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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062387
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】超音波探触子
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220413BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61B8/00
H04R1/06 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170359
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 恭伸
(72)【発明者】
【氏名】込山 和彦
【テーマコード(参考)】
4C601
5D019
【Fターム(参考)】
4C601EE10
4C601GB20
4C601GB41
4C601GB50
4C601GD18
4C601LL26
5D019AA26
5D019BB02
5D019BB18
5D019BB28
5D019EE01
5D019FF04
5D019GG02
5D019GG03
5D019GG06
5D019GG09
5D019GG12
5D019HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部材間の電気的接続の信頼性を確保し易く、かつ、部材の筐体への実装が行い易い構造を有した超音波探触子を提供する。
【解決手段】筐体11内に、振動子モジュール13と、振動子モジュールおよび回路モジュール15を接続するコネクタ17と、当該回路モジュールとを、この順にかつ直線状に実装した構造を有した超音波探触子であって、筐体は振動子モジュールを実装する第1部分11aと、回路モジュール及びコネクタを実装する第2部分11bとで構成する。超音波探触子10は、コネクタと振動子モジュールとの間に空隙部19を備えており、かつ、この空隙部を渡ってコネクタ及び振動子モジュールを接続していて余長を持つフレキシブルプリント基板21を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に前記筐体の一端側から順に直線状に配置された、振動子モジュールと、前記振動子モジュール及び回路モジュールを接続するコネクタと、当該回路モジュールと、前記コネクタ及び前記振動子モジュールの間、又は、前記コネクタ及び前記回路モジュールの間に設けられた空隙部と、前記空隙部を渡って前記コネクタ及び前記振動子モジュール又は前記回路モジュールを接続していて余長を持つフレキシブルプリント基板と、を備えたことを特徴とする超音波探触子
【請求項2】
前記空隙部は、前記コネクタと前記振動子モジュールとの間に設けてあり、かつ、前記フレキシブルプリント基板は、前記コネクタの雄雌端子の一方の端子と前記振動子モジュールとの接続に用いてあることを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記筐体は、前記振動子モジュールを内部に実装している第1部分と、前記コネクタ及び前記回路モジュールを実装している第2部分と、を備えており、かつ、前記第1部分及び前記第2部分は接着剤によって接続してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記筐体の前記第2部分の、前記第1部分とは反対側の端部に固定されていて、前記回路モジュールを外部装置に接続するためのUSBコネクタを備えることを特徴とする請求7項1~3のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記振動子モジュールの前記コネクタ側の面に、前記コネクタの雄雌端子を組み込む際の前記コネクタの受け台としての基台を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【請求項6】
前記コネクタの前記振動子モジュール側の面に、前記コネクタの雄雌端子を組み込む際の前記コネクタの保護板となる補強板を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の超音波探触子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と、この筐体内に、下記の順に直線状に配置された、振動子モジュール、この振動子モジュールおよび回路モジュールを接続するコネクタ並びに当該回路モジュール、を備える超音波探触子であって、前記3つの部材間の電気的接続の信頼性に優れ、かつ、前記3つの部材の前記筐体への実装が行い易い構造を有する超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子が、種々の分野で利用されており、特に医療分野では、人体の内部疾患の診断や胎児の成長診断等に必須のものとなっている。
超音波探触子の一例として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この超音波探触子は、被診断物側から、音響レンズ、音響整合層、振動子(電極含む)及びバッキング材がこの順に積層されて成る振動子モジュールが、筐体内に固定されたものであった。そして、振動子の電極から、フレキシブルプリント基板(以下、FPCともいう)が引き出されていて、かつ、このFPCの他端に電気信号伝送ケーブルが接続され、かつ、この電気信号伝送ケーブルの他端が、超音波診断装置本体に接続されていた(特許文献1の図1等)。
【0003】
特許文献1に開示された超音波探触子によれば、振動子電極と接続導体との接続が、振動子の背面のみでなされているため、振動子、接続導体及びそれらの配線への機械的負荷が低減されるという(特許文献1の段落20)。その結果、振動子の破損、あるいは第2振動子電極と接続導体との電気的な接触不良等を減少できるという(特許文献1の段落20)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-151239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、汎用PC、タブレット端末及びスマートフォン等の汎用的な情報端末装置に、超音波探触子を接続して、診断や探傷を行う、携帯型の超音波診断装置が求められている。
その場合、超音波探触子の内部に、超音波の送受信回路等を含む回路モジュールを備えたものが、必要になる。しかも、超音波探触子は、人の手で持ち易いものが好ましいことから、超音波探触子の筐体における、人の手で握る部分(グリップ部)は、手のひらの大きさを考慮した太さかつ長さを有した形状が好ましい。一方、振動子モジュールは、超音波診断装置に要求される仕様に応じて個別振動子の個数・配列形状が変わることが多い。従って、超音波探触子の製造の容易性を考慮すると、振動子モジュールと回路モジュールとを、別々に製作し、最終的に両者を合体できる構造が好ましい。従って、振動子モジュールと、この振動子モジュールおよび回路モジュールを接続するコネクタと、当該回路モジュールとを、この順にかつ直線状に実装した構造が必要になる。しかも、これら3つの部材間の電気的接続の信頼性を確保し易く、かつ、これら3つの部材の上記筐体への実装が行い易い構造が必要になる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構造も含め従来においては、上記要求に適する構造が、この出願に係る発明者の知る限り、無かった。
この出願は、上記の点に鑑みなされたものであり、従って、この出願の目的は、振動子モジュールと、振動子モジュールおよび回路モジュールを接続するコネクタと、当該回路モジュールとを、この順にかつ直線状に実装した構造を有した超音波探触子であって、前記3つの部材間の電気的接続の信頼性を確保し易く、かつ、前記3つの部材の筐体への実装が行い易い構造を有した超音波探触子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的の達成を図るため、この発明の超音波探触子によれば、筐体と、前記筐体内に前記筐体の一端側から順に直線状に配置された、振動子モジュールと、前記振動子モジュール及び回路モジュールを接続するコネクタと、当該回路モジュールと、前記コネクタ及び前記振動子モジュールの間、又は、前記コネクタ及び前記回路モジュールの間に設けられた空隙部と、前記空隙部を渡って前記コネクタ及び前記振動子モジュール又は前記回路モジュールを接続していて余長を持つフレキシブルプリント基板と、を備えたことを特徴とする。
ここで、空隙部の、前記筐体の長手方向に沿った寸法(図1中の寸法g)は、出願人の実験によれば、0.5~3mmが良く、好ましくは1~2mmが良い。また、フレキシブルプリント基板の前記余長は、空隙部の上記寸法gに対し、g~4gが良く、好ましくはg~2gが良い。
【0008】
この発明を実施するに当たり、前記空隙部は、前記コネクタと前記振動子モジュールとの間に設けてあり、かつ、前記フレキシブルプリント基板は、前記コネクタの雄雌端子の一方の端子と前記振動子モジュールとの接続に用いてあることが好ましい。
【0009】
この発明を実施するに当たり、前記筐体は、前記振動子モジュールを内部に実装している第1部分と、前記コネクタ及び前記回路モジュールを実装している第2部分と、を備えており、かつ、前記第1部分及び前記第2部分が接着剤によって固定されていることが好ましい。
【0010】
この発明を実施するに当たり、前記筐体の前記第2部分の、前記第1部分とは反対側の端部に固定されていて、前記回路モジュールを外部装置に接続するためのUSBコネクタを備えることが好ましい。
【0011】
この発明を実施するに当たり、前記振動子モジュールの前記コネクタ側の面に、前記コネクタの雄雌端子を組み込む際の前記コネクタの受け台としての基台を備えることが好ましい。
【0012】
この発明を実施するに当たり、前記コネクタの前記振動子モジュール側の面に、前記コネクタの雄雌端子を組み込む際の前記コネクタの保護板となる補強板を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この出願の超音波探触子によれば、筐体内に、振動子モジュールと、回路モジュールと、両モジュールを接続するコネクタとを、直線状に配置してあるととともに、コネクタと振動子モジュールとの間、又は、コネクタと回路モジュールとの間に、空隙部を設けてある。しかも、空隙部を渡って、余長を持つフレキシブルプリント基板を配置して、このフレキシブルプリント基板によって、コネクタと振動子モジュール若しくは回路モジュールとを電気的に接続してある。従って、コネクタと振動子モジュール若しくはコネクタと回路モジュールとの間は、空隙部に起因する緩衝部を持った状態で電気的な接続が行われるので、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュールへ応力が加わることを軽減できる。従って、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の間の電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0014】
また、コネクタと振動子モジュールとの間、又は、コネクタと回路モジュールとの間に、空隙部を設け、そして、フレキシブルプリント基板によって振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の間の電気的接続をするので、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の、筐体の長手方向に沿う寸法が、多少大小して寸法誤差が生じても、この寸法誤差は空隙部及びフレキシブルプリント基板によって、吸収できる。従って、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の、長尺な筐体への実装を、容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)及び(B)は、実施形態の超音波探触子10を説明する図である。特に、図1(A)は、超音波探触子10を側面から内部を透視した状態で示した側面図であり、図1(B)は図1(A)中のM部分を拡大しかつ詳細に示した側面図である。
図2図2は、実施形態の超音波探触子10の正面図、下面図、及び、携帯端末としてのタブレット31に超音波探触子10を接続した使用例を示した図である。
図3図3(A)及び(B)は、実施形態の超音波探触子10の製法例及び、空隙部19とフレキシブルプリント基板21の作用を説明する図である。
図4図4(A)は、他の実施形態の超音波探触子40の正面図、図4(B)は、超音波探触子40を図3(A)のP側から見た下面図、図4(C)は、超音波探触子40の内部例を示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこれら発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の実施形態中で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
1. 実施形態の超音波探触子10の構造
先ず、図1及び図2を参照して、実施形態の超音波探触子10の構造について説明する。
この超音波探触子10は、筐体11と、振動子モジュール13と、回路モジュール15と、コネクタ17と、空隙部19と、フレキシブルプリント基板21と、基台23と、補強板25と、USBコネクタ27と、ケーブル29と、を備えている。この超音波探触子10は、いわゆるリニア型の超音波探触子に本発明を適用した例である。以下、各構成成分について、具体的に説明する。
【0018】
筐体11は、振動子モジュール13を内部に実装している第1部分11aと、コネクタ17及び回路モジュール15を内部に実装している第2部分11bと、を備えたものである。第1部分11aは、振動子モジュール13が仕様に応じて形状や大きさが変わるので、それに応じた形状・大きさとしてある。例えば、この場合の第1部部分11aは、第2部分11b側から超音波探触子10の先端側に向かって、細くなる形状を有したものとしてある。一方、第2部分11bは、人が持ち易いように、全長が人の手で持てる程度の長さとしてあり、かつ、太さは比較的細め、かつ、中央部分が両端部分に比べて若干細くなっていて、概略、長尺な形状としてある。
筐体11は、樹脂、金属等、任意好適な材料で構成できるが、好ましくは樹脂で構成するのが良い。
【0019】
振動子モジュール13は、任意好適な構成とできる。この超音波探触子10の場合は、超音波探触子10の先端側から、音響レンズ13a、第2整合層13b、第1整合層13c、振動子部13d及びバッキング部材13eをこの順に積層した構造のものとしてある。なお、振動子部13dは、図示を省略しているが、多数個の個別振動子をアレイ状に有するものであり、かつ、個別振動子の表裏に電極を有するものである。振動子部13dの振動子自体の構成材料は、典型的には、圧電性を有したセラミックス、例えばPZT等である。
この振動子モジュール13は、筐体11の第1部分11内に好適な接着剤等によって固定してある。
【0020】
回路モジュール15は、超音波の送受信回路等を含む任意好適な回路である。この場合の回路モジュール15は、筐体11の第2部分11bの長さより少し短い長さを持った、長尺な長方形状の配線基板15aに、種々の電子部品が実装されたものである。さらに、配線基板15aの振動子モジュール13側には、回路モジュール15を振動子モジュール13に接続するコネクタ17の、雄雌の接続端子のうちの一方の接続端子17a(図1(b)参照)を、また、配線基板15aのUSBコネクタ27側には、USBコネクタ嵌合部15bを、それぞれ設けてある。また、回路モジュール15は、外部の電磁波の影響や、当該超音波探触子10の信号の外部への影響を防止するため、回路モジュール15をシールドするシールド部材15cを備えている。
【0021】
コネクタ17は、振動子モジュール13と回路モジュール15とを、フレキシブルプリント基板21と協働して、電気的に接続するもので、雄雌の接続端子17a、17b(図1(B)参照)を有したものである。そして、雄雌の接続端子17a、17bのうちの一方(図示例では端子17a)を、配線基板15aに接続してあり、他方(図示例では端子17b)をフレキシブルプリント基板21の一端に接続してある。フレキシブルプリント基板21の他端は、振動子モジュール13に、具体的には振動子部13dの電極に、接続してある。このコネクタ17は、超音波探触子10の設計に応じた端子数および構造を有した任意のもので良い。
【0022】
空隙部19は、振動子モジュール13と回路モジュール15との間に生じさせたもので、この実施形態の場合は、基台23と補強板25との間に生じさせたものである。この空隙部19は、フレキシブルプリント基板21と相俟って、振動子モジュール13と回路モジュール15との電気的接続の信頼性を高める緩衝部としての機能を持つものである。しかも、振動子モジュール13及び回路モジュール15各々の寸法的誤差が生じた場合でも、これらモジュールを筐体11へ組付けることを可能にする余裕空間おしての機能を持つ者である。詳細は、後に、図2を参照して説明する。
なお、空隙部19の隙間寸法g(図1(B)参照)は、コネクタ17の雄雌端子17a、17bの接続が容易に行え、かつ、振動子モジュール13、コネクタ17及び回路モジュール15に緩衝効果を与えることができ、かつ、振動子モジュール13、コネクタ17及び回路モジュール15の寸法誤差を吸収できる寸法であり、これに限られないが例えば、0.5~3mmが良く、好ましくは1~2mmが良い。
【0023】
フレキシブルプリント基板21は、空隙部19間を渡ってコネクタ17と、振動子モジュール13との間に設けられていて、コネクタ17と、振動子モジュール13とを電気的に接続しているものである。従って、振動子モジュール13は、フレキシブルプリント基板21、コネクタ17を介して、回路モジュール15と電気的に接続される。
なお、このフレキシブルプリント基板21は、柔軟性を持ち、かつ、余長を持つものである。具体的には、コネクタ17の雄雌端子17a、17bの接続が容易に行え、かつ、振動子モジュール13、コネクタ17及び回路モジュール15に緩衝効果を与えることができ、かつ、振動子モジュール13、コネクタ17及び回路モジュール15の寸法誤差を吸収できる余裕の長さを持つものである。余長は、これに限られないが例えば、空隙部19の上記した隙間寸法gに対し、g~4gが良く、好ましくはg~2gが良い。
【0024】
基台23は、この例の場合、振動子モジュール13の回路モジュール15側に、設けたものであり、筐体11の第1部分11内に好適な接着剤によって、固定してあるものである。この基台23は、主に、超音波探触子10を製造する際に使用するものである。具体的には、基台23は、コネクタ17の雄雌の端子17a、17bを接続する際に、すなわち一方の端子17aと他方の端子17bとを接続する際に、使用するもので、コネクタの一方の端子17aを基台23上に載せて、他方の端子17bを一方の端子17bに押し付ける際のコネクタの受け台となるものである。基台23は、一体物でも良いが、図1(B)に示したように、第1部分23a及び第2部分23bの積層構造とし、上側である第2部分23bは、超音波探触子10を製造する工程中の適切な工程で、第1部分23aに後付けできる構造が好ましい。このようにすれば、前工程で基台23が邪魔になることを防止できるからである。基台23の構成材料は、樹脂又は金属等、任意好適なものを用いることができる。また、基台23の高さh(図1(B)参照)は、筐体11の第1部分11aの高さH(図1(B)参照)から振動子モジュール13の高さhx(図1(B)参照)を引いた高さ前後の寸法とするのが良い。
【0025】
補強板25は、コネクタ17の振動子モジュール13側の面に設けたもので、コネクタ17の雄雌端子17a、17bを組み込む際のコネクタ17の保護板の役割を果たすものである。補強板25は、例えば、樹脂又は金属によって構成できる。
【0026】
USBコネクタ27は、回路モジュール15に設けられたUSBコネクタ嵌合部に対応するものであり、筐体11の第2部分11bの末端側に組み込まれているものである(図4(C)の分解図参照)。このUSBコネクタ27に、回路モジュール15に設けられたUSBコネクタ嵌合部15cを押し込むことによって、回路モジュール15は、筐体11の第2部分11bに固定される。従って、回路モジュール15は、一端がコネクタ17と接続され、他端がUSBコネクタ27に接続されることによって、筐体11内に固定される。
【0027】
ケーブル29は、一端が、USBコネクタ27に接続してあり、他端が、当該超音波探触子10を制御する、パソコン、タブレット又はスマートフォン等の端末装置に接続されるものである。ケーブル29の端末装置側には、端末装置に応じた接続端子29aを設けてある(図2参照)。
この超音波探触子10は、ケーブル29、接続端子29a、31aを介して、任意の携帯端末、例えばタブレット31に接続して使用できる。
【0028】
2. 超音波探触子10の製法例等
本発明の理解を深めるために、超音波探触子10の製造例について、図1図3を参照して説明する。
第1部分11a及び第2部分11bを有した2分割構造の筐体11を用意する。また、振動子モジュール13を用意する。この振動子モジュール13は、超音波診断装置の仕様に応じて、個別振動子の数や配置で設計されたものである。また、振動子モジュール13及び回路モジュール15の仕様に応じた配線数を有するフレキシブルプリント基板21、及び、このフレキシブルプリント基板21に対応する端子を持つコネクタ17を用意する。
【0029】
次いで、振動子モジュール13の所定部分すなわち電極部分等に、にフレキシブルプリント基板21の一端を接続し、このフレキシブルプリント基板21の他端にコネクタ17の一方の端子17aを接続する。また、このコネクタ17の振動子モジュール13側の面に補強板25を接着固定する。
また、振動子モジュール13のバッキング材13e側の面に、基台23の第1の部分23bを接着する。
基台23の第1の部分23bやフレキシブルプリント基板を接続し終えた振動子モジュール13を、筐体11の第1部分11内に接着剤によって、固定する。
【0030】
また、超音波を送受するための所定の電子部品を実装した配線基板15aを作製し、さらにこの配線基板15aに、USB用コネクタ嵌合部15b、シールド15c及びコネクタ17の一方の接続端子17aを、設ける。
【0031】
次に、基台23の、第1部分23a上に、基台23の第2部分23bを接着接固定する。
次に、フレキシブルプリント基板21に接続されているコネクタ17の第2部分17b及び補強板25を、基台23の第2部分23b上に載せる(図3(A))。そして、回路モジュール15に設けてあるコネクタ17の第1部分17aを、コネクタ17の第2部分17bに押し付けて(図3(A))、コネクタ17に回路モジュール15を嵌め込む。
【0032】
次に、回路モジュール15のUSBコネクタ嵌合部15cを、筐体11の第2部分11bの末端に設けてあるUSBコネクタ27に、組み付けることで、回路モジュール15を、筐体11の第2部分11bに実装する(図1参照)。
そして、筐体11の第1部分11a及び第2部分11bを接着剤等で接合して、実施形態の超音波探触子10を得ることができる。
【0033】
完成した超音波探触子10では、図3(B)に示したように、振動子モジュール13と回路モジュール15との間に、空隙部19が生じており、かつ、フレキシブルプリント基板21が、空隙部19を余裕をもって渡って、コネクタ17の第1部分17aと振動子モジュール13との間を電気的に接続している構造が実現できる。
従って、空隙部19の作用によって、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュールへ応力が加わることを軽減できるから、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の間の電気的接続の信頼性を高めることができる。また、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の、長尺な筐体の長手方向に沿う寸法が、多少大小して寸法誤差が生じても、この寸法誤差は空隙部及びフレキシブルプリント基板によって、吸収できるから、従って、振動子モジュール、コネクタ及び回路モジュール各々の、長尺な筐体への実装を、容易に行える。
【0034】
3. 他の実施形態の超音波探触子40
上述した実施形態は、いわゆるリニア型の緒音波探触子に本発明を適応した例であったが、本発明を適用できるものは、これに限られず、種々の構造の超音波探触子に適用できる。図4は、いわゆるコンベックス型の超音波探触子に本発明を適用した例である。
振動モジュール13がコンベックス形状であり、それに応じて筐体の第1部分11aが、幅広かつコンベックス形状になっているが、図4(A)に示したように、振動子モジュール13と回路モジュール15との間に空隙部19を備えており、かつ、振動子モジュール13と回路モジュール15との間はコネクタ17及びフレキシブルプリント基板21(図4(C)参照)によって接続してある。
【符号の説明】
【0035】
10:実施形態の超音波探触子 11: 筐体11
11a:筐体の第1部分 11b:筐体の第2部分
13:振動子モジュール13 15:回路モジュール15
15a:配線基板 15b:USBコネクタ嵌合部
15c:シールド部材 17:コネクタ
17a:コネクタの雄雌端子の一方の端子(第1部分)
17b:コネクタの雄雌端子の他方の端子(第2部分)
19:空隙部 g:空隙部19の寸法
21:フレキシブルプリント基板 23:基台
23a:基台の第1部分 23b:基台の第2部分
25:補強板 27:USB用コネクタ
29:ケーブル 29a,31a:端子
31:携帯端末(タブレット)








図1
図2
図3
図4