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特開2022-62533体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062533
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20220413BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20220413BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220413BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
G05B19/18 W
B23Q11/00 D
B23Q17/00 A
B23Q17/00 E
A61B5/01 100
A61B5/01 350
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170612
(22)【出願日】2020-10-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104537
【氏名又は名称】キタムラ機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】北村 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】北村 耕作
(72)【発明者】
【氏名】棚田 敏久
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C269
4C117
【Fターム(参考)】
3C011AA14
3C011AA15
3C029EE20
3C029FF00
3C029FF03
3C269AB31
3C269BB05
3C269BB11
3C269MN09
3C269MN28
3C269MN47
3C269MN50
3C269PP02
3C269PP03
3C269QC01
3C269QC02
3C269QC03
3C269QC06
3C269QD02
3C269QE21
3C269QE26
3C269QE37
4C117XA07
4C117XB01
4C117XB06
4C117XB07
4C117XC01
4C117XD04
4C117XE23
4C117XE43
4C117XE48
4C117XE56
4C117XG01
4C117XG03
4C117XG18
4C117XG19
4C117XG23
4C117XJ13
4C117XJ27
4C117XJ43
4C117XJ48
4C117XK38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作者の体温測定で体調判断を行い、不適切時に作業開始を規制するNC操作盤を提供する。
【解決手段】操作盤1の前面に可視域画像カメラと赤外線検出カメラとを備え、記憶部に予め登録された操作者リストと、顔画像ファイルと、工作機械ユーザの体温データベース及び体温管理ユーザの体温データベースとが収納されている体温管理ファイルと、を有し、制御部は、可視域画像カメラの操作者の顔画像データを顔画像ファイルのデータ群と比較して操作者を識別する顔認証処理部と、識別された操作者に割り当てられた作業項目を呼び出し、選択実行可能に操作盤の表示部に表示させる作業情報処理部と、赤外線検出カメラにより体温を表示すると共に、発熱の有無の判定結果を作業情報処理部へ出力して表示部に表示させる体温取得処理部と、を備え、作業情報処理部は、操作者が発熱状態の情報を受信すると、表示部の操作画面をロックして、操作継続を禁止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械本体に接続されて数値制御を行うNC機能付の操作盤であって、予め定められたプログラムに沿って前記工作機械本体の加工部を駆動させる制御部と、各種NCプログラムおよび工具情報を記憶する記憶部とを備えると共に、前記操作盤の前面に、表示部と、多数の各種キーが配置された入力部とを備えたマシニングセンタNC操作盤において、
前記操作盤の前面に可視光集光用レンズを露呈して搭載され、操作者の顔画像を撮影する可視域画像カメラと、
前記操作盤の前面に前記可視光集光用レンズに隣接して赤外線集光用レンズを露呈して搭載され、前記可視域画像カメラによる撮像と同時に前記操作者の顔表面から放射される遠赤外線を検出して顔表面温度データを得る赤外線検出カメラと、を備え、
前記記憶部は、
予め工作機械ユーザとして登録された操作者毎に作成され、各々操作者に許可された前記工作機械本体に対する操作可能事項および不許可の操作制限事項を含む作業情報が割り当てられた操作者リストと、
前記操作者リストに登録された操作者の顔画像データ群が収納されている顔画像ファイルと、
前記操作者リストに予め登録された操作者毎に作成されて各操作者の過去の体温測定値およびこれら体温測定値に基づく平熱の平均値を含む体温データベースが収納されている体温管理ファイルと、を有し、
前記体温管理ファイルには、前記工作機械ユーザとしては登録されていない操作者の体温管理ユーザ用としての体温サブデータベースがさらに収納されており、
前記制御部は、
前記可視域画像カメラによって得られた前記操作者の顔画像データを前記顔画像ファイルの前記顔画像データ群と比較して該当者を検索して前記操作者を識別する顔認証処理部と、
前記操作者リストから前記顔認証処理部により識別された前記操作者に割り当てられていた作業情報を呼び出してその作業情報に基づき前記操作者に許可された作業項目を選択実行可能に前記表示部に表示させる作業情報処理部と、
前記赤外線検出カメラによって得られた顔表面温度データから前記操作者の体温測定値を取得し、前記表示部に前記体温測定値を表示させると共に、前記体温測定値に基づいて前記操作者の発熱の有無を判定する体温取得処理部と、を備え、
前記体温取得処理部は、
体温測定された前記操作者が、前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め工作機械ユーザとして登録された操作者であると識別されると、前記体温測定値から前記体温管理ファイルに収納されている前記操作者の体温データベースに含まれている平熱の平均値を減じた差を算出し、その差が予め定められた閾値を超えた場合に前記操作者が発熱状態であると判定してこの判定結果を示す信号を前記作業情報処理部へ出力すると同時に前記表示部に対して前記操作者が発熱状態であることを示す判定画面を表示させ、前記差が前記予め定められた閾値以下である場合には前記操作者が平熱状態であると判定してその判定結果を示す信号を前記作業情報処理部に出力すると同時に前記表示部に対して前記操作者が平熱状態であることを示す判定画面を表示させると共に、前記体温測定値を平熱として前記体温データベースに加えて前記平均値を更新する作業管理モードと、
体温測定された前記操作者が、前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め登録された工作機械ユーザとして識別されず、且つ体温サブデータベースが前記体温管理ファイルに存在している体温管理ユーザとして確認された場合、前記体温測定値から前記操作者の体温サブデータベースに含まれている平熱の平均値を減じた差を算出し、その差が前記予め定められた閾値を超えた場合には前記操作者が発熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させ、前記差が前記予め定められた閾値以下である場合には前記操作者が平熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させると共に、前記体温測定値を平熱として前記体温サブデータベースに加えて前記平均値を更新する体温管理モードと、を有しており、
前記作業情報処理部は、前記体温取得処理部から前記操作者が平熱状態であることを示す信号を受信すると、前記表示部に対して前記操作者に許可された前記作業項目の表示を可能とし、前記体温取得処理部から前記操作者が発熱状態であることを示す信号を受信すると、前記表示部に対して操作画面をロックして作業開始のための操作継続を禁止させる機能を備えていることを特徴とする体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤。
【請求項2】
前記体温管理モードは、体温測定された前記操作者が、前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め登録された工作機械ユーザとして識別されず、且つ体温サブデータベースが前記体温管理ファイルに存在せずに体温管理ユーザとしても識別されなければ、取得した前記体温測定値を予め定められた体温基準値と比較して、前記体温測定値が前記体温基準値より高い場合には前記操作者が発熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させ、前記体温測定値が前記体温基準値以下である場合には前記操作者が平熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させると共に、前記体温測定値に基づいて前記操作者の体温管理ユーザ用の体温データベースを前記体温管理ファイルに作成するものであることを特徴とする請求項1に記載の体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤。
【請求項3】
前記体温取得処理部は、前記作業管理モードにて、体温測定された前記操作者が前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め登録されている工作機械ユーザとして識別された場合、その識別結果に基づいて、前記操作者の登録顔画像を含む登録情報を提示する認証画面をさらに前記表示部に表示させる機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤。
【請求項4】
前記体温取得処理部は、前記体温管理ファイルに体温測定された操作者の体温データベースが収納されている場合に、測定された前記体温測定値と共に、前記体温データベースに蓄積されている直近の過去数回に測定された過去体温測定値と前記体温測定値とに基づいて作成された体温グラフを前記表示部に表示させる機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤。
【請求項5】
前記体温取得処理部は、前記閾値として、最初に前記体温測定値と前記平均値との差に比較される第1の閾値と、前記差が前記第1の閾値より大きい場合に次に前記差と比較される、前記第1の閾値より大きい第2の閾値とを備え、前記差が前記第1の閾値以下である場合に前記操作者が平熱状態であると判定し、前記差が前記第1の閾値より大きく且つ前記第2の閾値以下である場合に前記操作者は軽度の発熱状態であると判定し、前記差が前記第2の閾値より大きい場合に前記操作者が直ちに操作継続を禁止すべき重度の発熱状態であると判定する機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタの工作機械本体に接続され、数値制御を行うNC操作盤に関し、詳しくは、操作者に対する顔認証と共に体温管理の機能を備えたNC操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタにおいては、工作機械本体に接続されたNC操作盤による数値制御によって、各種NCプログラムに沿った様々な加工作業が自動運転により実施可能となっている。このようなNC操作盤は、一般的に、前面の上側にディスプレイ等の表示部が配置され、その周辺には、CFカードスロットやUSBポートが設置されている。また下側には、マウスパッドおよびマウスボタンを含む各種キーが配置されたキーボード、さらに運転関連のスイッチやボタン、ダイヤル等が多数配置された操作パネルが設置されている。
【0003】
また、各種加工作業のためのNCプログラムや工具情報等が、この操作盤を介して内蔵されている制御部の記憶部に入力され、蓄積されている。従って、操作者はNC操作盤を操作して所定のNCプログラムを呼び出してこれを実行することによって、工作機械本体にそのNCプログラムに沿った自動運転による加工作業を実施させることができる。
【0004】
このようなNC操作盤には、作業経験や熟練度の違い或いは資格の違い等により工作機械本体に対して許容されるべき制御機能や作業の種類が異なる様々なレベルの操作者が携わる。このため、安全性やセキュリティの観点から操作者毎に操作可能な範囲を制限する必要がある。そこで、マシニングセンタにおけるNC操作盤での作業開始の際に、各操作者を識別し、予め操作者毎に許可された作業項目のみを操作可能とする個人識別システムが必要とされる。
【0005】
例えば、本発明者らによって、操作者を識別して良好な操作制限が行える個人認証システムを備えたマシニングセンタNC操作盤(特許文献1を参照。)が既に開発されている。このNC操作盤では、操作盤の前面に搭載された撮像装置によって得られた操作者の顔画像データが、予め操作者リストに登録された顔画像データ群と比較されて操作者が識別される。そして識別された操作者に割り当てられていた作業情報を呼び出して該操作者に操作可能な作業項目のみが表示部に表示されるものである。即ち、表示部に表示された作業項目から選択される作業のみが実行可能となるため、操作者に対する制限が簡便且つ確実に行われ、マシニングセンタにおける安全性とセキュリティ性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6713688号公報
【特許文献2】特開2018-38604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、マシニングセンタの運転操作における安全性の確保は、作業者に許可された作業項目のみの操作に制限されたとしても、操作者がその操作を確実にミス無く遂行できる状態であることが前提である。例えば、操作者の発熱等の健康状態によっては、通常の判断力が損なわれ、マシニングセンタの正しい運転操作が困難となる恐れがある。
【0008】
このような操作者の健康状態の悪化やそれに伴う集中力の低下という危険を察知するために、心拍数、血圧、体温、脳波といった生体信号を検出、監視し、基準となる値と比較して、基準値よりも下回った場合に工作機械を停止させる機械用安全装置が考えられている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0009】
ただし、このような監視システムに基づいた安全装置においては、作業途中における健康悪化状態の検出に伴う工作機械の緊急停止を目的としているため、作業中の全工程期間にわたって、各センサによる操作者の生体信号の逐次計測が行われる。このため、操作者の負担は小さくない。また常時計測および信号演算処理を行わなければならず、しかも工程途中に緊急停止させる場合には、それまでの作業工程が無駄になり、装置側にとってもコスト高となり、却って作業効率は悪くなる。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、体温測定機構を備えることによって、作業開始前に操作者の体調が測定体温によって判断され、不適切な体調と判断された場合には作業開始が規制されてより高い安全性の確保と作業効率の無駄を省くことができると共に、作業の有無にかかわらず、常時から作業者等の体温管理も行うことができる体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るマシニングセンタNC操作盤は、工作機械本体に接続されて数値制御を行うNC機能付の操作盤であって、予め定められたプログラムに沿って前記工作機械本体の加工部を駆動させる制御部と、各種NCプログラムおよび工具情報を記憶する記憶部とを備えると共に、前記操作盤の前面に、表示部と、多数の各種キーが配置された入力部とを備えたマシニングセンタNC操作盤において、
前記操作盤の前面に可視光集光用レンズを露呈して搭載され、操作者の顔画像を撮影する可視域画像カメラと、
前記操作盤の前面に前記可視光集光用レンズに隣接して赤外線集光用レンズを露呈して搭載され、前記可視域画像カメラによる撮像と同時に前記操作者の顔表面から放射される遠赤外線を検出して顔表面温度データを得る赤外線検出カメラと、を備え、
前記記憶部は、
予め工作機械ユーザとして登録された操作者毎に作成され、各々操作者に許可された前記工作機械本体に対する操作可能事項および不許可の操作制限事項を含む作業情報が割り当てられた操作者リストと、
前記操作者リストに登録された操作者の顔画像データ群が収納されている顔画像ファイルと、
前記操作者リストに予め登録された操作者毎に作成されて各操作者の過去の体温測定値およびこれら体温測定値に基づく平熱の平均値を含む体温データベースが収納されている体温管理ファイルと、を有し、
前記体温管理ファイルには、前記工作機械ユーザとしては登録されていない操作者の体温管理ユーザ用としての体温サブデータベースがさらに収納されており、
前記制御部は、
前記可視域画像カメラによって得られた前記操作者の顔画像データを前記顔画像ファイルの顔画像データ群と比較して該当者を検索して前記操作者を識別する顔認証処理部と、
前記操作者リストから前記顔認証処理部により識別された前記操作者に割り当てられていた作業情報を呼び出してその作業情報に基づき前記操作者に許可された作業項目を選択実行可能に前記表示部に表示させる作業情報処理部と、
前記赤外線検出カメラによって得られた顔表面温度データから前記操作者の体温測定値を取得し、前記表示部に前記体温測定値を表示させると共に、前記体温測定値に基づいて前記操作者の発熱の有無を判定する体温取得処理部と、を備え、
前記体温取得処理部は、
体温測定された前記操作者が、前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め工作機械ユーザとして登録された操作者であると識別されると、前記体温測定値から前記体温管理ファイルに収納されている前記操作者の体温データベースに含まれている平熱の平均値を減じた差を算出し、その差が予め定められた閾値を超えた場合に前記操作者が発熱状態であると判定してこの判定結果を示す信号を前記作業情報処理部へ出力すると同時に前記表示部に対して前記操作者が発熱状態であることを示す判定画面を表示させ、前記差が前記予め定められた閾値以下である場合には前記操作者が平熱状態であると判定してその判定結果を示す信号を前記作業情報処理部に出力すると同時に前記表示部に対して前記操作者が平熱状態であることを示す判定画面を表示させると共に、前記体温測定値を平熱として前記体温データベースに加えて前記平均値を更新する作業管理モードと、
体温測定された前記操作者が、前記顔認証処理部によって前記操作者リストに予め登録された工作機械ユーザとして識別されず、且つ前記体温管理ファイルに体温サブデータベースが存在している体温管理ユーザとして確認された場合、前記体温測定値から前記操作者の体温サブデータベースに含まれている平熱の平均値を減じた差を算出し、その差が前記予め定められた閾値を超えた場合には前記操作者が発熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させ、前記差が前記予め定められた閾値以下である場合には前記操作者が平熱状態であると判定して前記表示部に対してこの判定結果を示す判定画面を表示させると共に、前記体温測定値を平熱として前記体温サブデータベースに加えて前記平均値を更新する体温管理モードと、を有しており、
前記作業情報処理部は、前記体温取得処理部から前記操作者が平熱状態であることを示す信号を受信すると、前記表示部に対して前記操作者に許可された前記作業項目の表示を可能とし、前記体温取得処理部から前記操作者が発熱状態であることを示す信号を受信すると、前記表示部に対して操作画面をロックして作業開始のための操作継続を禁止させる機能を備えているものである。
【0012】
以上の構成によれば、まず、操作者が、NC操作盤の前に立てば、操作盤前面の可視域画像カメラによって顔画像を撮影することができ、その顔画像データの顔認証処理によって予め工作機械ユーザとして登録された個人の識別が行われる。そして、識別された操作者のみに対して、作業情報処理部がその操作者の操作者リストに収納されていた作業情報に基づいて表示部に操作者に許可された作業項目を選択実行可能に表示する。即ち、操作者に許可された作業項目のみが実施でき、それ以外の許可されていない作業項目は表示部に表示されることはなく、実行されることがないため、操作者に対する制限が簡便且つ確実に行われる。そして登録されていない操作者は顔認証処理によって識別されず、どのような作業項目も表示されず、実行されることはない。このような顔認証識別機能によって、マシニングセンタの稼働における高い安全性とセキュリティ性が確保される。
【0013】
本発明においては、可視域画像カメラによる顔画像の撮影と同時に、可視域画像カメラの可視光集光用レンズに隣接して操作盤前面に赤外線集光用レンズが配置された赤外線検出カメラによって、操作者の顔表面から放射された遠赤外線が検出され、顔表面の温度データが得られる。そして操作者が、予め登録された工作機械ユーザとして識別された場合には、制御部の体温取得処理部によって、作業管理モードにおいてその顔表面温度データから体温測定値が取得され、この体温測定値に基づいて操作者の発熱状態が判定される。この判定結果は、作業情報処理部において当該操作者に対する作業の規制に利用される。
【0014】
即ち、体温取得処理部によって、識別された操作者が平熱状態であると判定されると、表示部に対して操作者が平熱状態であることを示す判定画面を表示させるが、作業情報処理部は、当該操作者が平熱状態であるとの判定結果を示す信号を受けた場合、表示部に対して操作者が画面操作を継続するのを規制することはない。したがって、平熱状態と判定された操作者は、その判定画面を確認した後、問題なく画面操作を継続して自身に許可された作業項目を提示するメニュー画面に切り替え、目的の作業項目を選択し、実行することができる。
【0015】
また、体温取得処理部によって、識別された操作者が重度の発熱状態であると判定された場合には、表示部に対して操作者が重度の発熱状態であることを示す判定画面を表示させ、作業情報処理部は、当該操作者が重度発熱であるとの判定結果を示す信号を受けると、操作画面をロックして操作継続を禁止する。したがって、当該操作者は、ロックされた判定画面から画面操作が継続できず、自身に許可された作業項目を提示するメニュー画面を表示させることもできない。これによって、いずれの作業項目も実行不可能となり、工作機械の操作作業は確実に規制される。
【0016】
したがって、操作者が、発熱により集中力や冷静な判断力を欠き、作業ミスを生じ得るような体調不良の状態で作業を進める事態は回避されるため、事故や装置損傷等の発生の危険性が作業開始前に解消される。このような作業管理モードの動作は、マシニングセンタの稼働におけるさらなる安全性の向上に寄与する。なお、発熱状態を示す判定画面には、操作継続が禁止されたことを示す警告を表示させても良い。この警告により、操作者は自身の状態を把握しやすくなる。
【0017】
そして本発明によれば、操作者が予め工作機械ユーザとして登録されていなくても、その操作者が体温管理ユーザ用としての体温サブデータベースを体温管理ファイルに有していれば、体温取得処理部は、体温管理モードにおいて、随時体温測定および判定を行い、体温測定値を蓄積収納し、且つ平熱の平均値を更新しながら体温管理することができる。通常、マシニングセンタが設置されている工作室や工場等には、他の各種機器も設置されている場合もあり、マシニングセンタを稼働させる操作者だけでなく様々な人々が周辺に存在していることが想定される。したがって、これらの当該マシニングセンタを稼働させることがない人々でも、そのマシニングセンタNC操作盤において、体温管理ユーザとして、日常的に体温を測定して発熱の有無を確認することができ、それぞれの作業における安全確保に利用できる。
【0018】
なお、体温管理ユーザとなる操作者がまだ体温管理ファイルに登録されていない場合、体温管理モードは、その操作者の体温サブデータベースが体温管理ファイルに確認されなければ、最初の体温測定および発熱状態の判定を行う際に、体温取得処理部が最初の体温測定値を以てその操作者の体温サブデータベースを体温管理ファイルに作成して体温管理ユーザとして登録するものとすれば良い。このとき、初めて測定された体温測定値に対する判定用の平熱の平均値がまだないため、比較する体温基準値を予め設定しておくのが簡便である。体温取得処理部は、この体温基準値と比較して、体温測定値がより高い場合に、当該操作者が発熱状態であると判定し、体温測定値が前記体温基準値以下である場合に、当該操作者が平熱状態であると判定することができる。
【0019】
本発明における顔認証処理には、既存の顔認証プログラムを採用することができる。対象はそのマシニングセンタを使用する比較的限られた人員となることが想定されるため、例えば、顔画像から目・鼻・口端などの顔の特徴点位置を検出してこの特徴点位置データと一致するものを顔画像データ群から検索照合するという広く一般に普及している方式で充分である。なお、顔画像を取得するための可視域画像カメラとしては、各種端末機器に内蔵されるようなCCDやCMOS等の固体撮像素子を備えた小型カメラで構成することができる。このような可視域画像光カメラとしては、単一レンズのカラーカメラでもよいが、二つのレンズを備えた所謂デュアルレンズ式としてより確実な認証を行う構成としてもよい。これは、例えば、カラーとモノクロで同時に撮影し、モノクロ撮影による光量情報に基づいてカラー画像を補整する方式であれば、取得される合成画像の色彩やコントラストを強化することができ、また比較的暗い所でも鮮明な画像が撮影できるため、より高い認証精度が得られる。
【0020】
また、本発明における赤外線検出カメラとしては、操作者の顔表面から放射される遠赤外線を検知して体温としての顔表面温度が測定できるものであれば良い。具体的には、集光レンズを介して受光した赤外線を吸収して、その赤外線量としての温度に応じた電気信号を生じる赤外線検出素子を備えたものであり、赤外線検出素子のタイプによって様々な方式がある。例えば、まず大枠として、赤外線を吸収した時の温度変化を抵抗や起電力の変化として検出する熱型(非量子型)と、赤外線を光として検知して光電変換により電気信号を出力する量子型とがある。ただし、量子型は冷却が必要であり、そのための冷却機構を設ける分構成が大型化するのに対して、冷却を必要としない熱型は、小型化できる点で好ましい。
【0021】
さらに、このような非冷却の熱型の赤外線検出素子としては、熱起電力効果によるサーモパイル、熱伝導効果によるサーミスタボロメータ、焦電効果による焦電素子がある。このなかでも、ボロメータは、温度補償を必要とせずに絶対温度測定ができるため、構成が簡便で比較的低コストである点でより望ましい。最近では、酸化バナジウムやアモルファスシリコンからなる感熱素子を微細加工技術により集積化したマイクロボロメータ焦点面アレイ(FPA)を採用して温度分布画像が得られる所謂サーマルカメラが一般でも体温測定に利用されている。
【0022】
本発明においても、赤外線検出カメラとしてこのような比較的低コストで小型化できるFPAによるサーマルカメラ方式を採用してもよい。この場合、赤外線検出素子から得られた温度分布画像データに基づいて、顔表面のうち額部分に相当する最も高い温度分布領域の温度測定値を体温測定値として簡便に取得することができる。
【0023】
なお、体温測定後、表示部には判定結果を示す判定画面が表示されるが、同時に測定された体温測定値Tを表示してもよい。さらに、体温測定された操作者が、顔認証処理部によって前記操作者リストに予め登録された工作機械ユーザとして識別された場合には、その識別された操作者の登録顔画像も、登録番号や氏名等の登録情報と共に認証画面として表示されることが好ましい。操作者は、認証画面に表示された登録顔画像や登録番号という登録情報によって、自身が間違いなく認証されたことを容易に確認できる。
【0024】
また、各ユーザの体温データベースが作成された後は、体温測定の度にその測定値がデータベースに蓄積されるため、体温取得処理部は、新たに測定された体温測定値と共に、体温データベースから直近の過去数回に測定された過去体温測定値と新たに測定された体温測定値とから体温グラフを作成して表示部に表示させても良い。この場合、表示された体温グラフによって、操作者は、自身の体温の変化を一目で確認できる。
【0025】
なお、表示部に表示される判定画面や、体温測定値Tおよび体温グラフを提示する体温表示画面、また、登録情報を表示する認証画面などの各種画面は、所謂メッセージボックスやアラームボックス等のダイヤログボックスの形態で、体温管理画面としての全背景画面上に同時に複数表示すればよい。この表示形態によって、操作者は必要な情報を一度に把握できる。
【0026】
本発明においては、平熱の平均値を基準として発熱状態の判定が行われるが、具体的には、平熱状態と判定された際の体温測定値が蓄積され、平均値が更新される。そこで、上記のような体温グラフだけでなくこの平均値も表示部に表示させれば、新たな体温測定値との相違が数値上でも把握することができる。
【0027】
なお、工作機械ユーザの体温データベース作成時には初期基準値を設定する必要がある。そこで、工作機械ユーザが、操作者リストに作業情報等を入力して登録作業を行う際に、前記初期基準値として、常日頃操作者が自身の健康時における平熱として把握している体温値を入力して体温データベースを作成することができる。あるいは確実に健康で発熱していないと確信できる状態にあるときに、本発明のNC操作盤において赤外線検出カメラによって体温測定を行い、その体温測定値を初期基準値とすることができる。
【0028】
また、本発明では、体温取得処理部による発熱状態の判定は、体温測定値から平熱の平均値を減じた差が予め定められた閾値を超えた場合に発熱状態であると判定され、前記差が前記予め定められた閾値以下である場合には平熱状態であると判定されるが、発熱状態といっても、軽度で工作機械の操作作業に影響がない状態である場合も想定される。そこで、判定に用いる前記閾値を二段階とすることによって、軽度の発熱状態と操作作業を直ちに禁止すべき重度の発熱状態とを細かく区別することができる。
【0029】
即ち、体温取得処理部は、少なくとも作業管理モードの閾値として、最初に体温測定値と平均値との差に比較される第1の閾値と、前記差が第1の閾値より大きい場合に次に前記差と比較される、第1の閾値より大きい第2の閾値とを備えれば良い。作業管理モードは、前記差が第1の閾値より大きく、第2の閾値以下である場合に、当該操作者が軽度の発熱状態であることを示す信号を作業情報処理部へ出力し、前記差が第2の閾値より大きい場合に、当該操作者が操作継続を直ちに禁止すべき重度の発熱状態であることを示す信号を前記作業情報処理部に出力することができる。これによって作業情報処理部は、当該操作者が軽度の発熱状態であることを示す信号を受信して、表示部に、体調確認の注意画面を表示させることができる。例えば、第1の閾値として1℃、第2の閾値として2℃を設定することが考えられる。
【0030】
軽度の発熱状態と判定された操作者は、マシニングセンタにおける作業は止めて当日は以後休んだり、他の軽微な業務に切り替えることも、あるいは一時的に作業を停止し、時間をおいてマシニングセンタ稼働の再開をすることも可能である。再開に際しては、再度体温測定することが望ましい。そこで、体温取得処理部には、作業管理モードにおいて軽度の発熱状態が判定された場合に、所定時間経過後に再度体温測定を行うためのタイマーセットを行い、この時に数時間後の再体温測定の指示を表示部に表示させる機能をさらに設けることが好ましい。もちろん、体温管理モードにおいても、作業管理モードと同じ二つの閾値で二段階の判定を行っても良い。
【0031】
また、初めて体温管理ユーザ用に体温サブデータベースを作成する際の、最初の体温測定値に対する判定も、体温基準値を二段階とすることによって、軽度の発熱状態と重度の発熱状態とを区別することができる。例えば、第1の体温基準値として37.5℃、第2の体温基準値として38.0℃に設定することが考えられる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤によれば、可視域画像カメラで撮影された顔画像に基づく顔認証によって識別される工作機械ユーザに対しては、予め許可された作業項目のみを操作実行可能とすることで、操作者に対する制限が簡便且つ確実に行われ、マシニングセンタにおける高い安全性とセキュリティ性が確保されるのに加え、顔画像の撮影と同時に赤外線検出カメラで検出された顔表面温度データに基づく体温測定によって、作業開始前に操作者の発熱状態が判定されて操作継続の制限が行われるため、発熱による体調不良状態での工作機械の操作作業が行われる危険が回避され、マシニングセンタ稼働における安全性のさらなる向上が図れる、という効果がある。さらに、本発明においては、工作機械ユーザ以外の操作者に対しても、体温管理ユーザとして体温を測定し、その発熱状態の判定を行うことができるため、マシニングセンタを稼働させることがない人々でも、それぞれの作業や業務における安全確保に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施例による体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤の概略正面図である。
図2図1のNC操作盤の内部概念図である。
図3図1のNC操作盤における動作のうち主に作業管理モードを説明するフローチャートである。
図4図1のNC操作盤における動作のうち主に体温管理モードを説明するフローチャートである。
図5】体温判定後に表示部に表示された画面の例を示す模式図であり、(a)は操作者が工作機械ユーザである場合に、平熱状態であると判定された直後の体温管理画面であり、(b)は体温管理画面表示後の画面操作によって表示される当該工作機械ユーザ用に予め設定された作業項目を提示する専用メニュー画面である。
図6】操作者が工作機械ユーザである場合に、重度の発熱状態であると判定された直後に表示部に表示された体温管理画面の例を示す模式図である。
図7】操作者が工作機械ユーザである場合に、軽度の発熱状態であると判定された直後に表示部に表示された体温管理画面の例を示す模式図である。
図8】操作者が体温管理ユーザである場合に、平熱状態であると判定された直後に表示部に表示された体温管理画面の例を示す模式図である。
図9】操作者が体温管理ユーザである場合に、重度の発熱状態であると判定された直後に表示部に表示された体温管理画面の例を示す模式図である。
図10】操作者が初めて体温測定された体温管理ユーザである場合に、平熱状態であると判定された直後に表示部に表示された体温管理画面の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施形態による体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤を図1、2に示す。図1は、本NC操作盤1の概略正面図であり、図2は内部概念図である。また図3および図4に、本NC操作盤1における動作を説明する概略フローチャートを示す。
【0035】
体温管理機能付きマシニングセンタNC操作盤の構成
本実施形態によるNC操作盤1は、工作機械本体60に接続され、数値制御によって加工部61にNCプログラム運転を行わせることができるものである。従って、NC操作盤1は、例えば、加工部61を囲む外装カバーに操作窓と隣接した位置など、工作機械本体60に近接して設置される。
【0036】
本NC操作盤1の基本構成については従来のNC操作盤と同様である。即ち、操作盤の前面には、上部領域にタッチパネル式液晶画面等で構成される表示部2が設けられ、表示部2の外周には、各種データの入出力ができるようにCFカードスロット3やUSBポート4が設けられている。また表示部2の下方領域は、オペレータの手動による入力部10となっており、まずマウスパッド6とマウスボタン7を含むキーボード5が配置されている。
【0037】
さらにキーボード5の下方領域には、操作パネル8が設置されており、運転駆動に関係する各種ボタン、スイッチ等が配置されている。例えば、運転準備スイッチ11、運転終了スイッチ12、非常停止スイッチ13、また自動運転起動スイッチ14、フィードホールドスイッチ15などがある。さらにまた、手動送り速度設定スイッチ16、早送りオーバーライドスイッチ17、スピンドル回転数オーバーライドスイッチ18、操作ドアインターロック解除ボタン19、等々が配置されている。
【0038】
そして、本実施形態においては、NC操作盤1の前面で表示部2の枠部上部中央付近に、可視光集光用レンズ31が露呈状態で設けられた顔画像取得のための可視域画像カメラ30が搭載されている。そしてまた、NC操作盤1の前面の、表示部2の枠部上部の可視光集光用レンズ31に隣接する位置に赤外線集光用レンズ21が露呈状態で設けられた体温測定用のサーマルカメラ(赤外線検出カメラ)20が搭載されている。
【0039】
可視域画像カメラ30は、例えばCCDカメラあるいはCMOSカメラから成り、操作者が表示部2に相対して立った状態でその顔正面の画像が撮影され、その撮像素子32からNC操作盤1内部の制御部40へ顔画像データFdが出力される構成となっている。そして、同時にサーマルカメラ20によって、操作者の顔表面から放射された遠赤外線が、赤外線用集光レンズ21を介して、非冷却のマイクロボロメータ焦点面アレイからなる赤外線検出素子22によって受光され、顔表面の温度分布画像データTdが制御部40へ出力される。
【0040】
またNC操作盤1には、制御部40および記憶部50が内蔵されており、制御部40は、予め定められたプログラムに沿って工作機械本体60の加工部61を駆動させてNCプログラム運転を行わせる。このとき、記憶部50に設けられたプログラムファイル54に収納されている各種プログラムおよび工具情報を読み出して利用することができる。
【0041】
また、記憶部50は、予め工作機械ユーザとして登録された操作者の顔画像データ群が納められた顔画像ファイル52と、登録された工作機械ユーザ毎に作成され、各工作機械ユーザに許可された工作機械本体60に対する操作可能な作業項目および不許可で操作制限がされてる事項を含む作業情報が割り当てられた操作者リスト53とを有している。
【0042】
本実施形態においては、記憶部50は、工作機械ユーザ毎に作成されて該ユーザの体温情報および平熱の平均値aが蓄積される体温データベースが収納されている体温管理ファイル51をさらに有しており、後述する体温測定の度に体温測定値Tおよび平熱の平均値a等のデータが更新される。また、体温管理ファイル51には、工作機械ユーザとしては登録されていないが、体温管理ユーザとして登録された操作者毎に作成された体温サブデータベースも収納されている。この体温管理ユーザの体温サブデータベースにおいても、体温測定の度にデータが更新される。
【0043】
制御部40は、可視域画像カメラ30によって得られた操作者の顔画像データを顔画像ファイル52に収納されている顔画像データ群と比較して該当者を検索して操作者を識別する顔認証処理部42と、操作者リスト53から顔認証処理部42によって識別された操作者に割り当てられていた作業情報を呼び出して処理し、その処理結果に基づいて該操作者に許可された作業項目を選択実行可能に提示する専用メニュー画面80を表示部2に表示させる作業情報処理部43と、専用メニュー画面80上での作業項目に対する選択操作の入力信号にしたがって、該作業項目に基づいて指令された加工プログラムをプログラムファイル54から呼び出して工作機械本体60へ出力する加工作業制御処理部44と、を備えている。操作者は、作業情報処理部43によって専用メニュー画面80上に表示された作業項目のみを選択して実行することが可能であるため、表示されない操作者に許可されていない作業項目が選択実行されることがなく確実に作業規制がなされる。
【0044】
さらに本実施形態において、制御部40には、サーマルカメラ20によって得られた顔表面の温度分布画像データTdに基づいて操作者の体温測定値Tを取得し、この体温測定値Tに基づいて当該操作者の発熱状態を判定して判定結果を示す判定画像を表示部2に表示させる体温取得処理部41が備えられている。
【0045】
本実施形態においては、作業情報処理部43によって、工作機械ユーザとして登録されている操作者に対して、作業開始の際に顔認証の識別に基づいてその操作者に許された作業項目のみが選択実行されるように規制するだけでなく、作業開始前に体温取得処理部41によって、作業管理モードWMにおいて、操作者の体温測定値から作業を許可できる状態であるかどうか判定される。したがって、作業情報処理部43は、工作機械ユーザとしての操作者が、集中力や冷静な判断力の欠如をもたらす重度の発熱状態である場合に、その判定結果に基づいて操作継続を禁止することができるため、操作者による作業ミスおよびこれに伴う装置の損傷や故障の発生という危険を回避することができる。
【0046】
さらに体温取得処理部41は、当該マシニングセンタを使用することがなく工作機械ユーザとしては登録されていないが、体温管理ユーザとして登録された操作者に対して、NC操作盤1において日常的に体温測定を行うことでその操作者の作業の安全性を図ることができる体温管理モードTMも備えている。この体温管理モードTMでは、まだ体温管理ユーザとして登録されていない操作者に対しても、初めての体温測定結果に基づいて、新たに体温管理ファイル51に体温サブデータベースを作成して対応することができる。
【0047】
NC操作盤1の動作説明
本実施形態による体温管理機能付きNC操作盤1における具体的な体温管理動作を、図3,4のフローチャートに沿って、以下に説明する。なお、ここでは、発熱状態の判定に用いる閾値として、第1の閾値L1と第2の閾値L2との二段階に設定した場合を例として示す。より具体的には、第1の閾値L1を1℃、第2の閾値L2を2℃に設定した。
【0048】
また、図5~10は、体温測定後に表示部2に表示される、それぞれ異なる判定結果に応じた体温管理画面の例を示した模式図である。なお、本実施形態における体温管理画面では、体温測定値Tおよび体温グラフGを提示する体温表示画面DAと、判定結果を示す判定画面DBと、操作者の登録顔画像70Fや登録番号(70MU,70TU)を提示する認証画面(DC,DD)とを、メッセージボックスのようなダイアログボックスの形態で同一の全背景画面上に同時に表示する構成とした。
【0049】
まず、作業開始前に操作者がNC操作盤1を立ち上げると、表示部2で初期操作画面起動(100S)が行われる。例えば、その初期操作画面に示された指示に基づいて、NC操作盤1の正面に立ち、顔を表示部2の枠部上部中央付近に配置されている可視光集光用レンズ31と赤外線集光用レンズ21に向けた状態で、顔認証・体温測定開始(101S)を実行すると、可視域画像カメラ30とサーマルカメラ20とによって、顔画像・赤外線画像撮影(102S)がなされる。
【0050】
可視域画像カメラ30によって撮影された顔画像データFdは、制御部40の顔認証処理部42に出力され、サーマルカメラ20によって撮影された顔表面の温度分布画像データTdは制御部40の体温取得処理部41へ出力される。顔認証処理部42および体温取得処理部41では、それぞれ入力されたデータ(Fd、Td)に基づいて、顔認証処理及び体温測定(103S)が行われる。
【0051】
顔認証処理部42では、顔認証処理(103S)として、例えば、顔画像データFdから各顔パーツの配置等の特徴部が抽出され、記憶部50の顔画像ファイル52に収納されている顔画像データ群から特徴部が一致するものを検索する。
【0052】
一方、体温取得処理部41では、体温測定(103S)の工程として、サーマルカメラ20で撮影された温度分布画像データTdに基づいて操作者の体温測定値Tが取得される。例えばサーマルカメラ20が赤外線検出素子22として非冷却マイクロボロメータ焦点面アレイを用いたものとすれば、温度分布画像データTdとして顔表面の絶対温度の分布画像データが得られるため、通常は額領域が最も高温領域となることから、その最高温度を体温測定値Tとして簡便に取得できる。
【0053】
顔認証処理において、顔画像データ群に対する一致するデータの検索が終了すると、その検索結果に基づいて、操作者についての、工作機械ユーザ登録の有無判定(104S)が行われる。この判定の結果、操作者が工作機械ユーザとして識別された場合には、体温取得処理部41は、作業管理モードWMに進み、操作者が工作機械ユーザとして識別されなければ、体温管理モードTMへ進む。
【0054】
作業管理モードWM
作業管理モードWMでは、体温管理ファイル51に工作機械ユーザとして登録され収納されている当該操作者の体温データベースから平熱の平均値aの取得(110S)がなされ、体温測定値Tと平均値aの差b(=T-a)の算出(111S)が行われる。そして、差bと閾値L1(=1℃)の比較(112S)が行われる。差bが閾値L1=1℃より小さい場合には、即ち、当該操作者の平熱の平均値aと体温測定値Tとの差が1℃以下であれば、体温取得処理部41において操作者は平熱状態であると判定され、表示部2に判定結果を表示させると同時にその判定結果を示す信号が作業情報処理部43へ出力される。体温取得処理部41は、体温データベースに蓄積されていた直近の複数回の過去体温測定値に今回の体温測定値Tを加えて体温グラフGを作成し、体温測定値Tと共にこれらの体温情報を表示部2に出力する。よって、表示部2において、体温測定値Tと平熱の判定画面の表示(113S)がなされる。
【0055】
より具体的には、表示部2は、顔画像の撮影及び体温測定後に体温管理画面70となり、体温取得処理部41から入力された体温情報の体温測定値Tと体温グラフGとを提示する体温表示画面DAがこの体温管理画面70上に表示される。同時に、体温管理画面70上に操作者に対して平熱状態であることを提示する判定画面DBを表示させる。また、本実施形態では、当該操作者の登録顔画像70Fおよび工作機械ユーザ登録番号70MUを氏名と共に提示する認証画面DCも体温管理画面70上に表示される構成とした。
【0056】
したがって、表示部2では、図5(a)に示すように、今回の体温測定値Tおよび体温グラフGを提示する体温表示画面DAと、操作者に対して体温測定の判定結果を提示する判定画面DBと、当該操作者の認証画面DCとが、ダイヤログボックスのように、同一の体温管理画面70上に同時に表示される。
【0057】
以上のように平熱判定がなされた場合、体温取得処理部41は、今回取得された体温測定値Tをその操作者の体温データベースに平熱として追加(114S)し、平熱の平均値aが更新され、体温判定終了(150S)となる。一方、作業情報処理部43は、体温取得処理部41からの平熱判定結果を示す信号を受けて当該操作者による工作機械の操作作業に問題ないと判断し、操作継続を許容する状態、即ち、その後の操作者による画面操作の継続を禁止することなく、予め工作機械ユーザとして当該操作者に許可された作業項目を選択実行可能に提示する専用メニュー画面の表示を可能とする。したがって、当該操作者は、判定画面DBを確認した後、画面操作によって、表示部2に自身の専用メニュー画面の表示(300S)を行い、図5(b)に示すようにメニュー画面80に提示された作業項目から目的の項目を選択して実行することができる。これによって、工作機械操作の開始(301S)が実施される。
【0058】
なお、体温取得処理部41は、判定画面DBに、平熱の判定情報だけでなく、当該操作者に対して操作継続が可能であることを示すメッセージ70mnを提示するものとしてもよい。また、工作機械ユーザとしての操作者の作業情報に対応して表示される専用のメニュー画面80は、作業項目毎のアイコン、例えば、座標画面に遷移するための現在位置(Position)アイコンI1、プログラム編集画面に遷移するプログラム編集(Program Edit)アイコンI2、設定画面に遷移するセッティング(Setting)アイコンI3、オフセット画面に遷移する工具補正(Tool Offset)アイコンI4、システム画面に遷移するシステムパラメータ(System Parameters)アイコンI5、メッセージ/工具経路図画面に遷移するメッセージ(Message)アイコンI6等が表示されている。これらの内、例えばプログラム編集がその操作者に許可されていなければ、その専用メニュー画面80にはアイコンI2が表示されない。
【0059】
また、体温測定値Tと平均値aとの差bが閾値L1と比較(112S)された結果、閾値L1より差bが大きい場合には、次いで差bと第2の閾値L2(=2℃)との比較(120S)がなされる。差bが閾値L2=2℃より大きい場合には、即ち、当該操作者の平熱の平均値aと体温測定値Tとの差が2℃を超えていれば、体温取得処理部41において操作者は重度の発熱状態であると判定され、その判定結果を示す判定画面DBが表示部2に表示される。同時にその判定結果を示す信号が作業情報処理部43へ出力される。
【0060】
図6に示すように、表示部2では、体温管理画面70上に当該操作者が重度の発熱状態であるとの判定結果を提示する判定画面DBと当該操作者の工作機械ユーザとしての認証画面DCとが表示される。同時に、体温取得処理部41は、体温データベースに蓄積されていた直近の複数回の過去体温測定値に今回の体温測定値Tを加えて体温グラフGを作成し、体温測定値Tと共に体温グラフGを提示する体温表示画面DAを体温管理画面70上に表示させる。なお、体温取得処理部41は、判定画面DBに、判定情報だけでなく、操作継続が禁止されたこと示す警告メッセージ70mwも提示させることが好ましい。
【0061】
以上のように重度発熱の判定がなされた場合、体温取得処理部41は、今回取得された体温測定値Tをその操作者の体温データベースに重度発熱値として追加(132S)し、体温判定終了(150S)となる。一方、体温管理画面70上に、体温測定値Tと重度発熱の判定画面の表示(130S)がなされた後、作業情報処理部43は、操作画面のロック(131S)を行う。これによって、当該操作者は操作継続が禁止され、操作者の専用メニュー画面の表示を不可能とすることで、操作者の体調不良状態での作業進行を阻むことができる。
【0062】
また、体温測定値Tと平均値aとの差bを閾値L2と比較(120S)して、差bが閾値L2=2℃より小さい場合には、即ち、当該操作者の平熱の平均値aと体温測定値Tとの差が1℃を超えて且つ2℃以下であれば、体温取得処理部41において操作者は軽度の発熱状態であると判定され、その判定結果を示す判定画面DBが表示部2に表示される。同時にその判定結果を示す信号が作業情報処理部43へ出力される。
【0063】
図7に示すように、表示部2では、体温管理画面70上に当該操作者が軽度の発熱状態であるとの判定結果を提示する判定画面DBと当該操作者の工作機械ユーザとしての認証画面DCが表示される。同時に、体温取得処理部41は、体温データベースに蓄積されていた直近の複数回の過去体温測定値に今回の体温測定値Tを加えて体温グラフGを作成し、体温測定値Tと共に体温グラフGを提示する体温表示画面DAも体温管理画面70上に表示させる。なお、体温取得処理部41は、判定画面DBに、判定情報だけでなく体調確認を促す注意メッセージ70mcも提示させることが好ましい。
【0064】
以上のように軽度発熱の判定がなされた場合、体温取得処理部41は、今回取得された体温測定値Tをその操作者の体温データベースに軽度発熱値として追加(123S)し、体温判定終了(150S)となる。本実施形態では、体温管理画面70上に体温測定値Tと軽度発熱の判定画面の表示(121S)がなされ、同時に、所定時間後に再度体温測定を行う指示メッセージ70moも表示され、再体温測定時刻のタイマーセット(122S)が行われるものとした。操作者は、この指示に従って、所定時間経過後の再体温測定の結果で平熱判定が得られれば、専用メニュー画面の表示(300S)を行い、所望の作業項目を選択実行し、工作機械操作の開始(301S)へと進むことができる。もちろん、再検温の結果、重度の発熱状態と判定されれば、前述と同様に作業の進行は禁止される。
【0065】
体温管理モード
顔認証処理によって操作者リスト53に予め登録された工作機械ユーザとして識別されていない場合、体温取得処理部41は、体温管理モードTMに進み、図4に示す通り、まず、当該操作者に対して体温管理ユーザ登録の有無の判定(200S)を行う。即ち、当該操作者の例えば氏名等によって、体温管理ユーザとしての登録番号が付与された体温サブデータベースが体温管理ファイル51に存在しているかどうか検索される。
【0066】
当該操作者が体温管理ユーザとして登録されている場合には、その体温サブデータベースと体温測定値Tに基づいて、前述の作業管理モードと同様の工程に沿って体温判定が行われる。即ち、まず体温取得処理部41によって、体温サブデータベースから平熱の平均値aの取得(211S)、次いで体温測定値Tと平均値aとの差bの算出(212S)がなされ、差bと第1の閾値L1および第2の閾値L2との段階的な比較が行われ、発熱状態の判定が行われる。体温管理モードTMでは、主に判定結果を表示部2に表示させるだけであり、作業情報処理部43によって判定結果が工作機械の操作規制に反映されることはない。
【0067】
したがって、まず前記差bと閾値L1との比較(213S)が行われて、差b≦閾値L1である場合は、操作者が平熱であると判定され、表示部2に体温測定値Tと平熱の判定画面の表示(214S)が行われると同時に、体温測定値Tが体温サブデータベースに平熱として追加(215S)され、体温判定終了(250S)となる。
【0068】
本実施形態では、図8に示すように、体温管理モードTMにおける体温管理画面70上に表示されるのは、作業管理モードWMと同様に、体温測定値Tと体温グラフGを提示する体温表示画面DAと、判定結果を提示する判定画面DBと、操作者の認証画面DDである。ただし、操作者の工作機械ユーザとしての顔画像データは登録されていないため、認証画面DDは、登録顔画像が提示されず、体温管理ユーザとしての登録番号70TUを提示するものである。
【0069】
また、前記差bと閾値L1との比較(213S)が行われた結果、差b>閾値L1である場合には、前記差bと第2の閾値L2との比較(220S)が行われる。そして差b>閾値L2である場合には、体温取得処理部41は、当該操作者が重度の発熱状態であると判定し、表示部2に体温測定値Tと重度発熱の判定画面の表示(230S)を行わせると同時に、体温測定値Tが体温サブデータベースに重度発熱値として追加(232S)され、体温判定終了(250S)となる。表示部2においては、図9に示すように、体温測定値Tと体温グラフGとを提示する体温表示画面DAと、判定画面DBと、認証画面DDとが同一の体温管理画面70上に同時に表示される。重度発熱の判定の場合は、その判定画面DBに、業務を止めて帰宅を促すような警告メッセージ70mwも提示することが好ましい。
【0070】
また、前記差bと第2の閾値L2との比較(220S)が行われた結果、差bが閾値L2以下である場合には、体温取得処理部41は、当該操作者が軽度の発熱状態であると判定し、表示部2に体温測定値Tと軽度発熱の判定画面の表示(221S)を行わせる同時に、体温測定値Tが体温サブデータベースに軽度発熱値として追加(223S)され、体温判定終了(250S)となる。表示部2においては、体温測定値Tと体温グラフGとを提示する体温表示画面DAと、判定画面DBと、認証画面DDとが同一の体温管理画面70上に同時に表示される。このとき、その判定画面DBに、体調確認を促す注意メッセージも提示することが好ましい。また、軽度発熱の判定画面の表示と共に所定時間後に再度体温測定を行うための指示メッセージも表示して、数時間後の再体温測定時刻のタイマーセット(222S)を行っても良い。
【0071】
なお、当該操作者がまだ体温管理ユーザとして登録されていない場合、体温取得処理部41は、最初の体温測定値Tに基づいてその操作者の体温サブデータベースを体温管理ファイル51に作成して体温管理ユーザとして登録する(201S)。具体的には、まず当該操作者のために体温管理ユーザとしての登録番号を付与した体温サブデータベースを作成する。
【0072】
そして判定用の平熱の平均値がまだないため、初めて測定された体温測定値Tを予め定められた体温基準値と比較する。本実施形態では、この体温基準値も第1の基準値S1と第2の基準値S2の二段階を設定した。例えば、第1の基準値S1を37.5℃、第2の基準値S2を38.0℃とした。
【0073】
したがって、体温取得処理部41は、まず体温測定値Tと第1の基準値S1との比較(202S)を行う。その結果、体温測定値Tが基準値S1(37.5℃)以下の場合には当該操作者が平熱状態であると判定し、表示部2の体温管理画面70上に体温測定値Tと平熱の判定画面の表示(203S)を行う。このとき、図10に示すように、判定画面DBと共に認証画面DDと体温表示画面DAも同時に表示させるが、体温測定値の過去データがないため、体温表示画面DAには体温グラフGは提示されず、体温測定値Tのみが提示される。この体温測定値Tは、平熱として体温サブデータベースに記憶(204S)され、体温判定終了(250S)となる。
【0074】
また、体温測定値Tと第1の基準値S1との比較(202S)の結果、体温測定値Tが基準値S1(37.5℃)を超えた場合には、体温測定値Tと第2の基準値S2との比較(205S)が行われる。体温測定値Tが基準値S2(38.0℃)以下であれば、体温取得処理部41は、当該操作者が軽度の発熱状態であると判定し、表示部2の体温管理画面70上に体温測定値Tと軽度発熱の判定画面を表示させる(206S)。この体温測定値Tは、軽度発熱値として体温サブデータベースに記憶(208S)され、体温判定終了(250S)となる。また、軽度発熱の判定画面の表示と共に所定時間後に再度体温測定を行うための指示メッセージも表示し、数時間後の再体温測定時刻のタイマーセット(207S)を行っても良い。
【0075】
また、体温測定値Tが第2の基準値S2を超えた場合には、体温取得処理部41は、当該操作者が重度の発熱状態であると判定し、表示部2の体温管理画面70上に体温測定値Tと重度発熱の判定画面を表示させる(209S)。この体温測定値Tは、重度発熱値として体温サブデータベースに記憶(210S)され、体温判定終了(250S)となる。なお、重度発熱の判定を提示する判定画面に、作業や業務を止める警告メッセージも提示することが望ましい。
【0076】
上記のように、本実施例においては、そのマシニングセンタを扱うことがない操作者でも、そのNC操作盤によって体温管理ユーザとして日常的に体温測定を行うことができるため、体温測定値Tによる発熱状態の判定結果に基づいて安全を図るように管理することができる。
【0077】
なお、以上の実施形態において示した体温管理画面上の各ダイアログボックス画面の配置や種類、内容提示の表現等のレイアウトは、例として開示したものであって、本発明はこれらのレイアウトに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
1:NC操作盤
2:表示部
3:CFカードスロット
4:USBポート
5:キーボード
6:マウスパッド
7:マウスボタン
8:操作パネル
9:手動パルス発生器
10:入力部
11:運転準備スイッチ
12:運転終了スイッチ
13:非常停止スイッチ
14:自動運転起動スイッチ
15:フィードホールドスイッチ
16:手動送り速度設定スイッチ
17:早送りオーバーライドスイッチ
18:スピンドル回転数オーバーライドスイッチ
19:操作ドアインターロック解除ボタン
20:サーマルカメラ(赤外線検出カメラ)
21:赤外線集光用レンズ
22:赤外線検出素子
30:可視域画像カメラ
31:可視光集光用レンズ
32:撮像素子(CCDorCMOS)
40:制御部
41:体温取得処理部
WM:作業管理モード
TM:体温管理モード
42:顔認証処理部
43:作業情報処理部
44:加工作業制御処理部
50:記憶部
51:体温管理ファイル
52:顔画像ファイル
53:操作者リスト
54:プログラムファイル
60:工作機械本体
61:加工部
70:体温管理画面
70F:登録顔画像
DA:体温表示画面
T:体温測定値
G:体温グラフ
DB:判定画面
70mn,70mc,70mo,70mw:メッセージ
DC,DD:認証画面
70MU:登録番号(工作機械ユーザ)
70TU:登録番号(体温管理ユーザ)
80:専用メニュー画面
I1,I2,I3,I4,I5,I6:作業項目のアイコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10