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特開2022-62554磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062554
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
G01V3/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170645
(22)【出願日】2020-10-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】512333630
【氏名又は名称】株式会社沖縄計測
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(72)【発明者】
【氏名】砂川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】大宜見 憲三
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB05
2G105EE02
2G105FF13
2G105GG03
2G105LL06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】地中に存在する磁性物体の検出精度を向上させる。
【解決手段】磁気探査システム1は、移動可能なコイル式の磁気センサ2、磁気センサ2から入力されるアナログ信号を増幅する信号増幅部32、信号増幅部32で増幅されたアナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換するA/D変換部33、A/D変換部で変換されたデジタル値から磁気センサ2の移動ノイズを除去するノイズ除去部34、およびノイズ除去部34で移動ノイズを除去したデジタル値に応じた出力信号を記録装置4に送信するための通信部35を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なコイル式の磁気センサ、
前記磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅部、
前記増幅部で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換部、
前記変換部で変換された前記デジタル値を減衰させることによって、当該デジタル値から前記磁気センサの移動ノイズを除去するノイズ除去部、および
前記ノイズ除去部で前記移動ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信部を備える
磁気探査装置。
【請求項2】
前記ノイズ除去部は、連続する2つの前記デジタル値の変化量が前記移動ノイズの周波数帯に相当するノイズ範囲に含まれるかどうかを判断する判断部と、前記変化量が前記ノイズ範囲に含まれる場合に、前記変化量に応じた減衰値を設定する設定部と、前記設定部で設定された前記減衰値の分、前記2つのデジタル値のうち、後のデジタル値を減衰させる減衰部とを含む
請求項1記載の磁気探査装置。
【請求項3】
前記ノイズ範囲は、所定の閾値未満の周波数帯に相当する第1範囲と、前記閾値以上の周波数帯に相当する第2範囲とを含み、
前記設定部は、前記変化量が前記第1範囲に含まれる場合に、前記変化量が前記第2範囲に含まれる場合よりも前記減衰値を大きく設定する
請求項2記載の磁気探査装置。
【請求項4】
前記磁気センサは、人間が持ち運び可能な可搬型のセンサであって、
前記移動ノイズは、人間の歩行ノイズを含み、
前記ノイズ除去部は、前記デジタル値から前記歩行ノイズを除去する
請求項1、2または3記載の磁気探査装置。
【請求項5】
移動可能なコイル式の磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅し、
増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換し、
前記デジタル値を減衰させることによって、当該デジタル値から前記磁気センサの移動ノイズを除去し、
前記移動ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する
磁気探査方法。
【請求項6】
コンピュータを、
移動可能なコイル式の磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅手段、
前記増幅手段で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換手段、
前記変換手段で変換された前記デジタル値を減衰させることによって、当該デジタル値から前記磁気センサの移動ノイズを除去するノイズ除去手段、および
前記ノイズ除去手段で前記移動ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信手段として機能させる
磁気探査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、地中に存在する磁性物体を探査する、磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中には、戦争で使用された地雷、砲弾または爆弾等が何らかの原因で不発弾となって地中に残されていることがあり、例えば、水道工事等の地中工事中に何らかの衝撃が加えられることで不発弾が爆発し、人的、物的な被害を被るおそれがある。そのため、地下工事を安全かつ円滑に進めるためには、これらの不発弾等の危険物の存在を事前に調査しておく必要がある。
【0003】
こうした不発弾等の危険物を調査するための背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術の磁気探査システムでは、細長い棒状の磁気センサを2人の作業員でつり下げて支持し、探査区域内を移動する方法により探査する。磁気センサの移動により、磁気センサ内のコイルに誘導起電力が生じ、誘導起電力に応じた信号が記録装置から出力される。
【0004】
しかしながら、作業員が磁気センサをつり下げて移動する際に、地面の状況や作業員の歩行動作等に起因する磁気センサの移動ノイズが生じ、この移動ノイズが磁気センサから出力される信号に影響を及ぼしてしまい、磁性物体の検出精度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-133308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑みて、地中に存在する磁性物体の検出精度を向上させることができる、磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、移動可能なコイル式の磁気センサ、前記磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅部、前記増幅部で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換部、前記変換部で変換された前記デジタル値を減衰させることによって、当該デジタル値から前記磁気センサの移動ノイズを除去するノイズ除去部、および前記ノイズ除去部で前記移動ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信部を備える磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明により、地中に存在する磁性物体の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の磁気探査システムの構成の一例を示す説明図。
図2】磁気センサの構成の一例を示す説明図。
図3】磁気探査方法の一例を示す説明図。
図4】移動ノイズを含むデジタル値の一例を示すグラフ。
図5】移動ノイズ発生時における磁気センサの加速度の一例を示すグラフ。
図6】ノイズ除去処理後のデジタル値の一例を示すグラフ。
図7】記録画面等の画面構成の説明図。
図8】設定ウインドウを含む記録画面等の画面構成の説明図。
図9】障害物情報が表示された場合の記録画面等の画面構成の説明図。
図10】障害物情報を削除する場合の記録画面等の画面構成の説明図。
図11】解析画面等の画面構成の説明図。
図12】異常点一覧画面等の画面構成の説明図。
図13】異常点マップ画面等の画面構成の説明図。
図14】下方確認探査時における記録画面等の画面構成の説明図。
図15】鉛直磁気探査時における記録画面等の画面構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
<システム構成>
【0011】
図1は磁気探査システム1のシステム構成の一例を示すブロック図である。磁気探査システム1は、地中に存在する危険物などの磁性物体(探査対象物)を探査(検出)するためのシステムである。
【0012】
図1に示すように、磁気探査システム1は、磁気センサ2、増幅器3および記録装置(記録器)4を含み、磁気センサ2と増幅器3とは、コネクタケーブルを介して接続される。また、増幅器3と記録装置4とは、無線通信可能に接続される。なお、増幅器3と記録装置4とは、有線で接続されてもよい。
【0013】
図2は磁気センサ2の構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、磁気センサ2は、全体として略棒状をなし、移動可能なセンサである。詳しくは、磁気センサ2は、人間が持ち運び可能な可搬型のセンサである。
【0014】
磁気センサ2は、筒状本体50およびセンサ部51を含み、筒状本体50にセンサ部51が挿入されて構成されており、筒状本体50の先端部(一方端部)には先端キャップ52が取り付けられ、筒状本体50の基端部(他方端部)にはコネクタキャップ53が取り付けられている。また、先端キャップ52には、ゴム製の環状リングであるOリング54が取り付けられている。なお、コネクタキャップ53には増幅器3と接続するためのコネクタケーブルが取り付けられる。また、筒状本体50の直径や長さは、センサ部51の大きさに応じて異なる。
【0015】
センサ部51は、第1コイル55および第2コイル56を含む。第1コイル55は、パーマロイ製の第1芯材57に挿通された第1中空部材58に巻かれている。なお、第1コイル55は、整列巻きで巻き数を40,000ターンとした。但し、第1コイル55の巻き数は40,000ターンに限定されるものではなく、例えば、60,000ターンであっても良い。
【0016】
また、第2コイル56は、パーマロイ製の第2芯材59に挿通された第2中空部材60に巻かれている。なお、第2コイル56は、第1コイル55と同じ線材を使用して整列巻きで巻き数を40,000ターンとした。但し、第2コイル56の巻き数は40,000ターンに限定されるものではなく、例えば、60,000ターンであっても良い。
【0017】
なお、第1コイル55と第2コイル56の組合せは、抵抗値が同じ値のコイルを取り出し、取り出したコイルに一定電流正弦波を流した状態で波形を収集し、その波形の振幅が同じコイルを1組とした。すなわち、第1コイル55と第2コイル56とは、抵抗値および一定電流正弦波を流した場合の波形が略同じとなる。
【0018】
第1芯材57の一端(先端キャップ52側の端部)は第1パーマロイ止め61Aに取り付けられ、第1芯材57の他端(コネクタキャップ53側の端部)は第2パーマロイ止め61Bに取り付けられている。また、第1パーマロイ止め61Aおよび第2パーマロイ止め61Bには、ゴム製の環状リングであるOリング62が取り付けられている。ここで、第1パーマロイ止め61Aは、筒状本体50の内径と略同一の外径を有しており、先端キャップ52に隣接して配置されている。また、第2パーマロイ止め61Bも、筒状本体50の内径と略同一の外径を有している。
【0019】
さらに、第1芯材57に挿通され、第1パーマロイ止め61Aと第1コイル55の両者に隣接した状態で第1カラー材63が配置されている。また、第1芯材57に挿通され、第1コイル55と第2パーマロイ止め61Bの両者に隣接した状態で第2カラー材64が配置されている。
【0020】
第2芯材59の一端(先端キャップ52側の端部)は第3パーマロイ止め61Cに取り付けられ、第2芯材59の他端(コネクタキャップ53側の端部)は第4パーマロイ止め61Dに取り付けられている。また、第3パーマロイ止め61Cおよび第4パーマロイ止め61Dには、ゴム製の環状リングであるOリング62が取り付けられている。
【0021】
ここで、第3パーマロイ止め61Cは、筒状本体50の内径と略同一の外径を有している。また、第4パーマロイ止め61Dも、筒状本体50の内径と略同一の外径を有しており、コネクタキャップ53に隣接して配置されている。
【0022】
さらに、第2芯材59に挿通され、第3パーマロイ止め61Cと第2コイル56の両者に隣接した状態で第3カラー材65が配置されている。また、第2芯材59に挿通され、第2コイル56と第4パーマロイ止め61Dの両者に隣接した状態で第4カラー材66が配置されている。また、第2パーマロイ止め61Bと第3パーマロイ止め61Cとは、アルミニウム製のパイプ67で接続されている。
【0023】
このように構成した磁気センサ2では、第1コイル55および第2コイル56に磁性物体が所定距離以内に近づくと、コイル内の磁束密度が増加し、コイルには磁束密度の増加を妨げる向きに磁束を発生するような誘導起電力が発生する。一方、第1コイル55および第2コイル56と磁性物体との距離が近い状態から、第1コイル55および第2コイル56から磁性物体が遠ざかると、コイル内の磁束密度が減少し、コイルには磁束密度を増加させる向きに誘導起電力が発生する。
【0024】
このため、磁気センサ2が移動され、磁性物体に近づいたり離れたりすることによって、磁気センサ2が移動する速度と、第1コイル55および第2コイル56の距離と、磁性物体との距離の変化(磁束密度の変化)とに応じた誘導起電力が磁気センサ2から出力される。
【0025】
図1に戻って、増幅器3は、制御部31、信号増幅部32、A/D変換部33、ノイズ除去部34、および通信部35を備える。信号増幅部32、A/D変換部33、ノイズ除去部34、および通信部35のそれぞれは、通信線(バス)を介して制御部31に接続される。
【0026】
信号増幅部32は、磁気センサ2から入力される誘導起電力に応じたアナログ信号(入力信号)を増幅する増幅処理を行う。A/D変換部33は、信号増幅部32によって増幅された入力信号を所定の周期(サンプリング周期)でデジタル信号(デジタル値)へと変換するA/D変換処理を行う。なお、デジタル値は、たとえば誘導起電力に相関する電圧値などである。また、サンプリング周期は、たとえば2ms~10msの範囲内で設定され、好ましくは4msである。
【0027】
ノイズ除去部34は、A/D変換部33で変換されたデジタル値からノイズをリアルタイムで連続的に除去するノイズ除去処理を行う。なお、ノイズ除去処理の具体的な内容は後述する。そして、ノイズ除去処理後のデジタル値に応じた出力信号が、通信部35を介して記録装置4に送信される。
【0028】
通信部35は、無線通信回路を含み、記録装置4等の外部装置との間で送受されるデータ(たとえば出力信号のデータ等)の送受信処理を行う。すなわち、通信部35は、出力信号を記録装置4に送信する送信部としても機能する。無線通信回路は、無線通信を行うための回路であり、通信アンテナに接続される。この無線通信回路は、IEEE802.11等の公知の通信規格に準拠した無線通信方式に基づき、WiFiなどの無線通信を使用して、外部装置との間で送受信される通信データの送受信処理を行う。これらのことは、後述する記録装置4の通信部44も同様である。
【0029】
記録装置4は、タブレットPC、デスクトップPC、ノート(ラップトップ)PCまたはスマートフォンなどの汎用のコンピュータ(端末)で構成され、増幅器3から送信される出力信号を記録するためのものである。
【0030】
記録装置4は、制御部41、入力部42、表示部43、通信部44、および補助記憶部45を備える。入力部42、表示部43、通信部44、および補助記憶部45のそれぞれは、通信線を介して制御部41に接続される。
【0031】
制御部41は、プロセッサ46および主記憶部47を含み、記録装置4における各種演算および制御動作を実行する。プロセッサ46は、CPUまたはMPUなどを含む演算処理部である。主記憶部47は、RAM(DRAM)およびROMなどを含む。RAMは、プロセッサ46のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROMは、起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値等を記憶する。
【0032】
入力部42は、記録装置4の操作者(ユーザ)の操作入力を受け付ける入力部品および入力部品とプロセッサ46との間に介在する入力検出回路を含む。入力部品は、たとえばキーボードまたは/およびコンピュータマウスであり、入力部品がキーボードである場合には、ハードウェアの操作ボタンないし操作キー(ハードウェアキー)が含まれる。また、入力部品としては、タッチパネルが用いられても良い。タッチパネルとしては、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。入力部品がタッチパネルである場合には、ソフトウェア的に再現された操作キー(ソフトウェアキー)が含まれる。入力検出回路は、各入力部品の操作に応じた操作信号ないし操作データをプロセッサ46に出力する。
【0033】
表示部43は、ディスプレイおよびディスプレイとプロセッサ46との間に介在する表示制御回路を含む。ディスプレイとしては、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)または有機ELディスプレイなどを用いることができる。表示制御回路は、GPUおよびVRAMなどを含む。プロセッサ46の指示の下、GPUは、RAMに記憶された画像生成用のデータを用いてディスプレイに種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイに出力する。たとえば、増幅器3から送信される出力信号を可視化した記録画面等がディスプレイに出力(表示)される。なお、入力部品がタッチパネルである場合には、ディスプレイの表示面上にタッチパネルが設けられ、ディスプレイの表示面上にソフトウェアキーが表示される。
【0034】
補助記憶部45は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリで構成され、プロセッサ46が記録装置4の動作を制御するための制御プログラムおよび各種データなどを記憶する。増幅器3から送信される出力信号のデータは、補助記憶部45に記憶(蓄積)される。
【0035】
また、補助記憶部45は、ユーザの操作入力に応じて記録装置4の各種動作を実行するための制御プログラム48と、本システムの利用に必要となる記録データ49とを記憶している。
【0036】
制御プログラム48および記録データ49は、必要に応じて補助記憶部45から読み出され主記憶部47(RAM)に記憶される(展開される)。記録装置4の記録動作は、プロセッサ46が主記憶部47(RAM)に展開された制御プログラム48を実行することによって実現される。
【0037】
なお、図1に示す増幅器3および記録装置4の構成は、単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、記録装置4は、ロール紙等の用紙に出力信号に関する情報をインクで描き記録する、いわゆるペンレコーダであってもよい。
<磁気探査方法例>
【0038】
磁気探査システム1を使用して、地中に存在する磁性物体を探査する方法を説明する。図3は磁気探査方法の一例を示す説明図である。図3に示すように、磁性物体を探査する探査区域に所定間隔(たとえば0.5m~1m間隔)の探査側線を設定した探査測線図を作成しておく。次に、設定した探査側線に合わせて、探査区域の地面にロープ等の探査測線の目印となる物を設置する。なお、探査側線は、複数設置され、複数の探査側線のそれぞれには、各探査側線を識別するための識別情報(たとえば番号等)が割り当てられる。
【0039】
そして、磁気センサ2を2人の探査員がつり下げて支持した状態で探査測線に沿って歩行し、磁気センサ2を移動させる。地中に磁性物体が存在する場合には、磁気センサ2の第1コイル55および第2コイル56に誘導起電力が生じ、これに応じた出力信号が増幅器3から出力される。記録装置4が出力信号を受信すると、出力信号が表示部43のディスプレイに表示される。
【0040】
ただし、磁気センサ2は、地上高さが所定高さ(0.05m~0.15m、好ましくは0.1m)になるように支持され、所定速度(0.8m/秒~1.2m/秒、好ましくは1m/秒)で移動される。
【0041】
このような磁気探査方法(水平磁気探査方法)では、磁気センサ2が移動されるとき、磁気センサ2の移動が一定でなく、磁気センサ2の移動にばらつき(移動ノイズ)が生じることがある。たとえば、移動ノイズには、地面の傾斜、凹凸または泥濘の影響、各探査員の歩行リズムの違い等の影響による歩行ノイズ等が含まれる。この移動ノイズは、第1コイル55および第2コイル56で生じる誘導起電力に影響を与え、磁性物体の検出精度の低下につながる。
【0042】
そこで、本発明では、増幅器3が備えるノイズ除去部34は、A/D変換部33で変換されたデジタル値から磁気センサ2の移動ノイズを除去するノイズ除去処理を行う。
<ノイズ除去処理>
【0043】
増幅器3(ノイズ除去部34)におけるノイズ除去処理を説明する。上述のとおり、A/D変換部33によって入力信号が所定のサンプリング周期でデジタル値へと変換される。このとき、デジタル値は、磁気センサ2の移動ノイズを含んでいることがある。図4は移動ノイズを含むデジタル値の一例を示すグラフである。図4に示すグラフは、横軸を時間軸、縦軸を信号強度軸としており、時間軸上に測定時刻、信号強度軸に出力値(電圧値,デジタル値)を表示している。図4に示すグラフは、磁気センサ2の近くに磁性物体が無い状態のデジタル値を示すものであるが、移動ノイズによってデジタル値が小刻みに変動している(移動ノイズが現れている)。
【0044】
本発明者は、デジタル値に大きく影響を与えている移動ノイズの周波数帯を見出すべく、デジタル値に現れているときの磁気センサ2の加速度(ヨー・ピッチ・ロール)を測定する実験を行った。
【0045】
図5はこの実験結果(移動ノイズ発生時における磁気センサ2の加速度)を示すグラフである。なお、この実験では、磁気センサ2の長手方向(探査員の進行方向)を前後方向としており、また、グラフの数値は1000倍したものである。「ヨー(ヨーイング)」とは、上下方向を軸とした水平面内の回転のことであり、磁気センサ2の両端部の左右の揺れのことをいう。「ピッチ(ピッチング)」とは、左右方向を軸とした回転のことであり、磁気センサ2の両端部の上下の揺れのことをいう。「ロール(ローリング)」とは、前後方向(磁気センサ2の軸線)を軸にした回転のことである。
【0046】
図5のグラフのとおり、「ピッチ」の影響が大きく、「ヨー」および「ロール」の影響は小さいことがわかる。また、「ピッチ」の加速度は、1Hz付近に集中していることがわかる。これらのことから、「ピッチ」の動き(磁気センサ2の前後の上下方向の動き)が誘導起電力に与える影響が大きく、磁性物体の検出漏れまたは誤検出の原因となる。
【0047】
「ピッチ」の動きを移動ノイズ(歩行ノイズ)とすると、少なくとも1Hzを含む周波数帯(0.5Hz~1.5Hz、好ましくは0.8Hz~1.1Hz)に相当する範囲(ノイズ範囲)を減衰ないし除去することによって、移動ノイズの影響を抑制ないし防止できると考えられる。なお、移動ノイズの周波数帯に相当する範囲(ノイズ範囲)とは、A/D変換部33によって入力信号をデジタル値にするサンプリング周期の時間におけるデジタル値の変化量がどの範囲に入るかによって定める。これにより、デジタル値が20個以下(好ましくは10個以下)という少ない数(最小では2つ)の連続するデジタル値で移動ノイズを判定して減衰ないし除去することができ、リアルタイムでの処理が可能となる。
【0048】
ノイズ除去部34におけるノイズ除去処理では、まず、A/D変換部33によって入力信号が所定周期で(所定時間毎に)デジタル値へと変換されると、連続する2つのデジタル値の変化量(先のデジタル値に対する後のデジタル値の変化量または差分)がノイズ範囲に含まれるかどうかが判断される(判断ステップ)。すなわち、ノイズ除去部34は、デジタル値の変化量が移動ノイズの周波数帯に相当するノイズ範囲に含まれるかどうかを判断する判断部としても機能する。
【0049】
デジタル値の変化量がノイズ範囲に含まれる場合には、変化量に応じた減衰値(減衰量)が設定される(設定ステップ)。たとえば、デジタル値の変化量の所定割合(30%~80%)に相当する値が減衰値として設定される。
【0050】
ただし、ノイズ範囲が2以上の範囲に分割され、範囲毎に減衰値の設定方法が異なるようにしてもよい。たとえば、ノイズ範囲が0.8Hz~1.1Hzに相当する範囲である場合、0.9Hzを閾値として、0.8Hz以上0.9Hz未満を第1範囲とし、0.9Hz以上1.1Hz以下を第2範囲とする。この場合、デジタル値の変化量が第1範囲(閾値よりも低周波数帯に相当する範囲)に含まれる場合には、デジタル値の変化量が第2範囲(閾値よりも高周波数帯に相当する範囲)に含まれる場合よりも減衰値を大きく設定する。詳しくは、デジタル値の変化量が第1範囲に含まれる場合には、変化量の80%に相当する値が減衰値として設定され、デジタル値の変化量が第2範囲に含まれる場合には、変化量の80%に相当する値が減衰値として設定される。
【0051】
そして、設定された減衰値の分、後のデジタル値が減衰され(減衰ステップ)、減衰後のデジタル値に応じた出力信号が出力される。すなわち、ノイズ除去部34は、デジタル値を減衰させる減衰部としても機能する。なお、減衰対象となったデジタル値に対する後のデジタル値の変化量を判断する場合には、減衰前のデジタル値が用いられる。
【0052】
一方、デジタル値の変化量がノイズ範囲に含まれる場合には、ノイズ除去処理は実施されず、A/D変換部33によって変換されたデジタル値に応じた出力信号が出力される。
【0053】
また、A/D変換部33で入力信号がデジタル値へと変換される度に、ノイズ除去処理が行われてもよいし、所定数(たとえば5~10個)のデジタル値が貯まった場合に、貯まっている複数個のデジタル値についてまとめて(一度に)ノイズ除去処理が行われてもよい。この場合、ノイズ除去処理後に、複数個のデジタル値のそれぞれに応じた出力信号が出力される。このようにすれば、増幅器3の制御部31および記録装置4の制御部41等のハードウェア資源を有効活用できる。ただし、複数個のデジタル値についてまとめてノイズ除去処理が行われる場合には、最後のデジタル値は、次回のノイズ除去処理の最初(1個目)のデジタル値となる。
【0054】
図6はノイズ除去処理後のデジタル値の一例を示すグラフである。以上のように、移動ノイズの周波数帯に相当するノイズ範囲に含まれる場合に、デジタル値を減衰させるので、図6に示すように、デジタル値における移動ノイズの影響を抑制ないし防止し、磁性物体の存在による磁気センサ2の出力を鮮明化することができる。
【0055】
以上の構成および動作により、移動可能なコイル式の磁気センサ2から入力されるアナログ信号が所定の周期でデジタル値に変換され、デジタル値から磁気センサ2の移動ノイズが除去された上で出力されるので、移動ノイズの影響を抑制ないし防止し、磁性物体(探査対象物)の検出精度を向上させることができる。
【0056】
また、連続する2つのデジタル値の変化量が移動ノイズの周波数帯に相当するノイズ範囲に含まれるかどうかが判断され、変化量がノイズ範囲に含まれる場合に、変化量に応じた減衰値が設定され、設定された減衰値の分、後のデジタル値が減衰されるので、移動ノイズの影響を適切に抑制ないし防止することができる。
【0057】
さらに、ノイズ範囲は、閾値未満の周波数帯に相当する第1範囲(周期が長い範囲)と、閾値以上の周波数帯に相当する第2範囲(周期が短い範囲)とを含み、変化量が第1範囲に含まれる場合に、変化量が第2範囲に含まれる場合よりも減衰値を大きく設定するので、ノイズの周波数帯に応じて、適切に減衰値を設定することができ、移動ノイズの影響をより適切に抑制ないし防止することができる。
【0058】
さらにまた、磁気センサ2は、人間が持ち運び可能な可搬型のセンサであって、移動ノイズは、人間の歩行ノイズを含み、デジタル値から歩行ノイズを除去するので、探査員が磁気センサ2をつり下げて支持した状態で歩行する場合に、磁性物体の検出精度を向上させることができる。
<記録処理>
【0059】
以下、図7図10を参照して、記録装置4における記録処理を説明する。図7図10に示すように、磁気探査システム1で磁性物体を探査する場合、記録装置4の表示部43(ディスプレイ)には、記録画面100が表示される。以下、図7図13を参照して説明する各画面は、記録装置4のディスプレイに表示されるものとする。
【0060】
図7は記録画面100の画面構成の説明図である。図7に示すように、記録画面100は、出力波形表示部101、メイン操作部102、設定表示部104、第1付加情報部105、および第2付加情報部106を含む。
【0061】
出力波形表示部101には、増幅器3から送信される出力信号に応じた出力波形103が時系列に従ってリアルタイムに表示される。また、出力波形表示部101には、出力波形103の中心位置に合わせて出力波形103用の目盛線が表示されている。本実施形態では、出力波形103は、上から下に向かって出力(描画)され、左右方向が幅方向となる。すなわち、出力波形表示部101は、上下方向を時間軸、左右方向を信号強度軸としており、時間軸上に測定時刻、信号強度軸に出力値(電圧値,デジタル値)を示した出力波形103を表示する。表示されている出力波形103は、上端部分(端部)に最新の出力値(電圧値,デジタル値)が表示され、時間経過に伴って下方(一方)へ移動していくことで、連続する出力波形103となっていく。上端部分に表示する最新の出力値(電圧値,デジタル値)は、1つの出力値としてもよいが、所定個数の出力値を一度に表示する構成としてもよい。この場合、微小時間の複数個数の出力値を一度に表示することで、処理時間の短縮と連続描画の自然さを両立することができる。出力波形表示部101には、出力波形103が単数または複数表示される。本実施形態では、3つの出力波形103A、103B、103Cが並行して表示される。
【0062】
ただし、複数の出力波形103が表示される場合であっても、各出力波形は、同じ出力信号に応じた出力波形となっており、複数の出力波形103のそれぞれは、区別できるように互いに異なる表示態様で表示される。出力波形103の表示態様の種類としては、色彩、および振幅のレンジ等がある。
【0063】
振幅のレンジは、出力波形の幅方向の表示範囲を規定するものであり、出力信号の単位に合わせて設定され、たとえば、出力信号が誘導起電力に相関する電圧値である場合には、電圧値で設定される。本実施形態では、振幅のレンジは1V~10Vの範囲内で設定することができる。この場合、同じ出力信号に応じた出力波形であっても、振幅のレンジとしての電圧値が低ければ、振れ幅が大きくなり、振幅のレンジとしての電圧値が高ければ、振れ幅が小さくなる。本実施形態では、出力波形103A~103Cのそれぞれは、互いに異なる色彩が付されており、かつ、互いに異なる振幅のレンジが設定されている。詳しくは、出力波形103Aは、出力波形103Bよりも振幅のレンジとしての電圧値が低く設定されており、出力波形103Cは、出力波形103Bよりも振幅のレンジとしての電圧値が高く設定されている。以上、出力波形103について説明したが、これらのことは、後述する出力波形173および出力波形193も同様である。
【0064】
設定表示部104は、出力波形表示部101に表示される出力波形103の表示態様の設定情報(表示設定情報)が表示される。出力波形103の表示設定情報には、振幅のレンジの情報および表示/非表示の別を示す情報が含まれる。また、複数の出力波形103が表示可能な場合は、出力波形103毎の表示設定が表示される。これらのことは、後述する設定表示部174および設定表示部194も同様である。
【0065】
第1付加情報部105は、出力波形103の波形乱れの原因となり得る複数種類の障害物の情報(障害物情報)と、複数の障害物のそれぞれに割り当てられた(対応する)複数の操作キー(障害物情報付加キー)の情報とが表示される。出力波形103の波形乱れの原因となり得る障害物は、探査対象物以外の磁性物体であり、たとえば、金属製の建屋、電柱、側溝、金属製のフェンス、金属屑、鋼材、および車両(自動車、自転車等を含む)等である。これらのことは、後述する第1付加情報部175および第1付加情報部195も同様である。
【0066】
第2付加情報部106は、出力波形103に係る複数の出力波形情報と、複数の出力波形情報のそれぞれに割り当てられた複数の操作キー(出力波形情報付加キー)の情報とが表示される。出力波形103に係る出力波形情報は、出力波形103を特定するための情報であり、たとえば、出力波形103に対応する出力信号が取得された現場の名称(現場名)の情報、当該現場における探査側線の識別情報(側線番号)、および出力波形103の振幅のレンジの情報等である。これらのことは、後述する第2付加情報部176および第2付加情報部196も同様である。
【0067】
なお、障害物情報および出力波形情報のそれぞれを出力波形103に付加される付加情報ということもできる。また、複数の障害物情報付加キーのそれぞれと、複数の出力波形情報付加キーのそれぞれとは、ハードウェアキー(たとえばキーボードに含まれるキー)であってもよいし、ソフトウェアキーであってもよい。
【0068】
メイン操作部102は、記録画面100における各種操作を受け付けるために設けられ、メイン操作部102の上部には、現場名の情報またはこれを含むデータ名等が表示される。
【0069】
メイン操作部102は、記録済波形表示部107、現在情報表示部108、更新設定部109、記録期間設定部110、記録切替キー111、記録指示キー112、巻き戻しキー113、早送りキー114、保存実行キー115、消去キー116、設定キー117、および閉じるキー118を含む。なお、記録切替キー111、記録指示キー112、巻き戻しキー113、早送りキー114、保存実行キー115、消去キー116、設定キー117、および閉じるキー118は、ソフトウェアキーである。
【0070】
記録済波形表示部107は、既に記録されている記録済の出力波形103(記録済波形)の情報が表示される。ただし、記録済波形は、側線番号毎に区別可能に記録されており、側線番号を指定して記録済波形を選択することによって、記録済波形を出力波形表示部101に表示させることができる。
【0071】
現在情報表示部108は、出力波形表示部101に現在表示されている出力波形103に割り当てられる側線番号の情報が表示される。本実施形態では、現在情報表示部108には、記録済の出力波形103の側線番号に連続する番号(更新番号)が自動的に入力される。ただし、現在情報表示部108には、テキストボックス(入力欄)であり、側線番号としての任意の数字を入力(側線番号を指定)することもできる。
【0072】
更新設定部109は、現在情報表示部108に自動的に入力される更新番号の設定をするために設けられ、記録済の出力波形103の側線番号に1を加算する設定が割り当てられたチェックボックス(加算ボックス)と、記録済の出力波形103の側線番号から1を減算する設定が割り当てられたチェックボックス(減算ボックス)とが設けられる。ただし、加算ボックスおよび減算ボックスのいずれか一方にチェックマークが表示されており、チェックマークが表示されていないチェックボックスが操作されることに応じてチェックマークが移動する。
【0073】
記録期間設定部110は、出力波形103を記録することができる記録可能期間(記録可能範囲)を設定するために設けられ、記録可能期間の始期を設定するテキストボックス(始期ボックス)と、記録可能期間の終期を設定するテキストボックス(終期ボックス)とを含む。なお、初期値として、始期ボックスに最小値が、終期ボックスには最大値が入力されているが、それぞれのボックスに任意の数字を入力して、記録可能期間を指定することもできる。
【0074】
記録切替キー111は、出力波形103を記録(出力)するかどうか(ペンアップ/ペンダウン)の設定(出力設定)を切り替えるための操作キーである。磁気探査システム1で磁性物体を探査する場合には、増幅器3から送信される出力信号は、ペンアップ/ペンダウンにかかわらず入力されるが、出力設定がオフ(ペンアップ)の場合には、出力波形103が出力されず、出力設定がオン(ペンダウン)の場合に、出力波形103が出力される。また、本実施形態では、障害物情報付加キーおよび出力波形情報付加キー以外の任意のハードウェアキーに記録切替キー111と同様の機能が割り当てられている。
【0075】
記録指示キー112は、出力波形103の記録の開始および終了(停止)の指示を受け付けるための操作キーである。出力波形103が記録されていないとき(記録中でないとき)に記録指示キー112が操作されると、出力波形103の記録が開始され、出力波形103が記録されているとき(記録中のとき)に出力波形103の記録が終了する。出力波形103の記録が終了すると、現在情報表示部108に表示されている側線番号が割り当てられて出力波形103のデータが記録される。たとえば、磁気センサ2を支持した探査員が探査側線の起点を出発するときに記録指示キー112が操作されて出力波形103の記録が開始され、磁気センサ2を支持した探査員が探査側線の終点に到達したときに記録指示キー112が再度操作されて出力波形103の記録が終了される。
【0076】
また、本実施形態では、障害物情報付加キー、出力波形情報付加キーおよび記録切替キー111と同様の機能が割り当てられた操作キー以外の任意のハードウェアキーに記録指示キー112と同様の機能が割り当てられている。
【0077】
巻き戻しキー113は、出力波形表示部101に表示されている出力波形103を巻き戻すための操作キーであり、早送りキー114は、出力波形表示部101に表示されている出力波形103を早送りするための操作キーである。保存実行キー115は、記録済波形のデータを側線番号毎に補助記憶部45に保存(記憶)するための操作キーである。消去キー116は、出力波形表示部101に表示されている出力波形103および/または記録済波形を消去するための操作キーである。設定キー117は、記録画面100における詳細設定を行うための操作キーである。閉じるキー118は、記録画面100を閉じるための操作キーである。以上、メイン操作部102について説明したが、これらのことは、後述するメイン操作部172およびメイン操作部192も同様である。
【0078】
図8は設定ウインドウ130を含む記録画面100の画面構成の説明図である。設定キー117が操作されると、図8に示すように、設定ウインドウ130が表示される。設定ウインドウ130は、表示設定部131,付加情報設定部132、その他設定部133、および閉じるキー134を含む。
【0079】
表示設定部131は、出力波形103の表示態様の設定(表示設定)を行うために設けられる。出力波形103の表示態様としては、上述した色彩、振幅のレンジに加え、出力速度等があり、それぞれ任意のものを設定することができる。出力速度は、記録画面100上で出力波形103が出力される速度(上下方向の描画速度)のことであり、本実施形態では、100mm/分~500mm/分の範囲内で設定することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、並行して表示される3つの出力波形103A~103Cが表示されており、出力波形103A~103Cのそれぞれの色彩、および振幅のレンジを個別に設定することができ、さらに、それぞれの出力波形103A~103Cの表示/非表示を設定することもできる。
【0081】
付加情報設定部132は、障害物情報付加キーとして設定可能な操作キーのそれぞれに対する、障害物の割り当て(対応付け)を行うために設けられる。付加情報設定部132は、障害物情報付加キーとして設定可能な操作キーのそれぞれに対応するテキストボックスが設けられ、各テキストボックスには任意の文字を入力することができる。また、各テキストボックスで、予め登録された障害物に対応する文字列をプルダウンメニューによって選択できるようにしてもよい。
【0082】
また、付加情報設定部132は、登録キー132Aおよび戻すキー132Bを含む。登録キー132Aは、付加情報設定部132で設定された内容を登録するための操作キーであり、戻すキー132Bは、付加情報設定部132で設定された内容を破棄して変更前の状態(前回登録時の状態)に戻すためのキーである。
【0083】
その他設定部133は、位置補正機能の設定を行う補正機能設定部および各出力波形103の振幅を確認するための振幅確認部を含む。位置補正機能とは、出力波形103の出力値に応じて、出力波形103の中心位置または目盛線の位置を補正する機能のことである。補正機能設定部は、位置補正機能の実行を開始する開始キー、位置補正機能の実行を中断(中止)する中断キー、および位置補正機能を無効化するリセットキーを含む。閉じるキー134は、設定ウインドウ130を閉じるための操作キーである。
【0084】
図7に戻って、記録画面100には、第1指標画像119および第2指標画像120が表示される。第1指標画像119は、ディスプレイ上(記録画面100上)のユーザ操作に応じた入力位置を示す画像のことであり、いわゆるポインタ画像と呼ばれるものである。この第1指標画像119は、コンピュータマウスの操作、タッチパッドまたはタッチパネルに対するタッチ操作に応じてディスプレイ(記録画面100)の表示範囲内の任意の位置に表示される。これらのことは、後述する第1指標画像177および第1指標画像197も同様である。
【0085】
第2指標画像120は、記録画面100の表示範囲において、あらかじめ定められた位置に固定的に表示される。たとえば、第2指標画像120は、出力波形表示部101の範囲内であって、出力波形103の表示範囲(最大振幅時の表示範囲)外に配置される。これらのことは、後述する第2指標画像178および第2指標画像198も同様である。
【0086】
図9は障害物情報121および出力波形情報122が表示された場合の記録画面100の画面構成の説明図である。記録画面100が表示された状態で、障害物情報付加キーが操作されると、図9に示すように、第1指標画像119の表示位置に、操作された障害物情報付加キーに割り当てられた障害物情報(障害物情報スタンプ)121が表示される。詳しくは、第1指標画像119の表示位置の近傍に、障害物情報121が表示される。なお、第1指標画像119の表示位置の近傍とは、第1指標画像119の表示位置に上下左右のいずれかに隣接する位置を含む。また、障害物情報121のデータ(位置および種類を示すデータ)は、出力波形103のデータ(位置のデータ)に紐づけられて補助記憶部45に記憶される。位置のデータとは、時間軸と信号強度軸のグラフ上における位置を示すデータである。
【0087】
たとえば、障害物情報として「自動車通過」が割り当てられた障害物情報付加キーが操作されると、「自動車通過」を示す障害物情報121が第1指標画像119の表示位置(時間軸および信号強度軸上の位置)に表示される。
【0088】
したがって、磁気探査システム1では、出力波形103の波形乱れの原因となり得る複数種類の障害物の影響を受けた場合に、記録装置4のユーザ(記録員)が障害物情報付加キーを操作して、リアルタイムで障害物情報121を記録することができる。たとえば、出力波形103における障害物の影響を受けた部分に第1指標画像119を合わせた状態で障害物情報付加キーを操作することによって、出力波形103における障害物の影響を受けた部分に障害物情報121を記録することができる。
【0089】
このようにすれば、記録された出力波形103のデータから、探査対象物であるか障害物であるかを容易に判断することができる。すなわち、探査対象物と障害物とを容易に見極めることができる。
【0090】
また、記録画面100が表示された状態で、出力波形情報付加キーが操作されると、第2指標画像120の表示位置に、操作された出力波形情報付加キーに割り当てられた出力波形情報(出力波形情報スタンプ)122が表示される。詳しくは、第2指標画像120の表示位置の近傍に、出力波形情報122が表示される。また、出力波形情報122のデータは、出力波形103のデータに紐づけられて補助記憶部45に記憶される。
【0091】
たとえば、出力波形情報として「側線番号」が割り当てられた出力波形情報付加キーが操作されると、出力波形表示部101に現在表示されている出力波形103に割り当てられる側線番号を示す出力波形情報122が表示される。
【0092】
このようにすれば、記録された出力波形103のデータから、出力波形103を特定するための情報である出力波形情報を容易に認識することができるので、利便性を向上させることができる。
【0093】
なお、図9に示す例では、障害物情報121および出力波形情報122のそれぞれは文字列で表現されるが、障害物情報または出力波形情報を表す記号または画像等、他の態様で表現されてもよい。
【0094】
図10は障害物情報121を削除する場合の記録画面100の画面構成の説明図である。記録画面100に表示された障害物情報121および出力波形情報122のそれぞれは、個別に選択することができる。たとえば、ユーザ操作により任意の範囲(指定範囲)が指定された場合に、少なくとも一部が指定範囲に含まれる障害物情報121および出力波形情報122が選択された状態となる。なお、範囲を指定するユーザ操作としては、コンピュータマウスの操作またはタッチパネルへのタッチ操作によるスライド(ドラッグ)操作や、指定範囲にの対角を規定する2点を指示する操作(2点タッチ操作)などがある。
【0095】
障害物情報121または出力波形情報122が選択されると、選択中の障害物情報121または出力波形情報122を削除するかどうかを選択するための選択ウインドウ123が表示される。選択ウインドウ123は、選択中の障害物情報121または出力波形情報122を削除する削除キー124と、選択中の障害物情報121または出力波形情報122を削除せずに選択ウインドウ123を閉じるキャンセルキー125とを含む。なお、選択ウインドウ123が表示されているときは、削除キー124またはキャンセルキー125を操作する以外の操作ができないようになっている。
【0096】
このようにすれば、障害物情報121または出力波形情報122が誤って表示されてしまった場合であっても、障害物情報121または出力波形情報122を簡単に削除することができる。
<解析処理>
【0097】
以下、図11図13を参照して、記録装置4における解析処理を説明する。図11は解析画面140の画面構成の説明図である。図11に示すように、磁気探査システム1で解析処理が実行される場合、記録装置4の表示部43(ディスプレイ)には、解析画面140が表示される。
【0098】
解析画面140は、補助記憶部45に記憶された側線番号毎の記録済波形のデータ(出力波形103のデータ)を解析するための画面である。解析画面140は、出力波形表示部141、データ選択部142、異常点表示部143、一覧表示キー144、およびマップ表示キー145を含む。なお、一覧表示キー144およびマップ表示キー145は、ソフトウェアキーである。
【0099】
出力波形表示部141には、補助記憶部45から読み出された記録済波形のうち、解析対象として指定された出力波形103が時系列に従って表示される。また、出力波形表示部141には、出力波形表示部101と同様に、出力波形103用の目盛線が表示される。また、出力波形表示部141では、コンピュータマウスの操作またはタッチパネルへのタッチ操作によるスライド(ドラッグ)操作によって出力波形103の表示位置を移動させることができ、さらに、コンピュータマウスのスクロール操作またはタッチパネルへのピンチイン/ピンチアウト操作等によって、出力波形103を拡大表示したり、縮小表示したりすることができる。
【0100】
そして、出力波形103上の、解析対象となる1周期分の波形を規定する4つの指定点P1~P4が指定されると、指定点P1~P4で規定される波形の振幅および波長等から、磁気量および埋没深度等が自動的に算出される。磁気量および埋没深度等が算出されると、磁気量および埋没深度等の情報を含む解析結果情報146が出力波形表示部141の所定位置(たとえば出力波形103と重ならない位置)に表示される。
【0101】
また、指定点P1~P4のそれぞれの位置は、スライド操作等によって変更(調整)可能である。指定点P1~P4のいずれかの位置が変更されると、変更後の位置に基づいて、磁気量および埋没深度等が再計算され、解析結果情報146が更新される。
【0102】
データ選択部142は、補助記憶部45から読み出された記録済波形の情報が側線番号毎に表示される。データ選択部142に表示される記録済波形の情報は、個別に選択可能であり、選択された記録済波形は、解析対象の出力波形103として指定され、出力波形表示部141に表示される。
【0103】
また、データ選択部142に表示される記録済波形の情報のうち、解析済の記録済波形の情報と、解析されていない記録済波形の情報とは、区別できるように互いに表示態様が異なる。たとえば、解析済の記録済波形の情報は第1の色(たとえば黒色)で表示され、解析されていない記録済波形の情報は第1の色以外の第2の色(たとえば赤色)で表示される。このようにすれば、解析済の記録済波形と、解析されていない記録済波形とを容易に区別することができ、記録済波形の解析漏れを抑制ないし防止することができる。
【0104】
また、データ選択部142は、表示変更部142Aを含む。表示変更部142Aは、出力波形表示部141に表示される出力波形103の振幅のレンジを変更するために設けられ、たとえば、複数種類の振幅のレンジから任意のレンジを選択できるようにされている。
【0105】
異常点表示部143は、出力波形表示部141に表示されている出力波形103において解析された波形のうち、磁気量等から磁性物体(探査対象物および障害物を含む)が存在すると考えられる点(異常点)が一覧表示される。
【0106】
一覧表示キー144は、異常点を別画面で一覧表示するための操作キーであり、一覧表示キー144が操作されると、図12に示すような一覧画面150が表示される。一覧画面150には、異常点の各種情報が表形式で一覧表示される。
【0107】
マップ表示キー145は、異常点を別画面でマップ(グラフ)表示するための操作キーであり、マップ表示キー145が操作されると、図13に示すようなマップ画面160が表示される。マップ画面160は、グラフ表示部161、マーク変更部162、表示範囲変更部163、画像保存キー164、および閉じるキー165を含む。なお、画像保存キー164および閉じるキー165は、ソフトウェアキーである。
【0108】
グラフ表示部161には、グラフが表示される。このグラフの縦軸は側線番号であり、横軸は各探査側線における起点(始点)からの距離(m)である。グラフ表示部161には、異常点を示すマーク画像166が表示される。上述したように、探査側線間の距離は予め定められているので、各探査側線の起点からの距離に応じて探査区域における異常点の位置を特定(推定)することができる。
【0109】
図13に示す例では、4つの異常点に対応する4つのマーク画像166A~166Dが表示される。ただし、マーク画像166は、磁気量の範囲(磁気量ランク)に応じた表示態様で表示される。たとえば、マーク画像166は、磁気量ランクに応じて設定される、色彩および形状が異なる複数種類のマークの画像として表示される。
【0110】
マーク変更部162は、各磁気量ランクの範囲の変更および各磁気量ランクに対応するマークの各色彩および形状の変更を行うために設けられる。詳しくは、表示範囲変更部163は、グラフ表示部161の横軸(起点からの距離)の表示範囲(最小値および最大値)の変更およびグラフ表示部161の縦軸(側線番号)表示範囲(最小値および最大値)の変更を行うために設けられる。
【0111】
画像保存キー164は、少なくともグラフ表示部161の表示範囲を含むマップ画面160の一部または全部の画像を補助記憶部45に保存(記憶)するための操作キーである。閉じるキー165は、マップ画面160を閉じるための操作キーである。
【0112】
この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた画面および具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0113】
上述の実施形態では、磁気センサ2は、探査員がつり下げて支持した状態で歩行することによって移動されるようにしたが、ロボットないしドローンによって移動されたり、ロープウェイ等の移動装置によって移動されたりしてもよい。これらの場合であっても、磁気センサ2の移動ノイズが発生する。
【0114】
また、上述の実施形態では、移動ノイズの周波数帯に相当する範囲をノイズ範囲として設定したが、探査対象物以外の磁性物体に相当する範囲をノイズ範囲として設定してもよい。たとえば、地雷、砲弾または爆弾等を探査対象物とする場合には、金属屑や鋼材等の強磁性体に相当する範囲をノイズ範囲として設定することなどが考えられる。このようにすれば、強磁性体の影響を抑制ないし防止し、探査対象物の検出精度を向上させることができる。
【0115】
さらに、上述の実施形態では、磁気探査の方法として水平磁気探査方法を例に挙げて説明したが、本発明は、鉛直磁気探査方法にも適用することができる。鉛直磁気探査が実行される場合、鉛直方向に所定距離(たとえば30cm)毎に複数回掘削し、掘削穴の下方に異常点が無いかを確認しながら鉛直磁気探査に必要な深さまで掘削する下方確認探査を実施した後に、鉛直磁気探査が実施される。
【0116】
図14は下方確認探査時の記録画面170の画面構成の説明図である。図14に示すように、記録画面170は、出力波形表示部171、メイン操作部172、設定表示部174、第1付加情報部175、および第2付加情報部176を含む。
【0117】
出力波形表示部171には、下方確認探査の1回分の探査範囲(掘削深さ)を示す複数のマーカ部171Aが表示される。図14に示す例では、1回分の探査範囲が30cmであり、1.5mまで30cm毎に掘削して磁気センサ2を下降させた後、30cm毎に磁気センサ2を上昇させた場合を示しており、30cm毎にマーカ部171Aが表示される。
【0118】
記録画面170では、マーカ部171Aに対応する部分に、出力波形173(図14に示す例では173A,173B,173C)が表示される。図14に示す例では、マーカ部171A同士が所定間隔を隔てて配置されているので、出力波形173も所定間隔を隔てて断続的に表示される。
【0119】
記録画面170においても、障害物情報付加キーが操作されると、第1指標画像177の表示位置に、操作された障害物情報付加キーに割り当てられた障害物情報179が表示され、出力波形情報付加キーが操作されると、第2指標画像178の表示位置に、操作された出力波形情報付加キーに割り当てられた出力波形情報180が表示される。
【0120】
図15は鉛直磁気探査時の記録画面190の画面構成の説明図である。図15に示すように、記録画面190は、出力波形表示部191、メイン操作部192、設定表示部194、第1付加情報部195、および第2付加情報部196を含む。
【0121】
出力波形表示部191には、鉛直磁気探査の探査範囲(掘削深さ)を示すマーカ部191Aが表示される。図15に示す例では、鉛直磁気探査の探査範囲が5mであり、深さ0mから深さ5mまで磁気センサ2が下降した後、深さ5mから深さ0mまで上昇した場合を示しており、下降時と上昇時のそれぞれに対応するマーカ部191Aが表示される。
記録画面190では、マーカ部191Aに対応する部分に、出力波形193(図15に示す例では193A,193B,193C)が表示される。
【0122】
記録画面190においても、障害物情報付加キーが操作されると、第1指標画像197の表示位置に、操作された障害物情報付加キーに割り当てられた障害物情報199が表示され、出力波形情報付加キーが操作されると、第2指標画像198の表示位置に、操作された出力波形情報付加キーに割り当てられた出力波形情報200が表示される。
【0123】
なお、マーカ部171Aおよびマーカ部191Aのそれぞれは、記録装置4の特定の操作キーが操作されることによって、表示/非表示が切り替えられるようにしてもよい。
【0124】
以上のように、鉛直磁気探査においても、記録された出力波形のデータから、探査対象物であるか障害物であるかを容易に判断し、探査対象物と障害物とを容易に見極めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
この発明は、地中に存在する磁性物体を探査するような産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1…磁気探査システム
2…磁気センサ
55…第1コイル
56…第2コイル
3…増幅器
31…制御部
32…信号増幅部
33…A/D変換部
34…ノイズ除去部
35…通信部
4…記録装置
41…制御部
42…入力部
43…表示部
44…通信部
45…補助記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2020-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間が持ち運び可能な可搬型のコイル式の磁気センサ、
前記磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅部、
前記増幅部で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換部、
前記磁気センサの水平方向の両端部における上下の揺れを歩行ノイズとし、前記変換部で変換された前記デジタル値における前記歩行ノイズに相当する周波数帯の範囲をノイズ範囲とし、前記デジタル値のうち、前記ノイズ範囲を減衰させることによって、当該デジタル値から前記歩行ノイズを除去するノイズ除去部、および
前記ノイズ除去部で前記歩行ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信部を備える
磁気探査装置。
【請求項2】
前記ノイズ範囲は、所定の閾値未満の周波数帯に相当する第1範囲と、前記閾値以上の周波数帯に相当する第2範囲とを含み、
前記ノイズ除去部は、連続する2つの前記デジタル値の変化量が前記第1範囲に含まれる場合に、前記変化量が前記第2範囲に含まれる場合よりも前記ノイズ範囲を大きく減衰させる
請求項記載の磁気探査装置。
【請求項3】
人間が持ち運び可能な可搬型のコイル式の磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅し、
増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換し、
前記磁気センサの水平方向の両端部における上下の揺れを歩行ノイズとし、変換された前記デジタル値における前記歩行ノイズに相当する周波数帯の範囲をノイズ範囲とし、前記デジタル値のうち、前記ノイズ範囲を減衰させることによって、当該デジタル値から前記歩行ノイズを除去し、
前記歩行ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する
磁気探査方法。
【請求項4】
コンピュータを、
人間が持ち運び可能な可搬型のコイル式の磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅手段、
前記増幅手段で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換手段、
前記磁気センサの水平方向の両端部における上下の揺れを歩行ノイズとし、前記変換手段で変換された前記デジタル値における前記歩行ノイズに相当する周波数帯の範囲をノイズ範囲とし、前記デジタル値のうち、前記ノイズ範囲を減衰させることによって、当該デジタル値から前記歩行ノイズを除去するノイズ除去手段、および
前記ノイズ除去手段で前記歩行ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信手段として機能させる
磁気探査プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明は、人間が持ち運び可能な可搬型のコイル式の磁気センサ、前記磁気センサから入力されるアナログ信号を増幅する増幅部、前記増幅部で増幅された前記アナログ信号を所定の周期でデジタル値に変換する変換部、前記磁気センサの水平方向の両端部における上下の揺れを歩行ノイズとし、前記変換部で変換された前記デジタル値における前記歩行ノイズに相当する周波数帯の範囲をノイズ範囲とし、前記デジタル値のうち、前記ノイズ範囲を減衰させることによって、当該デジタル値から前記歩行ノイズを除去するノイズ除去部、および前記ノイズ除去部で前記歩行ノイズを除去した前記デジタル値に応じた出力信号を記録器に送信する送信部を備える磁気探査装置、磁気探査方法、および磁気探査プログラムであることを特徴とする。