(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062232
(43)【公開日】2022-04-19
(54)【発明の名称】服薬指導支援装置、服薬指導支援方法、および、服薬指導支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220412BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019966
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2020170132の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井川 大
(72)【発明者】
【氏名】谷口 智昭
(72)【発明者】
【氏名】守屋 和昭
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】文で表された患者の状況から薬剤および患者の状況に応じた服薬指導の定型文を効率的に抽出することを目的とする。
【解決手段】患者特記データベース151には、文で記載された特記事項が設定される。キーワードデータベース152には、キーワードとキーワード識別子とが設定される。定型文データベース153には、薬剤ごとに、薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定される。取得部120は、処方情報21と患者特記データベース151とキーワードデータベース152とを用いて、患者の特記事項を記載した文にキーワードが含まれているか否かを判定し、特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得する。抽出部130は、処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置において、
患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載する文に用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部と、
前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得する取得部と、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得部により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する抽出部と
を備えた服薬指導支援装置。
【請求項2】
前記服薬指導支援装置は、
前記抽出部により抽出された服薬指導定型文を表示機器に表示する表示部を備えた請求項1に記載の服薬指導支援装置。
【請求項3】
前記定型文データベースには、
前記薬剤ごとに、前記薬剤に付随する課題の種類を表す課題区分に区分される課題であって、前記課題区分が前記薬剤を処方した処方せんの記載事項を監査する薬剤監査である課題を確認するための課題定型文と、前記課題区分が前記薬剤について前記患者へ説明を行うための服薬指導である課題を確認するための前記服薬指導定型文とが設定され、前記課題定型文と前記服薬指導定型文との各々に対してキーワード識別子が設定されており、
前記抽出部は、
前記定型文データベースから前記課題区分が服薬指導である服薬指導定型文を抽出する前に、前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された、前記課題区分が薬剤監査である課題定型文から、前記取得されたキーワード識別子に対応する課題定型文を抽出し、
前記表示部は、
前記抽出部により抽出された課題定型文を前記表示機器に表示する請求項2に記載の服薬指導支援装置。
【請求項4】
前記表示部は、
前記表示機器に表示された、前記課題区分が薬剤監査である課題定型文により表される課題が確認済みか否かを前記薬剤師から受け付ける受付画面を前記表示機器に表示し、
前記抽出部は、
前記受付画面を介して前記薬剤師から前記課題が確認済みである旨を受け付けると、前記定型文データベースから前記課題区分が服薬指導である服薬指導定型文を抽出する処理を開始する請求項3に記載の服薬指導支援装置。
【請求項5】
前記定型文データベースは、
前記薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導をする際に必ず用いる必須定型文を含み、
前記抽出部は、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された必須定型文を抽出し、
前記表示部は、
前記抽出部により抽出された必須定型文を前記表示機器に表示する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の服薬指導支援装置。
【請求項6】
前記定型文データベースは、
前記薬剤ごとに、前記抽出された服薬指導定型文と前記抽出された必須定型文との表示順を示す表示順情報を含み、
前記表示部は、
前記表示順情報に基づいて、前記抽出された服薬指導定型文と前記抽出された必須定型文とを前記表示機器に表示する請求項5に記載の服薬指導支援装置。
【請求項7】
薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置に用いられる服薬指導支援方法において、
前記服薬指導支援装置は、患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載する文に用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部を備え、
取得部が、前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得し、
抽出部が、前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得部により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する服薬指導支援方法。
【請求項8】
薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置に用いられる服薬指導支援プログラムにおいて、
前記服薬指導支援装置は、患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載するに用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部を備え、
前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得する取得処理と、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得処理により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する抽出処理と
をコンピュータである前記服薬指導支援装置に実行させる服薬指導支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、服薬指導支援装置、服薬指導支援方法、および服薬指導支援プログラムに関する。特に、服薬指導の支援に用いられる定型文を薬剤師に提示する服薬指導支援装置、服薬指導支援方法、および、服薬指導支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤師は、安全かつ適切に処方薬を服用してもらうために、患者に対して服薬指導を行う。また、薬剤師は、服薬指導の結果を薬歴として保管する必要がある。しかし、薬剤師の多忙さ、あるいは、経験および知識の不足といった要因により、薬歴の記載内容に過不足が生じがちである。
【0003】
従来、薬歴を作成するために、服薬指導あるいはプロブレムの定型文を提示して薬剤師を支援する機能を有する薬歴作成システムがある。しかし、この薬歴作成システムでは、表示される定型文が多過ぎて、結果として薬剤師が適切なものを選択できない。
【0004】
特許文献1には、患者に関する事実データとルール条件とに基づき、服薬指導の候補を提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-272882号公報
【特許文献2】特開2016-122253号公報
【特許文献3】特開2017-84101号公報
【特許文献4】特開2010-152701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
服薬指導においては、処方される薬剤に応じて服薬指導の内容あるいは重要度が異なる場合がある。
特許文献1の技術では、患者に関する事実データとルール条件とに基づき服薬指導の候補を提示するのみであるため、薬剤に応じた適切な服薬指導の選択は薬剤師の経験および知識に委ねられる。よって、特許文献1の技術では、薬剤に応じた適切な服薬指導の候補を効率的に提示することはできないという課題がある。
【0007】
特許文献2の技術では、薬剤師は、入力された服薬に関するシチュエーションの識別子を予め被処方者毎に蓄積しておく必要がある。患者の状況は文で記載されることが多いが、特許文献2の技術では、文で表された患者の状況から服薬関連情報を取得することはできない。
【0008】
本開示は、文で表された患者の状況から薬剤および患者の状況に応じた適切な服薬指導の定型文を効率的に抽出することにより、スピードと品質の両立を実現した服薬指導支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る服薬指導支援装置は、薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置において、
患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載する文に用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部と、
前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得する取得部と、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得部により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する抽出部とを備える。
【0010】
前記服薬指導支援装置は、
前記抽出部により抽出された服薬指導定型文を表示機器に表示する表示部を備える。
【0011】
前記定型文データベースには、
前記薬剤ごとに、前記薬剤に付随する課題の種類を表す課題区分に区分される課題であって、前記課題区分が前記薬剤を処方した処方せんの記載事項を監査する薬剤監査である課題を確認するための課題定型文と、前記課題区分が前記薬剤について前記患者へ説明を行うための服薬指導である課題を確認するための前記服薬指導定型文とが設定され、前記課題定型文と前記服薬指導定型文との各々に対してキーワード識別子とが設定されており、
前記抽出部は、
前記定型文データベースから前記課題区分が服薬指導である服薬指導定型文を抽出する前に、前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された課題定型文から、前記取得されたキーワード識別子に対応する、前記課題区分が薬剤監査である課題定型文を抽出し、
前記表示部は、
前記抽出部により抽出された課題定型文を前記表示機器に表示する。
【0012】
前記表示部は、
前記表示機器に表示された、前記課題区分が薬剤監査である課題定型文により表される課題が確認済みか否かを前記薬剤師から受け付ける受付画面を前記表示機器に表示し、
前記抽出部は、
前記受付画面を介して前記薬剤師から前記課題が確認済みである旨を受け付けると、前記定型文データベースから前記課題区分が服薬指導である服薬指導定型文を抽出する処理を開始する。
【0013】
前記定型文データベースは、
前記薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導をする際に必ず用いる必須定型文を含み、
前記抽出部は、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された必須定型文を抽出し、
前記表示部は、
前記抽出部により抽出された必須定型文を前記表示機器に表示する。
【0014】
前記定型文データベースは、
前記薬剤ごとに、前記抽出された服薬指導定型文と前記抽出された必須定型文との表示順を示す表示順情報を含み、
前記表示部は、
前記表示順情報に基づいて、前記抽出された服薬指導定型文と前記抽出された必須定型文とを前記表示機器に表示する。
【0015】
本開示に係る服薬指導支援方法は、薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置に用いられる服薬指導支援方法において、
前記服薬指導支援装置は、患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載する文に用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部を備え、
取得部が、前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得し、
抽出部が、前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得部により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する。
【0016】
本開示に係る服薬指導支援プログラムは、薬剤師による服薬指導を支援する服薬指導支援装置に用いられる服薬指導支援プログラムにおいて、
前記服薬指導支援装置は、患者の状況を表す特記事項であって文で記載された特記事項が設定された患者特記データベースと、前記特記事項を記載する文に用いられるキーワードと前記キーワードを識別するキーワード識別子とが設定されたキーワードデータベースと、薬剤ごとに、前記薬剤の服薬指導に用いる服薬指導定型文と前記服薬指導定型文に対応するキーワード識別子とが設定された定型文データベースとを記憶する記憶部を備え、
前記患者に対して処方された薬剤の情報を含む処方情報と前記患者特記データベースと前記キーワードデータベースとを用いて、前記患者の前記特記事項を記載した文に前記キーワードデータベースに設定されているキーワードが含まれているか否かを判定し、前記特記事項を記載した文に含まれているキーワードのキーワード識別子を取得する取得処理と、
前記定型文データベースにおける前記処方された薬剤に設定された服薬指導定型文から、前記取得処理により取得されたキーワード識別子に対応する服薬指導定型文を抽出する抽出処理と
をコンピュータである前記服薬指導支援装置に実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る服薬指導支援装置では、文で表された患者の状況から薬剤および患者の状況に応じた適切な服薬指導を効率的に抽出することにより、スピードと品質の両立を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1に係る服薬指導支援装置の構成例。
【
図2】実施の形態1に係る患者特記データベースの構成例。
【
図3】実施の形態1に係るキーワードデータベースの構成例。
【
図4】実施の形態1に係る定型文データベースの構成例。
【
図5】実施の形態1に係る服薬指導支援装置の動作例。
【
図6】実施の形態1に係る表示部による表示機器の表示例。
【
図7】実施の形態1の変形例1に係る定型文データベースの構成例。
【
図8】実施の形態1の変形例2に係る服薬指導支援装置の構成例。
【
図9】実施の形態2に係る患者特記データベースの構成例。
【
図10】実施の形態2に係るキーワードデータベースの構成例。
【
図11】実施の形態2に係る定型文データベースの構成例。
【
図12】実施の形態2に係る服薬指導支援装置の動作例。
【
図13】実施の形態2に係る表示部による受付画面の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。
【0020】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を用いて、本実施の形態に係る服薬指導支援装置100の構成例について説明する。
服薬指導支援装置100は、薬局等において薬剤師が用いるレセプトコンピュータといった店舗端末装置に搭載されている。あるいは、服薬指導支援装置100は、店舗端末装置とネットワークを介して通信する構成でもよい。
薬剤師は、薬局に来局した患者に対しヒアリングを行い、処方薬の服薬といった事項に関する指導を行う。このような指導は、服薬指導、あるいは投薬指導と呼ばれる。本実施の形態に係る服薬指導支援装置100は、薬剤師による服薬指導を支援するものである。
【0021】
服薬指導支援装置100は、コンピュータである。服薬指導支援装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0022】
服薬指導支援装置100は、機能要素として、受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140と記憶部150を備える。記憶部150には、患者特記データベース151とキーワードデータベース152と定型文データベース153が記憶される。
【0023】
受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の機能は、ソフトウェアにより実現される。
記憶部150は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部150は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0024】
プロセッサ910は、服薬指導支援プログラムを実行する装置である。服薬指導支援プログラムは、受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0025】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0026】
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0027】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB(Universal Serial Bus)端子である。なお、入力インタフェース930は、LAN(Local Area Network)と接続されるポートであってもよい。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器941のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0028】
通信装置950は、ネットワークを介して他の装置と通信する。通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、有線または無線で、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0029】
服薬指導支援プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、服薬指導支援プログラムだけでなく、OS(Operating System)も記憶されている。プロセッサ910は、OSを実行しながら、服薬指導支援プログラムを実行する。服薬指導支援プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている服薬指導支援プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、服薬指導支援プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0030】
服薬指導支援装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、服薬指導支援プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、服薬指導支援プログラムを実行する装置である。
【0031】
服薬指導支援プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0032】
受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えてもよい。服薬指導支援プログラムは、受付処理、取得処理、抽出処理、および表示処理といった服薬指導支援処理を、コンピュータに実行させる。また、服薬指導支援方法は、服薬指導支援装置100が服薬指導支援プログラムを実行することにより行われる方法である。
服薬指導支援プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、服薬指導支援プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る患者特記データベース151の構成例である。
図3は、本実施の形態に係るキーワードデータベース152の構成例である。
図4は、本実施の形態に係る定型文データベース153の構成例である。
【0034】
患者特記データベース151には、患者511の状況を表す特記事項515が設定される。
具体的には、患者特記データベース151には、患者識別子512、氏名513、患者情報514、および特記事項515が設定される。
患者識別子512は、患者511を一意に識別する識別子である。
氏名513には、患者の氏名が設定される。
患者情報514には、患者511の性別と年齢が設定される。性別は、例えば、男性であれば「1」、女性であれば「2」といった方式で設定される。
【0035】
また、特記事項515には、患者の健康面および生活面における特性が、項目および詳細事項として設定される。項目は詳細事項の内容のカテゴリーを示している。
具体例として、患者識別子「K123」の鈴木一郎さんは40代の男性であり、特記事項515には、項目「アレルギー」、詳細事項「過去に、卵で蕁麻疹がでたことがある。」と設定されている。これは、患者の健康面における特性である。
また、患者識別子「K345」の山田太郎さんは60代の男性であり、特記事項515には、項目「生活」、詳細事項「不定期に深夜勤務がある。」と設定されている。これは、患者の生活面における特性である。
なお、
図2の例では、特記事項515は、項目と詳細事項に分けて設定されるが、その他の設定方式でもよい。例えば、項目をさらに大項目と小項目に分けて、特記事項515を設定してもよい。あるいは、詳細事項のみを設定する方式でもよい。
【0036】
キーワードデータベース152には、特記事項515の記載に用いられるキーワード522と、キーワード522を識別するキーワード識別子521とが設定される。
具体的には、キーワード識別子521には、番号が設定される。キーワード識別子521は、キーワード番号ともいう。
キーワード522は、項目と、具体的なキーワードから構成される。項目は、キーワードの種別あるいはキーワードが用いられる背景といった、キーワードのカテゴリーを示している。
【0037】
例えば、キーワード識別子「1」には、項目「体質」とキーワード「下痢しやすい」が、キーワード522として設定されている。また、キーワード識別子「2」には、項目「アレルギー」とキーワード「卵」が、キーワード522として設定されている。
なお、
図3の例では、キーワード522は、項目と具体的なキーワードに分けて設定されるが、その他の設定方式でもよい。例えば、項目をさらに大項目と小項目に分けて、キーワード522を設定してもよい。あるいは、具体的なキーワードのみをキーワード522として設定する方式でもよい。
【0038】
定型文データベース153には、薬剤ごとに、薬剤の服薬指導に用いる定型文533と定型文533に対応するキーワード識別子とが設定される。定型文533には、服薬指導定型文535と必須定型文536が含まれる。
具体的には、定型文データベース153には、薬剤531と、定型文533を識別する定型文識別子532と、定型文533と、定型文533に対応する対応キーワード識別子534とが設定される。
薬剤531には、薬剤を表す薬剤名が設定される。あるいは、薬剤を一意に識別する薬剤識別子が設定されていてもよい。
定型文識別子532は、薬剤ごとに、定型文533を一意に識別する識別子である。
【0039】
定型文533には、対応する薬剤の服薬指導に用いる定型文が設定される。薬剤ごとの定型文533は、1つでもよいし複数でもよい。
【0040】
対応キーワード識別子534には、定型文533に対応するキーワード識別子が設定される。対応キーワード識別子534に設定されるキーワード識別子が、1つでもよいし複数でもよい。
【0041】
対応キーワード識別子534に少なくとも1つのキーワード識別子が設定された定型文533を、服薬指導定型文535と呼ぶ。
また、定型文533には、対応する薬剤の服薬指導をする際に必ず用いる必須定型文536が含まれる。必須定型文536は、キーワードの存否に関わらず、対応する薬剤の服薬指導の際には必ず用いなければならない必須の定型文である。必須定型文536の場合は、例えば、対応キーワード識別子534に「全て」と設定される。
【0042】
図4では、薬剤「A錠」について4つの定型文が設定されている。4つの定型文のうち、定型文識別子「2」、「4」は服薬指導定型文535である。定型文識別子「2」には、対応キーワード識別子「1,2,3,10,11」が設定されている。また、定型文識別子「4」には、対応キーワード識別子「4,5」が設定されている。
また、定型文識別子「1」、「3」は必須定型文536である。定型文識別子「1」、「3」には、対応キーワード識別子「全て」が設定されている。
【0043】
これらの患者特記データベース151、キーワードデータベース152、および定型文データベース153は、予め生成され記憶部150に記憶される。
例えば、患者特記データベース151に対しては、薬剤師による調剤および服薬指導業務において、新規患者の追加、患者の削除、および患者への問診あるいはヒアリングによる特記事項の変更といった更新が実施される。
また、キーワードデータベース152および定型文データベース153に対しては、薬歴を蓄積した薬歴情報の評価結果等に基づいて、管理者により更新が実施される。
【0044】
***動作の説明***
図5を用いて、本実施の形態に係る服薬指導支援装置100の動作について説明する。
服薬指導支援装置100の動作手順は、服薬指導支援方法に相当する。また、服薬指導支援装置100の動作を実現するプログラムは、服薬指導支援プログラムに相当する。
【0045】
ステップS101において、受付部110は、患者から処方情報21を受け付ける。処方情報21には、患者に対して処方された薬剤の情報が含まれる。
具体的には、患者が処方せんを持って薬局に来店し、薬剤師が調剤および服薬指導を行う際、処方せんに含まれる処方情報21を服薬指導支援装置100に入力する。
薬剤師は入力インタフェース930を介して処方せんの内容を入力する。これにより、受付部110は、薬剤に関する処方情報21と、患者の氏名、患者識別子、あるいは患者情報といった患者データとを受け付ける。
なお、患者の新規来店時には、患者の氏名、患者識別子、患者情報、あるいは特記事項といった患者データを患者特記データベース151に登録する。また、薬剤師は、すでに登録済みの患者についても、新たに確認した特記事項があれば患者特記データベース151に登録する。
【0046】
ステップS102において、取得部120は、処方情報21と、患者特記データベース151と、キーワードデータベース152とを用いて、患者511の特記事項515にキーワードデータベース152に設定されているキーワード522が含まれているか否かを判定する。取得部120は、患者特記データベース151とキーワードデータベース152とを突き合わせることにより、患者511の特記事項515にキーワード522が含まれているか否かを判定する。
【0047】
具体例として、患者識別子「K123」の鈴木一郎さんが、薬剤「A錠」の処方せんを持って、来店した場合について説明する。
取得部120は、患者特記データベース151における鈴木一郎さんの特記事項515に、キーワードデータベース152に設定されているキーワード522が含まれているか否かを判定する。
図2の例では、取得部120は、鈴木一郎さんの特記事項515に、項目「アレルギー」のキーワード「卵」が含まれると判定する。
【0048】
ステップS103において、患者の特記事項515にキーワード522が含まれていればステップS104に進み、キーワード522が含まれていなければステップS106に進む。
具体例では、鈴木一郎さんの特記事項515に項目「アレルギー」のキーワード「卵」が含まれるため、ステップS104に進む。
【0049】
ステップS104において、取得部120は、特記事項515に含まれているキーワード522のキーワード識別子521を取得する。
具体例では、取得部120は、鈴木一郎さんの特記事項515に含まれていた項目「アレルギー」のキーワード「卵」のキーワード識別子「2」を取得する。
【0050】
ステップS105において、抽出部130は、定型文データベース153における処方された薬剤に設定された定型文533から、取得部120により取得されたキーワード識別子521に対応する服薬指導定型文535を抽出する。すなわち、抽出部130は、定型文データベース153から、取得されたキーワード識別子521が、対応キーワード識別子534に設定されている服薬指導定型文535を抽出する。
具体例では、A錠の欄に設定された4つの定型文から、キーワード識別子「2」が対応キーワード識別子534に設定されている定型文識別子「2」の服薬指導定型文「継続投与の重要性を理解しているかアドヒアランスを確認する。」が、抽出される。
なお、処方された薬剤に設定された定型文533に、対応する服薬指導定型文535が存在しない場合もある。このような場合は、抽出部130は、服薬指導定型文535を抽出しない。
【0051】
ステップS106において、抽出部130は、定型文データベース153における処方された薬剤に設定された必須定型文536を抽出する。
具体例では、A錠の欄に設定された4つの定型文のうち、「全て」が対応キーワード識別子534に設定されている定型文識別子「1」,「3」の必須定型文536が、抽出される。
なお、処方された薬剤に設定された定型文533に、必須定型文536が存在しない場合もある。このような場合は、抽出部130は、必須定型文536を抽出しない。
【0052】
ステップS107において、表示部140は、抽出部130により抽出された定型文を表示機器941に表示する。
抽出部130により服薬指導定型文535および必須定型文536が抽出された場合、表示部140は、抽出部130により抽出された服薬指導定型文535および必須定型文536を表示機器941に表示する。
抽出部130により服薬指導定型文535のみが抽出された場合、表示部140は、抽出部130により抽出された服薬指導定型文535を表示機器941に表示する。
抽出部130により必須定型文536のみが抽出された場合、表示部140は、抽出部130により抽出された必須定型文536を表示機器941に表示する。
また、抽出部130が患者の特記事項515からキーワード識別子521を複数抽出し、その結果、同一内容の定型文を複数抽出した場合は、表示部140は1つの定型文のみを表示するとしてもよい。
【0053】
図6は、本実施の形態に係る表示部140による表示機器941の表示例である。
具体例では、定型文識別子「2」の服薬指導定型文535と、定型文識別子「1」,「3」の必須定型文536が、抽出される。よって、表示部140は、定型文識別子「2」の服薬指導定型文535と、定型文識別子「1」,「3」の必須定型文536とを表示機器941に表示する。
【0054】
薬剤師は、表示機器941に表示された定型文の中から服薬指導の文章を選択し、服薬指導に用いる。
服薬指導支援装置100は、表示機器941に表示された定型文と、その中から薬剤師により選択された定型文との情報を服薬指導情報として蓄積する。例えば、服薬指導支援装置100は、服薬指導情報を用いて、キーワードデータベース152あるいは定型文データベース153を更新する機能を有していてもよい。
具体的には、定型文データベース153に同一のキーワード識別子521が設定された定型文533が複数記憶されている場合、薬剤師が選択した実績を定型文533毎に記憶しておき、同一のキーワード識別子521に対応する定型文533間の優先順位を持たせることができる。その優先順位を用いて、ステップS107において表示部140は、優先順位の高い順番に定型文533を表示するように構成することができる。
【0055】
***他の構成***
<変形例1>
図7は、本実施の形態の変形例1に係る定型文データベース153の構成例である。
定型文データベースは、
図4の構成に加え、薬剤ごとに、抽出された服薬指導定型文535と抽出された必須定型文536との表示順を示す表示順情報537を含む。
例えば、服薬指導定型文535を先に表示する場合は「1」、必須定型文536を先に表示する場合は「2」といった設定方式で表示順を示す。
そして、表示部140は、表示順情報537に基づいて、抽出された服薬指導定型文535と抽出された必須定型文536とを表示機器941に表示する。
【0056】
具体例では、処方された薬剤「A錠」に対応する表示順情報537は、服薬指導定型文535を先に表示する「1」が設定されている。よって、
図6に示すように、表示部140は、服薬指導定型文535を先に表示し、必須定型文536を後に表示する。
【0057】
<変形例2>
ステップS101で受付部110が処方情報21を受け付け、処方情報21に複数の薬剤が指定されていた場合、ステップS102以降の処理は1つ1つの薬剤について個別に処理を行ってもよいし、複数の薬剤を合わせて処理してもよい。複数の薬剤を合わせて処理するときは、ステップS107の処理で処方薬と服薬指導定型文535との対応付けがわかるように表示することで、薬剤師の処理の効率化が図れる。
【0058】
<変形例3>
図8は、本実施の形態の変形例2に係る服薬指導支援装置100の構成例である。
本実施の形態では、服薬指導支援装置100における受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の機能がソフトウェアで実現される。しかし、変形例として、受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の機能がハードウェアで実現されてもよい。
【0059】
すなわち、
図8に示すように、
図1におけるプロセッサ910を電子回路909に置き換えてもよい。
電子回路909は、受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated
Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0060】
別の変形例として、受付部110と取得部120と抽出部130と表示部140の一部の機能が専用のハードウェアで実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0061】
プロセッサ910と、メモリ921と、電子回路909とを、総称して「プロセッシングサーキットリ」という。つまり、の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0062】
***本実施の形態の効果の説明***
服薬指導においては、薬剤に応じて必要な定型文の内容が異なる場合がある。本実施の形態に係る服薬指導支援装置100によれば、薬剤ごとに定型文を設定しているので、薬剤および患者の状況に応じた適切な服薬指導を効率的に抽出することができる。よって、スピードと品質の両方を兼ね備えた服薬指導の支援を行うことができる。
【0063】
また、服薬指導においては、薬剤に応じて定型文の重要度が異なる場合がある。本実施の形態に係る服薬指導支援装置100によれば、服薬指導定型文と必須定型文との表示順を示す表示順情報を設定することができるので、重要な定型文を上位に表示するといったきめ細やかな服薬指導の支援を行うことができる。
【0064】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1に追加する点および異なる点について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
本実施の形態では、薬剤に対して課題(プロブレムともいう)を設定することにより、より効率的に適切な定型文を抽出する服薬指導支援装置100について説明する。
【0065】
***構成の説明***
本実施の形態に係る服薬指導支援装置100の構成例は、実施の形態1と同様である。
【0066】
図9は、本実施の形態に係る患者特記データベース151の構成例である。
図9の患者特記データベース151の構成は
図2と同様であるが、ここでは特記事項515の設定例が異なっている。
【0067】
図10は、本実施の形態に係るキーワードデータベース152の構成例である。
図10のキーワードデータベース152の構成は
図3と同様であるが、キーワード522における項目の欄は無く、具体的なキーワードのみから構成されている点が異なる。また、キーワード522の設定例も異なっている。
【0068】
図11は、本実施の形態に係る定型文データベース153の構成例である。
本実施の形態に係る定型文データベース153には、薬剤ごとに、薬剤に付随する課題を表す課題定型文560と課題定型文560に対応するキーワード識別子とが設定されている。
【0069】
定型文データベース153には、薬剤531と、定型文識別子532と、課題区分538と、課題539と、定型文533と、対応キーワード識別子534が設定される。
薬剤531と、定型文識別子532と、定型文533と、対応キーワード識別子534については、実施の形態1と同様である。
【0070】
課題区分538には、薬剤ごとの課題の種別が設定される。課題には、薬剤監査における課題と、服薬指導における課題とがある。
課題(プロブレム)とは、患者の立場を加味し処方された薬剤を服用するにあたり問題提起を行うための確認事項である。課題は、薬剤の添付文書から作成され、薬剤に紐づけられ、薬剤監査と服薬指導に区分される。
よって、課題区分538には、薬剤監査、あるいは、服薬指導が設定される。また、課題539には、薬剤ごとの具体的な確認事項が設定される。
【0071】
薬剤監査とは、処方せんの記載事項が患者属性や他の服用薬剤等と照らし合わせて、問題がないか、また一例としては1回/1日の投与量として問題がないか等を確認する処理である。また、服薬指導とは、薬剤の効用を適切に作用させるために、患者への説明を行う処理である。
通常、薬剤師は、患者の処方せんを受け付けると、まず薬剤監査(処方監査ともいう)を実施し、その後、調剤および服薬指導を実施する。
本実施の形態に係る服薬指導支援装置100では、事故が起きる可能性が高い薬品、すなわちハイリスク薬の場合、服薬指導時に再度薬剤監査を実施することができる。
【0072】
定型文533には、薬剤ごとの薬剤監査における課題に対応するための定型文として課題定型文560が設定される。
また、薬剤ごとの服薬指導における課題に対応するための定型文は、実施の形態1で説明した服薬指導定型文535および必須定型文536である。
【0073】
なお、薬剤によっては、薬剤監査における課題539および課題定型文560は、設定しなくても構わない。例えば、服薬指導前の通常の薬剤監査で十分と考えられる薬剤の場合は、薬剤監査における課題539および課題定型文560は設定しなくてもよい。
【0074】
***動作の説明***
図12を用いて、本実施の形態に係る服薬指導支援装置100の動作について説明する。
図12では、
図5におけるステップS104以降の動作を示している。
また、本実施の形態では、患者特記データベース151における患者識別子「K567」の鈴木花子さんが、薬剤「A錠」の処方せんを持って、来店した具体例を説明する。
【0075】
ステップS101からステップS104の処理は、実施の形態1と同様である。ただし、ステップS103において、患者の特記事項515にキーワード522が含まれていなければ
図12のステップS106に進む。
【0076】
具体例では、ステップS101からステップS104の処理により、取得部120は、鈴木花子さんの特記事項515にキーワード「消化性潰瘍」が含まれると判定し、キーワード識別子「2」を取得する。
【0077】
ステップS201において、抽出部130は、定型文データベース153から服薬指導定型文535を抽出する前に、定型文データベース153における処方された薬剤に設定された課題定型文560から、取得されたキーワード識別子に対応する課題定型文560を抽出する。
抽出部130は、課題定型文560を抽出できた場合、ステップS202に進む。
抽出部130は、課題定型文560を抽出できなければ、ステップS105に進む。
【0078】
具体例では、抽出部130は、キーワード識別子「2」に対応する定型文識別子「2」の課題定型文「禁忌(消化性潰瘍、アスピリン喘息)に該当していないか確認。」を抽出する。
【0079】
ステップS202において、表示部140は、抽出部130により抽出された課題定型文560を表示機器941に表示する。そして、表示部140は、表示機器941に表示された課題定型文560により表される課題が確認済みか否かを薬剤師から受け付ける受付画面22を表示機器941に表示する。
課題定型文560が複数あれば複数の課題定型文560を表示し、薬剤師からは複数の課題定型文560を勘案した総合的な判断として、確認済みか否かの回答を受け付けることになる。
【0080】
図13は、本実施の形態に係る表示部140による受付画面22の表示例である。
具体例では、受付画面22には、キーワード識別子「2」に対応する定型文識別子「2」の課題定型文「禁忌(消化性潰瘍、アスピリン喘息)に該当していないか確認。」が表示される。表示部140は、受付画面22に表示された課題について確認済みか否かを、薬剤師にOKボタンあるいはNGボタンにより入力させる。
【0081】
ステップS203において、抽出部130は、表示機器941に表示された課題定型文560により表される課題が確認済みか否かを判定する。抽出部130は、受付画面22を介して薬剤師から課題が確認済みである旨を受け付けると、定型文データベース153から服薬指導定型文535を抽出する処理を開始する。
【0082】
具体的には、受付画面22からOKが入力されれば、処方された薬剤における薬剤監査は問題ないことを意味するので、ステップS105に進み、服薬指導定型文の抽出処理を実施する。
【0083】
一方、受付画面22からNGが入力されると、処方された薬剤における薬剤監査において疑義が生じていることを意味するので、ステップS204に進む。
薬剤監査において疑義が生じた場合、調剤を中断し、処方せんを発行した医師への疑義の照会といった処理が必要となる。よって、ステップS204において、服薬指導支援装置100は処理を中断し終了する。また、このとき、表示部140が、薬剤監査において疑義が生じた旨を表示機器941に表示し、医師への疑義の照会等を促してもよい。
【0084】
ステップS105、ステップS106、およびステップS107の処理は、実施の形態1と同様である。
【0085】
具体例では、受付画面22において、OKが入力されたものとする(ステップS202)。これにより「A錠」の薬剤監査は問題ないことが確認されたため、抽出部130は、「A錠」の服薬指導の定型文533から、キーワード識別子「2」に対応する定型文識別子「3」の服薬指導定型文「アドヒアランス(継続投与の重要性)を理解しているかを確認。」を抽出する(ステップS105)。
また、「A錠」の服薬指導の定型文533には、必須定型文536は設定されていないため、必須定型文536は抽出されない(ステップS106)。
表示部140は、定型文識別子「3」の服薬指導定型文「アドヒアランス(継続投与の重要性)を理解しているかを確認。」を表示機器941に表示する(ステップS107)。
本実施の形態においても、処方情報21に複数の薬剤が指定されていた場合、1つ1つの薬剤について個別に処理を行ってもよいし、複数の薬剤を合わせて処理してもよい。ステップS202の処理で、課題定型文560を表示し薬剤師から確認済みか否かを受け付ける処理については、処方情報21に含まれる複数の薬剤についてまとめて回答を受け付けた方が処方情報21全体の薬剤監査が即座に行える。
【0086】
***本実施の形態の効果の説明***
本実施の形態に係る服薬指導支援装置100によれば、薬剤の適正使用に関わる知見の高い薬剤師に対しても、薬剤使用による副作用あるいは事故の恐れが高い薬剤(ハイリスク薬)を中心に課題を表示することにより、再確認を図ることができる。
このように、本実施の形態に係る服薬指導支援装置100によれば、定型文データベースを課題に関する定型文で構成することにより、薬剤監査および服薬指導の両面から薬剤師業務の支援を行うことができる。
【0087】
例えば、薬剤監査および服薬指導の両方の定型文が抽出される場合、薬剤監査の方がより重要であり、調剤を中断する可能性もある。本実施の形態に係る服薬指導支援装置100では、薬剤監査に関する定型文を先に表示し、薬剤師から「OKまたはNG」の回答を受け付ける。よって、本実施の形態に係る服薬指導支援装置100によれば、薬剤監査に関わる課題(プロブレム)により医師に疑義照会内容を提案でき、薬剤師の業務を効率化することができる。また、患者にとっても、薬剤監査により適切ではないと判断された調剤を中止できるという利点がある。
また、薬剤師からOKの回答を受理した後に、服薬指導の定型文を表示し、服薬指導支援機能を発揮することができるので、より安心安全な服薬指導支援を実施することができる。
【0088】
以上の実施の形態1から2では、服薬指導支援装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、服薬指導支援装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。服薬指導支援装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、服薬指導支援装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から2のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これら実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から2では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0089】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
21 処方情報、22 受付画面、100 服薬指導支援装置、110 受付部、120 取得部、130 抽出部、140 表示部、150 記憶部、151 患者特記データベース、152 キーワードデータベース、153 定型文データベース、511 患者、512 患者識別子、513 氏名、514 患者情報、515 特記事項、521 キーワード識別子、522 キーワード、531 薬剤、532 定型文識別子、533 定型文、534 対応キーワード識別子、535 服薬指導定型文、536 必須定型文、537 表示順情報、538 課題区分、539 課題、560 課題定型文、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、941 表示機器、950 通信装置。