(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062504
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】飲料缶、および、缶蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 17/32 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
B65D17/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170558
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514308933
【氏名又は名称】株式会社ジイケイダイナミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢原 拓斗
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 義浩
(72)【発明者】
【氏名】松野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】片平 憲男
(72)【発明者】
【氏名】永井 智
(72)【発明者】
【氏名】井上 弘介
(72)【発明者】
【氏名】青木 省吾
【テーマコード(参考)】
3E093
【Fターム(参考)】
3E093AA13
3E093BB01
3E093CC01
3E093DD01
3E093EE20
(57)【要約】
【課題】飲料の味わいを高めることができる飲料缶および缶蓋を提供する。
【解決手段】缶蓋30のパネル部41は、飲み口片53と、パネル部41の中心に対して飲み口片53と反対側に位置する香り口片54とを有する。タブ60は、タブ60の引き起こしによってパネル部41を押圧する押圧部63と、パネル部41の中心に対して押圧部63と反対側に位置し、利用者の指が掛けられる指掛部64とを備えている。指掛部64にはタブ60を厚さ方向に貫通する孔であるタブ孔66が形成されている。タブ60は、押圧部63が香り口片54上に配置される位置と、押圧部63が飲み口片53上に配置される位置との間で、回転可能にパネル部41に取り付けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のパネル部と、前記パネル部に取り付けられたタブとを備える缶蓋を有する飲料缶であって、
前記パネル部は、前記タブの引き起こしによって前記飲料缶内に押し込まれる複数の開口片を有し、前記複数の開口片には、飲み口片と、前記パネル部の中心に対して前記飲み口片と反対側に位置する香り口片とが含まれ、
前記タブは、前記タブの引き起こしによって前記開口片を押圧する押圧部と、前記パネル部の中心に対して前記押圧部と反対側に位置し、利用者の指が掛けられる指掛部とを備え、前記指掛部には前記タブを厚さ方向に貫通する孔であるタブ孔が形成されており、
前記タブは、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置と、前記押圧部が前記飲み口片上に配置される位置との間で、回転可能に前記パネル部に取り付けられている
飲料缶。
【請求項2】
前記飲料缶の開封前において、前記押圧部は、前記香り口片上に配置されている
請求項1に記載の飲料缶。
【請求項3】
前記缶蓋は、前記飲料缶の開封前において、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置に前記タブを固定するための構造を有する
請求項2に記載の飲料缶。
【請求項4】
前記飲料缶の開封後において、前記香り口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成された香り口の上に、前記タブの前記タブ孔が配置される
請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料缶。
【請求項5】
前記香り口上に前記タブ孔が配置されるように前記パネル部と前記タブとを重ねて見た場合に、前記香り口は、前記タブ孔よりも大きく、かつ、前記タブの外縁からはみ出していない
請求項4に記載の飲料缶。
【請求項6】
前記飲み口片の大きさと前記香り口片の大きさとが互いに異なる
請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料缶。
【請求項7】
前記香り口片は、前記飲み口片よりも小さい
請求項6に記載の飲料缶。
【請求項8】
前記指掛部の幅は、前記指掛部における前記押圧部と反対側の端部に向けて大きくなる
請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料缶。
【請求項9】
前記指掛部における前記押圧部と反対側の端部は、当該端部が前記パネル部から離れる方向に反り返っている
請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料缶。
【請求項10】
前記パネル部は、前記香り口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成される香り口と、前記飲み口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成される飲み口との区別を示す表示、および、前記飲み口と前記香り口との開ける順番を示す表示の少なくとも一方を有する
請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料缶。
【請求項11】
円板状のパネル部と、前記パネル部に取り付けられたタブとを備え、飲料缶に取り付けられる缶蓋であって、
前記パネル部は、前記タブの引き起こしによって前記飲料缶内に押し込まれる複数の開口片を有し、前記複数の開口片には、飲み口片と、前記パネル部の中心に対して前記飲み口片と反対側に位置する香り口片とが含まれ、
前記タブは、前記タブの引き起こしによって前記開口片を押圧する押圧部と、前記パネル部の中心に対して前記押圧部と反対側に位置し、利用者の指が掛けられる指掛部とを備え、前記指掛部には前記タブを厚さ方向に貫通する孔であるタブ孔が形成されており、
前記タブは、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置と、前記押圧部が前記飲み口片上に配置される位置との間で、回転可能に前記パネル部に取り付けられている
缶蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶、および、缶蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶が備える缶蓋は、飲料の飲み口が形成される部分に位置する開口片と、飲み口を開口させるためのタブとを有している。一般に広く普及しているステイオンタブ式の缶蓋では、タブを引き起こすことにより、開口片がタブの端部で押圧されて飲料缶の内部に押し込まれる。これにより、飲み口が開口する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飲料缶の飲み口は、缶蓋の表面を二等分した一方の領域内に位置し、飲料の流出に足りる程度の大きさを有するのみである。利用者が飲料缶を持って飲み口から飲料を飲むとき、通常、缶蓋の表面のなかで飲み口の形成されていない領域が利用者の鼻の前に配置される。それゆえ、利用者が飲料を飲んでいるときには、飲料缶内の飲料の香りが利用者に届きにくい。缶蓋が有する材料固有の臭いが利用者に達することは、飲料の味覚判断に影響を及ぼし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための飲料缶は、円板状のパネル部と、前記パネル部に取り付けられたタブとを備える缶蓋を有する飲料缶であって、前記パネル部は、前記タブの引き起こしによって前記飲料缶内に押し込まれる複数の開口片を有し、前記複数の開口片には、飲み口片と、前記パネル部の中心に対して前記飲み口片と反対側に位置する香り口片とが含まれ、前記タブは、前記タブの引き起こしによって前記開口片を押圧する押圧部と、前記パネル部の中心に対して前記押圧部と反対側に位置し、利用者の指が掛けられる指掛部とを備え、前記指掛部には前記タブを厚さ方向に貫通する孔であるタブ孔が形成されており、前記タブは、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置と、前記押圧部が前記飲み口片上に配置される位置との間で、回転可能に前記パネル部に取り付けられている。
【0006】
上記課題を解決するための缶蓋は、円板状のパネル部と、前記パネル部に取り付けられたタブとを備え、飲料缶に取り付けられる缶蓋であって、前記パネル部は、前記タブの引き起こしによって前記飲料缶内に押し込まれる複数の開口片を有し、前記複数の開口片には、飲み口片と、前記パネル部の中心に対して前記飲み口片と反対側に位置する香り口片とが含まれ、前記タブは、前記タブの引き起こしによって前記開口片を押圧する押圧部と、前記パネル部の中心に対して前記押圧部と反対側に位置し、利用者の指が掛けられる指掛部とを備え、前記指掛部には前記タブを厚さ方向に貫通する孔であるタブ孔が形成されており、前記タブは、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置と、前記押圧部が前記飲み口片上に配置される位置との間で、回転可能に前記パネル部に取り付けられている。
【0007】
上記構成によれば、飲み口片の押し込みによって飲み口が形成され、香り口片の押し込みによって香り口が形成される。そして、飲料缶の利用者が飲み口から飲料を飲むとき、利用者の鼻の前には、香り口が配置される。したがって、利用者が飲料を飲んでいるときに、香り口を通じて、飲料缶内の飲料の香りが利用者に届きやすくなるため、飲料の味わいが高められる。
【0008】
また、香り口の開口時と飲み口の開口時とで、2回音が鳴る。そのため、従来のように飲み口のみが開口される場合との違いが、利用者の視覚および嗅覚だけでなく、聴覚によっても認識される。したがって、従来のとの違いが利用者に明確に認識され、飲料缶の独自性が利用者に強く印象づけられる。
【0009】
上記構成において、前記飲料缶の開封前において、前記押圧部は、前記香り口片上に配置されていてもよい。
上記構成によれば、飲み口よりも先に香り口を開口させるように、飲料缶の開封方法の誘導が可能である。香り口を先に開口することにより、利用者は、飲料を飲むことに先立って、飲料の香りを楽しむことが可能であり、また、飲み口を開ける動作を行っている最中にも、香り口からの香りを楽しむことができる。
【0010】
上記構成において、前記缶蓋は、前記飲料缶の開封前において、前記押圧部が前記香り口片上に配置される位置に前記タブを固定するための構造を有してもよい。
上記構成によれば、飲み口よりも先に香り口を開口させる開封方法の誘導が、より的確に可能である。
【0011】
上記構成において、前記飲料缶の開封後において、前記香り口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成された香り口の上に、前記タブの前記タブ孔が配置されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、利用者が飲み口から飲料を飲むとき、利用者の鼻とパネル部の香り口付近との間にタブの指掛部が配置される。そのため、香り口からの香りがタブ孔を通って利用者に届く一方で、香り口に利用者の鼻が入ることが抑えられるため、鼻と香り口との不用意な接触が抑えられる。
【0013】
上記構成において、前記香り口上に前記タブ孔が配置されるように前記パネル部と前記タブとを重ねて見た場合に、前記香り口は、前記タブ孔よりも大きく、かつ、前記タブの外縁からはみ出していなくてもよい。
【0014】
上記構成によれば、タブ孔内の全体が香り口と重なるため、飲料缶内の飲料の香りが香り口から利用者に届きやすくなるとともに、香り口がタブの外縁からはみ出していないため、鼻と香り口との不用意な接触が的確に抑えられる。
【0015】
上記構成において、前記飲み口片の大きさと前記香り口片の大きさとが互いに異なってもよい。
上記構成によれば、香り口の開口時に鳴る音と、飲み口の開口時に鳴る音との高さが異なるようになる。そのため、飲料缶の開封に際しての利用者の興趣が高められる。
【0016】
上記構成において、前記香り口片は、前記飲み口片よりも小さくてもよい。
上記構成によれば、飲み口よりも先に香り口を開ける場合に、開口に伴う音が、開口の順に高くなる。これにより、飲料缶から飲料を飲むことに対する利用者の期待感が高められ、利用者の興趣もより高められる。
【0017】
上記構成において、前記指掛部の幅は、前記指掛部における前記押圧部と反対側の端部に向けて大きくなってもよい。
上記構成によれば、指掛部の縁に指をかけることで、タブに回転ための力を加えやすくなる。したがって、タブを回転させるときに利用者にかかる負担の軽減が可能である。
【0018】
上記構成において、前記指掛部における前記押圧部と反対側の端部は、当該端部が前記パネル部から離れる方向に反り返っていてもよい。
上記構成によれば、指掛部に側方から指をかけやすくなるため、タブに回転ための力を加えやすくなる。したがって、タブを回転させるときに利用者にかかる負担の軽減が可能である。
【0019】
上記構成において、前記パネル部は、前記香り口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成される香り口と、前記飲み口片が前記飲料缶内に押し込まれることによって形成される飲み口との区別を示す表示、および、前記飲み口と前記香り口との開ける順番を示す表示の少なくとも一方を有してもよい。
【0020】
上記構成によれば、飲料缶から飲料を飲む方法や、飲料缶の開封方法を利用者が把握しやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、飲料の味わいを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】一実施形態の缶蓋が備える蓋板部の平面構造を示す図。
【
図3】一実施形態の缶蓋が備えるタブの平面構造を示す図。
【
図5】一実施形態の缶蓋の変形例の平面構造を示す図。
【
図6】一実施形態の缶蓋が備えるタブの側面構造を示す図。
【
図7】一実施形態の飲料缶において香り口が開口された状態を示す図。
【
図8】一実施形態の飲料缶においてタブが回転されている途中の状態を示す図。
【
図9】一実施形態の飲料缶においてタブが利用位置に配置された状態を示す図。
【
図10】一実施形態の飲料缶において飲み口が開口された状態を示す図。
【
図11】一実施形態の缶蓋の変形例の平面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、飲料缶および缶蓋の一実施形態を説明する。なお、以下の説明における上下方向は、飲料缶を水平面上に立てて静置した場合における上下方向である。
[飲料缶の全体構成]
図1が示すように、飲料缶10は、缶胴20と缶蓋30とを備えている。缶胴20は、円筒状の筒部21と、筒部21の下端を塞ぐ底部22とを備えている。缶蓋30は、ステイオンタブ式の缶蓋であり、筒部21の上端を塞ぐ蓋板部40と、蓋板部40に取り付けられたタブ60とを備えている。
【0024】
缶胴20および蓋板部40は、アルミニウムやスチール等の金属板から主に形成されている。タブ60もまた、蓋板部40と同様の金属から形成されている。飲料缶10は、3ピース缶であってもよいし、2ピース缶であってもよい。3ピース缶では、筒部21と底部22とが別々に形成された後、これらが接合されることによって缶胴20が形成される。2ピース缶では、筒部21と底部22とが一体に形成されている。缶胴20内への飲料の充填後に缶胴20に缶蓋30が組み付けられることにより、飲料缶10が形成される。
【0025】
飲料缶10に充填されている飲料の種類は特に限定されない。香りが味わいに強く作用する飲料は、本実施形態の飲料缶10に充填される飲料に適している。こうした飲料は、例えば、ビール、コーヒー、紅茶等である。
【0026】
[缶蓋の構成]
図2~
図6を参照して、缶蓋30の詳細な構成を説明する。
図2は、蓋板部40の平面構造を示す。蓋板部40は、円板状を有するパネル部41と、パネル部41の外周に位置する円環部42とを備えている。円環部42には、缶胴20に缶蓋30を取り付けるための構造が、カール加工等によって形成されている。
【0027】
パネル部41は、第1スコア部51によって区画された飲み口片53と、第2スコア部52によって区画された香り口片54とを備えている。飲み口片53および香り口片54の各々は、開口片の一例である。第1スコア部51および第2スコア部52の各々は、パネル部41の上面に形成された溝が延びる曲線状の部分である。
【0028】
パネル部41は、その中心に、パネル部41にタブ60を取り付けるための突部であるリベット57を備えている。香り口片54は、パネル部41の中心に対して、飲み口片53と反対側に位置する。言い換えれば、飲み口片53とリベット57と香り口片54とは、パネル部41の中心を通る1つの仮想的な直線A1上に並んでいる。そして、直線A1に直交する直線でパネル部41を二等分した一方の領域に飲み口片53が位置し、他方の領域に香り口片54が位置する。
【0029】
香り口片54は、飲み口片53よりも小さい。飲み口片53および香り口片54の形状は特に限定されず、飲み口片53および香り口片54は、例えば、略楕円形状や略円形状を有する。
【0030】
第1スコア部51で飲み口片53がパネル部41の他の部分から切り離されて、飲み口片53が飲料缶10の内部に押し込まれることにより、飲み口70が開口する。第2スコア部52の部分で香り口片54がパネル部41の他の部分から切り離されて、香り口片54が飲料缶10の内部に押し込まれることにより、香り口71が開口する。第1スコア部51および第2スコア部52の各々においては、
図2に示すように溝が二重の線状に延びていてもよいし、あるいは、溝が一本の線状に延びていてもよい。
【0031】
第1スコア部51の始端51aは、リベット57の付近に位置し、第1スコア部51の始端51aと終端51bとの間には隙間があいている。この始端51aと終端51bとの間の部分、言い換えれば、第1スコア部51が途切れている部分が、第1接続部55である。第1接続部55では、飲み口片53はパネル部41の他の部分から切り離されない。
【0032】
第2スコア部52の始端52aは、リベット57の付近に位置し、第2スコア部52の始端52aと終端52bとの間には隙間があいている。この始端52aと終端52bとの間の部分、言い換えれば、第2スコア部52が途切れている部分が、第2接続部56である。第2接続部56では、香り口片54はパネル部41の他の部分から切り離されない。
【0033】
第2接続部56は、上記直線A1に対し、第1接続部55と反対側に位置することが好ましい。言い換えれば、第1接続部55は、直線A1によって分けられる2つの領域の一方に位置し、第2接続部56は、上記2つの領域の他方に位置することが好ましい。これにより、飲み口70と香り口71とが開口されたときに、飲料缶10内に折れ下がる飲み口片53を支持する第1接続部55と、同様に飲料缶10内に折れ下がる香り口片54を支持する第2接続部56とが近接することが抑えられる。したがって、飲み口70と香り口71との開口後に、パネル部41の強度に極端なばらつきが生じることが抑えられる。
【0034】
なお、パネル部41には、パネル部41の剛性を高めるための構造が設けられていてもよい。こうした構造の一例は段差部58である。段差部58は、例えば、飲み口片53と香り口片54とを囲む環状に延びる。段差部58の内側の領域は、段差部58の外側の領域に対して窪んでいる。
【0035】
図3は、タブ60の平面構造を示す。タブ60は、パネル部41に留められる部分である取付部61を備えている。取付部61の中央部には、リベット57が通される取付孔62が形成されている。
【0036】
さらに、タブ60は、取付部61に繋がっている押圧部63と、取付部61に対して押圧部63と反対側に位置する指掛部64とを備えている。押圧部63は、タブ60の長さ方向における一方の端である第1端60aを含み、指掛部64は、タブ60の長さ方向における他方の端である第2端60bを含む。なお、長さ方向は、押圧部63と取付部61と指掛部64とが並ぶ方向であり、長さ方向と直交する方向が幅方向である。押圧部63は、飲み口70および香り口71を開口させる際に、飲み口片53および香り口片54を押圧する機能を有する。指掛部64は、飲み口70および香り口71を開口させる際に、飲料缶10の利用者の指が掛けられる部分である。
【0037】
押圧部63の形状は特に限定されない。押圧部63は、例えば、取付孔62の付近を中心とする略半円形状を有する。指掛部64と取付部61との間には、取付部61の外周に沿って延びる分離孔65が形成されている。分離孔65は、タブ60をその厚さ方向に貫通しており、分離孔65の部分で、指掛部64と取付部61とは分離されている。そして、取付部61の外側で、指掛部64と押圧部63とが繋がっている。
【0038】
分離孔65と第2端60bとの間で、指掛部64には、タブ孔66が形成されている。タブ孔66は、タブ60をその厚さ方向に貫通している。タブ孔66が形成されていることによって、利用者が指掛部64を摘まんだり引き起こしたりすることが容易となる。
【0039】
指掛部64における幅方向の大きさ、すなわち指掛部64の幅は、第2端60bに向けて徐々に大きくなっており、指掛部64の幅方向の両縁は、平面視にて曲線状に延びている。詳細には、指掛部64の幅は、第1端60aから第2端60bに向かう途中において、取付部61を越えた部分から徐々に広がる。これにより、タブ孔66の周囲においては、指掛部64は平面視にて略扇形形状を有する。そして、指掛部64の幅方向における一方の縁64aと他方の縁64bとの各々は、湾曲線状を有する。
【0040】
図4は、缶蓋30の平面構造を示す。パネル部41のリベット57が、タブ60の取付孔62に通され、リベット57の上部がかしめられることによって、タブ60がパネル部41に取り付けられている。したがって、指掛部64は、パネル部41の中心に対して押圧部63と反対側に配置される。
【0041】
飲料缶10の開封前、すなわち、飲み口70および香り口71が開口されていない状態においては、タブ60の押圧部63が含む第1端60aが、香り口片54と重なる向きに、タブ60が配置されている。このとき、タブ60の長さ方向は、飲み口片53とリベット57と香り口片54とが並ぶ方向に沿った方向とされ、指掛部64は、飲み口片53上に延びる。この押圧部63の第1端60aが香り口片54上に位置し、かつ、指掛部64が飲み口片53上に延びるタブ60の位置が、タブ60の初期位置である。
【0042】
タブ60は、少なくとも香り口71の開口後においてリベット57の周りに回転可能に、パネル部41に取り付けられている。好ましくは、飲料缶10の開封前においては、タブ60は初期位置に固定され、香り口71の開口後にタブ60の回転が可能となるとよい。そのため、缶蓋30は、飲料缶10の開封前においてタブ60を初期位置に固定するための構造を有していることが好ましい。
【0043】
例えば、
図5が示すように、飲み口片53上において指掛部64をその幅方向に沿って挟む位置に、突起59が設けられていてもよい。突起59は、飲料缶10の開封前、すなわち、タブ60がパネル部41の上面に沿って配置されているときには、タブ60の回転を規制する。具体的には、タブ60がリベット57を中心に回転しようとすると、指掛部64が突起59に引っ掛かるため、タブ60の回転が抑えられる。タブ60が一旦引き起こされた後は、飲料缶10の開封前と比較して、指掛部64はパネル部41の上面から離れた状態になるため、突起59に指掛部64が引っ掛かることなくタブ60の回転が可能である。
【0044】
あるいは、突起59は、タブ60が初期位置にあるときに、飲み口片53上において指掛部64と重なる位置に配置されていてもよい。タブ60の縁部は、タブ60を構成する金属板の端部が裏側に曲がり込む形状を有しているため、タブ60の裏面は段差を有している。突起59が指掛部64と重なる位置に設けられていると、この段差に突起59が引っ掛かることによって、タブ60の回転が抑えられる。この場合も、タブ60が一旦引き起こされた後は、突起59に指掛部64が引っ掛かることなくタブ60の回転が可能である。
【0045】
なお、飲料缶10の開封前においてタブ60を初期位置に固定するための構造は、上記例に限らない。また、例えば、飲料缶10の内部と外部との圧力の差に起因して、飲料缶10の開封前におけるタブ60の回転が抑えられてもよい。
【0046】
図6は、タブ60の側面構造を、蓋板部40および缶胴20の外形と共に示す。指掛部64における第2端60bを含む端部は、当該端部がパネル部41の上面から離れる方向に反り返っている。詳細には、タブ60は、第1端60aからパネル部41の上面に沿って延び、タブ孔66の側方で上方に向かって折れ曲がっている。
【0047】
タブ60の上端、すなわち第2端60bは、上下方向において、蓋板部40の上端よりも上方に突出していないことが好ましい。これにより、飲料缶10の輸送時や保管時に複数の飲料缶10を積み重ねる場合に、タブ60が邪魔になることが抑えられる。なお、蓋板部40においては、円環部42から窪んだ位置にパネル部41が位置しており、蓋板部40の上端は、すなわち、円環部42の上端である。
【0048】
[飲料缶の使用方法]
図7~
図10を参照して、飲料缶10の開封方法および飲料缶10から飲料を飲む方法を説明するとともに、本実施形態の飲料缶10の作用を説明する。
【0049】
飲料缶10の開封に際して、飲料缶10の利用者は、まず、初期位置にあるタブ60の指掛部64に指をかけて、タブ60を引き起こす。これにより、タブ60は、取付部61と押圧部63との境界部分で折れ曲がり、指掛部64がパネル部41から離れるように引き起こされる。これに伴い、押圧部63の第1端60a付近が香り口片54を押圧する。指掛部64の端部が反り返っていることにより、タブ60の引き起こしが容易に可能である。
【0050】
タブ60による押圧の結果、第2スコア部52の部分で香り口片54がパネル部41の他の部分から切り離されて、香り口片54が飲料缶10の内部に押し込まれる。これにより、
図7が示すように、香り口71が開口する。
【0051】
続いて、利用者は、タブ60の第1端60aが香り口71の内部に入り込まない角度まで、タブ60を再び倒し、
図8に示すように、リベット57を軸として、タブ60を回転させる。回転は右回りであっても左回りであってもよい。このとき、指掛部64の幅が第2端60bにむけて広がっているため、その縁64a,64bのいずれかに指をかければ、タブ60に回転ための力を加えやすい。特に、縁64a,64bが湾曲線状であるため、縁64a,64bに指を沿わせてタブ60に力をかけやすい。
【0052】
また、指掛部64の端部が反り返っていることにより、指掛部64に側方から指をかけやすくなるため、これによっても、タブ60に回転ための力を加えやすくなる。さらに、指掛部64の反り返った端部に指をかければ、タブ60を回転させる際に指と香り口71の縁とが近接することが抑えられるため、指が不用意に香り口71の縁に接触することが抑えられるとともに、指と香り口71の縁との近接に起因して利用者に恐怖感が生じることも抑えられる。
【0053】
図9が示すように、タブ60は、初期位置に対して180°回転される。この初期位置からタブ60が180°回転した位置が、タブ60の利用位置である。利用位置において、押圧部63が含む第1端60aは、飲み口片53上に位置し、指掛部64は、香り口71上に延びる。
【0054】
続いて、利用者は、利用位置にあるタブ60の指掛部64に指をかけて、タブ60を引き起こす。これにより、押圧部63の第1端60a付近が飲み口片53を押圧する。その結果、第1スコア部51の部分で飲み口片53がパネル部41の他の部分から切り離されて、飲み口片53が飲料缶10の内部に押し込まれ、
図10が示すように、飲み口70が開口する。そして、タブ60を再び倒すことにより、飲料缶10の開封が完了する。このとき、タブ60は利用位置にあり、香り口71上にはタブ孔66が位置する。
【0055】
利用者は、
図10が示すように、飲み口70および香り口71が開口され、かつ、タブ60が利用位置に位置する状態で、飲み口70から、飲料缶10内の飲料を飲む。このとき、利用者の鼻の前には、タブ孔66を挟んで、香り口71が配置される。したがって、香り口71を通じて、飲料缶10内の飲料の香りが利用者に感知されやすくなる。香りをかぎながら飲料を飲むことによって、飲料の味わいが高められる。
【0056】
また、利用者が飲み口70から飲料を飲んでいるときには、飲み口70の上方に香り口71が配置されるため、香り口71から飲料が出ることが抑えられる。それゆえ、香りを通すための孔としての香り口71の機能が的確に発揮される。
【0057】
ここで、
図10が示すように、利用位置に配置されているタブ60と香り口71とを重ねて見た場合に、香り口71は、タブ60のタブ孔66よりも大きく、かつ、タブ60の外縁からはみ出していないことが好ましい。これにより、タブ孔66内の全体が香り口71と重なるため、飲料缶10内の飲料の香りが香り口71から利用者に届きやすくなるとともに、香り口71の縁が利用者の鼻に不用意に接触することが抑えられる。
【0058】
本実施形態では、香り口71が開けられた後に、飲み口70が開けられる。したがって、利用者は、飲料を飲むことに先立って、飲料の香りを楽しむことが可能であり、また、飲み口70を開ける動作を行っている最中にも、香り口71からの香りを楽しむことができる。
【0059】
また、飲み口70および香り口71の開口時には、音が発生する。すなわち、飲料缶10の開封時には、香り口71の開口時と飲み口70の開口時との2回、音が鳴る。そのため、従来のように飲み口70のみが開口される場合との違いが、利用者の視覚および嗅覚だけでなく、聴覚によっても認識される。それゆえ、従来のとの違いが利用者に明確に認識され、飲料缶10の独自性が利用者に強く印象づけられる。
【0060】
さらに、開口時に発生する音は、開口が大きいほど高くなる。飲み口70は香り口71よりも大きいため、1回目の開口である香り口71の開口時には、相対的に低い音が鳴り、2回目の開口である飲み口70の開口時には、相対的に高い音が鳴る。このように、開口に伴う音が、開口の順に高くなることによって、飲料缶10から飲料を飲むことに対する利用者の期待感が高められ、飲料缶10の利用における興趣も高められる。
【0061】
なお、パネル部41は、飲み口70と香り口71との区別を示す表示、および、飲み口70と香り口71との開ける順番を示す表示の少なくとも一方を有していてもよい。こうした表示は、文字、数字、矢印等の記号、絵柄等を含む。表示は、例えば、パネル部41に形成された凸部や溝から構成される。飲み口70と香り口71との区別を示す表示が設けられることで、飲料缶10から飲料を飲む方法を利用者が把握しやすくなる。飲み口70と香り口71との開ける順番を示す表示が設けられることで、飲料缶10の開封方法を利用者が把握しやすくなる。また、こうした表示には、視覚障害者のための点字等による表示が含まれてもよい。
【0062】
図11は、上記表示の一例を有する缶蓋30を示す。
図11に示す例では、飲み口片53上に、口の絵柄を示す表示80が設けられ、香り口片54上に、鼻の絵柄を示す表示81が設けられている。これらの表示80,81は、飲み口70と香り口71との区別を示す表示である。タブ60が初期位置にある場合に、飲み口片53上の表示80は、タブ孔66を通して視認可能な位置に配置されている。これにより、利用者は、飲み口70が口を近づけて飲料を飲むための開口であり、香り口71が鼻を近づけて香りを嗅ぐための開口であることを、直感的に把握できる。
【0063】
また、段差部58の外側において、飲み口片53の側方に、点字および文字で酒であることを示す表示82が設けられ、香り口片54の側方に、点字および文字で香りであることを示す表示83が設けられている。これらの表示82,83も、飲み口70と香り口71との区別を示す表示である。これにより、視覚障害者を含めた利用者は、飲み口70が酒の放出のための開口であり、香り口71が香りの放出のための開口であることを、容易に把握できる。なお、酒であることを示す表示82は、飲料缶10の内容物にアルコールが含まれることを利用者に対して示す表示としても機能する。
【0064】
また、段差部58の外側において、表示82,83と反対側には、飲み口70と香り口71との開ける順番を示す表示84が設けられている。この表示84は、飲み口片53の側方と香り口片54の側方との各々で「OPEN」という文字およびタブ60を引き起こす順番を表す数字を示すとともに、これらの文字および数字の間で、タブ60の回転方向を表す矢印を示している。これにより、利用者は、飲み口70と香り口71との開ける順番を容易に把握できるとともに、飲み口70に続けて香り口71を開けるための操作、すなわち、タブ60を回転させる操作を容易に把握できる。
【0065】
なお、缶蓋30は、利用位置からのタブ60の回転を抑えるための構造を有していてもよい。例えば、タブ60の回転方向が、右回りもしくは左回りのいずれかに定められ、定められた方向にタブ60が初期位置から180°を越えて回転することが抑えられるように、利用位置での指掛部64に対して回転方向の先に位置する突起がパネル部41に設けられていてもよい。
【0066】
また、飲料缶10からグラス等の容器に、飲料缶10内の飲料が注がれてもよい。このとき、香り口71は、飲料缶10の内部に空気が入る孔として機能する。香り口71から飲料缶10内に空気が入ることにより、飲み口70から飲料が出やすくなるため、飲料缶10から容器へ飲料を円滑に注ぐことができる。また、従来のように、飲み口70を飲料の流出口かつ空気の取入口として機能させる場合と比較して、香り口71の利用により飲料缶10内に入る空気の量が安定しやすいため、飲料の注ぎ出しから注ぎ終わりまで、飲み口70から流れ出る飲料の流量を一定に保ちやすい。そのため、飲料の流量の急な変化により容器内で飲料が跳ね返ることを抑えることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の飲料缶10および缶蓋30によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)パネル部41が、飲み口片53と香り口片54とを有し、タブ60が、押圧部63が香り口片54上に配置される初期位置と、押圧部63が飲み口片53上に配置される利用位置との間で、回転可能にパネル部41に取り付けられている。こうした構成によれば、飲料缶10の開封時には、タブ60の引き起こしおよび回転に基づき、飲み口70と香り口71とが開口される。そのため、利用者が飲み口70から飲料を飲むとき、利用者の鼻の前には、香り口71が配置される。したがって、利用者が飲料を飲んでいるときに、香り口71を通じて、飲料缶10内の飲料の香りが利用者に届きやすくなるため、飲料の味わいが高められる。
【0068】
(2)飲料缶10の開封前において、タブ60が初期位置に位置し、押圧部63が香り口片54上に配置される。これにより、飲み口70よりも先に香り口71を開口させるように、飲料缶10の開封方法の誘導が可能である。香り口71を先に開口することで、利用者は、飲料を飲むことに先立って、飲料の香りを楽しむことが可能であり、また、飲み口70を開ける動作を行っている最中にも、香り口71からの香りを楽しむことができる。
【0069】
さらに、缶蓋30が、飲料缶10の開封前において、初期位置にタブ60を固定するための構造を有していれば、飲み口70よりも先に香り口71を開口させる開封方法の誘導がより的確に可能であり、開封が円滑に進められる。
【0070】
(3)飲料缶10の開封後において、タブ60が利用位置に位置し、香り口71の上に、タブ孔66が配置される。これにより、利用者が飲み口70から飲料を飲むとき、利用者の鼻とパネル部41の香り口71付近との間にタブ60の指掛部64が配置される。そのため、香り口71からの香りがタブ孔66を通って利用者に届く一方で、香り口71に利用者の鼻が入ることが抑えられるため、鼻と香り口71の縁との不用意な接触が抑えられる。
【0071】
(4)飲料缶10の開封後、タブ60が利用位置に位置するとき、パネル部41とタブ60とを重ねて見た場合に、香り口71は、タブ孔66よりも大きく、かつ、タブ60の外縁からはみ出していない。こうした構成によれば、タブ孔66内の全体が香り口71と重なるため、飲料缶10内の飲料の香りが香り口71から利用者に届きやすくなるとともに、香り口71がタブ60の外縁からはみ出していないため、鼻と香り口71との不用意な接触が的確に抑えられる。
【0072】
(5)香り口71の開口時と飲み口70の開口時とで、2回音が鳴る。そのため、従来のように飲み口70のみが開口される場合との違いが、利用者の視覚および嗅覚だけでなく、聴覚によっても認識される。したがって、従来のとの違いが利用者に明確に認識され、飲料缶10の独自性が利用者に強く印象づけられる。
【0073】
(6)飲み口片53の大きさと香り口片54との大きさが互いに異なることにより、香り口71の開口時に鳴る音と、飲み口70の開口時に鳴る音との高さが異なるようになる。そのため、飲料缶10の開封に際しての利用者の興趣が高められる。
【0074】
さらに、香り口片54が飲み口片53よりも小さいことにより、香り口71から飲み口70の順に開ける場合に、開口に伴う音が、開口の順に高くなる。これにより、飲料缶10から飲料を飲むことに対する利用者の期待感が高められ、利用者の興趣もより高められる。
【0075】
(7)タブ60における指掛部64の幅が、第2端60bに向けて、すなわち、指掛部64における押圧部63と反対側の端部に向けて、大きくなる。こうした構成によれば、指掛部64の縁に指をかけることで、タブ60に回転ための力を加えやすくなる。したがって、タブ60を回転させるときに利用者にかかる負担の軽減が可能であり、爪の長い女性、あるいは、力の弱い子供や高齢者等であっても、飲料缶10を開封しやすくなる。
【0076】
(8)指掛部64における押圧部63と反対側の端部が、当該端部がパネル部41から離れる方向に反り返っている。こうした構成によれば、指掛部64に側方から指をかけやすくなるため、タブ60に回転ための力を加えやすくなる。さらに、指掛部64の反り返った端部に指をかければ、タブ60を回転させる際に指と香り口71の縁とが近接することが抑えられるため、指が不用意に香り口71の縁に接触することが抑えられ、また、利用者の恐怖感が軽減される。
【0077】
(9)パネル部41が、飲み口70と香り口71との区別を示す表示を有していることにより、飲料缶10から飲料を飲む方法を利用者が把握しやすくなる。また、パネル部41が、飲み口70と香り口71との開ける順番を示す表示を有していることにより、飲料缶10の開封方法を利用者が把握しやすくなる。
【0078】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。なお、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0079】
・タブ60における指掛部64の形状は、上記実施形態と異なってもよい。例えば、指掛部64の幅は一定であってもよいし、指掛部64の縁64a,64bは、直線状あるいは折れ線状であってもよい。また、指掛部64の端部は反り返っておらず、タブ60の全体が1つの平面に沿って延びていてもよい。
【0080】
・パネル部41が、飲み口片53と香り口片54とを有していれば、飲み口片53と香り口片54との大きさの関係は上記実施形態と異なっていてもよい。例えば、飲み口片53と香り口片54との大きさが同じである場合や、飲み口片53よりも香り口片54の方が大きい場合であっても、上記(1)~(5),(7)~(9)の効果は得られる。
【0081】
・飲み口70と香り口71との開口の順番は、上記実施形態と異なってもよい。また、飲料缶10の開封前や開封後におけるタブ60の位置も、上記実施形態と異なっていてもよい。開口の順番やタブ60の位置に関わらず、飲料缶10の開封に際して飲み口70と香り口71との2つの開口が形成されれば、上記(1)の効果は得られる。
【符号の説明】
【0082】
10…飲料缶
20…缶胴
30…缶蓋
40…蓋板部
41…パネル部
42…円環部
51…第1スコア部
52…第2スコア部
53…飲み口片
54…香り口片
57…リベット
59…突起
60…タブ
61…取付部
63…押圧部
64…指掛部
66…タブ孔
70…飲み口
71…香り口