(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062376
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】エア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ
(51)【国際特許分類】
F16F 15/027 20060101AFI20220413BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220413BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
F16F15/027
F16F15/02 A
F16F15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170341
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】512030452
【氏名又は名称】株式会社三誠AIR断震システム
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 功滋
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA07
3J048AB07
3J048BE02
3J048BG04
3J048CB13
3J048DA01
3J048EA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、エア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダの斬新な改良を目的とするものである。
【解決手段】本発明のエアスライダ11は、振動制御架台3への取り付け面12と、この取り付け面12の下部に配置するとともに、下面周壁部に前記振動基台2の上面との間にエア室13を画し、エア供給遮断時前記振動基台2の上面に端面が着座する円筒状突部14Aを有するスライダ本体14と、前記エア室13へエア源からのエアを供給するエア流路22と、前記スライダ本体14と前記振動基台2とにわたって前記エア室13を囲むように配置したエア漏れ防止用のシール材15と、を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面側に配置する振動基台と、前記振動基台に対して水平自由に移動可能に配置されるとともに振動制御対象物を載置する振動制御架台と、
前記振動基台の振動に応じて前記振動制御架台を振動基台に対してエア源からのエア供給又はエア供給遮断により前記振動制御架台を水平自由に移動可能な浮上状態又は前記振動基台への着座状態とさせるエア供給遮断機構部と、
を有するエア浮上式の振動制御装置における前記エア供給遮断機構部の一部として用いる所要数のエアスライダであって、
前記エアスライダは、前記振動基台と前記振動制御架台との間に設置され、一方が取り付け面で、前記取り付け面が前記振動基台又は前記振動制御架台に固定されるとともに、前記取り付け面の反対面の周壁部に、前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面との間にエア室を画してエア供給遮断時、前記接する面に端面が着座する円筒状突部を有するスライダ本体と、
前記エア室へエア源からのエアを供給するエア流路と、前記スライダ本体と前記接する面とにわたって前記エア室を囲むように配置されて前記円筒状突部を有するスライダ本体の中心に向かって、かつ、前記接する面に向かって角度をもって斜め状に配置されているエア漏れ防止用のシール材と、を有することを特徴とするエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項2】
前記スライダ本体におけるエア室内又はエア室の外側又は両方に、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材を設けていることを特徴とする請求項1記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項3】
前記スライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにシール材の振動制御架台側の端部を挟み込んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項4】
前記スライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにシール材の振動制御架台側の端部と粘弾性テープ状部材とを挟み込んでいることを特徴とする請求項1又は3記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項5】
前記スライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにシール材の振動制御架台側の端部を挟み込み、かつ、エア室内にスポンジ状部材を前記振動基台に接触させる状態で配置していることを特徴とする請求項1記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項6】
前記スライダ本体における円筒状突部の外側に、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材を設けていることを特徴とする請求項1の記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項7】
前記エアスライダにおける取り付け面、スライダ本体は、球面座を介して前記振動制御架台へ接合されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項8】
前記エアスライダは、一端でエア源に連通し他端でバルブ室に通じたレベリングバルブ流路と、バルブ室に配置されバルブ室内の底部分に隙間を有する位置に接するようにして配置した接触子と、バルブ室の上面と接触子の頂部とに固着され接触子を下方に押圧するレベリングバネと、を具備して構成したレベリングバルブを有し、前記スライダ本体と前記振動基台との間に前記振動制御架台の高さを一定に保持するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項9】
前記エアスライダは、前記スライダ本体と前記振動基台との間に前記振動制御架台の高さを一定に保持するレベリングバルブを備えることを特徴とし、
前記レベリングバルブは、前記振動制御架台の浮上時の平坦性を維持するために前記エアスライダのエア室内に、レベリングバルブ本体が配置され、その下側にレベリングバルブ本体よりも小径で、かつ、一体の接触子が振動基台に接離するように配置されたレベリングバルブ本体を具備し、このレベリングバルブ本体の外側のバルブ室に対して、エア流路に連通させたレベリングバルブ流路を経てエアを供給するように構成されていて、前記振動制御架台の浮上時においてレベリングバルブの開閉動作によりこの振動制御架台を一定の高さに保持することが可能となり、積載荷重が変化してもエアの供給圧を変更しなくても済むように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項10】
前記エアスライダのシール材には、前記振動基台側に位置して所要数のエア漏出用の穴が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項11】
前記エアスライダは、前記振動制御架台の振動に応じて各エアスライダへのエアの供給圧を変化させることで、各エアスライダの滑り材と空気圧による支持の割合を変化させてエアスライダの摩擦力をコントロールできるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項12】
前記エア供給遮断機構部は、このエア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源からレギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を介して前記各エアスライダに空気供給するように構成したことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項13】
前記エア供給遮断機構部は、このエア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源からエアタンク、レギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を介して前記各エアスライダに空気供給するように構成したことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【請求項14】
前記エア供給遮断機構部は、このエア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源から前記各エアスライダまでの第1の空気供給経路として、レギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を備えた供給経路と、第2の空気供給経路として、レギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を有し、第2の経路を各エアスライダの手前で第1の経路とT字の接続子で合流し、T字の手前でチェックバルブを配置し、前記第2の経路のバルブはタイマーを有しており、指定した時間だけ開くように構成したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダに関し、詳しくは、振動制御動作時におけるスライド機能を向上させたエア浮上式の振動制御装置における斬新なエアスライダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震から建物や重要な機器を守るため免震装置が適用されるようになり、一般的になってきた。そのアイソレータとしての部材は積層ゴム、滑り支承、転がり支承が主であるが空気浮上を応用するアイソレータであれば摩擦力が小さくなり高性能な免震装置が実現できる。しかしながら、適用できる範囲が限定的であるのが実情である。
【0003】
特許文献1には、空気噴出機構を免震テーブルの下面に設け、更に、空気噴出の受面を空気供給装置収容箱の上面とし、空気供給装置は、圧力空気を溜める圧力空気タンク、圧力空気を供給・遮断する電磁バルブ、圧力空気の圧力を調整するレギュレータ、その間を接続する空気配管、振動センサから構成した免震装置が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の免震装置の場合、空気漏洩防止用のシール材が無く、空気供給装置収容箱の上面への空気噴出に関して空気漏洩防止の対策が不十分である等の問題を包含している。
【0005】
このように、エア浮上式で対象物の振動制御(免震等)を行う振動制御装置における分野では、高機能のエアスライダが従来見当たらないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来の実情に鑑みて開発されたものであり、エアスライダを用いエア浮上式で対象物の振動制御(免震等)を行う振動制御装置におけるエアスライダの機能改良を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、設置面側に配置する振動基台と、前記振動基台に対して水平自由に移動可能に配置されるとともに振動制御対象物を載置する振動制御架台と、前記振動基台の振動に応じて前記振動制御架台を振動基台に対してエア源からのエア供給又はエア供給遮断により、前記振動制御架台を水平自由移動可能な浮上状態又は前記振動基台への着座状態とさせるエア供給遮断機構部と、を有するエア浮上式の振動制御装置における前記エア供給遮断機構部の一部として用いる所要数のエアスライダであって、前記エアスライダは、前記振動基台と前記振動制御架台との間に設置され、一方が取り付け面であって、当該取り付け面が前記振動基台又は前記振動制御架台に固定されるとともに、前記取り付け面の反対面の周壁部に、前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面との間にエア室を画してエア供給遮断時前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面に端面が着座する円筒状突部を有するスライダ本体と、前記エア室へエア源からのエアを供給するエア流路と、前記スライダ本体と前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面とにわたって前記エア室を囲むように配置されて前記円筒状突部を有するスライダ本体の中心に向かって、かつ、前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面に向かって角度をもって斜め状に配置されているエア漏れ防止用のシール材と、を具備することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、エア浮上式の振動制御装置内におけるエアスライダの配置状況・状態を問うことなく(例えばエアスライダの配置が上下逆さまになったような場合でも)、前記スライダ本体と振動基台とにわたって前記エア室を囲むように配置したエア漏れ防止用のシール材と、を有し、前記シール材は、前記円筒状突部を有するスライダ本体の中心に向かって、かつ、前記振動基台の上面に向かって角度をもって斜め状に配置されていることを特徴としているので、浮上時に摩擦抵抗力を小さくしながらも、エア漏れを低減できるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、前記スライダ本体におけるエア室内又はエア室の外側に前記振動制御架台の振動基台に対して滑動する滑り材を設けているので、前記請求項1記載の発明における空気圧での支持と滑り材の支持をハイブリッドにすることも可能であるとともに、浮上時にエアの供給が途絶えた場合も滑り材で支持することができ安全であり、また、着座時には滑り免震装置として機能させることができ、更に、滑り材の種類を変えることで、滑り免震時の性能を選ぶことが可能となり、更にまた、着座時のシール材の保護にもなるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、前記スライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにシール材の振動制御架台側の端部を挟み込んでいる構成としているので、前記請求項1又は2記載の発明の効果を奏するエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、前記スライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにその振動制御架台側の端部と粘弾性テープ状部材とを挟み込んでいる構成としているので、前記請求項1又は3記載の発明の効果を奏し、かつ、エア漏れを防止しながらもシール材の振動防止も図ることができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、前記請求項1記載のエアスライダ本体における円筒状突部の振動基台側の部分を、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材により形成し、この滑り材の一部と前記円筒状突部の他の部分との接合部分とにシール材の振動制御架台側の端部を挟み込み、かつ、エア室内にスポンジ状部材を前記振動基台に接触させる状態で配置しているので、前記請求項1記載の発明と同様な効果を奏し、エア漏れも少なくできるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、前記請求項1記載のスライダ本体における円筒状突部の外側に、前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材を設けているので、エアスライダのスライド滑動性を一層高めることができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0015】
請求項7記載の発明によれば、前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダの取り付け板、スライダ本体は、球面座を介して前記振動制御架台へ接合されているので、前記振動制御架台の受面の平面度が不均一であるような場合に、取り付け板、スライダ本体と球面座との接触角度変位によりその平面度の不均一性を吸収することが可能なエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0016】
請求項8記載の発明によれば、前記スライダ本体と前記振動基台との間に前記振動制御架台の高さを一定に保持されて、一端でエア源に連通し他端でバルブ室に通じたレベリングバルブ流路と、バルブ室に配置されバルブ室内の底部分に隙間を有する位置に接するようにして配置した接触子と、バルブ室の上面と接触子の頂部とに固着され接触子を下方に押圧するレベリングバネとを具備するレベリングバルブの構成としているので、前記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発明の効果を一層安定して発揮させることができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0017】
請求項9記載の発明によれば、前記請求項8記載の発明の効果に加えて、前記レベリングバルブは、前記振動制御架台の浮上時の平坦性を維持するために前記エアスライダのエア室内に、レベリングバルブ本体が配置され、その下側にレベリングバルブ本体よりも小径で、かつ、一体の接触子が振動基台に接離するように配置されたレベリングバルブ本体を具備し、このレベリングバルブ本体の外側のバルブ室に対して、エア流路に連通させたレベリングバルブ流路を経てエアを供給するように構成されていることから、前記振動制御架台の浮上時においてレベリングバルブの開閉動作によりこの振動制御架台を一定の高さに保持することが可能となり、積載荷重が変化してもエアの供給圧を変更しなくても済むエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0018】
請求項10記載の発明によれば、前記請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダのシール材には、前記振動基台側に位置して所要数のエア漏出用の穴が設けられているので、エア供給の過不足が自動的に調整され積載荷重に応じてエア室へのエアの供給圧を変更しなくとも良いという利点を有するエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0019】
請求項11記載の発明によれば、前記エアスライダを、前記振動制御架台の振動に応じて各エアスライダへのエアの供給圧を変化させることで、各エアスライダの滑り材と空気圧による支持の割合を変化させてエアスライダの摩擦力をコントロールできる構成によって、前記請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発明の効果を発揮させることができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供することができる。
【0020】
請求項12記載の発明によれば、前記エア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源からレギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を介して前記各エアスライダに空気供給するように構成していることから、例えば4点のエアスライダで対象物を支持した場合において、振動制御の対象物の重心が偏っていると、各点に作用する荷重が一定とならず、その場合には、各レギュレータで各スライダの支持荷重に相当する圧力を設定し、また、絞り弁で空気の吐出力を調整することで、スライダ浮上時のエア漏れ量を低減させることができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供できる。
【0021】
請求項13記載の発明によれば、前記エア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源からエアタンク、レギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を介して前記各エアスライダに空気供給するように構成していることから、エアタンクに圧縮空気を持っているのでエアスライダに急に空気が必要な状況となってもタンクに蓄圧したエアで供給することができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供できる。
【0022】
請求項14記載の発明によれば、前記エア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源から前記各エアスライダまでの第1の空気供給経路としてレギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を備えた供給経路と、第2の空気供給経路としてレギュレータ、電磁バルブ、絞り弁を有し、第2の経路を各エアスライダの手前で第1の経路とT字の接続子で合流し、T字の手前でチェックバルブを配置し、前記第2の経路のバルブはタイマーを有しており、指定した時間だけ開くように構成していることから、前記第2の空気供給経路から第1の空気供給経路より高圧なエアをタイマーで設定した短時間だけ供給するようにしているので、エアスライダの浮上するための時間を大幅に短縮することができるエア浮上式の振動制御装置におけるエアスライダを実現し提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置の概略正面図である。
【
図2】
図2は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置の概略平面図である。
【
図3】
図3は本実施例に係るエアスライダを含み、かつ、エアスライダを動作させて振動制御架台を浮上状態としたエア浮上式の振動制御装置の概略部分正面図である。
【
図4】
図4は本実施例の基本的構成に係るエアスライダ、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図5】
図5は本実施例の基本的構成に係るエアスライダ、及びエア浮上式の振動制御装置(神戸南北方向・SN方向)の振動に関する試験における免震特性、及び免震変位を示す特性図である。
【
図6】
図6は本実施例の基本的構成の第1の変形例におけるエアスライダ、滑り材、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図7】
図7は本実施例の基本的構成の第2の変形例におけるエアスライダ、滑り材、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図8】
図8は本実施例の基本的構成において第3の変形例に係るエアスライダの滑り材構造、シール材挟み込み構造、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は本実施例の基本的構成において第4の変形例に係る滑り材構造、粘弾性テープ、シール材挟み込み構造、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図10】
図10は本実施例の基本的構成において第5の変形例に係る滑り材構造、エア室側にスポンジ状部材を付加したシール材挟み込み構造、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図11】
図11は本実施例の基本的構成において第6の変形例に係るエアスライダのシール材を挟み込み構造、円筒状突部の下端外周に滑り材を付加した構造、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図12】
図12は本実施例の基本的構成において第7の変形例に係るエアスライダにおける取り付け面、スライダ本体を球面座を介して前記振動制御架台へ接合する構成、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図13】
図13は本実施例の基本的構成において第8の変形例に係るエア室内にレベリングバルブを付加した構成、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図16】
図16は本実施例の基本的構成において第9の変形例に係るシール材を穴開き構成とした例、及びエア浮上式の振動制御装置の概略部分拡大断面図である。
【
図18】
図18は本実施例の基本的構成において、エアスライダへのエア供給圧を変化させてエアスライダの振動基台に対する摩擦力をコントロールする構成を示す概略断面図である。
【
図19】
図19は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置におけるエア供給遮断機構部の空気の流れ機構の変形例を示す概略正面図である。
【
図20】
図20は
図19に示す本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置におけるエア供給遮断機構部の空気の流れ機構の変形例の概略平面図である。
【
図21】
図21は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置におけるエア供給遮断機構部の空気の流れ機構の別の変形例を示す概略正面図である。
【
図22】
図22は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置におけるエア供給遮断機構部の空気の流れ機構の更に別の変形例を示す概略正面図である。
【
図23】
図23は本実施例に係るエアスライダを含むエア浮上式の振動制御装置におけるエア供給遮断機構部の空気の流れ機構の
図22に示す更に別の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、エアスライダを用いエア浮上式で対象物の振動制御(免震等)を行う振動制御装置における改良し機能向上を図ったエアスライダを実現し提供するという目的を、設置面側に配置する振動基台と、前記振動基台に対して水平自由に移動可能に配置されるとともに振動制御対象物を載置する振動制御架台と、前記振動基台の振動に応じて前記振動制御架台を振動基台に対してエア源からのエア供給又はエア供給遮断により前記振動制御架台を水平自由に移動可能な浮上状態又は前記振動基台への着座状態とさせるエア供給遮断機構部と、を有するエア浮上式の振動制御装置における前記エア供給遮断機構部の一部として用いる所要数のエアスライダであって、前記エアスライダは、前記振動基台と前記振動制御架台との間に設置され、一方が取り付け面であって、当該取り付け面が前記振動基台又は前記振動制御架台に固定されるとともに、前記取り付け面の反対面の周壁部に、前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面との間にエア室を画してエア供給遮断時前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面に端面が着座する円筒状突部を有するスライダ本体と、前記エア室へエア源からのエアを供給するエア流路と、前記スライダ本体と前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面とにわたって前記エア室を囲むように配置されて前記円筒状突部を有するスライダ本体の中心に向かって、かつ、前記振動基台又は前記振動制御架台と接する面に向かって角度をもって斜め状に配置されているエア漏れ防止用のシール材と、を有し、更に、前記スライダ本体におけるエア室内又はエア室の外側に前記振動制御架台の振動基台に対する滑動を補助する滑り材を設けた構成により実現した。
【実施例0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るエアスライダを含む浮上式の振動制御装置、及びエアスライダについて詳細に説明する。
【0026】
本実施例に係るエアスライダ11を含むエア浮上式の振動制御装置1は、
図1、
図2に示すように、設置面G上に配置される平坦な振動基台2と、振動制御対象物である構造物Mが載置される振動制御対象物の一部となる平坦な振動制御架台(免震架台)3と、前記振動基台2の振動に応じて前記振動制御架台3を振動基台2に対して、前記振動制御架台3側から前記振動基台2側へのエア源からのエア供給又はエア供給遮断により、前記振動制御架台3を水平自由に移動可能な浮上状態又は前記振動基台2への着座状態とさせるエア供給遮断機構部5と、を有するエア浮上式の振動制御装置1における前記エア供給遮断機構部5の一部として用いる所要数(本実施例では例えば4個)のエアスライダ11であって、前記エアスライダ11は、前記振動制御架台3への取り付け面12と、この取り付け面12の下部に配置するとともに、下面周壁部に前記振動基台2の上面との間にエア室13を画し、エア供給遮断時前記振動基台2の上面に端面がシール材15を押圧しつつ着座する円筒状突部14Aを有するスライダ本体14と、前記エア室13へエア源23からのエアを供給するためのエア流路22と、前記振動制御架台3と前記振動基台2とにわたって前記エア室13を囲むように配置したエア漏れ防止用の例えばゴム材等からなる略円筒状のシール材15と、を有している。
【0027】
すなわち、本実施例に係るエアスライダ11を含むエア浮上式の振動制御装置1は、設置面G側に配置する振動基台2と、前記振動基台に対して水平自由に移動可能に配置されるとともに振動制御対象物を載置する振動制御架台3と、前記振動基台2の振動に応じて前記振動制御架台3を振動基台2に対してエア源からのエア供給又はエア供給遮断により前記振動制御架台3を水平自由に移動可能な浮上状態又は前記振動基台2への着座状態とさせるエア供給遮断機構部5と、を有するエア浮上式の振動制御装置における前記エア供給遮断機構部5の一部として用いる所要数のエアスライダ11であって、当該エアスライダ11は、装置内におけるエアスライダの配置状況・状態が例えば上下逆さまになったような場合でも、その配置状況・状態にかかわらず、前記振動基台2と前記振動制御架台3との間に設置され、一方が取り付け面12であって、当該取り付け面12が前記振動基台又は前記振動制御架台に固定されるとともに、前記取り付け面12の反対面の周壁部に、前記振動基台2又は前記振動制御架台3と接する面との間にエア室13を画してエア供給遮断時、前記振動基台2又は前記振動制御架台3と接する面に端面が着座する円筒状突部14Aを有するスライダ本体14と、前記エア室13へエア源23からのエアを供給するエア流路22と、前記スライダ本体14と前記振動基台2又は前記振動制御架台3と接する面とにわたって前記エア室13を囲むように配置されて前記円筒状突部14Aを有するスライダ本体14の中心に向かって、かつ、前記振動基台2又は前記振動制御架台3と接する面に向かって角度をもって斜め状に配置されているエア漏れ防止用のシール材15と、を有して構成されている。
【0028】
また、本実施例のエア浮上式の振動制御装置1においては、回転防止機構として機能する適宜の回転防止構成(図示せず)を具備するようにしても良い。
【0029】
前記エア供給遮断機構部5は、前記各エアスライダ11に対してエア流路22を介してのエアの供給又は供給停止が可能なエア源23と、前記振動基台2側及び又は振動制御架台3側の振動を検出する振動センサ24と、前記振動センサ24の検出信号に基づき、任意に設定可能なトリガーレベルをもって前記各エアスライダ11に対するエア源23、レギュレータ26からのエアの供給又は供給停止を制御するコントローラ25と、空気の流れをオン・オフするバルブ27を具備している。
【0030】
前記エア供給遮断機構部5の空気の流れ機構に関しては、
図19~
図23のような各構成例をもって実施できる。
【0031】
図19、
図20に示す構成例は、前記エア供給遮断機構部の一部であって、前記エア源からレギュレータ60、電磁バルブ61、絞り弁62を介して前記各エアスライダ11に空気供給するように構成している。
【0032】
このような構成によれば、例えば、4点(4個)のエアスライダ11で対象物を支持した場合において、振動制御の対象物の重心が偏っていると、各点に作用する荷重が一定とならず、その場合には、各レギュレータ60で各スライダ11の支持荷重に相当する圧力を設定し、また、絞り弁62で空気の吐出力を調整することで、スライダ浮上時のエア漏れ量を低減させることができる。
【0033】
図21に示す構成例は、前記エア供給遮断機構部5の一部であって、前記エア源からエアタンク70、レギュレータ71、電磁バルブ72、絞り弁73を介して前記各エアスライダ11に空気供給するように構成している。
【0034】
このような構成によれば、エアタンク70に圧縮空気を持っているので、例えばエアスライダ11に急に空気が必要な状況となってもエアタンク70に蓄圧したエアで供給することができる。
【0035】
図22、
図23に示す構成例は、前記エア供給遮断機構部5の一部であって、前記エア源から前記各エアスライダ11までの第1の空気供給経路としてレギュレータ80、電磁バルブ81、絞り弁82を備えた供給経路と、第2の空気供給経路としてレギュレータ80、電磁バルブ81、絞り弁82を有し、前記第2の空気供給経路を各エアスライダ11の手前で第1の経路とT字の接続子84で合流し、T字の手前でチェックバルブ83を配置し、前記第2の経路の電磁バルブはタイマー85を有しており、指定した時間だけ開くように構成している。
【0036】
また、
図23に示すタイミングチャートは第1の空気供給経路(A)と第2の空気供給経路(B)の浮上開始から浮上停止までのバルブON/OFFの状態を示している。第1の空気供給経路(A)は浮上開始から浮上停止まで、一様にONとなっているが、第2の空気供給経路(B)は浮上開始からタイマー85で設定された時間のみONしている。また、最下図はエアスライダ11内の圧力の変化を時系列で示したものである。第1の空気供給経路(A)だけ作動させた場合の圧力変化を点線で示している。第2の空気供給経路(B)を併用した場合には実線で示すよう急峻に圧力を高くすることできる。
【0037】
このような構成によれば、前記第2の空気供給経路から第1の空気供給経路より高圧なエアをタイマー85で設定した短時間だけ供給するようにしているので、エアスライダ11の浮上するための時間を大幅に短縮することができる。
【0038】
なお、前記2軸方向は、
図2に示すX方向、Y方向のように定義して、以下の説明を行う。
【0039】
図3は本実施例に係るエアスライダ11を含み、かつ、エアスライダ11を含む前記エア供給遮断機構部5を動作させて前記振動制御架台3を浮上状態としたエア浮上式の振動制御装置1を示すものである。
【0040】
図4は本実施例の基本的構成に係るエアスライダ11、及びエア浮上式の振動制御装置1の概略部分拡大断面を示すものである。
【0041】
この基本的構成に係るエアスライダ11は、前記振動制御架台3の下面へ取りつける円板状の取り付け面12を具備している。
【0042】
また、エアスライダ11は、前記取り付け面12の下部に配置するとともに、下面周壁部に前記振動基台2の上面との間にエア室13を画し、エア供給遮断時前記振動基台2の上面に端面がシール材15を介して着座する円筒状突部14Aを有するスライダ本体14と、前記エア室13へエア源23からのエアを供給する前記エア流路22に連通させたエアスライダ内エア流路16と、前記振動制御架台3と前記振動基台2とにわたって前記エア室13を囲むように配置したエア漏れ防止用のシール材15とを有している。なお、当該シール材15は、円筒状突部14Aを有するスライダ本体14の中心に向かって角度をもって斜め状に配置している。
【0043】
次に、
図6乃至
図16を参照して本実施例に係るエアスライダ11の各種変形例について説明する。
【0044】
図6、
図7は、本実施例の基本的構成に関して、振動制御架台3の振動基台2に対する滑動を補助する滑り材31A等を付加した第1、第2の変形例に係る各エアスライダ11A、11Bを示すものである。
【0045】
すなわち、
図6は本実施例の基本的構成に関して、前記振動制御架台3におけるエア室13内に前記振動制御架台3の振動基台2に対する滑動を補助する塊状の滑り材31Aを設けて第1の変形例に係るエアスライダ11Aとしたものである。
【0046】
前記滑り材31Aとしては、例えば摩擦係数の小さいゴム材、ステンレス材、合成樹脂材等から構成することができる。
【0047】
このような構成のエアスライダ11Aによれば、前記滑り材31Aによりエアスライダ11Aの活動を補助することができることに加え、エアスライダ11Aに対するエア供給が途絶えたような場合に前記前記滑り材31A自体を滑り支承として機能させることができる。
【0048】
また、
図7は本実施例の基本的構成に関して、前記振動制御架台3におけるエア室13を画するシール材15の外側に前記振動制御架台3の振動基台2に対する滑動を補助する円筒状の滑り材31Bを設けて第2の変形例に係るエアスライダ11Bとしたものである。
【0049】
前記滑り材31Bとしては、上述した場合と同様に、例えば、摩擦係数の3小さいゴム材、ステンレス材、合成樹脂材等から構成することができる。
【0050】
このような構成のエアスライダ11Bによれば、前記滑り材31Bによりエアスライダ11Bの活動を補助することができることに加え、エアスライダ11Bに対するエア供給が途絶えたような場合に前記前記滑り材31B自体を滑り支承として機能させることができる。
【0051】
図8は本実施例の基本的構成において第3の変形例に係るエアスライダ11Cの滑り材構造、シール材挟み込み構造を示すものである。
【0052】
この第3の変形例に係るエアスライダ11Cにおいては、振動制御架台3側における円筒状突部14Aの振動基台2側の部分を、前記振動制御架台3の振動基台2に対する滑動を補助する滑り材31Cにより形成し、この一部滑り材31Cと、前記円筒状突部14Aの他の部分14Bとをネジ32を用いたネジ結合により連結し、前記滑り材31Cと他の部分14Bとの間にシール材15の振動制御架台3側の端部を挟み込んだ構成としたものである。
【0053】
このような構成により
図4に示す基本的構成に係るエアスライダ11を実現することができる。
【0054】
なお、
図5は本実施例の基本的構成に係るエアスライダ11、エア浮上式の振動制御装置1(神戸:南北方向・NS方向)の振動に関する免震特性、及び免震変位を示す特性図であり、
図5に示す試験結果によれば、エア浮上式の振動制御装置1について、加振入力加速度に対して4.9%に低減されることが判明した。また,応答変位については、89mmであった。
【0055】
図9は、本実施例の基本的構成において第4の変形例に係るエアスライダ11Dの滑り材構造、シール材15及び粘弾性を有するテープ状部材32Aの挟み込み構造を示すものである。テープ状部材32Aは、シール材15の上面、下面のいずれか、又はその両面に配置することができる。
【0056】
このようなエアスライダ11Dによれば、エア漏れを確実に防止できるとともに粘弾性を有するテープ状部材32Aを採用する構成であることから、シール材15の振動防止効果も得られる。
【0057】
図10は本実施例の基本的構成において第5の変形例に係る滑り材構造、エア室13側にスポンジ状部材33を振動基台に接触させる状態で配置したエアスライダ11Eを示すものである。
【0058】
前記スポンジ状部材33は、ドーナツ型の形状をしており、外面がエア室の内壁に接し、下面が振動基台に接触している。前記スポンジ状部材33は、前記エア室13内の内壁で拘束されていた状態でエアスライダ11Eに伴って動き、振動基台2の上を滑る。
【0059】
このようなエアスライダ11Eによれば,空気の流れの抵抗となるスポンジ状部材33の採用により、シール材と振動基台2との接触面からのエア漏れを一層減少できるとともに、浮上時に発生することのある不安定現象の上下運動を防止することも可能となる。
【0060】
図11は本実施例の基本的構成において第6の変形例に係るエアスライダ11Fを示すものであり、このエアスライダ11Fは、スライダ本体14の円筒状突部14Aを、ネジ36を用いて上下接合する上部円筒状突部14C、下部円筒状突部14Dの分割構造とするとともに、下部円筒状突部14Dの外周側に前記振動制御架台3の振動基台2に対する滑動を補助する略円盤状の滑り材34を設けたものである。
【0061】
このようなエアスライダ11Fによっても、
図4に示す基本的構成に係るエアスライダ11を実現することができる。
【0062】
図12は本実施例の基本的構成において第7の変形例に係るエアスライダ11Gを示すものであり、このエアスライダ11Gは、取り付け面12、スライダ本体14を、前記振動制御架台3側に固定した下面側を球面とした球面座35を介して前記振動制御架台3へ接合する構成としたものである。
【0063】
このようなエアスライダ11Gによれば、前記振動制御架台3の受面の平面度が不均一であるような場合に、取り付け面12、スライダ本体14と球面座35との接触角度変位によりその平面度の不均一性を吸収することが可能となる。
【0064】
次に、
図13乃至
図15を参照して本実施例の基本的構成において第8の変形例に係るエアスライダ11Hについて説明する。
【0065】
第8の変形例に係るエアスライダ11Hは、
図13に示すように、
図4に示す基本的構成に、更に、前記振動制御架台3の浮上時の平坦性を維持するためのレベリングバルブ41aをエア室13内に付加したことが特徴である。
【0066】
図13に示す第8の変形例におけるレベリングバルブ41aは、一端でエア源に連通し他端でバルブ室45aに通じたレベリングバルブ流路44aと、バルブ室45aに配置されバルブ室45a内の底部分に隙間を有する位置に接するようにして配置した接触子42aと、バルブ室45aの上面と接触子42aの頂部とに固着され接触子42aを下方に押圧するレベリングバネ49aと、を具備している。
【0067】
このような構成によれば、前記振動制御架台3の浮上時においてレベリングバルブ41aの開閉動作によりこの振動制御架台3を一定の高さに保持することが可能となり、積載荷重が変化してもエアの供給圧を変更しなくても良くなる。
【0068】
更に、
図14に示すエアスライダ11Hは、前記スライダ本体14に設けたバルブ室45からエア室13にわたってレベリングバルブ41のレベリングバルブ本体42が配置されるとともに、その下側にレベリングバルブ本体42よりも小径で、かつ、一体の接触子42aが前記振動基台2に接離するように配置されたレベリングバルブ本体42を具備して構成している。
【0069】
また、前記振動制御架台3の下面側には前記レベリングバルブ本体42の下部側を、下部Oリング46を介して封止支持する下部支持体47が設けられるとともに、前記バルブ室45内おいてはレベリングバルブ本体42の外周とバルブ室45の内壁間に上部Oリング48が配置されてバルブ室45を区画し、更に前記バルブ室45の内底面とレベリングバルブ本体42の上面との間にはレベリングバルブ本体42を下方に押圧するレベリングバネ49を配置している。
【0070】
そして、
図14に示すように、前記エア室13(これをA室とする)と、前記バルブ室45におけるレベリングバネ49が存在するレベリングバルブ本体42の上面の領域(これをB室とする)とを同圧とするための同圧誘導流路50を設けている。
【0071】
このような構成のエアスライダ11Hによれば、前記振動制御架台3の浮上時においてレベリングバルブ41の開閉動作によりこの振動制御架台3を一定の高さに保持することが可能となり、積載荷重が変化してもエアの供給圧を変更しなくても良くなる。
【0072】
また、上述したA室とB室とを同圧とすることで、前記振動制御架台3の浮上時におけるレベリングバルブ41の釣り合い位置の変化を少なくできる。
【0073】
上述したA室とB室とを同圧としない場合には、A室の圧力変化に応じて前記レベリングバネ49のバネ力を変更しないとレベリングバルブ41の釣り合い位置が変化してしまう。
【0074】
図15は前記同圧誘導流路50の他例を示すものであり、この場合には、既述した同圧誘導流路50に替えて、レベリングバルブ本体42上面から、その内部を経て接触子42aを貫通する同圧誘導流路51を設けた構成としたものである。
【0075】
次に、
図16、
図17を参照して本実施例の基本的構成において第9の変形例に係るエアスライダ11Iについて説明する。
【0076】
このエアスライダ11Iは、本実施例の基本的構成において、前記シール材15に替えて、円板状で、かつ、壁部に中心に関して例えば90度円形間隔配置に振動基台2側の領域に4個のエア流出用の長孔51を設けたシール材15Aを採用したことが特徴である。
【0077】
このようなエアスライダ11Iによれば、前記振動制御架台3の浮上時においてシール材15Aの高さ寸法がある程度大きくなると、前記長孔51の領域が振動基台2の上面から離脱し、このシール材15Aの長孔51からエア室13内のエアが外部に漏出してその高さを一定に保持することができ、この結果、積載荷重に応じてエア室13へのエアの供給圧を変更しなくともよいという利点がある。
【0078】
図18は本実施例のエアスライダ11を含む浮上式の振動制御装置1における前記エアスライダ11の摩擦力のコントロール態様の一例を示すものである。
【0079】
この場合には、振動センサが検知する前記振動制御架台3の振動に応じて各エアスライダ11へのエアの供給圧変化させることで、滑り材と空気圧による支持の割合を変えることができ、各エアスライダ11のスライド摩擦を変化させることができる。
【0080】
すなわち、大きい地震の場合、振動制御架台3の応答が大きい場合には、振動値に応じてエア圧を低減すれば、摩擦抵抗力が増えて、応答変位を小さくすることができる。また、小さい地震発生時には架台3の応答振動は大きくないので、エア圧はそのままとなり高性能の免震機能を発揮させることができる。また、前記振動制御架台3の振動ストロークが限界に達しそうな場合には、ある閾値を設けてエア圧を抜いて着座させれば各エアスライダ11の摩擦抵抗を増加させ振動ストロークが限界にならないようにコントロールすることが可能となる。
【0081】
なお、本実施例に係る振動制御装置1におけるエアスライダ11は、装置内における当該エアスライダ11の配置状況・状態が、例えば上下逆さまになったような場合でも、その配置状況・状態にかかわらず構成して実施できることは前述した通りである。