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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062521
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】油圧エレベーターの油漏れ検出装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 9/04 20060101AFI20220413BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B66B9/04 H
B66B5/02 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170593
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】奈良井 辰馬
【テーマコード(参考)】
3F301
3F304
【Fターム(参考)】
3F301BA01
3F301BB14
3F301CA11
3F304BA07
3F304EA03
3F304EA31
3F304EB18
(57)【要約】
【課題】油漏れ流量を測定することができる油圧エレベーターの油漏れ検出装置を得る。
【解決手段】油圧エレベーターの油漏れ検出装置9は、油圧エレベーターのメカニカルシール114から漏れてメカニカルシール114よりも下方にある油漏れ検出空間115を通る作動油を検出する油検出装置91Aと、油検出装置91Aの検出結果を用いて、油漏れ検出空間115を通る作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量を算出する油漏れ流量算出装置92Aと、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所から漏れて前記油漏れ検出対象箇所よりも下方にある油漏れ検出空間を通る作動油を検出する油検出装置と、
前記油検出装置の検出結果を用いて、前記油漏れ検出空間を通る前記作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量を算出する油漏れ流量算出装置と、
を備えている油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【請求項2】
前記油検出装置は、前記油漏れ検出空間を通る滴状の前記作動油を検出し、
前記油漏れ流量算出装置は、前記油検出装置が滴状の前記作動油を検出した単位時間当たりの回数を用いて、前記油漏れ流量を算出する請求項1に記載の油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【請求項3】
前記油漏れ流量算出装置によって算出された前記油漏れ流量が予め設定された流量に達したか否かを判定する流量判定装置をさらに備えている請求項1または請求項2に記載の油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【請求項4】
前記油検出装置が前記作動油を検出した時間を用いて、前記油漏れ検出空間を通る前記作動油の形状が糸状であるか否かを判定する油形状判定装置をさらに備えている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【請求項5】
前記油検出装置は、前記油漏れ検出空間を通る光を出す投光装置と、前記油漏れ検出空間を通過した光を受ける受光装置と、を有し、
前記作動油が前記油漏れ検出空間を通る場合に、前記油漏れ検出空間を通る光が前記作動油によって遮られる請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【請求項6】
前記油検出装置は、前記油漏れ検出空間を撮影するカメラと、前記カメラによって撮影された前記油漏れ検出空間の画像に含まれる前記作動油の画像を検出する油画像検出装置と、を有している請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の油圧エレベーターの油漏れ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧エレベーターの油漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油受け皿と、油検出装置と、油漏れ発報装置と、を備えた油圧エレベーターの油漏れ検出装置が知られている。油受け皿は、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所よりも下方に設けられる。油受け皿には、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所から漏れた作動油が溜められる。油検出装置は、予め設定された量の作動油が油受け皿に溜められたことを検出する。予め設定された量の作動油が油受け皿に溜められたことを油検出装置が検出した場合に、油漏れ発報装置は、油受け皿に溜まった作動油の廃棄処理をすべきことを示す情報を外部に出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-095422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の油圧エレベーターの油漏れ検出装置では、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所から漏れる作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量が測定されない。したがって、油漏れ流量が多い場合には、廃棄処理をすべきことを示す情報が外部に出力された後であって、油受け皿に溜まった作動油の廃棄処理が行われる前に、油受け皿から作動油が溢れ出てしまうおそれがあるという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、油漏れ流量を測定することができる油圧エレベーターの油漏れ検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置は、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所から漏れて油漏れ検出対象箇所よりも下方にある油漏れ検出空間を通る作動油を検出する油検出装置と、油検出装置の検出結果を用いて、油漏れ検出空間を通る作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量を算出する油漏れ流量算出装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置によれば、油漏れ流量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置が設置される油圧エレベーターを示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置が設置された油圧エレベーターの要部を示す拡大図である。
図3図2の油圧エレベーターの要部を示す平面図である。
図4図2の油圧エレベーターの要部を示す側面図である。
図5】実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置を示すブロック図である。
図6】実施の形態2に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置を示すブロック図である。
図7図6の油漏れ検出装置が設置された油圧エレベーターの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置が設置される油圧エレベーターを示す構成図である。油圧エレベーターは、油圧パワーユニット1と、エレベーター制御盤2と、油圧ジャッキ3と、かご4と、第1油圧配管5と、を備えている。
【0010】
油圧パワーユニット1およびエレベーター制御盤2は、建物内の機械室6に設置されている。油圧ジャッキ3およびかご4は、建物内の昇降路7に設置されている。第1油圧配管5は、油圧パワーユニット1と油圧ジャッキ3とに渡って設けられている。
【0011】
油圧パワーユニット1は、油圧ポンプ11と、電動機12と、を有している。電動機12の駆動は、エレベーター制御盤2によって制御される。油圧ポンプ11には、図示しないタンクが接続されている。タンクには、作動油が溜められている。電動機12が駆動することによって、油圧ポンプ11が駆動する。油圧ポンプ11が駆動することによって、タンクに溜められている作動油が、油圧ポンプ11を通って第1油圧配管5に送られる。
【0012】
油圧ジャッキ3は、プランジャ31と、シリンダ32と、を有している。プランジャ31は、かご4に連結されている。かご4は、プランジャ31に支持されている。プランジャ31は、シリンダ32に支持されている。シリンダ32は、プランジャ31を上下方向に移動させる。シリンダ32には、油圧ポンプ11から第1油圧配管5を通った作動油が送られる。プランジャ31は、シリンダ32に送られた作動油によって駆動する。したがって、油圧ポンプ11が駆動することによって、プランジャ31が駆動し、かご4が上下方向に移動する。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置が設置された油圧エレベーターの要部を示す拡大図である。図3は、図2の油圧エレベーターの要部を示す平面図である。図4は、図2の油圧エレベーターの要部を示す側面図である。
【0014】
油圧ポンプ11は、油圧ポンプ本体111と、回転軸112と、プーリ113と、を含んでいる。回転軸112は、油圧ポンプ本体111に接続されている。プーリ113は、回転軸112に接続されている。プーリ113が回転することによって、回転軸112が回転する。回転軸112が回転することによって、油圧ポンプ本体111が駆動する。
【0015】
油圧パワーユニット1は、油圧ポンプ本体111とタンクとに渡って設けられた第2油圧配管13をさらに有している。油圧ポンプ本体111が駆動することによって、タンクに溜められている作動油が、第2油圧配管13および油圧ポンプ本体111を通って第1油圧配管5に送られる。
【0016】
油圧パワーユニット1は、電動機12とプーリ113とに渡って巻き掛けられたベルト14をさらに有している。電動機12の駆動によって発生する回転力は、ベルト14を介してプーリ113に伝達される。電動機12に発生した回転力がプーリ113に伝達されることによって、プーリ113が回転する。したがって、電動機12が駆動することによって、油圧ポンプ本体111が駆動する。
【0017】
油圧ポンプ11は、メカニカルシール114をさらに含んでいる。メカニカルシール114は、油圧ポンプ本体111と回転軸112との間に設けられている。メカニカルシール114によって、油圧ポンプ本体111と回転軸112との間から作動油が漏れることが抑制されている。
【0018】
油圧エレベーターが長期間に渡って駆動することによって、メカニカルシール114から作動油が漏れる。メカニカルシール114から漏れる作動油の量が予め設定された量に達した場合には、メカニカルシール114を交換する必要がある。また、メカニカルシール114から漏れる作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量が予め設定された流量に達した場合にも、メカニカルシール114を交換する必要がある。この例では、メカニカルシール114から漏れる作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量が予め設定された流量に達する場合について説明する。
【0019】
メカニカルシール114は、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所となっている。
【0020】
油圧パワーユニット1は、油圧ポンプ11および電動機12を支持する取付台15をさらに有している。取付台15は、機械室6に固定されている。取付台15は、磁石によって磁化する材料から構成されている。取付台15を構成する材料としては、例えば、鉄が挙げられる。
【0021】
油圧エレベーターは、油受け皿8をさらに備えている。油受け皿8は、メカニカルシール114よりも下方に配置されている。油受け皿8は、上方から見た場合に、メカニカルシール114に重なるように配置されている。したがって、メカニカルシール114から漏れた作動油は、油受け皿8に溜められる。油受け皿8は、図示しない磁石を有している。油受け皿8の磁石の磁力を用いて、油受け皿8が取付台15に固定されている。
【0022】
図5は、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置を示すブロック図である。油圧エレベーターは、油漏れ検出装置9をさらに備えている。油漏れ検出装置9は、油検出装置91Aと、油漏れ流量算出装置92Aと、流量判定装置93と、油形状判定装置94Aと、油漏れ発報装置95と、を有している。
【0023】
図4に示すように、油検出装置91Aは、メカニカルシール114よりも下方に配置されている。油検出装置91Aは、メカニカルシール114から漏れた作動油が通る空間である油漏れ検出空間115を通る作動油を検出する。
【0024】
油検出装置91Aは、投光装置911と、受光装置912と、を有している。投光装置911および受光装置912は、互いに対向するように配置されている。投光装置911および受光装置912の間には、油漏れ検出空間115が配置されている。
【0025】
投光装置911は、油漏れ検出空間115を通る光を出す。受光装置912は、油漏れ検出空間115を通過した光を受ける。作動油が油漏れ検出空間115を通らない場合には、受光装置912が油漏れ検出空間115を通過した光を受ける。一方、作動油が油漏れ検出空間115を通る場合には、油漏れ検出空間115を通る光が作動油によって遮られる。この場合、投光装置911から出た光は、受光装置912に届かない。油検出装置91Aは、作動油が油漏れ検出空間115を通る場合に、油漏れ検出空間115を通る光が作動油に遮られることによって、油漏れ検出空間115を通る作動油を検出する。
【0026】
図5に示すように、油検出装置91Aの検出結果は、油漏れ流量算出装置92Aに入力される。油漏れ流量算出装置92Aは、油検出装置91Aの検出結果を用いて、油漏れ検出空間115を通る作動油の油漏れ流量を算出する。具体的には、油漏れ流量算出装置92Aは、受光装置912が受ける光が作動油によって遮られた単位時間当たりの回数を用いて、油漏れ流量を算出する。
【0027】
作動油がメカニカルシール114から滴下する場合に、滴状の作動油の1滴あたりの量は、0.07(ml)程度である。したがって、受光装置912が受ける光が作動油によって遮られた単位時間当たりの回数を用いて、油漏れ流量を算出することができる。
【0028】
油漏れ流量算出装置92Aの算出結果は、流量判定装置93に入力される。流量判定装置93は、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が予め設定された流量に達したか否かを判定する。具体的には、流量判定装置93は、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された単位時間当たりの回数が予め設定された回数に達したか否かに基づいて、油漏れ流量が予め設定された流量に達したか否かを判定する。
【0029】
流量判定装置93に予め設定されている回数は、42となっている。言い換えれば、流量判定装置93は、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が3(ml/h)に達したか否かを判定する。
【0030】
流量判定装置93に設定される回数は、任意に変更可能となっている。作動油の粘度に対応して、流量判定装置93に設定される回数が変更される。
【0031】
また、油検出装置91Aの検出結果は、油形状判定装置94Aに入力される。油形状判定装置94Aは、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であるか否かを判定する。具体的には、油形状判定装置94Aは、油検出装置91Aが検出した時間を用いて、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であるか否かを判定する。油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が滴状である場合には、油検出装置91Aが検出する時間は、断続的となる。一方、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状である場合には、油検出装置91Aが検出する時間は、連続的となる。
【0032】
油形状判定装置94Aには、第1時間が予め設定されている。油形状判定装置94Aは、油検出装置91Aが検出する時間が第1時間よりも長い場合には、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であると判定する。一方、油検出装置91Aが検出する時間が第1時間以下である場合には、油形状判定装置94Aは、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状ではないとは判定する。言い換えれば、油形状判定装置94Aは、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が滴状であると判定する。
【0033】
油形状判定装置94Aに設定される第1時間は、任意に変更可能となっている。作動油の粘度に対応して、油形状判定装置94Aに設定される第1時間が変更される。
【0034】
流量判定装置93の判定結果は、油漏れ発報装置95に入力される。油漏れ流量が予め設定された流量に達したと流量判定装置93が判定した場合に、油漏れ発報装置95は、かご4の昇降を停止させる信号をエレベーター制御盤2に出力する。また、油漏れ流量が予め設定された流量に達したと流量判定装置93が判定した場合に、油漏れ発報装置95は、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を外部である図示しない情報センタに出力する。
【0035】
油形状判定装置94Aの判定結果は、油漏れ発報装置95に入力される。油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であると油形状判定装置94Aが判定した場合に、油漏れ発報装置95は、かご4の昇降を停止させる信号をエレベーター制御盤2に出力する。また、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であると油形状判定装置94Aが判定した場合に、油漏れ発報装置95は、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を情報センタに出力する。
【0036】
次に、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9の動作について説明する。メカニカルシール114から作動油が漏れて、メカニカルシール114から作動油が滴下すると、作動油が油漏れ検出空間115を通る。これにより、油検出装置91Aは、油漏れ検出空間115を通る作動油を検出する。
【0037】
油検出装置91Aの検出結果は、油漏れ流量算出装置92Aおよび油形状判定装置94Aに入力される。油漏れ流量算出装置92Aは、油検出装置91Aの検出結果を用いて、油漏れ検出空間115を通る作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量を算出する。油漏れ流量算出装置92Aの算出結果は、流量判定装置93に入力される。
【0038】
流量判定装置93は、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が予め設定された流量に達したか否かを判定する。流量判定装置93の判定結果は、油漏れ発報装置95に入力される。
【0039】
油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が予め設定された流量に達したと流量判定装置93が判定した場合に、油漏れ発報装置95は、かご4の昇降を停止させる信号をエレベーター制御盤2に出力する。また、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が予め設定された流量に達したと流量判定装置93が判定した場合に、油漏れ発報装置95は、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を情報センタに出力する。
【0040】
油形状判定装置94Aは、油検出装置91Aの検出結果を用いて、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であるか否かを判定する。油形状判定装置94Aの判定結果は、油漏れ発報装置95に入力される。油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であると油形状判定装置94Aが判定する場合に、油漏れ発報装置95は、かご4の昇降を停止させる信号をエレベーター制御盤2に出力する。また、油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であると油形状判定装置94Aが判定する場合に、油漏れ発報装置95は、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を情報センタに出力する。
【0041】
以上説明したように、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9は、油検出装置91Aと、油漏れ流量算出装置92Aと、を備えている。油検出装置91Aは、メカニカルシール114から漏れて油漏れ検出空間115を通る作動油を検出する。油漏れ流量算出装置92Aは、油検出装置91Aの検出結果を用いて、油漏れ検出空間115における作動油の油漏れ流量を算出する。この構成によれば、油圧エレベーターの油漏れ検出装置9は、メカニカルシール114から漏れる作動油の油漏れ流量を測定することができる。これにより、メカニカルシール114から漏れる作動油の油漏れ流量に対応して、油圧エレベーターを停止させることができ、また、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を情報センタに出力することができる。
【0042】
また、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9は、流量判定装置93を備えている。流量判定装置93は、油漏れ流量算出装置92Aによって算出された油漏れ流量が予め設定された流量に達したか否かを判定する。これにより、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報が外部に出力された後であって、油受け皿8に溜まった作動油の廃棄処理が行われる前に、油受け皿8から作動油が溢れ出てしまうことを抑制することができる。
【0043】
また、実施の形態1に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9は、油形状判定装置94Aを備えている。油形状判定装置94Aは、油漏れ検出空間115における作動油の形状が糸状であるか否かを判定する。これにより、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報が外部に出力された後であって、油受け皿8に溜まった作動油の廃棄処理が行われる前に、油受け皿8から作動油が溢れ出てしまうことを抑制することができる。
【0044】
また、油検出装置91Aは、投光装置911と、受光装置912と、を有している。投光装置911は、油漏れ検出空間115を通る光を出す。受光装置912は、油漏れ検出空間115を通過した光を受ける。油漏れ流量算出装置92Aは、受光装置912が受ける光が作動油によって遮られた単位時間当たりの回数を用いて、メカニカルシール114から漏れた作動油の油漏れ流量を算出する。これにより、油漏れ流量算出装置92Aの構成を簡素化することができる。
【0045】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置を示すブロック図である。図7は、図6の油漏れ検出装置9が設置された油圧エレベーターの要部を示す図である。実施の形態2に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9では、油検出装置91Bは、カメラ913と、油画像検出装置914と、を有している。
【0046】
カメラ913は、油漏れ検出空間115を撮影する。カメラ913によって撮影された油漏れ検出空間115の画像は、油画像検出装置914に入力される。
【0047】
油画像検出装置914は、カメラ913によって撮影された油漏れ検出空間115の画像に含まれる作動油の画像を検出する。油画像検出装置914の検出結果は、油漏れ流量算出装置92Bおよび油形状判定装置94Bに入力される。
【0048】
油漏れ流量算出装置92Bは、油画像検出装置914の検出結果を用いて油漏れ検出空間115を滴下した単位時間当たりの作動油の数を算出する。また、油漏れ流量算出装置92Bは、算出された単位時間当たりの作動油の数を用いて、メカニカルシール114から漏れた作動油の油漏れ流量を算出する。
【0049】
油形状判定装置94Bは、油画像検出装置914の検出結果を用いて油漏れ検出空間115を通る作動油の形状が糸状であるか否かを判定する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0050】
以上説明したように、実施の形態2に係る油圧エレベーターの油漏れ検出装置9では、油検出装置91Bは、油漏れ検出空間115を撮影するカメラ913と、油画像検出装置914と、を有している。油画像検出装置914は、カメラ913によって撮影された油漏れ検出空間115の画像に含まれる作動油の画像を検出する。油漏れ流量算出装置92Bは、油画像検出装置914の検出結果を用いて油漏れ検出空間115を通過した単位時間当たりの作動油の滴の数を算出する。また、油漏れ流量算出装置92Bは、算出された単位時間当たりの作動油の滴の数を用いて油漏れ流量を算出する。この構成によれば、油検出装置91Bの構成を簡素化することができ、また、油漏れ流量算出装置92Bの構成を簡素化することができる。
【0051】
なお、各実施の形態では、油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所として、メカニカルシール114を例に説明した。しかしながら、メカニカルシール114以外の油圧エレベーターの部分が油圧エレベーターの油漏れ検出対象箇所であってもよい。
【0052】
また、各実施の形態では、メカニカルシール114から漏れる作動油の単位時間当たりの量である油漏れ流量を測定する構成について説明したが、メカニカルシール114から漏れる作動油の量を測定する構成をさらに備えてもよい。これにより、メカニカルシール114から漏れる作動油の量に対応して、油圧エレベーターを停止させることができ、また、メカニカルシール114を交換する必要があることを示す情報を情報センタに出力することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 油圧パワーユニット、2 エレベーター制御盤、3 油圧ジャッキ、4 かご、5 第1油圧配管、6 機械室、7 昇降路、8 油受け皿、9 油漏れ検出装置、11 油圧ポンプ、12 電動機、13 第2油圧配管、14 ベルト、15 取付台、31 プランジャ、32 シリンダ、91A、91B 油検出装置、92A、92B 油漏れ流量算出装置、93 流量判定装置、94A、94B 油形状判定装置、95 油漏れ発報装置、111 油圧ポンプ本体、112 回転軸、113 プーリ、114 メカニカルシール、115 油漏れ検出空間、911 投光装置、912 受光装置、913 カメラ、914 油画像検出装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7