺伝子に
は、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常なスプライシングを引き起
こす突然変異がない。これら実施形態では、構成的にスプライシングされた保持されたイ
ントロンの正確な除去の結果、同等の野生型タンパク質または機能的RNAと比較した時
に機能的である標的タンパク質または機能的RNAの生成がもたらされる。
【0229】
他の実施形態では、構成的なスプライシングは、RIC mRNA前駆体から保持され
たイントロンを正確に取り除き、ここで、RIC mRNA前駆体は、同等な野生型タン
パク質または機能的RNAと比較して機能が低下した形態で生成される、標的タンパク質
または機能的RNAをコードする遺伝子または対立遺伝子から転写され、及び、遺伝子ま
たは対立遺伝子には、保持されたイントロンの選択的スプライシングまたは異常なスプラ
イシングを引き起こす突然変異がない。これら実施形態では、構成的にスプライシングさ
れた保持されたイントロンの正確な除去の結果、部分的に機能的な標的タンパク質、また
は、同等の野生型タンパク質または機能的RNAと比較した時に部分的に機能的である機
能的RNAの生成がもたらされる。
【0230】
構成的なスプライシングによる保持されたイントロンの「正確な除去」は、エクソンの
任意の部分の除去を行わない、イントロン全体の除去を指す。
【0231】
実施形態において、本明細書に記載されるような、または本明細書に記載される任意の
方法で使用されるアンチセンスオリゴマーは、遺伝子から転写されたmRNA前駆体の選
択的スプライシングまたは異常なスプライシングの調節により、タンパク質をコードする
mRNAの量、またはタンパク質の量を増加しない。選択的スプライシングまたは異常な
スプライシングの調節は、例えばRT-PCRによりRNA種の配列と長さを分析する既
知の方法により、および本明細書と文献の中で別記された方法を使用して、測定され得る
。実施形態では、選択的または異常なスプライシングの調節は、少なくとも10%または
1.1倍の対象のスプライシングされた種の量の増加或いは減少に基づいて決定される。
実施形態では、調節は、本発明の方法でタンパク質をコードするmRNAの増加の決定に
関して本明細書に記載されるように、少なくとも10%から100%または1.1から1
0倍であるレベルでの増加または減少に基づいて決定される。
【0232】
実施形態では、方法は、RIC mRNA前駆体が、野生型mRNA前駆体の部分的ス
プライシングによって生成された方法である。実施形態では、方法は、RIC mRNA
前駆体が、全長の野生型mRNA前駆体の部分的スプライシングによって生成された方法
である。実施形態では、RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的スプ
ライシングによって生成された。これらの実施形態では、全長のmRNA前駆体は、野生
型スプライス部位配列を有する保持されたイントロンのスプライシングと比較して、保持
されたイントロンの正しいスプライシングを損なわない保持されたイントロンのスプライ
ス部位に多型性を有し得る。
【0233】
実施形態では、タンパク質をコードするmRNAは、全長の成熟mRNAまたは野生型
成熟mRNAである。これらの実施形態では、全長の成熟mRNAは、野生型成熟mRN
Aによってコードされたタンパク質の活性と比較して、成熟mRNAによってコードされ
た標的タンパク質または機能的RNAの活性に影響しない多型を有し得る。
【0234】
アンチセンスオリゴマー
本開示の一態様は、RIC mRNA前駆体の標的部分に結合することによってスプラ
イシングを増強するアンチセンスオリゴマーを含む組成物である。本明細書で使用される
ように、用語「ASO」および「アンチセンスオリゴマー」は、交換可能に使用され、ワ
トソン・クリック塩基対またはゆらぎ塩基対(G-U)によって標的核酸(例えば、RI
C mRNA前駆体)配列にハイブリダイズする、核酸塩基を含む、ポリヌクレオチドな
どのオリゴマーを指す。ASOは、標的配列に相補的な又はほぼ相補的(例えば、標的配
列に結合し、スプライス部位でスプライシングを増強させるのに十分な相補性)である正
確な配列を有し得る。ASOは、標的核酸(例えば、mRNA前駆体の転写産物の標的部
分)に結合し(ハイブリダイズし)、生理学的条件下でハイブリダイズされたままである
ように設計されている。典型的に、ASOは、意図した(標的とされた)核酸配列以外の
部位にハイブリダイズする場合、標的核酸でない限られた数の配列に(標的核酸以外の少
数の部位に)ハイブリダイズする。ASOの設計は、mRNA前駆体の転写産物の標的部
分の核酸配列、或いはゲノムまたは細胞のmRNA前駆体またはトランスクリプトームに
おける他の場所での十分に類似した核酸配列の発生を考慮に入れることができ、その結果
、ASOが他の部位に結合し「オフターゲット」効果を引き起こす可能性は限定される。
例えば、発明の名称「Reducing Nonsense-Mediated mRN
A Decay」のWO2015/035091として公開されたPCT国際出願番号P
CT/US2014/054151におけるものなどの、当業者に既知のアンチセンスオ
リゴマーは、本明細書に記載される方法を実施するために使用され得る。
【0235】
幾つかの実施形態では、ASOは、標的核酸またはRIC mRNA前駆体の標的部分
に「特異的にハイブリダイズする」または「特異的」である。典型的に、そのようなハイ
ブリダイゼーションは、37℃より実質的に高い融解温度(Tm)で、好ましくは少なく
とも50℃で、および典型的に60℃からおよそ90℃の間で生じる。そのようなハイブ
リダイゼーションは、好ましくは、厳しいハイブリダイゼーション条件に対応している。
与えられたイオン強度およびpHで、Tmは、標的配列の50%が相補的オリゴヌクレオ
チドにハイブリダイズする温度である。
【0236】
オリゴヌクレオチドなどのオリゴマーは、ハイブリダイゼーションが2つの一本鎖ポリ
ヌクレオチド間の逆平行構成で生じるときに、互いに「相補的」である。二本鎖ポリヌク
レオチドは、ハイブリダイゼーションが第1のポリヌクレオチドの鎖の1つと第2のポリ
ヌクレオチドの鎖の1つとの間に生じる場合に、別のポリヌクレオチドに「相補的」であ
り得る。相補性(1つのポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチドと相補的である程度)
は、一般に容認された塩基対合則に従って、互いに水素結合を形成すると予期される対向
する鎖における塩基の割合(例えばパーセンテージ)の点から数量化できる。アンチセン
スオリゴマー(ASO)の配列は、ハイブリダイズするその標的核酸の配列に100%相
補的である必要はない。特定の実施形態では、ASOは、標的とされる標的核酸配列内の
標的部位に対する、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくと
も85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%
、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列相補性を含むことができる。例えば
、オリゴマー化合物の20の核酸塩基のうちの18が標的部位に相補的であり、それ故、
特異的にハイブリダイズするASOは、90パーセントの相補性を表わす。この例におい
て、残りの相補的でない核酸塩基は、ともにクラスター化され得るか、または相補的な核
酸塩基と分散され(interspersed)、互いに又は相補的な核酸塩基に隣接し
ている必要はない。ASOの標的核酸の領域とのパーセント相補性は、BLASTプログ
ラム(基礎的なローカルアライメント検索ツール)および当該技術分野で既知のPowe
rBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Bio
l., 1990, 215, 403-410; Zhang and Madden
, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を慣例的に使用し
て判定され得る。
【0237】
ASOは、標的配列におけるすべての核酸塩基にハイブリダイズする必要はなく、それ
がハイブリダイズする核酸塩基は、隣接しているか又は隣接していないかもしれない。A
SOは、mRNA前駆体の転写産物の1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズし
得、その結果、介在する又は隣接するセグメントは、ハイブリダイゼーション事象に関係
しない(例えば、ループ構造またはヘアピン構造が形成され得る)。特定の実施形態では
、ASOは、標的mRNA前駆体の転写産物において隣接していない核酸塩基にハイブリ
ダイズする。例えば、ASOは、ASOがハイブリダイズしない1つ以上の核酸塩基によ
って分離される、mRNA前駆体の転写産物における核酸塩基にハイブリダイズすること
ができる。
【0238】
本明細書に記載されるASOは、RIC mRNA前駆体の標的部分に存在する核酸塩
基に相補的である核酸塩基を含む。用語「ASO」は、オリゴヌクレオチド、および標的
mRNA上の相補的な核酸塩基にハイブリダイズすることができる核酸塩基を含むが、ペ
プチド核酸(PNA)などの糖部を含まない、他のオリゴマー分子を具体化する。ASO
は、自然発生のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、修飾されたヌクレオチド、または
それらの2つ又は3つの任意の組み合わせを含み得る。用語「自然発生のヌクレオチド」
は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「修飾されたヌクレ
オチド」は、修飾された又は置換された糖類及び/又は修飾された骨格を有するヌクレオ
チドを含む。幾つかの実施形態では、ASOのヌクレオチドのすべてが、修飾されたヌク
レオチドである。本明細書に記載される方法および組成物と適合性のあるASOの化学修
飾およびASOの成分は、当業者に明白であり、例えば、米国特許第8,258,109
号B2、米国特許第5,656,612号、米国特許公開番号2012/0190728
、およびDias and Stein,Mol. Cancer Ther.2002
,347-355で見ることができ、それら全体が引用によって本明細書に組み込まれる
【0239】
ASOの核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルなどの自
然発生の未修飾の核酸塩基、または標的mRNA前駆体上に存在する核酸塩基との水素結
合が可能であるように未修飾の核酸塩基に十分に類似している合成または修飾された核酸
塩基であり得る。修飾された核酸塩基の例としては、限定されないが、ヒポキサンチン、
キサンチン、7-メチルグアニン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチルシトシン、お
よび5-ヒドロキシメチルシトシンが挙げられる。
【0240】
本明細書に記載されるASOはまた、オリゴマーの成分に結合する骨格構造を含む。用
語「骨格構造」および「オリゴマー結合」は、交換可能に使用され、ASOの単量体間の
結合を指し得る。自然発生のオリゴヌクレオチドでは、骨格は、オリゴマーの糖部を結合
する3’-5’ホスホジエステル結合を含む。本明細書に記載されるASOの骨格構造ま
たはオリゴマー結合は、(限定されないが)ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート
、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホ
ラニラデート(phosphoraniladate)、ホスホラミデート(phosp
horamidate)などを含む。例えば、LaPlanche et al.,Nu
cleic Acids Res.14:9081(1986);Stec et al
.,J.Am.Chem.Soc.106:6077(1984),Stein et
al.,Nucleic Acids Res.16:3209(1988),Zon
et al.,Anti Cancer Drug Design 6:539(199
1);Zon et al.,Oligonucleotides and Analo
gues:A Practical Approach,pp.87-108(F.Ec
kstein,Ed.,Oxford University Press,Oxfor
d England(1991));Stec et al.,米国特許第5,151,
510号;Uhlmann and Peyman,Chemical Reviews
90:543(1990)を参照。幾つかの実施形態では、ASOの骨格構造は、亜リ
ン酸を含有していないが、例えば、ペプチド核酸(PNA)、またはカルバミン酸塩、ア
ミド、および直鎖および環式の炭化水素基を含む連結基において、ペプチド結合を含有し
ている。幾つかの実施形態では、骨格修飾は、ホスホロチオエート結合である。幾つかの
実施形態では、骨格修飾は、ホスホラミデート結合である。
【0241】
実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の結合の各々での立体化学は、ランダ
ムである。実施形態では、ASO骨格のリンヌクレオチド間の結合の各々での立体化学は
、制御され、ランダムではない。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出
願公開番号2014/0194610,「Methods for the Synth
esis of Functionalized Nucleic Acids」は、核
酸オリゴマーにおいて各リン原子でキラリティーの掌性(handedness)を独立
して選択する方法について記載している。実施形態では、本発明の方法において使用され
るASOは、ランダムではないリンヌクレオチド間の結合を有するASOを含む。実施形
態では、本発明の方法に使用される組成物は、純粋なジアステレオマーASOを含む。実
施形態では、本発明の方法に使用される組成物は、少なくとも約90%、少なくとも約9
1%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約9
5%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約9
9%、約100%、約90%から約100%、約91%から約100%、約92%から約
100%、約93%から約100%、約94%から約100%、約95%から約100%
、約96%から約100%、約97%から約100%、約98%から約100%、または
約99%から約100%のジアステレオマー純度を有するASOを含む。
【0242】
実施形態では、ASOは、そのリンヌクレオチド間の連鎖でRpおよびSpの構成のラ
ンダムでない混合物を有している。例えば、良好な活性とヌクレアーゼの安定性のバラン
スを達成するために、RpとSpの混合がアンチセンスオリゴヌクレオチドに求められる
ことが示唆されてきた(Wan,et al.,2014,「Synthesis,bi
ophysical properties and biological acti
vity of second generation antisense olig
onucleotides containing chiral phosphoro
thioate linkages」Nucleic Acids Research
42(22):13456-13468、参照により本明細書に組み込まれる)。実施形
態では、本発明の方法において使用されるASOは、約5~100%のRp、少なくとも
約5%のRp、少なくとも約10%のRp、少なくとも約15%のRp、少なくとも約2
0%のRp、少なくとも約25%のRp、少なくとも約30%のRp、少なくとも約35
%のRp、少なくとも約40%のRp、少なくとも約45%のRp、少なくとも約55%
のRp、少なくとも約60%のRp、少なくとも約65%のRp、少なくとも約70%の
Rp、少なくとも約75%のRp、少なくとも約80%のRp、少なくとも約85%のR
p、少なくとも約90%のRp、または少なくとも約95%のRpと、残りのSp、ある
いは約100%のRpを含む。実施形態では、本発明の方法において使用されるASOは
、約10%から約100%のRp、約15%から約100%のRp、約20%から約10
0%のRp、約25%から約100%のRp、約30%から約100%の、約35%から
約100%のRp、約40%から約100%のRp、約45%から約100%のRp、約
50%から約100%のRp、約55%から約100%のRp、約60%から約100%
のRp、約65%から約100%のRp、約70%から約100%のRp、約75%から
約100%のRp、約80%から約100%のRp、約85%から約100%のRp、約
90%から約100%のRp、あるいは約95%から約100%のRp、約20%から約
80%のRp、約25%から約75%のRp、約30%から約70%のRp、約40%か
ら約60%のRp、あるいは約45%から約55%のRpと、残りのSpを含む。
【0243】
実施形態では、本発明の方法において使用されるASOは、約5~100%のSp、少
なくとも約5%のSp、少なくとも約10%のSp、少なくとも約15%のSp、少なく
とも約20%のSp、少なくとも約25%のSp、少なくとも約30%のSp、少なくと
も約35%のSp、少なくとも約40%のSp、少なくとも約45%のSp、少なくとも
約50%のSp、少なくとも約55%のSp、少なくとも約60%のSp、少なくとも約
65%のSp、少なくとも約70%のSp、少なくとも約75%のSp、少なくとも約8
0%のSp、少なくとも約85%のSp、少なくとも約90%のSp、あるいは少なくと
も約95%のSpと、残りのRp、あるいは約100%のSpを含む。実施形態では、本
発明の方法において使用されるASOは、約10%から約100%のSp、約15%から
約100%のSp、約20%から約100%のSp、約25%から約100%のSp、約
30%から約100%のSp、約35%から約100%のSp、約40%から約100%
のSp、約45%から約100%のSp、約50%から約100%のSp、約55%から
約100%のSp、約60%から約100%のSp、約65%から約100%のSp、約
70%から約100%のSp、約75%から約100%のSp、約80%から約100%
のSp、約85%から約100%のSp、約90%から約100%のSp、あるいは約9
5%から約100%のSp、約20%から約80%のSp、約25%から約75%のSp
、約30%から約70%のSp、約40%から約60%のSp、あるいは約45%から約
55%のSpと、残りのRpを含む。
【0244】
本明細書に記載されるASOのいずれかは、自然発生のヌクレオチド中に存在するよう
な、リボースまたはデオキシリボースを含む糖部、あるいはモルホリン環を含む、修飾さ
れた糖部または糖アナログを含有し得る。修飾された糖部の限定しない例は、2’-O-
メチル(2’-O-Me)、2’-O-メトキシエチル(2’MOE)、2’-O-アミ
ノエチル、2’F;N3’-P5’ホスホラミデート、2’ジメチルアミノオキシエトキ
シ、2’ジメチルアミノエトキシエトキシ、2’-グアニジニウム(guanidini
dium)、2’-O-グアニジニウムエチル、カルバミン酸塩修飾した糖、および二環
式修飾した糖などの、2’置換基を含む。幾つかの実施形態では、糖部修飾は、2’-O
-Me、2’F、および2’MOEから選択される。幾つかの実施形態では、糖部修飾は
、ロックド核酸(LNA)におけるような追加の架橋結合である。幾つかの実施形態では
、糖アナログは、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)などのモルホリン環を含有
している。幾つかの実施形態では、糖部は、リボフラノシルまたは2’デオキシリボフラ
ノシルの修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、2’4’抑制された(const
rained)2’O-メチルオキシエチル(cMOE)修飾を含む。幾つかの実施形態
では、糖部は、cEt 2’,4抑制された2’-OエチルBNA修飾を含む。幾つかの
実施形態では、糖部は、トリシクロDNA(tcDNA)修飾を含む。幾つかの実施形態
では、糖部は、エチレン核酸(ENA)修飾を含む。幾つかの実施形態では、糖部は、M
CE修飾を含む。修飾は当該技術分野で既知であり、文献、例えば、Jarver,et
al.,2014,「A Chemical View of Oligonucle
otides for Exon Skipping and Related Dru
g Applications」Nucleic Acid Therapeutics
24(1):37-47に記載され、これは、この目的のための引用によって本明細書
に組み込まれる。
【0245】
幾つかの例では、ASOの各単量体は、同じ方法で修飾され、例えば、ASOの骨格の
各結合はホスホロチオエート結合を含み、または各リボース糖部は2’O-メチル修飾を
含む。ASOの単量体成分の各々の上に存在する、そのような修飾は、「均一な修飾」と
呼ばれる。幾つかの例では、異なる修飾の組み合わせが望まれ得、例えば、ASOは、ホ
スホロジアミデート結合とモルホリン環を含む糖部(モルホリノ)との組み合わせを含み
得る。ASOへの異なる修飾の組み合わせは、「混合修飾」または「混合化学作用」と呼
ばれる。
【0246】
幾つかの実施形態では、ASOは、1つ以上の骨格修飾を含む。幾つかの実施形態では
、ASOは、1つ以上の糖部修飾を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、1つ以上の
骨格修飾および1つ以上の糖部修飾を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、2’MO
E修飾およびホスホロチオエート骨格を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、ホスホ
ロジアミデートモルホリノ(PMO)を含む。幾つかの実施形態では、ASOは、ペプチ
ド核酸(PNA)を含む。本明細書に記載されるASOのいずれか又はASOの成分(例
えば、核酸塩基、糖部、骨格)は、ASOの望ましい特性または活性を達成するために或
いはASOの望ましくない特性または活性を減少させるために修飾されてもよい。例えば
、ASOまたはASOの1つ以上の成分は、mRNA前駆体の転写産物上の標的配列への
結合親和性を増強する;非標的配列への結合を減少させる;細胞のヌクレアーゼ(つまり
、RNase H)による分解を減少させる;細胞及び/又は細胞の核へのASOの取り
込みを改善する;ASOの薬物動態(pharmacokinetics)または薬力(
pharmacodynamics)を変更する;およびASOの半減期を調節するため
に修飾され得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、ASOは、2’-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ホ
スホロチオエート修飾されたヌクレオチドで構成される。そのようなヌクレオチドで構成
されたASOは、特に、本明細書で開示される方法によく適しており、そのような修飾を
有しているオリゴマーは、ヌクレアーゼ分解に対する著しく増強された耐性および増加し
たバイオアベイラビリティを有すると示されており、これによって、例えば、本明細書に
記載される幾つかの実施形態における経口送達に適するようになる。例えば、Geary
et al.,J Pharmacol Exp Ther.2001;296(3)
:890-7;Geary et al.,J Pharmacol Exp Ther
.2001;296(3):898-904を参照。
【0248】
ASOを合成する方法は当業者に既知である。代替的に又は加えて、ASOは商用源か
ら得てもよい。
【0249】
他に明記されない限り、一本鎖核酸(例えば、mRNA前駆体の転写産物、オリゴヌク
レオチド、ASOなど)配列の左端は、5’末端であり、一本鎖または二本鎖の核酸配列
の左方向は、5’方向と呼ばれる。同様に、核酸配列(一本鎖または二本鎖)の右端また
は右方向は、3’末端または3’方向である。一般に、核酸中の基準点に対する5’にあ
る領域または配列は、「上流」として言及され、核酸中の基準点に対する3’にある領域
または配列は、「下流」として言及される。一般に、mRNAの5’方向または5’末端
は、開始コドン(initiation or start codon)が位置する場
所であり、一方で、3’末端または3’方向は、終止コドンが位置する場所である。幾つ
かの態様では、核酸中の基準点の上流にあるヌクレオチドは、負の数によって指定され、
基準点の下流にあるヌクレオチドは、正の数によって指定され得る。例えば、基準点(例
えば、mRNA中のエクソン-エクソン連結)は「ゼロ」部位として指定され得、基準点
に直接隣接し且つその上流にあるヌクレオチドは、「マイナス1」、例えば「-1」と指
定され、一方で、基準点に直接隣接し且つその下流にあるヌクレオチドは、「プラス1」
、例えば「+1」と指定される。
【0250】
他の実施形態では、ASOは、CTNS、PAX2、CYP24A1、またはPPAR
D RIC mRNA前駆体において保持されたイントロンの5’スプライス部位の下流
(3’の方向)である、CTNS、PAX2、CYP24A1、またはPPARD mR
NA前駆体の標的部分(例えば、5’スプライス部位に対して正の数で示された方向)に
対して相補的である(及び、標的部分に結合する)(図1)。いくつかの実施形態では、
ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して、1から+4000、1
から+3500、1から+3000、1から+2500、1から+2000、1から+1
500、1から+1000、1から+500、+2から+4000、+2から+3500
、+2から+3000、+2から+2500、+2から+2000、+2から+1500
、+2から+1000、+2から+500、+2から+400、+2から+300、+2
から+200、+6から+4000、+6から+3500、+6から+3000、+6か
ら+2500、+6から+2000、+6から+1500、+6から+1000、+6か
ら+500、+6から+400、+6から+300、+6から+200、または+6から
+100の領域内である、CTNS、PAX2、CYP24A1、またはPPARD R
IC RNA前駆体の標的部分に対して相補的である。いくつかの実施形態では、ASO
は、5’スプライス部位に対して、+1から+5までのヌクレオチド(5’スプライス部
位の下流に位置付けられた最初の5つのヌクレオチド)に対して相補的ではない。
いくつかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対し
て、+6から+50のヌクレオチドの領域内にあるCTNS、PAX2、CYP24A1
、またはPPARD RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相補的であることも
ある。
いくつかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して
+6から+90、+6から+80、+6から+70、+6から+60、+6から+50、
+6から+40、+6から+30、または+6から+20の領域内にあるCTNS、PA
X2、CYP24A1またはPPARD RIC mRNA前駆体の標的部分に対して相
補的である。
【0251】
幾つかの実施形態では、ASOは、RIC mRNA前駆体において保持されたイント
ロンの3’スプライス部位の上流(5’の方向)にあるCTNS、PAX2、CYP24
A1またはPPARD RIC mRNA前駆体の標的領域(例えば、負の数で指定され
た方向)に対して相補的である(図1)。幾つかの実施形態では、ASOは、保持された
イントロンの3’スプライス部位に対して-16から-4000、-16から-3000
、-16から-2000、-16から-1000、-16から-500、-16から-4
00、-16から-300、-6から-200、または-16から-100の領域内にあ
る、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD RIC mRNA前駆体の
標的部分に相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、3’スプライス部位に対し
て、-1から-15までのヌクレオチド(3’スプライス部位の上流に位置付けられた最
初の15のヌクレオチド)には相補的ではない。いくつかの実施形態では、ASOは、保
持されたイントロンの3’スプライス部位に対して、-16から-50の領域内にあるC
TNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD RIC mRNA前駆体の標的部
分に対して相補的である。幾つかの態様では、ASOは、保持されたイントロンの3’ス
プライス部位に対して、-16から-90、-16から-80、-16から-70、-1
6から-60、-16から-50、-16から-40、または-16から-30の領域内
にある、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD RIC mRNA前駆
体の標的部分に相補的である。
【0252】
実施形態では、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’ス
プライス部位に対する+100から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対す
る-100までの領域内に存在する。
【0253】
幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位(上流
)に隣接するエクソンにある、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD
RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的である(図1)。幾つかの実施形態では、A
SOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソンにおける+2e
から-4eの領域内にあるRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的である。幾つかの
実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオ
チド-1eから-3eに相補的ではない。幾つかの実施形態では、ASOは、保持された
イントロンの5’スプライス部位に対して、-4eから-100e、-4eから-90e
、-4eから-80e、-4eから-70e、-4eから-60e、-4eから-50e
、-4eから-40e、-4eから-30e、または-4eから-20eの領域内にある
、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD RIC mRNA前駆体の
標的部分に相補的である。
【0254】
幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位(下流
)に隣接するエクソン内にあるCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD
RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的である(図1)。幾つかの実施形態では、A
SOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン内にある、+2
eから-4eの領域内にあるCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD R
IC mRNA前駆体の標的部分に相補的である。幾つかの実施形態では、ASOは、保
持されたイントロンの3’スプライス部位に対するヌクレオチド+1eに相補的ではない
。幾つかの実施形態では、ASOは、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対し
て、+2eから+100e、+2eから+90e、+2eから+80e、+2eから+7
0e、+2eから+60e、+2eから+50e、+2eから+40e、+2eから+3
0e、または+2eから+20eの領域内にある、CTNS、PAX2、CYP24A1
またはPPARD RIC mRNA前駆体の標的部分に相補的である。ASOは、ス
プライシングの特異的結合および効果的な増強作用に適する任意の長さでもよい。幾つか
の実施形態では、ASOは8から50の核酸塩基から成る。例えば、ASOは、長さが8
、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、2
2、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35
、45または50の核酸塩基であってもよい。幾つかの実施形態では、ASOは50より
も多い核酸塩基から成る。いくつかの実施形態では、ASOは、8から50の核酸塩基、
8から40の核酸塩基、8から35の核酸塩基、8から30の核酸塩基、8から25の核
酸塩基、8から20の核酸塩基、8から15の核酸塩基、9から50の核酸塩基、9から
40の核酸塩基、9から35の核酸塩基、9から30の核酸塩基、9から25の核酸塩基
、9から20の核酸塩基、9から15の核酸塩基、10から50の核酸塩基、10から4
0の核酸塩基、10から35の核酸塩基、10から30の核酸塩基、10から25の核酸
塩基、10から20の核酸塩基、10から15の核酸塩基、11から50の核酸塩基、1
1から40の核酸塩基、11から35の核酸塩基、11から30の核酸塩基、11から2
5の核酸塩基、11から20の核酸塩基、11から15の核酸塩基、12から50の核酸
塩基、12から40の核酸塩基、12から35の核酸塩基、12から30の核酸塩基、1
2から25の核酸塩基、12から20の核酸塩基、12から15の核酸塩基、13から5
0の核酸塩基、13から40の核酸塩基、13から35の核酸塩基、13から30の核酸
塩基、13から25の核酸塩基、13から20の核酸塩基、14から50の核酸塩基、1
4から40の核酸塩基、14から35の核酸塩基、14から30の核酸塩基、14から2
5の核酸塩基、14から20の核酸塩基、15から50の核酸塩基、15から40の核酸
塩基、15から35の核酸塩基、15から30の核酸塩基、15から25の核酸塩基、1
5から20の核酸塩基、20から50の核酸塩基、20から40の核酸塩基、20から3
5の核酸塩基、20から30の核酸塩基、20から25の核酸塩基、25から50の核酸
塩基、25から40の核酸塩基、25から35の核酸塩基、または25から30の核酸塩
基の長さである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが30のヌクレオチドである。幾
つかの実施形態では、ASOは長さが29のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では
、ASOは長さが28のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが2
7のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが26のヌクレオチドで
ある。幾つかの実施形態では、ASOは長さが25のヌクレオチドである。幾つかの実施
形態では、ASOは長さが24のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは
長さが23のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが22のヌクレ
オチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが21のヌクレオチドである。幾つ
かの実施形態では、ASOは長さが20のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、
ASOは長さが19のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが18
のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが17のヌクレオチドであ
る。幾つかの実施形態では、ASOは長さが16のヌクレオチドである。幾つかの実施形
態では、ASOは長さが15のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長
さが14のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが13のヌクレオ
チドである。幾つかの実施形態では、ASOは長さが12のヌクレオチドである。幾つか
の実施形態では、ASOは長さが11のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、A
SOは長さが10のヌクレオチドである。
【0255】
幾つかの実施形態では、異なる化学的性質を有するが、RIC mRNA前駆体の同じ
標的部分に相補的である2つ以上のASOが使用される。幾つかの実施形態では、RIC
mRNA前駆体の異なる標的部分に相補的である2つ以上のASOが使用される。
【0256】
実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の部分または抱
合体、例えば、オリゴヌクレオチドの活性または細胞取り込みを増強する標的部分または
他の抱合体に化学的に連結される。そのような部分には、限定されないが、例えば、コレ
ステロール部分、コレステリル部分、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基など
の脂肪族鎖、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、または、アダマンタン酢酸と
して、脂質部分が含まれる。親油性部分を含むオリゴヌクレオチドおよび調製方法は、公
開された文献に記載されている。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは
、限定されないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプ
チド、炭水化物、例えばN-アセチルガラクトサミン(GluNAc)、N-Acグルコ
サミン(GalNAc)、もしくはマンノース(例えばマンノース-6-リン酸)、脂質
、またはポリ炭化水素化合物を含む部分で抱合される。抱合体は、当該技術分野で理解さ
れ文献に記載されるように、例えばリンカーを用いて、糖、塩基またはリン酸基上のいく
つかの位置のうちのいずれかでアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む任意のヌクレオチ
ドの1つ以上に連結されうる。リンカーは二価または三価の分枝リンカーを含みうる。実
施形態では、抱合体はアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末端に結合している。オリ
ゴヌクレオチド抱合体を調製する方法は、例えば、米国特許第8,450,467号「C
arbohydrate conjugates as delivery agent
s for oligonucleotides」に記載され、参照により本明細書に組
み込まれる。
【0257】
幾つかの実施形態では、ASOによって標的とされる核酸は、真核細胞などの細胞内に
発現したRIC mRNA前駆体である。幾つかの実施形態では、用語「細胞」は、細胞
の集団を指すこともある。幾つかの実施形態では、細胞は被験体内に存在する。幾つかの
実施形態では、細胞は被験体から単離されている。幾つかの実施形態では、細胞はエクス
ビボである。幾つかの実施形態では、細胞は疾患または疾病に関連した細胞もしくは細胞
株である。幾つかの実施形態では、細胞はインビトロである(例えば細胞培養液中にある
)。
【0258】
医薬組成物
記載された組成物のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、上記方法のいずれかにお
いて使用するための医薬組成物または医薬製剤は、医薬品産業において周知の従来技術に
従って調製することができ、且つ公開文献においても記載されている。実施形態において
、被験体を処置するための医薬組成物または医薬製剤は、上記のような任意のアンチセン
スオリゴマー、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、またはエステルの
有効量、および薬学的に許容可能な希釈剤を含む。医薬製剤のアンチセンスオリゴマーは
さらに、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含み得る。
【0259】
薬学的に許容可能な塩は、過度の毒性反応、刺激反応、アレルギー反応等を持たないヒ
トおよび下等動物の組織に接する使用に適しており、かつ適切なベネフィット・リスク比
に相応している(例えば、この目的のための参照によって本明細書に組み込まれる、S.
M.Berge,et al.,J.Pharmaceutical Sciences
,66:1-19(1977)を参照)。塩は、化合物の最終的な分離および精製中にイ
ンサイチュで、または遊離基機能を適切な有機酸と反応させることによって別々に調製さ
れうる。薬学的に許容可能で無毒な酸付加塩の例は、塩化水素、臭化水素酸、リン酸、硫
酸、および過塩素酸などの無機酸か、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、
コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸か、またはイオン交換などの他の文書で立証され
た方法を用いることによって形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩
は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスル
ホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ク
エン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンス
ルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸
塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタ
ンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸
塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニ
コチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン
酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、
プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸、チオシアン酸塩、p-
トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリまたは
アルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム
などを含む。さらに薬学的に許容可能な塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カ
ルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルのスルホン酸塩、およびアリール
スルホン酸塩などの対イオンを使用して形成された、無毒なアンモニウム、第四級アンモ
ニウム、およびアミンのカチオンを含む。
【0260】
実施形態において、組成物は、限定されないが、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体
シロップ、ソフトゲル、坐剤、および浣腸剤などの多くの考え得る剤形のいずれかに製剤
される。実施形態において、組成物は、水性培地、非水性培地、または混合培地状の懸濁
液として製剤される。水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(
ソルビトールおよび/またはデキストラン)を含む懸濁液の粘度を増加させる物質をさら
に含むこともある。その懸濁液は、安定化剤も含むこともある。実施形態において、本発
明の医薬製剤または医薬組成物は、限定されないが、溶液、エマルジョン、マイクロエマ
ルジョン、発泡体またはリポソーム含有製剤(例えばカチオンリポソームまたは非カチオ
ンリポソーム)を含む。
【0261】
本発明の医薬組成物または医薬製剤は、当業者にとって適当でありかつ周知である、ま
たは公開文献に記載されている、1つ以上の透過促進剤、担体、賦形剤、または他の活性
成分あるいは非活性成分を含むこともある。実施形態において、リポソームは立体的に安
定したリポソーム、例えば1つ以上の特定の脂質を含むリポソームも含む。これらの特定
の脂質は、循環寿命が増強されたリポソームを結果としてもたらす。実施形態では、立体
的に安定したリポソームは、1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール
(PEG)部分などの1つ以上の親油性ポリマーを用いて誘導体化される。実施形態では
、界面活性剤は医薬製剤または医薬組成物中に含まれる。薬物製品、製剤およびエマルジ
ョンにおける界面活性剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。実施形態では
、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの効率的な送達を達成する、例えば、細胞
膜にわたる拡散を助ける及び/又は脂溶性薬物の浸透性を増強するために、浸透促進剤を
利用する。実施形態では、浸透促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、
または非キレート性の非界面活性剤である。
【0262】
実施形態において、医薬製剤は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。実施形
態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは他の薬物または治療剤と組み合わせて投
与される。実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当技術分野において
既知の任意の方法によって、血液脳関門を介する対象のアンチセンスオリゴヌクレオチド
の浸透を促進することができる1つ以上の薬剤と共に投与される。例えば、筋組織内の運
動ニューロンへアデノウイルスベクターを投与することによる薬剤の送達は、引用によっ
て本明細書に組み込まれる米国特許第6,632,427号「Adenoviral-v
ector-mediated gene transfer into medull
ary motor neurons」に記載されている。脳、例えば、線条体、視床、
海馬、または黒質への直接のベクターの送達は、例えば、引用によって本明細書に組み込
まれる米国特許第6,756,523号「Adenovirus vectors fo
r the transfer of foreign genes into cel
ls of the central nervous system particu
larly in brain」に記載される。
【0263】
実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましい薬理学的性質または
薬力学的性質を提供する薬剤に結合されるか抱合される。実施形態において、アンチセン
スオリゴヌクレオチドは、血液脳関門を介する浸透または輸送を促進すると当技術分野に
おいて知られている物質、例えばトランスフェリン受容体の抗体に結合される。実施形態
において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、アンチセンス化合物をより効果
的にするために、または血液脳関門を介する輸送を増加させるためにウイルスベクターに
結合される。実施形態において、浸透性の血液脳関門の破壊は、砂糖、例えばメソエリス
リトール、キシリトール、D(+)ガラクトース、D(+)ラクトース、D(+)キシロ
ース、ズルシトール、ミオ-イノシトール、L(-)フルクトース、D(-)マンニトー
ル、D(+)グルコース、D(+)アラビノース、D(-)アラビノース、セロビオース
、D(+)マルトース、D(+)ラフィノース、L(+)ラムノース、D(+)メリビオ
ース、D(-) リボース、アドニトール、D(+)アラビトール、L(-)アラビトー
ル、D(+)フコース、L(-)フコース、D(-)リキソース、L(+)リキソース、
およびL(-)リキソース、または アミノ酸、例えばグルタミン、リジン、アルギニン
、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、
ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、
バリン、およびタウリンを注入することにより促進される。血液脳関門浸透を増強する方
法および材料は、例えば、それぞれが引用により本明細書に組み込まれた、米国特許第4
,866,042号「Method for the delivery of gen
etic material across the blood brain bar
rier」、米国特許第6,294,520号「Material for passa
ge through the blood-brain barrier」、および米
国特許第6,936,589号「Parenteral delivery syste
ms」に記載されている。
【0264】
実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の部分または抱
合体、例えば、オリゴヌクレオチドの活性または細胞取り込みを増強する標的部分または
他の抱合体、に化学的に結合される。そのような部分は、限定されないが、例えばコレス
テロール部分、コレステリル部分のような脂質部分、例えばドデカンジオールもしくはウ
ンデシルの残基、ポリアミン鎖もしくはポリエチレングリコール鎖などの脂肪鎖、または
アダマンタン酢酸を含む。親油性部分を含むオリゴヌクレオチドおよび調製方法は、公開
された文献に記載されている。複数の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドは、限定されないが、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、
ペプチド、炭水化物、例えば、N-アセチルガラクトサミン(GluNAc)、N-Ac
グルコサミン(GalNAc)、もしくはマンノース(例えばマンノース-6-リン酸)
、脂質、またはポリ炭化水素化合物を含む部分で抱合される。当該技術分野で理解され文
献に記載されるように、例えばリンカーを用いて、抱合体は、糖、塩基またはリン酸基上
のいくつかの位置のうちのいずれかでアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む任意のヌク
レオチドの1つ以上に結合することができる。リンカーは二価または三価の分枝リンカー
を含むことができる。実施形態では、抱合体はアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’末
端に結合されている。オリゴヌクレオチド抱合体を調製する方法は、例えば、米国特許第
8,450,467号「Carbohydrate conjugates as de
livery agents for oligonucleotides」に記載され
、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0265】
被験体の処置
本明細書に提供される組成物のうちのいずれかが個体に投与されうる。「個体」は、「被
験体」または「患者」と交換可能に使用されてもよい。個体は哺乳動物でもよく、例えば
人間、または、人類以外の霊長類、げっ歯類、ウサギ、ラット、マウス、馬、ロバ、ヤギ
、猫、犬、雌牛、ブタ、あるいは羊などの動物である。実施形態では、個体はヒトである
。実施形態では、個体は胎児、胚、または小児である。他の実施形態では、個体は植物な
どの別の真核生物であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合
物は細胞にエクスビボで投与される。
【0266】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、疾病または障害を処置する
方法として個体に投与される。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記述された
疾病のいずれかなどの遺伝病を有する。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記
述された疾病のいずれかなどの疾病を有するリスクがある。いくつかの実施形態では、個
体は、不十分な量のタンパク質または不十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾
病または障害を有するリスクが増大している。個体が、不十分な量のタンパク質または不
十分な活性のタンパク質により引き起こされる疾病または障害を有するリスクが増大して
いる場合、方法は防止的または予防的な処置を含む。例えば、個体は、その疾病の家族健
康歴のために、そのような疾病または障害を有するリスクが増大している場合がある。典
型的には、そのような疾病または障害を有するリスクが増大している個体は、予防的処置
(例えば、疾病または障害の発症または悪化を予防するかまたは遅らせることによる)か
ら利益を受ける。
【0267】
本発明のASOの投与に適切な経路は、ASOの送達が所望される細胞型に応じて変わ
りうる。多数の組織および器官は本明細書に記載の症状に影響を受けることがあり、腎臓
が最も著しく影響を受ける組織である。本発明のASOは、例えば、腹腔内注射、筋肉内
注射、皮下注射または静脈内注射によって、患者に非経口的に投与されてもよい。複数の
実施形態では、送達は腎臓に行われる。実施形態では、胎児は、例えば胎児にASO組成
物を直接的または間接的に(例えば母親を介して)投与することによって、子宮内で処置
される。
【0268】
スプライシングを増強する追加のASOを特定する方法
本発明の範囲内にはまた、特異的に標的イントロンでのRIC mRNA前駆体のスプ
ライシングを増強する追加のASOを特定する(判定する)方法がある。mRNA前駆体
の標的領域内で様々なヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするASOは、標的イント
ロンのスプライシングの速度および/または程度を改善するASOを特定する(判定する
)ためにスクリーニングされてもよい。いくつかの実施形態では、ASOはスプライシン
グ抑制因子/サイレンサーの結合部位をブロックまたは妨害することがある。当該技術分
野において既知の任意の方法が、イントロンの標的領域にハイブリダイズされた時に所望
の効果(例えばスプライシング、タンパク質または機能的RNA生産の向上)をもたらす
ASOを特定する(判定する)ために使用されてもよい。これらの方法はまた、保持され
たイントロンに隣接するエクソン中、または保持されていないイントロン中の標的領域へ
結合することにより、保持されたイントロンのスプライシングを増強するASOの特定の
ために使用することができる。使用されうる方法の一例が下記に提供される。
【0269】
mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを用いて、A
SO「ウォーク」(walk)と呼ばれる、一ラウンドのスクリーニングを行いうる。例
えば、ASOウォークに使用されるASOは、保持されたイントロンの5’スプライス部
位のおよそ100ヌクレオチド上流(例えば、標的とされた/保持されたイントロンの上
流に位置するエクソンの配列の一部)から、標的とされた/保持されたイントロンの5’
スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流まで、および/または、保持されたイン
トロンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド上流から、標的とされた/保持
されたイントロンの3’スプライス部位のおよそ100ヌクレオチド下流(例えば、標的
とされた/保持されたイントロンの下流に位置するエクソンの配列の一部)まで、5つの
ヌクレオチドごとに敷き詰められ得る。例えば、15ヌクレオチドの長さの第1のASO
は、標的とされた/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対しヌクレオチド+6
から+20に特異的にハイブリダイズするように設計され得る。第2のASOは、標的と
された/保持されたイントロンの5’スプライス部位に対するヌクレオチド+11から+
25に特異的にハイブリダイズするように設計されている。ASOは、mRNA前駆体の
標的領域に及ぶように設計されている。複数の実施形態では、ASOは、より密に、例え
ば、1、2、3、または4つのヌクレオチドごとに敷き詰められ得る。さらに、ASOは
、5’スプライス部位の100ヌクレオチド下流から、3’スプライス部位の100ヌク
レオチド上流まで敷き詰められ得る。
【0270】
1つ以上のASO、または1つの対照ASO(標的領域にハイブリダイズするとは予期
されていない配列である、スクランブル配列を有するASO)は、例えばトランスフェク
ションによって、標的mRNA前駆体(例えば、本明細書で別記されるRIC mRNA
前駆体)を発現する疾患関連の細胞株へと送達される。ASOの各々のスプライシングを
誘発する効果は、本明細書で記載されるように、当該技術分野で既知の方法、例えば、ス
プライスジャンクションに及ぶプライマーを使用する逆転写酵素(RT)-PCRによっ
て評価され得る(「イントロン保持事象の特定」を参照)。対照ASO処理された細胞と
比較して、ASO処理された細胞におけるスプライスジャンクションに及ぶプライマーを
使用して生成されたRT-PCR産物が減少または欠如することは、標的イントロンのス
プライシングが増強されたことを示している。いくつかの実施形態では、スプライシング
効率、スプライシングされていないmRNA前駆体に対するスプライシングされたmRN
A前駆体の割合、スプライシングの速度、またはスプライシングの程度は、本明細書に記
載されるASOを使用して改善され得る。標的mRNA前駆体によってコードされるタン
パク質または機能的RNAの量も、各ASOが所望の効果(例えば、タンパク質産生の増
強)を達成したかどうかを判定するために評価され得る。ウェスタンブロッティング、フ
ローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡検査法、およびELISAなどの、タンパク質産生
を評価し及び/又は定量するための、当該技術分野で既知の方法も使用することができる
【0271】
ASO「ミクロウォーク」(micro-walk)と呼ばれる第2ラウンドのスクリ
ーニングは、mRNA前駆体の標的領域にハイブリダイズするように設計されたASOを
使用して実行され得る。ASOミクロウォークに使用されるASOは、ASOでハイブリ
ダイズされたときに結果的にスプライシングを増強させるmRNA前駆体のヌクレオチド
酸配列をさらに改良する(refine)ために、1つのヌクレオチドごとに敷き詰めら
れる。標的イントロンのスプライシングを促進するASOによって定義される領域は、1
-ntステップ(1-nt steps)で配置されたASO、ならびに、典型的には1
8-25ntである、より長いASOを含む、ASO「ミクロウォーク」によって、より
詳細に調査される。上記でASOウォークに関して記載されたように、1つ以上のASO
、または対照ASO(標的領域にハイブリダイズすると予期されていない配列である、ス
クランブル配列を有するASO)を、例えばトランスフェクションによって、標的mRN
A前駆体を発現する疾患関連細胞株へと送達することにより、ASOミクロウォークが実
行される。ASOの各々のスプライシングを誘発する効果は、本明細書で記載されるよう
に、当該技術分野で既知の方法、例えば、スプライスジャンクションに及ぶプライマーを
使用する逆転写酵素(RT)-PCRによって評価され得る(「イントロン保持事象の特
定」を参照)。対照ASO処理された細胞と比較して、ASO処理された細胞におけるス
プライスジャンクションに及ぶプライマーを使用して生成されたRT-PCR産物が減少
または欠如することは、標的イントロンのスプライシングが増強されたことを示している
。いくつかの実施形態では、スプライシング効率、比率、スプライシングされていないm
RNA前駆体に対するスプライシングされたmRNA前駆体の割合、スプライシングの速
度、またはスプライシングの程度は、本明細書に記載されるASOを使用して改善され得
る。標的mRNA前駆体によってコードされるタンパク質または機能的RNAの量も、各
ASOが所望の効果(例えば、タンパク質産生の増強)を達成したかどうかを判定するた
めに評価され得る。ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光顕微鏡
検査法、およびELISAなどの、タンパク質産生を評価し及び/又は定量するための、
当該技術分野で既知の方法も使用することができる。
【0272】
mRNA前駆体の領域にハイブリダイズされたときに、結果的にスプライシングを増強
させ、タンパク質産生を増加させるASOは、動物モデル、例えば、全長ヒト遺伝子がノ
ックインされたトランスジェニックマウスモデルまたは疾患のヒト化マウスモデルを使用
して、インビボで試験され得る。ASOの投与に適した経路は、ASOの送達が望まれる
疾患及び/又は細胞型に応じて変化し得る。ASOは、例えば、腹腔内注射、筋肉注射、
皮下注射、または静脈注射によって投与され得る。投与後に、モデル動物の細胞、組織、
及び/又は臓器は、当該技術分野に既知の方法および本明細書に記載される方法によって
、例えば、スプライシング(効率、速度、程度)およびタンパク質産生を評価することに
より、ASO処置の効果を判定するために評価され得る。動物モデルはまた、疾患または
疾患重症度の表現型の徴候または行動的な徴候であり得る。
【0273】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され記載された一方、そのような実施形態が
一例としてのみ提供されていることは当業者にとって明白である。多くの変更、変化およ
び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者の心に思い浮かぶであろう。本明細書に
記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれ
ないことを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求
項とその均等物の範囲内の方法および構造体がそれによって包含されるものであるという
ことが意図されている。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
被験体の細胞により標的タンパク質または機能的RNAの発現を増加させることによっ
て被験体の腎臓病を処置する方法であって、ここで、前記細胞は、保持されたイントロン
含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有し、該RIC mRNA前駆体は、
保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および3’スプラ
イス部位に隣接しているエクソンを含み、ここで、RIC mRNA前駆体は、標的タン
パク質または機能的RNAをコードし、前記方法は、被験体の細胞を、標的タンパク質ま
たは機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセン
スオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロン
は、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆体から構成的
にスプライシングされ、それにより、標的タンパク質または機能的RNAをコードするm
RNAのレベルを増加させ、被験体の細胞内で、標的タンパク質または機能的RNAの発
現を増加させる、方法。
[2]
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、[1]に記載の方法。
[3]
保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)を有している細
胞によって、標的タンパク質の発現を増加させる方法であって、RIC mRNA前駆体
は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接している
エクソン、および保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンを
含み、ここで、RIC mRNA前駆体は標的タンパク質をコードし、前記方法は、細胞
を、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部分に相補的なアンチセ
ンスオリゴマー(ASO)と接触させる工程を含み、それによって、保持されたイントロ
ンは、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシング
され、それにより、標的タンパク質をコードするmRNAのレベルを増加させ、細胞内で
標的タンパク質の発現を増加させ、ここで、標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク
質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、タンパク質シトクロムP450ファミリー24
、サブファミリーA、ポリペプチド1、あるいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
δである、方法。
[4]
標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、
タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あ
るいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、[1]または[2]に記載の方
法。
[5]
標的タンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足している
標的タンパク質あるいは機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わる、補
償タンパク質あるいは補償機能的RNAである、[1]または[2]に記載の方法。
[6]
細胞は、標的タンパク質の量または活性の不足によって引き起こされた疾病を有する被
験体内にあるか、または被験体に由来する、[3]に記載の方法。
[7]
標的タンパク質の量の不足は、標的タンパク質のハプロ不全によって引き起こされ、こ
こで被験体は、機能的な標的タンパク質をコードする第1の対立遺伝子、標的タンパク質
が産生されない第2の対立遺伝子、または非機能的な標的タンパク質をコードする第2の
対立遺伝子を有し、アンチセンスオリゴマーは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の標的部分に結合する、[1]-[6]のいずれか1つに記載の方法。
[8]
被験体は、標的タンパク質の量または機能の不足に起因する障害により引き起こされた
疾病を抱えており、ここで、被験体は、
(a)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベ
ルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して機能が低下した形
態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、第1の変異対立遺伝子と、
(b)(i)標的タンパク質が野生型対立遺伝子からの生成と比較して、減少したレベ
ルで生成され、
(ii)標的タンパク質が同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した
形態で生成され、あるいは、
(iii)標的タンパク質が生成されない、第2の変異対立遺伝子と、を有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対
立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、被験体が第2の変異対立遺伝子
(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(
ii)であり、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である
第1の変異対立遺伝子、および/または、(b)(i)あるいは(b)(ii)である第
2の変異対立遺伝子から転写される、[1]-[6]のいずれか1つに記載の方法。
[9]
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態で生成さ
れる、[8]に記載の方法。
[10]
標的タンパク質は、同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態で生成さ
れる、[8]に記載の方法。
[11]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+6~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-16までの領域内の
保持されたイントロンにある、[1]-[10]のいずれか1つに記載の方法。
[12]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+69~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-79までの領域内
の保持されたイントロンにある、[1]-[10]のいずれか1つに記載の方法。
[13]
標的タンパク質はシスチノシンである、[1]-[12]のいずれか1つに記載の方法

[14]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、[13]に記載の方法。
[15]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:8624-10068の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、[13]または[14]に記載
の方法。
[16]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748またはSEQ
ID NO:10734の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配
列同一性を備えた配列を含む、[13]-[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]
ASOは、SEQ ID NO:8624-10068のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは1
00%の配列同一性を備えた配列を含む、[13]-[16]のいずれか1つに記載の方
法。
[18]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16またはSEQ ID NO:1
7に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、9
9%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[13]-[17]のいずれ
か1つに記載の方法。
[19]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、[13]-[18]のいずれか1つに記載の方
法。
[20]
標的タンパク質はペアードボックス遺伝子2タンパク質である、[1]-[12]のい
ずれか1つに記載の方法。
[21]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、[20]に記載の方法。
[22]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:6953-8623のい
ずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、[20]または[21]に記載の
方法。
[23]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10738またはSEQ
ID NO:10740の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に少なくとも80
%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配
列同一性を備えた配列を含む、[20]-[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:6953-8623のいずれか1つ
に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99
%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[20]-[23]のいずれか
1つに記載の方法。
[25]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-15のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[20]-[24]のいずれか1つに記
載の方法。
[26]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、[20]-[25]のいずれか1つに記載
の方法。
[27]
標的タンパク質はタンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、
ポリペプチド1である、[1]-[12]のいずれか1つに記載の方法。
[28]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、[27]に記載の方法。
[29]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:9520-10733の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、[27]または[28]に記載
の方法。
[30]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748、SEQ I
D NO:10734、SEQ ID NO:10746、SEQ ID NO:107
45、あるいはSEQ ID NO:10741の少なくとも8つの隣接する核酸を含む
領域に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、
あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[27]-[29]のいずれか1つ
に記載の方法。
[31]
ASOは、SEQ ID NO:9520-10733のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは1
00%の配列同一性を備えた配列を含む、[27]-[30]のいずれか1つに記載の方
法。
[32]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16-19のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、ある
いは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[27]-[31]のいずれか1つに記
載の方法。
[33]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、[27]-[32]のいずれか1つに記載
の方法。
[34]
標的タンパク質はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、[1]-[12]
のいずれか1つに記載の方法。
[35]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に
対して+500~保持されたイントロンの3’スプライス部位に対して-500までの領
域内の保持されたイントロンにある、[34]に記載の方法。
[36]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:20-6952のいずれ
か1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、99%、あるいは100%相補的な配列を含む、[34]または[35]に記載の方法

[37]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10736、SEQ I
D NO:10747、SEQ ID NO:10739、SEQ ID NO:107
43、SEQ ID NO:10742、SEQ ID NO:10737、SEQ I
D NO:10735、あるいはSEQ ID NO:10744の少なくとも8つの隣
接する核酸を含む領域に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、9
7%、98%、99%、あるいは100%の配列同一性を備えた配列を含む、[34]-
[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38]
ASOは、SEQ ID NO:20-6952のいずれか1つに対して少なくとも約
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%
の配列同一性を備えた配列を含む、[34]-[37]のいずれか1つに記載の方法。
[39]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-9のいずれか1つに対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは
100%の配列同一性を備えた配列を含む、[34]-[38]のいずれか1つに記載の
方法。
[40]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同一
性を有する遺伝子配列によってコードされる、[34]-[39]のいずれか1つに記載
の方法。
[41]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する、+6から+100の領域
、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域

の内部の保持されたイントロンにある、[1]-[10]および[13]-[40]の
いずれか1つに記載の方法。
[42]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス
部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’ス
プライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にあるRIC mRNA前駆体の
一部を標的とする、[1]-[10]および[13]-[40]のいずれか1つに記載の
方法。
[43]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-
4eの領域、あるいは、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソン中の+2e~-
4eの領域、
の内部にある、[1]-[10]および[13]-[40]のいずれか1つに記載の方
法。
[44]
アンチセンスオリゴマーは、機能的RNAまたは標的タンパク質をコードする遺伝子か
ら転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより、標的タンパ
ク質または機能的RNAの量を増加させない、[1]-[43]のいずれか1つに記載の
方法。
[45]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異に起因する異常スプライシングを調節することにより、標的タンパク質または機
能的RNAの量を増加させない、[1]-[44]のいずれか1つに記載の方法。
[46]
RIC mRNA前駆体は、全長のmRNA前駆体の部分的スプライシング、または野
生型のmRNA前駆体の部分的スプライシングによって生成された、[1]-[45]の
いずれか1つに記載の方法。
[47]
標的タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAは、全長の成熟mRNA、あ
るいは野生型の成熟mRNAである、[1]-[46]のいずれか1つに記載の方法。
[48]
生成された標的タンパク質は全長のタンパク質あるいは野生型のタンパク質である、[
1]-[47]のいずれか1つに記載の方法。
[49]
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞において生成された標的タンパク質または機
能的RNAをコードするmRNAの総量は、対照細胞において生成された標的タンパク質
または機能的RNAをコードするmRNAの総量と比較して、約1.1~約10倍、約1
.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約5倍
、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約2~
約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍、約
3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約9倍
、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.
5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍
、あるいは少なくとも約10倍増加する、[1]-[48]のいずれか1つに記載の方法

[50]
アンチセンスオリゴマーと接触させた細胞によって生成された標的タンパク質の総量は
、対照細胞によって生成された標的タンパク質の総量と比較して、約1.1~約10倍、
約1.5~約10倍、約2~約10倍、約3~約10倍、約4~約10倍、約1.1~約
5倍、約1.1~約6倍、約1.1~約7倍、約1.1~約8倍、約1.1~約9倍、約
2~約5倍、約2~約6倍、約2~約7倍、約2~約8倍、約2~約9倍、約3~約6倍
、約3~約7倍、約3~約8倍、約3~約9倍、約4~約7倍、約4~約8倍、約4~約
9倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約
2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約
5倍、あるいは少なくとも約10倍増加する、[1]-[49]のいずれか1つに記載の
方法。
[51]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、[1]-[50]のいずれか1つに記載の方法。
[52]
アンチセンスオリゴマーはホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド
核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含
む、[1]-[51]のいずれか1つに記載の方法。
[53]
アンチセンスオリゴマーは少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[1]-[52]
のいずれか1つに記載の方法。
[54]
それぞれの糖部は修飾された糖部である、[53]に記載の方法。
[55]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35の核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸
塩基、12~20の核酸塩基、あるいは12~15の核酸塩基からなる、[1]-[54
]のいずれか1つに記載の方法。
[56]
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部
分に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも98%、少なくとも99%、あるいは100%相補的である、[1]-[55]の
いずれか1つに記載の方法。
[57]
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保
持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mR
NA前駆体の集団で最も豊富な保持されたイントロンに結合する、[1]-[56]のい
ずれか1つに記載の方法。
[58]
最も豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的タン
パク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するためにRIC mRNA前駆
体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する、[
57]に記載の方法。
[59]
細胞は、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子から転写されたRIC
mRNA前駆体の集団を含み、ここで、RIC mRNA前駆体の集団は2つ以上の保
持されたイントロンを含み、および、ここで、アンチセンスオリゴマーは、RIC mR
NA前駆体の集団で2番目に豊富な保持されたイントロンに結合する、[1]-[56]
のいずれか1つに記載の方法。
[60]
2番目に豊富な保持されたイントロンに対するアンチセンスオリゴマーの結合は、標的
タンパク質または機能的RNAをコードするmRNAを生成するためにRIC mRNA
前駆体の集団からの2つ以上の保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘発する
、[59]に記載の方法。
[61]
疾病は、疾患または障害である、[6]-[60]のいずれか1つに記載の方法。
[62]
疾患または障害は腎臓病である、[61]に記載の方法。
[63]
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、[62]に記載の方法

[64]
標的タンパク質とRIC mRNA前駆体は、遺伝子によってコードされ、ここで、遺
伝子はCTNS、PAX2、CYP24A1、あるいはPPARDである、[63]に記
載の方法。
[65]
前記方法はタンパク質発現を評価する工程をさらに含む、[1]-[64]のいずれか
1つに記載の方法。
[66]
被験体はヒトである、[1]-[65]のいずれか1つに記載の方法。
[67]
被験体はヒト以外の動物である、[1]-[65]のいずれか1つに記載の方法。
[68]
被験体は胎児、胚、あるいは子供である、[1]-[66]のいずれか1つに記載の方
法。
[69]
細胞はエクスビボである、[1]-[67]のいずれか1つに記載の方法。
[70]
アンチセンスオリゴマーは、被験体の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静
脈内注射によって投与される、[1]-[67]のいずれか1つに記載の方法。
[71]
5’スプライス部位に隣接するエクソンの-3e~-1eと、保持されたイントロンの
+1~+6にある9つのヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、[1]-[
70]のいずれか1つに記載の方法。
[72]
保持されたイントロンの-15~-1と3’スプライス部位に隣接するエクソンの+1
eにある16のヌクレオチドは、対応する野性型配列と同一である、[1]-[71]の
いずれか1つに記載の方法。
[73]
[1]-[72]のいずれか1つの方法で使用されるアンチセンスオリゴマー。
[74]
SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに対して少なくとも約80%、
85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、あるいは100%の配列同
一性を備えた配列を含むアンチセンスオリゴマー。
[75]
[73]または[74]のアンチセンスオリゴマーと賦形剤とを含む医薬組成物。
[76]
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、あるいは静脈内注射によって[75]に記載の医
薬組成物を投与することにより被験体を処置する方法。
[77]
不足しているタンパク質または不足している機能的なRNAに関連している被験体の腎
臓病を処置するために、細胞によって標的タンパク質あるいは機能的RNAの発現を増加
させる方法で使用されるアンチセンスオリゴマーを含む組成物であって、ここで、不足し
ているタンパク質または機能的RNAは、被験体において量あるいは活性が不足しており
、ここで、アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする
、保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の構成的スプラ
イシングを増強し、ここで、標的タンパク質は、
(a)不足しているタンパク質、あるいは、
(b)被験体において不足しているタンパク質を機能的に増大させるか、これに取って
代わる、補償タンパク質であり、
ここで、機能的RNAは、
(a)不足しているRNA、あるいは、
(b)被験体の不足している機能的RNAを機能的に増大させるか、これに取って代わ
る、補償機能的RNAであり、
ここでRIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、5’スプライス部位に隣接
しているエクソン、および3’スプライス部位に隣接しているエクソンを含み、保持され
たイントロンは、標的タンパク質または機能的RNAをコードするRIC mRNA前駆
体からスプライシングされ、それによって、被験体において標的タンパク質または機能的
RNAの産生または活性を増加させる、組成物。
[78]
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、あるいは幼児の高カルシウム血症である、[77]に記載の組成
物。
[79]
被験体において標的タンパク質に関係する疾病を処置する方法に使用するためのアンチ
センスオリゴマーを含む組成物であって、前記方法は、被験体の細胞によって標的タンパ
ク質の発現を増加させる工程であって、細胞が保持されたイントロン、保持されたイント
ロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソン、および保持されたイントロンの3’
スプライス部位に隣接しているエクソンを含む、保持されたイントロン含有mRNA前駆
体(RIC mRNA前駆体)を有し、RIC mRNA前駆体は、標的タンパク質をコ
ードする、工程と、細胞をアンチセンスオリゴマーと接触させる工程であって、それによ
って、保持されたイントロンが、標的タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の
転写産物から構成的にスプライシングされ、それにより、被験体の細胞内で、標的タンパ
ク質または機能的RNAをコードするmRNAのレベルを増加させ、標的タンパク質の発
現を増加させる、工程とを含む、組成物。
[80]
標的タンパク質は、シスチノシン、タンパク質ペアードボックス遺伝子2タンパク質、
タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA、ポリペプチド1、あ
るいはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、[77]-[79]のいずれか
1つに記載の組成物。
[81]
疾病は、疾患または障害である、[79]に記載の組成物。
[82]
疾患または障害は腎臓病である、[80]に記載の組成物。
[83]
腎臓病は、幼児の腎症性シスチン蓄積症、遅発性シスチン蓄積症、巣状分節性糸球体硬
化症7、乳頭腎症候群、または幼児の高カルシウム血症である[82]に記載の組成物。
[84]
標的タンパク質およびRIC mRNA前駆体は、遺伝子によってコードされ、ここで
遺伝子は、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDである、[82]また
は[83]に記載の組成物。
[85]
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの
5’スプライス部位に対する+6から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対
する-16の領域内にある、RIC mRNA前駆体の一部を標的とする、[77]-[
84]のいずれか1つに記載の組成物。
[86]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+69から、保持されたイントロンの3’スプラ
イス部位に対する-79の領域内にある、[77]-[84]のいずれか1つに記載の組
成物。
[87]
標的タンパク質はシスチノシンである、[77]-[86]のいずれか1つに記載の組
成物。
[88]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、[87]に記載の組成物。
[89]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:8624-10068の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%、または100%相補的な配列を含む、[87]または[88]に記載の
組成物。
[90]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748または107
34の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた
配列を含む、[87]-[89]のいずれか1つに記載の組成物。
[91]
ASOは、SEQ ID NO:8624-10068のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100
%の配列同一性を備えた配列を含む、[87]-[90]のいずれか1つに記載の組成物

[92]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16または17に対して少なくとも
約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の
配列同一性を備えた配列を含む、[87]-[91]のいずれか1つに記載の組成物。
[93]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:3に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、[87]-[92]のいずれか1つに記載の組
成物。
[94]
標的タンパク質は、ペアードボックス遺伝子2タンパク質である、[77]-[86]
のいずれか1つに記載の組成物。
[95]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、[94]に記載の組成物。
[96]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:6953-8623のい
ずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、9
8%、99%または100%相補的である配列を含む、[94]または[95]に記載の
組成物。
[97]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10738または107
40の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた
配列を含む、[94]-[96]のいずれか1つに記載の組成物。
[98]
ASOは、SEQ ID NO:6953-8623のいずれか1つに対して少なくと
も約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%
の配列同一性を備えた配列を含む、[94]-[97]のいずれか1つに記載の組成物。
[99]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:10-15のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%の配列同一性を備えた配列を含む、[94]-[98]のいずれか1つに記載の
組成物。
[100]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:2に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、[94]-[99]のいずれか1つに記載の組
成物。
[101]
標的タンパク質は、タンパク質シトクロムP450ファミリー24、サブファミリーA
、ポリペプチド1である、[77]-[86]のいずれか1つに記載の組成物。
[102]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、[101]に記載の組成物。
[103]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:9520-10733の
いずれか1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、
98%、99%または100%相補的である配列を含む、[101]または[102]に
記載の組成物。
[104]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10748、10734
、10746、10745または10741の少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域
に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99
%または100%の配列同一性を備えた配列を含む、[101]-[103]のいずれか
1つに記載の組成物。
[105]
ASOは、SEQ ID NO:9520-10733のいずれか1つに対して少なく
とも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100
%の配列同一性を備えた配列を含む、[101]-[104]のいずれか1つに記載の組
成物。
[106]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:16-19のいずれか1つに対して
少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または
100%の配列同一性を備えた配列を含む、[101]-[105]のいずれか1つに記
載の組成物。
[107]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、[101]-[106]のいずれか1つに記載
の組成物。
[108]
標的タンパク質は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δである、[77]-[8
6]のいずれか1つに記載の組成物。
[109]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイ
ントロンの5’スプライス部位に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプ
ライス部位に対する-500の領域内にある、[108]に記載の組成物。
[110]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:20-6952のいずれ
か1つに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%
、99%または100%相補的である配列を含む、[108]または[109]に記載の
組成物。
[111]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、SEQ ID NO:10736、10747
、10739、10743、10742、10737、10735、または10744の
少なくとも8つの隣接する核酸を含む領域に対して、少なくとも80%、85%、90%
、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を備えた配列を
含む、[108]-[110]のいずれか1つに記載の組成物。
[112]
ASOは、SEQ ID NO:20-6952のいずれか1つに対して少なくとも約
80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配
列同一性を備えた配列を含む、[108]-[111]のいずれか1つに記載の組成物。
[113]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:5-9のいずれか1つに対して少な
くとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または10
0%の配列同一性を備えた配列を含む、[108]-[112]のいずれか1つに記載の
組成物。
[114]
RIC mRNA前駆体は、SEQ ID NO:1に対して少なくとも約80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を
有する遺伝子配列によってコードされる、[108]-[113]のいずれか1つに記載
の組成物。
[115]
アンチセンスオリゴマーは、保持されたイントロンにおいて、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に対する+6から+100の領域、
または、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-16から-100の領域

の内部にある、RIC mRNA前駆体の一部を標的とする、[77]-[84]、お
よび、[87]-[114]のいずれか1つに記載の組成物。
[116]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの保持されたイントロンの5’スプライス
部位の約100ヌクレオチド下流から、少なくとも1つの保持されたイントロンの3’ス
プライス部位の約100ヌクレオチド上流までの領域内にある、RIC mRNA前駆体
の一部を標的とする、[77]-[84]、および、[87]-[114]のいずれか1
つに記載の組成物。
[117]
RIC mRNA前駆体の標的部分は、
(a)保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+
2eから-4eの領域、または、
(b)保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接しているエクソンにおける+
2eから-4eの領域、
の内部にある、[77]-[84]、および、[87]-[114]のいずれか1つに
記載の組成物。
[118]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能RNAをコードする遺伝子から
転写されたmRNA前駆体の選択的スプライシングを調節することにより標的タンパク質
または機能的RNAの量を増加させない、[77]-[117]のいずれか1つに記載の
組成物。
[119]
アンチセンスオリゴマーは、標的タンパク質または機能的RNAをコードする遺伝子の
突然変異から結果として生じる異常スプライシングを調節することにより機能的RNAま
たは機能的タンパク質の量を増加させない、[77]-[118]のいずれか1つに記載
の組成物。
[120]
RIC mRNA前駆体は、全長mRNA前駆体または野生型mRNA前駆体からの部
分的スプライシングによって生成された、[77]-[119]のいずれか1つに記載の
組成物。
[121]
標的タンパク質または機能RNAをコードするmRNAは、全長成熟mRNAまたは野
生型成熟mRNAである、[77]-[120]のいずれか1つに記載の組成物。
[122]
生成される標的タンパク質は、全長タンパク質または野生型タンパク質である、[77
]-[121]のいずれか1つに記載の組成物。
[123]
保持されたイントロンは律速イントロンである、[77]-[122]のいずれか1つ
に記載の組成物。
[124]
前記保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で最も豊富な保持されたイ
ントロンである、[77]-[123]のいずれか1つに記載の組成物。
[125]
保持されたイントロンは、前記RIC mRNA前駆体で2番目に豊富な保持されたイ
ントロンである、[77]-[123]のいずれか1つに記載の組成物。
[126]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、[77]-[125]のいずれか1つに記載の組成物。
[127]
前記アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、[77]
-[126]のいずれか1つに記載の組成物。
[128]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチ
ド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含
む、[77]-[127]のいずれか1つに記載の組成物。
[129]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[77]-[1
28]のいずれか1つに記載の組成物。
[130]
各糖部は、修飾された糖部である、[129]に記載の組成物。
[131]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30の核酸塩基、12~25の核酸塩基
、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基から成る、[77]-[130]
のいずれか1つに記載の組成物。
[132]
アンチセンスオリゴマーは、タンパク質をコードするRIC mRNA前駆体の標的部
分に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である、[77]-[
131]のいずれか1つに記載の組成物。
[133]
[77]-[132]の組成物のいずれかのアンチセンスオリゴマー、および賦形剤を
含む、医薬組成物。
[134]
腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射により[133]に記載の医薬
組成物を投与することによって、被験体を処置する方法。
[135]
不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の
標的配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマーであって、不足したCTNS、P
AX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物が保持されたイントロンを
含み、アンチセンスオリゴマーが、不足したCTNS、PAX2、CYP24A1または
PPARDのmRNA転写産物からの保持されたイントロンのスプライシングアウトを誘
発する、アンチセンスオリゴマーと、
薬学的に許容可能な賦形剤と、を含む、医薬組成物。
[136]
不足したCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物は
、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物である、[135]に記載の医薬組成物。
[137]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の標
的部分は、保持されたイントロンにおいて、保持されたイントロンの5’スプライス部位
に対する+500から、保持されたイントロンの3’スプライス部位に対する-500の
領域内にある、[135]または[136]に記載の医薬組成物。
[138]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物は、SEQ ID NO:1-4のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、
85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性
を有する遺伝子配列によってコードされる、[135]または[136]に記載の医薬組
成物。
[139]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物は、SEQ ID NO:5-19のいずれか1つに対して、少なくとも約80%
、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一
性を備えた配列を含む、[135]または[136]に記載の医薬組成物。
[140]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロチオエート結合またはホスホロジアミデート結合
を含む骨格修飾を含む、[135]に記載の医薬組成物。
[141]
アンチセンスオリゴマーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、[135]に記
載の医薬組成物。
[142]
アンチセンスオリゴマーは、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチ
ド核酸、2’-O-メチル、2’-フルオロ、または2’-O-メトキシエチル部分を含
む、[135]に記載の医薬組成物。
[143]
アンチセンスオリゴマーは、少なくとも1つの修飾された糖部を含む、[135]に記
載の医薬組成物。
[144]
アンチセンスオリゴマーは、8~50の核酸塩基、8~40の核酸塩基、8~35の核
酸塩基、8~30の核酸塩基、8~25の核酸塩基、8~20の核酸塩基、8~15の核
酸塩基、9~50の核酸塩基、9~40の核酸塩基、9~35の核酸塩基、9~30の核
酸塩基、9~25の核酸塩基、9~20の核酸塩基、9~15の核酸塩基、10~50の
核酸塩基、10~40の核酸塩基、10~35の核酸塩基、10~30の核酸塩基、10
~25の核酸塩基、10~20の核酸塩基、10~15の核酸塩基、11~50の核酸塩
基、11~40の核酸塩基、11~35の核酸塩基、11~30の核酸塩基、11~25
の核酸塩基、11~20の核酸塩基、11~15の核酸塩基、12~50の核酸塩基、1
2~40の核酸塩基、12~35核酸塩基、12~30核酸塩基、12~25の核酸塩基
、12~20の核酸塩基、または12~15の核酸塩基を含む、[135]に記載の医薬
組成物。
[145]
アンチセンスオリゴマーは、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDの
RIC mRNA前駆体の転写産物の標的部分に対して、少なくとも80%、少なくとも
85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、
または100%相補的である、[135]または[136]に記載の医薬組成物。
[146]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転
写産物の標的部分は、SEQ ID NO:10034-10748から選択される配列
内にある、[135]または[136]に記載の医薬組成物。
[147]
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-10733のいずれか1つに
対して、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95
%、96%、97%、98%、または99%配列同一性であるヌクレオチド配列を含む、
[135]に記載の医薬組成物。
[148]
アンチセンスオリゴマーは、SEQ ID NO:20-10733から選択されるヌ
クレオチド配列を含む、[135]に記載の医薬組成物。
[149]
医薬組成物は、髄腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または
静脈内注射のために製剤される、[135]-[148]のいずれか1つに記載の医薬組
成物。
[150]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の機能形態をコー
ドする、十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmR
NA転写産物を産生するために、保持されたイントロンの除去を促進する、CTNS、P
AX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物の処理を誘発する方法であ
って、前記方法は、
(a)アンチセンスオリゴマーを被験体の標的細胞に接触させる工程と、
(b)アンチセンスオリゴマーを、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPA
RDのmRNA転写産物にハイブリダイズする工程であって、CTNS、PAX2、CY
P24A1またはPPARDのmRNA転写産物が、CTNS、PAX2、CYP24A
1またはPPARDのタンパク質の機能形態をコードすることができ、少なくとも1つの
保持されたイントロンを含む、工程と、
(c)CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の機能形態
をコードする、十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARD
のmRNA転写産物を産生するために、少なくとも1つの保持されたイントロンをCTN
S、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物から除去する工程と

(d)十分に処理されたCTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmR
NA転写産物から、CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質
の機能形態を翻訳する工程と、を含む、方法。
[151]
保持されたイントロンは、保持されたイントロン全体である、[150]に記載の方法

[152]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのmRNA転写産物は、CTN
S、PAX2、CYP24A1またはPPARDのRIC mRNA前駆体の転写産物で
ある、[150]または[151]に記載の方法。
[153]
CTNS、PAX2、CYP24A1またはPPARDのタンパク質の量または活性の
不足によって引き起こされた疾病を有する被験体を処置する方法であって、SEQ ID
NO:20-10733のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、85%、90
%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の
配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴマーを被験体に投与する
工程を含む、方法。
【0274】
実施例
本発明は、以下の実施例によってより具体的に例示されるだろう。しかしながら、本発
明がどんな方法でもこれらの実施例によって制限されていないことが理解されるべきであ
る。
【0275】
実施例1:次世代配列決定を用いたRNAseqによる転写産物のイントロン保持事象の
特定
イントロン保持事象を特定するために本明細書で記載された遺伝子によって生成された
転写産物のスナップショットを明らかにするために、次世代配列決定を使用して、全トラ
ンスクリプトームのショットガン配列決定を実行した。このために、腎上皮細胞の核およ
び細胞質の分画からのpolyA+ RNAを分離し、IlluminaのTruSeq
Stranded mRNAライブラリPrepキットを用いてcDNAライブラリを
構築した。ライブラリを対末端配列決定(pair-end sequenced)し、
結果として、ヒトゲノム(2009年2月、GRCh37/hg19アセンブリ)にマッ
ピングされた100ヌクレオチドの読み取りをもたらした。マッピングされた読み取りは
(UCSC Genome Informatics Group (Center f
or Biomolecular Science & Engineering, U
niversity of California,Santa Cruz,1156
High Street,Santa Cruz,CA 95064)によって操作さ
れ、かつ、例えばRosenbloom, et al.,2015,“The UCS
C Genome Browser database: 2015 update,”
Nucleic Acids Research 43,Database Issue
doi: 10.1093/nar/gku1177に記載された)UCSCゲノム
ブラウザを使用して視覚化され、読み取りの範囲および数はピーク信号によって推論され
る。ピークの高さは、特定の領域における読取密度によって与えられた発現のレベルを示
している。ピークをエクソン領域およびイントロン領域に一致させられるように、(読み
取りシグナルの下に)UCSCゲノムブラウザによってP遺伝子の模式図(縮尺通りに描
かれている)が提供される。このディスプレイに基づいて、腎上皮細胞の核分画において
高い読み取り密度を有するが、これらの細胞の細胞質分画においては読み取りが非常に低
いかまたは全くないイントロンを特定した(本明細書に記載の遺伝子において特定された
イントロンについてのイントロン保持率(PIR)データについては表1を参照)。これ
は、これらのイントロンが保持されたこと、および、イントロン含有転写産物が核内に残
っていることを示し、かつ、この保持されたRIC mRNA前駆体が、細胞質に排出さ
れないので、非生産的であることを示唆している。
【0276】
実施例2:未だ特定されていない保持されたイントロンのための次世代配列決定を用いた
RNAseqによる遺伝子転写産物でのイントロン保持事象の特定
未知のイントロン保持事象を特定するために、本明細書に記載された遺伝子によって生
成された転写産物のスナップショットを明らかにするために、次世代配列決定を使用して
、全トランスクリプトームのショットガン配列決定を実行した。このために、腎上皮細胞
の核および細胞質の分画からのpolyA+ RNAを分離し、IlluminaのT
ruSeq Stranded mRNAライブラリPrepキットを用いてcDNAラ
イブラリを構築した。ライブラリを対末端配列決定(pair-end sequenc
ed)し、結果として、ヒトゲノム(2009年2月、GRCh37/hg19アセンブ
リ)にマッピングされた100ヌクレオチドの読み取りがもたらされた。マッピングされ
た読み取りは(UCSC Genome Informatics Group (Ce
nter for Biomolecular Science & Engineer
ing,University of California, Santa Cruz
, 1156 High Street, Santa Cruz, CA 95064
)によって操作され、かつ、例えばRosenbloom, et al., 2015
, “The UCSC Genome Browser database:2015
update,”Nucleic Acids Research 43, Data
base Issue doi: 10.1093/nar/gku1177に記載され
た)UCSCゲノムブラウザを使用して視覚化され、読み取りの範囲および数はピーク信
号によって推論されうる。ピークの高さは、特定の領域における読取密度によって与えら
れた発現のレベルを示している。ピークをエクソン領域およびイントロン領域に一致させ
られるように、(読み取りシグナルの下に)UCSCゲノムブラウザによって遺伝子の模
式図(縮尺通りに描かれている)が提供される。このディスプレイに基づいて、保持され
たイントロンは、腎臓の上皮細胞の核分画においては高い読取密度を有するが、これらの
細胞の細胞質分画においては読み取りが非常に低いかまたは無いものとして推論された。
これは、イントロンが保持されたこと、および、イントロン含有転写産物が核内に残った
ことを示し、かつ、これらの保持されたRIC mRNA前駆体が、細胞質に排出されな
いので、非生産的であることを示唆している。
【0277】
実施例3:保持されたイントロンを標的とするASOウォークの設計
ASOウォークは、本明細書に記述された方法を使用して、保持されたイントロンを標
的とするように設計された。例えばヌクレオチド+6から+69に及ぶイントロン5’ス
プライス部位のすぐ下流の領域と、例えばイントロンのヌクレオチド-16から-79に
及ぶイントロン3’スプライス部位のすぐ上流の領域とが2’-O-Me RNA、PS
骨格、5ヌクレオチド間隔でシフトした18mer ASOで標的とされた。表1は、設
計された例示的なASOおよびそれらの標的配列を列挙する。
【0278】
【表1-1】
【0279】
【表1-2】
【0280】
実施例4:保持されたイントロンのASO標的化による改善したスプライシング効率はC
TNS転写レベルを増加させる
ASOを使用して保持されたイントロンのスプライシング効率を改善することにより、
CTNSの発現の増加を達成しうるかどうかを判定するために、本明細書に記述された方
法が使用されうる。ARPE-19細胞は、独立してRNAiMAX(Invitrog
en)送達試薬を使用し、偽トランスフェクト(mock-transfect)され、
または、CTNS標的化ASOで、または非標的化ASO対照で、トランスフェクトされ
た。実験は80nM ASOを使用して24時間行なわれた(図3BおよびC)。Taq
man qPCRの結果は、いくつかの標的化ASOが偽トランスフェクトされたものと
比較してCTNS遺伝子転写レベルを増加させることを示した。CTNS標的化ASOト
ランスフェクト細胞からのCt値をRPL32に対して正規化し、偽処理細胞からの正規
化qPCR産物と比較してプロットする。この分析の結果は、いくつかのCTNS標的化
ASOが遺伝子転写レベルを増加させることを示した。これらの結果は、ASOを用いる
遺伝子中の保持されたイントロンのスプライシングの誘導が、遺伝子発現の増加をもたら
すことを示す。全体的に、これらの結果は、ASOを用いるCTNS遺伝子中の律速イン
トロンのスプライシング効率を改善すると、CTNS遺伝子発現が増加することを示して
いる。
【0281】
実施例5:保持されたイントロンのASO標的化による改善したスプライシング効率はC
YP24A1転写レベルを増加させる
ASOを使用して保持されたイントロンのスプライシング効率を改善することにより、
CYP24A1の発現の増加を達成しうるかどうかを判定するために、本明細書に記述さ
れた方法が使用されうる。ARPE-19細胞は、独立してRNAiMAX(Invit
rogen)送達試薬を使用し、偽トランスフェクト(mock-transfect)
され、または、CYP24A1標的化ASOまたは非標的化ASO対照でトランスフェク
トされた。実験は80nM ASOを使用して24時間行なわれた(図4BおよびC)。
Taqman qPCRの結果は、いくつかの標的化ASOが偽トランスフェクトされた
ものと比較してCYP24A1遺伝子転写レベルを増加させることを示した。CYP24
A1標的化ASOトランスフェクト細胞からのCt値をRPL32に対して正規化し、偽
処理細胞からの正規化qPCR産物と比較してプロットする。この分析の結果は、いくつ
かのCYP24A1標的化ASOが遺伝子転写レベルを増加させることを示した。これら
の結果は、ASOを用いる遺伝子中の保持されたイントロンのスプライシングの誘導が、
遺伝子発現の増加をもたらすことを示す。全体的に、これらの結果は、ASOを用いるC
YP24A1遺伝子中の律速イントロンのスプライシング効率を改善すると、CYP24
A1遺伝子発現が増加することを示している。
【0282】
実施例6:保持されたイントロンのASO標的化による改善したスプライシング効率はP
PARD転写レベルを増加させる
ASOを使用して保持されたイントロンのスプライシング効率を改善することにより、
PPARDの発現の増加を達成しうるかどうかを判定するために、本明細書に記述された
方法が使用されうる。ARPE-19細胞は、独立してRNAiMAX(Invitro
gen)送達試薬を使用し、偽トランスフェクト(mock-transfect)され
、または、PPARD標的化ASOまたは非標的化ASO対照でトランスフェクトされた
。実験は80nM ASOを使用して24時間行なわれた(図6AおよびB、図6Eおよ
びF)。Taqman qPCRの結果は、いくつかの標的化ASOが偽トランスフェク
トされたものと比較してPPARD遺伝子転写レベルを増加させることを示した。PPA
RD標的化ASOトランスフェクト細胞からのCt値をRPL32に対して正規化し、偽
処理細胞からの正規化qPCR産物と比較してプロットする。この分析の結果は、いくつ
かのPPARD標的化ASOが遺伝子転写レベルを増加させることを示した。これらの結
果は、ASOを用いる遺伝子中の保持されたイントロンのスプライシングの誘導が、遺伝
子発現の増加をもたらすことを示す。全体的に、これらの結果は、ASOを用いるPPA
RD遺伝子中の律速イントロンのスプライシング効率を改善すると、PPARD遺伝子発
現が増加することを示している。
【0283】
実施例7:保持されたイントロンのASO標的化による改善したスプライシング効率は転
写レベルを増加させる
ASOでのイントロンスプライシング効率の改善により標的遺伝子の発現の増加を達成
しうるかどうかを判定するために、本明細書に記述された方法を使用した。ARPE-1
9細胞、すなわちヒトの網膜の上皮細胞株(American Type Cultur
e Collection (ATCC), USA)、またはHuh-7、すなわ
ちヒトの肝細胞腫細胞株(NIBIOHN、Japan)、またはSK-N-AS、すな
わちヒトの神経芽細胞腫細胞株(ATCC)は、図3-6および表1に記載の標的化AS
Oで、偽トランスフェクトされるか、またはトランスフェクトされる。細胞を、供給元の
仕様書に従って、Lipofectamine RNAiMaxトランスフェクション試
薬(Thermo Fisher)を用いてトランスフェクトする。簡潔に述べると、A
SOを96ウェル組織培養プレートに播種し、Opti-MEMで希釈したRNAiMa
xと組み合わせる。トリプシンを用いて細胞を剥離し、完全培地に再懸濁し、約25,0
00個の細胞をASOトランスフェクション混合物に加える。トランスフェクション実験
は三通りのプレート複製において実行される。最終的なASO濃度は80nMであった。
供給元の仕様書に従って、培地をトランスフェクションの6時間後に交換し、細胞をCe
lls-to-Ct溶解試薬を用い、DNAse(Thermo Fisher)で試薬
を補充し、24時間で採取する。供給元の仕様書に従い、cDNAをCells-to-
Ct RT試薬(Thermo Fisher)で生成される。対象のイントロンでのス
プライシングの量を定量化するために、表1に列挙した、保持されたイントロンの対応す
るエクソン-エクソンジャンクション(Thermo Fisher)に及ぶプローブで
Taqmanアッセイを用いて、定量PCRが実行される。Taqmanアッセイは、Q
uantStudio 7Flex Real-Time PCRシステム(Ther
mo Fisher)上で、供給元の仕様書に従い実行される。標的遺伝子アッセイ値を
、RPL32(deltaCt)およびプレート一致偽トランスフェクションサンプル(
delta-delta Ct)に対して正規化し、モック定量(2 ^-(delta
-delta Ct)に対して倍率変化を生成する。3つのプレート複製のモック(mo
ck)に対する平均倍率変化をプロットする(図3C図4C図6Bおよび図6F)。
標的遺伝子発現を増加させるいくつかのASOが特定され、その標的イントロンでのスプ
ライシングの増加が示唆された。標的イントロン(図3-6)の保持を示す全トランスク
リプトームデータと共に、これらの結果は、ASOが律速イントロンのスプライシング効
率を改善し得ることを確認する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
【配列表】
2022062143000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチセンスオリゴマー(ASO)又はASOをコードするウイルスベクターを含む医薬組成物であって、ASOは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δをコードする保持されたイントロン含有mRNA前駆体(RIC mRNA前駆体)の標的部分に相補的であり、RIC mRNA前駆体は、保持されたイントロン、保持されたイントロンの5’スプライス部位に隣接するエクソン、及び保持されたイントロンの3’スプライス部位に隣接するエクソンを含み、ASOとRIC mRNA前駆体との結合が、RIC mRNA前駆体を発現する細胞内で、保持されたイントロンをRIC mRNA前駆体から構成的にスプライシングさせることにより、細胞内で、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δをコードする機能的RNAのレベルを増加させ、RIC mRNA前駆体の標的部分は、保持されたイントロンの5’スプライス部位に対して+6から3’スプライス部位に対して-16までの領域内にある、前記医薬組成物。
【請求項2】
医薬として使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
腎疾患、好ましくは脂質代謝不全、慢性腎臓病(CKD)、末期腎不全(ESRD)、又は心血管疾患(CVD)の処置に使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
保持されたイントロンが、SEQ ID NO:10736、10747、10739、10743、10742、10737、10735、又は10744に対して少なくとも95%の配列同一性を備えた配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ASOが、SEQ ID NO:21~273、278~516、521~768、773~928、933~1619、1624~1876、1881~2119、2124~2371、2376~2652、2657~3343、3348~3600、3605~3843、3848~4095、4100~4255、4260~4485、4490~4728、4733~4980、4985~5140、5145~5831、5836~6098、6103~6258、6263~6949から選択される配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、又は100%の同一性を備えた配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ASOが、SEQ ID NO:21~273、278~516、521~768、773~928、933~1619、1624~1876、1881~2119、2124~2371、2376~2652、2657~3343、3348~3600、3605~3843、3848~4095、4100~4255、4260~4485、4490~4728、4733~4980、4985~5140、5145~5831、5836~6098、6103~6258、6263~6949から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を備えた配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ASOが、SEQ ID NO:21~273、278~516、521~768、773~928、933~1619、1624~1876、1881~2119、2124~2371、2376~2652、2657~3343、3348~3600、3605~3843、3848~4095、4100~4255、4260~4485、4490~4728、4733~4980、4985~5140、5145~5831、5836~6098、6103~6258、6263~6949から選択される配列に対して少なくとも97%の同一性を備えた配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ASOが、SEQ ID NO:21~273、278~516、521~768、773~928、933~1619、1624~1876、1881~2119、2124~2371、2376~2652、2657~3343、3348~3600、3605~3843、3848~4095、4100~4255、4260~4485、4490~4728、4733~4980、4985~5140、5145~5831、5836~6098、6103~6258、6263~6949から選択される配列に対して100%の同一性を備えた配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが、
i)同等の野性型タンパク質と比較して、機能が低下した形態、又は
ii)同等の野性型タンパク質と比較して、十分に機能的な形態、
で生成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ASOが、ホスホロチオエート結合又はホスホロジアミデート結合を含む骨格修飾、又は修飾された糖部若しくは糖アナログを含み、該修飾された糖部若しくは糖アナログが、ホスホロジアミデートモルホリノ、ロックド核酸、ペプチド核酸、2’-O-メチル部分、2’-フルオロ部分、あるいは2’-O-メトキシエチル部分を含んでいてもよい、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ASOが、8~50の核酸塩基からなる、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
処置すべき被験体において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δの量又は活性が不足している、請求項2~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
処置すべき被験体において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δの量又は活性が不足しており、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δの量の不足がペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δのハプロ不全によって引き起こされ、ここで被験体は、機能的なペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δをコードする第1の対立遺伝子、及びペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが生成されない第2の対立遺伝子、又は非機能的なペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δをコードする第2の対立遺伝子を有し、ASOは、第1の対立遺伝子から転写されたRIC mRNA前駆体の標的部分に結合する、請求項2~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
処置すべき被験体において、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δの量又は活性が不足しており、被験体は、
(a)
(i)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが、野生型対立遺伝子からの生成と比較して減少したレベルで生成されるか、
(ii)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが、同等の野性型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δと比較して機能が低下した形態で生成されるか、あるいは、
(iii)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが生成されない、
第1の変異対立遺伝子と、
(b)
(i)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが、野生型対立遺伝子からの生成と比較して減少したレベルで生成されるか、
(ii)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが、同等の野性型ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δと比較して機能が低下した形態で生成されるか、あるいは、
(iii)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δが生成されない、
第2の変異対立遺伝子とを有し、
ここで、被験体が第1の変異対立遺伝子(a)(iii)を有するとき、第2の変異対立遺伝子は(b)(i)あるいは(b)(ii)であり、ここで、被験体が第2の変異対立遺伝子(b)(iii)を有するとき、第1の変異対立遺伝子は(a)(i)あるいは(a)(ii)であり、ここで、RIC mRNA前駆体は、(a)(i)あるいは(a)(ii)である第1の変異対立遺伝子、又は(b)(i)あるいは(b)(ii)である第2の変異対立遺伝子から転写される、請求項2~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ASOが、くも膜下腔内注射、脳室内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は静脈内注射による投与用である、請求項2~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】