(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062405
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20220413BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220413BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220413BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220413BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170394
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC29
3K107DD53
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD89
3K107DD91
3K107FF00
5C094AA25
5C094BA12
5C094BA27
5C094CA24
5C094DA13
5C094EA04
5C094EA07
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB14
(57)【要約】
【課題】リーク電流の低減を目的とする。
【解決手段】表示装置は、複数の発光領域46を含み、発光色R,G,Bが異なって隣り合う一対の異色発光領域を複数の発光領域46が含み、発光色R,G,Bごとに別々になった複数の発光層44R,44G,44Bと、複数の発光層44R,44G,44Bのいずれよりも、流れる電流が指数関数的に増加し始める閾値電圧が低く、一対の異色発光領域の間に位置する低閾値層48と、複数の発光層44R,44G,44B及び低閾値層48の下で、複数の発光領域46にそれぞれ接触する複数の第1領域A1と、低閾値層48に接触する第2領域A2と、を連続的に含む連続層50と、連続層50の下方で複数の発光領域46にそれぞれ重なる複数の画素電極38と、複数の発光層44R,44G,44B及び低閾値層48の上方で複数の画素電極38に対向する対向電極52と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光領域を含み、発光色が異なって隣り合う一対の異色発光領域を前記複数の発光領域が含み、前記発光色ごとに別々になった複数の発光層と、
前記一対の異色発光領域に含まれる前記発光層のいずれよりも、流れる電流が指数関数的に増加し始める閾値電圧が低く、前記一対の異色発光領域の間に位置する低閾値層と、
前記複数の発光層及び前記低閾値層の下で、前記複数の発光領域にそれぞれ接触する複数の第1領域と、前記低閾値層に接触する第2領域と、を連続的に含む連続層と、
前記連続層の下方で前記複数の発光領域にそれぞれ重なる複数の画素電極と、
前記複数の発光層及び前記低閾値層の上方で前記複数の画素電極に対向する対向電極と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記複数の発光層のそれぞれは、前記複数の発光領域の対応する1つを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された表示装置において、
前記複数の発光層は、相互に重ならずに配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記低閾値層は、前記複数の発光層のいずれとも重ならずに配置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記低閾値層は、半導体材料、又は有機半導体材料を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載された表示装置において、
前記半導体材料は、前記複数の発光層のいずれかに含有されるドーパントであることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記連続層は、重なった複数層の最上層であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の画素電極にそれぞれ対応する複数の開口を有し、前記複数の画素電極のそれぞれの端部と前記連続層の間に介在する絶縁層をさらに有し、
前記複数の発光領域は、それぞれ、前記複数の開口の直上にあることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載された表示装置において、
前記低閾値層は、前記絶縁層の上方にあることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された表示装置において、
前記複数の発光層は、前記絶縁層にも重なることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の発光層は、前記発光色に応じて前記閾値電圧において異なって隣り合う一対の異色発光層を含み、
前記低閾値層は、少なくとも、前記閾値電圧の差において最も大きい前記一対の異色発光層に対応する前記一対の異色発光領域の間にあることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載された表示装置において、
前記低閾値層は、前記閾値電圧の前記差において二番目に最も大きい前記一対の異色発光層に対応する前記一対の異色発光領域の間にもあることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された表示装置において、
前記低閾値層は、前記閾値電圧の前記差において最も小さい前記一対の異色発光層に対応する前記一対の異色発光領域の間を避けた位置にあることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記複数の発光層は、前記発光色に応じて前記閾値電圧において最も高い発光層群を含み、
前記複数の発光領域は、前記発光層群に対応する発光領域群を含み、
前記低閾値層は、前記発光領域群のそれぞれを囲んでいることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、画素数の増加によって隣同士の画素が接近するようになってきた。有機エレクトロルミネセンスディスプレイは、発光層が画素ごとに分離されていても、全画素に連続する層(例えば正孔輸送層)を有することがある。このような連続層は、生産性を確保するためには理想的であるが、リーク電流によって、隣の発光層が発光してしまうことがある(特許文献1及び2)。これは、低階調時に顕著であり、単色や白色の色ずれに影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-103395号公報
【特許文献2】特開2016-85913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光層の材料は、発光色ごとに特性を考慮して選択される。そのため、発光層に電流が流れ始める閾値電圧は、発光色によって異なる。リーク電流の対策のためには、どの発光層でも閾値電圧を同じにすることが理想だが、そうすると材料選択の余地を狭めることになる。
【0005】
本発明は、リーク電流の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、複数の発光領域を含み、発光色が異なって隣り合う一対の異色発光領域を前記複数の発光領域が含み、前記発光色ごとに別々になった複数の発光層と、前記一対の異色発光領域に含まれる前記発光層のいずれよりも、流れる電流が指数関数的に増加し始める閾値電圧が低く、前記一対の異色発光領域の間に位置する低閾値層と、前記複数の発光層及び前記低閾値層の下で、前記複数の発光領域にそれぞれ接触する複数の第1領域と、前記低閾値層に接触する第2領域と、を連続的に含む連続層と、前記連続層の下方で前記複数の発光領域にそれぞれ重なる複数の画素電極と、前記複数の発光層及び前記低閾値層の上方で前記複数の画素電極に対向する対向電極と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、連続層から低閾値層に電流が流れることで、一対の異色発光領域の間のリーク電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。
【
図2】
図1に示す表示装置のII-II線断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。
【
図6】第3の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。
【
図7】第4の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。
【
図8】第5の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の平面図である。表示装置は、ディスプレイDSPを含む。ディスプレイDSPは、可撓性を有し、表示領域DAの外側で折り曲げられるようになっている。ディスプレイDSPには、画像を表示するための素子を駆動するための集積回路チップCPが搭載されている。ディスプレイDSPには、フレキシブルプリント基板FPが接続されている。
【0013】
表示装置は、例えば、有機エレクトロルミネセンス表示装置である。表示装置は、画像が表示される表示領域DAを有する。表示領域DAでは、例えば、赤、緑及び青からなる複数色の単位画素(サブピクセル)を組み合わせて、フルカラーの画素を形成し、フルカラーの画像が表示される。
【0014】
図2は、
図1に示す表示装置のII-II線断面図である。
図3は、
図2に示す部分IIIの拡大図である。
図3に示す樹脂基板10は、ポリイミドからなる。ただし、シートディスプレイ又はフレキシブルディスプレイを構成するために十分な可撓性を有する基材であれば他の樹脂材料を用いてもよい。樹脂基板10の裏面には、感圧接着剤12を介して、補強フィルム14が貼り付けられている。ここでは例として、シートディスプレイを想定して樹脂基板10を用いているが、特にこれに限定されるものではなく、ガラス基板、絶縁表面を有する金属基板等に換えても良い。
【0015】
樹脂基板10上に、バリア無機膜16(アンダーコート層)が積層されている。バリア無機膜16は、第1無機膜(例えばシリコン酸化膜)16a、第2無機膜(例えばシリコン窒化膜)16b及び第3無機膜(シリコン酸化膜)16cの三層積層構造である。最下層の第1無機膜16aは、樹脂基板10との密着性向上のため、中層の第2無機膜16bは、外部からの水分及び不純物のブロック膜として、最上層の第3無機膜16cは、第2無機膜16b中に含有する水素原子が薄膜トランジスタTRの半導体層18側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではなく、さらに積層があってもよいし、単層あるいは二層積層であってもよい。
【0016】
薄膜トランジスタTRを形成する箇所に合わせて付加膜20を形成してもよい。付加膜20は、チャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTRの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTRにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、第1無機膜16aを形成した後、薄膜トランジスタTRが形成される箇所に合わせて付加膜20を島状に形成し、その後第2無機膜16b及び第3無機膜16cを積層することで、バリア無機膜16に付加膜20を封入するように形成しているが、この限りではなく、樹脂基板10上にまず付加膜20を形成し、その後にバリア無機膜16を形成してもよい。
【0017】
バリア無機膜16上に薄膜トランジスタTRが形成されている。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成してもよい。薄膜トランジスタTRの半導体層18は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に、低濃度不純物領域又は真性半導体領域を設けた構造を採る。ゲート絶縁膜22としてはここではシリコン酸化膜を用いる。ゲート電極24は、MoWから形成された第1配線層W1の一部である。第1配線層W1は、ゲート電極24に加え、第1保持容量線CL1を有する。第1保持容量線CL1と半導体層18(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜22を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0018】
ゲート電極24の上に、層間絶縁膜26(シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜)が積層されている。層間絶縁膜26の上に、ソース/ドレイン電極28となる部分を含む第2配線層W2が形成されている。ここでは、Ti、Al及びTiの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜26を介して、第1保持容量線CL1(第1配線層W1の一部)と第2保持容量線CL2(第2配線層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。
【0019】
ソース/ドレイン電極28を覆うように平坦化有機膜30が設けられている。平坦化有機膜30は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の樹脂が用いられる。
【0020】
平坦化有機膜30は、画素コンタクト部32では除去されて、その上に透明導電膜34(例えば酸化インジウムスズ(ITO))が形成されている。透明導電膜34は、相互に分離された第1透明導電膜34a及び第2透明導電膜34bを含む。
【0021】
平坦化有機膜30の除去により表面が露出した第2配線層W2は、第1透明導電膜34aにて被覆される。第1透明導電膜34aを被覆するように、平坦化有機膜30の上に無機絶縁膜36(例えばシリコン窒化膜)が設けられている。無機絶縁膜36は、画素コンタクト部32に開口し、この開口を介してソース/ドレイン電極28に導通するように画素電極38が積層されている。画素電極38は、反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛膜、Ag膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造になっている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜を用いてもよい。画素電極38は、画素コンタクト部32から側方に拡がり、薄膜トランジスタTRの上方に至る。
【0022】
第2透明導電膜34bは、画素コンタクト部32に隣接して、画素電極38の下方(さらに無機絶縁膜36の下方)に設けられている。第2透明導電膜34b、無機絶縁膜36及び画素電極38は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0023】
表示装置は、複数の画素電極38のそれぞれの端部を覆う絶縁層40を有する。絶縁層40は、バンク(リブ)とも呼ばれる。絶縁層40は、平坦化有機膜30の上であって、例えば画素コンタクト部32の上方で、隣同士の画素領域の隔壁となる。絶縁層40としては平坦化有機膜30と同じく感光性アクリル等が用いられる。
【0024】
平坦化有機膜30と絶縁層40は、両者間にある無機絶縁膜36に設けた開口を通じて接触している。これにより、絶縁層40の形成後の熱処理等を通じて、平坦化有機膜30から脱離する水分や脱ガスを、絶縁層40を通じて引き抜くことができる。
【0025】
図2に示すように、絶縁層40は、複数の画素電極38にそれぞれ対応する複数の開口42を有する。開口42の端部はなだらかなテーパー形状となるのが好ましい。開口42の端部が急峻な形状になっていると、その上に形成される層のカバレッジ不良を生ずる。
【0026】
表示装置は、複数の発光層44R,44G,44Bを有する。複数の発光層44R,44G,44Bは、発光色ごとに別々になっている。例えば、発光層44Rの発光色は赤であり、発光層44Gの発光色は緑であり、発光層44Bの発光色は青である。複数の発光層44R,44G,44Bは、相互に重ならずに配置されているが、端部において相互に重なっていてもよい。複数の発光層44R,44G,44Bの端部は、絶縁層40に重なっている。
【0027】
複数の発光層44R,44G,44Bは、複数の発光領域46を含む。例えば、複数の発光層44R,44G,44Bのそれぞれが、複数の発光領域46の対応する1つを含む。変形例として、複数の発光層44R,44G,44Bのそれぞれが、2つ又はそれ以上の発光領域46を含んでもよい。複数の発光領域46は、それぞれ、複数の画素電極38に重なる。複数の発光領域46は、それぞれ、絶縁層40の複数の開口42の直上にある。
【0028】
表示装置は、低閾値層48を有する。低閾値層48は、複数の発光層44R,44G,44Bのいずれよりも、流れる電流が指数関数的に増加し始める閾値電圧において低い。低閾値層48は、半導体材料又は有機半導体材料からなる。半導体材料は、複数の発光層44R,44G,44Bのいずれか(例えば発光色が緑の発光層44G)に含有されるドーパントである。低閾値層48を流れる電流のエネルギーの少なくとも一部は、光や熱に変換されることで消費される。低閾値層48の発光効率は低いことが好ましい。
【0029】
低閾値層48は、複数の発光層44R,44G,44Bのいずれとも重ならずに配置されている。あるいは、低閾値層48は、複数の発光層44R,44G,44Bの少なくとも1層に重なるのであれば、その上ではなく下(画素電極38に近い側)に位置する。低閾値層48は、絶縁層40の上方にある。
【0030】
表示装置は、連続層50を有する。連続層50は、キャリアが移動可能な性質を有している。例えば、連続層50が電子ブロック層であれば、電子の移動はブロックするが、正孔は移動可能である。あるいは、連続層50は、正孔輸送層であってもよい。連続層50は、複数の画素電極38の上方にあって、複数の発光層44R,44G,44B(発光領域46)の下方にある。連続層50は絶縁層40にも重なる。
【0031】
連続層50は、複数の発光層44R,44G,44Bの下では、複数の第1領域A1を含む。複数の第1領域A1は、複数の発光領域46にそれぞれ接触する。したがって、第1領域A1を通してキャリアが発光層44R(又は44G,44B)に流入する。連続層50は、低閾値層48の下では、第2領域A2を含む。第2領域A2は、低閾値層48に接触する。したがって、第2領域A2を通してキャリアが低閾値層48に流入する。
【0032】
複数の第1領域A1と第2領域A2は連続している。つまり、隣同士の第1領域A1の間に第2領域A2がある。低閾値層48は、複数の発光層44R,44G,44Bのいずれよりも閾値電圧において低いので、隣同士の第1領域A1の間で移動するキャリアは、低閾値層48に注入されやすい。
【0033】
連続層50は、重なった複数層の最上層である。複数層は、電子ブロック層(連続層50)、正孔輸送層及び正孔注入層を含んでもよい。また、複数の発光層44R,44G,44B及び低閾値層48の上にも、他の複数層(例えば、正孔ブロック層、電子輸送層及び電子注入層)が重なっている。
【0034】
表示装置は、対向電極52を有する。対向電極52は、複数の発光層44R,44G,44B及び低閾値層48の上方で複数の画素電極38に対向する。対向電極52の上に封止層54が形成されている。封止層54は、複数の発光層44R,44G,44B及びその上下の複数層への外部からの水分侵入を防止することを機能の一としており、高いガスバリア性が要求される。封止層54は、有機膜56及びこれを上下で挟む一対の無機膜58(例えばシリコン窒化膜)の積層構造になっている。一対の無機膜58は、有機膜56の周囲で、接触して重なる。封止層54には、保護層60及び偏光板62(例えば円偏光板)が積層される。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。本実施形態では、画素配列はストライプ配列である。縦方向に同じ発光色R(又はG,B)の発光領域46R(又は46G,46B)が並ぶ。横方向には異なる発光色R,G,Bの発光領域46R,46G,46Bが交互に並ぶ。複数の発光領域46R,46G,46Bは、発光色R,G,Bが異なって隣り合う一対の異色発光領域を含む。一対の異色発光領域は、例えば、一対の発光領域46B,46R、一対の発光領域46B,46G、一対の発光領域46R,46Gである。
【0036】
複数の発光層44R,44G,44Bは、発光色R,G,Bに応じて閾値電圧において異なって隣り合う一対の異色発光層を含む。一対の異色発光層は、例えば、一対の発光層44B,44R、一対の発光層44B,44G、一対の発光層44R,44Gである。
【0037】
低閾値層48は、少なくとも、閾値電圧の差において最も大きい一対の異色発光層(一対の発光層44B,44R又は一対の発光層44B,44G)に対応する一対の異色発光領域(一対の発光領域46B,46R又は一対の発光領域46B,46G)の間にある。
【0038】
低閾値層48は、閾値電圧の差において二番目に最も大きい一対の異色発光層(一対の発光層44B,44R又は一対の発光層44B,44G)に対応する一対の異色発光領域(一対の発光領域46B,46R又は一対の発光領域46B,46G)の間にもある。
【0039】
低閾値層48は、閾値電圧の差において最も小さい一対の異色発光層に対応する一対の異色発光領域(一対の発光領域46R,46G)の間を避けた位置にある。
【0040】
本実施形態によれば、連続層50から低閾値層48に電流が流れることで、一対の異色発光領域(一対の発光層44B,44R及び一対の発光層44B,44G)の間のリーク電流を低減することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。本実施形態では、発光色R,G,Bに応じて閾値電圧において最も高い発光層244B群は、ストライプ状に配列されている。それ以外の発光層244R,244G群は、ストライプの長さ方向(縦方向)に交互に並んでいる。この点を除き、第1の実施形態で説明した内容は、本実施形態に適用可能である。
【0042】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。本実施形態は、第2の実施形態と画素配列において同じであるが、低閾値層348は、複数の発光領域346R,346G,346Bの全てのそれぞれを囲んでいる。低閾値層348は、閾値電圧の差において最も小さい一対の異色発光層(一対の発光層344R,344G)に対応する一対の異色発光領域(一対の発光領域346R,346G)の間にもある。
【0043】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。本実施形態では、発光色R,G,Bに応じて、発光領域446R,446G,446Bの大きさが異なり、発光層444R,444G,444Bの大きさが異なる。また、発光領域446R,446G,446Bの平面形状は、配列方向を基準にしてひし形になっている。低閾値層448は、発光色R,G,Bに応じて閾値電圧において最も高い発光層444B群の発光領域446B群のそれぞれを囲んでいる。
【0044】
[第5の実施形態]
図8は、第5の実施形態に係る表示装置の画素配列の平面図である。本実施形態では、画素配列はデルタ配列である。低閾値層548は、発光色R,G,Bに応じて閾値電圧において最も高い発光層544B群の発光領域546B群のそれぞれを囲んでいる。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 樹脂基板、12 感圧接着剤、14 補強フィルム、16 バリア無機膜、16a 第1無機膜、16b 第2無機膜、16c 第3無機膜、18 半導体層、20 付加膜、22 ゲート絶縁膜、24 ゲート電極、26 層間絶縁膜、28 ドレイン電極、30 平坦化有機膜、32 画素コンタクト部、34 透明導電膜、34a 第1透明導電膜、34b 第2透明導電膜、36 無機絶縁膜、38 画素電極、40 絶縁層、42 開口、44B 発光層、44G 発光層、44R 発光層、46 発光領域、46B 発光領域、46G 発光領域、46R 発光領域、48 低閾値層、50 連続層、52 対向電極、54 封止層、56 有機膜、58 無機膜、60 保護層、62 偏光板、244B 発光層、244G 発光層、244R 発光層、344G 発光層、344R 発光層、346R 発光領域、348 低閾値層、444B 発光層、446R 発光領域、446G 発光領域、446B 発光領域、448 低閾値層、544B 発光層、546B 発光領域、548 低閾値層、A1 第1領域、A2 第2領域、Cad 付加容量、CL1 第1保持容量線、CL2 第2保持容量線、CP 集積回路チップ、Cs 保持容量、DA 表示領域、DSP ディスプレイ、FP フレキシブルプリント基板、B 発光色、G 発光色、R 発光色、TR 薄膜トランジスタ、W1 第1配線層、W2 第2配線層。