(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062306
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】温浴装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/10 20060101AFI20220413BHJP
F24D 3/14 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61H33/10 P
F24D3/14
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170214
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】520391435
【氏名又は名称】カワイ開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100206461
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 司
(72)【発明者】
【氏名】河合 敬之
【テーマコード(参考)】
3L070
4C094
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070BD02
3L070BD03
3L070BD04
3L070DD02
3L070DF01
3L070DF06
3L070DF15
4C094AA01
4C094BA18
4C094BC04
4C094DD02
4C094DD09
4C094EE03
4C094FF01
4C094FF02
4C094GG04
(57)【要約】
【課題】温泉や地熱等を利用する煩雑さを避けて気軽に誰もが利用することができるとともに、高濃度酸素による効果をも得ることのできる温浴装置を提供する。
【解決手段】利用者が横臥することが可能な床部を備えた浴室において、モルタル14内に埋設した温水管16内に温水を循環させて床部を加温することにより温浴する温浴装置であって、温浴層15内に配設した蒸気用パイプ17及び酸素用パイプ18にそれぞれ蒸気及び酸素を供給して、蒸気放出口及び酸素放出口から蒸気及び酸素を浴室内に供給できる構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が横臥することが可能な床部を有する浴室と、前記床部を加熱する加熱手段と、浴室内に蒸気を供給する蒸気供給手段とからなる温浴装置において、浴室内に酸素を供給する酸素供給手段を設けていることを特徴とする温浴装置。
【請求項2】
前記温浴装置において、浴室内の温度を制御する温度制御装置と、浴室内の湿度を制御する湿度制御装置と、浴室内の酸素濃度を制御する酸素濃度制御装置とを備え、浴室内の温度、湿度及び酸素濃度を調整可能としたことを特徴とする請求項1記載の温浴装置。
【請求項3】
浴室内の床部は、砂利、砂又は石板のいずれかであることを特徴とした請求項1または2記載の温浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の床部を加熱するとともに浴室内に蒸気と酸素を放出して温浴効果を得る温浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温浴装置としては、床部に石板を敷設して、この石板を加温するとともに浴室内に蒸気を放出して温浴する、いわゆる岩盤浴が知られている。
【0003】
また、床部に岩石を敷設して、この岩石を温めるとともに浴室内にミネラルを含有したミストを放出して温浴を行う温浴装置などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の温浴装置は、水蒸気の熱によって発汗を促すとともに、岩石などに含まれるミネラル類を水蒸気とともに体内に取り入れるものである。このような装置の場合は、浴室内を水蒸気で充満させる必要があることから、浴室内の酸素濃度が通常より低くなることが多かった。
【0006】
血液中の酸素が増えると、体の隅々まで酸素が届くことになり、酸素を運ぶための血流が向上するとともに、血管細胞が活性化して血行促進能力が鍛えられる。その結果、疲労回復や自己治癒力の向上などに効果がある。
【0007】
そこで、本発明は、疲労回復や自己治癒力の向上に寄与する温浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の温浴装置は、利用者が横臥することが可能な床部を有する浴室と、前記床部を加熱する加熱手段と、浴室内に蒸気を供給する蒸気供給手段とからなる温浴装置において、浴室内に酸素を供給する酸素供給手段を設けた構成としている。
【0009】
また、前記温浴装置において、浴室内の温度を制御する温度制御装置と、浴室内の湿度を制御する湿度制御装置と、浴室内の酸素濃度を制御する酸素濃度制御装置とを備え、浴室内の温度、湿度及び酸素濃度を調整可能とした構成としている。
【0010】
また、温浴装置における浴室内の床部は、砂利、砂又は石板のいずれかである構成としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の温浴装置によれば、浴室内を蒸気で充満するするとともに酸素濃度を高く維持することができるため、疲労回復や自己治癒力の向上などの効果を効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る温浴装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る床部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る蒸気用パイプを示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る酸素用パイプを示す概略斜視図である。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る温浴装置を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る温浴装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る温浴装置を示す概略図、
図2は本発明の第1の実施の形態に係る床部を示す断面図、
図3は本発明の第1の実施の形態に係る酸素用パイプ及び蒸気用パイプを示す概略斜視図である。
【0015】
温浴装置10は、浴室11に床部31を備えている。この床部31は、断熱材12上にコンクリート13、モルタル14、温浴層15が順次積層されて構成される。なお、各層の厚さは、断熱材12が50mm、コンクリート13が150mm、モルタル14が50mm、温浴層15が100mmとするのが最適であるが、必ずしもこの数値に限定されるものではない
【0016】
モルタル14は断熱材12上に敷設され、その内部にはゴム製の温水管17が全面に渡って蛇行状に埋設される。ここで、蛇行状に埋設される温水管17は約200mmの間隔とするのが効果的である。そして、温水供給装置22から約80℃の温水が温水管17に循環式に通湯されることにより、モルタル14全体が加温される。温水の循環には、循環ポンプ及び密閉式膨張タンクを用いて行うことができる。
【0017】
温浴層15はモルタル14上に砂利を約100mm敷き詰めて構成される。温浴層15を砂利層とすることで、利用者は砂利の上に横たわることによって全身に指圧効果を得ることができる。なお、ここで砂利とは、自然石の丸みをもった小石で石よりは小さく砂よりも大きいものを指すものとする。
【0018】
温浴層15は、下層のモルタル14からの温熱によって加温されて約40~42℃の適温保持するように調整される。これにより、利用者は自然治癒力を高めるなどの温浴効果に得ることができる。なお、前述のとおり温水管17はモルタル14内に埋設されるが、温浴層15内にも温水管17を配管した上下2重式とすれば、より効率的な温度調整が可能となる。
【0019】
なお、砂利層の上面に炭を置いたり、砂利と炭の小片を混合したりすることも効果的である。炭には天然ミネラルの供給バランスのよい自然のミネラルが豊富に含まれ、マイナスイオン効果や遠赤外線による温熱効果、その他殺菌、消臭、除湿効果などさまざまな作用がある。このような炭の作用によって、利用者はより効果的な温浴をすることができる。なお、ここで用いる炭は、備長炭や白炭のような硬炭のものとする。
【0020】
また、砂利の中に磁気を入れることも効果的であり、磁気効果により利用者の血行をよくすることができる。
【0021】
ここで、温浴層15は、上記砂利の他に砂の層とすることや、砂利や砂の層の一部に石板を敷設した構成とすることもできる。いずれにしても、利用者が横臥してくつろげる空間とする。
【0022】
温浴層15の内部には蒸気用パイプ17が埋設される。該蒸気用パイプ17は、
図3に示すように複数の蒸気放出口41を有しており、蒸気供給装置24から蒸気用パイプ17に供給された蒸気が前記蒸気放出口41から放出されて浴室内の湿度を調整する。なお、蒸気用パイプ17は直径約30mmの合成樹脂製とする。
【0023】
また、温浴層15の内部には酸素用パイプ18が埋設される。該酸素用パイプ18は、
図4に示すように複数の酸素放出口42を有しており、酸素供給装置23から酸素用パイプ18に供給された酸素が前記酸素放出口42から放出されて浴室内の酸素濃度を調整する。なお、酸素用パイプ18は直径約50mmの合成樹脂製とする。
【0024】
このように酸素を供給して浴室内の酸素濃度を上げることにより、毛細血管の隅々まで酸素が届くことになる。その結果、肉体疲労の回復、肌細胞の新陳代謝の促進、リフレッシュ効果及び自然治癒力の向上などさまざまな作用効果を得ることができる。なお、浴室内の酸素濃度は約23%とすることが安全でかつ効果的である。
【0025】
浴室内の温度、湿度及び酸素濃度を制御するため、浴室内の所定位置に温度測定装置28、湿度測定装置29及び酸素濃度測定装置30を取り付け、これらを制御装置21を介してそれぞれ温水制御装置26、蒸気制御装置27及び酸素制御装置25に接続することで、浴室内の温度、湿度及び酸素濃度を一体的に制御することができる。
【0026】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る温浴装置を示す概略図であり、酸素用パイプ18を温浴層15内に埋設せずに、直接浴室内に酸素を供給する酸素供給口43を設けた構成としたものである。
【0027】
前記の構成により、酸素供給口43から浴室内に直接酸素が供給されることにより、浴室内の酸素濃度の制御が効率的にできるという効果がある。
【0028】
なお、浴室及び温浴層の清掃については、床部31の略中央部に開閉可能な排水口を設けるとともに、モルタル14の上面を該排水口に向けて傾斜させた構成とし、洗浄用蛇口から約80℃の熱湯を放出してモルタル14上にプール状に溜めて温浴層15全体の殺菌消毒を行う。この熱湯消毒により、レジオネラ菌などの細菌やコロナなどのウィルスを死滅することができるとともに、常に清潔な温浴状態を維持することができる。
【0029】
以上のように、利用者は、浴衣やTシャツを着た状態で温浴層15の上に座ったり横臥したりして本件発明に係る温浴装置10に入浴することになる。すなわち、利用者は浴室内でリラックスした状態で温浴ができるため、通常の温浴に加えて、砂利の凹凸による指圧効果や酸素による効果、その他炭による効果など相乗的な作用効果により理想的か温浴が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
10 温浴装置
11 浴室
12 断熱材
13 コンクリート
14 モルタル
15 温浴層
17 蒸気用パイプ
18 酸素用パイプ
21 制御装置
22 温水供給装置
23 酸素供給装置
24 蒸気供給装置
31 床部
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が横臥することが可能な床部を有する浴室と、前記床部を加熱する加熱手段と、浴室内に蒸気を供給する蒸気供給手段とからなる温浴装置であって、前記床部は断熱材、コンクリート、モルタル、砂利層を順次積層して構成し、また、浴室内に酸素を供給する酸素供給手段を設けるとともに、浴室内の温度を制御する温度制御装置と、浴室内の湿度を制御する湿度制御装置と、浴室内の酸素濃度を制御する酸素濃度制御装置とを備え、浴室内の温度、湿度及び酸素濃度を調整可能としたことを特徴とする温浴装置。
【請求項2】
浴室内の床部は、砂利と炭の小片を混合した砂利層であることを特徴とする請求項1記載の温浴装置。