(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062364
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 29/20 20060101AFI20220413BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B65H29/20
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170326
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 紫
【テーマコード(参考)】
2H072
3F049
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072CB06
2H072EA17
2H072JA02
3F049AA04
3F049DA12
3F049DA19
3F049DB03
3F049DB06
3F049LA02
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】ジャム処理を行う際の作業性に優れた構成を提供する。
【解決手段】第1搬送面113を有する下部ユニット110と、第1搬送面113に対向して搬送経路を形成する第2搬送面123を有し、搬送経路を形成する第1位置と搬送経路を露出する第2位置との間で回動可能な上部ユニット120と、を備えた中継搬送装置において、下部ユニット110は、第1搬送面113よりも手前側に設けられた第1当接部と、第1搬送面113と第1当接部の間に設けられた嵌合凹部112aを有し、上部ユニット120は、第1当接部と当接して、上部ユニット120の回動方向に関する位置決めを行う第2当接部と、第1位置の状態で嵌合凹部112aと嵌合して、上部ユニット120の搬送方向に関する位置決めを行うボス122aと、を有し、ボス122aは、第1位置の状態で、第1当接部と第2当接部の当接位置よりも突出しない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送面を有する第1ユニットと、
前記第1搬送面と対向した状態で記録材の搬送経路を形成する第2搬送面を有し、且つ、前記第1ユニットに対して回動自在に支持されて、前記第2搬送面が前記第1搬送面に対向して前記搬送経路を形成する第1位置と、前記第2搬送面が前記第1位置よりも前記第1搬送面から離れ、作業者が前記搬送経路へアクセスできる第2位置と、の間で回動可能な第2ユニットと、を備えたシート搬送装置において、
前記第1ユニットは、
前記装置の前方から後方へ向う第1方向に対して前記第1搬送面よりも手前側に設けられた第1当接部と、
前記第1方向において前記第1搬送面と前記第1当接部の間に設けられた嵌合凹部と、を有し、
前記第2ユニットは、
前記第1方向に対して前記第2搬送面よりも手前側に設けられ、前記第1位置の状態で前記第1当接部と当接することで、前記第2ユニットの前記第1ユニットに対する回動方向に関する位置決めを行う第2当接部と、
前記第1方向において前記第2搬送面と前記第2当接部の間に設けられ、前記第1位置の状態で前記嵌合凹部と嵌合することで、前記第2ユニットの前記第1ユニットに対する前記記録材の搬送方向に関する位置決めを行う嵌合凸部と、を有し、
前記嵌合凸部は、前記第1位置の状態で、前記第1当接部と前記第2当接部の当接位置よりも前記第1ユニット側に突出しないように形成されている、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第2ユニットは、前記第1方向に対して前記第2搬送面よりも奥側に設けられた回動軸を中心に、前記第1ユニットに対して回動自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記嵌合凹部には、前記第1方向に対して手前側が開口した開口部が形成されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2ユニットは、前記第1方向に対して前記嵌合凸部よりも手前側に配置され、且つ、前記搬送方向に延在する第2平面部を有しており、
前記嵌合凸部は、前記第1位置の状態で、前記第2平面部よりも前記第1ユニット側に突出しないように形成されている、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1ユニットは、前記第1方向に対して前記嵌合凹部よりも手前側に配置され、且つ、前記搬送方向に延在する第1平面部を有しており、
前記第1平面部には、前記第1当接部が2つ形成され、
前記第2平面部には、前記第1位置の状態で前記第1当接部と当接するように前記第2当接部が2つ形成されており、
前記嵌合凸部は、前記搬送方向において前記2つの第2当接部の間に形成されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像が形成された記録材を排出する排出部と、を有する画像形成装置と、
前記画像が形成された記録材に対して所定の処理を施す処理装置と、前記排出部から排出された記録材を前記処理装置に搬送する中継搬送装置と、を備え、
前記中継搬送装置は、請求項1ないし5の何れか1項に記載のシート搬送装置である、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記画像形成部が配置された装置本体と、前記装置本体の上方に設けられた原稿読取装置と、を有し、
前記中継搬送装置は、前記装置本体と前記原稿読取装置との間の空間である胴内空間に配置されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及びこれを備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送するシート搬送装置として、搬送経路内でシートが詰まるジャムが発生した場合に、シートを除去できるように開閉自在なカバー部材を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の構成の場合、カバー部材には、本体部に対する位置決めのためのボスや、本体部に対して係合するフック部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシート搬送装置は、カバー部材の下面からボスやフック部が突出しており、ジャム処理時にこれらに手やシートが引っ掛かり、作業の妨げとなる場合があった。
【0005】
本発明は、ジャム処理を行う際の作業性に優れた構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1搬送面を有する第1ユニットと、前記第1搬送面と対向した状態で記録材の搬送経路を形成する第2搬送面を有し、且つ、前記第1ユニットに対して回動自在に支持されて、前記第2搬送面が前記第1搬送面に対向して前記搬送経路を形成する第1位置と、前記第2搬送面が前記第1位置よりも前記第1搬送面から離れ、作業者が前記搬送経路へアクセスできる第2位置と、の間で回動可能な第2ユニットと、を備えたシート搬送装置において、前記第1ユニットは、前記装置の前方から後方へ向う第1方向に対して前記第1搬送面よりも手前側に設けられた第1当接部と、前記第1方向において前記第1搬送面と前記第1当接部の間に設けられた嵌合凹部と、を有し、前記第2ユニットは、前記第1方向に対して前記第2搬送面よりも手前側に設けられ、前記第1位置の状態で前記第1当接部と当接することで、前記第2ユニットの前記第1ユニットに対する回動方向に関する位置決めを行う第2当接部と、前記第1方向において前記第2搬送面と前記第2当接部の間に設けられ、前記第1位置の状態で前記嵌合凹部と嵌合することで、前記第2ユニットの前記第1ユニットに対する前記記録材の搬送方向に関する位置決めを行う嵌合凸部と、を有し、前記嵌合凸部は、前記第1位置の状態で、前記第1当接部と前記第2当接部の当接位置よりも前記第1ユニット側に突出しないように形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ジャム処理を行う際の作業性に優れた構成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成図。
【
図2】上部ユニットを閉じた状態の中継搬送装置の斜視図。
【
図3】上部ユニットを開いた状態の中継搬送装置の斜視図。
【
図4】上部ユニット側から見た下部ユニットの斜視図。
【
図5】下部ユニット側から見た上部ユニットの斜視図。
【
図6】上部ユニットを開いた状態の中継搬送装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明を具体的に実現した形態を例示するものである。よって、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって、以下に説明される実施形態の構成は適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「画像」とは、文字、記号、模様、パターン等を示す。また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「記録材」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、電子写真方式で画像形成可能なものを示す。さらに、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「記録」とは、記録材上に画像を形成すること、又は、記録材を加工することを示す。
【0011】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る画像形成システム10を正面から見た概略構成図である。本実施形態に係る画像形成システム10は、記録材としてのシートSに画像を形成する画像形成装置200と、画像が形成されたシートSにステイプルや穿孔処理等の所定の処理を施す処理装置300と、画像が形成されたシートSを画像形成装置200から処理装置300へ搬送するシート搬送装置としての中継搬送装置100と、を有する。画像形成装置200は、小型化を目的とした、画像形成後のシートSを排出するための胴内空間200A1を有し、中継搬送装置100は、胴内空間200A1に設けられている。
【0012】
画像形成装置200で画像形成されたシートSは、中継搬送装置100によって処理装置300へ搬送され、処理装置300でシートSに所定の処理が行われる。中継搬送装置100は、画像形成装置200から処理装置300へシートSを搬送可能な搬送経路100Aを有し、搬送経路100Aは、第1ユニットとしての下部ユニット(本体部)110と、第2ユニットとしての上部ユニット(カバー部材)120との間に形成されている。上部ユニット120は、下部ユニット110に対して、回動軸としてのヒンジ部100B(
図2)により回動可能に支持されている。以下、画像形成システム10の各構成について説明する。
【0013】
[画像形成装置]
画像形成装置200は、装置本体200Aと、装置本体200Aの上部に設けられた原稿読取装置215と、を有し、装置本体200Aと原稿読取装置215との間に胴内空間200A1が形成されている。以下、原稿読取装置215と装置本体200Aについて、更に詳しく説明する。
【0014】
原稿読取装置215は、原稿給送装置210と、給送スタッカ211と、プラテンガラス212と、排出スタッカ213と、原稿読取部としてのリーダスキャナユニット214と、を有する。給送スタッカ211は、読取対象の原稿シートPを載置可能である。原稿給送装置210は、給送スタッカ211に載置された原稿シートPを、先頭頁から順に1枚ずつ分離してプラテンガラス212上へ搬送し、さらに機外へ排出可能である。
【0015】
プラテンガラス212は透明なガラスである。リーダスキャナユニット214は、プラテンガラス212より下側に配置され、プラテンガラス212越しに、原稿シートPに記録された画像を読み取ることができる。具体的には、リーダスキャナユニット214が固定され、原稿給送装置210によって搬送された原稿シートPが、リーダスキャナユニット214上を通過する際に読み取りが実行される。また、リーダスキャナユニット214は、プラテンガラス212に沿って移動することも可能で、プラテンガラス212上に静置された原稿シートPを左から右へ移動しながら読み取ることができる。
【0016】
装置本体200Aは、給送部220と、画像形成部230と、排出部240とを備えている。給送部220は、給送カセット221を有し、給送カセット221は画像形成するためのシートSを収納可能である。画像形成部230は、露光制御部231と、感光ドラム232と、現像器233と、転写部234と、定着部235と、を有する。
【0017】
露光制御部231は、感光ドラム232にレーザを照射して、静電潜像を形成可能である。現像器233は、感光ドラム232上の静電潜像を現像可能である。転写部234は、感光ドラム232上の現像剤(以下、トナーともいう)を、搬送されてくるシートSに転写可能である。定着部235は、シートS上に転写されたトナーに定着処理を施すことが可能であり、これによりシートSに画像が形成される。なお、画像形成部230に採用される画像形成機構としては、静電印刷機構、インクジェット印刷機構、転写リボン印刷機構、サーマル印刷機構、オフセット印刷機構など種々の画像形成機構が採用できる。
【0018】
排出部240は、第1排出口241と、第2排出口242と、切換部材243と、両面搬送経路244と、を有する。第1排出口241は、胴内空間200A1に開口しており、画像が形成されたシートSは、第1排出口241を介して中継搬送装置100上に排出される。第2排出口242は、第1排出口241よりも下方に配置され、第1排出口241と同様に胴内空間200A1に開口しており、画像が形成されたシートSは、第2排出口242を介して、中継搬送装置100内の搬送経路100Aに搬送される。
【0019】
両面搬送経路244は、1側面に画像形成されたシートSを、表裏方向を反転しつつ、再度画像形成部230に搬送するための経路である。切換部材243は、装置本体200A内の搬送経路において、定着部235の下流側に設けられ、定着処理後のシートSの搬送先を、第1排出口241、第2排出口242、両面搬送経路244のいずれかに切り替え可能である。
【0020】
次に、上述した構成の動作について説明する。まず、原稿読取装置215では、原稿給送装置210が、給送スタッカ211上にセットされた原稿シートPを先頭頁から順に1枚ずつ分離し、湾曲したパスを介してプラテンガラス212上に搬送する。プラテンガラス212上に搬送された原稿シートPは、
図1において左から右へと搬送され、リーダスキャナユニット214上を通過する際に画像を読み取られる。その後、原稿給送装置210は、読み取り後の原稿シートPを機外へ排出し、排出スタッカ213上に積載する。
【0021】
原稿読取装置215で読み取られた原稿シートPの画像は、不図示の制御部で画像処理が施されて露光制御部231へ送られる。露光制御部231は、画像処理されたデータを基にレーザ光を出力し、これを感光ドラム232に照射することで感光ドラム232上に静電潜像を形成させる。その後、感光ドラム232上の静電潜像は、現像器233により現像され、感光ドラム232上にトナーが吸着される。
【0022】
次に、給送部220が、給送カセット221に収納されたシートSを、搬送方向の下流側にある画像形成部230に1枚ずつ給送する。給送されたシートSには、転写部234で感光ドラム232上のトナーが転写され、続けて、定着部235で定着処理が施されて画像が形成される。その後、画像形成されたシートSは、排出部240へ搬送される。
【0023】
排出部240には第1排出口241と第2排出口242があり、モード設定によって、画像形成されたシートSを排出する排出口が選択される。例えば、画像形成されたシートSにステイプルや穿孔等の処理を行わない場合には、第1排出口241からシートSが排出され、画像形成されたシートSにステイプルや穿孔等の処理を施す場合には、第2排出口242からシートSが排出される。これらの動作では、画像が形成された面が下向きの状態(フェイスダウン)で排出される。
【0024】
なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、切換部材243を切り換えて、画像形成されたシートSを反転パス245へ導き、シートSの後端が反転ポイント246を抜けた直後にシートSをスイッチバックさせて両面搬送経路244へ導く。これにより、シートSは反転され、再度画像形成部230へ搬送される。その後、シートSの画像形成されていない面に別の画像が形成されて、排出部240へ導かれる。排出部240に搬送されたシートSは、切換部材243により選択された排出口に導かれる。
【0025】
第1排出口241を選択していた場合、シートSは切換部材243により第1排出口241に導かれる。第1排出口241から排出されたシートSは、画像形成装置200内に配置されている中継搬送装置100の上部へ積載される。一方、第2排出口242を選択していた場合、シートSは切換部材243により第2排出口242に導かれる。第2排出口242から排出されたシートSは、中継搬送装置100へと送り込まれる。中継搬送装置100では、ローラによりシートSを搬送し、中継搬送装置100から処理装置300へと送り込む。中継搬送装置100の詳細については、後述する。
【0026】
[処理装置]
処理装置(フィニッシャ)300は、所定の処理として、シートを搬送方向と直交する幅方向に移動させるシフト処理、シート束を綴じる綴じ処理、シートに穴をあける穴開け処理、シートを製本する製本処理等のうち、少なくとも何れか1つ或いは複数の処理が実行可能である。また、処理装置300は、所定の処理後に排出されたシートS、又は処理を施さずに排出されたシートSを載置するためのスタッカ301を有する。処理装置300は、中継搬送装置100により搬送されたシートSに対して所定の処理を実施し、その後、処理されたシートSを機外へ排出してスタッカ301上へ積載する。
【0027】
[中継搬送装置]
次に、中継搬送装置100について、
図1ないし7を用いて説明する。
図2は、上部ユニット120を閉じた状態の中継搬送装置100を斜めから見た図である。
図3は、上部ユニット120を開いた状態の中継搬送装置100を斜めから見た図である。
図4は、下部ユニット110を上部ユニット120側から斜めに見た図である。
図5は、上部ユニット120を下部ユニット110側から斜めに見た図である。中継搬送装置100は、画像形成装置200の第2排出口242から排出されたシートSを処理装置300へ搬送する装置であり、本実施形態では、
図1に示すように胴内空間200A1に配置されている。また、中継搬送装置100は、
図2ないし5に示すように、第1搬送面113を有する下部ユニット110と、第1搬送面113と対向した状態でシートSの搬送経路100Aを形成する第2搬送面123を有する上部ユニット120と、で構成されている。
【0028】
[搬送経路]
搬送経路100Aには、
図1に示すように、シートSを搬送するための複数のローラ対が設けられている。具体的には、下部ユニット110の第1搬送面113に、
図1及び
図4に示すように、不図示のモータにより駆動される、第1駆動ローラ113a、第2駆動ローラ113b、第3駆動ローラ113c、第4駆動ローラ113dが設けられている。また、上部ユニット120の第2搬送面123には、
図1及び
図5に示すように、下部ユニット110の各駆動ローラと対を成し、駆動ローラもしくは搬送されるシートSに接触して連れ回る、第1従動ローラ123a、第2従動ローラ123b、第3従動ローラ123c、第4従動ローラ123dが設けられている。
【0029】
このように、搬送経路100Aには、駆動ローラと従動ローラとで構成されたローラ対が設けられており、シートSは上下のローラで挟持された状態で搬送される。なお、ローラ対に位置ズレが生じてシートSの搬送精度に影響が出ないように、下部ユニット110と上部ユニット120の位置関係は正確に保たれている。
【0030】
具体的には、上部ユニット120を閉じた状態(すなわち、第2搬送面123が第1搬送面113に対向して搬送経路100Aが形成された状態、第1位置)で、上部ユニット120の下部ユニット110に対する回動方向に関する位置決めと、上部ユニット120の下部ユニット110に対する搬送方向に関する位置決めと、を行い、さらに、閉じた上部ユニット120を動かないように固定することで、両ユニットの位置関係を保持している。詳細については後述する。
【0031】
[上部ユニットと下部ユニットの構成]
中継搬送装置100には、
図2に示すように、上部ユニット120を下部ユニット110対にして回動自在に支持する、ヒンジ部100Bが設けられている。また、下部ユニット110には、
図2、3に示すように、上部ユニット120の開閉を容易にする把手部115が設けられている。これにより、作業者は、把手部115から手を入れて上部ユニット120を掴み、ヒンジ部100Bを中心に上部ユニット120を回動させることで上部ユニット120を開閉できる。そして、上部ユニット120を開いて搬送経路100Aを露出させることで(すなわち、第2搬送面123が第1搬送面113に対向して搬送経路100Aが形成された状態よりも、第2搬送面123が第1搬送面113から離れた状態、第2位置とすることで)、搬送経路100A内へのアクセスが可能となる。したがって、搬送経路100Aでジャムが発生した場合には、上部ユニット120を開いて詰まったシートを取り除くことができる。
【0032】
以下、画像形成システム10を正面から見て、中継搬送装置100の前方から後方へ向う方向(すなわち、
図2または
図3に示す手前側から奥側へ向かう方向)を第1方向と定義して説明を続ける。
【0033】
下部ユニット110には、
図4に示すように、搬送経路100Aを形成する第1搬送面113と、ヒンジ部100Bを形成する回動支持部114と、上部ユニット120の下部ユニット110に対する回動方向に関する位置決めを可能にする第1当接部111aと、後述するボス122aと嵌合することで、上部ユニット120の下部ユニット110に対する搬送方向に関する位置決めを可能にする嵌合凹部112aと、上部ユニット120を閉じた状態で固定することが可能なマグネット111bと、が設けられている。
【0034】
また、下部ユニット110は、シートSの搬送方向(A方向)に延在する第1平面部111を、第1方向に対して第1搬送面113よりも手前側に有しており、第1搬送面113は、シートSの搬送方向Aに対して、第1平面部111よりも高い位置から第1平面部111よりも低い位置へ向けて傾斜するように形成されている。回動支持部114は、第1方向に対して第1搬送面113よりも奥側に、且つ、搬送方向Aに対して略平行となるように設けられ、後述する回動軸部124を支持してヒンジ部100Bを形成することが可能である。
【0035】
また、第1当接部111aとマグネット111bは、第1平面部111に形成され、いずれも第1方向に対して第1搬送面113より手前側に位置するように配置されている。第1当接部111aは、第1平面部111から僅かに陥没した状態で形成されている。
【0036】
嵌合凹部112aは、第1平面部111よりも高い位置に形成された第1搬送面113Aを、第1方向に対して手前側に延設した第1延設部112に形成されており、第1方向において第1搬送面113と第1当接部111aの間に位置するように配置されている。嵌合凹部112aがこの位置に配置されることで、シートSの搬送を妨げることはない。
【0037】
また、嵌合凹部112aは、上部ユニット120を閉じたときに、後述するボス122aが挿嵌できるように上端が開口している。さらに、嵌合凹部112aは、第1方向に対して手前側に開口した開口部112a1を有している。これにより、上部ユニット120を閉じる際に、ボス122aを嵌合凹部112aへスムーズに挿嵌できる。また、嵌合凹部112aに異物が入り込んでも、容易に取り除くことが可能である。
【0038】
上部ユニット120には、
図5に示すように、第1搬送面113と対向した状態でシートSの搬送経路100Aを形成する第2搬送面123と、回動支持部114に支持されてヒンジ部100Bを形成する回動軸部124と、上部ユニット120を閉じた状態で第1当接部111aと当接して、上部ユニット120の下部ユニット110に対する回動方向に関する位置決めを行う第2当接部121aと、上部ユニット120を閉じた状態で嵌合凹部112aと嵌合して、上部ユニット120の下部ユニット110に対する搬送方向に関する位置決めを行う嵌合凸部としてのボス122aと、マグネット111bに吸着することで、上部ユニット120を閉じた状態で固定することが可能な金属プレート121bと、が設けられている。
【0039】
また、上部ユニット120は、シートSの搬送方向(A方向)に延在する第2平面部121を、第1方向に対して第2搬送面123よりも手前側に有しており、第2搬送面123は、シートSの搬送方向Aに対して、第2平面部121よりも高い位置から第1平面部111よりも低い位置へ向けて傾斜するように形成されている。すなわち、第2搬送面123は、上部ユニット120を閉じた状態で第1搬送面113と略平行となるように形成されており、これにより、第2搬送面123と第1搬送面113が所定の距離で対向する搬送経路100Aが形成される。
【0040】
回動軸部124は、第1方向に対して第2搬送面123よりも奥側に、且つ、搬送方向Aに対して略平行となるように設けられ、下部ユニット110の回動支持部114に支持されてヒンジ部100Bを形成する。これにより、上部ユニット120は、ヒンジ部100Bを中心に下部ユニット110に対して回動自在となり、上部ユニット120を閉じた状態(すなわち、第2搬送面123が第1搬送面113に対向して搬送経路100Aが形成される状態)と、上部ユニット120を開いて搬送経路100Aを露出させた状態(すなわち、第2搬送面123が第1搬送面113に対向して搬送経路100Aが形成された状態よりも、第2搬送面123が第1搬送面113から離れた状態)と、の間で回動可能となる。
【0041】
第2当接部121aと金属プレート121bは、第2平面部121に形成され、いずれも第1方向に対して第2搬送面123より手前側に位置するように配置されている。第2当接部121aは、第2平面部121から僅かに突出しており、第2平面部121が第1平面部111に直接接触しないように構成されている。金属プレート121bは、2つのビス121cにより、第2平面部121に形成された窪みに固定されている。
【0042】
ボス122aは、第2平面部121よりも高い位置に形成された第2搬送面123Aを、第1方向に対して手前側に延設した第2延設部122に形成されており、第1方向において第2搬送面123と第2当接部121aの間に位置するように配置されている。ボス122aがこの位置に配置されることで、シートSの搬送を妨げることはない。また、第2延設部122は、上部ユニット120を閉じた状態で第1延設部112と接触しないように形成されている。
【0043】
ボス122aは、第2平面部121と略直交する方向に突出しているが、上部ユニット120を閉じた状態で、第1当接部111aと第2当接部121aが当接する当接位置よりも下部ユニット110側に突出しないように形成されている。さらに、ボス122aは、上部ユニット120を閉じた状態で、第2平面部121よりも前記第1ユニット側に突出しないように形成されている。これにより、ボス122aは、上部ユニット120を大きく開かない限り装置の手前側から確認することができない。よって、ジャム処理時に視界を妨げることがなく、手やシートが引っ掛かることも抑制できる。
【0044】
また、ボス122aの先端は、半球状に形成された呼び込み形状となっており、嵌合凹部112aの開口部112a1の縁もRづけされた呼びこみ形状となっている。これにより、ボス122aの嵌合凹部112aへの挿嵌がスムーズに行える。
【0045】
[上部ユニットの回動方向に関する位置決め]
次に、上部ユニット120の回動方向に関する位置決めを行う構成について、
図4及び
図5を用いて説明する。上述のように、上部ユニット120の第2平面部121には、凸状の第2当接部121aが設けられ、下部ユニット110の第1平面部111には、第2当接部121aと当接可能な凹状の第1当接部111aが設けられている。上部ユニット120の回動方向における位置は、上部ユニット120が閉じられ、第2当接部121aが第1当接部111aに当接することで決定される。
【0046】
なお、本実施形態では、第2当接部121aの第2平面部121からの高さを5mm以下、より好ましくは3mm以下となるように設定している。これにより、ジャム処理時に手やシートが引っ掛かり、作業の妨げとなることを抑制できる。また、第1当接部111aの第1平面部111からの深さは、第2当接部121aの第2平面部121からの高さよりも浅く設定し、第2平面部121と第1平面部111とが直接接触しないように構成されている。例えば、上部ユニット120を閉じた状態で、第1平面部111と第2平面部121との隙間が2mm以下、より好ましくは1mm以下となるように設定している。これにより、第1平面部111、および第2平面部121の寸法精度が低くても、上部ユニット120の回動方向における位置決めが正確に行える。
【0047】
また、本実施形態では、第1当接部111aと第2当接部121aは、各々2ヶ所ずつ
形成されている。これにより、上部ユニット120が自重で撓むことがなく、回動方向に関する位置決めが正確に行える。
【0048】
[上部ユニットの搬送方向に関する位置決め]
次に、上部ユニット120の搬送方向Aに関する位置決めを行う構成について、
図4及び
図5を用いて説明する。上述のように、上部ユニット120の第2延設部122には、第2平面部121と略直交する方向に突起したボス122aが設けられ、下部ユニット110の第1延設部112には、ボス122aが嵌合可能な、嵌合凹部112aが設けられている。上部ユニット120が閉じられ、ボス122aが嵌合凹部112aに挿嵌されることで、上部ユニット120の下部ユニット110に対する搬送方向Aに関する位置が決定される。尚、ボス122aは、搬送方向Aに対して2つの第2当接部121aの間に形成され、対する嵌合凹部112aも、搬送方向Aに対して2つの第1当接部111aの間に形成されている。これにより、ボス122aと嵌合凹部112aとの嵌合を、各ローラから最短の位置で実施することができ、搬送方向に関する位置決めがより正確に行える。
【0049】
[上部ユニットの閉じた状態での固定]
次に、上部ユニット120を閉じた状態で固定する構成について、
図6及び
図7を用いて説明する。上部ユニット120の第2平面部121には、金属プレート121bが2ヶ所設けられている。また、下部ユニット110の第1平面部111には、上部ユニット120を閉じた状態で、金属プレート121bと対向する位置に、マグネット111bが2ヶ所設けられている。
【0050】
上部ユニット120を閉じると、下部ユニット110のマグネット111bと上部ユニット120の金属プレート121bとは、磁力により互いに吸着して固定される。これにより、上部ユニット120の回動方向における位置が固定される。
【0051】
なお、
図7に示すように、マグネット111bは、第1平面部111と第2平面部121との間にできる隙間を補間できるように、第1平面部111から僅かに突出した状態であり、金属プレート121bは、上部ユニット120を閉じた状態で、第2平面部121よりも下部ユニット110側に突出しないように保持されている。これにより、ジャム処理時に手やシートが引っ掛かることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では、金属プレート121bは、ビス121cで完全に固定されているわけではなく、上部ユニット120を閉じた状態で、第2平面部121よりも下部ユニット110から離れる方向へ可動できるように保持されている。これにより、金属プレート121bに遊びができるので、マグネット111bと金属プレート121bが当接しても、第1当接部111aと第2当接部121aによる位置決めが阻害されることはない。このように、下部ユニット110に対する上部ユニット120の相対位置を正確に合わせて保持することで、各ローラ対に生じるズレを抑えることができる。
【0053】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、第1搬送面113を第1平面部111よりも高い位置から低い位置に向けて傾斜させ、第2搬送面123を第2平面部121よりも高い位置から低い位置へ向けて傾斜させているが、嵌合凹部112aが形成される第1延設部112と、ボス122aが形成される第2延設部122が形成されていれば、別の形態であってもよい。
【0054】
例えば、第1搬送面113のすべての面を第1平面部111よりも高く形成し、第2搬送面123のすべての面を第2平面部121よりも高く形成してもよいし、逆に、第1搬送面113のすべての面を第1平面部111よりも低く形成し、第2搬送面123のすべての面を第2平面部121よりも低く形成してもよい。後者の場合、嵌合凹部112aとボス122aの位置関係は逆になるが、いずれの場合も、第1搬送面113を第1平面部111と平行に形成し、第2搬送面123を第2平面部121と平行に形成することも可能である。
【0055】
また、上述した本実施形態では、第1当接部111aを凹状に、第2当接部121aを凸状に設けているが、凹凸の向きを逆に設けてもよく、第1当接部111aと第2当接部121aの両方を凸状に設けてもよい。当接部が両方とも凸状である場合、それぞれの突出量が小さくなり、搬送経路100A内へアクセスする際にシートや手が引っ掛かることを抑制できる。また、上述した本実施形態では、凸状の当接部の先端は平らであるが、先端を半球状にしてもよい。さらに、当接部の設置数は、複数あることが望ましいが、上部ユニット120が自重で撓むことがなく、上部ユニット120の回動方向における位置決めが正確に行える場合には、1ヶ所であってもよい。マグネット111bと金属プレート121bの設置数も同様で、複数あることが望ましいが、上部ユニット120を閉じた状態で保持することができれば、設置数を1か所としてもよい。
【0056】
さらに、上述した実施形態では、ボス122aの形状を円柱状としているが、嵌合凹部112aへの挿嵌がスムーズに行えるように先端にRが施されていれば、ボス122aの形状は、楕円柱や角柱であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10・・・画像形成システム
A・・・搬送方向
S・・・シート(記録材)
100・・・中継搬送装置(シート搬送装置)
100A・・・搬送経路
100B・・・ヒンジ部(回動軸)
110・・・下部ユニット(第1ユニット)
111・・・第1平面部
111a・・・第1当接部
112・・・第1延設部
112a・・・嵌合凹部
113・・・第1搬送面
113A・・・第1搬送面(第1平面部より高い部分)
120・・・上部ユニット(第2ユニット)
121・・・第2平面部
121a・・・第2当接部
122・・・第2延設部
122a・・・ボス(嵌合凸部)
123・・・第2搬送面
123A・・・第2搬送面(第2平面部より高い部分)
200・・・画像形成装置
200A・・・装置本体
200A1・・・胴内空間
215・・・原稿読取装置
230・・・画像形成部
240・・・排出部
300・・・処理装置