(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062564
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】LED光源装置およびLED光源装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220413BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220413BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220413BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220413BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20220413BHJP
【FI】
H01L33/62
F21S2/00 100
F21V23/00 160
F21Y115:10 300
F21Y113:13
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170666
(22)【出願日】2020-10-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390032573
【氏名又は名称】丸茂電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】榎本 實
(72)【発明者】
【氏名】上村 一裕
【テーマコード(参考)】
3K014
5F142
【Fターム(参考)】
3K014AA01
5F142AA42
5F142AA51
5F142BA32
5F142CA01
5F142CB13
5F142CB14
5F142CB15
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD16
5F142CD25
5F142CD42
5F142CF02
5F142CG04
5F142CG05
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】LEDチップ間の間隔を小さくし、LEDチップの密集性を高めることができるLED光源装置を提供する。
【解決手段】実装基板10と、実装基板10の上に配設された複数の配線31~34と、複数の配線31~34にそれぞれ接続された複数種類のLEDチップ41~44と、を有するLED光源装置であって、複数の配線31~34は、少なくとも第1の配線31、第2の配線31および第3の配線33,34を有し、第1の配線31と第2の配線31とが、第3の配線33,34の上を跨いで、ボンディングワイヤー201により接続されている、LED光源装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板の上に配設された複数の配線と、
前記複数の配線にそれぞれ接続された複数種類のLEDチップと、を有するLED光源装置であって、
前記複数の配線は、少なくとも第1の配線、第2の配線および第3の配線を有し、
前記第1の配線と前記第2の配線とが、前記第3の配線の上を跨いで、ボンディングワイヤーにより接続されている、LED光源装置。
【請求項2】
前記複数種類のLEDチップは、第1LEDチップと、前記第1LEDチップと異なる波長域の光を照射する第2LEDチップとを有し、
前記第1の配線および前記第2の配線は、前記第1LEDチップと電気的に接続する配線であり、
前記第3の配線は、前記第2LEDチップと電気的に接続する配線である、請求項1に係るLED光源装置。
【請求項3】
前記複数種類のLEDチップは、それぞれ波長域の異なる光を照射する4種類以上のLEDチップを有し、
前記複数の配線は、前記4種類以上のLEDチップにそれぞれ接続する配線である、請求項1または2に記載のLED光源装置。
【請求項4】
前記複数の配線が形成される配線層の上にソルダーレジスト層が形成されており、
前記ソルダーレジスト層は、前記第1の配線および前記第2の配線が前記ボンディングワイヤーと接続する部分において除去された除去部分を有し、
前記ボンディングワイヤーは、前記除去部分において前記第1の配線および前記第2の配線と接続しているとともに、前記ソルダーレジスト層が被覆された前記第3の配線の上を跨いで前記第1の配線と前記第2の配線とを接続している、請求項1ないし3のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項5】
前記実装基板に配置される前記複数種類のLEDチップは、同一種類のLEDチップと隣接することなく交互に配置されている、請求項1ないし4のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項6】
隣接する前記複数の配線間の間隔が0.2mm未満である、請求項1ないし5のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項7】
前記実装基板は単層基板である、請求項1ないし6のいずれかに記載のLED光源装置。
【請求項8】
実装基板の上に絶縁層を積層し、
前記絶縁層の上に複数の配線が配設された配線層を形成し、
前記配線層の上にソルダーレジスト層を形成し、
前記ソルダーレジスト層のうち、前記配線とボンディングワイヤーとを接続する部分を除去して、前記配線を露出させ、
前記露出した配線にボンディングワイヤーを接続することで、前記配線間を接続する、LED光源装置の製造方法。
【請求項9】
前記露出した配線間を前記ボンディングワイヤーで接続する際に、前記ソルダーレジスト層に被覆された他の配線の上を前記ボンディングワイヤーに跨がせて、前記配線間をボンディングワイヤーで接続する、請求項8に記載のLED光源装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源装置およびLED光源装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる色の光を発色する4種類のLEDチップ(青色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、白色LEDチップ)を基板の同一平面上に実装した、LED光源装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、舞台照明などにおいて、LEDチップ同士の間隔を狭くして密集させることで、比較的小型でありながらも、4色以上の色を発光することができるLED光源装置のニーズがある。ここで、それぞれ異なる色を発光する複数種類のLEDチップを有するLED光源装置では、各色のLEDチップの電流値を独立に制御して、色のバリエーションを何万通りにも変更できるようにするため、通常、LEDチップの種類ごとに電極や配線系統を分けて配設している。しかしながら、特許文献1のように、複数の種類のLEDチップを用いる場合、LEDチップの種類が増えた分だけ配線パターンが複雑となり、異なる種類のLEDチップ用の配線を交差させる必要が生じる場合がある。従来、このような場合には、多層基板を用いることで、異なる種類のLEDチップ用の配線を別の層に分けて交差させる手法が取られるが、この場合、ビアホールを形成するために一定の大きさのビアランドを配線上に設ける必要がある。そのため、従来のLED光源装置では、ビアランドの分だけ配線間の距離を広くする必要があり、LEDチップの密集性を高めることができないという問題があった。また、LEDチップ配置部においても、多層になり、層間がビアホールで接続されることとなるため、LEDチップで発生する熱の放熱性が悪くなるという問題も発生する。
【0005】
本発明の課題は、LEDチップ間の間隔を小さくし、LEDチップの密集性を高めることができるLED光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るLED光源装置は、実装基板と、前記実装基板の上に配設された複数の配線と、前記複数の配線にそれぞれ接続された複数種類のLEDチップと、を有するLED光源装置であって、前記複数の配線は、少なくとも第1の配線、第2の配線および第3の配線を有し、前記第1の配線と前記第2の配線とが、前記第3の配線の上を跨いで、ボンディングワイヤーにより接続されている。
上記LED光源装置において、前記複数種類のLEDチップは、第1LEDチップと、前記第1LEDチップと異なる波長域の光を照射する第2LEDチップとを有し、前記第1の配線および前記第2の配線は前記第1LEDチップと電気的に接続する配線であり、前記第3の配線は前記第2LEDチップと電気的に接続する配線である構成とすることができる。
上記LED光源装置において、前記複数種類のLEDチップは、それぞれ波長域の異なる光を照射する4種類以上のLEDチップを有し、前記複数の配線は、前記4種類以上のLEDチップにそれぞれ接続する配線である構成とすることができる。なお、複数種類のチップ数は4種類以上でも良いし、それ以下でも構わない。また、蛍光体が励起するチップを用いて蛍光体で波長変換することもできる。
上記LED光源装置において、前記複数の配線が形成される配線層の上にソルダーレジスト層が形成されており、前記ソルダーレジスト層は、前記第1の配線および前記第2の配線が前記ボンディングワイヤーと接続する部分において除去された除去部分を有し、前記ボンディングワイヤーは、前記除去部分において前記第1の配線および前記第2の配線と接続しているとともに、前記ソルダーレジスト層が被覆された前記第3の配線の上を跨いで前記第1の配線と前記第2の配線とを接続している構成とすることができる。
上記LED光源装置において、前記実装基板に配置される前記複数種類のLEDチップは、同一種類のLEDチップと隣接することなく交互に配置されている構成とすることができる。
上記LED光源装置において、隣接する前記複数の配線間の間隔が0.2mm未満である構成とすることができる。
上記LED光源装置において、前記実装基板は単層基板である構成とすることができる。
【0007】
本発明に係るLED光源装置の製造方法は、実装基板の上に絶縁層を積層し、前記絶縁層の上に複数の配線が配設された配線層を形成し、前記配線層の上にソルダーレジスト層を形成し、前記ソルダーレジスト層のうち、前記配線とボンディングワイヤーとを接続する部分を除去して、前記配線を露出させ、前記露出した配線にボンディングワイヤーを接続することで、前記配線間を接続する。併せて、LEDチップ配置部や外部電極部などの配線も露出させることもできる。
上記LED光源装置の製造方法において、前記露出した配線間を前記ボンディングワイヤーで接続する際に、前記ソルダーレジスト層に被覆された他の配線の上を前記ボンディングワイヤーに跨がせて、前記配線間をボンディングワイヤーで接続する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、LEDチップ間の間隔が小さく、LEDチップの密集性を高めたLED光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るLED光源装置の平面図である。
【
図3】
図2において、ソルダーレジスト層に被覆されている配線部分も図示した図である。
【
図4】
図3において一部の符号の記載を省略した図である。
【
図6】従来のLED光源装置の配線接続方法を説明するための図である。
【
図7】(A)は従来のLED光源装置の配線間隔を説明するための図であり、(B)は本実施形態に係るLED光源装置の配線間隔を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るLED光源装置1の平面図である。また、
図2は、
図1のII部分の拡大図であり、
図3は、
図2において、ソルダーレジスト層に被覆されている配線部分も図示した図である。さらに、
図5は、
図4のV-V線に沿う側面断面図である。
【0011】
本実施形態に係るLED光源装置1は、
図1~5に示すように、実装基板10と、絶縁層20と、配線層30と、異なる波長域の光を照射する4種類のLEDチップ41~44(緑色LEDチップ41、赤色LEDチップ42、青色LEDチップ43および黄色LEDチップ44)と、各LEDチップ41~44にそれぞれ接続する外部電極51~54,61~64と、ダム材70と、ソルダーレジスト層80と、封止樹脂層90とを有する。
【0012】
本実施形態において、実装基板10は、熱伝導性および電気特性に優れる金属からなる板材であり、たとえば表面が銅やアルミニウムからなる水冷構造のヒートスプレッダ(上板、中板、下板の3種類の銅板からなる積層構造体)や銅やアルミニウムから構成される金属板(例えば、0.5~2.00mm厚)により構成される。なお、ガラスエポキシ樹脂のような熱伝導性が低い材料は、放熱性の悪くなり、発光中心部の光量が低下するドーナツ化現象が生じることとなるので好ましくない。また、実装基板10として、高熱伝導性の絶縁基板(たとえば、AlN,GaN,SiCなど)を用いることもできる。この場合、後述する絶縁層20を不要とすることもできる。
【0013】
図5に示すように、実装基板10の上には、絶縁層20が形成される。絶縁層20は、実装基板10と配線層30とを電気絶縁するための層であり、ガラスエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を主要な成分として構成することができる。なお、ガラスエポキシ樹脂は熱伝導性が低い(たとえば1W/mK程度)ため、フィラーを加えることで、熱伝導性を高める(たとえば10~20W/mK程度)ことができる。また、絶縁層20を、シリコーン樹脂などの有機樹脂を主成分として構成することもできる。
【0014】
また、絶縁層20の上には配線層30が形成される。本実施形態において、配線層30には、
図3に示すように、緑色LEDチップ41と電気的に接続する配線31と、赤色LEDチップ42と電気的に接続する配線32と、青色LEDチップ43と電気的に接続する配線33と、黄色LEDチップ44と電気的に接続する配線34とが含まれる。また、配線層30には、緑色LEDチップ41を配置するためのLED配置部35と、赤色LEDチップ42を配置するためのLED配置部36と、青色LEDチップ43を配置するためのLED配置部37と、黄色LEDチップ44を配置するためのLED配置部38とも含まれる。
【0015】
本実施形態では、
図3および
図4に示すように、配線層30において、4種類のLEDチップ41~44にそれぞれ対応する配線31~34およびLED配置部35~38が配設されており、複雑な配線パターンを形成している。配線層30の配線パターンは、銅箔を、フォトエッチングすることにより不要な部分を取り除くことで、形成することができる。なお、
図1においては、配線層30の図示は省略している。配線層30に用いる素材は、銅箔膜に限定されず、たとえば、銀ペースト、銅ペーストなどの金属を用いることもできる。なお、配線層30における配線31~34間の接続方法については、後述する。
【0016】
本実施形態に係るLED光源装置1では、配線層30のLED配置部35~38の上に、4種類のLEDチップ41~44がそれぞれ配置される。4種類のLEDチップ41~44は、それぞれ異なる色(波長域)の光を放射するバーチカル(上下面電極)タイプのベアLEDチップであり、LED配置部35~38上に配置されることで実装される。また、本実施形態において、LEDチップ41は緑色の光を放射する緑色LEDチップ、LEDチップ42は赤色の光を放射する赤色LEDチップ、LEDチップ43は青色の光を放射する青色LEDチップ、LEDチップ44は黄色の光を放射する黄色LEDチップとしている。ただし、LEDチップ41~44は、上記LEDチップに限定されず、上述したLEDチップと異なる色の光を放射するLEDチップとしてもよい。また、LEDチップ41~44としては、市販のLEDチップを使用してもよい。本実施形態では、LEDチップ41~44が、各LEDチップ41~44にそれぞれ対応するLED配置部35~38上に配置されることで、各LEDチップ41~44にそれぞれ対応する配線31~34を介して、各LEDチップ41~44にそれぞれ対応する外部電極51~54,61~64と電気的に接続している。すなわち、本実施形態では、LEDチップ41~44の種類ごとに異なる値の電流が流せるように、
図1に示すように、LEDチップ41~44の種類ごとに、外部電極51~54,61~64や配線系統31~38が分かれて配設されている。また、外部電極51~54及び61~64は、どちらかが分離されどちらかが共通電極にされていてもよい。
【0017】
また、
図5に示すように、配線層30の上には、ソルダーレジスト層80が形成される。ソルダーレジスト層80は、シリコーン樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂を主要な成分とし、配線層30を保護する機能を有する。また、本実施形態において、ソルダーレジスト層80は、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛、アルミナなどの白色無機顔料を含み、反射材としての機能も有する。なお、
図2においては、白色のソルダーレジスト層80に被覆されている部分の配線層30を図示していないが、
図3においては、説明の便宜のため、ソルダーレジスト層80に被覆されている部分の配線層30を破線で図示している。
【0018】
本実施形態では、
図2~5に示すように、ソルダーレジスト層80において、配線31~34同士をボンディングワイヤー201~204で接続するための部分が、フォトエッジングにより除去され、除去部分81~84として形成されている。たとえば、
図2~5に示す例において、配線31
3と配線31
4とをボンディングワイヤー201
3で接続するために、除去部分81
5および81
6が形成されている。また、本実施形態では、ソルダーレジスト層80のうち、LEDチップ41~44が設置されるLED配置部35~38に対応する部分も、フォトエッジングにより除去され、除去部分81~84として形成されている。たとえば、
図2および
図3に示す例において、緑色LEDチップ41
1をLED配置部35
1に配置するために、除去部分81
3が形成されている。さらに、外部電極51~54,61~64に対応する部分も、フォトエッジングにより除去され、除去部分として形成される。なお、ソルダーレジスト層80に開口されたワイヤボンディング部81~84、LEDチップ配置部35~38及び外部電極51~54,61~64は、接続性を確保するため、NiCrAuやNiPaAuなどのメッキで表面処理することが好ましい。
【0019】
そして、本実施形態に係るLED光源装置1では、形成した除去部分81~84において、配線31~34同士をボンディングワイヤー201~204で電気的に接続している。たとえば、
図2~5に示す例において、除去部分81
5において露出された配線31
3は、除去部分81
6において露出された配線31
4と、ボンディングワイヤー201
3で接続される。
【0020】
また、本実施形態に係るLED光源装置1では、形成した除去部分81~84において、同じ配線系統にある配線31~34同士をボンディングワイヤー201~204でそれぞれ接続することで、同じ色の光を発光するLEDチップ41~44を外部電極51~54,61~64まで直列に接続する。たとえば、
図4に示す例において、除去部分81
1で露出された配線31
1と除去部分81
2で露出された配線31
2とがボンディングワイヤー201
1で接続され、除去部分81
3において、LED配置部35
1に配置された緑色LEDチップ41
1の下面電極と接続する。また、除去部分81
3で露出された緑色LEDチップ41
1の上面電極と除去部分81
4で露出された配線31
3とがボンディングワイヤー201
2で接続され、除去部分81
5で露出された配線31
3と除去部分81
6で露出された配線31
4とがボンディングワイヤー201
3で接続される。また、配線31
4は、除去部分81
7において、LED配置部35
2に配置された緑色LEDチップ41
2の下面電極と接続する。さらに、除去部分81
7で露出された緑色LEDチップ41
2の上面電極と除去部分81
8で露出された配線31
5とがボンディングワイヤー201
4で接続され、除去部分81
9で露出された配線31
5と除去部分81
10で露出された配線31
6とがボンディングワイヤー201
5で接続される。また、配線31
6は、除去部分81
11において、LED配置部35
3に配置された緑色LEDチップ41
3の下面電極と接続する。さらに、除去部分81
11で露出された緑色LEDチップ41
3の上面電極と除去部分81
12で露出された配線31
7とがボンディングワイヤー201
6で接続される。このように、本実施形態では、緑色LEDチップ41
1~41
4を接続する配線31
1~31
7を、ボンディングワイヤー201
1~201
6を介して接続することで、同じ色の光を発光する緑色LEDチップ41
1~41
4を、同一の配線系統で外部電極51,61まで直列に接続することができる。同様に、他の配線32~34においても、同じ色の光を発光するLEDチップ42~44を、同一の配線系統で外部電極52~54,62~64まで直列に接続することができる。
【0021】
さらに、本実施形態に係るLED光源装置1では、配線31~34に接続しているボンディングワイヤー201~204が他の配線31~34の上を跨ぐように、配線31~34同士をボンディングワイヤー201~204で接続するし、配線31~34とボンディングワイヤー201~204とを実装基板10の同一平面上において交差させている。たとえば、
図5に示す例では、配線33
3および配線34
3の上を跨ぐように、配線31
3と配線31
4とをボンディングワイヤー201
3で接続することで、配線33
3および配線34
3とボンディングワイヤー201
3とを交差している。このように、本実施形態に係るLED光源装置1では、配線33
3および配線34
3を跨いで、離れた位置にある配線31
3と配線31
4とを電気的に接続することができるため、従来、多層基板を用いる必要があった複雑な配線パターンにおいても、本実施形態では、単層基板を用いて配線系統を容易に構築することが可能となる。
【0022】
すなわち、従来のLED光源装置において、
図5に示すように、配線33
3および配線34
3を挟んで、離れた位置にある配線31
3と配線31
4とを接続する場合、
図6に示すように、多層構造の多層基板を用いて、配線を異なる層で交差させる構成が採用されていた。たとえば、
図6に示す例において、配線Aと配線Bとを、同一面上(1層目)に配設された配線Dと交差させて接続する場合、配線Aおよび配線BにビアホールAおよびビアホールBをそれぞれ形成し、1層目よりも上層の2層目において、ビアホールAとビアホールBとを接続する配線Cを形成することで、異なるLEDチップにそれぞれ接続する配線を交差させる必要があった。これに対して、本実施形態では、このような多層構造を用いる必要がないため、単層基板においても、複雑な配線パターンを有する配線系統を容易に構築することができる。なお、
図6においては、1層目に形成された配線を黒色、2層目に形成された配線を白色、1層目の配線と2層目の配線とが重なる部分をグレーで示している(
図7も同様。)。
【0023】
また、
図6に示すように、従来のLED光源装置において多層基板を用いた場合、LEDチップ配置部は2層目に形成され、その上にLEDチップが配置されるため、LEDチップで発熱した熱を実装基板から放熱するためにはビアホールを介して熱を実装基板まで伝達する必要があり、本実施形態に係るLED光源装置1のような単層基板を用いた場合と比べて放熱効率が低下してしまい、LEDチップを密集して配置できないという問題があった。これに対して、本実施形態に係るLED光源装置1では、単層基板を用いることができるため、LEDチップ41~44で発生した熱を効率的に実装基板に伝達し放熱することができるため、LED光源装置1の温度管理(発熱管理)の観点からも、LEDチップ41~44の密集度を高めることが可能となる。なお、
図6は、従来のLED光源装置の配線接続方法を説明するための図である。
【0024】
さらに、従来のLED光源装置と比べて、本実施形態に係るLED光源装置1では、以下のような効果を奏することができる。すなわち、従来のLED光源装置において、ビアホールを形成する場合、ビアホールの周辺にはビアランドが形成されるところ、
図7(A)に示すように、ビアランドと配線との距離は、短絡防止のため、一定間隔(たとえば、本実施形態では0.1mm以上)を空ける必要がある。たとえば、ビアランドの外径は、小さくても0.4mm程度あり、LEDチップの密集性を高めるため0.2mmの配線を用いた場合、ビアランドの外径が配線の幅よりも大きくなるため、ビアの分だけ、配線間の幅を広くする必要があった。たとえば、
図7(A)に示す例において、配線の幅を0.2mm、ビアランドの外径を0.4mm、ビアランドと配線との間隔を0.1mmとした場合、LEDチップ間における幅W1は、a(0.1mm)×10+b(0.2mm)×4=1.8mmとなる。
【0025】
これに対して、本実施形態に係るLED光源装置1では、
図6に示すようにビアホールを形成する必要がなく、2つの配線31~34間を、ボンディングワイヤー201~204を用いて接続する。そのため、本実施形態に係るLED光源装置1では、
図7(B)に示すように、配線と配線との間の距離を狭めることができ、配線の幅を0.2mm、配線の間隔を0.1mmとした場合、LEDチップ間における幅W2は、a(0.1mm)×5+b(0.2mm)×4=1.3mmと、従来のLED光源装置の1.8mmよりも狭くすることができる。このように、本実施形態に係るLED光源装置1では、配線31~34間の距離を短くし、LEDチップ41~44間の距離を短くすることができるため、複数種類のLEDチップ41~44を短い間隔で高密度に実装することができる。なお、
図7(A)は従来のLED光源装置の配線間隔を説明するための図であり、(B)は本実施形態に係るLED光源装置の配線間隔を説明するための図である。
【0026】
さらに、本実施形態に係るLED光源装置1では、実装基板10が単層構造を有することができるため、LEDチップ41~44で発生した熱は、絶縁層20を介して、金属製の実装基板10へと拡散され放熱される。これに対して、従来のLED光源装置では、多層構造を有し、最も上層にLEDチップが配置されるため、本実施形態に係るLED光源装置1と比べて、LEDチップと実装基板との間に1層以上の絶縁層が多く介在したり、ビアを通して下層と接続することとなり、その分、放熱性能が低くなってしまう。そのため、従来のLED光源装置では、複数のLEDチップを密集させてしまうと高温となってしまい、温度管理の面から小型化が困難であるという問題もあった。これに対して、本実施形態に係るLED光源装置1では、放熱性能が高く、このような点からも、小型化に適している。
【0027】
さらに、本実施形態に係るLED光源装置1では、ソルダーレジスト層80のうち、配線31~34をボンディングワイヤー201~204と接続する部分だけを除去し、それ以外の部分はソルダーレジスト層80で被覆することで、ボンディングワイヤー201~204が他の配線31~34と接触することを防止している。たとえば、
図5に示す例においては、配線33
3および配線34
3をソルダーレジスト層80で被覆することで、配線31
3と配線31
4とをボンディングワイヤー201
3で接続する際に、配線33
3および配線34
3がボンディングワイヤー201
3と接触することを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態に係るLED光源装置1では、
図5に示すように、ソルダーレジスト層80の上に、封止樹脂層90が形成されている。封止樹脂層90は、シリコーン樹脂またはガラスエポキシ樹脂を主要な成分とした、透光性の高い樹脂を用いることが好ましい。封止樹脂層90は、
図5に示すように、ボンディングワイヤー201~204を層内に埋没させることで、ボンディングワイヤー201~204を外部の衝撃から保護し、ボンディングワイヤー201~204が切断されてしまうことを防止する。また、除去部分81~84においては、ソルダーレジスト層80が形成されていないため、封止樹脂層90が、配線31~34およびLED配線層35~38に搭載されたLEDチップ41~44を直接被覆し、配線31~34およびLEDチップ41~44を保護する機能も有する。
【0029】
次に、本実施形態に係るLED光源装置1の製造方法について説明する。本実施形態に係るLED光源装置1では、まず、実装基板10の上に絶縁層20が形成される。次いで、絶縁層20の上に、銅箔を貼り付け、フォトエッチングで不要な部分を除去することで、所望する配線パターンの配線層30が形成される。続いて、配線層30の上に、酸化チタンなどの白色無機顔料を含むシリコーン樹脂などの樹脂を液状で塗布、あるいは、シールで貼付することで、実装基板10の全面にソルダーレジスト層80が形成される。さらに、ソルダーレジスト層80のうち、LED配置部35~38に対応する部分と、配線31~34とボンディングワイヤー201~204とを接続する部分と、外部電極51~54,61~64に対応する部分とを、フォトエッチングで除去することで、除去部分81~84が形成される。また、除去部分81~84で露出した配線31~34、LED配置部35~38、外部電極51~54,61~64には、NiCrAuやNiPaAuなどのメッキ処理が施される。
【0030】
そして、除去部分81~84のうち、LED配置部35~38が露出した部分に、対応するLEDチップ41~44が設置される。また、除去部分81~84において露出した配線31~34の部分において、配線31~34とボンディングワイヤー201~204とが接続される。たとえば、
図5に示すように、除去部分81~84で露出した配線31
3と配線31
4とをボンディングワイヤー201
3にそれぞれ溶接することで、配線33
3および配線34
3を跨いで、配線31
3と配線31
4とボンディングワイヤー201
3で接続する。さらに、ソルダーレジスト層80の上に、シリコーン樹脂などでダム材70が形成される。また、ダム材70内に封止樹脂を充填することで、LEDチップ41~44やボンディングワイヤー201~204を保護する封止樹脂層90が形成される。このように、本実施形態に係るLED光源装置1が製造される。
【0031】
以上のように、本実施形態に係るLED光源装置1は、配線31~34同士を、他の配線31~34の上を跨ぐように、ボンディングワイヤー201~204で接続することで、他の配線31~34を間に挟んで、離れた位置にある配線31~34同士を接続することができ、従来、多層基板を用いる必要があった複雑な配線パターンでも、単層基板を用いて配線系統を容易に構築することが可能となる。特に、LEDチップの種類が4種類以上のLED光源装置では、配線パターンが複雑となり、配線を交差させずに配線系統を構築することが困難であるところ、本実施形態に係るLED光源装置1では、4種類以上のLEDチップ41~44を用いる場合においても、配線系統81~88,201~204を容易に構築することができる。
【0032】
さらに、本実施形態に係るLED光源装置1では、多層基板を採用する必要がないため、基板上にビアホールを形成する必要もなく、
図7(A)に示すように、ビアホールおよびビアランドの分だけ配線間隔を広げる必要がない。そのため、本実施形態に係るLED光源装置1では、配線31~34の間隔を短くすることができ、LEDチップ41~44の間隔も短くすることができるため、LEDチップ41~44を高密度に集積することができ、LED光源装置1を小型化することができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0034】
上述した実施形態では、バーチカル(上下面電極)タイプのLEDチップ41~44をボンディングワイヤーで配線層30と接続する構成を例示したが、この構成に限定されず、ホリゾンタル(表面2電極)タイプのLEDチップ41~44をボンディングワイヤーで配線層30と接続する構成や、フェーズダウンタイプのLEDチップ41~44をフリップチップ実装する構成としてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、緑色LEDチップ41、赤色LEDチップ42、青色LEDチップ43および黄色LEDチップ44の異なる色(波長域)の光を放射する4種類のLEDチップを用いる構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば2~3種類または5種類以上のLEDチップを用いる構成とすることができる。また、蛍光体励起可能なLEDチップ(たとえば同じ仕様の青色LEDチップのみ)を用いる構成とすることもできる。この場合、たとえば、各青色LEDチップをそれぞれ個別にダム材で囲み、ダム内に、赤色や緑色などに発光する蛍光体を含む透明樹脂を充填することで、複数の色を発光させることができる。そして、発色が異なるLEDチップごとに配線系統を分け、それぞれの配線系統の配線同士を接続する場合に、上記実施形態で説明したように、ボンディングワイヤーを他の配線の上を跨いで接続させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…LED光源装置
10…実装基板
20…絶縁層
30…配線層
31~34…配線
35~38…LED配置部
41~44…LEDチップ
51~54,61~64…外部電極
70…ダム材
80…ソルダーレジスト層
81~84…除去部分
90…封止樹脂層
【手続補正書】
【提出日】2022-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層基板である実装基板と、
前記実装基板の上に配設された複数の配線と、
複数組の第1ないし第4色のLEDチップと、を有するLED光源装置であって、
前記複数の配線は、第1色のLEDチップと接続される第1の配線、第2色のLEDチップと接続される第2の配線、第3色のLEDチップと接続される第3の配線、並びに、第4色のLEDチップと接続される第4の配線を有し、
前記複数組の第1ないし第4色のLEDチップは、同一色のLEDチップと隣接することなく第1の方向に配置されている第1列の発光部と、同一色のLEDチップと隣接することなく第1の方向に配置されている第2列の発光部と、を含み、
前記第1列の発光部および第2列の発光部は、前記第1の方向と直交する第2の方向においても、同一色のLEDチップと隣接することがないように前記第1ないし第4色のLEDチップが配置されており、
前記第1ないし第4の配線は、前記第1の方向に延伸するように配線されており、
前記第1列の発光部および第2列の発光部のLEDチップは、他の発光部の同一色のLEDチップと直列接続されており、
前記第1列の発光部のLEDチップと第2列の発光部のLEDチップとは、当該LEDチップとは異なる色のLEDチップの配線を跨ぐようにボンディングワイヤーにより接続されている、LED光源装置。
【請求項2】
前記第1ないし第4色のLEDチップは、緑色LEDチップ、赤色LEDチップ、青色LEDチップおよび黄色LEDチップからなる、請求項1に記載のLED光源装置。
【請求項3】
前記複数の配線が形成される配線層の上にソルダーレジスト層が形成されており、
前記ソルダーレジスト層は、前記第1ないし第4の配線が前記ボンディングワイヤーと接続する部分において除去された除去部分を有する、請求項1または2に記載のLED光源装置。
【請求項4】
隣接する前記複数の配線間の間隔が0.2mm未満である、請求項1ないし3のいずれかに記載のLED光源装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係るLED光源装置は、単層基板である実装基板と、
前記実装基板の上に配設された複数の配線と、
複数組の第1ないし第4色のLEDチップと、を有するLED光源装置であって、前記複数の配線は、第1色のLEDチップと接続される第1の配線、第2色のLEDチップと接続される第2の配線、第3色のLEDチップと接続される第3の配線、並びに、第4色のLEDチップと接続される第4の配線を有し、前記複数組の第1ないし第4色のLEDチップは、同一色のLEDチップと隣接することなく第1の方向に配置されている第1列の発光部と、同一色のLEDチップと隣接することなく第1の方向に配置されている第2列の発光部と、を含み、前記第1列の発光部および第2列の発光部は、前記第1の方向と直交する第2の方向においても、同一色のLEDチップと隣接することがないように前記第1ないし第4色のLEDチップが配置されており、前記第1ないし第4の配線は、前記第1の方向に延伸するように配線されており、前記第1列の発光部および第2列の発光部のLEDチップは、他の発光部の同一色のLEDチップと直列接続されており、前記第1列の発光部のLEDチップと第2列の発光部のLEDチップとは、当該LEDチップとは異なる色のLEDチップの配線を跨ぐようにボンディングワイヤーにより接続されている。
上記LED光源装置において、前記第1ないし第4色のLEDチップは、緑色LEDチップ、赤色LEDチップ、青色LEDチップおよび黄色LEDチップからなる構成とすることができる。
上記LED光源装置において、前記複数の配線が形成される配線層の上にソルダーレジスト層が形成されており、前記ソルダーレジスト層は、前記第1ないし第4の配線が前記ボンディングワイヤーと接続する部分において除去された除去部分を有する構成とすることができる。
上記LED光源装置において、隣接する前記複数の配線間の間隔が0.2mm未満である構成とすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】