(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062481
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ウォータージェットノズル及びそれを用いた表面処理装置
(51)【国際特許分類】
B26F 3/00 20060101AFI20220413BHJP
B23P 17/00 20060101ALI20220413BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B26F3/00 H
B23P17/00 A
B26F3/00 L
B26F3/00 M
E04G23/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170514
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】593162291
【氏名又は名称】株式会社フタミ
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 竜一
【テーマコード(参考)】
2E176
3C060
【Fターム(参考)】
2E176BB36
2E176DD29
3C060AA20
3C060CE02
3C060CE03
3C060CE07
3C060CE23
(57)【要約】
【課題】端部や中心部分などに、表面処理残しが生じないようにすることができるウォータージェットノズル及びそれを用いた表面処理装置を提供する。
【解決手段】供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸7bを有するロータリージョイント7と、回転軸7bを回転させるためのエアモータ8とを備える表面処理装置20の回転軸7bに取付けられるウォータージェットノズル14であって、ウォータージェットノズル14は、回転軸7bから供給される高圧水を通すための横長の給水路14cと、給水路14cと連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズル14dとを含む。横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、回転軸心に対して、右側の噴射ノズル14dは、外側に傾斜しており、左側の噴射ノズル14dも、外側に傾斜している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、
回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、
給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、
横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の少なくとも一方の端部における少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする、ウォータージェットノズル。
【請求項2】
正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の両端部のそれぞれにおいて、少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のウォータージェットノズル。
【請求項3】
正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜していることを特徴とする、請求項2に記載のウォータージェットノズル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の傾斜角度は、5~30度の範囲内であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のウォータージェットノズル。
【請求項5】
供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、
回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、
給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、
横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の中心部における少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする、ウォータージェットノズル。
【請求項6】
正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜していることを特徴とする、請求項5に記載のウォータージェットノズル。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の傾斜角度は、5~30度の範囲内であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のウォータージェットノズル。
【請求項8】
供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、
回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、
給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、
横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする、ウォータージェットノズル。
【請求項9】
供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、
回転軸を回転させるための回転手段と、
回転軸に取付けられて回転可能なウォータージェットノズルとを備え、
ウォータージェットノズルは、請求項1~8のいずれかに記載の構造を有することを特徴とする、表面処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向に複数の噴射ノズルを配置しており、回転させて使用されるウォータージェットノズル及びそれを用いた表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横方向に複数の噴射ノズルを配置した横長の給水管によるウォータージェットノズル及びそれを用いた表面処理装置として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1では、横方向に複数のノズル(3)及び(3′)を配置した給水管(2)がウォータージェットノズルとなる(括弧内の符号は、特許文献1における符号を意味する。以下同様。)。特許文献1では、給水管(2)の中心部が、ロータリージョイントを介してハウジング(1)に回転自在に保持されている。回転駆動手段(4)がロータリージョイントの回転軸を回転させることで、給水管(2)が回転するように構成されている。別途の高圧水発生手段からの高圧水をノズル(3)から路面等の表面に噴射することで、剥離、はつり作業を行うことができる。給水管(2)の回転中心(P)を中心に、左右に、ノズル(3)及びノズル(3′)が一列に配置されており、各ノズル(3)の中心からの半径と、各ノズル(3′)の中心からの半径とは、異なるようなっている。さらに、特許文献1の
図5に示されているように、一側面視において、各ノズル(3)及び各ノズル(3′)は、回転軸心方向に対して、それぞれ異なる方向に、10度ないし30度の角度(α1)及び(α2)だけ傾斜するように配置されている。
【0004】
特許文献1では、給水管(2)の回転中心(P)からの左右の各ノズル(3)及び各ノズル(3′)の距離を異ならせることで、回転によって得られる同心円の半径が異なることとなるので、高圧水の噴射を密な状態とすることが可能となる。また、各ノズル(3)及び各ノズル(3′)を、一側面視において、回転軸心に対して傾斜させることで、回転方向に対して、常に斜め方向に、高圧水を噴射させることが可能となる。これにより、表面処理(例えば、路面の剥離や洗浄など)の効率を高めることが可能となる。
【0005】
図13は、他の従来のウォータージェットノズル41の構成を示す図である。
図13において、ウォータージェットノズル41は、全体が逆T字状であり、上部に、雌ネジ47を有している。雌ネジ47が、図示しないロータリージョイントの回転軸の雄ネジ部分と連結する。ロータリージョイントの回転軸からの高圧水が給水されて、第1給水路45及び第2給水路46を介して、下方に向けて半径方向に二列にジグザグに形成された各第3給水路48に、高圧水が供給される。
【0006】
第3給水路48の先端の装着穴42には、同じく、二列にジグザグに噴射ノズル43が取付けられている。これにより、密な噴射が可能となっている。ただし、回転軸心の中心付近の複数の第3給水路48(
図13(c)では、左右4つずつ計8個)は、栓部材44で栓がされている。高圧水は、中心部分ほど、強くなるため、中心部分が必要以上に剥離等されるのを防止するためである。
【0007】
なお、
図13(c)において、栓部材44及び噴射ノズル43について、同じ図示の部分は、同じ箇所であり、全てには、符号を付していない。噴射ノズル43については、中心に小さい丸い穴を図示している。
図13(b)及び(c)の回転軸心を中心にした左右の噴射ノズル43は、中心からの距離r1,r2,r3,r4(ここでは、栓部材44で塞がれている)がそれぞれ異なるように配置されている。なお、
図13(c)では、r4までしか記載していないが、中心から離れる全ての噴射ノズル43についても同様、半径が異なるようになっている(半径を示す図は省略している)。これによって、特許文献1と同様に、中心からの同心円半径が異なることとなり、表面処理の効率を高めている。
【0008】
ウォータージェットノズル41では、特許文献1の場合と異なり、
図13(d)に示すように、一側面視において、回転軸心に対して、同じ方向に傾斜している。これにより、
ウォータージェットノズルが180度回転した際、高圧水の噴射方向が反対になるため、ムラ無く、高圧水を吹き付けることが可能としていた。
【0009】
これらのウォータージェットノズルを用いた表面処理装置は、本願出願人によって、商品名称「アクアサーフェス工法」として、実用化されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】株式会社フタミWEBサイト,検索日:2020年10月1日、作成者株式会社フタミ,URL:http://www.sb-futami-aj.co.jp/,http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/index.html,http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/index2.html、http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/as.html,http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/as2.html,http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/index3.html,http://www.sb-futami-aj.co.jp/aj/index4.html,http://www.sb-futami-aj.co.jp/common/pdf/aj_panf.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1の
図5に示すように、一側面図において、ノズル(3)及び(3′)は、回転軸心に対して、傾斜するように構成されているものの、横長方向を正面とした場合の正面視からノズル(3)及び(3′)を見た場合、
図13(b)と同様に、回転軸心に対して、真下に、ノズル(3)及び(3′)並びに噴射ノズル43が向いている構成となっている。
【0013】
このような構成の場合、上記正面視において、回転軸心に対して斜め方向、すなわち、回転方向から外方向に向かう高圧水の噴射が弱いので、立ち上がりがあるような端部については、高圧水が行き届かないこととなり、そのような端部の表面処理を綺麗に行うことができなかった。
図14は、従来のウォータージェットノズルを用いたときの立ち上がりの端部の表面処理の施工結果の一例を示す写真である。
図14に示すように、立ち上がり端部が、綺麗に、表面処理されていないのが確認できる。
【0014】
また、従来のウォータージェットノズルの場合、中心になるほど円周長が短くなり、速度が遅くなるため、水力が強くなる。それについては、中心部ほどサイズの小さなノズルを配置すれば解決する。ただ、供給される水量には限界があるため、中心部にノズルを配置すると、他の場所のノズルのサイズも小さくしなければならなくなる。そうなると、全体的に水力が弱まり残存が多くなる。そのため、中心部にはノズルを配置しない構成としている。
【0015】
また、水の軌跡にも問題がある。進行方向の中心部は、進行方向に対して横向きにしか水が当たらないため、クロスに水が当たる中心部以外の場所に比べて残存が多くなる。このように、従来のウォータージェットノズルの場合、中心部の表面処理が綺麗に行われないという問題があった。
【0016】
図15は、従来のウォータージェットノズルによる表面処理の施工結果の一例を示す写真である。
図15に示すように、中心部分の表面処理が残ってしまっているのが分かる。
【0017】
それゆえ、本発明は、端部や中心部分などに、表面処理残しが生じないようにすることができるウォータージェットノズル及びそれを用いた表面処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の少なくとも一方の端部における少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の両端部のそれぞれにおいて、少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されているとよい。
【0020】
本発明の一実施形態では、正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しているとよい。
【0021】
好ましくは、上記傾斜角度は、5~30度の範囲内であるとよい。
【0022】
また、本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、給水路の中心部における少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の一実施形態では、正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜しているとよい。
【0024】
好ましくは、上記傾斜角度は、5~30度の範囲内であるとよい。
【0025】
また、本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、給水路と連通して、底面で横長方向に配置された複数の噴射ノズルとを含み、横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、少なくとも1つの噴射ノズルは、回転軸の回転軸心に対して、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段と、回転軸に取付けられて回転可能なウォータージェットノズルとを備え、ウォータージェットノズルは、上記のいずれかに記載の構造を有することを特徴とする、表面処理装置である。
【発明の効果】
【0027】
横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、給水路の端部に外側に向けて傾斜した噴射ノズルを配置することで、端部の立ち上がり部分に対して、斜め上方から、高圧水を噴射することが可能となる。したがって、端部の表面処理残しを防止することが可能となる。
【0028】
給水路の両端部において、外側に向けて傾斜した噴射ノズルを設ければ、回転するウォータージェットノズルの両端部で常に、斜め上方から高圧水を噴射することができるので、効率的に、端部の表面処理残しを防止する事が可能となる。
【0029】
横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、給水路の中央部で、内側に向けて傾斜した噴射ノズルを配置することで、ウォータージェットノズルの中心部において、斜め上方から、高圧水を噴射することができるので、中心部における表面処理残しを防止することができる。
【0030】
上記正面視において、給水路の右側の噴射ノズルを外側に向けて傾斜させ、左側の噴射ノズルを内側に向けて傾斜させることで、ウォータージェットノズルが180度回転した際、中心部に対する高圧水の噴射方向が反対になるため、中心部において、ムラ無く、高圧水を様々な方向から吹き付けることが可能となる。これによって、中心部における端部の表面処理残しを、効率的に、防止する事が可能となる。
【0031】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における表面処理装置20の概略構成を示す正面である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における表面処理装置20の概略構成を示す左側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態における表面処理装置20の概略構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態におけるウォータージェットノズル14の概略構成を示す図である。
図4(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は底面図、同(d)は右側面図である。なお、
図4において、噴射ノズル14d、第3給水路14e、及び装着穴14fについては、ウォータージェットノズル14の内部に存在する箇所についても、分かりやすくするために実線で表している。
図4に示す矢印は、高圧水の噴射方向を示しているが、実際は、噴射ノズル14dからの噴射後、高圧水は、概ね2度程度の広がり(0.4mmのノズルで20mmで1.1mm程度広がる)を持って、噴射されるが、限定されるものではない(以下同様)。
図4に示す矢印の角度と回転軸との間の角度α及びβは、噴射ノズル14dの回転軸心からの傾き角度である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態におけるウォータージェットノズル14の概略構成を示す図である。
図5(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は底面図、同(d)は右側面図である。なお、
図5(d)では、ノズル部14lのみが図示されている。なお、
図5において、噴射ノズル14d、第3給水路14e、及び装着穴14fについては、ウォータージェットノズル14の内部に存在する箇所についても、分かりやすくするために実線で表している。
図5に示す矢印は、高圧水の噴射方向を示しているが、実際は、噴射ノズル14dからの噴射後、高圧水は、広がりを持って、噴射される。
図5に示す矢印の角度と回転軸との間の角度α及びβは、噴射ノズル14dの回転軸心からの傾き角度である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態におけるウォータージェットノズル14の実施例1を示す写真である。
図6は、噴射ノズル14dを2列にジグザグに配置した実施例を示す。
【
図7】
図7は、第1の実施形態におけるウォータージェットノズル14の他の実施例2を示す写真である。
図7は、噴射ノズル14dを1列に配置した実施例を示す。
【
図8】
図8は、第2の実施形態におけるウォータージェットノズル14の実施例3を示す写真である。
図8(a)は底面写真、同(b)は右端部分の拡大写真である。
図8は、噴射ノズル14dを2列にジグザグに配置した実施例を示す。
【
図9】
図9は、第2の実施形態におけるウォータージェットノズル14の実施例4を示す写真である。
図9(a)は底面写真、同(b)は正面図である。
図9は、噴射ノズル14dを1列に配置した実施例を示す。
【
図10】
図10(a)は、装着穴14fの実施例を示す写真である。同(b)、同(c)、及び同(d)は、噴射ノズル14dの実施例を示す写真である。
【
図11A】
図11Aは、
図6に示す第1の実施形態の実施例1を用いて施工したときの立ち上がりの端部の表面処理の施工結果を示す写真である。
【
図11B】
図11Bは、
図8に示す第2の実施形態の実施例3を用いて施工したときのウォータージェットノズルの中心部分の表面処理の施工結果を示す写真である。ボールペンを置いた箇所が、中心部分である。
【
図13】
図13は、従来のウォータージェットノズル41の概略構成を示す図である。
図13(a)は平面図、同(b)は正面図、同(c)は底面図、同(d)は右側面図である。なお、
図13において、噴射ノズル43、第3給水路48、及び装着穴42については、ウォータージェットノズル41の内部に存在する箇所についても、分かりやすくするために実線で表している。
図13に示す矢印は、高圧水の噴射方向を示しているが、実際は、噴射ノズル14dからの噴射後、高圧水は、広がりを持って、噴射される。
【
図14】
図14は、従来のウォータージェットノズルを用いたときの立ち上がりの端部の表面処理の施工結果の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、従来のウォータージェットノズルを用いたときの中心部分の施工結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(ウォータージェットによる表面処理装置20の全体構成)
図1ないし
図3を参照しながら、ウォータージェットによる表面処理装置20の全体構成について説明する。
【0034】
表面処理装置20は、架台1と、自在車輪2と、固定車輪3と、ハンドル4と、高さ調整ハンドル5と、2つのロックハンドル6と、ロータリージョイント7と、エアモータ8と、筐体9と、カバー10と、連結部11と、ウォータージェットノズル14と、バキューム接続口15とを備える。
【0035】
架台1の前輪は、固定車輪3である。架台1の後輪は、自在車輪2である。ただし、これは、一例であり、両方が自在車輪でもよいし、両方が固定車輪でもよい。架台1には、ハンドル4が取付けられており、使用者は、ハンドル4を持って、表面処理装置20を施工したい場所に移動させることができる。
【0036】
架台1には、4つの連結部11が取付けられている。各連結部11には、L字状金具11aが取付けられている。L字状金具11aに、板状部材を介して、カバー10が取付けられている。このようにして、架台1に、カバー10が取付けられる構造となっている。言うまでもないが、カバー10を架台1に取付ける構造は一例に過ぎず、本発明においては、いかなる取付け構造も採用し得る。
【0037】
カバー10の上部には、2本の支柱6aが取付けられている。筐体9は、ロックハンドル6を介して、支柱6aに上下可能に取付けられる。筐体9は、高さ調整ハンドル5と連結する固定部5cと連結している。高さ調整ハンドル5は、ねじ棒5aと連結している。高さ調整ハンドル5を回転させると、ねじ棒5aが回転し、左右の支柱5bに沿って、固定部5cが上下して、筐体9が上下する構造となっている。高さが調整された後、ロックハンドル6を閉じて、筐体9の高さを固定する。)なお、筐体9を上下させるための構造はあくまでも一例に過ぎず、本発明においては、いかなる高さ調整構造も採用し得る。
【0038】
筐体9の上部には、ロータリージョイント7が取付けられている。ロータリージョイント7は、高圧水供給口7aから供給される高圧水を連通する自在継手になっている。ロータリージョイント7は、回転軸7bを有しており、回転軸7bの内部を高圧水が連通する構造となっている。なお、ロータリージョイント7以外に、スイベルジョイントなどが用いられてもよい。すなわち、ロータリージョイント7の部分は、高圧水を連通させることができる回転軸を有する手段であればいかなる構造であってもよい。
【0039】
回転軸7bには、筐体9内部で、プーリー7cが取付けられている。筐体9には、エアモータ8が取付けられている。エアモータ8の回転軸(不図示)には、プーリー8bが取付けられている。プーリー7cとプーリー8bとは、タイミングベルトやチェーンなどの伝達手段8aで連結されている。なお、エアモータ8に供給される空気の入出口については、図示を省略している。かかる伝達機構により、エアモータ8の回転軸が回転すると、ロータリージョイント7の回転軸7bが回転する仕組みになっている。なお、本発明において、エアモータ8以外に、電気モータや油圧モータなどの他の回転手段が使用されてもよいことは言うまでもない。
【0040】
なお、回転軸7bを回転させるための機構は、あくまでも一例に過ぎず、本発明においては、いかなる回転機構も採用し得る。また、伝達手段は、あくまでも一例に過ぎず、歯車など、他の伝達手段でモータの回転が伝達してもよい。
【0041】
カバー10の上部には、回転軸7bを通す穴が開いている。当該穴に、回転軸7bが通される。筐体9の高さを調整することで、回転軸7bも上下し、回転軸7bに連結するウォータージェットノズル14が上下する構造となっている。ウォータージェットノズル14を上下させることで、路面等の表面からのウォータージェットノズル14の高さを調節することができる。
【0042】
回転軸7bの下端は、雄ネジになっている。ウォータージェットノズル14の上端は、雌ネジ14aになっている(
図4参照。後述。)。雄ネジと雌ネジ14aとを連結させることで、回転軸7bに、ウォータージェットノズル14が取付けられる構造となっている。ここで示す回転軸7bにウォータージェットノズル14を取付けるための構造は、あくまでも一例に過ぎず、高圧水が連通可能となるように、回転軸7bにウォータージェットノズル14が取付けられればよく、その他の連結構造を用いてもよいことは、言うまでもない。
【0043】
カバー10の下部外周には、ブラシ10aが取付けられている。カバー10には、バキューム接続口15が設けられている。バキューム接続口15に、吸引装置(不図示)が接続されて、剥離物や汚水などが吸引される。ブラシ10aを設けることで、剥離物や汚水がカバー10の回りに拡散するのを防止しつつ、吸引装置(不図示)による吸引を可能としている。
【0044】
以上のような構成を有する表面処理装置20は、本願出願人が既に、実用化しているもものであり、具体的な構造に本発明が限定されるものではない。
【0045】
本発明は、表面処理装置20の回転軸7bに取付けられるウォータージェットノズル14の構造に特徴を有するものであり、ウォータージェットノズル14に対して、高圧水が供給し、かつ、回転可能な回転軸7bを回転させるための構造は、特に本発明を限定するものではなく、あらゆる構造を採用できる。
【0046】
以下、ウォータージェットノズル14の実施形態及び実施例について、説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
図4及び
図12Aを参照しながら、第1の実施形態に係るウォータージェットノズル14について説明する。
【0048】
ウォータージェットノズル14は、逆T字状の外観形状を有している。縦方向に伸びる部分の上部には、雌ネジ14aが形成されている。先述した回転軸7bの下部は雄ネジになっており、雌ネジ14aにねじ込まれることで、ウォータージェットノズル14が回転軸7bと連結できる。
【0049】
雌ネジ14aの部分から、縦方向に、第1給水路14bが形成されている。横方向に伸びる部分には、第1給水路14bと連通するように、横方向に第2給水路14cが形成されている。第2給水路14cの両端は、穿孔後に、塞いである。
【0050】
ウォータージェットノズル14の底面側から、第2給水路14cに連通するように、複数の第3給水路14eが形成されている。各第3給水路14eの先端には、装着穴14fが形成されており、装着穴14fに、噴射ノズル14dがねじ込まれるなどして、取り付けられる。なお、
図4では、噴射ノズル14dが、取り付けられる様子を矢印で模式的に示した。
【0051】
第1の実施形態では、噴射ノズル14dの配置角度に特徴があるので、以下、その点を詳しく説明する。
【0052】
まず、従来同様、各噴射ノズル14dは、
図4(c)に示すように、回転軸心を中心とした場合に、当該中心からの距離がそれぞれ異なるように、たとえば、r1<r2<r3<r4の順に、中心から異なる距離で離れるように配置されている。なお、
図4(c)において、中心からの距離について、一部にしか距離を記載していないが全ての噴射ノズル14dの距離について、異なるように配置されている(
図5(c)についても同様)。これにより、回転軸心を中心にウォータージェットノズル14が回転した場合に、噴射ノズル14dによって描かれる同心円が全て異なる半径となるので、噴射ノズル14dから噴射される高圧水が密に噴射されることとなる。
【0053】
また、従来同様、各噴射ノズル14dは、
図4(c)に示すように、2列にジグザグに配置されている。これにより、隣り合う噴射ノズル14dを正面視(
図4(d)参照)上ではオーバーラップさせて配置させることができるので、噴射ノズル14dを密に配置させることができる。
【0054】
そして、従来と異なるのは、回転中心に対しての噴射ノズル14dの傾斜向きである。
図4(b)に示すように、正面視において、回転軸心から右側に設けられた各噴射ノズル14dの縦方向中心線と回転軸心との間の角度αは、反時計回りに傾斜するように設けられている。すなわち、右側に設けられた各噴射ノズル14dは、ウォータージェットノズル14の回転軸心に対して、外側に傾斜するように配置されている。
図4(c)に示す右側の2列の噴射ノズル14d全てが、外側に傾斜するように配置されている。αの角度は、5~30度のいずれかの数値であるとよいが、本発明を限定するものではない。実施例としては、α=20度の場合が用いられたが、良好な結果が得られている。
【0055】
一方、
図4(b)に示すように、正面視において、回転軸心から左側に設けられた各噴射ノズル14dの縦方向中心線と回転軸心との間の角度βは、時計回りに傾斜するように設けられている。すなわち、左側に設けられた各噴射ノズル14dは、ウォータージェットノズル14の回転軸心に対して、外側に傾斜するように配置されている。
図4(c)に示す左側の2列の噴射ノズル14d全てが、外側に傾斜するように配置されている。βの角度は、5~30度のいずれかの数値であるとよいが、本発明を限定するものではない。実施例としては、β=20度の場合が用いられたが、良好な結果が得られている。
【0056】
図4(d)に示すように、側面視において、各噴射ノズル14dは、回転軸心に対して、傾斜していない。ただし、本発明は、
図4(d)の場合に限定されるものではなく、側面視において、回転軸心に対して、左右どちらかに噴射ノズル14dが傾斜していてもよい。
【0057】
なお、上記第1の実施形態において、2列に噴射ノズル14dをジグザグに配置することとしたが、左右の噴射ノズル14dがそれぞれ、回転軸心に対して、外側に傾斜しているのであれば、1列に噴射ノズル14dを配置してもよい。
【0058】
このように、本発明の第1の実施形態では、ウォータージェットノズル14において、横方向に伸びる部分を正面とした正面視において、回転軸心を中心として、右側の噴射ノズル14dが外側に傾斜するように配置されており、左側の噴射ノズル14dが外側に傾斜するように配置されている。すなわち、左右の噴射ノズル14dは、ハの字状となるように、配置されている。
【0059】
図12Aの丸で囲った場所のように、上記の左右の噴射ノズル14dをハの字状に配置することで、ウォータージェットノズル14が回転した場合、左右どちらの噴射ノズル14dの場合でも、端部の立ち上がり部分に対して、斜め上方から、高圧水が噴射されて、路面等の剥離や切削などが行われることとなる。したがって、端部の立ち上がり部分の表面処理が効率的に行われることとなり、表面処理残し無く、綺麗に仕上がることなる。
【0060】
(第2の実施形態)
図5及び
図12Bを参照しながら、第2の実施形態に係るウォータージェットノズル14′について説明する。第1の実施形態と異なる点を中心に説明して、特に断らない限り、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の符号を付した部分については、第1の実施形態と同様の機能を有するものとして、説明を省略する。
【0061】
ウォータージェットノズル14′は、逆T字状の外観形状を有している。第2の実施形態では、逆T字状を構成するために、縦方向連通部14kと、横方向連通部14lとに、部材を分けて、連結部14g,14h,14i,14jを用いて、縦方向連通部14kと、横方向連通部14lを連結することとしている。縦方向連通部14kの下端が、連結部14gにねじ込まれて、同最下端が、横方向連通部14lにねじ込まれる。そして、連結部14gが、連結部14iを介して、横方向連通部14lを、連結部14hで挟んで、ボルト等の連結部14jで固定する。
【0062】
なお、このような連結構造は、第1の実施形態にも採用できる。その他、逆T字状の外観を有するための構造としては種々考えられるが、いずれの構造も、第1及び第2の実施形態に係るウォータージェットノズル14′に採用し得る。さらに、ウォータージェットノズル14′は、逆T字状である場合に限定されず、少なくとも底面に、複数の噴射ノズル14dが設けられ、ロータリージョイント7などの回転手段の回転軸からの高圧水と連通可能な構造であればよいため、その外観形状は、特に、本発明において、限定されるものではない。
【0063】
第2の実施形態では、第2給水路14lに連通する第3給水路14e′及び装着穴14f′が、第1の実施形態と異なる。
【0064】
図5(b)に示すように、横長方向を正面とし、回転軸心を中心とした場合、正面視において、第2の実施形態に係るウォータージェットノズル14′における右側の第3給水路14e′は、外側に角度αで傾斜しおり、左側の第3給水路14e′は、内側に角度βで傾斜している。角度α及びβは、5度~30度であるとよいが、本発明において、限定されるものではない。実施例としては、α=5度の場合が用いられたが、良好な結果が得られている。
【0065】
したがって、第3給水路14e′の先端に設けられた各装着穴14f′も、同じく、右側が外側に傾斜しており、左側が内側に傾斜している。そのため、噴射ノズル14dは、右側が、外側に傾斜して配置され、左側が内側に傾斜して配置されることとなる。なお、
図5では、噴射ノズル14dが取り付けられる様子を矢印で模式的に示した。また、
図5では、右端の噴射ノズル14dのみを図示しており、他の装着穴14f′に装着される噴射ノズル14dについては、記載を省略している。
【0066】
図5(d)に示すように、2列に並ぶ各噴射ノズル14dは、側面視において、一方向に傾斜するように配置されている。その傾斜角度θは、5度~30度であるとよいが、本発明において、限定されるものではない。実施例としては、θ=5度の場合が用いられたが、良好な結果が得られている。
【0067】
なお、上記第2の実施形態において、2列に噴射ノズル14dをジグザグに配置することとしたが、右側の噴射ノズル14dが外側に傾斜し、左側の噴射ノズル14dが内側に傾斜しているのであれば、1列に噴射ノズル14dを配置してもよい。
【0068】
このように、第2の実施形態において、回転軸心に対して、右側の噴射ノズル14dは、外側に傾斜しており、左側の噴射ノズル14は、内側に傾斜するように配置されている。
図12Bに示すように、このような配置にすることによって、ウォータージェットノズル14′が180度回転(反転)したら、正面視において、噴射ノズル14dの傾斜角度が逆になる。
【0069】
なお、側面視においても、ウォータージェットノズル14′が180度回転(反転)したら、噴射ノズル14dの傾斜角度が逆になる。
【0070】
したがって、
図12Bに示すように、ウォータージェットノズル14′の中心部分は、左の斜め上方から高圧水が噴射された後、反転後は、右の斜め上方から、高圧水が噴射される構造となっており、これが繰り返されることとなる。したがって、左右の斜め上方から、中心部分には、高圧水が噴射されることとなるので、中心部分の表面処理が均一に行われ、中心部分の表面処理漏れを防ぐことが可能となっている。
【0071】
また、第2の実施形態については、中心部に限ることではないが、全体に渡って、右斜め上からの高圧水、左斜め上からの高圧水が交互に表面に噴射されることとなる。したがって、左右交互に高圧水が斜め上方から当たることとなるので、表面が均一に削られることとなる。
【0072】
このように、第2の実施形態では、中心部の表面処理が均一となるように施工される。また、全体に渡って、均一に表面が処理されることとなり、全体の仕上がりも綺麗なものとなる。
【0073】
(変形について)
第1の実施形態は、主に、端部の立ち上がり部分の表面処理に効果を発揮するので、端部用として使用することとなるが、端部用に限定されるものではないのはない。
【0074】
また、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて、第1の実施形態の中心部付近の右又は左側の噴射ノズル14dについては、外側に傾斜するのではなく、内側に傾斜するように、配置してもよい。その場合、第3給水路14e及び装着穴14fもそれに合わせて内側に傾斜するように形成される。そのようにすることで、端部の表面処理残しを防止しつつ、中心部についての表面処理残しも防止することが可能となる。
【0075】
同様に、第2の実施形態において、
図5(b)であれば、ウォータージェットノズル14′の左側の端の部分の噴射ノズル14dを内側に傾斜させるのではなく、外側に傾斜させるようにしてもよい。そのようにすることで、中心部分の表面処理残しを防止しつつ、端部の表面処理残しを防止することが可能となる。
【0076】
このような変形例の考察を考慮すると、本発明は、横長方向を正面とした場合に、正面視において、少なくとも1つの噴射ノズル14dが、回転軸心に対して、傾斜するように、配置されるという構成を有するというものである。
【0077】
そして、立ち上がりの端部の表面処理残しを防止することを目的とするのであれば、ウォータージェットノズルの左右の端部の少なくとも1つの噴射ノズル14dが、外側を向くように、回転軸心に対して傾斜するように配置していればよい。
【0078】
その場合、好ましくは、正面視において、回転軸心を中心とした左右の複数の噴射ノズル14dは、外側に傾斜するように配置されていればよいということとなる。なお、左右の噴射ノズル14dの内、一部の噴射ノズル14dの傾斜方向が異なっていることを排除するものではなく、許容されることとする。これが、第1の実施形態の変形である。
【0079】
そして、中心部の表面処理残しを防止することを目的とするのであれば、ウォータージェットノズルの中心部の少なくとも1つの噴射ノズル14dが、内側を向くように、回転軸心に対して傾斜するように配置していればよい。
【0080】
その場合、好ましくは、正面視において、回転軸心を中心とした右側の複数の噴射ノズル14dが外側を向くように配置されており、左側の複数の噴射ノズル14dが内側を向くように配置されていればよいということになる。すなわち、複数の噴射ノズル14dが回転軸心に対して、同じ方向に傾斜するように配置されている。なお、一部の噴射ノズル14dの傾斜方向が異なっていることを排除するものではなく、許容されることとする。これが、第2の実施形態の変形である。
【0081】
本願出願人は、実際に以下に示す実施例を製造して、表面処理施工を行った。以下、実施例とその施工結果について説明する。
【実施例0082】
(実施例1)
図6は、第1の実施形態の実施例1を示す。すなわち、実施例1では、底面に2列の噴射ノズル14dを配置して、左右の噴射ノズル14dが外側を向くように配置している。
【0083】
(実施例2)
図7は、第1の実施形態の実施例2である。すなわち、実施例2では、底面に1列の噴射ノズル14dを配置して、左右の全ての噴射ノズル14dが外側を向くように配置している。
【0084】
(実施例3)
図8は、第2の実施形態の実施例3である。すなわち、実施例3では、底面に2列の噴射ノズル14dを配置して、全ての噴射ノズル14dが、回転軸心に対して、同じ方向に傾斜するように、配置している。
【0085】
(実施例4)
図9は、第2の実施形態の実施例4である。すなわち、実施例4では、底面に1列の噴射ノズル14dを配置して、全ての噴射ノズル14dが、回転軸心に対して、同じ方向に傾斜するように、配置している。
【0086】
図10に、装着穴14fや噴射ノズル14dの実施例が示されている。
図10(a)に示すように、装着穴14fには、内側に雌ネジが形成されている。
図10(b)ないし(d)に示すように、噴射ノズル14dには、外側に雄ネジが形成されている。また、噴射ノズル14dの凹み部には、極小穴を有する円筒部材が入れられる。これによって、さらに、高圧水が噴射されるようにしている。上記雌ネジに雄ネジをねじ込むことで、装着穴14fに、噴射ノズル14dが取り付けられる。
【0087】
図11Aは、実施例1を用いて、立ち上がりの端部の表面処理を施工したときの写真である。このように、端部に表面処理残しがなく、綺麗に処理されていることが分かる。
【0088】
図11Bは、実施例3を用いて、平坦な路面の表面処理を施工したときの写真である。このように、中心部分(ペンを置いた部分)は、表面処理残しがなく、綺麗に処理されていることが分かる。
【0089】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
本発明の一実施形態では、正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しているとよい。
より具体的には、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、給水路と連通して、底面で横長方向に二列にジグザグに配置された複数の噴射ノズルとを含み、複数の噴射ノズルは、回転軸の回転軸心を中心に、左右にそれぞれ複数配置されており、横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、右側に配置されている複数の二列の噴射ノズルは、回転軸心に対して、第1の傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されており、かつ、左側に配置されている複数の二列の噴射ノズルは、回転軸心に対して、第2の傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されている。
好ましくは、横長の給水路を正面とした場合の側面視において、複数の噴射ノズルは、回転軸心に対して、傾斜していない。
好ましくは、回転軸心から各噴射ノズルまでの距離は、それぞれ異なっており、複数の噴射ノズルによって描かれる同心円が全て異なる半径となっている。
本発明の一実施形態では、正面視において、回転軸心に対して、右側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜しており、左側にある噴射ノズルは、傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜しているとよい。
また、より具体的には、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、供給される高圧水を連通させると共に回転可能に構成された回転軸と、回転軸を回転させるための回転手段とを備える表面処理装置における回転軸に取付けられるウォータージェットノズルであって、回転軸から供給される高圧水を通すための横長の給水路と、給水路と連通して、底面で横長方向に二列にジグザグに配置された複数の噴射ノズルとを含み、複数の噴射ノズルは、回転軸の回転軸心を中心に、左右にそれぞれ複数配置されており、横長の給水路側を正面とした場合の正面視において、複数の噴射ノズルの内、右側に配置されている複数の二列の噴射ノズルは、回転軸心に対して、第1の傾斜角度を有するように、外側に向けて傾斜して配置されており、かつ、左側に配置されている複数の二列の噴射ノズルは、回転軸心に対して、第2の傾斜角度を有するように、内側に向けて傾斜して配置されている。
好ましくは、横長の給水路を正面とした場合の側面視において、複数の噴射ノズルは、回転軸心に対して、第3の傾斜角度で傾斜している。
好ましくは、回転軸心から各噴射ノズルまでの距離は、それぞれ異なっており、複数の噴射ノズルによって描かれる同心円が全て異なる半径となっている。
上記正面視において、給水路の右側の噴射ノズルを外側に向けて傾斜させ、左側の噴射ノズルを内側に向けて傾斜させることで、ウォータージェットノズルが180度回転した際、中心部に対する高圧水の噴射方向が反対になるため、中心部において、ムラ無く、高圧水を様々な方向から吹き付けることが可能となる。これによって、中心部における端部の表面処理残しを、効率的に、防止する事が可能となる。
また、噴射ノズルを2列にジグザグに配置ことにより、隣り合う噴射ノズルを正面視上ではオーバーラップさせて配置させることができるので、噴射ノズルを密に配置させることができる。
また、噴射ノズルを回転軸心からの半径が異なる同心円に配置することで、回転軸心を中心にウォータージェットノズルが回転した場合に、噴射ノズルによって描かれる同心円が全て異なる半径となるので、噴射ノズルから噴射される高圧水が密に噴射されることとなる。