(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062176
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】注射器デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220412BHJP
A61M 39/28 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
A61M5/168 506
A61M39/28
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015712
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2020521553の分割
【原出願日】2018-10-15
(31)【優先権主張番号】62/572,692
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー アンソニー ソルター
(72)【発明者】
【氏名】オリバー チャールズ ゲイズリー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オーブリー プランプトル
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ アレクサンダー シニア
(72)【発明者】
【氏名】ガレス ジェームズ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マルコム スタンリー ボイド
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル エドゥアルド ナダル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ある用量の流体が針を介して患者に送達された後、駆動アセンブリが針アクチュエータアセンブリの可動部分を動かしてチューブの一部に接触させ、チューブをチューブクリンプ配置に部分的に押し付け、チューブを通る流体の流れを制限する注射器デバイスを提供する。
【解決手段】ハウジング320と、流体の容器と、作動時に容器から流体を排出する駆動アセンブリと、患者に流体を注入する針と、針がハウジング内にある使用前位置、針の一部がハウジングから突出する使用位置および流体送達完了後に針がハウジング内にある使用後位置の間で針を移動させるために駆動アセンブリによってバイアスされた可動部分を含む針アクチュエータ本体362と、容器と流体連通しているチューブ310および容器から針に流体を導くための針を含む流路アセンブリと、チューブを係合して流体の流れを遮断するチューブクリンプ配置302とを備える。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
流体を収容するように構成された前記ハウジング内に配置された容器と、
前記ハウジング内に配置され、作動時に前記容器から前記流体を排出するように構成された駆動アセンブリと、
患者に前記流体を注入するための針と、
前記針が前記ハウジング内にある使用前位置、前記患者に前記流体を送達するために前記針の少なくとも一部が前記ハウジングから突出する使用位置、および前記流体の送達が完了した後に前記針が前記ハウジング内にある使用後位置の間で前記針を移動させるために前記駆動アセンブリによってバイアスされた可動部分を含む針アクチュエータアセンブリと、
前記容器と流体連通しているチューブ、および前記容器から前記針に流体を導くための前記針を含む、前記ハウジング内の流路アセンブリと、
前記チューブを係合して前記チューブを通る流体の流れを遮断するように構成されたチューブクリンプ配置と、を備え、
ある用量の前記流体が前記針を介して前記患者に送達された後、前記駆動アセンブリは、前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分を動かして前記チューブの一部に接触させ、これにより、前記チューブを前記チューブクリンプ配置に対して少なくとも部分的に押し付けて、前記チューブを通る流体の流れを制限する、ことを特徴とする注射器デバイス。
【請求項2】
前記ハウジングは、頂部カバーおよび底部カバーを含み、前記容器、駆動アセンブリ、針、流路アセンブリ、およびチューブクリンプ配置を少なくとも部分的に囲むように一緒に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項3】
前記チューブクリンプ配置は、前記ハウジングの前記頂部カバーの内面から内側に延びるエッジ部材を含み、前記エッジ部材は、前記チューブに係合して、前記チューブを通る流体の流れを遮断するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の注射器デバイス。
【請求項4】
前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分が、前記チューブの一部を前記ハウジングの前記頂部カバーに向かって移動させ、それによって前記チューブを前記エッジ部材に押し付ける角度の付いた表面を含むくさび(wedge)部材を備える、ことを特徴とする請求項3に記載の注射器デバイス。
【請求項5】
前記くさび部材は、前記チューブの一部を前記エッジ部材に向かって約0.5mmの距離だけ動かして、前記チューブを通る流体の流れを制限する、ことを特徴とする請求項4に記載の注射器デバイス。
【請求項6】
前記チューブクリンプ配置は、円形断面を有する少なくとも1つのガイド構造を含み、前記チューブの一部は、前記少なくとも1つのガイド構造の周りに配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項7】
前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分が、前記チューブの一部を少なくとも1つのガイド構造に押し付け、それによって、前記チューブにねじれを生じさせて、前記チューブを通る流体の流れを制限する、ことを特徴とする請求項6に記載の注射器デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングは、頂部カバーおよび底部カバーを含み、前記容器、駆動アセンブリ、針、流路アセンブリ、およびチューブクリンプ配置を少なくとも部分的に囲むように一緒に取り付けられ、
前記チューブクリンプ配置は、前記底部カバーから内側に延びるくさび形の部分を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項9】
前記チューブクリンプ配置は、針アクチュエータ本体から延びるクランプを含み、前記クランプは、流体の流れを制限するために前記チューブを受け入れるように構成された少なくとも1つのチャネルを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項10】
作動すると、前記駆動アセンブリは、前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分に、前記チューブクリンプ配置に対して前記チューブを自動的に押し付ける、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項11】
作動すると、前記駆動アセンブリは、前記針アクチュエータアセンブリに、前記針を前記使用前位置から前記使用後位置に自動的に移行させる、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項12】
前記駆動アセンブリは、前記容器内でストッパを動かして前記容器から前記流体を分配するように構成された少なくとも1つのプランジャ部材と、前記少なくとも1つのプランジャ部材を前記ハウジングを通して動かして前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分を前記ハウジングを通して動かすように構成された少なくとも1つの付勢部材とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項13】
前記付勢部材が圧縮ばねを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の注射器デバイス。
【請求項14】
前記付勢部材が、前記少なくとも1つのプランジャ部材および前記針アクチュエータアセンブリの前記可動部分に1N以下の力を及ぼす、ことを特徴とする請求項12に記載の注射器デバイス。
【請求項15】
前記チューブは、0.7mm以下の直径を有する可撓性の単層チューブを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【請求項16】
前記容器に入る前記流体が、前記患者に注射される液体薬物を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の注射器デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年10月16日に出願された「薬物送達デバイス用のチューブクリンプ配置」という名称の米国仮出願第62/572,692号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、注射によって患者の体内に流体を送達するための薬物送達すなわち注入デバイス、および方法に関し、特に、流体の送達が完了した後に流体がデバイスから漏れることを防止するために、流体ロックを自動的に提供するように構成されている薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
訓練を受けていない担当者が薬液やその他の液体治療製剤を投与したり、自己注射したりできるように、さまざまなタイプの自動注射デバイスが開発されている。一般に、これらのデバイスは、液体治療製剤があらかじめ充填されたリザーバと、使用者によってトリガーされ得るある種の自動針注入メカニズムを含んでいる。投与される流体または薬物の容量が、一般に、1mLなどの特定の容量を下回る場合には、典型的には、約10~15秒の注入時間を有する自動注射器が、通常、使用される。投与される流体または薬物の量が1mLを超えるときには、一般的に注射時間が長くなり、患者がデバイスと患者の皮膚の標的領域との間の接触を維持することが困難になる。さらに、投与される薬物の量が多くなるほど、注射時間を長くすることが望ましい。薬物を患者にゆっくりと注入する従来の方法は、IV(静脈注射)を開始し、薬物を患者の体内にゆっくりと注入することである。このような手技は、通常、病院または外来で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2013/155353
【特許文献2】国際公開番号WO2014/179774
【特許文献3】国際公開番号WO2015/081337
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特定のデバイスは、家庭環境での自己注射を可能にし、液体治療製剤が患者の皮膚に徐々に注射されてもよい。場合によっては、これらのデバイスは、液体治療製剤が患者に注入されている間に、それらが患者によって、「着用」され得るのを許容するように、(高さと全体のサイズの両方で)十分に小さい。これらのデバイスは、液体治療製剤をリザーバから注射針に強制的に流すために、典型的には、ポンプまたは他のタイプの放出機構を含んでいる。そのようなデバイスはまた、典型的には、液体治療製剤を適切な時刻に流れ始めさせるための弁ないしは流れ制御機構、および注射を開始するためのトリガー機構を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、薬剤を注射するための薬物送達システムが提供される。システムは、薬剤を受容するように構成された容器、作動するとき、容器から薬剤を放出するように構成された駆動アセンブリ、患者に薬剤を注射するための針、流体を容器から針に導くため容器に流体連通するチューブを備える流路アセンブリ、および、チューブを通る流体の流れを遮断するべくチューブと係合するように構成されたチューブクリンプ配置を含んでいる。駆動アセンブリは、薬剤の投与量が針を介して患者に送達された後に、チューブクリンプ配置をチューブに係合させる。
【0007】
いくつかの例では、作動時に、駆動アセンブリが自動的にチューブクリンプ配置をチューブに係合させる。選択肢として、システムは、容器、駆動アセンブリ、針、流路アセンブリ、およびチューブクリンプ配置の少なくとも一部分を囲むハウジングをさらに備えている。ハウジングは、底部カバーに係合される頂部カバーを含んでもよい。
【0008】
いくつかの例では、システムは、付勢部材によって付勢され、針を使用前位置、患者への薬剤送達のための使用位置、および薬剤の送達が完了した後の使用後位置の間で移動するように構成される可動部分を有する針アクチュエータアセンブリをさらに含んでいる。選択肢として、システムは、容器、駆動アセンブリ、針、流路アセンブリ、およびチューブクリンプ配置の少なくとも一部分を囲むハウジングをさらに含む。針は、使用前と使用後の位置で、ハウジング内に引き込まれてもよい。針の少なくとも一部分は、使用位置において、ハウジングから延伸され得る。
【0009】
いくつかの例では、使用位置と使用後位置との間の針アクチュエータアセンブリの移行によって、チューブクリンプ配置がチューブと係合する。例えば、作動時に、駆動アセンブリは、針アクチュエータアセンブリが使用位置と使用後位置との間で針を自動的に移行させるのを生じさせることができる。
【0010】
いくつかの例では、チューブクリンプ配置は、針アクチュエータアセンブリの可動部分との接触によって、チューブに向かって駆動されるように構成された少なくとも1つのチューブクリンプ部材を含んでいる。選択肢として、システムは、容器、駆動アセンブリ、針、および流路アセンブリの少なくとも一部分を囲むハウジングをさらに含む。少なくとも1つのクリンプ部材は、ハウジングの一部分に回動可能(pivotally)に取り付けられた1つまたは複数の可撓性ブレードを含んでいてもよい。針アクチュエータアセンブリの可動部分は、そこから延びる1つ以上のピンを含んでいてもよい。ピンは、可撓性ブレードをチューブに向かって駆動するべく可撓性ブレードに接触するように構成されてもよい。
【0011】
いくつかの例では、システムは、容器、駆動アセンブリ、針、および流路アセンブリの少なくとも一部分を囲むハウジングをさらに含んでいる。少なくとも1つのクリンプ部材は、ハウジングの一部分に回動可能に取り付けられ、それらの間にギャップを画定する2つの可撓性ブレードを含んでもよい。針アクチュエータアセンブリの可動部分は、ギャップを拡張するべく、2つの可撓性ブレードを互いから離れて撓ませるように配置されたピンの第1セットと、2つの可撓性ブレードをチューブに接触させるべく互いに向かって駆動するように配置されたピンの第2セットを含んでいてもよい。選択肢として、針アクチュエータアセンブリの可動部分は、ピンの第1セットと可撓性ブレードとの間の接触によってギャップが拡張されるときに、チューブをギャップ内に押し込むように構成された隆起部を含んでいる。
【0012】
いくつかの例では、針アクチュエータアセンブリの付勢部材は、チューブクリンプ配置に1N以下の力を及ぼす。いくつかの例では、チューブは、直径が0.7mm以下の可撓性の単層チューブである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の上記および他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せての本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、本開示自体がよりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明の一態様による薬物送達システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの頂面図であり、ハウジングの頂部カバーが取り外されおよび使用前の位置にある薬物送達システムを示している。
【
図3】
図3は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図であり、使用前の位置にある薬物送達システムを示している。
【
図4】
図4は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの頂面図であり、ハウジングの頂部カバーが取り外されおよび初期作動位置にある薬物送達システムを示している。
【
図5】
図5は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの頂面図であり、ハウジングの頂部カバーが取り外されおよび使用位置にある薬物送達システムを示している。
【
図6】
図6は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図であり、使用位置にある薬物送達システムを示している。
【
図7】
図7は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの頂面図であり、ハウジングの頂部カバーが取り外されおよび使用後の位置にある薬物送達システムを示している。
【
図8】
図8は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図であり、使用後の位置にある薬物送達システムを示している。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの駆動アセンブリの断面図であり、駆動アセンブリの使用前位置を示している。
【
図9B】
図9Bは、本発明の一態様による
図9Aの駆動アセンブリの断面図であり、駆動アセンブリの使用位置を示している。
【
図9C】
図9Cは、本発明の一態様による
図9Aの駆動アセンブリの断面図であり、駆動アセンブリの使用後の位置を示している。
【
図10】
図10は、本発明の一態様による薬物送達システムの別の頂面図であり、ハウジングの頂部カバーが取り外されおよび使用後の位置にある薬物送達システムを示している。
【
図11】
図11は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの針アクチュエータアセンブリの針シャトルの左側斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の一態様による
図1の薬物送達システムの正面断面図であり、使用前の位置にある流路アセンブリおよび薬物送達システムを示している。
【
図13】
図13は、本発明の一態様によるチューブクリンプ配置を含む薬物送達システムの一部分の断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの頂部カバーの内面の一部分の斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの針アクチュエータアセンブリの一部分の斜視図である。
【
図16】
図16は、システムが使用後の位置にある、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの別の断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの頂部カバー内面の一部分の斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの頂部カバーの内部表面の一部分の別の斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の一態様による
図13の薬物送達システムの頂部カバーの内面の斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の一態様によるチューブクリンプ配置を含む別の例示的な薬物送達システムの一部分の断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の一態様によるチューブクリンプ配置を含む薬物送達システムの一部分の別の断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の一態様によるチューブクリンプ配置を含む別の例示的な薬物送達システムの概略図である。
【
図23】
図23は、本発明の一態様による別の例示的なチューブクリンプ配置を含む薬物送達システムの一部分の断面図である。
【
図24B】24Bは、本発明の態様による
図23に示されるのと同様なチューブクリンプ配置の概略図である。
【
図25】
図25は、本発明の一態様による別の例示的なチューブクリンプ配置を含む薬物送達システムの一部分の断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の一態様による
図25の薬物送達システムの一部分の線26で取られた別の断面図である。
【0014】
対応する参照文字は、いくつかの図面にわたって対応する部分を示している。本明細書に記載されている例示は、本開示の例示的な態様を示しており、そのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される、説明された実施形態を作成および使用できるようにするために提供されている。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、および代替は、当業者には、容易に明らかであろう。そのような修正、変形、等価物、および代替のありとあらゆるものは、本発明の精神および範囲内にあることが意図されている。
【0016】
以下の説明のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「横」、「縦」、およびそれらの派生語は、図面で方向付けられているように、本発明に関係するものとする。しかしながら、本発明は、明確に反対に特定されている場合を除いて、様々な代替の変形を想定し得ることが理解されたい。また、添付の図面に示され、且つ以下の明細書に記載される特定のデバイスは、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定するものと見なされるべきではない。
【0017】
流体薬物を患者に注射するための注射器デバイスを含む薬物送達システムが提供される。注射器デバイスは、所定の期間にわたって流体物質の注入を提供するように構成されてもよい。注射器デバイスは、着用可能であり、患者に取り付けられるように構成されてもよい。いくつかの例では、注射は、使用者がシステムまたはデバイスを一旦作動させると、患者によるさらなる操作なしに注射が行われることを意味する、自動的に起こってもよい。いくつかの例では、注射器デバイスは、デバイスを使用前位置、使用位置、および使用後位置の間で移行させる駆動機構を含む。例えば、注射器デバイスを様々な位置を介して移行させることは、針をデバイスから延伸させて患者に挿入させること、流体薬物を注射器デバイスの容器またはリザーバから針を通して患者に放出すること、および、安全に廃棄するために、針をデバイスに戻して後退させることを含んでいてもよい。注射器デバイスは、流体の漏れを防ぐために、注入が完了した後に針の先端を覆うカバーまたはパッドを含んでいてもよい。
【0018】
いくつかの例では、注射器デバイスは、注射器デバイスを通して流体を輸送するための流路アセンブリを含んでいる。流路アセンブリは、流体を容器またはリザーバから針に輸送するための可撓性チューブまたは導管を含んでいてもよい。いくつかの例では、注射器デバイスは、注入が完了した(例えば、投与終了)後に、チューブまたは導管の流体ロックを達成するように構成されたチューブクリンプ配置を含んでいる。流体ロックは、針パッドまたはカバーによって提供される保護を補足することができ、特に、注入が完了するとき、流体が注入器デバイスから漏れたり流れたりするのを防ぐことができる。チューブのクリンプ配置は、投与終了時の流体の漏れを防止するべく、チューブが自動的にクリンプされるように、注射器デバイスの他の付勢または移動機構と結合されてもよい。例えば、デバイスを使用位置と使用後位置との間で移行させるための駆動機構の動きは、本明細書で論じられるように、チューブまたは導管を圧縮しそこを通る流体の流れを防ぐべく、チューブまたは導管に対してクリンプまたは締め付け構造を駆動することにより、チューブクリンプ配置を作動させることができる。
【0019】
例示的な流体送達システム
図1~12に示されるように、本発明の一態様による薬物送達システム10は、駆動アセンブリ12(
図2~8に示される)、容器14、バルブアセンブリ16(
図2、4、5、7、および10に示される)を有する注射器デバイス2、針アクチュエータアセンブリ18(
図2~8に示される)、およびバルブアセンブリ16から針アクチュエータアセンブリ18の針28(
図3、6、および8に示される)に流体を導くための流路アセンブリ200(例えば、
図12に示される)を含んでいる。駆動アセンブリ12、容器14、バルブアセンブリ16、針アクチュエータアセンブリ18、および流路アセンブリ200は、少なくとも部分的にハウジング20内に配置されている。
【0020】
図1に示されるように、ハウジング20は、頂部カバー22および底部カバー24から形成されるが、ハウジング20のための他の適切な配置が利用されてもよい。一態様では、注射器デバイス2は、使用者に着用または固定され、容器14内に提供された所定量の薬剤を患者への注射を介して送達するように構成されている。薬物送達システム10および注射器デバイス2は、薬剤が設定された時間内に送達される「ボーラス注射」を送達するために利用され得る。他の適切な注射量および持続時間を利用することもできるが、薬剤は最大45分の期間にわたって送達されてもよい。ボーラス投与またはボーラス送達は、速度制御を用いて行うことができ、または特定の速度制御を行わなくてもよい。システム10および注射器デバイス2は、一定の圧力で速度は可変の状態で薬剤を使用者に送達することができる。
【0021】
注射器デバイス2は、患者によるアクチュエータボタン26の係合(例えば、押し下げおよび/またはスライド)によって動作するように構成されている。アクチュエータボタン26の係合は、針アセンブリ18の針28(
図3、6、および8に示されている)をハウジング20から延ばし、そして患者の皮膚を穿刺するのを生じさせる。アクチュエータボタン26の係合はまた、針アクチュエータ(
図2~12に示される)を介して駆動アセンブリ12を作動させ、それは、流路アセンブリ200(例えば、
図12に示されている)の可撓性チューブ210を通して針28を容器14と流体連通させる。容器14が針28と流体連通すると、駆動アセンブリ12は、流体または薬剤を容器14から針28を通して患者に放出する。所望の総投与量が患者に送達されると、駆動アセンブリ12は、針アクチュエータ、針アクチュエータばね、および解放フリッパーと共に、針28を使用者から引き抜いて、ハウジング20内に後退させる。例示的な薬物送達システムの一般的な動作は、特許文献1(国際公開番号WO2013/155353)および、特許文献2(WO2014/179774)に示され、説明されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。加えて、いくつかの構成では、容器14およびバルブアセンブリ16は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、特許文献3(国際公開番号WO2015/081337)に示され説明されている容器およびバルブアセンブリであってもよい。
【0022】
図1を引き続き参照するに、いくつかの例では、システム10のハウジング20は、システム10の状態に関する使用者への表示を提供するように構成されたインジケータ配置32を見るためのインジケータウィンドウ30と、容器14を見るための容器ウィンドウ31とを含んでいる。インジケータ窓30は、インジケータ配置32の明瞭な視界を提供するための拡大レンズであってもよい。いくつかの例では、インジケータ配置32が、システム10の使用中に、システム10およびデバイス2の使用前位置、使用位置、および使用後位置を表示するために、針アクチュエータアセンブリ18と共に移動する。インジケータ配置32は、デバイスの状態に関する視覚的表示を提供する。当業者によって理解されるように、聴覚または触覚インジケータのような他の適切なインジケータが、代替として、またはインジケータ配置32によって提供される視覚的表示に加えて提供されてもよい。
【0023】
図2および3に示されているように、注射器デバイス2の使用前の位置の間、容器14は、駆動アセンブリ12およびバルブアセンブリ16から離間され、針28は、後退位置にある。駆動アセンブリ12は、スペーサ構成要素を介して容器14のストッパ34と係合するように構成され、スペーサ構成要素は、容器14内の流体または薬剤の非圧縮性のせいで、容器14全体を(
図2に示されている)矢印A1の方向に最初に動かし、バルブアセンブリ16と係合させる。
【0024】
より具体的には、注射器デバイス2の最初の作動中、駆動アセンブリ12は、
図4に示されているように、容器14に係合して、容器14の閉鎖体36を貫通させ、容器14内の薬剤を(
図12に示されている)流路アセンブリ200を介して針28と流体連通状態に置くバルブアセンブリ16に向けて容器14を移動させる。システム10の初期作動は、以下により詳細に論じられるように、針アクチュエータアセンブリ18および駆動アセンブリ12を解放させる、使用者(例えば、患者または介護者)によるアクチュエータボタン26の係合によって引き起こされる。初期の作動中、針28は依然として後退位置にあり、システム10の使用者に注射するべく、延伸位置に移動しようとしている。
【0025】
図5および6に示されるように、デバイス2が使用位置に移行するとき、針28は少なくとも部分的にハウジング20の外側にある延伸位置にあり、駆動アセンブリ12は、容器14内のストッパ34を動かして、薬剤を容器14から針28を通して患者に送達させる。使用位置では、バルブアセンブリ16が既に容器14の閉鎖体36を貫通して、容器14を針28と流体連通させており、これはまた、流体が容器14から分配され得るので、駆動アセンブリ12がストッパ34を矢印A2(
図4および5)によって示されるように、容器14に対して移動させることを許容する。
【0026】
注射器デバイス2の使用後の位置では、
図7および
図8に示されているように、針28は、後退位置(
図8に示されている)にあり、針28を封止し、容器14からの流体または薬剤の残りの流れを防止するべく、パッド38と係合している。加えて、以下で説明するように、(例えば、
図12に示されている)流路アセンブリ200のチューブクリンプ配置202(
図13~18に示されている)が、流体がチューブ210を通過して針28に達するのを阻止する流体ロックを提供するべく、チューブ210をクリンプまたはクランプする。いくつかの例では、チューブクリンプ配置202は、駆動アセンブリ12によって、および/またはデバイス2が使用位置から使用後位置に移行するときにハウジング20を通って移動するデバイスの他の部分の動きによって駆動される。
【0027】
駆動アセンブリ
図2~
図8を参照するに、本発明の一態様による駆動アセンブリ12が示されている。上述のように、駆動アセンブリ12は、容器14を矢印A1(
図2に示されている。)の方向に移動させて、容器14の閉鎖体36を貫通させ、そしてまた、流体または薬剤を容器14から分配するために、矢印A2(
図4および5に示されている)の方向にストッパ34を容器14内で移動させるように構成されている。いくつかの例では、駆動アセンブリ12は、複数の別個の充填容量範囲を分配するように構成されてもよい。例えば、駆動アセンブリ12は、ハウジング20を通る駆動アセンブリ12の並進を制限または限定するためのいくつかのストップまたはスペーサを含むことができ、それにより、容器14から排出される流体の量を制限する。一例では、注射器デバイス2は、13の別個の流体容量または用量を患者に送達することが可能である。望ましい注射量は、この構成でデバイスアセンブリおよびと駆動アセンブリが組み立てられる前に、選択され得る。
【0028】
図9A~9Cを参照するに、プランジャ部材52を、容器14を通して前進させる駆動アセンブリ12の要素が詳細に示されている。いくつかの例では、駆動アセンブリ12は、第1のプランジャ部材52、第1のプランジャ部材52によって受け取られる第2のプランジャ部材54、第1の付勢部材56、第2の付勢部材58、プランジャ作動部材60、およびインデックス部材70を含んでいる。第1のプランジャ部材52は、第1のプランジャ部材が容器14から薬剤を投与するために容器14内の(
図2~
図8に示されている)ストッパ34を移動させるべく構成された状態で、使用前の位置(
図9Aに示されている)から(
図9Bに示されている)使用位置、(
図9Cに示されている)使用後の位置まで、移動可能である。
【0029】
第1のプランジャ部材52は、軸方向に移動するように構成されている。第2のプランジャ部材54および第1のプランジャ部材52は、第1のプランジャ部材52が所定の軸方向距離を移動した後に、軸方向に移動するように構成される第2のプランジャ54と入れ子式構成を形成する。第1および第2のプランジャ部材52、54の動きは、圧縮ばねである第1および第2の付勢部材56、58によって提供されるが、付勢部材56、58については他の適切な構成を利用してもよい。
【0030】
プランジャ作動部材60の駆動面40は、注射器デバイス2が使用前位置から使用位置へ、使用後位置へ移行するとき、(
図9および
図10に示される)ハウジング20を通しての針アクチュエータアセンブリ18の移動をもたらすべく(
図2~
図8に示される)針アクチュエータアセンブリ18の一部分と係合されるように構成されている。例えば、アクチュエータボタン26の係合および針アクチュエータアセンブリ18の解放後に、針アクチュエータアセンブリ18は、(
図9A~9Cにおいて)矢印A3の方向にハウジング20内を移動する。針アクチュエータアセンブリ18の最初の移動中には、針アクチュエータアセンブリ18の一部分が、プランジャ作動部材60を第1の回転位置から第2の回転位置に移動させるべく、プランジャ作動部材60の駆動面40に係合する。
【0031】
再び
図7を参照するに、第2のプランジャ部材54は、システム10の制限部材86と係合するように構成されている。制限部材86は、針アクチュエータアセンブリ18と協働して、ストッパ34の所定の投与終了位置に到達するまで、針アクチュエータアセンブリ18の使用位置から使用後位置への移動を制限する。制限部材86と針アクチュエータアセンブリ18との間のそのような係合は、ストッパ34がその投与終了位置に到達したときの制限部材86の回転によって解放される。針アクチュエータアセンブリ18の使用位置の間に、制限部材86は、制限部材86の回転が第2のプランジャ部材54との係合によって防止された状態で回転方向に付勢されている。
【0032】
図10を参照するに、いくつかの例では、針アクチュエータと組み合わされた制限部材はまた、使用者または患者が注射の状態(例えば、使用前、注射の発生、使用後または投与終了時)を識別するべく、インジケータ配置32の位置を調整するように構成されている。インジケータ配置32の動きは、窓30を通して見ることができる。より具体的には、
図10に示されるように、インジケータ配置32は、制限部材86の一部分に係合し、制限部材86と共に移動して第1の状態に達し、次にインジケータ配置は、針アクチュエータの一部分に係合し、そしてシステムの最終的な状態に達するべく針アクチュエータと共に移動する。制限部材86の動きが、例えば、使用者にシステム10の状態に関しての表示を提供するべくインジケータ配置32を回転させてもよい。
【0033】
針アクチュエータアセンブリ
図2~10を参照するに、本発明の一態様による針アクチュエータアセンブリ18が示されている。針アクチュエータアセンブリ18は、ガイド面64を有する針アクチュエータ本体62、(
図11に示される)カム面104を有する針シャトル102、および針シャトル102によって受け取られ、(
図12に示されている)流路アセンブリ200を介して容器14に流体連通するように構成される針28を含んでいる。針アクチュエータ本体62は、ガイド面64が半径方向内側に突出している概して長方形である。針シャトル102は、針アクチュエータ本体62内に受容されている。針アクチュエータ本体62は、システムが(
図2および3に示される)使用前位置、初期作動位置(
図4)、使用位置(
図5および6)および使用後位置(
図7および8)から移行するときに、ハウジング20内で移動可能である。針アクチュエータ本体62は、引張ばね106などの付勢部材を介して、使用前の位置から使用後の位置に付勢されるが、他の適切な付勢構成が利用されてもよい。針アクチュエータ本体62は、本明細書で論じられるように、アクチュエータボタン26の係合および駆動アセンブリ12および制限部材86との係合時に、解放され、使用前位置から使用位置まで自由に移動する。
【0034】
針シャトル102は、針28がハウジング20内に位置される後退位置と、針28の少なくとも一部分がハウジング20の外に延在する延伸位置との間で垂直軸に沿って移動可能である。針シャトル102は、針アクチュエータ本体62のガイド面64と針シャトル102の(
図11に示されている)カム面104との間の係合を介して、後退位置と延伸位置との間を移動するように構成されている。例えば、
図11に示されているように、カム面104は、第1のカム部材108が第2のカム部材110から離間された状態で、第1および第2のカム部材108、110によって提供される。ハウジング20は、針シャトル102上のT字形突起114を受け入れるように構成された凹部を有するガイドポストを含むが、ガイドポストおよびT字形突起114については他の形状および構成が利用されてもよい。針シャトル102は、後退位置と延伸位置との間でガイドポストに沿って動く。ガイドポスト112は直線状であり、ハウジングからほぼ垂直に延びるが、他の適切な配置が利用されてもよい。針アクチュエータ本体62のガイド面64は、非線形であってもよく、それぞれが第1の側と、第1の側の反対側に配置された第2の側とを含んでいてもよい。
【0035】
針アクチュエータ本体62のガイド面64は、針アクチュエータ本体62が使用前位置から使用後位置に軸方向に動くとき、針シャトル102を後退位置と延伸位置との間で垂直に動かすべく、針シャトル102のカム部材108、110と協働する。針シャトル102はまた、ハウジング20またはアクチュエータボタン26と係合するように構成されたシャトル付勢部材120を含んでいる。特に、シャトル付勢部材120は、ハウジング20またはアクチュエータボタン26と係合し、針アクチュエータ本体62が使用位置から使用後位置に移行しているときに付勢力を提供する。
【0036】
図7および
図8に示されているように、針アクチュエータ本体62が使用後位置に完全に移行されるとき、針シャトル102の(
図11に示されている)カム部材108、110は、針アクチュエータ本体のガイド面64から外され、上述したように、針28がパッド38と係合するように、シャトル付勢部材120が、針シャトル102を下向きに付勢する。針アクチュエータ本体62は、使用後位置に到達されるまでアクチュエータボタン26が跳ね上がるのを防ぐべく、アクチュエータボタン26と相互作用することができる。
【0037】
流路アセンブリ
図12に示されているように、注射器デバイス2はまた、流路アセンブリ200を含んでいる。一般に、流路アセンブリ200は、薬剤流体に加えて(
図13~19に示されている)チューブクリンプ配置202に接触する注射器デバイス2の要素を含んでいる。例えば、流路アセンブリ200は、(
図1~10に示されている)容器14、(
図2~10に示されている)ストッパ34、バルブアセンブリ16、および容器14とバルブアセンブリ16を接続するためのアダプタの部分を含んでいてもよい。流路アセンブリ200はまた、(
図12に示されている)接続チューブ210、チューブ210を針シャトル102に接続するためのポートまたは針ハブ212、および針28を含んでいる。流路アセンブリ200は、注射器デバイス2の他の構成要素とは別に提供されてもよく、そして、使用前に注射器デバイス2に挿入されてもよい。その場合、流路アセンブリ200には、ハウジング20の底部カバー24に設置する前に、流路アセンブリ200の構成要素を保持するための使い捨てリテーナが設けられてもよい。
【0038】
流路アセンブリ200をハウジング20内に設置または組み立てるためには、設置者は、使い捨てリテーナから可撓性のチューブ210を巻き戻す。次に、設置者は、針ハブまたはポート212をチューブ210の端部に接続し、そしてチューブ210の他端を容器14および/またはバルブアセンブリ16に接続する。次に、設置者は、針ハブまたはポート212を針シャトル102のアーム部分の端部に固定し、そして容器14およびバルブアセンブリ16をハウジング20の底部カバー24のそれぞれの部分に挿入する。設置者は、その後、
図12に示されているように、針アクチュエータ本体62の頂面214に対して、チューブ210の一部分を配置または固定する。バルブモジュールの流体経路はプライマリ容器の組み立てとは独立になされるサブアセンブリであり、そして底部ケースに組み立てられているので、バルブモジュールはプライマリ容器に物理的にリンクされていないことに留意されたい。
【0039】
チューブクリンプ配置
図13を参照するに、頂部ケースはまた、注射器デバイス2が使用後または投与終了位置に移行するときに、チューブ210に流体ブロックを生成するために(
図12に示されている)チューブ210をクリンプする構造を含んでいる。総称して、これらの構造は、本明細書では、チューブクリンプ配置202と呼ばれる。いくつかの例では、
図13および14に示されているように、チューブクリンプ配置202は、針アクチュエータアセンブリ18の動きによって、チューブ210の一部分に向かって駆動されるように構成された1つまたは複数のクリンプ部材を含んでいる。本明細書で論じられるように、針アクチュエータアセンブリ18は、使用後状態に移動するべくボタンによって解放され、次いで、アセンブリ12および(
図2~8に示されている)制限部材を駆動し、そして(
図2~8に示されている)針28を延伸および後退させるべく、ハウジング20を通って並進する。いくつかの例では、クリンプ部材は、ハウジング20の頂部カバー22の内面218から延びている可撓性のフィンまたはブレード216である。成形されたリビングヒンジ220が、フィンまたはブレード216がチューブ210に向かって回転または旋回することを可能にするべく、フィンまたはブレード216の基部に沿って配置されてもよい。ハウジングの頂部カバー22およびブレード216の追加の図が、
図17~19に示されている。いくつかの例では、例えば、
図14および19に示されるように、スイングゲートを形成すべく、可撓性ブレード216が並べて配置されてもよい。チューブ210は、デバイス2が使用後の位置に移行するようにブレード216が一緒に駆動されるとき、チューブ210がブレード216間でクランプないしは圧縮されるように、対向するフィンまたはブレード216の間のギャップ内に押し込まれる。可撓性ブレード216は、両ブレード216がチューブ210に向かって曲がりかつ旋回するように、ハウジング20の頂部カバー22の軸X1に対して角度付けられてもよい。例えば、ブレード216は、ブレード216がチューブ210に向かって軸方向および半径方向の両方で内側に動くように、約10度の角度が付けられてもよい。
【0040】
図13、15、および16に示されているように、可撓性ブレード216は、針アクチュエータ本体62の頂面214から延びるピン222、224などの突起によって駆動されるように構成されてもよい。ピン222、224は、針アクチュエータ本体62がハウジング20を通って並進するときに、ピン222、224が可撓性ブレード216に接触し、ブレード216がチューブ210の周りを締め付けまたはクランプして、それを通る流体の流れを遮断するように位置されている。
【0041】
いくつかの例では、アクチュエータ本体62の頂面214は、針アクチュエータ本体62の頂面214に配置され、ブレード216に順次方式で接触するように配置された2対のピン(例えば、前方ピン222および後方ピン224)を含んでいる。針アクチュエータ本体62の頂面214はまた、前方ピン222と後方ピン224との間の表面に沿って延びる隆起226(
図15に示されている)を含んでもよい。場合によっては、ピン222、224間の間隔が、所望の方法でチューブ210をクリンプするのに十分であるように、前方ピン222が頂面214の延長部分228上に配置されてもよい。前方ピン222は、例えば、
図16に示されるように、ブレード216を開くまたは広げるように配置された傾斜面230を含んでいてもよい。傾斜面230は、対向するブレード216が押し離されて、それらの間のギャップが増大するように、針アクチュエータ本体62の長手方向軸X2(
図15に示されている)に対して角度付けられていてもよい。
【0042】
アクチュエータボタン26を押し下げおよび/または並進させることによって引き起こされる注射器デバイス2の作動中、針アクチュエータ本体62は、針アクチュエータ本体62の前部が
図16の矢印B1の方向におけるその一端部に到着するように、ガイド面64に沿って向けられる。揺動運動の結果として、前方ピン222は効果的に持ち上げられ、可撓性ブレード216に接触する。例えば、本明細書で論じられるように、ピン222の傾斜面230がブレード216に接触してもよい。前方ピン222と可撓性ブレード216との間の接触は、ブレード216間のギャップを拡大させるべくブレード216が広がるのを生じさせる。ブレード216間のギャップが増加するにつれて、チューブ210は、針アクチュエータ本体62上の隆起226によって、ギャップ内に押し上げられる。いくつかの例では、ギャップは、注射器デバイス2の作動前は約0.5mmであってもよい。ブレード216が前方ピン222によって広げられているとき、ギャップは約0.7mmにまで拡大されてもよい。
【0043】
上述の方法で流体の投与量が患者に送達された後、注射器デバイス2は、使用位置から使用後位置に移行する。使用後位置への移行中、針アクチュエータ本体62は、ガイド表面64に沿ってハウジング20を通って並進し、針28を後退させる。いくつかの例では、ガイド表面64に沿った針アクチュエータ本体62の最後の動き(例えば、最後の数ミリメートルの動き)により、後方ピン224が可撓性ブレード216を前方および半径方向内向きに撓ませ、ブレード216が可撓性チューブ210を挟みないしはクランプするのを生じさせる。望ましくは、後部ピン224からブレード216に加えられる圧力の結果として、チューブ210の挟みまたはクランプを維持するのに必要な力は最小化され、好ましくは、約1N以下である。
【0044】
付勢部材または引張ばね106によって加えられる力は、以下の方法で最小化され得る。引張ばね106の力の下で、ブレード216は、ブレード216間のギャップを最小化するために、1mmから2mmの距離だけ動かされてもよい。この位置において、各ブレード216は、針アクチュエータ本体62に約0.5Nの力を及ぼす。これは、約1Nの総力が、針アクチュエータ本体62および引張ばね106によって提供されることを意味する。チューブ210をクランプまたは締め付けるべくブレード210を動かすことは、チューブ210が圧縮され、それにより、チューブ210に横方向または側方荷重を生じさせる。横方向の力すなわち横荷重は約3Nである。チューブを挟むべくブレードが回転して内側に曲がると、横方向または側方荷重は増加するが、軸方向の力は減少し、この減少した力は、針アクチュエータ本体62および引張りばね106によってブレード216を介して提供されねばならない。チューブ210を締め付けるまたはクランプするための引張りばね106によって加えられる力のこの減少は、トグル動作を示唆している。例えば、チューブ210の締め付けまたはクランプを維持するために針アクチュエータ本体62および引張ばね106によって必要とされる残留力が最小であるように、チューブ210は、可撓性ブレード216のオーバーセンタリング(over-centering)またはトグル動作を可能にするように配置されてもよい。
【0045】
3Nの横方向または側方荷重は、約0.7mmの二重壁厚を有する薄壁チューブの流れを封じ込めるのには十分であると考えられている。他の例では、約1.3mmの二重壁厚を有する厚壁チューブが使用されてもよい。しかしながら、厚い壁のチューブを使用する場合、チューブを通る流れを封じ込めるためには、わずかに大きな力または圧縮が必要になる場合があり得る。ブレード216がチューブ210に接触し、それを締め付けるようにするためには、ブレード216のリビングヒンジ220が十分な可撓性を維持することを保証すべく、注意が払われる必要がある。要素解析は、射出の最大せん断速度が40,000未満であることを示している。場合によっては、薬物送達デバイスを使用して実施される注射は、可撓性ブレード216のリビングヒンジ220が剪断による凍結を防止するべく、標準の注射よりもわずかに速く実施されるべきである。
【0046】
追加の例示的なチューブクリンプ配置
可撓性チューブ310用のチューブクリンプ配置302を備えた注射器デバイス300の別の例が、
図20および
図21に示されている。前述の例のように、デバイス300は、頂部カバー322および底部カバー324から形成されたハウジング320を含んでいる。チューブクリンプ配置302は、前述の実施形態のピンおよび可撓性ブレードを、頂部カバー322の内面318から内向きに延びる鋭いエッジ316および針アクチュエータ本体362のくさび326で置き換えることにより、簡略化されている。くさび326は、チューブ310を鋭いエッジ316に向かって駆動してチューブ310を圧縮し、それによってそれを通る流体の流れを遮断するように位置されている。前述のように、投与終了時に、針アクチュエータ本体362は、矢印C1の方向にハウジング20を通って並進する。ハウジング320を通る針アクチュエータ本体362の動きは、チューブ310を鋭いエッジ316に向けて押す。小さな孔のチューブは、約1mmの圧縮のみを必要としている。したがって、針アクチュエータ本体62は、針アクチュエータ本体362のくさび326と頂部カバー322のエッジ316との間のギャップを閉じるために、チューブ310を約0.5mmだけ鋭いエッジ316に向かって移動させる必要がある。
【0047】
可撓性チューブ410用のチューブクリンプ配置402を含む注射器デバイス400の別の例が
図22に示されている。チューブクリンプ配置402は、チューブ410をねじって、それを通る流体の流れを遮断するように構成されてもよい。チューブ410は、チューブ410に曲がりを与えるべく、チューブ410の一部分411がガイド構造416の周りに湾曲されるように、注射器デバイス400のハウジング420内に配置されてもよい。例えば、ガイド構造(単数または複数)416は、チューブ410を湾曲した経路に方向付けるポストまたは突起であってもよい。針アクチュエータ本体462が投与量終了時にハウジング420を通って並進するとき、針アクチュエータ本体462の一部分426が、チューブ410の湾曲部分411に押し付けられて、チューブ410にねじれを設置する。具体的には、チューブ410の湾曲部分411は、ねじれを生成するべくガイド構造416に対して矢印Dの方向に押し付けられる。
【0048】
可撓性チューブ510用のチューブクリンプ配置502を含む注射器デバイス500の別の例が、
図23-24Bに示されている。
図23に示されているように、および前述のように、注射器デバイス500は、頂部カバー522および底部カバー524から形成されたハウジング520を含む。チューブクリンプ配置502は、ハウジング520の頂部カバー522の内面518から延びるくさび形状部分516を含んでもよい。注射器デバイス500が使用後位置に移行するときにハウジング520を通って並進する針アクチュエータ本体562は、チューブ510に対し押圧するように構成された挟持部分526を含み得る。
具体的には、
図24Aおよび
図24Bに示されているように、針アクチュエータ本体562が矢印E1の方向にハウジング520を通って駆動されるとき、くさび516は、針アクチュエータ本体562の挟持部分526を矢印E2の方向においてチューブ510に向ける。針アクチュエータ本体562の動きは、チューブ510をハウジング520の底部カバー524の一部分に対して圧縮する。いくつかの例では、底部カバー524は、針アクチュエータ本体562の挟持部分526がそれに対して押し付けられたとき、チューブ510の位置を維持するための(
図24Aに示される)突起564または保持構造を含んでいてもよい。他の例では、底部カバー524は、チューブ510を受け入れるための(
図24Bに示される)湾曲した表面566または窪みを含んでいてもよい。針アクチュエータ本体562がハウジング520を通って並進するときにチューブ510を圧縮するための他の挟み込みまたはカム構造もまた、当業者には明らかであるように、本開示の範囲内で構築され得るであろう。
【0049】
可撓性チューブ610用のチューブクリンプ配置602を含む注射器デバイス600の別の例が、
図25および
図26に示されている。前述の例のように、注射器デバイス600は、頂部カバー622および底部カバー624から形成されたハウジング620を含んでいる。針アクチュエータ本体662は、ハウジング620内に配置され、デバイス600がその使用位置から使用後位置に移行するときに、ハウジング620を通って移動するように構成されている。チューブクリンプ配置602は、針アクチュエータ本体662から延びるクランプ626を含んでいる。
図26に示されるように、クランプ626は、対向する壁632から形成されたチャネル630を含んでいる。要素628は、針アクチュエータの堅い特徴部であり、チューブ610は、使用中に要素628と共に配置される。針アクチュエータが使用後の位置に移動するとき、チューブはケースの上部の特徴部に押し込まれ、それによってチューブを挟み込み、流れを遮断する。これらは、チューブの内径の違いに必要とされる2つの異なる挟み込みに対応する2つのチャネルである。チューブは、組み立て時に、その適切な内径に関連するチューブに組み立てられ得る。
【0050】
1つの開示された態様の要素は、1つ以上の他の開示された態様の要素と組み合わせて、異なる組み合わせを形成することができ、それらのすべては、本発明の範囲内であると考えられる。
【0051】
この開示は例示的なデザインを有するものとして説明されているが、本開示は、この開示の精神および範囲内でさらに修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用する開示のあらゆる変形、使用、または適合を網羅することを意図している。さらに、本出願は、本開示が関係する当該技術分野で既知のまたは慣例的な慣行の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲内にあるような、本開示からのそのような逸脱をも網羅するべく意図されている。