IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社将星の特許一覧

<>
  • 特開-分析システム 図1
  • 特開-分析システム 図2
  • 特開-分析システム 図3
  • 特開-分析システム 図4
  • 特開-分析システム 図5
  • 特開-分析システム 図6
  • 特開-分析システム 図7
  • 特開-分析システム 図8
  • 特開-分析システム 図9
  • 特開-分析システム 図10
  • 特開-分析システム 図11
  • 特開-分析システム 図12
  • 特開-分析システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006242
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】分析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20220105BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220105BHJP
   G06F 16/903 20190101ALI20220105BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06Q10/04
G06F16/903
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020108376
(22)【出願日】2020-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】513004065
【氏名又は名称】株式会社将星
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】渡部 仁
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175FB04
5L049AA04
5L049CC33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】他社の動向を把握するのに好適な分析システムを提供する。
【解決手段】動向分析装置は、権利者、期間1及び期間1よりも後の期間2の情報が入力されると、入力された期間1に出願された商標登録の登録情報に対応する類似群コード及びその出現回数の座標情報(商品情報)、並びに入力された期間2に出願された商標登録の登録情報に対応する類似群コード及びその出現回数の座標情報(商品情報)を取得し、取得した座標情報に基づいて、これら座標情報の特徴情報を最小二乗法による楕円近似法によってそれぞれ算出し、算出した特徴情報に基づいて、期間3に権利者が採用する商品若しくは役務又はその類似群コード又はその傾向を分析する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第1商品情報取得手段と、
出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第2商品情報取得手段と、
前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報を取得する第1特徴情報取得手段と、
前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報を取得する第2特徴情報取得手段と、
前記第1特徴情報取得手段で取得した特徴情報及び前記第2特徴情報取得手段で取得した特徴情報に基づいて、前記第2時期よりも後の第3時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備えることを特徴とする分析システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1特徴情報取得手段又は前記第2特徴情報取得手段は、前記商品情報に基づいて所定の座標空間上にプロットされるデータの近似式を求め、求めた近似式の係数を前記特徴情報として算出することを特徴とする分析システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1特徴情報取得手段又は前記第2特徴情報取得手段は、前記近似式を得るための異なる複数のモデル関数のうち、前記商品情報に基づいて前記座標空間上にプロットされるデータを当該モデル関数に当てはめた場合の誤差が最小となるものを用いることを特徴とする分析システム。
【請求項4】
出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第1商品情報取得手段と、
出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第2商品情報取得手段と、
前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報及び前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第2時期よりも後の第3時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備えることを特徴とする分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に関する傾向を分析するシステムに係り、特に、他社の動向を把握するのに好適な分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他社の現状を分析するシステムとしては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。これは、自社の商品(役務)及び他社の商品(役務)の集合を算出し、算出した集合の商品(役務)を表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-212572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、自社の商品(役務)及び他社の商品(役務)の集合を用いることから他社の現状との比較を把握することはできるが、他社の将来の展開を含む動向を把握することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、他社の動向を把握するのに好適な分析システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の分析システムは、出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第1商品情報取得手段と、出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第2商品情報取得手段と、前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報を取得する第1特徴情報取得手段と、前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報を取得する第2特徴情報取得手段と、前記第1特徴情報取得手段で取得した特徴情報及び前記第2特徴情報取得手段で取得した特徴情報に基づいて、前記第2時期よりも後の第3時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備える。
【0007】
このような構成であれば、第1商品情報取得手段により第1時期の商品情報が取得され、第1特徴情報取得手段により、取得された商品情報に基づいて、第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報が取得される。また、第2商品情報取得手段により第2時期の商品情報が取得され、第2特徴情報取得手段により、取得された商品情報に基づいて、第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループの特徴情報が取得される。そして、分析手段により、取得された特徴情報に基づいて、第3時期に事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向が分析される。
【0008】
ここで、「第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報」と、「第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報」とは、同一の構成(この段落において「構成」とは情報の内容ではなくデータ構造をいう。)であってもよいし、異なる構成であってもよい。異なる構成としては、例えば、(1)一方が商品又は役務を示す構成で、他方が商品又は役務が属するグループを示す構成であること、(2)一方が上位概念の商品又は役務を示す構成で、他方が下位概念の商品又は役務を示す構成であること、(3)一方が商品又は役務を示す構成で、他方がその一部である商品又は役務を示す構成であることが含まれる。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0009】
また、商品情報は、例えば、商品若しくは役務又はこれが属するグループを識別するための情報(例えば、名称、番号、ID、コード、URL等のリンク情報)として構成することができる。また、商品情報は、例えば、文字、数字、図形、符合、記号、画像、音声その他の情報として構成することができる。また、商品情報は、商品若しくは役務又はこれが属するグループに関するキーワード(例えば、商品又は役務の名称の一部を示す1又は複数のキーワード)として構成することができる。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0010】
また、商品情報には、例えば、(1)商標登録出願又は商標登録において指定された商品若しくは役務のうち一の商品若しくは役務(この段落において「一の指定商品等」という。)又はこれが属するグループに関する商品情報、(2)一の指定商品等を包括する上位概念の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報、又は、(3)一の指定商品等に包括される下位概念の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報が含まれる。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0011】
また、第1商品情報取得手段は、例えば、入力装置等から商品情報を入力してもよいし、外部の端末等から商品情報を獲得又は受信してもよいし、記憶装置や記憶媒体等から商品情報を読み出してもよいし、情報処理等により商品情報を生成し又は算出してもよい。したがって、取得には、少なくとも入力、獲得、受信、読出(検索を含む。)、生成及び算出が含まれる。以下、取得の概念については同じである。
【0012】
また、第1商品情報取得手段として、例えば、商標登録出願又は商標登録において指定された商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を記憶する商品情報記憶手段から、第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する構成を採用することができる。第2商品情報取得手段として、例えば、商標登録出願又は商標登録において指定された商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を記憶する商品情報記憶手段から、第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する構成を採用することができる。ここで、第1商品情報取得手段が商品情報を取得する商品情報記憶手段と、第2商品情報取得手段が商品情報を取得する商品情報記憶手段とは、同一の記憶手段であってもよいし、別々の記憶手段であってもよい。また、商品情報記憶手段は、商品情報をあらゆる手段で且つあらゆる時期に記憶するものであり、商品情報を予め記憶してあるものであってもよいし、商品情報を予め記憶することなく、本システムの動作時に外部からの入力等によって商品情報を記憶するようになっていてもよい。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0013】
また、分析手段で分析した結果を出力する分析結果出力手段を備える構成を採用することができる。ここで、分析結果出力手段は、例えば、表示、印刷、音声出力、記憶装置や記憶媒体等への書き出し、外部の端末等への送信、バイブレーション等の振動、発熱その他の方法により分析結果を出力することができる。したがって、出力には、少なくとも表示、印刷、音声出力、書き出し、送信、振動及び発熱が含まれる。以下、出力の概念については同じである。
【0014】
また、事業者は、自然人であってもよいし、法人であってもよい。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0015】
また、本システムは、単一の装置、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。以下、発明4の分析システムにおいて同じである。
【0016】
〔発明2〕 さらに、発明2の分析システムは、発明1の分析システムにおいて、前記第1特徴情報取得手段又は前記第2特徴情報取得手段は、前記商品情報に基づいて所定の座標空間上にプロットされるデータの近似式を求め、求めた近似式の係数を前記特徴情報として算出する。
【0017】
このような構成であれば、第1特徴情報取得手段又は第2特徴情報取得手段により、商品情報に基づいて所定の座標空間上にプロットされるデータの近似式が求められ、求められた近似式の係数が特徴情報として算出される。
【0018】
〔発明3〕 さらに、発明3の分析システムは、発明2の分析システムにおいて、前記第1特徴情報取得手段又は前記第2特徴情報取得手段は、前記近似式を得るための異なる複数のモデル関数のうち、前記商品情報に基づいて前記座標空間上にプロットされるデータを当該モデル関数に当てはめた場合の誤差が最小となるものを用いる。
【0019】
このような構成であれば、第1特徴情報取得手段又は第2特徴情報取得手段により、異なる複数のモデル関数のうち、商品情報に基づいて座標空間上にプロットされるデータをそのモデル関数に当てはめた場合の誤差が最小となるものを用いて近似式が求められる。
【0020】
〔発明4〕 さらに、発明4の分析システムは、出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第1商品情報取得手段と、出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第2商品情報取得手段と、前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報及び前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報に基づいて、前記第2時期よりも後の第3時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備える。
【0021】
このような構成であれば、第1商品情報取得手段により第1時期の商品情報が取得される。また、第2商品情報取得手段により第2時期の商品情報が取得される。そして、分析手段により、取得された商品情報に基づいて、第3時期に事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向が分析される。
【0022】
ここで、分析手段は、AI(Artificial Intelligence)で実現することもできる。具体的な構成として、例えば、次の構成を採用することができる。
【0023】
出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報、及び、出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を少なくとも入力し、出願日が前記第2時期よりも後の第3時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第3の商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向に関する情報を出力するように学習を行った学習済みモデルを用いて分析を行う分析システムであって、
出願日が第4時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第4の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第1商品情報取得手段と、
出願日が前記第4時期よりも後の第5時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第5の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する第2商品情報取得手段と、
前記学習済みモデルを用いて、前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報及び前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報から、前記第5時期よりも後の第6時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備えることを特徴とする分析システム。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、発明1又は4の分析システムによれば、第1時期の商品情報及び第2時期の商品情報に基づいて、第3時期に事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向が分析されるので、他社の動向を把握することができる。
【0025】
さらに、発明2の分析システムによれば、第3時期に事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向をより精度よく分析することができる。
【0026】
さらに、発明3の分析システムによれば、第3時期に事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向をより精度よく分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】動向分析装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2】商標公報の一部を抜粋した内容を示す図である。
図3】商品(役務)と類似群コードの対応関係を示す図である。
図4】類似群コードと出現回数の対応関係を示す図である。
図5】類似群コード及び出現回数を座標変換した座標情報を示す図である。
図6】類似群コード及び出現回数の座標情報をプロットした一例を示す図である。
図7】登録情報テーブル400のデータ構造を示す図である。
図8】座標情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
図9】動向分析処理を示すフローチャートである。
図10】検索条件を入力する画面である。
図11】楕円の各パラメータを示す図である。
図12】(a)~(c)は、最小二乗法による楕円近似法により他社の動向を分析する方法を説明するための図である。
図13】他社の動向の分析結果を表示する画面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図13は、本実施の形態を示す図である。
【0029】
まず、本実施の形態の構成を説明する。
図1は、動向分析装置100のハードウェア構成を示す図である。
【0030】
動向分析装置100は、図1に示すように、制御プログラムに基づいて演算及びシステム全体を制御するCPU(Central Processing Unit)30と、所定領域に予めCPU30の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)32と、ROM32等から読み出したデータやCPU30の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)34と、外部装置に対してデータの入出力を媒介するI/F(InterFace)38とで構成されており、これらは、データを転送するための信号線であるバス39で相互に且つデータ授受可能に接続されている。
【0031】
I/F38には、外部装置として、ヒューマンインターフェースとしてデータの入力が可能なキーボードやマウス等からなる入力装置40と、データやテーブル等をファイルとして格納する記憶装置42と、画像信号に基づいて画面を表示する表示装置44とが接続されている。
【0032】
ここで、図2は、商標公報の一部を抜粋した内容を示す図である。また、図3A及び図3Bは、商品(役務)と類似群コードの対応関係を示す図である。
【0033】
図2に示すように、商標公報には、登録番号、登録日、出願日、権利者及び指定商品(役務)の情報が含まれている。そして、商標公報データからは、これら各種情報(以下「登録情報」という。)を取得することができる。
【0034】
また、指定商品(役務)として指定される区分(例えば第21類など)には、複数の商品・役務が含まれており、これら各商品・役務には、図3A及びBに示すように、それぞれ類似群コードが対応付けられている。詳しくは、特許庁発行の「類似商品・役務審査基準」を参照のこと。
【0035】
ここで、類似群コードは、同一のコードが割り当てられている商品・役務は類似の範囲にあると判断するためのコードである。例えば商品「燻製機」の類似群コードは「19A01」、商品「やかん」の類似群コードは「19A01」であるので、「燻製機」と「やかん」は類似すると判断する。また、類似群コードは、関連度が近い商品・役務ほど近い値が割り当てられるようになっている。例えば商品「茶」の類似群コードは「29A01」、商品「コーヒー」の類似群コードは「29B01」である。
【0036】
動向分析装置100は、過去の商標登録の登録情報に基づいて、今後採用される商品や役務の情報(以下「商品情報」という。)を分析する装置である。
【0037】
具体的に、動向分析装置100は、まず、1又は複数の商標に関する登録情報に基づいて取得される商品情報(例えば、類似群コード及びその出現回数など)をグループ化したグループAを生成する。例えば、権利者であるA社の出願日が2019年の登録情報に基づいて取得される商品情報のグループであるグループAを生成する。なお、出願日に限らず、登録日でグループ分けする構成としてもよい。
【0038】
次に、動向分析装置100は、グループAとは異なる1又は複数の商標に関する登録情報に基づいて取得される商品情報をグループ化してグループBを生成する。例えば、A社の出願日が2020年の登録情報に基づいて取得される商品情報のグループであるグループBを生成する。
【0039】
そして、動向分析装置100は、グループA及びBの商品情報に基づいてグループCの商品情報を分析する。例えば、A社の出願日が2021年の商品情報のグループをグループCとする。つまり、A社が2021年にどのような範囲で商標登録を取得するかを分析する。
【0040】
ここで、図4は、類似群コードと出現回数の対応関係を示す図である。また、図5は、類似群コード及び出現回数を座標変換した座標情報を示す図である。
【0041】
動向分析装置100は、商品情報を出願日などによってグループ化するにあたって、図4に示すように、同一企業(例えばA社)について、例えば、出願した日が属する年(以下「出願年」という。)ごとに、商標登録の登録情報を取得する。そして、この取得した情報に基づいて、各商標登録の指定区分に含まれる商品・役務の類似群コード及びその出現回数の情報(商品情報)を取得する。さらに、取得した類似群コード及びその出現回数を座標変換し、この座標変換によって得られた座標情報(これも商品情報に含む)のグループを生成するようになっている。
【0042】
類似群コード及びその出現回数の取得方法は、例えばインターネットを介して特許庁の商標データベースから予め各権利者の商標登録の登録情報(図2を参照)を取得し、記憶装置42に登録情報のデータベースを構築しておく。加えて、商品・役務と類似群コードとの対応関係を示す情報(図3A及びBを参照)のデータベースも構築しておく。そして、データベースに登録された情報に基づいて、対象企業の指定期間に出願された登録商標の登録情報を取得するとともに、取得した登録情報の指定商品(役務)に含まれる商品・役務に対応付けられた商品情報(類似群コード及びその出現回数の情報)を取得する。
【0043】
ここで、類似群コードの出現回数は、例えば、登録番号「9,999,981」の商標登録にて指定された商品(役務)について、例えば、類似群コード「19A01」の商品(役務)が3つ含まれていた場合は、その商標登録における類似群コード「19A01」の出現回数は3回となる。一方、例えば、A社の所定期間(例えば2020/4/1~4/30)における商標登録の類似群コードの出現回数の場合は、この期間おいてA社が例えば4件の商標出願をしていた場合に、これら4件に含まれるそれぞれ同じ類似群コードの出現回数の合計が所定期間における各類似群コードの出現回数となる。
【0044】
なお、上記各種情報の取得方法はこの方法に限らず、例えば、その都度、特許庁の商標データベースから取得したり、外部メモリを介して取得したりするなど他の取得方法を用いてもよい。
【0045】
さらに、動向分析装置100は、取得した類似群コード及び出現回数を座標情報に変換し、座標情報(例えば各権利者の出願月ごとの座標情報)のデータベースを生成する。本実施の形態の座標情報は、類似群コードをX軸座標値、出現回数をY軸座標値とした2次元座標系の座標情報となる。
【0046】
具体的に、類似群コードの座標変換は、コードを3つの部分に分けて、それぞれ前半部の2桁の数字をHd、中央部の英字をEc、後半部の2桁の数字をTaとする。加えて、中央部の英字はA~Zの26種類であることから、これらA~Zを0~25の数字に置き換える。即ち、「A=0、B=1、・・・、Y=24、Z=25」に置き換える。本実施の形態では、これらの数値を用いて、下式(1)から、類似群コードをX軸座標値に変換する。
【0047】
X=Hd×26×100+Ec×100+Ta ・・・(1)
例えば、類似群コード「11A07」であれば、「Hd=11」、「Ec=A=0」、「Ta=7」となるので、これらの数値を上式(1)に代入する。これにより、「X=11×26×100+0×100+7=28607」が求まり、類似群コード「11A07」をX軸座標値「28607」に変換することができる。
【0048】
また、Y軸座標値は出現回数そのものを用いる。例えば、登録番号「9,999,981」の商標登録の指定商品に含まれる類似群コード「11A07」の出現回数が「2」であれば、類似群コード「11A07」のY軸座標値は「Y=2」となる。
【0049】
なお、類似群コード及び出現回数の座標変換は、上記の方法に限らず、他の方法を用いてもよい。
【0050】
このようにして、図4に示す類似群コード及び出現回数をX軸座標値及びY軸座標値に変換すると、図5に示す座標情報(XY座標値)が得られる。
【0051】
動向分析装置100は、これら生成した座標情報を登録番号に対応付けて記憶装置42にデータベースとして記憶するようになっている。
【0052】
ここで、図6は、類似群コード及び出現回数の座標情報をプロットした一例を示す図である。図6において、横軸は類似群コード(X軸座標値)、縦軸は出現回数(Y軸座標値)である。
【0053】
類似群コード及びその出現回数の座標情報をプロットすることで、図6に例示したように、特定の権利者が所定期間に出願した商標登録の商品情報の分布を示すプロット図(グラフ)を描くことができる。
【0054】
動向分析装置100は、同一企業の期間の異なる複数の座標情報のグループから、その特徴を示す情報(以下「特徴情報」という。)を抽出する。そして、抽出した特徴情報に基づいて該当企業の後の期間の商標登録の動向を分析し、分析結果の情報(以下「分析結果情報」という。)を出力するように構成されている。
【0055】
次に、記憶装置42のデータ構造を説明する。
図7は、登録情報テーブル400のデータ構造を示す図である。また、図8は、座標情報テーブル420のデータ構造を示す図である。
【0056】
記憶装置42は、図7及び図8に示すように、登録情報テーブル400及び座標情報テーブル420を記憶している。
【0057】
図7に示すように、登録情報テーブル400には、1又は複数のレコードが登録されている。各レコードは、登録番号を登録するフィールド402と、登録日を登録するフィールド404と、出願日を登録するフィールド406と、権利者を登録するフィールド408とを含んで構成されている。
【0058】
図7の例は、第1行目のレコードが権利者(事業者)である「A社」の商標登録に関する登録情報であり、同様に、第2~4行目のレコードが権利者である「B社」「C社」「D社」の商標登録に関する登録情報である。
【0059】
また、図8に示すように、座標情報テーブル420には、1又は複数のレコードが登録されている。各レコードは、登録番号を登録するフィールド422と、X軸座標値を登録するフィールド424と、Y軸座標値を登録するフィールド426とを含んで構成されている。
【0060】
図8の例は、登録番号「9,999,981」「9,999,982」「9,999,983」「9,999,984」の4件の商標登録に関する類似群コード及びその出現回数の座標情報である。
【0061】
即ち、座標情報テーブル420は、登録番号ごとに、その商標登録で指定された各商品(役務)に対応する類似群コードについて、同じ類似群コードごとに、そのX軸座標値と、同じ類似群コードの商品(役務)の出現回数(Y軸座標値)とが登録されたテーブルとなる。
【0062】
次に、CPU30で実行される動向分析処理を説明する。
CPU30は、MPU(Micro-Processing Unit)等からなり、ROM32の所定領域に格納されている所定のプログラムを起動させ、そのプログラムに従って、図9のフローチャートに示す動向分析処理を実行する。
【0063】
図9は、動向分析処理を示すフローチャートである。また、図10は、検索条件を入力する画面である。
【0064】
動向分析処理は、ユーザからの分析要求に応じて実行される処理であって、CPU30において実行されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行する。
【0065】
ステップS100では、表示装置44に表示された図10に示す検索条件を入力する画面にて、入力装置40を介して、分析したい権利者(例えば他社)の情報を入力する。その後、ステップS102に移行する。例えば、図10に示すように、権利者の情報として「A社」を入力する。
【0066】
ステップS102では、図10に示す検索条件を入力する画面にて、期間1の情報を入力して、ステップS104に移行する。例えば、図10に示すように、期間1の情報として出願日が属する期間である「2019/4/1~2019/5/31」を入力する。
【0067】
ステップS104では、図10に示す検出条件を入力する画面にて、期間1に属する出願日よりも後の出願日が属する期間である期間2の情報を入力して、ステップS106に移行する。例えば、図10に示すように、期間2の情報として期間1に属する出願日よりも後の出願日が属する期間である「2019/6/1~2019/7/31」を入力する。
【0068】
ステップS106では、入力された情報に基づいて、記憶装置42に記憶された登録情報テーブル400から、A社(権利者)によって期間1に出願された商標登録の登録番号を検索する。その後、ステップS108に移行する。これにより、期間1に出願された商標登録の登録番号が取得される。
【0069】
ステップS108では、記憶装置42に記憶された座標情報テーブル420から、ステップS106で取得した期間1の登録番号に対応する座標情報を検索する。その後、ステップS110に移行する。これにより、期間1に出願された商標登録の登録番号に対応する座標情報が取得される。
【0070】
ここで、動向分析装置100は、期間1の登録番号に対応する座標情報のなかに、同じX軸座標値のものが複数あった場合、これらのY軸座標値を合算して、同じX軸座標値と合算値とで期間1に対応する新たな座標情報を生成する処理を行う。
【0071】
ステップS110では、入力された情報に基づいて、記憶装置42に記憶された登録情報テーブル400から、A社(権利者)によって期間2に出願された商標登録の登録番号を検索する。その後、ステップS112に移行する。これにより、期間2に出願された商標登録の登録番号が取得される。
【0072】
ステップS112では、記憶装置42に記憶された座標情報テーブル420から、ステップS110で取得した期間2の登録番号に対応する座標情報を検索する。その後、ステップS114に移行する。これにより、期間2に出願された商標登録の登録番号に対応する座標情報が取得される。
【0073】
ここで、動向分析装置100は、期間1と同様に、期間2の登録番号に対応する座標情報のなかに、同じX軸座標値のものが複数あった場合、これらのY軸座標値を合算して、同じX軸座標値と合算値とで期間2に対応する新たな座標情報を生成する処理を行う。
【0074】
ステップS114では、期間1の座標情報(合算後の座標情報)に基づいて楕円近似式1の各係数を算出する。その後、ステップS116に移行する。
【0075】
ここで、図11は、楕円の各パラメータ(係数)を示す図である。
図11に示すように、楕円の中心座標を(X,Y)、長軸の長さをa、短軸の長さをb、楕円の傾きをθとすると、楕円の一般式は、下式(2)となる。
【0076】
【数1】
上式(2)を展開し、X、Yに関して整理するとともに、右辺の1を左辺に移項して未知数部分を変数G~Lに置き換えると、下式(3)が得られる。
【0077】
【数2】
上式(3)の変数を減らすために、全体を変数Gで割って、未知数部分を変数A~Eに置き換えると、下式(4)が得られる。
【0078】
【数3】
指定された期間に対応する座標情報について最小二乗法による楕円近似を行うためには、指定期間に対応する座標情報を用いて、上式(4)の2乗和が最小となるように変数A~Eの値を決めればよいので、下式(5)が成立する。
【0079】
【数4】
変数A~Eを求めるために、上式(5)をA~Eで偏微分して、行列で表すと下式(6)が得られる。
【0080】
【数5】
上式(6)から変数A~Eを求め、求めた変数A~Eから楕円の中心座標(X,Y)、長軸の長さa、短軸の長さb及び傾きθを求める。
【0081】
具体的に、中心座標(X,Y)は、変数A~Dを用いて、下式(7)及び(8)から求めることができる。
【0082】
【数6】
また、楕円の傾きθは、変数A~Bを用いて、上式(9)から求めることができる。
【0083】
【数7】
また、長軸の長さaは、変数B及びEを用いて、下式(10)から求めることができる。
【0084】
【数8】
また、短軸の長さbは、変数B及びEを用いて、下式(11)から求めることができる。
【0085】
【数9】
即ち、ステップS114では、ステップS108で取得した期間1に対応する座標情報に基づく座標情報(合算後の座標情報)を用いて上式(6)に従って変数A~Eを求めるとともに、求めた変数A~Eを用いて上式(7)~(11)に従って期間1の楕円近似式1の各係数を算出する。これにより、楕円近似式1の中心座標、長軸の長さ、短軸の長さ、傾きとしてそれぞれX1及びY1、a1、b1、θ1が算出される。これら各係数が、期間1の座標情報の特徴情報となる。
【0086】
ステップS116では、期間2の座標情報(合算後の座標情報)に基づいて楕円近似式2の各係数を算出する。その後、ステップS118に移行する。
【0087】
具体的に、期間1のときと同様に、ステップS112で取得した期間2に対応する座標情報に基づく座標情報(合算後の座標情報)を用いて上式(6)に従って変数A~Eを求めるとともに、求めた変数A~Eを用いて上式(7)~(11)に従って期間2の楕円近似式2の各係数を算出する。これにより、楕円近似式2の中心座標、長軸の長さ、短軸の長さ、傾きとしてそれぞれX2及びY2、a2、b2、θ2が算出される。これら各係数が、期間2の座標情報の特徴情報となる。
【0088】
ステップS118では、ステップS114及びS116で算出された楕円近似式1、2の各係数に基づいて、楕円方程式3の各係数を算出する。その後、ステップS120に移行する。
【0089】
本実施の形態では、中心座標については、例えば、2点の座標(X1,Y1)(X2,Y2)を通る直線の方程式「y=(Y2-Y1)/(X2-X1)×(x-X1)+Y1」に、xとして「X3=X2+(X2-X1)」を代入し、「Y3=(Y2-Y1)/(X2-X1)×2×(X2-X1)+Y1」を算出することで求める。または、上記直線の方程式に、yとして「Y3=Y2+(Y2-Y1)」を代入し、「X3=(X2-X1)/(Y2-Y1)×2×(Y2-Y1)+X1」を算出することで求める。
【0090】
また、傾きθ3については、例えば、「θ3=θ2+(θ2-θ1)」として求める。また、長軸の長さについては、例えば、「a3=a2+(a2-a1)」又は「a3=a2×(a2/a1)」として求める。また、短軸の長さについては、例えば、「b3=b2+(b2-b1)」又は「b3=b2×(b2/b1)」として求める。
【0091】
なお、上記の算出方法に代えて、相加平均を用いて、「X3=(X1+X2)/2」、「Y3=(Y1+Y2)/2」、「a3=(a1+a2)/2」、「b3=(b1+b2)/2」、「θ3=(θ1+θ2)/2」として求めてもよい。
【0092】
以上のようにして、本実施の形態では、楕円近似式1、2の各係数から楕円方程式3の各係数を算出する。
【0093】
ここで、図12(a)~(c)は、最小二乗法による楕円近似法により他社の動向を分析する方法を説明するための図である。
【0094】
上記楕円近似式1を求めるのに用いた期間1に対応する座標情報を、類似群コードを横軸にとり、類似群コードの度数(出現回数)を縦軸にとった2次元座標空間にプロットすると、図12(a)に示すような分布のグラフとなる。このグラフ上に楕円近似式1の楕円を重ねると、図12(a)に示すように、誤差の2乗和が最小となる楕円となる。
【0095】
さらに、上記楕円近似式2を求めるのに用いた期間2に対応する座標情報を、図12(a)と同様の軸を有する2次元座標空間にプロットすると、図12(b)に示すような分布のグラフとなる。このグラフ上に楕円近似式2の楕円を重ねると、図12(b)に示すように、誤差の2乗和が最小となる楕円となる。
【0096】
また、図12(a)及び(b)と同様の軸を有する2次元座標空間に、楕円近似式1、2の各係数に対して相加平均を適用して求めた楕円方程式3の楕円を表示した場合、この楕円は、図12(c)に示すように、図12(a)及び(b)に示す楕円の位置から少しずれた位置に表示される。
【0097】
即ち、動向分析装置100は、図12(a)及び(b)に示す楕円で示した期間1(例えば2019/4/1~5/31)及び期間2(例えば2019/6/1~7/31)の座標情報の特徴情報から、図12(c)に示すように、期間2よりも後の期間である期間3(例えば2019/8/1~9/30)の楕円を予測している。
【0098】
ステップS120では、ステップS118で算出した楕円方程式3の係数に基づいて、楕円方程式3の楕円をグラフ化し、このグラフを表示装置44に表示する。その後、ステップS122に移行する。
【0099】
ここで、図13は、他社の動向の分析結果を表示する画面である。
動向分析装置100は、分析結果の情報(分析結果情報)として、図13の左図に示す楕円方程式3の楕円を表示する。具体的に、楕円方程式3の楕円を通る複数の座標情報に基づいて、楕円方程式3の楕円をグラフ化して表示装置44に表示する。
【0100】
ステップS122では、楕円方程式3の楕円上の座標情報に基づいて、類似群コードを表示する。その後、一連の処理を終了する。
【0101】
具体的に、動向分析装置100は、図13の右図に示すように、楕円方程式3の楕円上の座標情報に対応する各類似群コード及びその出現回数並びに各類似群コードに対応する代表的な商品(役務)の一覧を、表示装置44の表示画面における楕円方程式3の楕円の右側に表示する。
【0102】
即ち、この一覧情報(分析結果情報)から、例えばB社は、他社であるA社が期間3にどのような範囲で商標登録をするかといった動向を把握することができる。
【0103】
次に、本実施の形態の効果を説明する。
本実施の形態では、動向分析装置100は、入力された期間1に出願された商標登録の登録情報に対応する類似群コード及びその出現回数の座標情報(商品情報)、並びに入力された期間2に出願された商標登録の登録情報に対応する類似群コード及びその出現回数の座標情報(商品情報)に基づいて、これらの座標情報の特徴情報をそれぞれ算出し、算出した特徴情報に基づいて、他社が採用する商品若しくは役務又はその類似群コード又はその傾向を分析するようにした。
【0104】
これにより、他社の期間3における商標登録の動向を把握することができる。
また、本実施の形態では、動向分析装置100は、商品情報としての類似群コード及びその出現回数を座標変換し、横軸を類似群コード及び縦軸を出現回数とした2次元座標空間上に期間1の座標情報及び期間2の座標情報をプロットするようにした。加えて、プロットした期間1及び期間2の座標情報に基づいて、最小二乗法による楕円近似法によって各座標情報を楕円近似して、期間1、2に対応する楕円近似式1、2の各係数を特徴情報として算出するようにした。加えて、算出したこれら各係数から期間3の座標情報に対応する楕円方程式3の各係数を算出し、楕円方程式3の楕円及びこの楕円上の座標情報に対応する類似群コードの代表する商品(役務)の情報を表示装置44に表示するようにした。
【0105】
これにより、他社が採用する商品若しくは役務又はその類似群コード又はその傾向をより精度よく分析することができる。
【0106】
本実施の形態において、ステップS108は、発明1又は4の第1商品情報取得手段に対応し、ステップS112は、発明1又は4の第2商品情報取得手段に対応し、ステップS114は、発明1又は2の第1特徴情報取得手段に対応し、ステップS116は、発明1又は2の第2特徴情報取得手段に対応し、ステップS118~S120は、発明1又は4の分析手段に対応している。
【0107】
〔変形例〕
上記実施の形態においては、座標情報として2次元座標空間の情報を例に挙げて説明したが、この構成に限らない。座標空間は少なくとも2次元であればよく、3次元以上の座標空間を採用することもできる。
【0108】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、類似商品・役務審査基準上の類似群コードを採用したが、これに限らず、他の分類コード又は独自の分類コードを採用することもできる。
【0109】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、類似群コード及びその出現回数を座標情報としたが、この構成に限らない。少なくとも2次元の軸のいずれか1つの軸に類似群コードを採用することができる。例えば、類似群コードを1つの軸にとり、出願日や登録日などの日付又は出願件数や登録件数などの件数を他の軸にとったものでもよい。また、少なくとも2次元の軸のいずれか1つの軸に出願日や登録日などの日付又は出願件数や登録件数などの件数を採用することができる。例えば、出願日や登録日などの日付を1つの軸にとり、出願件数や登録件数などの件数を他の軸にとったものでもよい。
【0110】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、期間3の商品情報(例えば座標情報)の分析方法として、2点を通る直線の方程式や相加平均を用いて、楕円方程式3の各係数を算出するように構成したが、これに限らず、任意の算出方法を採用することができる。
【0111】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、動向を分析する情報として、傾向(グラフ)と商品(役務)の一覧を表示するように構成したが、これに限らず、いずれか一方だけ表示するように構成することもできる。
【0112】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、同一企業の登録情報をグループA、Bとしたが、この構成に限らない。例えば、グループA、Bの内容が異なっていれば同一企業としなくてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、最小二乗法による楕円近似式を採用したが、この構成に限らない。例えば、最小二乗法による直線近似式、最小二乗法による曲線近似式その他の演算式を採用することもできる。演算式もグループA、Bで別々のものを採用してもよい。すなわち、グループAの登録情報に基づいて所定の演算式Xにより特徴量を算出する第1算出手段と、グループBの登録情報に基づいて所定の演算式Yにより特徴量を算出する第2算出手段とを備えていればよい。
【0114】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、最小二乗法による楕円近似式のみを採用したが、この構成に限らない。例えば、最小二乗法による直線近似式、最小二乗法による曲線近似式、最小二乗法による楕円近似式など、近似式を得るための異なる複数のモデル関数を採用することができる。このとき、複数のモデル関数のうち、期間1、2の座標情報に基づいて座標空間上にプロットされるデータをモデル関数に当てはめた場合の誤差が最小となるものを用いることができる。例えば、期間1の座標情報を各モデル関数に当てはめた場合に誤差が最小となるモデル関数が「最小二乗法による直線近似式」であれば、期間1の近似式のモデル関数として「最小二乗法による直線近似式」を採用する。また、期間2の座標情報を各モデル関数に当てはめた場合に誤差が最小となるモデル関数が「最小二乗法による曲線近似式」であれば、期間2の近似式のモデル関数として「最小二乗法による曲線近似式」を採用する。期間1、2のモデル関数はいずれも同一であってもよいし、異なっていてもよい。期間3のモデル関数は、期間1、2のモデル関数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、期間2として、期間1よりも後の期間を入力するように構成したが、これに限らず、期間1と一部期間が重なる期間を入力するように構成することもできる。
【0116】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、分析したい権利者として他社の情報を入力するように構成したが、これに限らず、自社の情報を入力するように構成することもできる。
【0117】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、座標情報の特徴情報として楕円近似式の係数を算出するように構成したが、これに限らず、座標情報の特徴情報として座標情報の統計情報(例えば、出現回数、出現率、順位、差分、分散、標準誤差、標準偏差、偏差値、平均値、中央値、最頻値、尖度、歪度、最小値、最大値その他の統計量。以下「統計情報」について同じである。)を算出するように構成することもできる。
【0118】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、期間1、2の座標情報の特徴情報をそれぞれ算出し、算出した特徴情報に基づいて、他社が採用する商品若しくは役務又はその類似群コード又はその傾向を分析するように構成したが、これに限らず、特徴情報を算出することなく、期間1、2の商品情報(例えば座標情報)に基づいて、他社が採用する商品若しくは役務又はその類似群コード又はその傾向を分析するように構成することができる。例えば、期間1の座標情報及び期間2の座標情報の統計情報に基づいて期間3の座標情報を算出してもよい。具体的には、期間1の座標情報及び期間2の座標情報のうち、同じX軸座標値のものについてはこれらのY軸座標値を平均値等として算出する方法などを採用することができる。
【0119】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、AIを適用して各機能を実現することもできる。具体的な構成として、例えば、学習手段、第1商品情報取得手段、第2商品情報取得手段及び分析手段を備える構成を採用することができる。
【0120】
学習手段は、出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報、及び、出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を少なくとも入力し、出願日が前記第2時期よりも後の第3時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第3の商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向に関する情報を出力するように学習を行うことにより学習済みモデルを生成する。同一の前記事業者につき4以上の時期の商品情報があれば、それらを用いてさらに学習を行うことができる。
【0121】
第1商品情報取得手段は、出願日が第4時期(前記第1時期又は前記第2時期と同時期である場合を含む。)で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第4の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する。
【0122】
第2商品情報取得手段は、出願日が前記第4時期よりも後の第5時期(前記第2時期又は前記第3時期と同時期である場合を含む。)で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第5の商品若しくは役務又はこれが属するグループに関する商品情報を取得する。
【0123】
分析手段は、前記学習済みモデルを用いて、前記第1商品情報取得手段で取得した商品情報及び前記第2商品情報取得手段で取得した商品情報から、前記第5時期よりも後の第6時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれが属するグループ又はその傾向を分析する。
【0124】
また、上記実施の形態及びその変形例において、図9のフローチャートに示す処理を実行するにあたってはいずれも、ROM32に予め格納されているプログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM34に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0125】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0126】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、他社の商標登録の動向を把握又は分析する用途で説明したが、これに限らず、例えば、他社の事業(例えば商品開発)の動向など、他社の他の動向を把握又は分析する用途で動向分析装置100を用いることもできる。また、自社の事業の動向を把握又は分析する用途で用いることもできる。
【0127】
また、上記実施の形態及びその変形例においては、他社の商標登録の動向を把握又は分析する場合について本発明を適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。例えば、他社の事業(例えば商品開発)の動向など、他社の他の動向を把握又は分析する場合について本発明を適用することもできる。また、自社の事業の動向を把握又は分析する場合について本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0128】
100…動向分析装置、 30…CPU、 32…ROM、 34…RAM、 38…I/F、 39…バス、 40…入力装置、 42…記憶装置、 44…表示装置、 400…登録情報テーブル、 420…座標情報テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出願日が第1時期で、事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第1の商品若しくは役務又はこれらが属するグループに関する商品又は役務情報を取得する第1商品又は役務情報取得手段と、
出願日が前記第1時期よりも後の第2時期で、前記事業者が出願人又は権利者となる商標登録出願又は商標登録において指定された第2の商品若しくは役務又はこれらが属するグループに関する商品又は役務情報を取得する第2商品又は役務情報取得手段と、
商品若しくは役務又はこれらが属するグループの統計量を座標軸とする座標空間上に、前記第1商品又は役務情報取得手段で取得した商品又は役務情報に基づいてプロットされるデータの近似式を求め、求めた近似式の係数を特徴情報として算出する第1特徴情報算出手段と、
前記第2商品又は役務情報取得手段で取得した商品又は役務情報に基づいて前記座標空間上にプロットされるデータの近似式を求め、求めた近似式の係数を特徴情報として算出する第2特徴情報算出手段と、
前記第1特徴情報算出手段で算出した特徴情報及び前記第2特徴情報算出手段で算出した特徴情報に基づいて、前記第2時期よりも後の第3時期に前記事業者が採用する商品若しくは役務又はこれらが属するグループ又はその傾向を分析する分析手段とを備えることを特徴とする分析システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1特徴情報算出手段又は前記第2特徴情報算出手段は、前記近似式を得るための異なる複数のモデル関数のうち、前記商品又は役務情報に基づいて前記座標空間上にプロットされるデータを当該モデル関数に当てはめた場合の誤差が最小となるものを用いることを特徴とする分析システム。