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特開2022-6241物品管理システム、物品管理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006241
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】物品管理システム、物品管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20220105BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K7/10 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108374
(22)【出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高田 智己
(72)【発明者】
【氏名】菊池 恵里花
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB22
3F522BB27
3F522CC05
3F522CC06
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE01
3F522EE13
3F522EE14
3F522EE18
3F522FF02
3F522FF06
3F522FF21
3F522FF23
3F522FF28
3F522FF37
3F522GG09
3F522GG22
3F522GG24
3F522GG25
3F522GG33
3F522GG34
3F522GG37
3F522GG44
3F522GG45
3F522GG49
3F522HH02
3F522HH04
3F522HH17
3F522HH24
3F522HH30
3F522HH36
3F522KK01
3F522LL42
3F522LL63
(57)【要約】
【課題】RFタグを利用した物品管理を行う際に、省力化を図りつつ、消費電力を抑制する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、物品情報が記録されたRFタグが取り付けられた物品を管理する物品管理システムであって、物品を収納するための収納用具と、収納用具に設けられ、収納用具に対して物品を収納させ、又は収納用具から物品を取り出すイベントを検出するイベント検出装置と、収納用具に設けられ、収納用具内に収納されている物品のRFタグと通信可能に構成されたアンテナと、イベント検出装置によってイベントが検出された場合に、アンテナを活性化させてアンテナを介して収納用具内の物品のRFタグから物品情報を受信し、アンテナを介して物品情報を受信した後にアンテナを非活性化させる通信装置と、通信装置がアンテナを介して受信する物品情報をメモリに記録する記録装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品情報が記録されたRFタグが取り付けられた物品を管理する物品管理システムであって、
物品を収納するための収納用具と、
前記収納用具に設けられ、前記収納用具に対して物品を収納させ、又は前記収納用具から物品を取り出すイベントを検出するイベント検出装置と、
前記収納用具に設けられ、前記収納用具内に収納されている物品のRFタグと通信可能に構成されたアンテナと、
前記イベント検出装置によって前記イベントが検出された場合に、前記アンテナを活性化させて前記アンテナを介して前記収納用具内の物品のRFタグから物品情報を受信し、前記アンテナを介して物品情報を受信した後に前記アンテナを非活性化させる通信装置と、
前記通信装置が前記アンテナを介して受信する物品情報をメモリに記録する記録装置と、
を備えた物品管理システム。
【請求項2】
前記イベント検出装置は、前記収納用具内に収納されている物品の重量を検出する重量センサを有し、前記重量センサによって検出された重量の値が変動した場合に前記イベントを検出したと判断する、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項3】
前記イベント検出装置は、前記収納用具の周囲に人が存在するか否か検出する人感センサを有し、前記人感センサによって前記収納用具の周囲に人が存在することが検出された場合に前記イベントを検出したと判断する、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項4】
前記メモリに記録されている物品情報に基づいて、複数の前記収納用具の各々に収納されている物品の物品情報を含む在庫情報を更新する在庫管理装置をさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載された物品管理システム。
【請求項5】
前記物品管理システムは、前記在庫管理装置と通信可能な情報処理端末をさらに含み、
前記情報処理端末は、
収納予定の物品である収納対象物品の画像を取得する画像取得部と、
物品の画像と当該物品の品目とを機械学習させた学習済みモデルを利用して、前記画像取得部によって取得された画像に対応する収納対象物品の品目を推定する品目推定部と、を有し、
前記在庫管理装置は、前記情報処理端末によって推定された物品の品目に基づいて、複数の前記収納用具のうち前記収納対象物品が収納されるべき収納用具を決定する、
請求項4に記載された物品管理システム。
【請求項6】
前記在庫管理装置の記憶部は、複数の前記収納用具の各々の位置情報を含むマップ情報を記憶し、
前記在庫管理装置は、所定位置から、前記収納対象物品が収納されるべき収納用具の位置までの経路を示す情報を、前記情報処理端末に送信する、
請求項5に記載された物品管理システム。
【請求項7】
各収納用具は、信号を発信する発信機を有し、
前記物品管理システムは、各収納用具の発信機から送信される信号を基に、各収納用具の位置情報を特定する位置特定装置をさらに備え、
前記在庫管理装置は、前記位置特定装置によって特定された位置情報に基づいて、所定位置から、前記収納対象物品が収納されるべき収納用具の位置までの経路を示す情報を、前記情報処理端末に送信する、
請求項5に記載された物品管理システム。
【請求項8】
前記在庫情報は、前記収納用具内に収納されている物品の物品情報と、当該物品の有効期限を示す期限情報と、を含み、
前記在庫管理装置は、現在時刻が前記収納用具内に収納されている物品の有効期限を経過している場合に、前記通信装置に警告メッセージを送信する、
請求項4から7のいずれか一項に記載された情報処理システム。
【請求項9】
前記在庫情報は、前記収納用具内に収納されている物品の品目を示す品目情報をさらに含み、
前記在庫管理装置は、前記在庫情報において同一の品目情報に対応する複数の物品情報のうち有効期限が後に到来する物品が先に前記収納用具から取り出された場合に、前記通信装置に警告メッセージを送信する、
請求項8に記載された情報処理システム。
【請求項10】
物品情報が記録されたRFタグが取り付けられた物品を管理する物品管理方法であって、
前記収納用具に設けられるイベント検出装置が、物品を収納するための収納用具に対して物品を収納し、又は前記収納用具から物品を取り出すイベントを検出し、
通信装置が、前記イベントが検出された場合に、前記収納用具に配置されたアンテナを活性化させて前記アンテナを介して前記収納用具内の物品のRFタグから物品情報を受信し、
前記通信装置が、前記アンテナを介して物品情報を受信した後に前記アンテナを非活性化させ、
記録装置が、前記通信装置が前記アンテナを介して受信する物品情報をメモリに記録する、
物品管理方法。
【請求項11】
物品情報が記録されたRFタグが取り付けられた物品を収納するための収納用具と、前記収納用具内の物品の物品情報が記録されるメモリと、を利用して物品を管理するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記収納用具に対して物品を収納し、又は前記収納用具から物品を取り出すイベントを検出する手順と、
前記イベントが検出された場合に、前記収納用具に配置されたアンテナを活性化させて前記アンテナを介して前記収納用具内の物品のRFタグから物品情報を取得する手順と、
前記アンテナを介して物品情報を取得した後に前記アンテナを非活性化させる手順と、
前記アンテナを介して受信した物品情報を前記メモリに記録する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理システム、物品管理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品に取り付けられているRFタグに記録された情報を読み取ることによって、物品の物品を管理する方法が知られている。
例えば特許文献1には、消費者の通信端末からインターネットを経由して商品在庫問合せコマンドを受信したことに応じて、商品陳列場所にアンテナを配設してなるRFIDタグリーダを動作させ、商品陳列場所に置かれた各商品に付されているRFIDタグのデータを読み取らせることで、コマンドにより問合せのあった商品の在庫有無を判別する在庫管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-158455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の物品管理システムでは、RFタグを取り付けた物品を特定の収納場所に収納させ、あるいは当該収納場所から取り出すときに、その都度、当該収納場所に配置されているアンテナを動作可能にするための操作が必要となることから、作業者にとって操作が煩雑であった。その一方で、収納場所に配置されているアンテナを常時、動作可能にする場合には、在庫管理システムを維持する際の消費電力が大きくなり、好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、RFタグを利用した物品管理を行う際に、省力化を図りつつ、消費電力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、物品情報が記録されたRFタグが取り付けられた物品を管理する物品管理システムであって、物品を収納するための収納用具と、前記収納用具に設けられ、前記収納用具に対して物品を収納させ、又は前記収納用具から物品を取り出すイベントを検出するイベント検出装置と、前記収納用具に設けられ、前記収納用具内に収納されている物品のRFタグと通信可能に構成されたアンテナと、前記イベント検出装置によって前記イベントが検出された場合に、前記アンテナを活性化させて前記アンテナを介して前記収納用具内の物品のRFタグから物品情報を受信し、前記アンテナを介して物品情報を受信した後に前記アンテナを非活性化させる通信装置と、前記通信装置が前記アンテナを介して受信する物品情報をメモリに記録する記録装置と、を備えた物品管理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、RFタグを利用した物品管理を行う際に、省力化を図りつつ、消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の物品管理システムを説明するための例示的な倉庫の平面図である。
図2】第1の実施形態の物品管理システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図3】収納箱、物品、および、ラベルの例を説明する図である。
図4】第1の実施形態の物品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】在庫データベースのデータ構成例を示す図である。
図6】第1の実施形態の物品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図7】第2の実施形態の物品管理システムを説明する図である。
図8】第3の実施形態の物品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図9】第4の実施形態の物品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図10】第4の実施形態の情報処理端末において深層学習による処理を行うときの制御部の機能ブロック図を示す。
図11】第4の実施形態の情報処理端末の学習部におけるニューラルネットワークを概略的に示す図である。
図12】第4の実施形態の物品管理システムの動作を示すシーケンスチャートである。
図13】第4の実施形態の情報処理端末に表示される画面例を示す図である。
図14】第5の実施形態の物品管理システムを説明する図である。
図15】第5の実施形態の物品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図16】第6の実施形態の在庫データベースのデータ構成例を示す図である。
図17】第6の実施形態のサーバで実行されるフローチャートである。
図18】第6の実施形態のサーバで実行されるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「RFタグ」とは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ICタグ、電子タグ、電子荷札ともいい、非接触でRFIDリーダライタによるデータの読み書きを可能とする電子的なタグを意味する。ここで、無線通信で使用される周波数やプロトコルは限定しない。RFタグの通信可能範囲は周波数によって異なるが、例えば数cm~数mの範囲である。
本開示において「収納用具」とは、物品の収納を目的とした用具である。例えば、収納用具は、物品を収納可能であり、かつ物品を取り出し可能な器具、設備等である。収納用具の形態やサイズは、収納対象物品の大きさや形態によって適宜設定可能であり、限定しない。例えば、収納箱や収納棚は、収納用具の一例である。
【0010】
(1)第1の実施形態
以下、本発明の物品管理システムの一実施形態について説明する。
本実施形態の物品管理システム1では、物品には、RFタグを有するラベルが取り付けられており、物品が収納される収納箱(収納用具の一例)には、RFタグと無線通信を行うRFIDアンテナ(以下、単に「アンテナ」)が配置されている。RFタグには、ラベルの取り付け対象である物品に関するデータ(物品データ)が記録されており、アンテナを介して受信される物品データに基づいて収納箱における物品の有無が管理される。
収納箱には、収納箱に対して物品を収納させ、又は収納箱から物品を取り出すイベントを検出するための重量センサ(あるいは荷重センサ)が設けられる。つまり、重量センサは、収納箱に収納されている物品の重量に応じて検出値が変動するように構成されている。そのため、重量センサの検出値の変動に基づいて、物品を収納箱に収納させるイベント(重量増)、および、物品を収納箱から取り出すイベント(重量減)のいずれかのイベントを検出することができる。
収納箱に配置されているアンテナは、上記イベントを検出した場合に活性化させられてRFタグの物品データを受信し、物品データの受信が完了した後に非活性化させられる。そのため、アンテナの動作時間は短期間で済み、物品を管理する際の消費電力低減に寄与する。また、本実施形態の物品管理システム1は、上記イベントの検出機能を備えているため、物品を収納箱に収納させ、あるいは物品を収納箱から取り出す際に作業者がアンテナの活性化/非活性化のための操作を行う必要がないことから、省力化を図ることができる。
【0011】
(1-1)システム概要
図1図3を参照して、本実施形態の物品管理システム1のシステムの概要について述べる。
図1は、本実施形態の物品管理システム1を説明するための例示的な倉庫WHの平面図である。図1に示すように、本実施形態の倉庫WHは、XY平面上に複数の収納箱10-1,10-2,10-3,…,10-Nが配置されており、各収納箱に物品を収納して保管可能に構成されている。なお、図1では物品は図示していない。
以下の説明では、適宜、物品を収納箱に収納することを「入庫」、物品を収納箱から取り出すことを「出庫」という。また、複数の収納箱10-1,10-2,10-3,…,10-Nの各々に対して共通する事項を言及するときには「収納箱10」と表記する。
【0012】
倉庫WHの入出荷口100は、物品の入荷又は出荷作業のために作業者が通る出入口である。入出荷口100には、情報処理端末3およびプリンタ4が配置されている。
情報処理端末3は、倉庫WHの現場において、倉庫WH内に保管されている物品を管理するための機器であり、例えば、コンピュータ装置、タブレット端末、又は、スマートフォンである。
プリンタ4は、物品が倉庫WHに入荷する際に物品に貼付するラベルを発行するとともに、物品を倉庫WHから出荷する際に物品を含むパッケージに貼付するラベルを発行するために設けられている。
【0013】
複数の収納箱10-1,10-2,10-3,…,10-Nには、それぞれ通信装置2-1,2-2,2-3,…,2-Nが設けられている。以下の説明では、複数の通信装置2-1,2-2,2-3,…,2-Nの各々に対して共通する事項を言及するときには「通信装置2」と表記する。
通信装置2は、対応する収納箱10に配置されるアンテナ11および重量センサ12(ともに後述する)と電気的に接続されている。通信装置2は、物品の収納箱10に対する入庫又は出庫のイベントを検出した場合に、アンテナ11を活性化させる。
図示しないが、倉庫WHには、通信装置2を外部のサーバ5(後述する)と通信可能とするためのアクセスポイントが設置される。
【0014】
図2を参照すると、本実施形態の物品管理システム1の概略的なシステム構成が示される。
図2に示すように、本実施形態の物品管理システム1は、倉庫WHに配置されている収納箱10に設けられた通信装置2と、倉庫WHに配置された情報処理端末3およびプリンタ4と、サーバ5(在庫管理装置の一例)と、を含む。通信装置2、情報処理端末3およびプリンタ4は、ネットワークNWを介してサーバ5と通信可能である。ネットワークNWは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等である。
【0015】
通信装置2には、対応する収納箱10に関連する作業者への通知又は警告を行うための表示器23を有する。図2に示した例では表示器23は、第1表示器231および第2表示器232を有する。第1表示器231および第2表示器232は、表示内容が即座に作業者に認識可能となるように、異なる色の光を出射するように構成されていることが好ましい。
例えば、第1表示器231は、対応する収納箱10が物品を入庫すべき箱である場合、作業者に通知するために点滅するように構成される。第2表示器232は、対応する収納箱10に関連する不具合がある場合、作業者に当該不具合の発生を報知するために点滅するように構成される。通信装置2は、第1表示器231および第2表示器232を点滅させる場合、音声も同時に出力することが好ましい。
通信装置2の本体から露出するアンテナ24aは、図示しない倉庫WH内のアクセスポイントとの間で通信を行うための電波を送信又は受信する。
【0016】
次に、図3を参照して、収納箱10の構造、および、物品に貼付されるラベルについて説明する。図3において、収納箱10は断面で示している。
図3に示すように、収納箱10は、例えば中空の直方体の形態をなしており、開口した上部から物品Pを入庫し、かつ収納されている物品Pを出庫することができるように構成されている。収納箱10の底部には、アンテナ11が組み込まれている。
アンテナ11は、収納箱10内に収納されている物品のラベルPLに含まれるRFタグTに電力を供給するための電磁界を発生させ、RFタグTと通信を確立することにより、RFタグTのタグデータを受信する。図示しないが、収納箱10の外部にアンテナ11から放射する電磁波が漏れないように、電磁波シールド用シート(例えば金属箔等)で収納箱10の内側若しくは外側の面、又は両側の面をカバーすることが好ましい。
【0017】
収納箱10の底面には、重量センサ12が取り付けられている。重量センサ12は、収納箱10の底面と収納箱10の載置面MSの間に配置され、収納箱10および収納箱10に収納されている物品の重量を検出する。重量センサ12の種類は限定するものではなく、歪みゲージ方式であってもよいし、圧電式であってもよい。
【0018】
ラベルPLは、プリンタ4によって発行され、物品Pが倉庫WHに入荷されるときに物品Pに貼付される。
図3において拡大して示すように、ラベルPLは、少なくともRFタグTを含む。RFタグTは、IC(Integrated Circuit)と、ICに接続されるアンテナ部と、を含み、ICはタグデータを記憶するメモリを有する。タグデータには、対応する物品Pの品目名称およびシリアル番号のデータからなる物品データが含まれる。当該メモリには、ラベルPLが発行されるときにプリンタ4によってタグデータが書き込まれる(つまり、エンコードされる)。
好ましくは、ラベルPLには、品目名称101、シリアル番号102、および、バーコード103が印字される。バーコード103は、シリアル番号102をコード化したものである。
【0019】
(1-2)システムの各装置の内部構成
次に、図4および図5を参照して、本実施形態の物品管理システム1を構成する各装置の内部構成について説明する。
【0020】
図4に示すように、通信装置2は、制御部21、メモリ22(記録装置の一例)、表示器23、および、通信部24を有する。制御部21と重量センサ12によって、イベント検出装置を構成する。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、通信装置2の全体を制御する。制御部21は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有し、ROMに記録されたプログラムを実行する。
メモリ22は、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリである。
【0021】
制御部21は、ROMに記録されたプログラムを実行することで、例えば以下の(i)~(iv)の機能を実現する。
(i) 重量センサ12の検出値に基づいて、収納箱に対して物品を入庫し、又は収納箱から物品を出庫するイベントを検出する機能
(ii) 上記イベントが検出された場合に、アンテナ11を活性化させてアンテナ11を介して収納箱10内の物品のRFタグからタグデータを受信し(つまり、物品データを取得し)、アンテナ11を介してタグデータを受信した(物品データを取得した)後にアンテナ11を非活性化させる機能
(iii) アンテナ11を介してRFタグの物品データを取得する度に、物品データをメモリ22に書き込む(上書きする)機能
(iv) アンテナ11を介してRFタグの物品データを取得する度に、取得した物品データをサーバ5に送信するように通信部24を制御する機能
【0022】
表示器23は、LED(Light Emitting Device)を有し、制御部21から受信する駆動信号に基づいてLEDを発光させる。図2に示したように、本実施形態の例では、表示器23は、第1表示器231および第2表示器232を有する。なお、好ましくは、通信装置2は、音声信号処理部とスピーカを備え、第1表示器231又は第2表示器232を点滅させるタイミングで、音声を出力する。
通信部24は、アンテナ24a(図2参照)を有し、図示しない倉庫WHのアクセスポイントを介してサーバ5との間で通信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0023】
図4に示すように、情報処理端末3は、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34、および、通信部35を有する。
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、情報処理端末3の全体を制御する。制御部31は、ROMおよびRAMを有し、ROMに記録されたプログラムを実行する。
ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。
操作入力部33は、作業者の操作入力を受け付けるマウス、ポインタ等の入力機器である。表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Device)等の表示パネルを有し、制御部31によるプログラムの実行結果を表示する。
通信部35は、サーバ5との間で予め定義された通信プロトコルに従って通信を行う通信インタフェースである。
【0024】
作業者は、操作入力部33を操作することで、制御部31によるプログラムの実行結果として、倉庫WHの各収納箱10に収納されている物品データを表示部34に表示させることができる。
作業者は、物品が新たに入荷された場合、情報処理端末3を利用して当該物品(収納対象物品)の収納先となる収納箱10を特定することができる。例えば、作業者、倉庫WHの各収納箱10に収納されている物品データを表示部34で閲覧し、空いている収納箱10を収納対象物品の収納先として特定することができる。
あるいは、収納対象物品の収納先をサーバ5が決定し、情報処理端末3に通知するように構成することもできる。その場合、制御部31は、作業者による操作入力部33に対する入力により物品の入荷があったことを認識すると、サーバ5に対して収納先を決定する要求を送信する。サーバ5は、要求を受信すると、在庫データベースを参照し、各収納箱10の空き状況を考慮して収納先を決定し、情報処理端末3に通知する。制御部31からの要求には、品目名称のデータも含まれてもよく、その場合には、サーバ5は、同一の品目名称の物品が収納されている収納箱10を収納先として決定する。
【0025】
図4に示すように、プリンタ4は、制御部41、ストレージ42、モータ駆動部43、ヘッド駆動部44、エンコーダ45、および、通信部46を有する。
制御部41は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ4の全体を制御する。
ストレージ42は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDである。ストレージ42は、ファームウェアを格納する。制御部41は、ファームウェアを実行することで、モータ駆動部43およびヘッド駆動部44を制御し、ラベルPLを発行する。
【0026】
モータ駆動部43は、図示しないモータ駆動回路およびモータを含み、プラテンローラ(図示せず)を回転駆動することで、プリンタ4内の連続紙の搬送を行う。連続紙は、例えば帯状の台紙に複数枚のラベルPLが仮着された状態の用紙である。ファームウェアによる搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
制御部41は、通信部46を介してサーバ5から印字データを受信し、印字データのライン毎のデータであるラインデータを順次、ヘッド駆動部44へ送出する。
ヘッド駆動部44は、サーマルヘッドおよびヘッド駆動回路(共に図示せず)を含む。ヘッド駆動回路は、ラインデータに基づきサーマルヘッドの各発熱素子に選択的に電流を流すことで、連続紙のラベル上に印字を行う。
【0027】
エンコーダ45は、プリンタ4内の連続紙の搬送経路上にある連続紙上のラベルのRFタグと交信可能な範囲に電磁界を形成し、RFタグに物品データを含むタグデータを書き込む(つまり、RFタグをエンコードする)。物品データは、各ラベルが貼付される物品に対応しており、サーバ5から受信する印字データに含まれる。
通信部46は、情報処理端末3およびサーバ5との間で、予め定義された通信プロトコルに従って通信を行う通信インタフェースである。
【0028】
図4に示すように、サーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を有する。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、サーバ5の全体を制御する。
ストレージ52は、不揮発性のメモリであり、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置である。ストレージ52には、在庫データベース(在庫DB)が格納される。ストレージ52は、通信装置2のメモリ22とともに記録装置の一例である。
制御部51は、ROMおよびRAMを有し、ROMに記録されたプログラムを実行する。制御部51は、当該プログラムを実行することで、通信装置2から受信するタグデータに基づいて在庫データベースを更新する。
通信部53は、通信装置2、情報処理端末3、および、プリンタ4の各々との間で予め定義された通信プロトコルに従って通信を行う通信インタフェースである。
【0029】
図5に、在庫データベースのデータ構成例を示す。
図5に例示する在庫データベースの各レコードは、「収納箱データ」フィールドのデータと、「物品データ」フィールドのデータと、を有する。
「収納箱データ」フィールドは、「箱ID」および「箱位置」の各サブフィールドを有する。箱IDは、倉庫WH内の収納箱10を識別する値である。箱位置は、対応する収納箱10の倉庫WH内における座標を示す値である。
「物品データ」フィールドは、「品目名称」サブフィールドと、「シリアル番号」サブフィールドと、を有する。これらのサブフィールドは、対応する収納箱に収納されている1又は複数の物品の各々を対象として設けられる。制御部51は、通信装置2から物品データを取得する度に、対応する収納箱10の「物品データ」フィールドの値を更新する。
【0030】
(1-3)物品管理システムの動作
次に、図6のシーケンスチャートを参照して、本実施形態の物品管理システム1の動作例について説明する。図6のシーケンスチャートは、作業者によって倉庫WHから物品が入荷又は出荷されるときの通信装置2とサーバ5の間で行われる処理を示している。
【0031】
各収納箱10に設けられている通信装置2は、常時、収納箱10に対する入庫又は出庫のイベント検出を行っている(ステップS2)。すなわち、通信装置2は、重量センサ12によって検出された重量の値が変動した場合にイベントを検出したと判断する。収納箱10に物品が入庫された場合には重量センサ12によって検出される重量の値が増加し、収納箱10から物品が出庫された場合には重量センサ12によって検出される重量の値が減少する。そのため、重量センサ12によって検出される重量の変動値を適切な閾値と比較することで、イベントの検出有無を判断できる。
【0032】
通信装置2は、イベントが検出されるとアンテナ11を活性化させ(ステップS4)、収納箱10内に収納されている物品のRFタグと通信可能な状態とする。すなわち、アンテナ11は、収納箱10内に収納されている物品のRFタグに電力を供給するための電磁界を発生させ、RFタグとの通信を確立し、タグデータを受信する。タグデータには、RFタグが取り付けられている物品の物品データが含まれる。
【0033】
通信装置2は、アンテナ11を介して収納箱10内のすべての物品の物品データを取得する(ステップS6)。次いで通信装置2は、ステップS6において取得した物品データをメモリ22に記録した後、アンテナ11を非活性化させる(ステップS10)。それによって、アンテナ11による電磁界の発生が停止し、RFタグとの通信が停止する。
通信装置2はさらに、ステップS6で取得した物品データをサーバ5に送信する(ステップS12)。サーバ5は、受信した物品データに基づいて在庫データベースを更新する(ステップS14)。それによって、収納箱10内の物品の在庫状態と、在庫データベースの在庫を示すデータの状態とを一致させることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の物品管理システム1では、物品の入庫又は出庫のイベントを検出したタイミングで収納箱10のアンテナ11を活性化させ、アンテナ11を介して収納箱10内の物品の物品データを取得するとアンテナ11を非活性させる。そのため、以下の効果がある。
【0035】
(i) アンテナ11の動作時間は短期間で済み、物品を管理する際の消費電力を低減できる。
(ii) 上記イベントの検出機能を備えているため、収納箱10に対する物品の入庫又は出庫の際に作業者がアンテナ11の活性化/非活性化のための操作を行う必要がないことから、省力化を図ることができる。
(iii) 各収納箱10においてアンテナ11の動作時間が短時間で済むため、隣接する収納箱10の間での電波の干渉発生を抑制することができる。
(iv) 各物品と各収納箱10にUWB(Ultra Wide Band)タグを取り付ければ物品と収納箱の距離を測位することで入庫又は出庫のイベントを検出することが原理的に可能である。しかし、UWBタグは高価であるため、すべての物品、収納箱10に取り付けるのは現実的ではない。本実施形態では、重量センサを用いてイベント検出を行うため、UWBタグより低周波数帯の安価なRFタグを利用することができる。
【0036】
本実施形態の物品管理システム1では、重量センサ12を用いてイベント検出を行うため、入荷又は出荷される物品が同一の小物品を多数含む場合には、当該小物品の数量が適切であるかどうか判断することができる。
例えば、通信装置2は、イベント検出の際に重量センサ12によって検出される重量の値が増加又は減少した場合には、重量の変動値のデータを物品データとともにサーバ5に送信する。サーバ5は、収納箱10に入庫又は出庫された物品の数量、および、1つの物品に含まれる小物品の重量(既知)から物品に含まれる小物品の数量を算出し、算出した数量と、物品に含まれるべき数量(仕様上の数量(指定数量))とが一致するか否か判断する。これにより、指定数量と異なる数量の小物品を含む物品の入出庫となる異常を検知し、例えば盗難防止を図ることができる。
【0037】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の物品管理システムの第2の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる部分に注目して行い、第1の実施形態と共通する内容については重複説明を行わない。
本実施形態は、第1の実施形態と比較して、通信装置2におけるイベント検出原理が異なる。すなわち、収納箱10に対する物品の入庫又は出庫のイベントの検出は、収納箱10の重量を検出する重量センサ12を利用する場合に限られず、他の方法を利用することも可能である。
【0038】
例えば重量センサ12に代えて、人感センサ13を設けてもよい。図7に示すように、人感センサ13は、収納箱10に対して作業者が物品の入庫又は出庫を行う位置(つまり、収納箱10の周囲)の上方(例えば倉庫WHの天井)に設けられる。人感センサ13の種類は限定しないが、例えば赤外線センサとすることができる。この場合、人感センサ13は、収納箱10の前における作業者の存在有無に応じて変化する赤外線の量を検出する。
通信装置2は、人感センサ13と有線又は無線で通信可能に構成される。通信装置2の制御部21は、人感センサ13が検出する赤外線の量を所定の閾値と比較することで作業者の存在有無を判断する。つまり、制御部21は、収納箱10の周囲に人が存在することが検出された場合にイベントを検出したと判断する。イベントが検出された後の処理は、第1の実施形態と同じである。
【0039】
収納箱10の上方(例えば倉庫WHの天井)に、人感センサ13に代えて、イメージセンサを有する撮像装置を設けてもよい。この場合、撮像装置は通信装置2に接続され、通信装置2の制御部21は、撮像装置によって取得される画像を解析して人の有無を認識する。制御部21は、画像を解析した結果、収納箱10の周囲に人が存在することが検出された場合にイベントを検出したと判断する。イベントが検出された後の処理は、第1の実施形態と同じである。
【0040】
(3)第3の実施形態
次に、図8を参照して、本発明の物品管理システムの第3の実施形態について説明する。
本実施形態の物品管理システムの構成は、重量センサ12や人感センサ13等のセンサ類を設けない点で、第1および第2の実施形態の物品管理システムとは異なる。
【0041】
本実施形態の通信装置2Aは、重量センサ12が接続されていないことを除けば、第1の実施形態の通信装置2と同一の構成(図4参照)でよい。
通信装置2Aには、アンテナ11を活性化するトリガとなるアンテナ活性化信号がサーバ5から与えられる。サーバ5は、倉庫WHに物品が入荷されるタイミング、又は倉庫WHから物品が出荷されるタイミングにおいて、上位装置から入出荷信号(所定の指示信号の一例)を受信する。入出荷信号を受信したときに、通信装置2Aに対してアンテナ活性化信号を送信する。ここで、上位装置は、情報処理端末3であってもよいし、図示しない他の装置であってもよい。
入出荷信号は、倉庫WHに対して物品の入荷又は出荷が行われることを予め通知する信号である。入出荷信号は、物品を指定した所定の形式の入荷オーダー又は出荷オーダーを示す信号であってもよい。
【0042】
本実施形態の通信装置2Aがアンテナ11を非活性化するタイミングは、活性化されたアンテナ11に対応する収納箱10内のRFタグから取得した物品データに基づいて、当該収納箱10に対する入庫又は出庫が行われたことが認識されたタイミングである。
【0043】
以下、図8のシーケンスチャートを参照して、本実施形態の物品管理システムの動作例について説明する。図8は、図6(第1の実施形態)に対応するシーケンスチャートである。
【0044】
上述したように、倉庫WHに対して物品の入荷又は出荷が行われる場合に、サーバ5は、例えば情報処理端末3から入出荷信号を受信する(ステップS20)。入出荷信号には、入荷対象又は出荷対象の物品(以下、「対象物品」という。)を特定するデータ(例えば、品目名称のデータ)が含まれている。
サーバ5は、入出荷信号を受信すると、対象物品の入庫先となる収納箱10、又は、対象物品の出庫元となる収納箱10を、在庫データベースを参照して特定し、特定した収納箱10に対応する通信装置2Aに対してアンテナ活性化信号を送信する(ステップS21)。サーバ5はまた、特定した収納箱10の収納箱データを含む箱位置通知を情報処理端末3に送信する(ステップS22)。
箱位置通知を受信した情報処理端末3は、箱位置通知に含まれる収納箱データ(箱IDおよび箱位置)に基づいて、特定された収納箱10の倉庫WH内の位置を示す情報を表示する(ステップS23)。それによって作業者は、物品の入庫又は出庫対象となる収納箱10を事前に知ることができ、円滑に入庫又は出庫の作業を行うことができる。
【0045】
通信装置2Aは、アンテナ活性化信号を受信するとアンテナ11を活性化させ(ステップS24)、対応する収納箱10内に収納されている物品のRFタグと通信可能な状態とする。すなわち、アンテナ11は、収納箱10内に収納されている物品のRFタグに電力を供給するための電磁界を発生させ、RFタグとの通信を確立し、タグデータを受信する。タグデータには、RFタグが取り付けられている物品の物品データが含まれる。
【0046】
通信装置2Aは、アンテナ11を介して収納箱10内のすべての物品の物品データを取得すると(ステップS26)、取得した物品データとメモリ22に記録されている物品データとを比較する(ステップS28)。ここで、メモリ22に記録されている物品データは、前回行われた入庫又は出庫の際に記録された物品データである。今回の入庫又は出庫の作業が完了しているとすれば、収納箱10から取得される物品データが変化しているはずである。そこで、ステップS28の比較の結果、両者のデータが同じである場合には(ステップS30:NO)、入庫作業又は出庫作業が未だ完了していないと考えられることから、ステップS26に戻る。
他方、ステップS28の比較の結果、両者のデータが異なる場合には(ステップS30:YES)、入庫作業又は出庫作業が完了したと考えられる。その場合、通信装置2Aは、ステップS26で取得した物品データをメモリ22に上書きした後(ステップS32)、アンテナ11を非活性化させる(ステップS34)。それによって、アンテナ11による電磁界の発生が停止し、RFタグとの通信が停止する。
通信装置2Aはさらに、ステップS26で取得した物品データをサーバ5に送信する(ステップS36)。サーバ5は、受信した物品データに基づいて在庫データベースを更新する(ステップS38)。それによって、収納箱10内の物品の在庫状態と、在庫データベースの在庫を示すデータの状態とを一致させることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の物品管理システムでは、倉庫WHに対する物品の入荷又は出荷を通知する信号をトリガとして収納箱10のアンテナ11を活性化させ、メモリに記録されている収納箱10の物品データ(前回値)と、収納箱10内のRFタグから取得される物品データ(今回値)とが異なる場合にアンテナ11を非活性させる。
そのため、第1の実施形態と同様に、アンテナ11の動作時間は短期間で済み、物品を管理する際の消費電力を低減できる。また、本実施形態の物品管理システム1は、収納箱10に対する物品の入庫又は出庫の際に作業者がアンテナ11の活性化/非活性化のための操作を行う必要がないことから、省力化を図ることができる。
また、第1および第2の実施形態と比較して、物品の入庫又は出庫のイベント検出のためのセンサ類を必要としていないため、安価に済むという利点がある。
【0048】
(4)第4の実施形態
次に、第4の実施形態の物品管理システム1Aについて、図9図13を参照して説明する。
物品管理システム1Aは、物品を倉庫WHに入荷する際に、当該物品の品目を自動的に認識するとともに、入出荷口100から当該物品を入庫すべき収納箱10までの経路を情報処理端末3Aに表示するように構成される。それによって、物品を入荷する際の作業者の労力を大幅に軽減することを目的とする。
【0049】
本実施形態の物品管理システム1Aの内部構成を図9に示す。図9が第1の実施形態の図4と異なる点は、情報処理端末3に代えて情報処理端末3Aを有することと、サーバ5のストレージ52にマップデータ(マップ情報の一例)が格納されることである。
情報処理端末3Aは、入荷される物品の画像を基に、人口知能(AI)技術を利用して当該物品の品目を推定するように構成されている。そのため、情報処理端末3Aは、情報処理端末3に対して撮像部36(画像取得部の一例)が追加されるとともに、ストレージ32には学習済みモデルが格納される。
サーバ5のストレージ52に格納されるマップデータは、入出荷口100の位置のデータ、倉庫WH内の各収納箱10の箱位置のデータ、および、倉庫WH内の通路を特定するデータ等を含む倉庫WH内の地理情報である。マップデータは、サーバ5の制御部51によって入出荷口100から目的とする収納箱10までの経路を示す経路データを作成するときに参照される。
【0050】
(4-1)物品の品目推定
先ず、深層学習を利用した物品の品目推定について説明する。
物品の品目を推定するためには、運用前の学習段階において学習済みモデルを生成することが必要となる。情報処理端末3Aは、運用段階で学習済みモデルを利用して物品の品目を推定する。
図10に、物品の品目推定を行うための情報処理端末3Aの制御部31の機能ブロック図を示す。図10に示すように、制御部31は、画像処理部311、学習用データセット作成部312、学習部313、画像処理部314、および、推定部315を備える。
【0051】
(4-1-1)運用前の学習段階
深層学習を行うためには、物品の画像と当該物品のラベルデータ(つまり、複数の品目の物品のうちいずれかの品目を示すデータ)の複数の組合せデータからなる入力データセットを用意し、操作入力部33によって制御部31に入力する。
【0052】
画像処理部311は、入力データセットに含まれる物品の画像を、学習部313において深層学習を行うために好適な画像に変換するための画像処理を行う。この画像処理は、物品の品目推定を行うために、物品の画像から特徴抽出を行う処理に相当する。
画像処理部311によって行われる画像処理は、例えば以下の処理(i)および(ii)を含み得る。
【0053】
(i) 入力画像には、例えば物品の背景部分等、品目判定を行う上で不要な画素が含まれているため、入力画像から不要な画素を除去するためにトリミングを行う。
(ii) 入力画像に含まれる物品の大きさは物品毎に異なるため、適切に品目判定を行うことができるように、(i)の処理で得られた画像から物品のサイズを一定にするためのサイズ変換を行う。
【0054】
学習用データセット作成部312は、入力画像に対して画像処理部311による画像処理が施された画像(特徴抽出された画像;以下、「処理済画像」という。)と、入力画像に対応するラベルデータ(つまり、入力データセットにおいて、入力画像とセットになっているラベルデータ)との複数の組合せデータからなる学習用データセットを作成する。つまり、学習用データセットは、例えば、{処理済画像A,品目a},{処理済画像B,品目b},…といった具合に、処理済画像と正解データであるラベルデータの複数の組合せデータからなるデータセットである。なお、学習用データセットは、学習の準備段階においてストレージ32に格納(蓄積)されてもよい。
【0055】
学習部313は、学習用データセット作成部312によって作成された学習用データセットを用いて深層学習の学習ソフトウェアを実行し、物品の品目判定(推定)に対する教師あり学習を実行する。学習部313は、学習用データセットに含まれる処理済画像とラベルデータの組合せデータに基づく学習を反復実行することで、判定対象の処理済画像に対応する物品対する品目の推定が高い精度で行うことができるようになる。
【0056】
図11は、学習部313において教師あり学習を進める際に用いられるニューラルネットワークを模式的に示している。図11に示すように、ニューラルネットワークは、入力層Liと隠れ層Lhと出力層Loを含み、各層がニューロンを模擬したモデルである。図11に示すニューラルネットワークは、便宜的に各層が3つのノードからなる場合を図示しているが、その限りではなく、ノードの数は、適宜設定可能である。
入力層Liは、学習用データセットに含まれる処理済画像を入力するための層である。例えば、入力層Liは、処理済画像の画素数×3(RGB色空間の3成分)に相当する数のノードから構成される。図7に例示する入力層Liは、入力X1,X2,X3を含む。
隠れ層Lhは、深層学習の場合には複数の層から構成される。隠れ層Lhに含まれる層数および各層のノード数は、良好な推定精度を得るために適宜設定可能である。
出力層Loは、物品に対する複数の品目の各々に判定される確率を出力するための層であり、品目の数に相当する数のノードから構成される。図11に例示する出力層Loは、出力Z1,Z2,Z3を含む。
【0057】
図11に示すニューラルネットワークでは、例えば、入力層Liの入力X1,X2,X3の各々に対して重みを乗算して加算した結果を、隠れ層Lhの第1層のノードY1に出力する。同様に、入力層Liの入力X1,X2,X3の各々に対して重みを乗算して加算した結果を、隠れ層Lhの第1層のノードY2に出力する。入力層Liの入力X1,X2,X3の各々に対して重みを乗算して加算した結果を、隠れ層Lhの第1層のノードY3に出力する。入力X1,X2,X3の各々に対する重み(図11の例では、3×3の9個の重み)はそれぞれ独立に設定可能であり、図11では総称して重みW1と表記している。
同様にして、出力層Loまでの隣接する層間の各ノードに対して、重みW2,…,WN-1,WNを乗算して加算する処理を順次行っていくことで、出力Z1,Z2,Z3を得る。
【0058】
出力Z1,Z2,Z3は、教師データT1,T2,T3と比較される。ここで、教師データは、入力層Liに入力される処理済画像に対応する正解データ(つまり、学習用データセットにおいて処理済画像と組み合わされているラベルデータ)である。
深層学習では、ニューラルネットワークの各層の重みを少しずつ調整し、教師データとの誤差を小さくする処理が行われる。すなわち、学習の初期段階では、すぐに期待した通りの値は出力されないため、教師データと出力値(図7の例では、出力Z1,Z2,Z3)の誤差をとり、誤差を各層に逆伝播(バックプロパゲーション)させて正解データに近付くように各層の重みを調整する。
【0059】
なお、学習部313は、上述した深層学習を訓練と検証の2つのフェーズに分けて処理を行うことが好ましい。この場合、学習用データセットは、訓練用データセットと検証用データセットに分けられる。
訓練フェーズでは、学習部313は、上述したようにして、訓練用データセットに含まれる複数の組合せデータの各々の中の処理済画像を入力層Liに入力し、教師データと出力値(つまり、処理済画像に対応するラベルデータ)の誤差が少なくなるように各層の重みを調整する。
【0060】
次いで、検証フェーズでは、学習部313は、訓練フェーズで調整された重みが設定されたニューラルネットワークに対して、検証用データセット(つまり、重みの設定に関与していないデータセット)に含まれる複数の組合せデータの各々の中の処理済画像を入力層Liに入力する。学習部313は、出力値と、入力された処理済画像とを比較し、誤差が少ない場合には汎化性能があると判断して、訓練フェーズで設定された重みを情報処理端末3Aによる品目推定の運用に使用することを決定する。誤差が大きい場合には汎化性能が十分ではないと判断して、訓練フェーズに戻り、再度各層の重みが調整される。
汎化性能があると判断されたニューラルネットワークは、学習済みモデルとしてストレージ32に格納される。
【0061】
(4-1-2)運用段階
運用段階において画像処理部314は、撮像部36によって取得された物品(つまり、入荷された物品)の画像を入力し、入力画像に対して、画像処理部311と同じ画像処理を行う。すなわち、画像処理部314は、撮像部36から送信される入力画像(物品の画像)に対して、上述した画像処理(つまり、処理(i):トリミング、処理(ii):サイズ変換)を施す。画像処理部314は、画像処理を施すことで得られた処理済画像(つまり、特徴抽出が施された画像)を推定部315に渡す。
【0062】
推定部315(品目推定部の一例)は、運用前の学習段階で作成されてストレージ32に格納された学習済みモデルを使用して、画像処理部314から渡された処理済画像を基に物品の品目を推定する。すなわち、推定部315は、撮像部36によって取得された各物品の品目を推定する。推定部315から出力される品目データは、物品の品目を特定するデータであり、例えば物品の品目名称を示すデータである。
【0063】
(4-2)物品管理システムの動作
次に、図12のシーケンスチャートを参照して、本実施形態の物品管理システム1Aの動作例について説明する。図12のシーケンスチャートは、物品が倉庫WHに入荷されるときの情報処理端末3A、プリンタ4、および、サーバ5の間で行われる処理を示している。
【0064】
物品が倉庫WHに入荷されると、作業者は当該物品を情報処理端末3Aの前に置く。
情報処理端末3Aは、入荷された物品の画像を取得し(ステップS40)、取得した画像を基に学習済みモデルを利用して物品の品目推定を行う(ステップS42)。次いで情報処理端末3Aは、品目推定によって得られた品目名称のデータを含む品目通知をサーバ5に送信する(ステップS44)。
品目通知を受信すると、サーバ5は、品目通知に含まれる品目名称のデータに基づいて、シリアル番号を取得(決定)し(ステップS46)、印字データを作成する(ステップS48)。印字データには、品目名称とシリアル番号のデータが含まれる。サーバ5は、生成された印字データをプリンタ4に送信する(ステップS50)。プリンタ4は、受信した印字データに基づいてラベルを発行する(ステップS52)。このラベルは、例えば図3に例示したように、入荷された物品に貼付される。
【0065】
次いでサーバ5は、ステップS44で受信した品目名称のデータに基づいて、保管場所、すなわち、入荷された物品が収納されるべき収納箱10を決定する(ステップS54)。サーバ5は、倉庫WH内の入出荷口100から、ステップS54で決定された収納箱10の位置までの経路を示す経路データをマップデータを参照して作成し(ステップS56)、情報処理端末3Aに送信する(ステップS58)。情報処理端末3Aは、受信した経路データを表示部に表示する(ステップS60)。
図13に、ステップS60において情報処理端末3Aに表示される画面の一例を示す。図13に例示する画面G1では、倉庫WHの平面図において入出荷口100から、物品が収納されるべき収納箱10-8までの経路が示される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の物品管理システム1Aによれば、物品を倉庫WHに入荷する際に、情報処理端末3Aによって当該物品の品目が自動的に認識されるとともに、入出荷口100から当該物品を入庫すべき収納箱10までの経路が情報処理端末3Aに表示される。すなわち、物品を入庫しようとする作業者に対して、当該物品の入庫先として適切な収納箱10とともに、当該収納箱10までの経路が通知されることになる。そのため、作業者は、入荷された物品の品目を認識する必要がなく、また、入荷された物品の品目に応じた適切な収納箱10を探す必要がない。さらに、作業者は、当該収納箱10の位置を検索する必要がない。よって、物品を入荷する際の作業者の労力を大幅に軽減することができる。
なお、本実施形態では、収納箱10までの経路データを作成するときの経路の起点を入出荷口100(所定位置の一例)としたが、その限りではない。経路の起点として、倉庫WH内において入出荷口100以外の任意の位置を予め定義することができる。
【0067】
(5)第5の実施形態
次に、第5の実施形態の物品管理システム1Bについて、図14および図15を参照して説明する。
物品管理システム1Bは、入出荷口100から当該物品を入庫すべき収納箱10までの経路を情報処理端末に表示するように構成される点では第4の実施形態と同じであるが、倉庫WH内の各収納箱10の位置が変化した場合であっても正しく経路を表示できるように構成されている。本実施形態では、倉庫WH内の各収納箱10の位置は逐次、サーバ5によって把握される。
【0068】
(5-1)システム概要
図14に、本実施形態の物品管理システム1Bを説明する図である。
本実施形態の物品管理システム1Bでは、倉庫WH内の各収納箱10に、ビーコン信号を発信する発信機15が取り付けられている。各収納箱10の発信機15が発信するビーコン信号は、対応する収納箱10の箱IDが含まれている。同様に、本実施形態の情報処理端末3Bには、ビーコン信号を発信する発信機37(図15参照)が内蔵されている。発信機37が発信するビーコン信号は、情報処理端末3Bを特定する端末IDが含まれている。
倉庫WHの天井には、ビーコン信号を受信する1又は複数の受信機6(ロケータ)が取り付けられている。ビーコン信号を送信および受信するときの通信プロトコルは問わないが、例えば、Bluetooth (登録商標) Low Energyである。
物品管理システム1Bは、各受信機6と有線又は無線で通信可能な位置特定装置7を含む。各受信機6と位置特定装置7は、位置特定システムを構成する。
受信機6は、発信機15および情報処理端末3Bから発信されるビーコン信号を受信し、その電波の入射角を測定する。位置特定装置7は、受信機6が測定した入射角を基に収納箱10および情報処理端末3Bの倉庫WH内の位置をAOA(Angle of Arrival)方式により特定(測位)する。
【0069】
1つの受信機6によっても収納箱10および情報処理端末3Bの位置を推定可能であるが、発信機15及び/又は情報処理端末3Bから送信されるビーコン信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の大きさや倉庫WHの床面積、倉庫WH内の電波環境に応じて、より多くの受信機6を設けることが位置推定精度を高める上で好ましい。なお、発信機15および情報処理端末3Bの測位方法は、AOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよい。
【0070】
(5-2)本実施形態の物品管理システムの各装置の構成
次に、図15を参照して、本実施形態の物品管理システム1Bの各装置の構成を説明する。本実施形態の物品管理システム1Bにおいて通信装置2およびプリンタ4の内部構成は図4に示したものと同じでよいため、図15では省略してある。
【0071】
本実施形態の情報処理端末3Bは、情報処理端末3A(図9参照)と比較して発信機37が追加された点で異なる。発信機37は、情報処理端末3Bの端末IDを含むビーコン信号を発信する。
【0072】
図15に示すように、受信機6は、電波受信部61、入射角測定部62、および、通信部63を備える。
電波受信部61は、発信機15および情報処理端末3Bから送信されるビーコン信号を受信するアンテナと、当該アンテナで受信したビーコン信号を復調する通信回路と、を有する。
入射角測定部62は、電波受信部61で受信したビーコン信号の入射角を測定する。
通信部63は、位置特定装置7との間の通信インタフェースとして機能し、入射角測定部62によって測定された入射角の情報を、ビーコン信号に含まれる箱ID又は端末IDと対応付けて位置特定装置7に送信する。
【0073】
図15に示すように、位置特定装置7は、制御部71および通信部72を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、位置特定装置7の全体を制御する。通信部72は、ネットワークNWを介したサーバ5と通信を行うための通信インタフェースである。
【0074】
制御部71のマイクロプロセッサは、位置特定モジュール(ソフトウェア)を実行し、ビーコン信号に基づいて、収納箱10および情報処理端末3Bの位置を特定する。制御部71は、受信機6が受信するビーコン信号の入射角の情報を基に、収納箱10および情報処理端末3Bの位置を特定する。より具体的には、AOA方式を利用する場合、前述したように、受信機6の倉庫WH内での既知の位置(倉庫WHの所定の位置を基準とした3次元座標の位置)と、受信機6から逐次取得するビーコン信号の入射角(電波の到来方向)の情報とに基づいて、時刻の経過に応じた収納箱10および情報処理端末3Bの倉庫WH内の位置を特定(測位)する。
制御部71は、収納箱10の箱IDおよび情報処理端末3Bの端末IDと対応付けて、特定された収納箱10および情報処理端末3Bの位置の情報(位置情報)を逐次、通信部72を介してサーバ5に送信する。
収納箱10および情報処理端末3Bの測位間隔は、任意に設定してよいが、収納箱10および情報処理端末3Bの位置を正確に把握するために必要な時間(例えば、数100ms以下)に設定される。
【0075】
本実施形態の物品管理システム1Bでは、サーバ5の制御部51は、位置特定装置7から逐次取得する収納箱10の位置情報を基に、在庫データベース(図5参照)の「箱位置」サブフィールドの値を更新する。制御部51はまた、位置特定装置7から逐次送信される情報処理端末3Bの位置情報を記録、更新する。
本実施形態の物品管理システム1Bでは、サーバ5は、経路データを作成する際(例えば、図12のステップS56)、各収納箱10の最新の位置情報と情報処理端末3Bの最新の位置情報とを参照し、情報処理端末3Bから保管場所である収納箱10の位置までの経路を算出する。そのため、入庫先の収納箱10が元の位置から移動させられていたとして当該収納箱10までの経路を正しく特定することができる。
【0076】
なお、物品管理システム1Bでは、情報処理端末3Bを例えばスマートフォン等、作業者が所持する携帯端末とした場合、作業者は、倉庫WH内のどの場所にいる場合でも自身の位置から入庫先の収納箱10までの経路が通知されるため、物品の入庫作業を行うのに極めて便利である。
本実施形態では、情報処理端末3Bの位置情報を逐次特定する場合を例として挙げたが、その限りではない。例えば入出荷口100等、経路の起点が固定位置である場合には、情報処理端末3Bの位置情報を逐次特定する必要はない。
【0077】
(6)第6の実施形態
次に、第6の実施形態の物品管理システムについて、図16図18を参照して説明する。
本実施形態の物品管理システムでは、倉庫WHに保管されている物品の有効期限に関連する不具合を作業者に効果的に報知することを目的とする。
【0078】
図16に示す本実施形態の在庫データベースは、第1の実施形態の在庫データベース(図5参照)と比較すると、対応する収納箱に収納されている1又は複数の物品の各々を対象として「有効期限」サブフィールドが設けられる点が異なる。「有効期限」サブフィールドには、対応する物品についての有効期限の値が含まれる。有効期限は、例えば物品が入荷されたタイミングで、情報処理端末3Bから送信されるデータを基に在庫データベースに入力される。
本実施形態のサーバ5は、物品の有効期限に関連する不具合があると判断した場合、当該不具合に関連する収納箱10の通信装置2に警告出力指示(警告メッセージの一例)を送信する。通信装置2は、警告出力指示を受信した場合、第2表示器232を点滅させ、作業者に不具合の発生を報知する。なお、通信装置2は、第2表示器232を点滅させるとともに警告音を出力することが好ましい。
【0079】
以下では、本実施形態のサーバ5の制御部51によって実行される処理について、図17および図18のフローチャートを参照する。図17のフローチャートは、例えば数100μsごとに行われてもよいし毎日の所定時刻に行われてもよい。図18のフローチャートは、例えば数100μsごとに行われるが、実質的には通信装置2から物品データを受信した場合に行われる。
【0080】
(6-1)第1の不具合事象(図17
図17は、有効期限が経過した物品が倉庫WHに保管されているという第1の不具合事象を検知するために、サーバ5の制御部51によって実行されるフローチャートである。
図17のフローチャートでは、ステップS70およびS72の各処理が在庫データベースに含まれるすべての物品を対象として行われる(ステップS74)。すなわち、処理対象の物品の有効期限が現在時刻より前でなければ(ステップS70:NO)、第1の不具合事象に該当しないため次の物品の処理に移る(ステップS74:NO)。処理対象の物品の有効期限が現在時刻より前である場合には、サーバ5は、処理対象の物品が収納されている収納箱10に対応する通信装置2に対して警告出力指示を送信する(ステップS72)。警告出力指示を受信した通信装置は、第2表示器232を点滅させ、作業者に不具合の発生を報知する。それによって、作業者は、有効期限が経過した物品を出荷前に倉庫WHから除去することが可能となる。
【0081】
(6-2)第2の不具合事象(図18
図18は、同一の品目名称の複数の物品のうち有効期限が後に到来する物品が先に収納箱10から出庫されたという第2の不具合事象を検知するために、サーバ5の制御部51によって実行されるフローチャートである。
倉庫WH内のいずれかの収納箱10から物品が出庫される場合、図6に示したように、サーバ5は、通信装置2から物品データを受信する。サーバ5は、通信装置2から物品データを受信すると(ステップS80:YES)、ステップS82以降の処理を行う。
サーバ5は、受信した物品データに基づいて、物品の入庫又は出庫のいずれの作業が行われたか判定する(ステップS82)。サーバ5は、物品の入庫が行われたと判定した場合には何もせずに終了するが、物品の出庫が行われたと判定した場合(ステップS82:「出庫」)、在庫データベースに含まれるすべての物品を対象としてステップS84~S88の各処理を行う(ステップS90)。すなわち、サーバ5は、処理対象の物品が、ステップS82で出庫されたと判定した物品と同一の品目名称の物品であって(ステップS84:YES)、かつ出庫されたと判定した物品よりも有効期限までの期間が短い物品(ステップS86:YES)が存在するか判断する。そのような物品が存在する場合には、サーバ5は、出庫されたと判定した物品が収納されていた通信装置2に対して警告出力指示を送信する(ステップS88)。警告出力指示を受信した通信装置は、第2表示器232を点滅させ、作業者に不具合の発生を報知する。それによって、作業者は、誤って出庫した物品を収納箱10に適時に戻すことが可能となる。
【0082】
本実施形態の物品管理システムによれば、倉庫WHに保管されている物品の有効期限に関連する不具合が発生した場合、不具合が生じた収納箱10を作業者が認識できるように構成した。そのため、作業者が適時に不具合を対策できる利点がある。
【0083】
以上、本発明の物品管理システム、物品管理方法、および、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、単一の収納箱10を管理する場合には、対応する通信装置2,2Aのメモリ22に物品データを記録・更新することで収納箱10内の物品を管理することができるため、サーバ5側で物品データを管理する必要はない。すなわち、通信装置2,2Aは、入庫又は出庫のイベントを検出した場合、取得した物品データをメモリ22に記録すればよく、物品データをサーバ5に送信することは必ずしも要しない。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,1B…物品管理システム
10…収納箱
11…アンテナ
12…重量センサ
13…人感センサ
15…発信機
2,2A…通信装置
21…制御部
22…メモリ
23…表示器
231…第1表示器
232…第2表示器
24…通信部
24a…アンテナ
3,3A,3B…情報処理端末
31…制御部
311,314…画像処理部
312…学習用データセット作成部
313…学習部
315…推定部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…通信部
36…撮像部
37…発信機
4…プリンタ
41…制御部
42…ストレージ
43…モータ駆動部
44…ヘッド駆動部
45…エンコーダ
46…通信部
5…サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
6…受信機
61…電波受信部
62…入射角算出部
63…通信部
7…位置特定装置
71…制御部
72…通信部
WH…倉庫
100…入出荷口
P…物品
PL…ラベル
101…品目名称
102…シリアル番号
103…バーコード
T…RFタグ
MS…載置面
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図18