(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022062610
(43)【公開日】2022-04-20
(54)【発明の名称】鉄道車両の遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
B60L 15/40 20060101AFI20220413BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20220413BHJP
【FI】
B60L15/40 J
B60L3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020170743
(22)【出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125AC02
5H125CC04
5H125EE41
5H125EE49
5H125EE55
5H125EE61
5H125FF28
(57)【要約】
【課題】鉄道車両の遠隔操作と手動操作とを容易に切り替え可能な鉄道車両の遠隔制御システムを提供する。
【解決手段】運転手によって操作される鉄道車両の運転を行なうための操作部材を操作する第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を、運転席120に着座した運転手による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設け、操作部材制御部204の遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基づいて第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を制御して操作部材を操作することによって、鉄道車両10を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部204の手動操作モードを選択することで、操作部材を運転席120に着座した運転手が手動操作できるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両を遠隔制御する鉄道車両の遠隔制御システムであって、
運転者によって操作される前記鉄道車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、
遠隔操作司令情報を受信する鉄道車両側通信部と、
前記鉄道車両側通信部で受信された前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部と、を備え、
前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に設けられ、
前記操作部材制御部は、前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成されている、
ことを特徴とする鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部と、をさらに備え、
前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、
前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記鉄道車両に、前記鉄道車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設け、
前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記鉄道車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記鉄道車両側通信部に送信する遠隔操作側通信部と、表示部とを備える遠隔操作装置を設け、
前記鉄道車両側通信部は、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔操作側通信部に送信し、
前記表示部は、前記遠隔操作側通信部で受信された前記画像情報を表示する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記鉄道車両に、前記鉄道車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設け、
前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記鉄道車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記鉄道車両側通信部に送信する遠隔操作側通信部と、表示部と、地図情報を記憶する地図データベースとを備える遠隔操作装置を設け、
前記鉄道車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔操作側通信部に送信し、
前記表示部は、前記遠隔操作側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記鉄道車両の位置を表示する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の加速および減速を行うためのマスターコントローラーと、前記鉄道車両の進行方向を前進または後進に切り替える逆転ハンドルと、前記鉄道車両のブレーキ機構を作動させるブレーキハンドルと、前記鉄道車両を緊急停止させるための緊急停止ボタンとを含み、
前記アクチュエータは、それらマスターコントローラー、逆転ハンドル、ブレーキハンドル、緊急停止ボタンに対応してそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の加速および減速を行うためのマスターコントローラーを含んで構成され、
前記マスターコントローラーは、操作台から揺動可能に突出された揺動軸と、前記揺動軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、
前記アクチュエータは、前記揺動軸に結合されたピストンロッドと、前記揺動軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項7】
前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の進行方向を前進または後進に切り替える逆転ハンドルを含んで構成され、
前記逆転ハンドルは、操作台から揺動可能に突出された揺動軸と、前記揺動軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、
前記アクチュエータは、前記揺動軸に結合されたピストンロッドと、前記揺動軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項8】
前記複数の操作部材は、前記鉄道車両のブレーキ機構を作動させるブレーキハンドルを含んで構成され、
前記ブレーキハンドルは、操作台から立設する回転軸と、前記回転軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、
前記アクチュエータは、前記回転軸に結合されたピストンロッドと、前記回転軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項9】
前記複数の操作部材は、前記鉄道車両を緊急停止させるための緊急停止ボタンを含んで構成され、
前記緊急停止ボタンは、操作台の表面に対して垂直方向に押圧可能な押しボタンであり、
前記アクチュエータは、前記押しボタンの表面に当接可能に設けられたピストンロッドと、前記ピストンロッドを前記鉛直方向に移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【請求項10】
前記複数のアクチュエータは、前記運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項記載の鉄道車両の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の運転は、運転手が鉄道車両に乗車し、マスターコントローラー等の操作部材を操作することにより行っている。
一方で、近年少子高齢化による労働力不足への対応や鉄道運行効率の向上の観点から、鉄道車両の無人遠隔運転が検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「山手線E235系で自動列車運転装置(ATO)等の試験を行います」、JR東日本ニュース、東日本旅客鉄道株式会社、[令和2年6月22日検索]、インターネット<URL:https://www.jreast.co.jp/press/2018/20181202.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道車両の無人遠隔運転中に電源喪失、テロ、災害発生などの非常事態が生じた場合、管制室からの遠隔制御が行えなくなる可能性がある。非常事態として発生し得る様々な事象を想定すると、通常の無人遠隔運転とは別系統の遠隔制御システムをバックアップとして鉄道車両に搭載するのが望ましい。
【0005】
また、将来的に鉄道車両の運転無人化が進んだ場合、全ての鉄道車両を遠隔制御可能な車両に置き換えまたは改造する必要があるが、コストがかさむため、例えば利用者が少ない地方路線などでは運転無人化を進めることができない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鉄道車両の遠隔操作と手動操作とを容易に切り替え可能な鉄道車両の遠隔制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、鉄道車両を遠隔制御する鉄道車両の遠隔制御システムであって、運転者によって操作される前記鉄道車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、遠隔操作司令情報を受信する鉄道車両側通信部と、前記鉄道車両側通信部で受信された前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部と、を備え、前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に設けられ、前記操作部材制御部は、前記遠隔操作司令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部と、をさらに備え、前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされる、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記鉄道車両に、前記鉄道車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設け、前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記鉄道車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記鉄道車両側通信部に送信する遠隔操作側通信部と、表示部とを備える遠隔操作装置を設け、前記鉄道車両側通信部は、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔操作側通信部に送信し、前記表示部は、前記遠隔操作側通信部で受信された前記画像情報を表示する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記鉄道車両に、前記鉄道車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設け、前記遠隔操作司令情報を生成する司令情報生成部と、前記鉄道車両側通信部と通信可能に構成され前記遠隔操作司令情報を前記鉄道車両側通信部に送信する遠隔操作側通信部と、表示部と、地図情報を記憶する地図データベースとを備える遠隔操作装置を設け、前記鉄道車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔操作側通信部に送信し、前記表示部は、前記遠隔操作側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記鉄道車両の位置を表示する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の加速および減速を行うためのマスターコントローラーと、前記鉄道車両の進行方向を前進または後進に切り替える逆転ハンドルと、前記鉄道車両のブレーキ機構を作動させるブレーキハンドルと、前記鉄道車両を緊急停止させるための緊急停止ボタンとを含み、前記アクチュエータは、それらマスターコントローラー、逆転ハンドル、ブレーキハンドル、緊急停止ボタンに対応してそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の加速および減速を行うためのマスターコントローラーを含んで構成され、前記マスターコントローラーは、操作台から揺動可能に突出された揺動軸と、前記揺動軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、前記アクチュエータは、前記揺動軸に結合されたピストンロッドと、前記揺動軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記鉄道車両の進行方向を前進または後進に切り替える逆転ハンドルを含んで構成され、前記逆転ハンドルは、操作台から揺動可能に突出された揺動軸と、前記揺動軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、前記アクチュエータは、前記揺動軸に結合されたピストンロッドと、前記揺動軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記鉄道車両のブレーキ機構を作動させるブレーキハンドルを含んで構成され、前記ブレーキハンドルは、操作台から立設する回転軸と、前記回転軸の先端に設けられ手により把持される被把持部とを有し、前記アクチュエータは、前記回転軸に結合されたピストンロッドと、前記回転軸を揺動させる方向に前記ピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記鉄道車両を緊急停止させるための緊急停止ボタンを含んで構成され、前記緊急停止ボタンは、操作台の表面に対して垂直方向に押圧可能な押しボタンであり、前記アクチュエータは、前記押しボタンの表面に当接可能に設けられたピストンロッドと、前記ピストンロッドを前記鉛直方向に移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されている、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記複数のアクチュエータは、前記運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、鉄道車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータを、運転席に着座した運転手による複数の操作部材の手動操作を妨げない箇所に設け、操作部材制御部の遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基づいて複数のアクチュエータを制御して複数の操作部材を操作することによって、鉄道車両を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部の手動操作モードを選択することで、複数の操作部材を手動操作できるようにした。
したがって、遠隔制御を行なうための鉄道車両の改造を行なうことなく鉄道車両を遠隔制御可能とすることができ、またアクチュエータの撤去を行うことなく運転席に座って手動操縦することができ、使い勝手の向上を図る上で有利となる。
また、操作部材制御部の遠隔操作モードは、サーボ制御部を介して複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部の制御動作を無効として複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされるようにすると、簡単な構成で遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
また、鉄道車両に、鉄道車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設けると共に、遠隔操作装置に表示部を設けると、表示部に表示された画像情報によって鉄道車両の周辺の状況を把握することができ、鉄道車両から離れた箇所から鉄道車両を的確に遠隔操作する上で有利となる。
また、鉄道車両に、鉄道車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設けると共に、遠隔操作装置に表示部と地図データベースとを設けると、表示部により、測位情報に基づいて地図データベースから読み出された地図情報上に鉄道車両の位置を表示することができ、鉄道車両の現在位置を把握することができ、鉄道車両から離れた箇所から鉄道車両を的確に遠隔操作する上で有利となる。
また、複数の操作部材は、マスターコントローラーと、逆転ハンドルと、ブレーキハンドルと、緊急停止ボタンとを含み、アクチュエータは、それらマスターコントローラー、逆転ハンドル、ブレーキハンドル、緊急停止ボタンに対応してそれぞれ設けられていると、鉄道車両の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
また、複数の操作部材は、鉄道車両の加速および減速を行うためのマスターコントローラーを含んで構成され、アクチュエータはマスターコントローラーの揺動軸に結合されたピストンロッドと、揺動軸を揺動させる方向にピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されていると、簡単な構成によりマスターコントローラーの操作を的確に行なう上で有利となる。
また、複数の操作部材は、鉄道車両の進行方向を前進または後進に切り替える逆転ハンドルを含んで構成され、アクチュエータは逆転ハンドルの揺動軸に結合されたピストンロッドと、揺動軸を揺動させる方向にピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されていると、簡単な構成により逆転ハンドルの操作を的確に行なう上で有利となる。
また、複数の操作部材は、鉄道車両のブレーキ機構を作動させるブレーキハンドルを含んで構成され、アクチュエータはブレーキハンドルの回転軸に結合されたピストンロッドと、回転軸を揺動させる方向にピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されていると、簡単な構成によりブレーキハンドルの操作を的確に行なう上で有利となる。
また、複数の操作部材は、鉄道車両を緊急停止させるための緊急停止ボタンを含んで構成され、アクチュエータは緊急停止ボタンの表面に当接可能に設けられたピストンロッドと、緊急停止ボタンの押圧方向にピストンロッドを移動させるシリンダ本体とを備える直動式シリンダを含んで構成されていると、簡単な構成により緊急停止ボタンの操作を的確に行なう上で有利となる。
また、複数のアクチュエータは、運転席に着座した運転手による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられていると、複数のアクチュエータの着脱を容易に行なえ、複数のアクチュエータのメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る鉄道車両の遠隔制御システムが適用される鉄道車両の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る鉄道車両の遠隔制御システムが適用される鉄道車両の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る鉄道車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】鉄道車両のマスターコントローラーの操作を行なう第1アクチュエータの説明図である。
【
図5】鉄道車両のブレーキハンドルの操作を行なう第3アクチュエータの説明図であり、(A)はブレーキハンドルを上面から見た上面図、(B)は(A)のB線矢視図である。
【
図6】鉄道車両の緊急停止ボタンの操作を行なう第4アクチュエータの説明図であり、(A)は車幅方向から見た側面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【
図7】第2の実施の形態に係る鉄道車両の遠隔制御システムが適用される鉄道車両の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る鉄道車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】(A)は表示部に鉄道車両の周辺を示す画像情報が表示された状態を示す図、(B)は表示部に地図情報に重ね合わされて鉄道車両の位置を示すアイコンが表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本実施の形態に係る鉄道車両について説明する。
本実施の形態において、鉄道車両とは、軌道上を走行する車両であり、鉄道路線を走行する列車や新幹線の他、リニアモーターカーやモノレール等を含むものとするが、本実施の形態では、鉄道車両の一例として電力を用いて線路上を走行する客車を挙げて説明する。以下に示す鉄道車両の構成は一例であり、軌道上を走行する車両には様々なタイプがある。本発明は、それら従来公知の様々な鉄道車両に適用可能である。
【0011】
図1に示すように、鉄道車両10は、車体12と、モータ30と、走行制御装置22と、複数の操作部材を構成するマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44および緊急停止ボタン46と、複数のアクチュエータを構成する第1アクチュエータ50、第2アクチュエータ52、第3アクチュエータ54および第4アクチュエータ56と、鉄道車両側制御装置20とを含んで構成されている。
なお、鉄道車両10は、実際には複数の車両が前後方向に連結されているが、
図1では先頭車両の前部付近のみを図示している。
【0012】
車体12は、先頭車両の前部に設けられた操作台14と、操作台14の後方に配置され運転手が着座する運転席120を備えている。車体12の上部には図示しないパンタグラフ(集電装置)が設けられており、線路に沿って設けられた架線から電気を引き込んでモータ30の駆動に利用している。
【0013】
モータ30は、電力を用いて車輪32の駆動軸34を回転させ、車体12を推進させるものである。モータ30は、鉄道車両10に正の駆動力を与える力行運転状態と、鉄道車両10に負の駆動力を与える回生運転状態とをとり得る。鉄道車両10の加速時および等速走行時にはモータ30は力行運転状態とされ、鉄道車両10の減速時には回生運転状態とされる。また、モータ30の回転方向を切り替えることで、鉄道車両10の進行方向(前進または後進)を切り替え可能である。
一般的には、モータ30は、1台の鉄道車両10に複数設けられている。また、
図1ではモータ30が車輪32を直接回転させている、すなわち車輪32が駆動輪となっているが、鉄道車両10にはモータ30が取り付けられていない車輪32、すなわち従動輪も設けられている。
【0014】
各車輪32にはブレーキ機構38が設けられおり、鉄道車両10の停車時には上記モータ30の回生の他、ブレーキ機構38の作動により鉄道車両10を制動する。ブレーキ機構38は、車輪32の運動エネルギーを摩擦により熱エネルギーに変換することにより、車輪32の回転を減速させる。
図1では、ブレーキ機構38の一例として、ブレーキディスクとブレーキパッドを備えるディスク型ブレーキを図示している。
【0015】
走行制御装置22は、複数の操作部材40、42、44、46の操作に応じてモータ30およびブレーキ機構38の制御を行なうものであり、具体的には、モータ30の始動、停止、モータ30の運転状態の制御、モータ30の回転方向の切り替え、ブレーキ機構38の作動状態の制御などを行なうものである。
【0016】
複数の操作部材40、42、44、46は、鉄道車両10の運転を行なうために運転手によって操作される部材である。
本実施の形態では、操作台14に車幅方向に間隔をおいてマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44および緊急停止ボタン46の4つの操作部材が並べられて配置されている。
【0017】
マスターコントローラー40は、鉄道車両10の加速および減速を行うためのものである。
図4に示すように、マスターコントローラー40は、操作台14に設けられた切り欠き14Aから露出し車体12の前後方向に揺動可能に設けられた揺動軸4004と、揺動軸4004の先端に設けられ手により把持される被把持部4002とを備えている。切り欠き14Aは、揺動軸4004の揺動方向に沿って設けられている。
マスターコントローラー40は、不図示のレバー位置センサによって検出されたマスターコントローラー40の傾倒角度を示す傾倒角度信号が走行制御装置22のMCU(Motor Control Unit)220に供給され、MCU220によりモータ30の出力状態の制御がなされる。
【0018】
マスターコントローラー40は、中立範囲と、中立範囲よりも車体12の前方の範囲の前進範囲と、中立範囲よりも車体12の後方の範囲の後進範囲とに傾倒可能に設けられている。
マスターコントローラー40が後進範囲に位置した場合、MCU220は、モータ30を力行運転させ、鉄道車両10に正の加速度を生じさせる。マスターコントローラー40の後方への傾倒角度が大きくなるほど、モータ30の力行出力は大きくなり、鉄道車両10の加速度も大きくなる。
【0019】
マスターコントローラー40が前進範囲に位置した場合、MCU220は、モータ30を回生運転させ、鉄道車両10に負の加速度(減速度)を生じさせる。マスターコントローラー40の前方への傾倒角度が大きくなるほど、モータ30の回生出力は大きくなり、鉄道車両10の減速度も大きくなる。
なお、マスターコントローラー40が中立範囲に位置した場合には、モータ30は惰性運転状態となり、鉄道車両10は惰性走行する。
【0020】
逆転ハンドル42は、鉄道車両10の進行方向を前進または後進に切り替える。
逆転ハンドル42の構造は、マスターコントローラー40と略同一であるため、
図4を参照して説明する。逆転ハンドル42はマスターコントローラー40と同様に、操作台14に設けられた切り欠き14Aから露出し車体12の前後方向に揺動可能に設けられた揺動軸4004と、揺動軸4004の先端に設けられ手により把持される被把持部4002とを備えている。切り欠き14Aは、揺動軸4004の揺動方向に沿って設けられている。
逆転ハンドル42は、不図示のレバー位置センサによって検出された逆転ハンドル42の傾倒角度を示す傾倒角度信号が走行制御装置22のMCU220に供給され、MCU220によりモータ30の回転方向の制御がなされる。
【0021】
逆転ハンドル42は、揺動軸4004が車体12の前方側に傾いた状態である前進位置と、揺動軸4004が車体12の後方側に傾いた状態である後進位置とに傾倒可能に設けられている。
逆転ハンドル42が前進位置にある場合、MCU220は、モータ30を鉄道車両10が前進するようにモータ30を回転させる。逆転ハンドル42が後進位置にある場合、MCU220は、モータ30を鉄道車両10が後進するようにモータ30を回転させる。
【0022】
ブレーキハンドル44は、鉄道車両10のブレーキ機構38を作動させる。
図5に示すように、ブレーキハンドル44は、操作台14から垂直に立設し、その延在方向を中心に回転可能な回転軸4402と、回転軸4402の先端から回転軸4402に対して垂直方向に延在し、運転手の手により把持される被把持部4400とを備えている。
ブレーキハンドル44は、不図示のハンドル位置センサによって検出されたブレーキハンドル44の基準位置からの回転角度を示す回転角度信号が走行制御装置22のブレーキ制御部222に供給され、MCU220によりブレーキ機構38の制御がなされる。
【0023】
ブレーキハンドル44は、被把持部4400が基準位置(
図5Aの実線で示す位置)にある基準状態から、被把持部4400を回転軸4402の回転方向に所定の限界角度まで移動可能に設けられている。
ブレーキハンドル44の被把持部4400が基準位置にある場合にはブレーキ機構38は作動しない。一方、ブレーキハンドル44の被把持部4400が基準位置から回転された場合、ブレーキ制御部222は、その回転角度に応じてブレーキ機構38を作動させる。より詳細には、ブレーキ制御部222は、基準位置からの回転角度が大きいほど強い制動力が発生するようブレーキ機構38を制御する。
【0024】
緊急停止ボタン46は、鉄道車両10を緊急停止させるためものである。
図6に示すように、緊急停止ボタン46は、押圧される押しボタン4600を備えている。
押しボタン4600は常時突出した突出位置に付勢され、押圧操作されることで突出位置から没入位置に移動し、これにより鉄道車両10の緊急停止指示を受け付ける。
押しボタン4600が押下された場合、MCU220は、モータ30を回生運転させ、鉄道車両10に負の加速度(減速度)を生じさせる。また、ブレーキ制御部222は、ブレーキ機構38による最大制動力を発生させるようブレーキ機構38を作動させる。
【0025】
複数のアクチュエータ50、52、54、56は、複数の操作部材40、42、44、46を操作するものである。
本実施の形態では、マスターコントローラー40を操作する第1アクチュエータ50と、逆転ハンドル42を操作する第2アクチュエータ52と、ブレーキハンドル44を操作する第3アクチュエータ54と、緊急停止ボタン46を操作する第4アクチュエータ56の4つのアクチュエータが複数のアクチュエータとして設けられている。
【0026】
図4に示すように、第1アクチュエータ50および第2アクチュエータ52は、直動式シリンダ(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体5006と、シリンダ本体5006に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体5006に組み込まれたピストンロッド5004とを備えている。
【0027】
第1アクチュエータ50および第2アクチュエータ52(直動式シリンダ)は、それぞれ運転席120に着座した運転手によるマスターコントローラー40または逆転ハンドル42の手動操作を妨げない操作台14上の箇所にブラケット5008を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体5006は、ピストンロッド5004の出没方向を車体12の前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド5004の先端は、マスターコントローラー40または逆転ハンドル42の揺動軸4004の長手方向の中間部に連結部5002の不図示の球面軸受を介して連結されている。
【0028】
したがって、鉄道車両側制御装置20によって不図示のモータに駆動信号が供給されることで、第1アクチュエータ50においては、シリンダ本体5006に対してピストンロッド5004が出没し、マスターコントローラー40が前進範囲、中立範囲、後進範囲にわたって傾倒され、これにより、モータ30の出力が調整され、鉄道車両10の走行速度が調整される。
また、鉄道車両側制御装置20によって不図示のモータに駆動信号が供給されることで、第2アクチュエータ52においては、シリンダ本体5006に対してピストンロッド5004が出没し、逆転ハンドル42が前進位置または後進位置に傾倒され、これにより、モータ30の回転方向が変更され、鉄道車両10の進行方向が調整される。
また、鉄道車両側制御装置20によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席120に着座した運転手は、マスターコントローラー40および逆転ハンドル42の手動操作が可能となっている。
【0029】
図5に示すように、第3アクチュエータ54は、直動式シリンダ(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体5402と、シリンダ本体5402に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体5402に組み込まれたピストンロッド5404とを備えている。
【0030】
第3アクチュエータ54は、運転席120に着座した運転手によるブレーキハンドル44の手動操作を妨げない操作台14上の箇所にブラケット5410を介して着脱可能に設けられている。
ピストンロッド5404の先端には軸ピン5406を介して把持部5400が連結されている。把持部5400は、先端が円環状に形成され、ブレーキハンドル44の回転軸4402を把持する。また、把持部5400は、軸ピン5406を中心にピストンロッド5404に対して回転可能となっている。
【0031】
したがって、鉄道車両側制御装置20によって不図示のモータに駆動信号が供給されることで、第3アクチュエータ50においては、シリンダ本体5402に対してピストンロッド5404が出没し、把持部5400がブレーキハンドル44の回転軸4402を基準位置に対して回転させる。これにより、ブレーキ機構38が作動し、鉄道車両10の走行速度(減速度)が調整される。
また、鉄道車両側制御装置20によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席120に着座した運転手は、ブレーキハンドル44の手動操作が可能となっている。
【0032】
図6(A)、(B)に示すように、第4アクチュエータ56は、直動式シリンダ(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体5600と、シリンダ本体5600に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体5600に組み込まれたピストンロッド5604とを備えている。
【0033】
第4アクチュエータ56(直動式シリンダ)は、運転席120に着座した運転者による緊急停止ボタン46の手動操作を妨げない箇所にブラケットB1を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体5600は、ピストンロッド5604の出没方向を緊急停止ボタン46の押圧方向(操作台14の表面に対して垂直方向)に合致させて配置されている。
ピストンロッド5604の先端には、ゴムなどの弾性体からなるカバー5602が装着され、ピストンロッド5604の先端はカバー5602を介して緊急停止ボタン46の押しボタン4600の表面に当接可能に設けられ、これにより押しボタン4600の保護が図られている。
したがって、鉄道車両側制御装置20によって不図示のモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体5600に対してピストンロッド5604が出没し、押しボタン4600が押圧されることで、緊急停止指示が受け付けられる。
【0034】
また、鉄道車両側制御装置20によって不図示のモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席120に着座した運転者は、緊急停止ボタン46の手動操作が可能となっている。
なお、緊急停止ボタン46は、押しボタン状の操作部の一例であり、操作台14およびその周辺に配置される他の押しボタン状操作部についても、第4アクチュエータ56と同様の機構で遠隔操作が可能となる。
【0035】
鉄道車両側制御装置20は、車体12に搭載され、遠隔操作装置58から送信される遠隔操作司令情報に基づいて第1、第2、第3、第4アクチュエータ50、52、54、56を制御するものである。鉄道車両側制御装置20については後で詳述する。
遠隔操作装置58は、鉄道車両10から離間した箇所に位置する操作者が操作するものであり、操作者の操作により生成した遠隔操作司令情報を鉄道車両側制御装置20に無線回線を介して送信するものである。
【0036】
次に、
図3を参照して、遠隔操作装置58について詳細に説明する。
遠隔操作装置58は、第1~第3遠隔操作レバー500、502、504と、遠隔操作ボタン506と、角度センサ510A、510B、510Cと、感圧センサ512と、モード切替スイッチ514と、遠隔操作側制御部520と、遠隔操作側通信部524とを含んで構成されている。
第1~第3遠隔操作レバー500、502、504は、マスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44を遠隔制御するための揺動操作がなされる遠隔制御用の操作部材(ジョイスティック)で構成されている。
角度センサ510A、510B、510は、各遠隔操作レバー500、502、504に対応して設けられ、各遠隔操作レバー500、502、504の操作位置に対応する角度を示す検知信号を出力するものである。
【0037】
遠隔操作ボタン506は、緊急停止ボタン46を遠隔制御するための押圧操作がなされる遠隔制御用の押しボタンで構成されている。
感圧センサ512は、遠隔操作ボタン506の操作状態(押圧の有無)を示す検知信号を出力するものである。
【0038】
モード切替スイッチ514は、後述する遠隔制御モードと、手動操作モードとを切り替える際に切り替え操作されるものである。
【0039】
遠隔操作側制御部520は、CPUと、制御プログラムなどを格納・記憶するROMと、制御プログラムの作動領域としてのRAMと、各種データを書き換え可能に保持するEEPROMと、各角度センサ510A、510B、510C、感圧センサ512、モード切替スイッチ514、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部とを含んで構成される。
遠隔操作側制御部520は、上記制御プログラムを実行することにより指令情報生成部520Aとして機能する。
指令情報生成部520Aは、各角度センサ510A、510B、510Cおよび感圧センサ512から供給される検知信号に基いて遠隔操作指令情報を生成するものである。
また、指令情報生成部520Aは、モード切替スイッチ514から供給される操作信号に基いてモード切替司令情報を生成するものである。
【0040】
遠隔操作側通信部524は、鉄道車両側通信部200(
図2参照)と無線回線を介して通信可能に構成され、指令情報生成部520Aで生成された遠隔操作指令情報、モード切替司令情報を鉄道車両側通信部200に無線回線を介して送信するものである。
【0041】
図2に示すように、鉄道車両側制御装置20は、鉄道車両側通信部200と、第1~第4検出部206A~206Dと、サーボ制御部208と、鉄道車両側制御部202とを含んで構成されている。
鉄道車両側通信部200は、遠隔操作側通信部524から無線回線を介して送信される遠隔操作指令情報を受信するものである。
第1~第4検出部206A~206Dは、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56によるマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46の操作量を検出するものである。
【0042】
具体的に説明すると、第1検出部206Aおよび第2検出部206Bはそれぞれ、第1アクチュエータ50または第2アクチュエータ52である直動式の電気シリンダのピストンロッド5004の移動量を操作量として検出する。
第3検出部206Cは、第3アクチュエータ54である直動式の電気シリンダのピストンロッド5404の移動量を操作量として検出する。
第4検出部206Dは、第4アクチュエータ(直動式の電気シリンダ)56のピストンロッド5604の移動量を操作量として検出する。
サーボ制御部208は、操作部材制御部204の制御により第1~第4検出部206A~206Dでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第4アクチュエータ50、52、54、565のサーボ制御をそれぞれ行なう。
【0043】
鉄道車両側制御部202は、CPUと、制御プログラムなどを格納・記憶するROMと、制御プログラムの作動領域としてのRAMと、各種データを書き換え可能に保持するEEPROMと、第1~第4検出部206A~206D、サーボ制御部208、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部と、などを含んで構成される。
鉄道車両側制御部202は、上記制御プログラムを実行することにより操作部材制御部204として機能する。
【0044】
操作部材制御部204は、鉄道車両側通信部200を介して受信した遠隔操作指令情報に基づいて、第1~第4検出部206A~206Dの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部208を制御することで第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を駆動制御してマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を動かすものである。
【0045】
また、操作部材制御部204は、遠隔操作装置58のモード切替スイッチ514の操作によって、遠隔操作側制御部520で生成されたモード切替指令情報を、遠隔操作側通信部524、鉄道車両側通信部200を介して受信することで、遠隔制御モードと、手動操作モードとに選択可能に構成されている。
【0046】
操作部材制御部204は、モード切替指令情報に応じて遠隔制御モードに設定された場合は、遠隔操作装置58の操作に応じて遠隔制御を行う。
すなわち、操作部材制御部204は、遠隔操作指令情報に基いて第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を制御してマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を操作する。
【0047】
また、操作部材制御部204は、モード切替指令情報に応じて手動操作モードに設定された場合は、サーボ制御部208を制御して第1~第4アクチュエータ50、52、54、56のモータへの駆動信号をオフとすることで、すなわち、サーボ制御部208のサーボ制御を無効とすることで、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56をサーボフリーとしてマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46の手動操作を可能とする。
なお、モード切替スイッチ514を鉄道車両側制御装置20に設け、モード切替スイッチ514の操作を受け付けた操作部材制御部204が遠隔制御モードと、手動操作モードとを選択するようにしてもよい。
【0048】
次に、本実施の形態の遠隔制御システムを用いて鉄道車両10を遠隔制御する場合について説明する。
予め、鉄道車両側制御装置20はモード切替スイッチ514により遠隔制御モードに設定されているものとする。
なお、運転手による鉄道車両10の遠隔操作は、運転手が鉄道車両10を監視しながら行なうものとする。
【0049】
運転手が遠隔操作装置58の第1~第3遠隔操作レバー500、502、504および遠隔操作ボタン506を操作すると、角度センサ510A、510B、510Cおよび感圧センサ512で検出された検知信号に基いて指令情報生成部520Aが遠隔操作指令情報を生成する。遠隔操作指令情報は、無線回線を介して遠隔操作側通信部524から鉄道車両側通信部200に無線回線を介して送信される。
なお、緊急停止ボタン46に対応する遠隔操作ボタン506は、緊急時以外は操作されることがない。例えば、遠隔操作ボタン506への誤操作を防止するため、遠隔操作ボタン506をカバーで覆うなどの対策を講じてもよい。
【0050】
鉄道車両10では、鉄道車両側通信部200を介して受信された遠隔操作指令情報が操作部材制御部204に供給され、操作部材制御部204は、遠隔操作指令情報に基いて、第1~第4検出部206A~206Dの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部208を制御することで第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を駆動制御してマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を操作させる。
すなわち、第1アクチュエータ50によってマスターコントローラー40が操作されることにより、鉄道車両10の走行速度(加速、減速、惰性走行)の調整が行われる。
第2アクチュエータ52によって逆転ハンドル42が操作されることにより、鉄道車両10の進行方向の切り替えがなされる。
第3アクチュエータ54によってブレーキハンドル44が操作されることにより、鉄道車両10のブレーキ機構38の作動(制動)がなされる。
第4アクチュエータ56によって緊急停止ボタン46が操作されることにより、鉄道車両10の緊急停止がなされる。
【0051】
次に本実施の形態の遠隔制御システムを用いて鉄道車両10に搭乗した運転手がマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を手動操作する場合について説明する。
予め、鉄道車両側制御装置20はモード切替スイッチ514により手動操作モードに設定されているものとする。
運転席120に着座した運転手の手動操作でマスターコントローラー40が操作されることにより、鉄道車両10の走行速度(加速、減速、惰性走行)の調整が行われる。
また、運転手の手動操作によって逆転ハンドル42が操作されることにより、鉄道車両10の進行方向の切り替えがなされる。
また、運転手の手動操作によってブレーキハンドル44が操作されることにより、鉄道車両10のブレーキ機構38の作動(制動)がなされる。
また、運転手の手動操作によって緊急停止ボタン46が操作されることにより、鉄道車両10の緊急停止がなされる。
この際、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56はサーボフリーとされているため、マスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46の手動操作は妨げられない。
【0052】
本実施の形態によれば、運転手によって操作され鉄道車両10の運転を行なうための操作部材を操作する第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を、運転席120に着座した運転手による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設け、操作部材制御部204による遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基いて第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を制御してマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を操作することによって、鉄道車両10を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部204の手動操作モードを選択することで、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56をサーボフリーとしてマスターコントローラー40、逆転ハンドル42、ブレーキハンドル44、緊急停止ボタン46を運転席120に着座した運転手が手動操作できるようにした。
すなわち、特別な工事等を行わずに、運転手が運転席に着座して鉄道車両10を操縦することも、また、運転手が乗船せずに遠隔制御することもでき、鉄道車両10の運行における利便性を向上させる上で有利となる。
したがって、本実施の形態の鉄道車両の遠隔制御システムを、複数の鉄道車両10を用いた鉄道事業に適用すると、複数の鉄道車両10を1人で遠隔制御することも可能となるため、運転手を鉄道車両10の数だけ確保する必要がなく、人的コストを抑制しつつ効率的に鉄道事業を運用する上で有利となり、また、従来のように、運転手が運転席に着座して鉄道車両10を操縦することも可能となる。
【0053】
なお、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を、運転席120に着座した運転手による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱不能に設けてもよいが、本実施の形態のように着脱可能に設けると、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56を容易に取り外せるので、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56のメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
【0054】
また、運転手によって鉄道車両10を手動操作によって運転させると共に、運行中の鉄道車両10を例えば監視者が鉄道車両10から離間した場所から監視している場合、運転手の体調悪化などの緊急事態によって鉄道車両10の正常な運転が困難となったと判断されたとき、監視者が遠隔操作装置58を用いて手動操作モードから遠隔操作モードに切り替えて、遠隔制御により鉄道車両10を操縦して寄港させるといった対処が可能となるため、遠隔制御時のトラブルに適切に対応する上で有利となる。
【0055】
また、本実施の形態では、サーボ制御部208は、第1~第4検出部206A~206Dでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第4アクチュエータ50、52、54、56のサーボ制御をそれぞれ行ない、操作部材制御部204の遠隔操作モードは、サーボ制御部208を介して第1~第4アクチュエータ50、52、54、56をそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部208の制御動作を無効としそれら第1~第4アクチュエータ50、52、54、56をサーボフリーとすることでなされるようにした。
したがって、簡単な構成により遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
【0056】
なお、各操作部材40、42、44、46に対する各アクチュエータ50、52、54、56の連結とその解除を可能に構成し、遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替えるようにしてもよい。
しかしながら、その場合は、複数のアクチュエータや複雑な機構が必要となりコストがかさむ不利がある。
これに対して本実施の形態のように第1~第4アクチュエータ50、52、54、56のサーボ制御とサーボフリーとを切り替えるようにすれば足りるため、そのようなコストを抑制する上で有利となる。
【0057】
また、本実施の形態では、操作部材は、マスターコントローラー40と、逆転ハンドル42と、ブレーキハンドル44と、緊急停止ボタン46とを含むので、鉄道車両10の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
また、本実施の形態では、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56が設けられる、運転手による操作部材の手動操作を妨げない箇所は、操作台14のうち操作部材が設けられていない箇所であるため、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56と操作部材との距離を短縮でき、第1~第4アクチュエータ50、52、54、56による操作部材の操作を確実に行なう上で有利となる。
【0058】
また、本実施の形態では、第1アクチュエータ50はマスターコントローラー40の揺動軸4004に結合されたピストンロッド5004と、揺動軸4004を揺動させる方向にピストンロッド5004を移動させるシリンダ本体5006とを備える直動式シリンダを含んで構成されているので、第1アクチュエータ50の構成の簡素化を図り、マスターコントローラー40の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0059】
また、本実施の形態では、第2アクチュエータ52は逆転ハンドル42の揺動軸4004に結合されたピストンロッド5004と、揺動軸4004を揺動させる方向にピストンロッド5004を移動させるシリンダ本体5006とを備える直動式シリンダを含んで構成されているので、第2アクチュエータ52の構成の簡素化を図り、逆転ハンドル42の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0060】
また、本実施の形態では、第3アクチュエータ54はブレーキハンドル44の回転軸4402を把持する把持部5400と、把持部5400を回転可能に結合したピストンロッド5404と、回転軸4402を揺動させる方向にピストンロッド5404を移動させるシリンダ本体5402とを備える直動式シリンダを含んで構成されているので、第3アクチュエータ54の構成の簡素化を図り、ブレーキハンドル44の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0061】
また、本実施の形態では、第4アクチュエータ56は緊急停止ボタン46逆転ハンドル42の表面に当接可能に設けられたピストンロッド5604と、緊急停止ボタン46の押圧方向にピストンロッド5604を移動させるシリンダ本体5600とを備える直動式シリンダを含んで構成されているので、第4アクチュエータ56の構成の簡素化を図り、緊急停止ボタン46の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図7、
図8を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
第1の実施の形態では、遠隔操作を行なう運転手が鉄道車両10を監視しつつ遠隔操作を行なう場合について説明したが、第2の実施の形態では、遠隔操作を行なう運転手から鉄道車両10が視認できない範囲で遠隔操作を行なうことを可能としたものである。
すなわち、第2の実施の形態では、鉄道車両10の周辺の画像情報と鉄道車両10の測位情報を取得し、それら画像情報と測位情報とに基づいて遠隔操作装置58側で画像情報を表示させると共に、鉄道車両10の地図上での測位情報を表示させるようにした。
【0064】
図7に示すように、鉄道車両10には、画像情報生成部を構成する前方カメラ600A、後方カメラ600B、左方カメラ600C、右方カメラ600Dの4つのカメラと、測位部602とが設けられている。
前方カメラ600Aは、車体12の前方を撮像して画像情報を生成するものである。
後方カメラ600Bは、車体12の後方を撮像して画像情報を生成するものである。
左方カメラ600Cは、車体12の左方を撮像して画像情報を生成するものである。
右方カメラ600Dは、車体12の右方を撮像して画像情報を生成するものである。
それら4つの画像情報は、鉄道車両側通信部200から遠隔操作装置58の遠隔操作側通信部524に無線回線を介して送信される。
なお、画像情報は、動画であっても一定の時間間隔で生成された静止画であってもよい。
【0065】
測位部602は、測位衛星から受信した測位信号に基づいて鉄道車両の位置を測位し測位情報を生成するものである。
このような測位衛星は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で用いられるものであり、それら測位システムで使用される測位衛星の1つを用いてもよく、あるいは、2つ以上の測位衛星を組み合わせて用いても良い。
測位部602で生成された測位情報は、鉄道車両側通信部200から遠隔操作装置58の遠隔操作側通信部524に無線回線を介して送信される。
【0066】
図8に示すように、遠隔操作装置58には、操作部700、地図データベース702、表示部704が設けられている。
操作部700は、運転手の操作に応じて、後述する報知部520Bに対して表示部704で表示する情報の切り替えなどを指示するものである。操作部700は、例えば、表示部704の表示面に設けられたタッチパネルや表示部704とは独立して設けられたキースイッチで構成されている。
地図データベース702は、鉄道車両10が運転する場所を含む地図情報を格納しており、地図情報は地球上の測位情報(位置情報)と関連付けられている。
表示部704は、後述する報知部520Bの制御に基づいて、鉄道車両10の周辺の画像情報を表示し、また、鉄道車両10の現在位置を地図情報上に表示するものである。
【0067】
遠隔操作装置58の遠隔操作側制御部520は、制御プログラムを実行することにより報知部520Bとして機能する。
報知部520Bは、鉄道車両側通信部200から無線回線を介して送信された画像情報を表示部704に表示させ、また、鉄道車両側通信部200から無線回線を介して送信された測位情報に基づいて地図データベース702から地図情報を読み出し、測位情報に基づいてその地図情報上に鉄道車両10の現在位置を示すアイコンを重ね合わせて表示部704に表示させる。
また、報知部520Bは、操作部700の操作に応じて画像情報と地図情報とを切り替えて表示部704に表示させる。あるいは、車体12の前方、後方、左方、右方の画像情報を選択的に表示部704に表示させる。
例えば、
図9(A)は、表示部704の表示画面704Aに、前方カメラ600Aで撮像された車体12の前方の画像情報が表示された状態を示しており、この例では、鉄道車両10の進行方向側の線路720、側壁722等が表示されている。
また、
図9(B)は、表示部704の表示画面704Aに、線路形状726や駅727を示す地図情報上に鉄道車両10の現在位置を示すアイコン728が重ね合わされて表示された状態を示している。
【0068】
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、表示部704に表示された画像情報によって鉄道車両10の周辺の状況、具体的には、他の鉄道車両の有無やそれら鉄道車両と鉄道車両10との位置関係や、鉄道車両10と陸地との位置関係などを把握することができ、鉄道車両10から離れた箇所から鉄道車両10を的確に遠隔操作する上で有利となる。
また、表示部704に表示された地図情報に基づいて、鉄道車両10の現在位置を把握することができ、鉄道車両10から離れた箇所から鉄道車両10を的確に遠隔操作する上で有利となる。
なお、第2の実施の形態では、複数のカメラ600A~600Dと、測位部602との双方を設けた場合について説明したが、いずれか一方のみを設けてもよい。しかしながら、第2の実施の形態のようにすると、鉄道車両10の周辺の状態と鉄道車両10の現在位置との双方を把握できるため、鉄道車両10を的確に遠隔操作する上でより有利となる。
また、第2の実施の形態では、前方カメラ600A、後方カメラ600B、左方カメラ600C、右方カメラ600Dの4台のカメラを設けた場合について説明したが、カメラの数や配置は任意である。また、複数のカメラを設ける代わりに、撮像範囲が広範囲である全天球カメラや半天球カメラを用いるなど任意である。
【0069】
なお、実施の形態では、操作部材を操作するアクチュエータが直動式電気シリンダで構成されている場合について説明したが、アクチュエータとして、空気シリンダ、油圧シリンダ、リニアモータなど従来公知の様々なアクチュエータが使用可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 鉄道車両
12 車体
14 操作台
20 鉄道車両側制御装置
22 走行制御装置
30 モータ
38 ブレーキ機構
40 マスターコントローラー
42 逆転ハンドル
44 ブレーキハンドル
46 緊急停止ボタン
50 第1アクチュエータ
52 第2アクチュエータ
54 第3アクチュエータ
56 第4アクチュエータ
200 鉄道車両側通信部
202 鉄道車両側制御部
204 操作部材制御部
206A 第1検出部
206B 第2検出部
206C 第3検出部
206D 第4検出部
208 サーボ制御部
222 ブレーキ制御部
500 第1遠隔操作レバー
502 第2遠隔操作レバー
504 第3遠隔操作レバー
506 遠隔操作ボタン
514 モード切替スイッチ
520 遠隔操作側制御部
524 遠隔操作側通信部