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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062551
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】廃液処理装置、加熱調整方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20060101AFI20220413BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20220413BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
C02F1/04 D
B01D19/04 Z
B01D1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170642
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】598140434
【氏名又は名称】株式会社コンヒラ
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】越前 浩
【テーマコード(参考)】
4D011
4D034
4D076
【Fターム(参考)】
4D011BA16
4D011BA20
4D011CA01
4D034AA26
4D034BA01
4D034CA12
4D034CA21
4D076BA02
4D076DA02
4D076DA28
4D076EA06Y
4D076EA08X
4D076EA11Y
4D076EA12X
4D076EA14Y
4D076EA15X
4D076EA16Y
4D076EA23X
4D076EA23Y
4D076EA25X
4D076FA03
4D076FA11
4D076FA12
4D076HA06
(57)【要約】
【課題】処理槽内の廃液を確実に濃縮化することが可能な廃液処理装置、及び加熱調整方法を提供する。
【解決手段】廃液処理装置は、処理槽内の廃液を加熱する加熱部と、処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、泡検知部によって泡が検知された場合に消泡剤を処理槽に供給する消泡剤供給部と、消泡剤が供給されてから予め定められた第1設定時間が経過する前に泡検知部によって再び前記泡が検知された場合に、加熱部による加熱を抑制する加熱制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置であって、
前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、
前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、
前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に消泡剤を前記処理槽に供給する消泡剤供給部と、
前記消泡剤が供給されてから予め定められた第1設定時間が経過する前に前記泡検知部によって再び前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱制御部と、を備える廃液処理装置。
【請求項2】
前記加熱制御部は、前記第1設定時間が短いほど前記加熱部による加熱の抑制量を大きくする、請求項1に記載の廃液処理装置。
【請求項3】
処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置であって、
前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、
前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、
前記含有水分の蒸発によって前記処理槽内の前記廃液の液面が補給水位まで低下した場合に前記処理槽に前記廃液を供給する廃液供給部と、
前記廃液供給部によって前記廃液が供給されてから予め定められた第2設定時間が経過する前に前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱制御部と、を備える廃液処理装置。
【請求項4】
処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置に適用される加熱調整方法であって、
前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、を備え、
前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に消泡剤を前記処理槽に供給する消泡剤供給工程と、
前記消泡剤が供給されてから予め定められた第1設定時間が経過する前に前記泡検知部によって再び前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱抑制工程と、を含む加熱調整方法。
【請求項5】
処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置に適用される加熱調整方法であって、
前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、を備え、
前記含有水分の蒸発によって前記処理槽内の前記廃液の液面が補給水位まで低下した場合に前記処理槽に前記廃液を供給する廃液供給工程と、
前記廃液供給工程によって前記廃液が供給されてから予め定められた第2設定時間が経過する前に前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱抑制工程と、を含む加熱調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置、及び前記廃液処理装置に適用される加熱調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理槽に収容された廃水を加熱することにより水分を蒸発させる蒸発工程と、蒸発によって廃水の液面の位置が所定水位まで低下した場合に処理槽に処理前の廃水を供給(補給)する供給工程と、が繰り返し行われて、廃水を濃縮する処理装置が知られている(特許文献1参照)。前記供給工程では、処理槽に設けられた水位センサー(水位計)によって廃水の液面の位置が検知され、その検知結果に基づいて廃水の供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-044752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、廃水や廃油などの廃棄対象の廃液を処理する従来の廃液処理装置においては、処理槽内に発生した泡が検知されると、処理槽に消泡剤が供給される。しかしながら、処理槽に廃液が補給(補充)されることにより廃液の粘性が高くなると、消泡剤が供給されても、泡の発生を十分に抑制することができなくなる場合がある。泡の発生が頻繁に検知されると、廃液処理装置の運転が異常停止され、処理槽内の廃液を産業廃棄物として排出せざるを得なくなる。この場合、濃縮化が不十分な状態の廃液が排出されるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、処理槽内の廃液を確実に濃縮化することが可能な廃液処理装置、及び加熱調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の一実施形態に係る廃液処理装置は、処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置である。前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に消泡剤を前記処理槽に供給する消泡剤供給部と、前記消泡剤が供給されてから予め定められた第1設定時間が経過する前に前記泡検知部によって再び前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱制御部と、を備える。
【0007】
このように構成されているため、加熱部による加熱の強さを、処理槽内に泡が生じない程度まで抑制することができる。その結果、泡が生じたことを条件にすぐに廃液処理装置を異常停止させることなく、継続して廃液処理装置を運転させることができる。また、加熱力が抑制されるが、連続して廃液処理装置を運転させることにより、廃液の濃縮が途中で終わることなく、所望する濃縮水が得られるまで廃液の濃縮化を行うことができる。
【0008】
(2) 前記加熱制御部は、前記第1設定時間が短いほど前記加熱部による加熱の抑制量を大きくすることを特徴とする。
【0009】
これにより、加熱部による加熱の強さを、泡が生じ難くなるまで徐々に低下させることができる。
【0010】
(3) 本発明の他の実施形態に係る廃液処理装置は、処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置である。前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、前記含有水分の蒸発によって前記処理槽内の前記廃液の液面が補給水位まで低下した場合に前記処理槽に前記廃液を供給する廃液供給部と、前記廃液供給部によって前記廃液が供給されてから予め定められた第2設定時間が経過する前に前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱制御部と、を備える。
【0011】
このように構成されているため、前記第1設定時間が経過することを待たずに、低燃焼処理により加熱部による加熱の強さを、処理槽内に泡が生じない程度まで抑制することができる。ここで、前記第2設定時間は、前記第1設定時間よりも短い時間であることが好ましい。
【0012】
(4) 本発明のその他の実施形態に係る加熱調整方法は、処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置に適用される加熱調整方法である。前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、を備える。前記加熱調整方法は、前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に消泡剤を前記処理槽に供給する消泡剤供給工程と、前記消泡剤が供給されてから予め定められた第1設定時間が経過する前に前記泡検知部によって再び前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱抑制工程と、を含む。
【0013】
(5) 本発明のその他の実施形態に係る加熱調整方法は、処理槽に収容された廃液を加熱して含有水分を蒸発させることにより前記廃液を濃縮する廃液処理装置に適用される加熱調整方法である。前記廃液処理装置は、前記処理槽内の前記廃液を加熱する加熱部と、前記処理槽内に発生する泡を検知する泡検知部と、を備える。前記加熱調整方法は、前記含有水分の蒸発によって前記処理槽内の前記廃液の液面が補給水位まで低下した場合に前記処理槽に前記廃液を供給する廃液供給工程と、前記廃液供給工程によって前記廃液が供給されてから予め定められた第2設定時間が経過する前に前記泡検知部によって前記泡が検知された場合に、前記加熱部による加熱を抑制する加熱抑制工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処理槽内の廃液を確実に濃縮化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る廃水濃縮装置11を含む廃水処理システム10の構成を示す図である。
図2図2は、廃水濃縮装置11の構成を示すブロック図である。
図3図3は、廃水濃縮装置11において実行される濃縮処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、廃水濃縮装置11において実行される濃縮処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、濃縮処理に含まれる低燃焼処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、廃水濃縮装置11において実行される濃縮処理の手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
[廃水処理システム10]
図1に示す廃水処理システム10は、工場などから排出される廃水(廃液)を処理するものであり、具体的には、前記廃水から水分を蒸発させて前記廃水を濃縮化するとともに、前記廃水から生じた気体に含まれている難分解性物質を分解浄化するものである。
【0018】
以下においては、廃水処理システム10における処理対象として、工場や事業所などで使用された後に廃棄される液体であって、不純物や有害物質などによって汚染された廃水を例示する。具体例としては、例えば、金属の切削加工の際に潤滑及び冷却に用いられた使用済みの切削油剤(難分解性物質の一例)が前記廃水に該当する。ここで、切削油剤は、JIS K 2241に定められるA1種の水溶性切削油剤であり、これは、水よりも密度の小さいものである。また、廃水には、前記切削油剤だけでなく、切削加工によって生じた金属粉も含まれる。なお、廃水処理システム10による処理対象は、A1種の水溶性切削油剤を含む廃水に限られず、例えば、他の水溶性切削油剤(A2種及びA3種)、或いは、JIS K 2241に定められる不水溶性切削油剤(N1~N4種)を含む廃水であってもよい。また、前記廃水は、有機廃水、含油廃水、医薬・食品廃水、メッキ廃水、塗装廃水など、様々な分野又は業種で使用された廃液を含む。
【0019】
図1に示すように、廃水処理システム10は、大別すると、廃水濃縮装置11(本発明の廃液処理装置の一例)と、分解処理装置12と、廃水処理システム10の動作を制御する制御装置13(図2参照)と、を有する。廃水濃縮装置11と分解処理装置12とは、廃水濃縮装置11から分解処理装置12へ蒸気を含む気体が送り込まれるように、互いに連結ダクト14によって連結されている。
【0020】
なお、本実施形態では、本発明の廃液処理装置の一例として、廃水処理システム10の廃水濃縮装置11を例示して説明するが、例えば、本発明の廃液処理装置は、工場などから排出される水分を含む廃油(廃液)などを処理する廃油処理装置であってもよい。
【0021】
[廃水濃縮装置11]
廃水濃縮装置11は、処理槽16に収容された廃水を加熱することにより水分を蒸発させて前記廃水を濃縮するものである。図1に示すように、廃水濃縮装置11は、主として、処理槽16(本発明の処理槽の一例)と、水位槽18と、第1加熱装置22(本発明の加熱部の一例)と、第2加熱装置23と、送気ブロアー24と、各種センサー32~35と、消泡剤供給部27(本発明の消泡剤供給部の一例)と、供給ポンプ61と、排出ポンプ62と、を備える。
【0022】
処理槽16は、処理対象である廃水を収容するためのものである。処理槽16の内部に、所定量の廃水が貯留される。廃水を濃縮処理する工程においては、廃水の水位が後述する上限水位H1となるように、廃水が処理槽16に供給される。つまり、前記上限水位H1は、廃水を濃縮処理する工程において廃水が処理槽16に貯留される上限水位である。
【0023】
本実施形態では、処理槽16に貯留されて濃縮処理される廃水は、例えば、工場などにおいて工業生産に水が使用され、その使用後に廃棄される汚水(所謂工業廃水)である。前記廃水は、上述したように、JIS K 2241に定められるA1種の水溶性切削油剤(以下、単に「水溶性切削油剤」と称する場合がある。)、前記金属粉、及び水を含むものである。A1種の水溶性切削油剤は、水に溶け難い疎水性物質の一例である油成分(鉱油又は脂肪油など)と、乳化剤としての界面活性剤とを含み、水に希釈されることにより乳化して乳白色のエマルション(乳濁液)となる。なお、前記廃水には、パラフィンや、1,4-ジオキサンなどの物質、防錆油添加剤、精製鉱物油、界面活性剤、潤滑性向上用の添加剤などが含まれている場合がある。これらはいずれも、難分解性の物質である。
【0024】
処理対象である廃水は、別途設置された廃水タンク81に貯留されている。前記廃水における水溶性切削油剤の含有率や、水の含有率などは、廃水の回収元である工場や事業所ごとによって異なる。したがって、工場や事業所から廃水処理システム10が設置された廃水処理プラントに搬入された濃縮処理対象の廃水の粘性は、回収元それぞれによって異なり、粘性が高い廃水が搬入される場合もあれば、粘性の低い廃水が搬入される場合もある。そのため、廃水タンク81に貯留される廃水の状態(粘性の程度や、難分解性物質の含有量など)は廃水タンク81に廃水が追加されるたびに変動する。
【0025】
廃水タンク81は、配管51によって処理槽16に接続されている。配管51には、電気駆動によって開閉される電動弁51Aと、供給ポンプ61とが設けられている。供給ポンプ61は、廃水タンク81と電動弁51Aとの間に設けられている。供給ポンプ61は、必要に応じて廃水タンク81から処理槽16に廃水を供給するための電動ポンプである。電動弁51A及び供給ポンプ61は、制御装置13の制御部100(図2参照)によって駆動制御される。電動弁51Aが制御部100によって制御されて開けられ、そして、供給ポンプ61が制御部100によって駆動されることにより、廃水タンク81から処理槽16に廃水が供給される。また、電動弁51Aが閉じられて、供給ポンプ61の駆動が停止されると、廃水の供給が停止される。なお、電動弁51A及び供給ポンプ61によって、廃水タンク81の廃水を処理槽16に供給する本発明の廃液供給部が実現される。
【0026】
処理槽16の底部には、多数の小孔が形成されたバブリング管26が設けられている。バブリング管26は、エアー配管55によって、外部に設置された圧縮空気源としてのエアータンク37(圧縮空気供給部)と接続されている。エアー配管55に設けられた電磁弁55Aが動作されて圧縮空気がエアー配管55に供給されると、バブリング管26から無数の気泡が生じ、処理槽16内の廃水が前記気泡の上昇流によって撹拌される。なお、前記圧縮空気源は、エアコンプレッサーであってもよい。
【0027】
第1加熱装置22は、処理槽16内に貯留された廃水を加熱するものである。第1加熱装置22は、例えば、処理槽16に配置される燃焼炉221と、燃焼炉221に熱を放射するバーナー222と、燃料ガスの量を調整する均圧弁223と、バーナー222に空気を供給するブロアー224と、バーナー222に供給される空気の供給量を調整する電動弁225と、を有する。燃焼炉221はパイプ状に形成されており、処理槽16の内部に設けられている。燃焼炉221は、処理槽16の内部において高さ方向の中間位置よりも下方に設けられており、処理槽16に所定量の廃水が貯留された状態でその全部が液体中に配置される。バーナー222は、燃焼炉221内で燃料ガスが燃焼して、熱を供給する。燃焼後の排気ガスは、燃焼炉221から、処理槽16に接続された排気管31に送出され、排気管31から外部へ排出される。
【0028】
バーナー222には、燃料ガスを供給するための配管56が接続されており、また、配管56とは別に、ブロアー224からの空気を供給するための配管57が接続されている。電動弁225は、配管57に設けられている。電動弁225は、制御装置13の制御部100(図2参照)によって駆動制御される。具体的には、制御部100が駆動信号を電動弁225に出力すると電動弁225が開けられ、前記駆動信号の出力を停止すると、電動弁225が閉じられる。
【0029】
均圧弁223は配管56に設けられている。また、均圧弁223には、配管57における電動弁225の二次側から分岐した分岐配管58が接続されている。均圧弁223は、分岐配管58における空気圧と概ね同じ圧力となるように配管56におけるガス圧を調整する。
【0030】
ブロアー224は、電気駆動される送風機である。第1加熱装置22は、ブロアー224を駆動制御するブロア制御部226を有する。ブロア制御部226は、インバーター制御によってブロアー224を駆動する。制御部100がブロア制御部226に所定風量に応じた駆動信号を出力すると、ブロア制御部226は、所定風量に応じた周波数信号をブロアー224出力して、ブロアー224の駆動を制御する。なお、前記駆動信号の出力レベルが変更されることにより、前記周波数信号の周波数が変更されて、ブロアー224の風量が調整される。
【0031】
第1加熱装置22は、所謂均圧弁方式によって燃焼を制御して、廃水の加熱を制御するものである。第1加熱装置22では、ブロア制御部226によって所定風量となるように前記周波数信号がブロアー224に出力されると、ブロアー224から配管57に空気が供給される。そして、ブロアー224の風量が調整されると、配管57,58における空気圧が変動し、また、均圧弁223は配管57,58の空気圧に応じた開度に調整される。これにより、ブロアー224から供給される風量が調整されることにより、バーナー222に供給される空気と燃料ガスとの空燃比を適正値に維持しつつ、バーナー222の燃焼量を調整することが可能である。つまり、第1加熱装置22は、ブロアー224の風量が制御されることにより、処理槽16内に貯留された廃水の加熱を制御することが可能である。
【0032】
なお、第1加熱装置22は、前記均圧弁方式によって加熱する構成のものに限られない。例えば、第1加熱装置22は、均圧弁223に替えて配管56に電動弁を設け、この電動弁の開度をブロアー224の風量に応じて制御する方式によって加熱するものであってもよい。
【0033】
また、第1加熱装置22は、処理槽16内の廃水を加熱するものであれば、如何なる構成のものであってもよく、バーナー222や燃焼炉221に替えて、電気ヒーターを用いたものであってもよい。この場合、制御部100から前記電気ヒーターを駆動させる駆動信号が出力され、この駆動信号のレベルが調整されることにより、第1加熱装置22は、処理槽16内に貯留された廃水の加熱を制御する。
【0034】
送気ブロアー24(図1参照)は、電気駆動される送風機である。送気ブロアー24は、第1加熱装置22による加熱によって処理槽16内の廃水から生じた蒸気を処理槽16から外部へ向けて送出する。送気ブロアー24は、配管25によって、連結ダクト14の一部である中間ダクト14Aに連結されている。中間ダクト14Aは、処理槽16の上面から上方へ延出するダクト部材である。送気ブロアー24から送出された空気は、配管25を通じて中間ダクト14Aの内部に送り込まれる。本実施形態では、送気ブロアー24によって送出された空気は、配管25によって、中間ダクト14Aの内部に上向きの気流を生じさせる方向へ送り込まれる。中間ダクト14Aに送り込まれた空気による気流によって、処理槽16で発生した蒸気等を含む気体が連結ダクト14へ導かれ、これにより、前記気体が処理槽16の外部に排出される。なお、連結ダクト14に入り込んだ前記気体は、連結ダクト14を通って分解処理装置12に送り込まれる。
【0035】
第2加熱装置23は、連結ダクト14に設けられている。第2加熱装置23は、連結ダクト14を通過する気体(蒸気及び空気)を加熱する。第2加熱装置23は、例えばハロゲンヒーターなどの電気ヒーター23Aと、電気ヒーター23Aを駆動させるドライバー回路を含む第2加熱制御部23Bとが一体に構成されたユニットタイプのものである。電気ヒーター23Aは、連結ダクト14の内部に設けられており、第2加熱制御部23Bは、連結ダクト14の外部に配置されている。第2加熱装置23は、制御部100によって駆動されることによって連結ダクト14内の気体を加熱する。具体的には、制御部100から駆動信号が第2加熱制御部23Bに送られると、第2加熱制御部23Bは、前記駆動信号に基づいて電気ヒーター23Aを駆動させて加熱制御する。なお、第2加熱装置23は、連結ダクト14内の気体を加熱するものであれば、抵抗加熱方式、赤外線加熱方式、マイクロ波加熱方式、 誘電加熱方式、誘導加熱方式のいずれの加熱方式のものであってもよい。
【0036】
消泡剤供給部27は、消泡剤を収容する収容ボックス30と、収容ボックス30と処理槽16とを連結する配管29に設けられた電動弁29Aとを備える。後述の泡センサー33によって処理槽16内に泡が発生したことが検知されると、電動弁29Aが開けられて、収容ボックス30から配管29を通じて前記消泡剤が処理槽16内に投入(供給)される。消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤や有機系消泡剤などが適用可能である。しかし、コスト面において、水道源又は水タンクなどの水供給源から供給される水を消泡剤として用いることが好ましい。なお、消泡剤として水を用いる場合は、配管29の端部に噴霧ノズルを設け、前記噴霧ノズルから処理槽16内の液面へ向けて霧状の水が噴霧される。
【0037】
また、処理槽16には、水道源又は水タンクなどの水供給源(不図示)から延びる給水管28が接続されている。給水管28には、水の供給又は停止をするための電動弁28Aが設けられている。電動弁28Aは、例えば電動ボールバルブである。電動弁28Aの開閉が制御装置13の制御部100によって制御されることにより、必要に応じて、給水管28から処理槽16に水が供給される。
【0038】
排出ポンプ62は、電動ポンプである。排出ポンプ62は、必要に応じて、処理槽16に貯留されている廃水を処理槽16の外部に排出する。本実施形態では、排出ポンプ62は、濃縮処理後の処理槽16内の濃縮水を外部タンク36に送る用途に用いられる。処理槽16の底部に配管54が接続されており、この配管54は、外部タンク36に接続されている。排出ポンプ62は、配管54に設けられている。
【0039】
また、配管54には、排出ポンプ62よりも上流側に、電気駆動によって開閉される電動弁54Aが設けられている。電動弁54Aが制御部100による制御によって開けられ、そして、排出ポンプ62が制御部100によって駆動されることにより、処理槽16内の廃水(濃縮水)が外部タンク36に排出される。また、電動弁54Aが閉じられて、排出ポンプ62の駆動が停止されると、前記廃水の排出が停止する。
【0040】
水位槽18は、処理槽16に並ぶように併設されており、処理槽16と同様に、内部に廃水を貯留可能に形成されている。水位槽18は、大気と連通する開口やダクト等を有しておらず、密閉型に形成されている。水位槽18は、後述するように、内部に廃水を貯留させ、その廃水の水位を測定する用途に用いられる。水位槽18は、高さ方向のサイズが処理槽16と同じであり、高さ方向において処理槽16と同じ位置に設置されている。水位槽18は、このような用途に適用可能な容量であれば十分であり、本実施形態では、処理槽16に比べて容量が小さい。
【0041】
図1に示すように、処理槽16の下部と水位槽18の下部とが、両槽間で廃水が流通可能なように、連結管52によって連結されている。このように、処理槽16及び水位槽18それぞれが連結管52によって連結されているため、処理槽16に廃水が供給されると、その廃水が水位槽18に行き渡り、水位槽18における廃水の液面の位置(水位)が処理槽16内の廃水の液面の位置と同じ高さとなる。
【0042】
また、処理槽16の上部と水位槽18の上部とが連結管53で連結されており、処理槽16の上部の空気層と水位槽18の上部の空気層とが連結管52によって連通している。したがって、水位槽18は、連結管53、及び処理槽16を介して、大気連通可能である。
【0043】
水位槽18には、液面センサー34が設けられている。液面センサー34は、水位槽18に貯留されている前記廃水の液面の位置(水位)を検知するものであり、具体的には、液面へ向けて送出して液面で反射したパルス信号を受信することにより、液面の位置(水位)を検知するガイドパルス式のセンサーである。液面センサー34は、廃水の液面が、水位槽18に定められた前記上限水位H1、前記上限水位H1よりも低い補給水位H2、或いは、前記補給水位H2よりも更に低い下限水位H3のいずれかに達したことを検知するために用いられる。なお、液面センサー34は、例えば、フロートスイッチタイプのものや静電容量を用いたものであってもよい。
【0044】
本実施形態では、前記上限水位H1は、処理槽16に規定量(例えば500リットル)の廃水が貯留されたときの水位に定められている。また、前記補給水位H2は、処理槽16に前記規定量の90%の廃水が貯留されたときの水位に定められている。前記補給水位H2は、処理槽16の廃水が蒸発して減少したことにより、廃水の補給が必要か否かを判定するために用いられる水位である。前記下限水位H3は、処理槽16内の濃縮水が排出されて、処理槽16内が空か否かを判定するために用いられる水位である。
【0045】
液面センサー34は、廃水の液面の位置に対応する検知信号を制御部100に送り、制御部100は、その検知信号のレベルが前記上限水位H1や前記補給水位H2に対応するレベル値であるか否かによって、液面が前記上限水位H1、或いは前記補給水位H2に達したか否かを判定する。
【0046】
処理槽16には、温度センサー32、泡センサー33(本発明の泡検知部の一例)、温度センサー35が設けられている。
【0047】
温度センサー32は、処理槽16に収容されている廃水の温度を検出するものであり、例えば、測温抵抗体、熱電対、或いはサーミスタなどで構成されている。温度センサー32は、検出対象の温度に応じたセンサー信号を制御装置13の制御部100に送る。制御部100は、そのセンサー信号に基づいて検出対象の温度を算出し、その温度情報を液晶モニター106に表示する。
【0048】
また、第1加熱装置22は、温度センサー32によって検出された温度が予め定められた設定温度を超えた場合に、加熱を停止する。前記設定温度の情報は、EEPROM104に記憶されている。本実施形態では、前記設定温度は105℃に設定されている。検出温度が105℃を超えた場合は、廃水の濃縮化が進み、廃水が異常な温度まで昇温していることを意味する。したがって、この場合は、これ以上の濃縮処理を停止するため、第1加熱装置22は加熱を停止する。
【0049】
泡センサー33は、処理槽16に貯留されている廃水の液面に発生した泡の有無を検知するものである。処理槽16の廃水が加熱されると、加熱により生じる気泡によって廃水の液面が泡立つ場合がある。廃水の粘性が高ければ高いほど、泡が発生しやくすなる。泡センサー33は、このように発生した泡の有無を検知する。泡センサー33は、例えば、処理槽16の上部の空間に所定距離を隔てて離間された発光素子及び受光素子により構成されている。前記発光素子及び前記受光素子は、前記上限水位H1よりも少し上方の位置、具体的には、前記上限水位H1よりも150mm高い位置に設けられている。
【0050】
前記発光素子は、例えば発光ダイオードである。前記受光素子は、例えばフォトトランジスタである。発光素子から受光素子に光が照射されており、その照射光に応じた電圧信号が制御部100に送られる。廃水の液面に生じた泡が増加して、その泡が前記発光素子から前記受光素子に至る光路に到達すると、光路を通る前記光が遮られ、前記電圧信号の電圧レベルが低下する。制御部100は、前記電圧レベルが所定の閾値未満になった場合に、液面に泡が生じていると判定する。本実施形態では、発生した泡が液面から離れて連結ダクト14を通って分解処理装置12に送られると、分解処理装置12が停止したり故障したりするおそれがある。そのため、制御部100は、泡が生じていると判定した場合に、電動弁29Aを制御して、消泡剤供給部27から処理槽16に消泡剤を供給する。
【0051】
温度センサー35は、処理槽16の上面に設けられている。温度センサー35は、処理槽16の内部の温度、具体的には、処理槽16の上部の空間内の気体の温度を検出するものである。温度センサー35は、例えば、測温抵抗体などで構成されている。温度センサー35は、検出対象の温度に応じたセンサー信号を制御部100に送る。制御部100は、そのセンサー信号に基づいて検出対象の温度を算出し、その温度情報を液晶モニター106に表示する。
【0052】
[分解処理装置12]
分解処理装置12は、連結ダクト14よりも下流側に設けられている。分解処理装置12は、筒状の筐体41と、酸化触媒43と、排気ダクト44と、を備えている。
【0053】
筐体41は、鉛直方向に延びる断面円形の筒形状に形成されている。筐体41の一方側(入口側)は連結ダクト14の出口側に連結しており、連結ダクト14から案内された気体を内部に流入させる。筐体41の他方側(出口側)には排気ダクト44が連結されている。連結ダクト14から送られてきた気体(蒸気)は、筐体41の内部を通って上方へ案内されて、排気ダクト44に流入する。つまり、筐体41の内部では、下部から上方へ向かう気流が生じる。
【0054】
酸化触媒43は、筐体41の内部に設けられている。酸化触媒43は、白金を主成分とする金属触媒であり、ハニカム構造を有する所謂メタルハニカム触媒である。ハニカム構造の内部を連結ダクト14から送り込まれた蒸気を含む気体が通ることによって、その気体に含まれている難分解性の物質と酸化触媒43とが酸化反応して、当該物質が分解される。
【0055】
[制御装置13]
制御装置13は、第1加熱装置22による処理槽16内の廃水の加熱の制御、第2加熱装置23による気体(蒸気又は空気)の加熱の制御、供給ポンプ61等による処理槽16への廃水の供給又は補給の制御、排出ポンプ62等による濃縮後の廃水(濃縮水)の排出の制御、消泡剤供給部27の電動弁29Aによる消泡剤の供給の制御、電動弁28Aによる水の供給の制御などを行う。
【0056】
図2に示すように、制御装置13は、その内部に、シーケンサーなどの制御部100などが設けられている。また、制御装置13の筐体には、液晶モニター106や、動作指示を入力するための操作部107などが設けられている。
【0057】
制御部100に、記憶部105、液晶モニター106、操作部107、各種センサー32~35、各種ポンプ61,62、各種電動弁28A,29A,51A,54A、第1加熱装置22、及び第2加熱装置23などが接続されており、互いに信号やデータの相互通信が可能に構成されている。液晶モニター106には、液面センサー34の出力に基づいて、処理槽16の廃水の水位が表示される。
【0058】
制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104(登録商標)等を有するコンピューターであり、廃水処理システム10を統括的に制御する。ROM102に制御プログラムが記憶されており、CPU101が前記制御プログラムを読み出した実行することによって、後述の濃縮処理や、低燃焼処理などが実行される。
【0059】
ところで、廃水を濃縮処理する廃水濃縮装置11においては、処理槽16内に発生した泡が泡センサー33によって検知されると、処理槽16内に消泡剤供給部27から消泡剤が供給される。しかしながら、処理槽16に廃水タンク81から廃水が補給されることにより廃水の粘性が高くなると、消泡剤が供給されても、泡の発生を十分に抑制することができなくなる場合がある。廃水濃縮装置11では、泡の発生が複数回連続して検知されると、運転が異常停止され、濃縮処理が中止され、処理槽16内の廃水を産業廃棄物として排出せざるを得なくなる。この場合、濃縮化が不十分な状態の廃水が排出されるおそれがある。
【0060】
これに対して、本実施形態では、処理槽16内の廃水を確実に濃縮化することが可能なように、廃水濃縮装置11において、後述する濃縮処理、及び低燃焼処理が行われる。
【0061】
[濃縮処理]
次に、図3及び図4のフローチャートを参照して、廃水濃縮装置11の制御部100によって実行される濃縮処理の手順の一例について説明するとともに、本発明の加熱調整方法について説明する。ここで、図3及び図4は、廃水濃縮装置11の制御部100によって実行される濃縮処理の手順の一例を示すフローチャートである。図中において、S11、S12、・・・は処理手順(ステップ)の番号を表している。各ステップにおける処理は、制御部100によって、より詳細にはCPU101がROM102内の制御プログラムを実行することによって行われる。
【0062】
なお、以下においては、説明の便宜上、処理槽16及び水位槽18それぞれが空の状態であり、各電動弁28A,29A,51A,54A,225が閉状態であり、電磁弁55Aが閉位置にある場合に、ステップS11以降の処理が行われる例について説明する。
【0063】
ステップS11では、制御部100は、処理槽16に廃水を供給する廃水供給処理(廃水供給工程)を行う。具体的には、制御部100は、電動弁51Aを制御して、電動弁51Aを閉位置から開位置に作動し、また、供給ポンプ61を駆動させる。これにより、廃水タンク81から処理槽16への廃水の供給が開始される。
【0064】
供給ポンプ61によって廃水が処理槽16に供給されると、処理槽16の下部から連結管52を通って廃水が水位槽18に流入する。その後、廃水が前記上限水位H1まで貯留されると、制御部100は、廃水の供給を停止する。具体的には、制御部100は、液面センサー34からの検知信号に基づいて、廃水の液面が前記上限水位H1に到達したと判定すると、電動弁51Aを閉位置に戻し、供給ポンプ61を停止して、廃水の供給を停止する。
【0065】
次のステップS12では、制御部100は、処理槽16に貯留された廃水を加熱する加熱処理(加熱工程)を開始する。具体的には、制御部100は、第1加熱装置22の電動弁225を閉位置から開位置に作動し、また、ブロアー224を駆動させて空気を配管57に供給し、その後、バーナー222において燃料ガスを着火して、燃料ガスを燃焼させる。このとき、第1加熱装置22は、予め定められた火力となるように加熱制御する。具体的には、制御部100からの駆動信号を受けたブロア制御部226は、予め定められた基準周波数(例えば、60Hz)の周波数信号をブロアー224に出力して、予め定められた定格風量となるようにブロアー224を駆動させる。
【0066】
また、ステップS12において、制御部100は、第2加熱装置23の第2加熱制御部23Bに駆動信号を出力して、第2加熱装置23の電気ヒーター23Aを駆動させる。このとき、第2加熱制御部23Bは、PID制御によって、酸化触媒43の入口温度が、前記難分解性の物質などを酸化可能な温度となるように電気ヒーター23Aを加熱制御する。また、制御部100は、送気ブロアー24を駆動して、連結ダクト14内に空気を送り込む。これにより、処理槽16で生じた水蒸気が連結ダクト14に吸い込まれて、更に、連結ダクト14を通って筐体41に送風されて、酸化触媒43側へ送り込まれる。
【0067】
ステップS12の加熱処理が開始されると、処理槽16内の廃水の貯留量は含有水分の蒸発によって徐々に減少して、廃水の濃縮化が進む。
【0068】
ステップS13では、制御部100は、温度センサー32のセンサー信号に基づいて、廃水が異常な温度(設定温度105℃)まで昇温したか否かを判定する。ここで、前記設定温度まで上昇したと判定されると、制御部100は、液晶モニター106に廃水温度異常のエラーを出力し、更に第1加熱装置22及び第2加熱装置23による加熱処理を停止するエラー処理を行う(S131)。その後、一連の処理が終了する。
【0069】
ステップS13において、廃水が異常な温度ではないと判定されると、制御部100は、処理槽16の廃水が前記補給水位H2まで減少したかどうかを判定する(S14)。この判定処理は、液面センサー34からの検知信号に基づいて行われる。制御部100は、廃水の液面が前記補給水位H2まで低下したと判定すると(S14のYES)、次のステップS15の処理が行われる。
【0070】
ステップS15では、廃水の補給回数が予め定められた設定回数N1に達したか否かを判定する。ここで、前記補給回数が設定回数N1に達していないと判定されると、制御部100は、次のステップS16に移行する。
【0071】
前記設定回数N1は、所望する濃縮水(例えば含水率30%程度の廃水)が得られる回数に定められている。本実施形態では、前記設定回数N1が2000回に設定されている。なお、この設定回数N1の数値は任意であり、廃水における水の含有率や処理槽16の容積、加熱される廃水の設定温度(本実施形態では、例えば105℃)などに応じて定められる。
【0072】
ステップS16では、制御部100は、廃水を処理槽16に補給する廃水補給処理(廃水補給工程)を行う。この廃水補給処理は、上述したステップS11の処理と同じ処理であるため、ここでの詳細な説明は省略する。その後、ステップS13に戻り、ステップS13以降の処理が行われる。なお、ステップS16は、本発明の廃液供給工程の一例である。
【0073】
一方、ステップS15において、前記補給回数が設定回数N1に達したと判定されると、制御部100は、ステップS17に移行して、第1加熱装置22及び第2加熱装置23による加熱処理を停止する(S17)。
【0074】
その後、ステップS18において、制御部100は、処理槽16に溜まっている濃縮処理後の濃縮水を排出する濃縮水排出処理(濃縮水排出工程)を行う。具体的には、制御部100は、電動弁54Aを閉位置から開位置に作動させ、排出ポンプ62を駆動させる。処理槽16の底部から濃縮水が排出されて、配管54を通って、外部タンク36に貯留される。
【0075】
ステップS14において、廃水の液面が前記補給水位H2まで低下していないと判定されると(S14のNO)、制御部100は、次のステップS19において、泡センサー33のセンサー信号に基づいて、処理槽16に泡が生じたが否かを判定する。ここで、泡が発生したと判定されると、制御部100は、図4のステップS23に移行する。一方、泡が検知されてなかった場合、制御部100は、ステップS20に移行する。
【0076】
ステップS20では、制御部100は、前回に泡を検出したときからの経過時間、つまり、泡を検知していない時間(以下、非検知時間と称する。)が予め定められた設定時間T1以上であるか否かを判定する。前記被検知時間が前記設定時間T1以上である場合は、後述の低燃焼状態であるか否かを判定し(S21)、低燃焼状態である場合は、燃焼増加処理を行う(S22)。ここで、前記低燃焼状態は、後述の低燃焼処理(図4のS25)によって第1加熱装置22による加熱が抑制されて、バーナー222の燃焼が抑制された状態である。処理槽16において、前記設定時間T1以上泡が検知されなかった場合は、低燃焼にしておく必要はないため、制御部100は、低燃焼状態から加熱を増加して、燃焼量を増加する処理を行う。具体的には、制御部100は、現在のブロアー224の風量を、前記定格風量の10%分を増加させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を大きくする。
【0077】
なお、ステップS20において、前記非検知時間が前記設定時間T1未満であると判定された場合、或いは、ステップS21において低燃焼状態ではないと判定された場合、制御部100は、ステップS13に戻り、ステップS13移行の処理を行う。
【0078】
図4に示すように、処理がステップS23に進むと、制御部100は、処理槽16に発生した泡を消すために、電動弁29Aを制御して、消泡剤供給部27から処理槽16に消泡剤を供給する。なお、ステップS23は、本発明の消泡剤供給工程の一例である。
【0079】
次のステップS24では、制御部100は、予め定められた設定時間T10(本発明の第1設定時間の一例)が経過するまでに再び泡を検知したか否かを判定する。つまり、制御部100は、消泡剤が供給されてから前記設定時間T10が経過する前に泡センサー33によって再び泡が検知されたか否かを判定する。ここで、前記設定時間T10は、後述の低燃焼処理を実行するか否かを判定するための基準となる時間であり、本実施形態では、前記設定時間T10は、60秒に定められている。なお、前記設定時間T10は、消泡剤の供給が開始された時点(電動弁29Aが開にされた時点)からカウントしてもよいし、消泡剤の供給が完了した時点(電動弁29Aが閉にされた時点)からカウントしてもよい。
【0080】
ステップS24において、前記設定時間T10が経過する前に泡が再検知された場合は、制御部100は、次のステップS25において、第1加熱装置22による加熱を抑制する低燃焼処理を行う。前記低燃焼処理は、例えば、現在のブロアー224の風量を、前記定格風量の10%分を減少させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を小さくする処理である。このような処理を行う制御部100は、本発明の加熱制御部の一例である。また、ステップS25は、本発明の加熱抑制工程の一例である。一方、ステップS24において、前記設定時間T10が経過する前に泡が再検知されなかった場合は、制御部100は、前記低燃焼処理を行わずに、ステップS13に戻り、ステップS13以降の処理を行う。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、廃水濃縮装置11において、廃水に含まれる水分の蒸発によって処理槽16内の廃水の液面が前記補給水位H2まで低下した場合に処理槽16に前記廃水を補給し、そして、廃水の補給が終了してから予め定められた前記設定時間T10が経過する前に泡センサー33によって泡が検知された場合に、第1加熱装置22による加熱を抑制する低燃焼処理が行われる。これにより、第1加熱装置22による加熱を、処理槽16内に泡が生じない程度まで抑制することができる。その結果、泡が生じたことを条件にすぐに廃水濃縮装置11を異常停止させることなく、継続して廃水濃縮装置11を運転させることができる。また、加熱力が抑制されたものの連続して運転されることにより、廃水の濃縮が途中で終わることなく、所望する濃縮水(例えば含水率30%程度の廃水)が得られるまで廃水の濃縮化を行うことができる。
【0082】
なお、図4に示す低燃焼処理(S25)は、例えば、図5に示すフローチャートに従って実行されてもよい。ここで、図5は、前記低燃焼処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【0083】
図5に示すように、前記低燃焼処理は、消泡剤が供給されてから再び泡が検知されるまでの時間Tr(以下、再検知時間Trと称する。)が短いほど第1加熱装置22による加熱の抑制量を大きくする、つまり、燃料量を小さくする処理である。
【0084】
具体的には、まず、ステップS251において、制御部100は、再検知時間Trが予め定められた設定時間T11以上であるか否かを判定する。前記設定時間T11は、例えば30秒である。つまり、制御部100は、前記再検知時間Trが、前記設定時間T11以上であり、前記設定時間T10未満であるか否かを判定する。ここで、前記再検知時間Trが、前記設定時間T11以上であると判定されると、制御部100は、ブロアー224が供給する風量を、前記定格風量の15%分だけ減少させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を小さくする(S252)。具体的には、前記基準周波数(例えば、60Hz)よりも15%だけ周波数を小さくした周波数信号をブロア制御部226からブロアー224に出力させる。その後、ステップS13に戻る。
【0085】
ステップS251において、再検知時間Trが前記設定時間T11未満であると判定されると、制御部100は、次のステップS253において、再検知時間Trが予め定められた設定時間T12以上であるか否かを判定する。前記設定時間T12は、例えば10秒である。つまり、制御部100は、前記再検知時間Trが、前記設定時間T12以上であり、前記設定時間T11未満であるか否かを判定する。ここで、前記再検知時間Trが、前記設定時間T12以上であると判定されると、制御部100は、ブロアー224が供給する風量を、前記定格風量の30%分だけ減少させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を小さくする(S254)。具体的には、前記基準周波数(例えば、60Hz)よりも30%だけ周波数を小さくした周波数信号をブロア制御部226からブロアー224に出力させる。その後、ステップS13に戻る。
【0086】
ステップS253において、再検知時間Trが前記設定時間T12未満であると判定されると、制御部100は、次のステップS255において、再検知時間Trが予め定められた設定時間T13以上であるか否かを判定する。前記設定時間T13は、例えば3秒である。つまり、制御部100は、前記再検知時間Trが、前記設定時間T13以上であり、前記設定時間T12未満であるか否かを判定する。ここで、前記再検知時間Trが、前記設定時間T13以上であると判定されると、制御部100は、ブロアー224が供給する風量を、前記定格風量の45%分だけ減少させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を小さくする(S256)。具体的には、前記基準周波数(例えば、60Hz)よりも45%だけ周波数を小さくした周波数信号をブロア制御部226からブロアー224に出力させる。その後、ステップS13に戻る。
【0087】
また、ステップS255において、再検知時間Trが予め定められた設定時間T13未満であると判定されると、制御部100は、ブロアー224が供給する風量を、前記定格風量の60%分だけ減少させるように、ブロア制御部226への周波数信号の周波数を小さくする(S257)。具体的には、前記基準周波数(例えば、60Hz)よりも60%だけ周波数を小さくした周波数信号をブロア制御部226からブロアー224に出力させる。その後、ステップS13に戻る。
【0088】
このような低燃焼処理が行われることにより、第1加熱装置22による加熱の強さを、泡が生じ難くなるまで徐々に低下させることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、図4に示すように、消泡剤が供給されてからステップS24の判定処理を行う処理例について説明したが、本発明はこのような処理例に限られない。例えば、図6に示すように、処理槽16に廃水が補給されてから予め定められた設定時間T20(本発明の第2設定時間の一例)が経過する前に泡センサー33によって泡が検知された場合に、第1加熱装置22による加熱を抑制する低燃焼処理が行われてもよい。ここで、前記設定時間T20は、前記設定時間T10よりも短い時間に定められている。前記設定時間T20は、ステップS16による廃水の補給が行われた直後に泡が検知されたか否かを判定するための基準となる時間であり、本実施形態では、例えば、5秒に設定されている。つまり、制御部100は、廃水が補給されて、補給が完了してから前記設定時間T2以内に泡が検知された場合に、電動弁28Aを作動させて水を処理槽16に供給する加水処理(S232)を行い、その後に、低燃焼処理(S25)を行う。
【0090】
例えば、粘度の高い廃水が処理槽16に補給された場合は、泡が発生しやすくなることから、このような処理が行われることにより、前記設定時間T10が経過することを待たずに、低燃焼処理により第1加熱装置22による加熱の強さを、処理槽16内に泡が生じない程度まで抑制することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 :廃水処理システム,11 :廃水濃縮装置, 12 :分解処理装置,
13 :制御装置, 16 :処理槽, 18 :水位槽,
22 :第1加熱装置, 23 :第2加熱装置, 27 :消泡剤供給部,
32 :温度センサー, 33 :泡センサー, 34 :液面センサー,
35 :温度センサー, 37 :エアータンク, 51A :電動弁,
54A :電動弁, 55 :エアー配管, 55A :電磁弁,
61 :供給ポンプ, 62 :排出ポンプ, 81 :廃水タンク,
100 :制御部, 221 :燃焼炉, 222 :バーナー,
223 :均圧弁, 224 :ブロアー, 225 :電動弁,
226 :ブロア制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6